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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】地中障害物撤去装置
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/20 20060101AFI20220713BHJP
   E21B 11/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
E21B7/20
E21B11/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018119380
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218827
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】502145276
【氏名又は名称】株式会社アイヨンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100098279
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 聖
(72)【発明者】
【氏名】栗林 伸仁
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-060186(JP,A)
【文献】特開2015-224461(JP,A)
【文献】特開2018-096155(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00363899(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 7/20
E21B 11/00
E02F 3/40
E02D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中障害物を撤去するために円筒状のケーシングを推進させ掘削するケーシング掘削工法において、掘削機のロータリーヘッドと同時回転するケリーバーの下端に取付けられ、前記ケリーバーの回転と共に回転して前記ケーシング内を掘削し、該ケーシング内の地中障害物を撤去するためのアタッチメントとして用いられる地中障害物撤去装置において、
前記ケリーバーの下端に接続されたつかみ機と、円筒底部にカッタービットを備え掘削を行う円筒状のアウターシェルとを備え、前記つかみ機は、一対のアームと該一対のアームを開閉動作させる油圧シリンダと、前記一対のアームと前記油圧シリンダを支持するフレームにより構成されており、前記つかみ機は、前記アウターシェル内に格納され2本の連結ピンにより前記アウターシェルに接続され、前記アウターシェル円筒側面部には前記つかみ機の前記一対のアームが格納される穴が設けられ、前記一対のアームが開いた状態では、前記アウターシェルの円筒形状に沿って前記一対のアームの外径・内径ともに前記アウターシェルの円筒側面と面一となる形状を有することを特徴とする地中障害物撤去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地中障害物撤去装置において、前記アウターシェルと前記つかみ機とが分離可能なアタッチメントであることを特徴とする地中障害物撤去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中障害物撤去装置に関し、特に、BG工法等の掘削機を用いた比較的小径のケーシング掘削工法において地中障害物を撤去するためのアタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既存杭の引き抜き工事や地中障害物の撤去工事において、既存杭や地中障害物の外周部を円筒形のケーシングチューブ(以下、ケーシングと略称する)で掘削し、地切されたケーシング内の杭・障害物を撤去する工法はケーシング掘削工法として知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、ケーシング掘削工法では、BG掘削機等に装備されている油圧駆動するロータリーヘッドにケーシングを連結し、ケーシングを既設杭や地中障害物へ押し込み、切削により地切した後、ケーシング内の障害物をハンマーグラブの打撃等により破壊し、ガラをハンマーグラブでつかみ上げ撤去するようにしている。撤去工程としては、第1に、ケーシングで掘削・地切り、第2に、障害物を破壊・分断、第3に、ガラの撤去、の3工程にて行われる。このように、ケーシング掘削工法では、ケーシングを打設する過程で、ケーシング内の土砂・障害物を撤去していく工程が必要となるので、ケーシング内の障害物撤去に使用するアタッチメントとしての地中障害物撤去装置が用いられている。
【0003】
かかる装置の一例として、特許文献2には、オールケーシング工法による場所打ち杭を施工する際にケーシング内の地中に残されているコンクリート構造物や鋼杭などの地中障害物を騒音が少なく効率よく撤去するため、ベースマシンに設けたブームの上端から垂下したケリーバーの下端に径方向へ拡開させてケーシングの内周面に係合するグリップ機構を設け、グリップ機構の下端にコア掘削具を取り付けて、ケーシングを回転させて地中障害物に円状の溝を掘削し、底部が開閉可能で切断具を備えた円筒バケットに付け替えて、これを円溝に挿入してケリーバーを駆動して切断具で地中障害物を切断して取り出すようにした装置例が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、既設杭を囲むようにケーシングを建て込んで撤去する方法を得るため、既設杭を囲むようにケーシングを回転圧入装置で建込み、既設杭が中心から外れるようにして建て込んだ後、下端に倒折翼を備えた駆動ロッドをケーシングの内周面に係止するグリップ機構の下端に固設した倒折装置をクレーンで吊持してケーシング内へ挿入し、該倒折翼を回転圧入装置で圧入して回動させて既設杭を倒折させ、倒折した既設杭をハンマーグラブで排出するようにした既設杭の撤去方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-070469号公報
