(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20220713BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20220713BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220713BHJP
H01M 50/571 20210101ALI20220713BHJP
H01M 50/213 20210101ALN20220713BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/503
H01M50/507
H01M50/571
H01M50/213
(21)【出願番号】P 2018225405
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田賀 秀行
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/150672(WO,A1)
【文献】特開2016-072041(JP,A)
【文献】特開2013-073864(JP,A)
【文献】特開2012-113944(JP,A)
【文献】特開2003-142051(JP,A)
【文献】特開2000-223097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/503
H01M 50/507
H01M 50/571
H01M 50/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリセルと、
前記バッテリセルの第1端に電気的に接続された第1リード板と、
前記第1リード板に沿って配置され、前記第1リード板を外側から覆う第1外側防水シートと、
を備え、
前記第1リード板には、開口部が形成されており、
前記第1外側防水シートの内面には、前記第1リード板に向けて突出するとともに、前記開口部を取り囲むリング状の突出部が設けられている、
バッテリパック。
【請求項2】
前記第1外側防水シートの前記内面には、前記リング状の突出部に沿って延びる溝が設けられている、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記第1リード板は、前記バッテリセルの前記第1端に接触するコンタクト部を有し、
前記開口部は、前記コンタクト部に設けられており、前記バッテリセルの前記第1端を露出している、請求項1又は2に記載のバッテリパック。
【請求項4】
前記バッテリセルと前記第1リード板との間に配置され、前記第1リード板の前記コンタクト部を取り囲む第1内側防水シートをさらに備える、請求項3に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記第1内側防水シートには、前記第1リード板に向けて突出するとともに、前記第1リード板の前記コンタクト部を取り囲むリング状の突出部が設けられている、請求項4に記載のバッテリパック。
【請求項6】
前記バッテリセルの前記第1端とは反対側に位置する第2端に電気的に接続された第2リード板と、
前記第2リード板に沿って配置され、前記第2リード板を外側から覆う第2外側防水シートと、をさらに備え、
前記第2リード板には、開口部が形成されており、
前記第2外側防水シートの内面には、前記第2リード板に向けて突出するとともに、前記第2リード板の前記開口部を取り囲むリング状の突出部が設けられている、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
前記第2外側防水シートの前記内面には、前記第2外側防水シートの前記リング状の突出部に沿って延びるリング状の溝が設けられている、請求項6に記載のバッテリパック。
【請求項8】
前記第2リード板は、前記バッテリセルの前記第2端に接触するコンタクト部を有し、
前記第2リード板の前記開口部は、前記第2リード板の前記コンタクト部に設けられており、前記バッテリセルの前記第2端を露出している、請求項6又は7に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記バッテリセルと前記第2リード板との間に配置され、前記第2リード板の前記コンタクト部を取り囲む第2内側防水シートをさらに備える、請求項8に記載のバッテリパック。
【請求項10】
前記第2内側防水シートには、前記第2リード板に向けて突出するとともに、前記第2リード板の前記コンタクト部を取り囲むリング状の突出部が設けられている、請求項9に記載のバッテリパック。
【請求項11】
前記バッテリセル、前記第1リード板及び前記第1外側防水シートを互いに固定するバッテリホルダをさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリパック。
【請求項12】
前記バッテリホルダを収容するハウジングをさらに備える、請求項11に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具といった電気機器に用いられるバッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、バッテリパックが開示されている。このバッテリパックは、バッテリセルと、バッテリセルの一端に電気的に接続されたリード板と、バッテリセルとリード板との間に設けられた防水シートとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のバッテリパックの一部では、様々な理由によって、リード板に開口部が設けられている。リード板に開口部が設けられていると、開口部から水や異物が侵入するおそれがある。本明細書は、このようなリード板の開口部を通じた水や異物の侵入を抑制し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示するバッテリパックは、バッテリセルと、バッテリセルの第1端に電気的に接続された第1リード板と、第1リード板に沿って配置され、第1リード板を外側(即ち、バッテリセルとは反対側)から覆う第1外側防水シートとを備える。第1リード板には、開口部が形成されており、第1外側防水シートの内面には、第1リード板に向けて突出するとともに、開口部を取り囲むリング状の突出部が形成されている。
【0006】
上記したバッテリパックでは、第1リード板の開口部が、第1外側防水シートによって覆われている。特に、第1外側防水シートには、リング状の突出部が設けられており、第1リード板の開口部は、リング状の突出部によって取り囲まれている。リング状の突出部が、第1リード板に強く接触することで、第1リード板と第1外側防水シートとの間が十分に密閉される。これにより、第1リード板の開口部を通じた水や異物の侵入が有意に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施例のバッテリパック10の外観を示す斜視図。
【
図8】バッテリセル12、第1リード板20、第1外側防水シート34及び第1内側防水シート36を模式的に示す断面図。
【
