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  • 特許-電気掃除機 図1
  • 特許-電気掃除機 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20220713BHJP
   A47L 9/32 20060101ALI20220713BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A47L9/28 U
A47L9/32 Z
A47L5/24 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018175220
(22)【出願日】2018-09-19
(65)【公開番号】P2020044130
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】市野 雄之
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00-7/08
A47L 9/22-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持部を有する掃除機本体と、
前記掃除機本体に配置された駆動部と、
前記駆動部の電源となる電池を内部に有し、前記掃除機本体に接続されて、前記把持部に対して上方に位置するケースと、を備え
前記ケースは、前記把持部を把持したユーザの手により支持される被支持部を備える
ことを特徴とする電気掃除機
【請求項2】
前記被支持部は、前記把持部に対向する位置に凹部を有する
ことを特徴とする請求項記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記ケースは、前記把持部に対して接近する方向と離れる方向とに可動的に前記掃除機本体に支持されている
ことを特徴とする請求項又は記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記ケースを前記把持部に向けて付勢する付勢手段を備える
ことを特徴とする請求項記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記ケースの前記把持部に対向する側に配置された軟質部材を備える
ことを特徴とする請求項ないしいずれか一記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記把持部は、上下方向に湾曲している
ことを特徴とする請求項1ないしいずれか一記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ユーザにより把持される把持部を掃除機本体に有する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
スティック型の電気掃除機は、延長管や吸込口体が接続される掃除機本体に把持部を備え、把持部を把持して掃除機本体とともに延長管や吸込口体を一体的に操作して掃除を行う。掃除機本体には、把持部の下方の位置に、電動送風機等の駆動部や、その電源となる二次電池等の重量物が配置されるため、ユーザは掃除の間、把持部を把持してこれらを吊り下げた状態を維持することとなり、把持部を把持する指に重量物の荷重が加わりやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-123747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、把持部を把持したユーザの手に加わる重量感を軽減できる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、掃除機本体と、駆動部と、ケースと、を備える。掃除機本体は、把持部を有する。駆動部は、掃除機本体に配置される。ケースは、駆動部の電源となる電池を内部に有する。ケースは、掃除機本体に接続されて、把持部に対して上方に位置する。ケースは、把持部を把持したユーザの手により支持される被支持部を備える
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】(a)は一実施形態の電気掃除機を示す側面図、(b)は同上電気掃除機のケースを把持部の上方に位置させた使用状態を示す側面図である。
図2】同上電気掃除機の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、一実施形態について図1及び図2を参照して説明する。
【0008】
図1及び図2において、1は電気掃除機である。電気掃除機1は、本実施形態において、ユーザが把持して動作させ、床面上の塵埃を掃除する。本実施形態では、電気掃除機1として、スティック型の電気掃除機を例に挙げて説明する。以下、本実施形態において、説明をより明確にするために、電気掃除機1のユーザに近い端部側を電気掃除機1の一方である後方側として矢印Rで示し、ユーザから遠い端部側を電気掃除機1の他方側である前方側として矢印Fで示す。また、第一方向となる前後方向に対して交差する両側方向又は幅方向を第二方向となる左右方向とする。さらに、ユーザが把持して下方の被掃除面を掃除する状態で鉛直上下方向に沿う方向を第三方向となる上下方向として矢印U及び矢印Dで示す。
【0009】
電気掃除機1は、掃除機本体2を備えている。掃除機本体2は、吸込口3と、排気口4と、を備えている。吸込口3は、掃除機本体2の前端部に配置される。吸込口3には、風路体5が着脱可能に接続される。風路体5は、吸込風路を形成するものである。風路体5は、本実施形態において、例えば延長管、及び、吸込口体を備える長尺に形成されている。
