(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】エレベータ式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
E04H6/18 606A
(21)【出願番号】P 2018110357
(22)【出願日】2018-06-08
【審査請求日】2021-04-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】曽我 隆之
(72)【発明者】
【氏名】本島 貴之
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 義和
(72)【発明者】
【氏名】保坂 憲一
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-070682(JP,U)
【文献】特開平02-311674(JP,A)
【文献】特開2010-031598(JP,A)
【文献】特開平07-144846(JP,A)
【文献】実開昭56-029148(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/18
B66B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の四隅外側に鉛直かつ連続して設置されたガイドレールと、紐状部材に吊下げられ前記昇降路を昇降するケージと、前記昇降路に沿って設けられた格納棚と、前記ケージと前記格納棚との間で車両を横行させる横行装置と、を備えたエレベータ式駐車装置であって、
前記ケージ
に設けられた主ガイドシュー又は副ガイドシューと前記ガイドレールとの間に横行方向の横隙間が設けられており、
前記ケージの四隅に設けられ前記ガイドレールの横行方向内側に対向して位置する複数の振れ止め装置を備え、
前記振れ止め装置は、前記ガイドレールに当接して水平軸を中心に自由に回転する回転ローラと、
前記回転ローラを水平方向外方に付勢する付勢装置と、を有し、
前記付勢装置の付勢力が、前記横隙間が最大スキマから
0を含む最小スキマまで変化する際に、最小付勢力から前記車両の横行抵抗を超える最大付勢力まで連続的に変化する、エレベータ式駐車装置。
【請求項2】
前記付勢装置は、前記回転ローラをその軸心を中心に自由に回転可能に支持するローラブラケットと、
前記ケージに固定され、前記回転ローラの軸心を水平に保持し前記ローラブラケットを横行方向に移動可能に支持する固定具と、
前記ローラブラケットを前記固定具に対し水平方向外方に付勢する付勢ばねと、を有する、請求項1に記載のエレベータ式駐車装置。
【請求項3】
前記回転ローラは、前記ガイドレールの横行方向内端面に当接する外周面を有する円筒形ローラである、請求項1に記載のエレベータ式駐車装置。
【請求項4】
前記回転ローラは、前記ガイドレールの横行方向内端面に当接する外周面と前記ガイドレールの一部を前記ケージの長さ方向に縦隙間を隔てて挟持する鍔部とを有する鍔付きローラである、請求項1に記載のエレベータ式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐状部材に四隅が吊り下げられ鉛直な昇降路を昇降するケージを備えたエレベータ式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、エレベータ式駐車装置1を示す概略図である。
このエレベータ式駐車装置1は、紐状部材2(例えば、ワイヤロープ、チェーン)に四隅が吊り下げられ鉛直な昇降路を昇降するケージ3と、ケージ3を昇降させる昇降機構4と、を備える。
【0003】
昇降機構4は、シーブ駆動装置5、従動滑車6、駆動シーブ7、およびカウンタウェイト8を備える。シーブ駆動装置5は、駆動シーブ7を回転する。駆動シーブ7には、紐状部材2の中間部が掛け渡されており、紐状部材2の一端は、ケージ3に固定されており、紐状部材2の他端は、カウンタウェイト8に固定されている。
【0004】
この構成により、駆動シーブ7が回転すると、駆動シーブ7に掛けられた紐状部材2が、その回転方向により、ケージ3に向けて繰り出され、または、ケージ側から引き上げられてカウンタウェイト8に向けて繰り出され、これにより、ケージ3が昇降する。