【文献】特開2003-214078号公報
【文献】特開2003-301459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、高速道路の基礎やビルの地下壁工事等、地層の硬質・岩盤・既設のコンクリート構造物等の障害物の内容や性質如何に拘わらず施工する技術が求められている。このために上述したケーシング掘削工法における切削技術は向上しているものの掘削後の地中障害物の破砕・撤去処理に関しては、工数、コスト、振動及び騒音の抑制という面から見て、十分に有効な提案がなされていないのが実情である。
【0007】
即ち、従来のケーシング掘削工法では、ケーシング内の障害物の破壊工程において使用されるアタッチメントは、土砂掘削用のハンマーグラブがメインであり、落下・打撃等により破壊するため、騒音・振動発生の原因となる。また、障害物のつかみ上げに関しても専用のアタッチメントが無く、ハンマーグラブでつかみ上げるため、障害物の形状により落下の危険があった。また、上述した特許文献1、2及び3記載の従来例でも、ケーシング内の障害物撤去に使用するアタッチメントにはハンマーグラブ派生型のものが多く、土砂を掘削することを主目的としているため、障害物のつかみ上には不安がある。また、杭や地中壁のような地中障害物は、つかみ上げるために分断・破壊する必要があるにも拘わらず、地中障害物を効率よく分断・破壊する技術が施されているとは言い難い。
【0008】
例えば、上記特許文献1、2に記載された従来例では、ケリーバーを駆動してカッタービット等の切断具で地中障害物を切断して取り出したり、倒折した既設杭をハンマーグラブで排出することができるが、地層とか破砕する障害物に応じて切断具を選択することができず、回転トルクも大きく取れずに汎用性が少ないという問題もある。
【0009】
一方、地中障害物を破壊する工法としては、ロックオーガ等による切削工法やアブソリュートクラッシング工法のようにケーシング内で破壊する工法等があるが、いずれも切削・粉砕するだけのため、別途、ハンマーグラブによるガラの撤去工程が必要となる。また、これらの工法は、オールケーシング工法と呼ばれる大口径のケーシングを使用する場合の破砕工法であり、φ2000以下のケーシングにおいてはハンマーグラブによる打撃破壊や引き抜いてから地上で破砕を行うのが一般的である。
【0010】
このように、BG工法等の掘削機を用いた比較的小径のケーシング掘削工法において、障害物を効率よく安全に撤去するため、障害物の破壊・分断と共に安全につかみ上げることができる新規且つ有用なアタッチメント、また、比較的浅い位置にある障害物に対しては、ケーシングによる掘削工程を省き、地切と障害物の破断・撤去作業を一度に行う新規なアタッチメントの開発が切望されている。
【0011】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、BG工法等の掘削機を用いた比較的小径のケーシング掘削工法において、障害物を効率よく安全に撤去するため、障害物の破壊・分断と共に安全につかみ上げることができるアタッチメントとしての地中障害物撤去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するために、本発明者は、比較的小径のケーシング掘削工法において、障害物を効率よく安全に撤去するため、障害物の破壊・分断と共に安全につかみ上げ得るアタッチメントの構成について鋭意研究した結果、地中障害物の破壊・撤去を1台の機械にて行うことでアタッチメントの交換に要する時間を削減し、工期短縮を可能にする新規なアタッチメントの構成を見出した。この構成では、対象物の破壊・分断においては、大出力のシリンダを用い挟み込むことで、掘削機の旋回力を使用し、対象物をねじ切ることを可能にしている。切削、粉砕しないためその後のガラ回収時間が短縮される。また、引き上げ工程においても、上記大出力シリンダを2本使用することで、対象物が偏心していてもその位置で確実につかむことができ安定した吊り上げが行える。
【0014】
即ち、上記目的達成のため、本発明は、地中障害物を撤去するために円筒状のケーシングを推進させ掘削するケーシング掘削工法において、掘削機のロータリーヘッドと同時回転するケリーバーの下端に取付けられ、前記ケリーバーの回転と共に回転して前記ケーシング内を掘削し、該ケーシング内の地中障害物を撤去するためのアタッチメントとして用いられる地中障害物撤去装置において、前記ケリーバーの下端に接続されたつかみ機と、円筒底部にカッタービットを備え掘削を行う円筒状のアウターシェルとを備え、前記つかみ機は、一対のアームと該一対のアームを開閉動作させる油圧シリンダと、前記一対のアームと前記油圧シリンダを支持するフレームにより構成されており、前記つかみ機は、前記アウターシェル内に格納され2本の連結ピンにより前記アウターシェルに接続され、前記アウターシェル円筒側面部には前記つかみ機の前記一対のアームが格納される穴が設けられ、前記一対のアームが開いた状態では、前記アウターシェルの円筒形状に沿って前記一対のアームの外径・内径ともに前記アウターシェルの円筒側面と面一となる形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、地中障害物を撤去する際に、掘削と分断・つかみを同時に行うことができる。