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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20220713BHJP
【FI】
B09B3/30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018163165
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032392
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】清水 克
(72)【発明者】
【氏名】植田 真司
(72)【発明者】
【氏名】大塚 江理
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2002-0094575(KR,A)
【文献】特開2014-034885(JP,A)
【文献】特公昭28-005840(JP,B1)
【文献】特開平09-032787(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0371939(KR,Y1)
【文献】特公昭40-009592(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C02F 11/00
F04D 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
夾雑物を含む有機性廃棄物を貯留する廃棄物貯留槽と、
前記廃棄物貯留槽内に配置された撹拌機と、
前記有機性廃棄物から前記夾雑物を除去する振動篩機と、
前記廃棄物貯留槽と前記振動篩機を繋ぐ移送管に取り付けられ、前記有機性廃棄物を前記廃棄物貯留槽から前記振動篩機に移送するノンクロッグ型ポンプと、
前記廃棄物貯留槽の側壁から前記移送管まで延びる夾雑物抽出管と、
前記夾雑物抽出管に取り付けられた第1バルブと、
前記移送管に取り付けられた第2バルブと、
前記ノンクロッグ型ポンプと前記振動篩機との間に位置し、前記移送管に接続された分配槽と、
前記分配槽から前記廃棄物貯留槽の頂部まで延びる戻り配管を備え、
前記移送管は、前記廃棄物貯留槽の底部に接続され、
前記夾雑物抽出管は、前記廃棄物貯留槽内の液面と同じ位置、または液面よりも低い位置で前記廃棄物貯留槽の側壁に接続され、
前記分配槽は、前記振動篩器および前記廃棄物貯留槽よりも高い位置に配置されており、
前記夾雑物抽出管と前記移送管との接続点、および前記第2バルブは、前記廃棄物貯留槽と前記ノンクロッグ型ポンプとの間に位置しており、
前記第1バルブおよび前記第2バルブは交互に操作されるように構成されている、廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記ノンクロッグ型ポンプは、螺旋翼を備えた円形の羽根車と、前記羽根車が収容されたポンプケーシングとを備えており、
前記ポンプケーシングは、前記羽根車の外周面に沿って湾曲した湾曲内面を有しており、前記湾曲内面と、前記羽根車の外周面との距離は一定である、請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記振動篩機は、
前記有機性廃棄物を受けるスクリーンと、
前記スクリーンを振動させる振動機構と、
前記スクリーンの上方に配置された掻き取り機構を備えている、請求項1または2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記スクリーンはパンチングメタルから構成されている、請求項3に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記パンチングメタルは、第1の直径を持つ孔が第1のピッチで形成されている上流側部位と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を持つ孔が、前記第1のピッチよりも小さい第2のピッチで形成されている下流側部位を有する、請求項4に記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記振動篩機から排出された前記夾雑物を圧搾しながら前記夾雑物を移送するスクリューコンパクタをさらに備えている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の廃棄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性廃棄物を処理するための廃棄物処理装置に関し、特に有機性廃棄物をメタン発酵槽に投入する前に、夾雑物を有機性廃棄物から除去する廃棄物処理装置に関する。有機性廃棄物の例には、生ごみ、弁当・食品残さ、し尿、浄化槽汚泥などの一般廃棄物、豚糞尿、牛糞尿、鶏糞尿、農作物残さ、飲料・加工食品、生活用品などの産業廃棄物などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