図1の例では、このような紐状部材2が、4本設けられている。これら4本の紐状部材2は、それぞれ、ケージ3の四隅から延びて、従動滑車6、駆動シーブ7、従動滑車6にこの順で掛けられ、カウンタウェイト8まで延びている。
なお、この図において、9は昇降路、10は車両を載せるパレットである。
【0005】
上述した昇降機構4は、駆動シーブ7と紐状部材2との摩擦力によりケージ3を昇降させるため、トラクション式(摩擦式)と呼ばれる。トラクション式の昇降機構4は、低層から高層までの多くの駐車装置に適している。
なお、昇降機構4の駆動シーブ7の直径を小さくするために、ケージ3の四隅を複数(例えば2本)の紐状部材2で吊り下げることがある。
【0006】
一方、昇降機構4には、他にドラム式が知られている。ドラム式の昇降機構は、円筒形のドラムに紐状部材2を巻き付けて、紐状部材2を巻き上げ、巻き戻しするものである。ドラム式の昇降機構は、低層から中層の駐車装置に適している。
【0007】
上述したエレベータ式駐車装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図2は、
図1のケージ3の四隅を示す拡大平面図である。以下、X方向を、ケージ3の幅方向及びパレット10の横行方向とし、Y方向をケージ3及びパレット10の長さ方向とする。
【0010】
この図において、11は、ケージ3の四隅に固定されたケージ吊部、12は鉛直に延びるガイドレール、13aはY方向一端のケージ吊部11に固定された主ガイドシューであり、13bはY方向他端のケージ吊部11に固定された副ガイドシューである。
【0011】
ケージ吊部11には、紐状部材2の一端2aが固定され、紐状部材2を介して同期して昇降する。ガイドレール12は、ケージ3の四隅外側にケージ吊部11から隙間を隔てて鉛直かつ連続に位置する。ガイドレール12は、装置の固定部分に固定されている。
【0012】
主ガイドシュー13aは、ガイドレール12のX方向内端面に隙間を隔てて近接し、かつその一部をY方向に隙間を隔てて挟持する。この構成により、左右1対の主ガイドシュー13aにより、ケージ3のX方向及びY方向の移動を隙間の範囲内で防止する。
【0013】
副ガイドシュー13bは、ガイドレール12のX方向内端面に隙間を隔てて近接する。この構成により、左右1対の副ガイドシュー13bにより、ケージ3のX方向の移動を隙間の範囲内で防止する。
【0014】
上述した構成により、1対の主ガイドシュー13aと1対の副ガイドシュー13bにより、ケージ3のX方向及びY方向の移動を隙間の範囲内で防止しながら、ケージ3をガイドレール12に沿って昇降させることができる。
【0015】
しかし、ガイドレール12の全長は、ケージ3の昇降範囲の全体(例えば20~50m)に相当するため、ガイドレール12の平面位置には誤差が存在する。そのため、主ガイドシュー13a及び副ガイドシュー13bとガイドレール12との隙間は、ガイドレール12の誤差よりも大きく設定する必要がある。この隙間は、例えば3~10mmである。
【0016】
従来の装置では、この隙間を小さく設定すると、ケージ3の昇降時に主ガイドシュー13a又は副ガイドシュー13bがガイドレール12に当接し、異音が発生したりケージ3が傾いて円滑な昇降ができないおそれがあった。
また、この隙間を大きく設定しケージ3を紐状部材2で吊ったまま車両(すなわちパレット10)を横行させると、横行抵抗でケージ3がX方向に振られて主ガイドシュー13a又は副ガイドシュー13bがガイドレール12に当接し、振動や衝撃音が発生する。
【0017】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、異音を発生することなくケージを円滑に昇降でき、かつケージを紐状部材で吊ったままで振動や衝撃音を発生することなくケージと格納棚の間で車両を円滑に横行させることができるエレベータ式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、昇降路の四隅外側に鉛直かつ連続して設置されたガイドレールと、紐状部材に吊下げられ前記昇降路を昇降するケージと、前記昇降路に沿って設けられた格納棚と、前記ケージと前記格納棚との間で車両を横行させる横行装置と、を備えたエレベータ式駐車装置であって、