また、アウターシェルにて対象物を掘削し、つかみ機のアームを確実に所定位置まで挿入することができるため、対象物を確実につかむことができる。アウターシェルによる切削機能と2本の大出力のシリンダによる挟み込みにより、ケリーバーの回転力を対象物に伝えることができ対象物のねじ切り、分割撤去を可能にした。また、アウターシェルで切削が可能なため、比較的浅い位置にある地中障害物であれば、ケーシング打設の必要はなく、本アタッチメントのみで掘削・地切・破断・引き上げが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置をアタッチメントとして取付けて用いる掘削機の全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置の一部を切り欠いて示す第1の断面構成図であり、アームを開いた状態を示す。
図3】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置の一部を切り欠いて示す第2の断面構成図であり、アームを閉じた状態を示す。
図4】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置の一部を切り欠いた第1の斜視図であり、アームを開いた状態を示す。
図5】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置の一部を切り欠いた第2の斜視図であり、アームを閉じた状態を示す。
図6】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置のアームを開いた状態を示す第1の下面図である。
図7】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置のアームを閉じた状態を示す第2の下面図である。
図8】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置のアームを開いた状態を示す第1の斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置のアームを閉じた状態を示す第2の斜視図である。
図10】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置の上面図である。
図11】本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置においてアウターシェルにつかみ機を組み入れる態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る地中障害物撤去装置をアタッチメントとして取付けて用いる掘削機の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る地中障害物撤去装置100は、図示しない地中障害物を撤去するために円筒状のケーシング50を推進させ掘削するケーシング掘削工法において、掘削機20のロータリーヘッド22と同時回転するケリーバー24の下端に取付けられ、ケリーバー24の回転と共に回転してケーシング50内を掘削し、ケーシング50内の地中障害物を撤去するためのアタッチメントとして用いられる。
【0019】
図2図3は、その地中障害物撤去装置の一部を切り欠いて示す第1、第2の断面構成図であり、それぞれアームを開いた状態、アームを閉じた状態を示す。図4図5は、その地中障害物撤去装置の一部を切り欠いた第1、第2の斜視図であり、それぞれアームを開いた状態、アームを閉じた状態を示す。図6図7は、その地中障害物撤去装置の第1、第2の下面図であり、それぞれアームを開いた状態、アームを閉じた状態を示す。図8図9は、その地中障害物撤去装置の第1、第2の斜視図であり、それぞれアームを開いた状態、アームを閉じた状態を示す。図10は、その地中障害物撤去装置の上面図である。本実施形態に係る地中障害物撤去装置100は、図2乃至図10に示すように、ケリーバー24の下端に接続されるつかみ機110と、円筒底部にカッタービットを備え掘削を行う円筒状のアウターシェル120とを備え、つかみ機110は、一対のアーム112a、112bと一対のアーム112a、112bを開閉動作させる一対の油圧シリンダ114a、114bと、アーム112a、112bと油圧シリンダ114a、114bを支持するフレーム116により構成されている。つかみ機110は、アウターシェル120内に格納され2本の連結ピン130によりアウターシェル120に接続され、アウターシェル120の円筒側面部122にはつかみ機110のアーム112a、112bが格納される穴122a、122bが設けられ、一対のアーム112a、112bが開いた状態では、アウターシェル120の円筒形状に沿ってその外径・内径ともにアウターシェル120の円筒側面部122の外周面と面一となる形状を有している。即ち、アウターシェル120の円筒側面部122には、例えば、図2及び図5に破線で楕円状に囲んで示すように、アーム112a、112bの格納空間125が形成されている。尚、アウターシェル120は円筒底部にカッタービット(図示せず)を備えており、主に掘削を行う。また、アウターシェル120の円筒側面部122には、例えば、図2図8及び図9に示すように、複数の貫通孔128が形成されており、掘削された土砂等を外部に排出し易いようになっている。
【0020】