【0010】
また、電気掃除機1は、駆動部である電動送風機7を備えている。電動送風機7は、掃除機本体2に配置される。電動送風機7の吸込側は、吸込口3と連通され、電動送風機7の排気側は、排気口4と連通される。電動送風機7は、制御部により制御される。
【0011】
さらに、電気掃除機1は、集塵部10を備えている。集塵部10は、電動送風機7の吸込側と吸込口3との間に接続される。集塵部10は、風路体5を介して吸込口3から吸い込まれた含塵空気から塵埃を分離して集積する。本実施形態の集塵部10は、例えばサイクロン分離式の集塵装置である。集塵部10は、掃除機本体2に対し着脱可能となっている。集塵部10は、合成樹脂等により形成された重量物である。なお、集塵部10としては、掃除機本体2に内蔵される集塵室等に着脱される集塵袋やフィルタ等を用いてもよい。
【0012】
また、電気掃除機1は、把持部12を備えている。把持部12は、電気掃除機1の後部に位置する。把持部12は、掃除機本体2に一体的に設けられている。把持部12は、ユーザにより把持されることで、掃除機本体2をユーザが把持可能とするものである。把持部12は、集塵部10よりも後方に配置されている。さらに、把持部12は、電動送風機7よりも後方に配置されている。ユーザが把持部12を把持することで、電気掃除機1は、把持部12よりも前方に位置する電動送風機7や風路体5の自重により掃除機本体2の前部が下がることにより、掃除機本体2の後部が上側、前部が下側となって下方を掃除する使用姿勢となる。下方を掃除する使用姿勢において、ユーザは、把持部12に掛けた指によって掃除機本体2を支持するようになっている。
【0013】
また、把持部12は、本実施形態において、上方向及び後方向に凸となる円弧状に湾曲して形成されている。把持部12は、上下方向に湾曲している。また、把持部12は、前後方向に沿って配置されている。把持部12は、このような形状に限定されていない。把持部12は、少なくとも一端部、本実施形態では両端部が掃除機本体2に固定されている。把持部12は、集塵部10の位置から掃除機本体2の後端部に亘り配置されている。
【0014】
さらに、把持部12には、好ましくは、電気掃除機1の起動および停止を制御部に設定する設定手段13が配置されている。設定手段13は、掃除機本体2の把持部12とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0015】
さらに、電気掃除機1は、掃除機本体2と別体のケース15を備える。ケース15は、掃除機本体2に接続されている。また、ケース15は、ユーザに把持された把持部12に対して上方に位置することが可能となっている。この状態では、駆動部が把持部12に対して下方に位置している。逆に、ケース15が把持部12に対して下方に位置し、駆動部が把持部12に対して上方に位置してもよい。或は、ケース15は、掃除機本体2を中心として駆動部である電動送風機7と斜め対向して配置するようにしてもよい。ケース15は、把持部12を把持したユーザの手により支持される被支持部16を備える。ここで、ユーザの手とは、例えばユーザの肩から指先に亘る部分を言うものとする。本実施形態の被支持部16は、図2に示すように、ユーザの手Hのうち、手首から先の部分により支持されるものであるが、これに限られず、手首から肩までの、いわゆる腕部分により支持されてもよい。被支持部16は、把持部12に対向する部分に凹部17を有する。本実施形態の被支持部16は、前後方向に沿って軸方向を有する半円筒状に形成されており、凹部17が円弧状に湾曲して形成されている。つまり、被支持部16は、上方向に凸となる円弧状に形成されている。凹部17は、被支持部16の下部に位置する。また、被支持部16及び凹部17は、幅方向に亘り円弧状に湾曲している。本実施形態の被支持部16は、把持部12の前後方向の長さよりも短く形成されているが、これに限られず、把持部12から前方や後方に延出していてもよい。
【0016】
また、ケース15は、好ましくは掃除機本体2に対し可動的に支持されている。本実施形態において、ケース15は、掃除機本体2に回動可能に支持される被軸支部19を備えている。被軸支部19は、被支持部16の前部に突設されている。被軸支部19は、掃除機本体2に設けられた接続部20に軸支されている。接続部20は、本実施形態において、ケース15の前方に位置する。また、接続部20は、本実施形態において、把持部12の前端部に設けられている。接続部20は、上方に立ち上がって形成され、先端部にケース15の被軸支部19が軸支される。このため、ケース15は、被支持部16が把持部12に対して接近する方向と把持部12に対して離れる方向とに回動可能となっている。本実施形態のケース15は、被支持部16が上下方向に回動可能となっている。
【0017】
ケース15は、さらに好ましくは、付勢手段22により把持部12に接近する方向に向けて付勢されている。付勢手段22は、例えばコイルばねやトーションばね等が用いられる。付勢手段22は、例えば被軸支部19と接続部20との接続部分に配置されている。
【0018】
また、ケース15は、好ましくは、把持部12に対向する側に軟質部材24を備えている。本実施形態において、軟質部材24は、凹部17の把持部12に対向する側の外面を構成している。従って、本実施形態の軟質部材24は、半円筒状に形成されている。軟質部材24は、把持部12を把持するユーザの手と直接接触する部分である。軟質部材24は、例えばゴムやエラストマ、スポンジ等により所定の厚みに形成されている。
【0019】