前記ケージに設けられた主ガイドシュー又は副ガイドシューと前記ガイドレールとの間に横行方向の横隙間が設けられており、
前記ケージの四隅に設けられ前記ガイドレールの横行方向内側に対向して位置する複数の振れ止め装置を備え、
前記振れ止め装置は、前記ガイドレールに当接して水平軸を中心に自由に回転する回転ローラと、
前記回転ローラを水平方向外方に付勢する付勢装置と、を有し、
前記付勢装置の付勢力が、前記横隙間が最大スキマから0を含む最小スキマまで変化する際に、最小付勢力から前記車両の横行抵抗を超える最大付勢力まで連続的に変化する、エレベータ式駐車装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
上記本発明によれば、ケージの四隅の付勢装置が回転ローラを水平方向外方に付勢する。従って、ガイドレールとケージの間の横行方向の横隙間を大きく設定しても、ケージの昇降時に四隅の回転ローラにより、ケージを常に左右のガイドレールの中間に保持することができ、異音を発生することなくケージを円滑に昇降できる。
【0020】
付勢装置の付勢力は、横隙間が最大スキマから最小スキマまで変化する際に、最小付勢力から車両の横行抵抗を超える最大付勢力まで連続的に変化する。これにより、ケージを紐状部材で吊ったまま横行する際に、横行抵抗でケージが反対方向に押し付けられても、その押付力を最大付勢力より小さい付勢力で弾性的に支持できる。従って、振動や衝撃音を発生することなくケージと格納棚の間で車両を円滑に横行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1のケージの四隅を示す拡大平面図である。
【
図3】本発明によるエレベータ式駐車装置の実施形態を示す平面図である。
【
図6】本発明による振れ止め装置を備えた
図2と同様のケージの四隅を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0023】
図3は、本発明によるエレベータ式駐車装置100の実施形態を示す平面図である。
【0024】
この図において、エレベータ式駐車装置100(以下、単に「装置100」と呼ぶ)は、ガイドレール12、ケージ3、複数の格納棚14、及び横行装置16を備える。なおこの図において、パレット10は図示を省略している。
【0025】
ガイドレール12は、昇降路9の四隅外側に鉛直かつ連続して設置されている。この例で17は、装置100の四隅に鉛直に延びる主柱であり、18は、主柱17を水平に連結する水平梁である。またこの例で、ガイドレール12はH型鋼であり、X方向に延びる水平梁18の内側に固定されている。
なお、ガイドレール12はH型鋼に限定されず、その他の型鋼、又は溶接構造材であってもよい。
【0026】
ケージ3は、複数(この例で4本)の紐状部材2(
図1参照)の一端2aに吊下げられガイドレール12に沿って昇降路9を昇降する。ケージ3の四隅には上述したケージ吊部11がそれぞれ固定されている。
【0027】
複数の格納棚14は、昇降路9に沿って設けられている。格納棚14は、昇降路9に隣接し、高さ方向に車両を格納できる間隔を隔てて位置する。この例で格納棚14は、昇降路9のX方向両側に設けられているが、片側のみでもよい。
【0028】
図4は、
図3のA-A矢視図である。
図3において、ケージ3及び格納棚14には、Y方向両端部に複数のローラ15a,15bがそれぞれ設けられている。また
図4において、パレット10は、複数のローラ15a,15bで支持される水平支持部10aを有する。
なお、この構成は必須ではなく、パレット10が、横行方向(図で左右方向)に間隔を隔てた横行用の複数のローラを有してもよい。
【0029】
図3において、横行装置16は、ケージ3と格納棚14との間で車両を載せるパレット10を横行させる。
横行装置16は、この例ではケージ3の上部に設けられ、鉛直な回転軸を中心に水平に旋回する旋回アーム16aと、旋回アーム16aの先端部に設けられ鉛直軸を中心に自由に回転する円筒形の係合ローラ16bとを有する。
係合ローラ16bは、パレット10のX方向端部に設けられY方向に延びる逆U字形の係合溝(図示せず)に嵌合し、旋回アーム16aの旋回により複数のローラ15a,15bに沿ってパレット10をX方向に横行させるようになっている。
