(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/06 20150101AFI20220713BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220713BHJP
【FI】
A63B53/06 B
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2018118719
(22)【出願日】2018-06-22
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 知憲
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0250993(US,A1)
【文献】米国特許第5911637(US,A)
【文献】米国特許第5366222(US,A)
【文献】実開昭61-54868(JP,U)
【文献】実開昭51-150753(JP,U)
【文献】特開2010-158316(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0361185(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/06
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のヘッド本体を有するゴルフクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体の内側に、磁石である第1部材が固定され、
前記ヘッド本体を挟んで前記第1部材と対向する前記ヘッド本体の外側に
第2部材が前記第1部材の磁力により
固定され、前記第2部材
が着脱可能であるゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記ヘッド本体の、前記第1部材と前記第2部材とに挟まれる領域は、非磁性物質で形成されている請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第2部材は、前記第1部材と接触しない請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド本体は、フェース部を備え、
前記第1部材及び前記第2部材は、前記フェース部と接触しない請求項1乃至3の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第2部材の外面が、前記ヘッド本体の外面と面一であるか、または前記ヘッド本体の外面より窪んだ位置となるように、前記第2部材が前記第1部材に吸着される請求項1乃至4の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
ウッド型である請求項1乃至5の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記ヘッド本体の外面の法線方向から視たときの大きさは、前記第2部材の方が前記第1部材よりも大きい請求項1乃至6の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフクラブヘッドのヘッド本体に重量調整用部材を装着することにより、ヘッド本体の重量配分を調整する方法が知られている。
【0003】
例えば、ヘッド本体の内側にねじ受け構造を設け、このねじ受け構造にヘッド本体の外側から重量調整用のねじ等を取り付けて、ゴルフクラブヘッドの重量配分を調整する方法が挙げられる。
【0004】
また、ヘッド本体の外側に磁石を固定し、この磁石に磁力により重量調整用部材を吸着させて、ゴルフクラブヘッドの重量配分を調整する方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第05391693号
【文献】特許第05286139号
【文献】実開昭61-048760号公報
【文献】実公平03-041727号公報
【文献】米国特許公開2017/0361185
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来とは異なる重量調整用部材の取付構造を備えたゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本ゴルフクラブヘッドは、中空のヘッド本体を有するゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体の内側に、磁石である第1部材が固定され、前記ヘッド本体を挟んで前記第1部材と対向する前記ヘッド本体の外側に第2部材が前記第1部材の磁力により固定され、前記第2部材が着脱可能であることを要件とする。
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、従来とは異なる重量調整用部材の取付構造を備えたゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図である。
【
図3】第1の実施の形態の変形例に係る重量調整用部材の取付位置を例示する図である。
【
図4】第2の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図である。
【
図5】第3の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図である。
【
図6】第4の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図である。
【