豚糞尿、牛糞尿、生ごみ、汚泥等の夾雑物を含む有機性廃棄物を対象としたメタン発酵処理技術においては、廃棄物貯留槽内に貯留した有機性廃棄物を、ポンプにより夾雑物除去装置を備えた前処理設備に送り、この前処理設備で有機性廃棄物に含まれる夾雑物を除去し、夾雑物を除去した有機性廃棄物をメタン発酵処理槽に送ることが行われている。
【0003】
有機性廃棄物をメタン発酵する上で、メタン発酵槽への投入前に発酵不適物である夾雑物を除去する事は、下記の点において、重要である。
(1)夾雑物がポンプのトリップや配管の閉塞の原因となり、安定運転の妨げとなる。
(2)夾雑物はメタン発酵槽内の液面でスカムとなり、バイオガスが発生しづらくなる。
従来は、上記問題点を防ぐ為、有機性廃棄物を可溶化した貯留槽からポンプにて脱水機またはスクリーンなどの夾雑物除去装置へと供給し、夾雑物除去した液をメタン発酵槽へ投入していた。
【0004】
しかしながら、夾雑物がポンプ内に詰まったり、ポンプのインペラに絡みついたりして、安定運転が難しく、ポンプ部品の消耗が早い。また、ポンプや配管の閉塞により安定運転ができなくなると、有機性廃棄物貯留槽を浚渫することで夾雑物をすべて除去する必要がある。結果として、施設全体の定常運転に支障が出るのみならず、大きなコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-218255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術の問題点を解決するために、特許文献1では、自然流下により有機性廃棄物を有機性廃棄物貯留槽から配管を通じて夾雑物除去装置に送るように構成された廃棄物処理装置が提案されている。しかしながら、特許文献1の装置では、有機性廃棄物貯留槽の下方に夾雑物除去装置が位置するために、装置全体の大きさが上下に大きくなり、土木工事費が増大する。また、配管に取り付けられたバルブを閉じて、有機性廃棄物を配管内に一旦溜めてから、バルブを開き、自然流下で一気に落とすため、夾雑物除去装置の能力以上に液が流れ、有機性廃棄物が夾雑物除去装置から溢れてしまう問題がある。さらに、夾雑物除去装置内で夾雑物が詰まり、処理能力が下がる、摩耗が早くなる、有機性液体が夾雑物側に排出される、エネルギー回収量が下がる、また廃棄費用(産廃費)が増える、という問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、夾雑物を含む有機性廃棄物を確実に廃棄物貯留槽から夾雑物除去装置に送ることができ、しかも夾雑物除去装置での夾雑物の目詰まりを防止することができる廃棄物処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、夾雑物を含む有機性廃棄物を貯留する廃棄物貯留槽と、前記廃棄物貯留槽内に配置された撹拌機と、前記有機性廃棄物から前記夾雑物を除去する振動篩機と、前記廃棄物貯留槽と前記振動篩機を繋ぐ移送管に取り付けられ、前記有機性廃棄物を前記廃棄物貯留槽から前記振動篩機に移送するノンクロッグ型ポンプと、前記廃棄物貯留槽の側壁から前記移送管まで延びる夾雑物抽出管と、前記夾雑物抽出管に取り付けられた第1バルブと、前記移送管に取り付けられた第2バルブと、前記ノンクロッグ型ポンプと前記振動篩機との間に位置し、前記移送管に接続された分配槽と、前記分配槽から前記廃棄物貯留槽の頂部まで延びる戻り配管を備え、前記移送管は、前記廃棄物貯留槽の底部に接続され、前記夾雑物抽出管は、前記廃棄物貯留槽内の液面と同じ位置、または液面よりも低い位置で前記廃棄物貯留槽の側壁に接続され、前記分配槽は、前記振動篩器および前記廃棄物貯留槽よりも高い位置に配置されており、前記夾雑物抽出管と前記移送管との接続点、および前記第2バルブは、前記廃棄物貯留槽と前記ノンクロッグ型ポンプとの間に位置しており、前記第1バルブおよび前記第2バルブは交互に操作されるように構成されている、廃棄物処理装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記ノンクロッグ型ポンプは、螺旋翼を備えた円形の羽根車と、前記羽根車が収容されたポンプケーシングとを備えており、前記ポンプケーシングは、前記羽根車の外周面に沿って湾曲した湾曲内面を有しており、前記湾曲内面と、前記羽根車の外周面との距離は一定である。