以上のように、本実施形態に係る地中障害物撤去装置100では、アウターシェル120の円筒側面部122には上記つかみ機110のアーム112a、112bが格納される穴122a、122bが設けられており、アーム112a、112bもアウターシェル120の円筒面に沿った形状を成すため、外径・内径とも円筒側面部122の外周面と面一となり、掘削の際につかみ機110のアーム112a、112bが掘削抵抗となることが無い。即ち、つかみ機110のアーム112a、112bの形状はアウターシェル120に沿った円弧状を成しており、アウターシェル120により掘削された空間にアーム112a、112bが収まっているため、障害物をつかむためアーム112a、112bを挿入する空間形成のための余分な切削の必要が無く、掘削の効率向上とコスト削減が図られている。
【0021】
また、つかみ機110は、2本の油圧シリンダ114a、114bによりアーム112a、112bを開閉するため、偏心した対象物も偏心位置でつかむことができる。更に、アウターシェル120はケーシングによりガイドされているため、つかみ機110の姿勢は安定しておりアーム112a、112bのつかみ反力によりずれることなく確実に対象物をつかむことができる。このように、安定した姿勢で対象物をつかむことは、ケーシングから地中障害物撤去装置100と対象物を吊り上げた際にバランスを崩し、対象物が落下する危険性を減少させる。
【0022】
図11は、本実施形態に係る地中障害物撤去装置においてアウターシェル120につかみ機110を組み入れる態様を示す斜視図である。本発明実施形態のもう一つ大きな特徴は、掘削機20のアタッチメントとしての地中障害物撤去装置100において、そのアウターシェル120とつかみ機110とが相互に分離可能に構成されていることである。即ち、本実施形態の地中障害物撤去装置100は、図1の掘削機20のロータリーヘッド22と同時回転するケリーバー24に接続されたつかみ機110は、図2乃至図10に示したように、掘削を行うカッタービット(図示せず)を備えたアウターシェル120に格納され2本の連結ピン130により接続される。このように、アウターシェル10は、つかみ機110本体と2本の連結ピン130で接続されているため、摩耗による修理頻度の高いアウターシェル120を簡単に交換することができ、予備のアウターシェルを用意することで、切削効率を維持することができる他、修理による稼働停止が無いため、工期短縮と機械稼働率の向上が期待できる。
【0023】
また、工事現場であっても特殊な工具を使用せず、2本の連結ピン130により簡単に脱着できるため、切削対象物の異なるカッターを備えたアウターシェルを複数用意することで、掘削現場の地質や地中障害物に合わせて、適切なカッターを使用することができ、掘削効率を上げることができる。更に、対象物の大きさに応じてサイズの異なるアウターシェルに交換することができるため、対象物に適したサイズで掘削ができ作業の効率化が図られる。
【0024】
本実施形態に係る地中障害物撤去装置100の使用方法としては、本機を打設したケーシング50内に挿入し、掘削機20のケリーバー22で押し込み回転させ、アウターシェル120にてアーム112a、112bが障害物をつかめる位置までを掘削する。つかみ可能な深さまで掘削が完了した後、つかみ機110のアーム112a、112bを閉じ、障害物を挟み込む。挟み込みが完了したら掘削機20のケリーバー22の回転力により、障害物をねじ切るように摺動させ、障害物を破壊・分断する。オペレーターはケリーバー22の回転負荷が弱まることで分断完了が確認できるため、分断が確認できたら、そのままつかみ機110を上昇させ障害物の撤去が完了する。
【0025】
尚、比較的深度の浅い位置にある障害物の場合、事前にケーシングを打設する必要はなく
アウターシェル120により掘削、地切を行いそのままつかみ・分断・吊り上げを行うことができる。このように、比較的深度の浅い位置にある障害物の撤去に本機を用いる場合、ケーシング打設工程が必要ないため、工期短縮が可能となる。このように、地中障害物撤去装置100を比較的浅い位置にある障害物の撤去に用いる場合に、上述したケーシングによる掘削工程を省き、地中障害物撤去装置100により地切と障害物の破断・撤去作業を単独で行うアタッチメントとして用いることもできる。
【0026】
本発明の地中障害物撤去装置100によれば、地中障害物を撤去する際に、掘削と分断・つかみを同時に行うことができる。また、アウターシェル120にて対象物を掘削し、つかみ機100のアーム112a、112bを確実に所定位置まで挿入することができるため、対象物を確実につかむことができる。アウターシェル120による切削機能と2本の大出力の油圧シリンダ114a114bによる挟み込みにより、ケリーバー24の回転力を対象物に伝えることができ対象物のねじ切り、分割撤去を可能にした。また、アウターシェル120自体で切削が可能なため、比較的浅い位置にある地中障害物であれば、ケーシング打設の必要はなく、本アタッチメントのみで掘削・地切・破断・引き上げが可能である。
【0027】
以上に述べた実施形態は、本発明の一具体例であり、本発明の範囲は以上の実施形態に限定されないで、以下の特許請求の範囲の記載の範囲内で、他の実施形態にも及び得るのは勿論である。例えば、上述した実施形態では、一対の(2本の)油圧シリンダ114a、114bで一対のアーム112a、112bを開閉動作させるようにしたが、1本の油圧シリンダで一対のアームを開閉動作させる構成も可能である。
【符号の説明】
【0028】
20 掘削機、22 ロータリーヘッド、24 ケリーバー、50 ケーシング、
100 地中障害物撤去装置、 110 つかみ機、 112a、112b アーム、
114a、114b 油圧シリンダ、 116 フレーム、120 アウターシェル、
122 円筒側面部、 122a、122b 穴、125 格納空間、 128 貫通孔、
130 連結ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11