図7】第5の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する部分拡大断面図である。
【
図8】第6の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図である。
【
図9】第6の実施の形態の変形例に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1の実施の形態〉
図1は、第1の実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する図であり、
図1(a)は正面図、
図1(b)は底面図、
図1(c)は左側面図、
図1(d)は右側面図である。
【0012】
図1では、フェース面11f側から視た図を正面図としており、ゴルフクラブヘッド1を水平面H(地面に相当)に基準のライ角θ及び基準のロフト角(図示せず)通りに接地した場合を図示している。なお、Jはホゼル部20の穴の中心軸を示している。また、矢印d
1はトウ-ヒール方向(左右方向)を、矢印d
2はトップ-ソール方向(上下方向)を、矢印d
3はフェース-バック方向(前後方向)を示している。
【0013】
図1に示すゴルフクラブヘッド1は、ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、例えばドライバであるが、ユーティリティやフェアウェイウッドであってもよい。ゴルフクラブヘッド1は、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄系金属、マグネシウム、マグネシウム合金、繊維強化樹脂等を用いて形成することができる。また、ゴルフクラブヘッド1は、複数の部品を接合して組み立ててもよい。以下、ゴルフクラブヘッド1について詳説する。
【0014】
ゴルフクラブヘッド1は、中空のヘッド本体10と、ヘッド本体10に連結されるホゼル部20とを有する中空構造体である。
【0015】
ヘッド本体10は、フェース部11と、クラウン部12と、ソール部13と、サイド部14とを有する。フェース部11は、打撃面となるフェース面11fを備えた部分である。なお、フェース部11は所定の厚みを有しており、フェース面11fはフェース部11の外面をなしている。クラウン部12は、ゴルフクラブヘッド1の上部を形成する部分である。ソール部13は、ゴルフクラブヘッド1の底部を形成する部分である。サイド部14は、クラウン部12とソール部13とを繋ぐ部分である。ホゼル部20は、シャフトと連結される部分である。
【0016】
ゴルフクラブヘッド1は、フェース部11を除く何れかの部分に、以下に示す重量調整用部材の取付構造を備えている。
【0017】
図2は、第1の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図であり、
図2(a)は底面図、
図2(b)は
図2(a)のA-A線に沿う部分拡大断面図である。
【0018】
図2を参照するに、第1の実施の形態では、ヘッド本体10のソール部13のバック側に第1部材30及び第2部材40が設けられている。
【0019】
第1部材30は磁石であり、
図2(b)に示すように、ヘッド本体10の内面10a側に形成された凹部10c内に固定されている。第1部材30は、例えば、接着剤、圧入、かしめ、溶接等の方法によりヘッド本体10に固定してもよいし、その他の方法によりヘッド本体10に固定してもよい。第1部材30の平面形状は、例えば矩形であるが、円形や楕円形等の適宜な形状とすることができる。
【0020】
第2部材40は、ヘッド本体10を挟んで第1部材30と対向するヘッド本体10の外面10bに、第1部材30の磁力により着脱可能な状態で吸着されている。第2部材40の平面形状は、例えば矩形であるが、円形や楕円形等の適宜な形状とすることができる。
【0021】
第2部材40は、ゴルフクラブヘッド1の重量を調整する重量調整用部材である。第2部材40の重さは、例えば、2g以上20g以下である。第2部材40は、複数種類の重さを用意することができる。なお、第2部材40は、ヘッドの装飾性を高めるための銘板と兼用しても構わない。
【0022】
ヘッド本体10の外面10bの法線方向から視たときの大きさは、第2部材40の方が第1部材30よりも大きくても小さくても構わないが、第2部材40の方を大きくすることにより、重量配分の調整範囲を容易に増やすことができる。
【0023】
なお、第1部材30と第2部材40との間にはヘッド本体10が介在しているため、第2部材40が第1部材30と接触することはない。
【0024】
第1部材30としては、例えば、サマリウムコバルト磁石やネオジウム磁石等を用いることができる。第2部材40としては、磁石または磁性体を用いることができる。第2部材40が磁石である場合は、例えば、サマリウムコバルト磁石やネオジウム磁石等を用いることができる。第2部材40が磁性体である場合は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等を用いることができる。
【0025】
ゴルフクラブヘッド1の材料を上に例示したが、少なくともヘッド本体10の、第1部材30と第2部材40とに挟まれる領域は、非磁性物質で形成されている。ヘッド本体10の全体を非磁性物質で形成してもよい。非磁性物質としては、例えば、アルミニウム、チタン、繊維強化樹脂(例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等)、ポリカーボネート等が挙げられる。
【0026】
図2の例では、ヘッド本体10のソール部13のバック側に第1部材30及び第2部材40を配置したが、第1部材30及び第2部材40は、ヘッド本体10においてフェース部11と接触しない任意の位置に配置することができる。但し、