一態様では、前記振動篩機は、前記有機性廃棄物を受けるスクリーンと、前記スクリーンを振動させる振動機構と、前記スクリーンの上方に配置された掻き取り機構を備えている。
一態様では、前記スクリーンはパンチングメタルから構成されている。
一態様では、前記パンチングメタルは、第1の直径を持つ孔が第1のピッチで形成されている上流側部位と、前記第1の直径よりも小さい第2の直径を持つ孔が、前記第1のピッチよりも小さい第2のピッチで形成されている下流側部位を有する。
一態様では、前記廃棄物処理装置は、前記振動篩機から排出された前記夾雑物を圧搾しながら前記夾雑物を移送するスクリューコンパクタをさらに備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、夾雑物を含む有機性廃棄物を廃棄物貯留槽から振動篩機に送るためのポンプとして、ノンクロッグ型ポンプが使用されている。ノンクロッグ型ポンプは、JIS(日本工業規格)B0131によれば、遠心及び斜流ポンプで流体中の繊維や固形物などのきょう(夾)雑物が内部に塞がらないような通路形状をもつポンプと定義される。このような構成を有するノンクロッグ型ポンプは、有機性廃棄物で閉塞されることなく、有機性廃棄物を廃棄物貯留槽から振動篩機に確実に移送することができる。
【0012】
また、ノンクロッグ型ポンプを採用することで、振動篩機を廃棄物貯留槽の下方に配置する必要がない。すなわち、振動篩機を廃棄物貯留槽に対して任意の位置に設置することができる。例えば、振動篩機を廃棄物貯留槽の側方や、上方に配置することが可能になる。結果として、不要な土木工事が減り、設置に必要なコストが低減できる。
【0013】
さらに、振動篩機は、振動を有機性廃棄物に与えることで、夾雑物を有機性廃棄物から分離させる夾雑物除去装置である。振動篩機は、夾雑物を圧搾しないので、振動篩機の目詰まりが起こりにくい。結果として、振動篩機は、その運転を安定して継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】廃棄物処理装置の一実施形態を示す模式図である。
図2図1に示すノンクロッグ型ポンプの断面図である。
図3図2に示す羽根車およびポンプケーシングを軸方向から見た断面図である。
図4図1に示す振動篩機を示す拡大図である。
図5】スクリューコンパクタの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、廃棄物処理装置の一実施形態を示す模式図である。図1に示すように、廃棄物処理装置は、夾雑物を含む有機性廃棄物を貯留する廃棄物貯留槽1と、有機性廃棄物から夾雑物を除去する振動篩機3と、夾雑物を含む有機性廃棄物を廃棄物貯留槽1から振動篩機3に移送するノンクロッグ型ポンプ5を備えている。廃棄物貯留槽1は、振動篩機3に移送管7を通じて接続されており、ノンクロッグ型ポンプ5および分配槽8は移送管7に取り付けられている。
【0016】
廃棄物貯留槽1の内部には、撹拌機10が配置されている。この撹拌機10は、有機性廃棄物中に含まれる沈降性の良い夾雑物が廃棄物貯留槽1の底部に堆積しない程度に廃棄物貯留槽1内の有機性廃棄物を撹拌する。有機性廃棄物の例には、生ごみ、弁当・食品残さ、し尿、浄化槽汚泥などの一般廃棄物、豚糞尿、牛糞尿、鶏糞尿、農作物残さ、飲料・加工食品、生活用品などの産業廃棄物などが挙げられる。
【0017】
移送管7の一端は廃棄物貯留槽1の底部に接続されており、移送管7の他端は振動篩機3に接続されている。ノンクロッグ型ポンプ5は、移送管7に接続されており、廃棄物貯留槽1の底部の側方に位置している。一実施形態では、ノンクロッグ型ポンプ5は、廃棄物貯留槽1よりも高い位置に配置されてもよい。ノンクロッグ型ポンプ5は、JIS(日本工業規格)B0131によれば、遠心及び斜流ポンプで流体中の繊維や固形物などのきょう(夾)雑物が内部に塞がらないような通路形状をもつポンプと定義される。
【0018】
分配槽8は、ノンクロッグ型ポンプ5と振動篩機3との間に配置されている。分配槽8は、移送管7に接続されている。ノンクロッグ型ポンプ5から排出された有機性廃棄物は、移送管7を通じて分配槽8に送られ、さらに分配槽8から振動篩機3に移送される。分配槽8は、振動篩器3および廃棄物貯留槽1よりも高い位置に配置されている。分配槽8には、廃棄物貯留槽1まで延びる戻り配管9が接続されている。戻り配管9の先端は廃棄物貯留槽1の頂部に接続されている。より具体的には、戻り配管9の先端は、廃棄物貯留槽1内の有機性廃棄物の液面よりも上方に配置されている。分配槽8に移送された有機性廃棄物の一部は、戻り配管9を通じて廃棄物貯留槽1に戻される。分配槽8から廃棄物貯留槽1に戻される有機性廃棄物の量を調節することにより、振動篩機3に供給される有機性廃棄物の量を調節することができる。