【0030】
なお、
図3において、旋回アーム16aの回転軸は、ケージ3の中心より図で下方に位置するが、ケージ3の中心に位置してもよい。
また、横行装置16は、上述した構成に限定されず、その他の横行機構であってもよい。
また、車両の横行は、車両を載せるパレット10を用いず、例えば、くし型のケージに車両を載せ、横行させてもよい。
【0031】
その他の構成は、上述した従来例と同様である。
【0032】
図5は、
図4のB部拡大図である。
この図において、ガイドレール12とケージ3の間に横行方向の隙間(以下、横隙間C)が設けられている。横隙間Cは、好ましくは、上述した主ガイドシュー13a又は副ガイドシュー13b(この例では副ガイドシュー13b)とガイドレール12との隙間である。横隙間Cは、従来より大きくてもよく、例えば5~20mmである。
【0033】
図4と
図5において、本発明によるエレベータ式駐車装置100は、複数の振れ止め装置20を備える。複数(この例では4つ)の振れ止め装置20は、上述した主ガイドシュー13a又は副ガイドシュー13bと同様に、ケージ3の四隅(具体的には、ケージ吊部11)に設けられガイドレール12の横行方向内側に対向して位置する。
【0034】
図5において、振れ止め装置20は、ガイドレール12に当接して水平軸を中心に自由に回転する回転ローラ22と、回転ローラ22を水平方向外方に付勢する付勢装置24と、を有する。
回転ローラ22は、この例では、ガイドレール12の横行方向内端面12aに当接する外周面を有する円筒形ローラ22aである。
【0035】
付勢装置24は、ローラブラケット25、固定具26、及び付勢ばね27を有する。
ローラブラケット25は、回転ローラ22をその軸心を中心に自由に回転可能に支持する。
【0036】
固定具26は、ケージ3(具体的には、ケージ吊部11)に固定され、回転ローラ22の軸心を水平に保持しローラブラケット25を横行方向に移動可能に支持する。
図5において、固定具26は、本体26a、ガイド棒26b、及び回転防止ピン26cを有する。
本体26aは、ケージ吊部11に固定され、1対の水平ガイド穴28aと回転防止穴28bとを有する。ガイド棒26bは、1対の水平ガイド穴28aを貫通して軸方向に移動可能に位置し、一端(図で右端)がローラブラケット25に固定されている。回転防止ピン26cは、回転防止穴28bを貫通して位置し、一端(図で右端)がローラブラケット25に固定されている。
上述した構成により、固定具26は、回転ローラ22の軸心を水平に保持しローラブラケット25を横行方向に移動可能に支持することができる。
【0037】
図5において、付勢ばね27は、ローラブラケット25を固定具26に対し水平方向外方に付勢する。
この例で付勢ばね27は、圧縮コイルばねであり、ローラブラケット25と固定具26の間に挟持されている。
付勢ばね27のばね定数kは、横隙間Cが最大スキマから最小スキマまで変化する際に、付勢装置24の付勢力Fが最小付勢力から車両の横行抵抗を超える最大付勢力まで連続的に変化するように設定されている。付勢ばね27は、圧縮コイルばねに限定されず、その他のばねであってもよい。
【0038】
以下、付勢ばね27の自由長さからの圧縮量をΔLとすると、式(1)が成り立つ。
F=k・ΔL・・・(1)
例えば、横隙間Cの最大スキマが11mm、最小スキマが1mmであり、車両の横行抵抗が最大90kgfである場合、付勢力Fの最大付勢力を例えば100kgfに設定する。また付勢装置24(付勢ばね27)の付勢力Fの最小値を0とする。
この場合、付勢ばね27のばね定数kは、式(2)で求められる。
k=F/ΔL=100/(11-1)=10kgf/mm・・・(2)
【0039】
従って、ばね定数kを式(2)で設定することにより、横隙間Cが最大スキマ(11mm)から最小スキマ(1mm)まで変化する際に、付勢装置24の付勢力Fを最小付勢力(0)から車両の横行抵抗を超える最大付勢力まで連続的に変化させることができる。
【0040】
図6は、本発明による振れ止め装置20を備えた
図2と同様のケージ3の四隅を示す拡大平面図である。
【0041】
この図において、ケージ吊部11には、図示しない紐状部材2の一端2aが固定され、紐状部材2を介して同期して昇降する。ガイドレール12は、ケージ3の四隅外側にケージ吊部11から隙間を隔てて鉛直かつ連続に位置する。ガイドレール12は、装置100の固定部分に固定されている。