図2(b)の例では、第2部材40がヘッド本体10の外面10bから外部に突起しており、ゴルフスイング時にソール部13と地面が接触することで第2部材40がヘッド本体10から外れやすくなってしまうので、第1部材30及び第2部材40はソール部13には配置しないことが好ましい。
【0027】
ところで、従来のゴルフクラブヘッドでは、例えば、ヘッド本体の内側にねじ受け構造を設け、このねじ受け構造にヘッド本体の外側から交換可能な重量調整用のねじ等を取り付けてゴルフクラブヘッドの重量配分を調整していた。しかし、従来のゴルフクラブヘッドでは、ねじ受け構造の部分に重量が集中してしまい、ヘッド重量調整の幅が十分ではなかった。
【0028】
これに対し、ゴルフクラブヘッド1では、ヘッド本体10の内側に磁石である第1部材30が固定され、ヘッド本体10を挟んで第1部材30と対向するヘッド本体10の外側に、第1部材30の磁力により吸着される第2部材40を着脱可能に配置可能である。
【0029】
そのため、ゴルフクラブヘッド1では、従来のゴルフクラブヘッドにおけるねじ受け構造のような重量が集中する構造をヘッド本体10の内側に設ける必要がない。また、第1部材30はねじ受け構造よりも軽量化することが可能である。その結果、ねじ受け構造の重量に相当する重量を他の場所に自由に配分することが可能となり、ゴルフクラブヘッドの重量配分を容易に調整することができる。
【0030】
また、ゴルフクラブヘッド1では、ヘッド本体10の内側に磁石を固定している。これにより、ヘッド本体の外側に磁石を固定する構造に比べて、ゴルフスイング中にダフりが発生した場合に第1部材30が地面と直接接触した際の衝撃、並びに第2部材40を介して地面と接触した際の衝撃によって第1部材30がヘッド本体から外れてしまうのを防ぐ効果が有る。すなわち、ゴルフクラブヘッド1では、第1部材30と第2部材40とが非接触であり、かつ第1部材30がヘッド本体10の外側に露出していないため、このような効果が得られる。
【0031】
また、ヘッド本体の外側に磁石を固定する構造では、ヘッド本体の外側に第1部材30と第2部材40の両方を許容する大きさの凹みを設ける必要があるため、重量調整用部材の大きさに対して凹み部を大きくする必要がある。そのため、ゴルフクラブヘッドでゴルフボールをインパクトした際の応力が凹み部に集中する懸念があった。ヘッド本体内部に磁石を設けた場合、従来技術に比べてヘッド本体外部の重量調整用部材の大きさに対して凹みを小さくでき、ヘッド本体への応力集中を防止し、強度低下を防ぐことができる。
【0032】
また、ヘッド本体自身を磁性体とする構造と比べると、ヘッド本体が磁性体でなくても部材の装着が可能である。
【0033】
なお、
図2の例では、重量調整用部材である第2部材40をヘッド本体10のソール部13のバック側に配置しているため、ヘッド重心が深くなることで、インパクト時のロフト角が大きくなり、打球の打ち出し角度が大きくなる。
【0034】
〈第1の実施の形態の変形例〉
第1の実施の形態の変形例では、第1の実施の形態とは異なる位置に重量調整用部材である第2部材40を配置する例を示す。なお、第1の実施の形態の変形例において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0035】
図3は、第1の実施の形態の変形例に係る重量調整用部材の取付位置を例示する図であり、
図3(a)は底面図、
図3(b)及び
図3(c)は左側面図である。
【0036】
図3(a)に示すように、第2部材40をヘッド本体10のソール部13のバック側の2カ所に配置してもよい。この場合、ヘッド本体10を左右方向(トウ-ヒール方向)に加重することで慣性モーメントが向上するため、打球が曲がりづらくなる。なお、第2部材40をヘッド本体10の3箇所以上に設けてもよい。
【0037】
図3(b)に示すように、第2部材40をヘッド本体10のソール部13のバック側からヘッド本体10の接地する領域を除くソール部13の近傍にかけて配置してもよい。この場合、ヘッド本体10の接地する領域には第2部材40が存在しないため、ダフリの影響を受け難くすることができる。
【0038】
図3(c)に示すように、第2部材40をヘッド本体10のソール部13のバック側からクラウン部12のバック側にかけて配置してもよい。この場合、重心高さを大きく変えることなく、重心深さを変更することができる。
【0039】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、第2部材がヘッド本体の外面から外部に突起しない例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0040】
図4は、第2の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図であり、
図4(a)は底面図、
図4(b)は
図4(a)のB-B線に沿う部分拡大断面図である。
【0041】
図4を参照するに、第2の実施の形態では、ヘッド本体10のソール部13に第1部材30及び第2部材45が設けられている。
【0042】
第1部材30は、ヘッド本体10の内面10a側に形成された凹部10d内に固定されている。第1部材30は、例えば、接着剤、圧入、かしめ、溶接等の方法によりヘッド本体10に固定してもよいし、その他の方法によりヘッド本体10に固定してもよい。第1部材30の平面形状は、例えば楕円形であるが、円形や矩形等の適宜な形状とすることができる。
【0043】