【0019】
廃棄物貯留槽1内では、有機性廃棄物中の夾雑物の一部は、撹拌機10で撹拌しているにもかかわらず、液面上に浮遊することがある。戻り配管9から排出される有機性廃棄物は、廃棄物貯留槽1内の液面に浮遊している夾雑物を破壊することができる。破壊された夾雑物は、撹拌機10によって撹拌され、移送管7を通じてノンクロッグ型ポンプ5により振動篩機3に移送される。
【0020】
廃棄物処理装置は、廃棄物貯留槽1の側壁から移送管7まで延びる夾雑物抽出管11をさらに備えている。夾雑物抽出管11の一端は、廃棄物貯留槽1内の液面と同じ位置、または液面よりも低い位置で廃棄物貯留槽1の側壁に接続されており、夾雑物抽出管11の他端は、ノンクロッグ型ポンプ5の上流側で移送管7に接続されている。夾雑物抽出管11と移送管7との接続点は、廃棄物貯留槽1とノンクロッグ型ポンプ5との間に位置している。夾雑物抽出管11には第1バルブ16Aが取り付けられている。さらに、廃棄物貯留槽1とノンクロッグ型ポンプ5との間に位置して、第2バルブ16Bが移送管7に取り付けられている。
【0021】
第2バルブ16Bを閉じ、第1バルブ16Aを開くと、廃棄物貯留槽1内の液面に浮遊している夾雑物は、夾雑物抽出管11を通って移送管7に流入し、ノンクロッグ型ポンプ5によって分配槽8を経由して振動篩機3に移送される。第1バルブ16Aを閉じ、第2バルブ16Bを開くと、廃棄物貯留槽1の底部に沈降している夾雑物は、移送管7に流入し、ノンクロッグ型ポンプ5によって分配槽8を経由して振動篩機3に移送される。このように、第1バルブ16Aおよび第2バルブ16Bを交互に操作することにより、沈降性の高い夾雑物および浮遊性の高い夾雑物の両方を除去することができる。
【0022】
図2は、図1に示すノンクロッグ型ポンプ5の断面図である。ノンクロッグ型ポンプ5は、吸込み口12Aおよび吐出し口12Bを有するポンプケーシング12と、ポンプケーシング12内に配置された羽根車14と、羽根車14が固定された回転軸17を備えている。ポンプケーシング12内には、羽根車14の上方に位置した自吸室18が形成されている。本実施形態のノンクロッグ型ポンプ5は、呼び水注入作業を不要とする自吸ポンプである。回転軸17は、図示しない原動機(電動機、内燃機関など)に連結されており、原動機によって回転軸17および羽根車14が一体に回転される。
【0023】
羽根車14の背面側には、回転軸17に沿って流れる液体を振り切るための水切り部は設けられていない。よって、有機性廃棄物に含まれる夾雑物を水切り部が噛み込むことがなく、夾雑物による閉塞を防止できる。
【0024】
図3は、図2に示す羽根車14およびポンプケーシング12を軸方向から見た断面図である。羽根車14は、1枚の螺旋翼14aを備えた円形の羽根車である。羽根車14は、ポンプケーシング12内に収容されている。ポンプケーシング12は、羽根車14の外周面に沿って湾曲した湾曲内面12Cを有しており、湾曲内面12Cと、羽根車14の外周面との距離Lは一定である。
【0025】
ノンクロッグ型ポンプ5は、羽根車14内の流路が夾雑物で閉塞されにくく、かつ夾雑物を破壊せずに吐出し口12Bに運ぶことができる。また、湾曲内面12Cと、羽根車14の外周面との距離Lが一定であるので、夾雑物が羽根車14とポンプケーシング12との間に挟まりにくい。よって、本実施形態のノンクロッグ型ポンプ5は、夾雑物による閉塞を起こすことなく、かつ夾雑物を破壊することなく、夾雑物を含む有機性廃棄物を振動篩機3に移送することができる。さらに、羽根車14は、夾雑物の抵抗となる流路構造を持たないので、羽根車14が摩耗しにくいという利点もある。
【0026】
このようなノンクロッグ型ポンプ5を採用することで、振動篩機3を廃棄物貯留槽1に対して任意の位置に設置することができる。例えば、振動篩機3を廃棄物貯留槽1の側方や、上方に配置することが可能になる。結果として、不要な土木工事が減り、設置に必要なコストが低減できる。さらに、日常的なメンテナンスおよび機器修繕などの作業環境が改善される。
【0027】