【0042】
上述した従来の主ガイドシュー13aと副ガイドシュー13bは、この図では図示を省略している。本発明において、主ガイドシュー13aと副ガイドシュー13bは、従来と同様に設置することが好ましい。しかし、主ガイドシュー13aと副ガイドシュー13bは、必須ではなく、その一方又は両方を省略してもよい。
【0043】
この図において、振れ止め装置20は、Y方向一端のケージ吊部11に固定された1対の主振れ止め装置20Aと、Y方向他端のケージ吊部11に固定された1対の副振れ止め装置20Bとからなる。
副振れ止め装置20Bの回転ローラ22は、ガイドレール12の横行方向内端面12aに当接する外周面を有する上述した円筒形ローラ22aである。
主振れ止め装置20Aの回転ローラ22は、ガイドレール12の横行方向内端面12aに当接する外周面とガイドレール12の一部をケージ3の長さ方向(Y方向)に隅間(以下、縦隙間)を隔てて挟持する鍔部とを有する鍔付きローラ22bである。
その他の構成は、主振れ止め装置20Aと副振れ止め装置20Bとで同一である。
【0044】
主振れ止め装置20Aの鍔付きローラ22bは、ガイドレール12のX方向内端面に横隙間Cを隔てて近接し、かつその一部をY方向に縦隙間を隔てて挟持する。この構成により、左右1対の主振れ止め装置20Aにより、ケージ3のX方向及びY方向の移動を隙間の範囲内で防止する。
【0045】
副振れ止め装置20Bの円筒形ローラ22aは、ガイドレール12のX方向内端面に横隙間Cを隔てて近接する。この構成により、左右1対の副ガイドシュー13bにより、ケージ3のX方向の移動を横隙間の範囲内で防止する。
【0046】
上述した構成により、1対の主振れ止め装置20Aと1対の副振れ止め装置20Bにより、ケージ3のX方向及びY方向の移動を隙間の範囲内で防止しながら、ケージ3をガイドレール12に沿って昇降することができる。
【0047】
また、横隙間Cを、従来の隙間より大きく(例えば5~20mm)した場合でも、ケージ3の昇降時に四隅の回転ローラ22により、ケージ3を常に左右のガイドレール12の中間に保持することができ、異音を発生することなくケージ3を円滑に昇降できる。
【0048】
また、この横隙間Cを大きく設定し、ケージ3を紐状部材2で吊ったままで車両を横行させても、横隙間Cが最大スキマから最小スキマまで変化する際に、付勢装置24の付勢力Fが最小付勢力から車両の横行抵抗を超える最大付勢力まで連続的に変化する。これにより、ケージ3を紐状部材2で吊ったまま横行する際に、横行抵抗でケージ3が反対方向に押し付けられても、その押付力を最大付勢力より小さい付勢力で弾性的に支持できる。従って、振動や衝撃音を発生することなくケージ3と格納棚14の間で車両を円滑に横行させることができる。
【0049】
なお、付勢ばね27のばね定数kは、主振れ止め装置20Aと副振れ止め装置20Bとで、相違してもよい。例えば、横行装置16の位置、車両の前後の重量バランス、等により、主振れ止め装置20Aと副振れ止め装置20Bに作用する車両の横行抵抗が相違する場合、それぞれに適したばね定数kに設定することが好ましい。
この構成により、車両の前後を同期して横行することができ、横行を円滑化することができる。
【0050】
また本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0051】
C 隙間(横隙間)、1 エレベータ式駐車装置、2 紐状部材、2a 一端、
3 ケージ、4 昇降機構、5 シーブ駆動装置、6 従動滑車、
7 駆動シーブ、8 カウンタウェイト、9 昇降路、
10 パレット、10a 水平支持部、11 ケージ吊部、
12 ガイドレール、12a 内端面、13a 主ガイドシュー、
13b 副ガイドシュー、14 格納棚、15a,15b ローラ、
16 横行装置、16a 旋回アーム、16b 係合ローラ、
17 主柱、18 水平梁、20 振れ止め装置、
22 回転ローラ、22a 円筒形ローラ、22b 鍔付きローラ、
24 付勢装置、25 ローラブラケット、26 固定具、
26a 本体、26b ガイド棒、26c 回転防止ピン、27 付勢ばね、
28a 水平ガイド穴、28b 回転防止穴、100 エレベータ式駐車装置