第2部材45は、ヘッド本体10を挟んで第1部材30と対向するヘッド本体10の外面10b側に形成された凹部10e内に、第1部材30の磁力により着脱可能な状態で吸着されている。第2部材45の平面形状は、例えば楕円形であるが、円形や矩形等の適宜な形状とすることができる。
【0044】
第2部材45は、ゴルフクラブヘッド1の重量を調整する重量調整用部材である。第2部材45の重さは、例えば、2g以上20g以下である。第2部材45は、複数種類の重さを用意することができる。なお、第2部材45は、ヘッドの装飾性を高めるための銘板と兼用しても構わない。
【0045】
ヘッド本体10の外面10bの法線方向から視たときの大きさは、第2部材45の方が第1部材30よりも大きくても小さくても構わないが、第2部材45の方を大きくすることにより、重量配分の調整範囲を容易に増やすことができる。
【0046】
なお、第1部材30と第2部材45との間にはヘッド本体10が介在しているため、第2部材45が第1部材30と接触することはない。
【0047】
第2部材45としては、磁石または磁性体を用いることができる。第2部材45が磁石である場合は、例えば、サマリウムコバルト磁石やネオジウム磁石等を用いることができる。第2部材45が磁性体である場合は、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等を用いることができる。
【0048】
図4の例では、第2部材45の外面が、ヘッド本体10の外面10bと面一であるか、またはヘッド本体10の外面10bより窪んだ位置となるように、第2部材45が第1部材30に吸着されている。そのため、第1部材30及び第2部材45はソール部13に配置することも可能である。
【0049】
なお、第2部材45の凹部10e内への着脱を容易にするため、第2部材45の外壁面と凹部10eの内壁面との間に適宜な隙間を設けることが好ましい。また、第2部材45の凹部10e内への着脱を容易にするため、第2部材45の凹部10e側に環状の切り欠き部45xを設けてもよい。
【0050】
このように、第2の実施の形態では、第2部材45が第1部材30に吸着される際に、第2部材45の外面が、ヘッド本体10の外面10bと面一であるか、またはヘッド本体10の外面10bより窪んだ位置となるようにしている。
【0051】
これにより、ソール部13に配置してもダフリの影響を受けないため、第1部材30及び第2部材45は、ヘッド本体10においてフェース部11と接触しない位置であれば、ソール部13も含めた任意の位置に配置することができる。
【0052】
また、第2部材45がソール部13に配置されることにより、ヘッド本体10の重心が低くなる。その結果、打球の打ち出し角度が大きくなり、かつバックスピン量を減らすことができる。
【0053】
なお、第2の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を第1の実施の形態及び変形例で示した位置に適用することも可能である。
【0054】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態では、ヘッド本体に部分的に設けられた樹脂部に第2部材を配置する例を示す。なお、第3の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0055】
図5は、第3の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図であり、
図5(a)は底面図、
図5(b)は
図5(a)のC-C線に沿う部分拡大断面図である。
【0056】
図5を参照するに、第3の実施の形態では、ヘッド本体10のソール部13のバック側に部分的に設けられた樹脂部10rに第1部材30及び第2部材40が設けられている。樹脂部10rは、例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、ポリカーボネート等である。
【0057】
プレート状の樹脂部中に、従来のようにねじ止めで部材を取り付けようとすると、樹脂部に穿孔することによる強化繊維の損傷、割れ、強度低下などの問題があった。本実施の形態では、樹脂部10rに接着剤50により磁石である第1部材30を固定しているため、穿孔等により樹脂部10rを傷つけることがなく、樹脂部10rの強度低下を防止しつつ重量調整をすることができる。
【0058】
なお、第3の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を第1の実施の形態及び変形例で示した位置に適用することも可能である。
【0059】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態では、第1部材の方が第2部材よりも大きい例を示す。なお、第4の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0060】
図6は、第4の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図であり、
図6(a)は底面図、
図6(b)は
図6(a)のD-D線に沿う部分拡大断面図である。また、
図6(c)及び
図6(d)は、重量調整用部材の取付位置の変形例である。
【0061】
図6を参照するに、第4の実施の形態では、ヘッド本体10のソール部13のバック側に第1部材30及び第2部材40が設けられている。但し、ヘッド本体10の外面10bの法線方向から視たときに、第1部材30のトウ-ヒール方向の大きさが第2部材40のトウ-ヒール方向の大きさよりも大きい。
【0062】
これにより、第2部材40を
図6(b)~
図6(d)に示すような複数の位置に着脱することができる。すなわち、
図6(b)のように第1部材30が配置された領域のヒール側や、