図4は、図1に示す振動篩機3を示す拡大図である。振動篩機3は、振動を有機性廃棄物に与えることで、夾雑物を有機性廃棄物から除去する夾雑物除去装置である。振動篩機3は、夾雑物を含んだ有機性廃棄物を受けるスクリーン20と、スクリーン20を振動させる振動機構22と、スクリーン20の上方に配置された掻き取り機構24を備えている。本実施形態では、スクリーン20は水平に配置されている。廃棄物貯留槽1から移送された有機性廃棄物は、スクリーン20の端部に供給される。
【0028】
スクリーン20は、有機性廃棄物から夾雑物を除去するフィルターである。スクリーン20上に投入された有機性廃棄物を構成する有機性液体は、スクリーン20を通過し、その一方で、有機性廃棄物中の夾雑物はスクリーン20に捕捉される。スクリーン20の具体例としては、パンチングメタル、ウェッジワイヤー、メッシュが挙げられる。本実施形態では、スクリーン20には、比較的簡単な構造を持つパンチングメタルが使用されている。パンチングメタルは、長尺の夾雑物が詰まりにくく、仮に詰まった場合でも容易に除去しやすいという利点がある。
【0029】
スクリーン20に捕捉された夾雑物は、掻き取り機構24によってスクリーン20上を移動される。掻き取り機構24は、プーリー25A,25Bに掛けられた無端ベルト28と、プーリー25Aを回転させる回転装置30と、無端ベルト28に等間隔で固定された複数のレーキ32とを備えている。回転装置30がプーリー25Aを回転させると、無端ベルト28が循環し、レーキ32はスクリーン20に沿って移動する。夾雑物は、レーキ32によってスクリーン20上を移動される。
【0030】
夾雑物がスクリーン20上を移動されるとき、スクリーン20は振動機構22によって振動する。この振動機構22は、スクリーン20に接触する偏心回転体34と、偏心回転体34を回転させる回転装置35を備えている。偏心回転体34はスクリーン20の下面に接触している。回転装置35が偏心回転体34を回転させると、偏心回転体34はスクリーン20を上下に振動させる。よって、夾雑物が掻き取り機構24によってスクリーン20上を移動される間、スクリーン20および夾雑物が振動し、夾雑物に残留する有機性液体がスクリーン20を通過して流下する。結果として、振動篩機3での有機性液体の回収率が向上する。
【0031】
スクリーン20上の夾雑物は、振動が与えられるだけであり、圧搾はされない。すなわち、振動篩機3は、スクリーン20上の夾雑物を圧搾することなく、振動によって夾雑物から有機性液体を除去する。夾雑物はスクリーン20に押し付けられないので、夾雑物によるスクリーン20の目詰まりが防止される。さらに、スクリーン20が上下に振動されるので、スクリーン20の目詰まりが起こりにくい。結果として、振動篩機3は、その運転を安定して継続することができる。
【0032】
スクリーン20の下方には、スクリーン20に向かって圧力水を噴射する少なくとも1つの圧力水ノズル36が配置されている。本実施形態では複数の圧力水ノズル36がスクリーン20の下方に配置されている。圧力水ノズル36は、スクリーン20の下方から定期的に上向きに圧力水を出し、目詰まりした夾雑物を取る洗浄機能を持つ。このような圧力水ノズル36を設けると、さらに目詰まりを起こしにくく、安定運転が可能である。
【0033】
本実施形態では、スクリーン20は、パンチングメタルから構成されている。パンチングメタルは、複数の孔が形成された金属板である。一実施形態では、パンチングメタルは、孔の直径およびピッチ(密度)が異なる部位を有してもよい。具体的には、パンチングメタルの上流側部位では、第1の直径を持つ孔が第1のピッチ(第1の密度)で形成されており、パンチングメタルの下流側部位では、第1の直径よりも小さい第2の直径を持つ孔が、第1のピッチよりも小さい第2のピッチ(第2の密度)で形成されている。このような構成を持つパンチングメタルは、夾雑物の通過を防ぎつつ、有機性液体を効率よく通過させることができる。
【0034】
ノンクロッグ型ポンプ5は、閉塞しないだけでなく、夾雑物を破壊させずに移送できるため、振動篩機3に到達する時点で粒径の大きな夾雑物が存在する。そして、これらの夾雑物の一部は、振動篩機3の上流側から下流側に移動する過程で振動を受けながら、徐々に細分化されるものもあるため、パンチングメタルは、上述したような孔の直径およびピッチ(密度)が異なる部位を有するものが有利なのである。
【0035】
上述したように、ノンクロッグ型ポンプ5は、閉塞しないだけでなく、夾雑物を破壊せずに移送できるため、夾雑物が細かくなりにくい。したがって、パンチングメタルからなるスクリーン20から夾雑物がリークしにくい。さらに、スクリーン20上の夾雑物は、大気圧下で振動し、掻き取り機構24により移動されるので、スクリーン20に固着せず、かつスクリーン20の目詰まりを起こさない。