さらに、ケース15には、電池である二次電池26が収容されている。二次電池26は、電動送風機7等の電源となるものである。本実施形態において、二次電池26は、複数の電池本体27を備える電池パックである。二次電池26は、電動送風機7や集塵部10と同等、又はそれ以上の重量を有する重量物である。電池本体27は、本実施形態において、ケース15の被支持部16の内部に配置されている。本実施形態の電池本体27は、被支持部16の軸線方向に沿って、幅方向に並んで配置されている。電池本体27は、凹部17の湾曲形状に沿って、幅方向に並んで配置されている。また、二次電池26は、配線と電気的に接続されている。配線は、掃除機本体2に導入され、電動送風機7や制御部と接続されている。
【0020】
次に、一実施形態の電気掃除機1による掃除動作を説明する。
【0021】
スティック型の電気掃除機1は、例えば床面等、ユーザの下方の被掃除面を掃除する場合、把持部12を把持して吸込口3を下方に向けた使用姿勢とすることで、風路体5の先端を被掃除面に向ける。次いで、設定手段13の操作により電気掃除機1を起動させ、把持部12を操作して吸込口体等を被掃除面に沿って移動させながら、電動送風機7の駆動により生じた負圧を利用して、風路体5から吸込口3を介して塵埃を空気とともに集塵部10へと吸い込む。集塵部10では、含塵空気から塵埃を分離して捕集する。集塵部10で塵埃が分離された空気は、集塵部10から排出され、電動送風機7に吸い込まれる。電動送風機7に吸い込まれた空気は、電動送風機7を冷却した後、排気口4から掃除機本体2の外部に排気される。
【0022】
このように掃除をする際、本実施形態では、電動送風機7の電源となる二次電池26を有するケース15を掃除機本体2に接続し、ユーザに把持された把持部12に対して上方に位置させる。このため、ユーザが把持した把持部12に対して電動送風機7が下方に位置し、二次電池26が上方に位置する。従って、把持部12に対し、下方と上方とに重量が分散されるので、把持部12を把持したユーザの手Hに加わる重量感を軽減できる。
【0023】
また、ケース15に設けた被支持部16が、把持部12を把持したユーザの手Hにより支持されることで、ケース15に備えられる二次電池26の重量を、把持部12を把持したユーザの手Hによって支持でき、把持部12を把持したユーザの手Hに加わる重量感を軽減できる。
【0024】
特に、把持部12が上下方向に湾曲する電気掃除機1の場合、通常ユーザは把持部12を握り込んだ手Hの指を開く方向に重量物の荷重が常時加わることとなるので、ユーザの手Hの指に電気掃除機1の荷重の殆どが加わり、手Hの指を閉じる方向に力を込めて把持部12を握り込む必要がある。本実施形態によれば、重量物である二次電池26を有するケース15が手Hの上に載るため、二次電池26の重量が手Hの指に掛からず、手Hの上に載って言わば手Hの甲で二次電池26の荷重を受ける状態となるので、指に込める力を抑制でき、重量感を効果的に抑制できる。
【0025】
この結果、電気掃除機1を長時間使用したとしても、電気掃除機1の重量物による荷重に起因するユーザの疲れを抑制できる。
【0026】
被支持部16の把持部12に対向する位置に凹部17が形成されているので、把持部12を把持したユーザの手Hの形状に凹部17が沿い、手Hによってケース15の被支持部16を安定して支持できる。複数の電池本体27からなる二次電池26の場合、電池本体27を凹部17に沿ってケース15の被支持部16に容易に配置できるため、手Hの形状に適合した凹部17を容易に形成できる。
【0027】
また、ケース15を把持部12に対して接近する方向と離れる方向とに可動的に掃除機本体2に支持することで、把持部12を把持する際にはケース15を把持部12から離した位置としてユーザが把持部12を把持しやすくなるとともに、把持部12を把持した状態ではケース15を把持部12に対して接近させた位置としてユーザの手Hによりケース15の被支持部16を容易に支持できる。さらに、把持部12を把持するユーザの手Hの大きさや厚みは、ユーザによって様々に異なるため、ケース15を把持部12に対して接近する方向と離れる方向とに可動的に掃除機本体2に支持することで、把持部12とケース15との隙間を変化させて、把持部12を把持したユーザの手Hの大きさや厚みに対応させることができる。
【0028】
このとき、ケース15を付勢手段22により把持部12に向けて付勢することで、把持部12を把持したユーザの手Hにケース15を押圧した状態を保持できる。従って、例えば把持部12を把持した手Hをユーザが捻った場合等でも、ケース15が手Hから離れにくくできる。そのため、ユーザの手Hは、付勢手段22の付勢力によりケース15を介して把持部12に押さえつけられた状態となるので、把持部12を握り込むことなく、掌で把持部12を押し引きして電気掃除機1を操作することも可能となる。
【0029】
また、ケース15の把持部12に対向する側に軟質部材24を配置することで、被支持部16を支持する手Hへのケース15の当たりを軟質部材24により緩和でき、長時間使用していても手Hへの負荷が小さい電気掃除機1を提供できる。
【0030】
なお、上記一実施形態において、駆動部を電動送風機7としたが、これに限られるものではなく、二次電池26を電源として駆動し、かつ、重量が大きい任意の駆動部を対象とすることができる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
7 駆動部である電動送風機
12 把持部
15 ケース
16 被支持部
17 凹部
22 付勢手段
24 軟質部材
26 電池である二次電池
H 手
図1
図2