図6(c)のように第1部材30が配置された領域の中央側や、
図6(d)のように第1部材30が配置された領域のトウ側に、第2部材40を着脱することができる。その結果、トウ-ヒール方向の重量配分の調整が容易となる。
【0063】
なお、ヘッド本体10の外面10bの法線方向から視たときに、第1部材30のトウ-ヒール方向の大きさの方が第2部材40のトウ-ヒール方向の大きさよりも大きいとしたのは一例である。例えば、ヘッド本体10の外面10bの法線方向から視たときに、第1部材30のフェース-バック方向の大きさを第2部材40のフェース-バック方向の大きさより大きくしてもよい。また、トウ-ヒール方向及びフェース-バック方向の両方において、第1部材30の方を第2部材40より大きくしてもよい。
【0064】
なお、第4の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を第1の実施の形態及び変形例で示した位置に適用することも可能である。
【0065】
また、
図4や
図5に示した重量調整用部材の取付構造の場合にも、
図6の場合と同様に、第1部材30のトウ-ヒール方向やフェース-バック方向の大きさを第2部材40や第2部材45のトウ-ヒール方向やフェース-バック方向の大きさより大きくしてもよい。
【0066】
〈第5の実施の形態〉
第5の実施の形態では、第2部材の方が第1部材よりも大きく、第2部材が複数の厚さである例を示す。なお、第5の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0067】
図7は、第5の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する部分拡大断面図である。第5の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造は、例えば、
図4と同様にソール部13に設けることができるが、
図2や
図3に示す位置に設けてもよい。
【0068】
図7の構造において、第1部材30の重量を小さくすることで、その分、第2部材45、46、及び47の重量を重くできる。すなわち、ヘッド本体10全体の重量は設計上一定であるため、第1部材30の占める重量を減らすと、代わりに45、46、及び47の重量を重くできる。
【0069】
これにより、第2部材の重量調整幅が大きく、設計自由度を高くすることができる。例えば、
図7(b)に示す第2部材46のように、
図7(a)に示す第2部材45と同じ厚さで大きさを大きくすることができる。また、
図7(c)に示す第2部材47のように、
図7(b)に示す第2部材47と同じ大きさで厚さを薄くすることができる。
【0070】
なお、
図2に示す重量調整用部材の取付構造の場合にも、大きさや厚さの異なる第2部材40を用いることができる。
【0071】
〈第6の実施の形態〉
第6の実施の形態では、円形である第2部材に回転防止構造を設ける例を示す。なお、第6の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0072】
図8は、第6の実施の形態に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図であり、
図8(a)は底面図、
図8(b)は
図8(a)のE-E線に沿う部分拡大断面図である。
【0073】
図8を参照するに、第6の実施の形態では、ヘッド本体10のソール部13に第1部材30及び第2部材45が設けられている。ヘッド本体10の外面10bの法線方向から視たときに、第2部材45の形状は円形である。また、第2部材45の凹部10eと対向する側の面において、中心からオフセットした位置に円錐状の凸部45tが設けられている。凸部45tは、凹部10eの底面に設けられた円錐状の有底孔である凹部10fと嵌合し、回転防止構造を実現している。
【0074】
このように、凸部45tが凹部10fと嵌合して第2部材45の回転を防止することで、ゴルフクラブヘッド1の使用中に回転方向の力によって第2部材45が脱落することを防止できる。
【0075】
なお、第2部材の回転防止構造は、
図8の形態には限定されず、例えば、
図9の形態であってもよい。
【0076】
図9は、第6の実施の形態の変形例に係る重量調整用部材の取付構造を例示する図であり、
図9(a)は底面図、
図9(b)は
図9(a)のF-F線に沿う部分拡大断面図である。
【0077】
図9を参照するに、第2部材45の凹部10eと対向する側の面において、例えば中心を通るように直線状の凸部45wが設けられている。凸部45wは、凹部10eの底面に設けられた直線状の溝である凹部10gと嵌合し、回転防止構造を実現している。
【0078】
このように、回転防止構造として、直線状の凸部45w及び凹部10gを設けてもよい。この場合も、凸部45wが凹部10gと嵌合して第2部材45の回転を防止することで、ゴルフクラブヘッド1の使用中に回転方向の力によって第2部材45が脱落することを防止できる。
【0079】
なお、直線状の凸部45w及び凹部10gに代えて、互いに嵌合する十字状の凸部及び凹部や、互いに嵌合する他の形状の凸部及び凹部を設けてもよい。
【0080】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 ゴルフクラブヘッド
10 ヘッド本体
10a 内面
10b 外面
10c、10d、10e、10f、10g 凹部
10r 樹脂部
11 フェース部
11f フェース面
12 クラウン部
13 ソール部
14 サイド部
20 ホゼル部
30 第1部材
40、45、46、47 第2部材
45t、45w 凸部
45x 切り欠き部
50 接着剤