【0036】
図1に示すように、スクリーン20を通過した有機性液体は、振動篩機3の下方に配置された有機性液体回収槽40に送られる。一方、夾雑物は、スクリーン20上を移動されて、スクリューコンパクタ50に送られる。スクリューコンパクタ50は、振動篩機3に隣接して配置されており、かつ有機性液体回収槽40の上方に位置している。スクリューコンパクタ50は、夾雑物から有機性液体を分離しつつ夾雑物を移送するスクリューコンベヤである。スクリューコンパクタ50は、有機性液体回収槽40に向かって下方に傾斜している。スクリューコンパクタ50の傾斜角度は調整可能である。
【0037】
図5は、スクリューコンパクタ50の側面図である。スクリューコンパクタ50は、円筒体51と、円筒体51内に配置されたスクリュー54と、スクリュー54を回転させる電動機55と、円筒体51の端部に配置された出口プラグ57とを備えている。図5では、円筒体51の部分断面図が示されている。スクリュー54の軸方向は、円筒体51の長手方向に一致する。円筒体51の上部には入口52が形成されており、円筒体51の下部にはドレイン53が形成されている。ドレイン53は入口52の下方に位置している。スクリューコンパクタ50は、出口プラグ57がドレイン53よりも高くなるように、傾斜した状態で配置される。
【0038】
振動篩機3から排出された夾雑物は、入口52から円筒体51内に投入される。電動機55がスクリュー54を回転させると、スクリュー54は円筒体51内の夾雑物を出口プラグ57に向かって押す。出口プラグ57は、開口部57aを有している。夾雑物は、出口プラグ57に押し付けられながら、出口プラグ57の開口部57aから少しずつ押し出される。出口プラグ57は、円筒体51内の夾雑物の移動に抵抗を与え、夾雑物の全体が圧搾される。したがって、夾雑物は、円筒体51内でスクリュー54により圧搾されながら、出口プラグ57に移送される。夾雑物に残留する有機性液体は、夾雑物から分離し、傾斜した円筒体51内を流下し、ドレイン53から排出される。夾雑物自体も減容化される。ドレイン53から排出された有機性液体は、図1に示す有機性液体回収槽40に回収される。ノンクロッグ型ポンプ5および振動篩機3によって、夾雑物が破壊されずに嵩高い状態で送られてくるため、スクリューコンパクタ50で処理すると減容化効果が極めて高い。
【0039】
スクリュー54は、螺旋板から構成された無軸スクリューである。したがって、夾雑物の粘性変化やスクリュー54の回転速度の変化などによりスクリュー54に加わる負荷が変化しても、スクリュー54の全体がばねのように伸縮するので、スクリュー54に過負荷がかかりにくい。さらに、夾雑物が軸に絡みつくこともない。加えて、無軸スクリューからなるスクリュー54は、搬送効率が高いため、低速回転が可能であり、低動力で駆動することができる。また、無軸スクリューからなるスクリュー54は、摩耗や振動が少ないという利点もある。
【0040】
このように、スクリューコンパクタ50は、夾雑物を圧搾しながら移送することができる。よって、有機性廃棄物の回収率(エネルギー回収率)が向上し、産業廃棄物の廃棄にかかるコストが削減できる。円筒体51の全体は、スクリーンではなく、孔のない金属板から構成されている。したがって、スクリュー54が夾雑物を圧搾しても、夾雑物が円筒体51で引っかかることがない。さらに、円筒体51は、入口52およびドレイン53以外の開口部を有していないので、臭気が外に漏れにくい。
【0041】
以上説明したように、ノンクロッグ型ポンプ5および振動篩機3は、夾雑物で閉塞されない構造を有しているので、本実施形態に係る廃棄物処理装置は、その運転を安定して継続することができる。
【0042】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 廃棄物貯留槽
3 振動篩機
5 ノンクロッグ型ポンプ
7 移送管
8 分配槽
9 戻り配管
10 撹拌機
11 夾雑物抽出管
12 ポンプケーシング
12A 吸込み口
12B 吐出し口
12C 湾曲内面
14 羽根車
14a 螺旋翼
16A 第1バルブ
16B 第2バルブ
17 回転軸
18 自吸室
20 スクリーン
22 振動機構
24 掻き取り機構
25A,25B プーリー
28 無端ベルト
30 回転装置
32 レーキ
34 偏心回転体
35 回転装置
36 圧力水ノズル
40 有機性液体回収槽
50 スクリューコンパクタ
51 円筒体
52 入口
53 ドレイン
54 スクリュー
55 電動機
57 出口プラグ
図1
図2
図3
図4
図5