図12】バッテリセル12、第2リード板22、第2外側防水シート38及び第2内側防水シート40を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本技術の一実施形態において、第1外側防水シートの内面には、リング状の突出部に沿って延びる溝が設けられていてもよい。この溝は、リング状の突出部の内側及び外側の一方又は両方に設けることができる。このような構成によると、リング状の突出部が、第1リード板との接触に伴って変形し易くなるので、第1リード板と第1外側防水シートとの間の密閉性を高めることができる。
【0009】
本技術の一実施形態において、第1リード板は、バッテリセルの第1端に接触するコンタクト部を有してもよい。この場合、開口部は、コンタクト部に設けられており、バッテリセルの第1端を露出していてもよい。コンタクト部に開口部(例えばスリット)が設けられていると、コンタクト部をバッテリセルの第1端へスポット溶接(抵抗溶接)するときに、溶接電流をリード板とバッテリセルとの間で確実に通電させることができる。その一方で、コンタクト部に開口部が設けられていると、バッテリセルの第1端が開口部から露出する。この場合、開口部から侵入する水や異物によって、バッテリセルの第1端が汚染されるおそれが生じる。しかしながら、前述したリング状の突出部が、開口部を通じた水や異物の侵入を抑制することで、バッテリセルの汚染は効果的に防止される。
【0010】
上記した実施形態において、バッテリパックは、バッテリセルと第1リード板との間に配置された第1内側防水シートをさらに備えてもよい。この場合、第1内側防水シートは、第1リード板のコンタクト部を取り囲むとよい。このような構成によると、バッテリセルと第1リード板との間も密閉されることで、第1リード板のコンタクト部や、それに接続されたバッテリセルの第1端が、水や異物で汚染されることを防止することができる。
【0011】
上記した実施形態において、第1内側防水シートには、第1リード板に向けて突出するとともに、第1リード板のコンタクト部を取り囲むリング状の突出部が設けられていてもよい。このような構成によると、バッテリセルと第1リード板との間の密閉性を高めることができる。
【0012】
本技術の一実施形態において、バッテリパックは、バッテリセルの第1端とは反対側に位置する第2端に電気的に接続された第2リード板と、第2リード板に沿って配置され、第2リード板を外側から覆う第2外側防水シートとをさらに備えてもよい。この場合、第2リード板には開口部が形成されており、第2外側防水シートの内面には、第2リード板に向けて突出するとともに、第2リード板の開口部を取り囲むリング状の突出部が設けられていてもよい。このような構成によると、第2リード板の開口部を通じた水や異物の侵入も有意に抑制することができる。
【0013】
上記した実施形態において、第2外側防水シートの内面には、リング状の突出部に沿って延びるリング状の溝が設けられていてもよい。この溝は、リング状の突出部の内側及び外側の一方又は両方に設けることができる。このような構成によると、リング状の突出部が、第2リード板との接触に伴って変形し易くなるので、第2リード板と第2外側防水シートとの間の密閉性を高めることができる。
【0014】
本技術の一実施形態において、第2リード板は、バッテリセルの第2端に接触するコンタクト部を有してもよい。この場合、第2リード板の開口部は、第2リード板のコンタクト部に設けられており、バッテリセルの第2端を露出していてもよい。このような構成によると、第2リード板の開口部から露出するバッテリセルの第2端が、水や異物で汚染されることを抑制することができる。
【0015】
上記した実施形態において、バッテリパックは、バッテリセルと第2リード板との間に配置された第2内側防水シートをさらに備えてもよい。この場合、第2内側防水シートは、第2リード板のコンタクト部を取り囲むとよい。このような構成によると、バッテリセルと第2リード板との間も密閉されることで、第2リード板のコンタクト部や、それに接続されたバッテリセルの第2端が、水や異物で汚染されることを防止することができる。
【0016】
上記した実施形態において、第2内側防水シートには、第2リード板に向けて突出するとともに、第2リード板の開口部を取り囲むリング状の突出部が設けられていてもよい。このような構成によると、バッテリセルと第2リード板との間の密閉性を高めることができる。
【0017】
本技術の一実施形態において、バッテリパックは、バッテリセル、第1リード板及び第1外側防水シートを互いに固定するバッテリホルダをさらに備えてもよい。加えて、バッテリパックは、バッテリホルダを収容するハウジングをさらに備えてもよい。なお、バッテリホルダやバッテリパックの具体的な構成は特に限定されない。
【実施例】
【0018】
(実施例)図面を参照して、実施例のバッテリパック10について説明する。本実施例のバッテリパック10は、再充電可能な蓄電装置であり、電動工具といった電気機器(図示省略)に電力を供給する電源として、電気機器に着脱可能に取り付けられる。
図1、
図2に示すように、バッテリパック10は、複数のバッテリセル12、複数のバッテリセル12を保持するバッテリホルダ14、及び、バッテリホルダ14に固定されているととともに、複数のバッテリセル12と電気的に接続された回路基板16を備える。また、バッテリパック10は、複数のバッテリセル12、バッテリホルダ14及び回路基板16を収容しているハウジング18を備える。
【0019】
複数のバッテリセル12は、バッテリホルダ14によって、互いに平行に保持されている。各々のバッテリセル12は、再充電可能なバッテリセルである。一例ではあるが、本実施例における各々のバッテリセル12は、リチウムイオンバッテリセルであり、略4ボルトの公称電圧を有する。また、複数のバッテリセル12の合計数は32本であり、互いに並列に接続された2本のバッテリセル12を一組として、16組のバッテリセル12が直列に接続されている。これにより、バッテリパック10は、略64ボルトの公称電圧を有している。
【0020】
バッテリホルダ14は、絶縁材料(例えば、樹脂材料)で構成されている。詳しくは後述するが、バッテリホルダ14には、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22が組み込まれている。複数の第1リード板20は、バッテリホルダ14の一方の側壁に配置されており、複数の第2リード板22は、バッテリホルダ14の他方の側壁に配置されている。複数のバッテリセル12は、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22を介して、互いに電気的に接続されている。また、各々の第1リード板20及び各々の第2リード板22は、回路基板16に電気的に接続されている。
【0021】
回路基板16は、複数の第1リード板20及び複数の第2リード板22を介して、複数のバッテリセル12に電気的に接続されている。回路基板16は、各々の第1リード板20及び各々の第2リード板22の電圧を検出可能であり、それによって、各々のバッテリセル12の電圧を把握することができる。加えて、回路基板16には、電気機器と接続するための複数の外部接続端子24が設けられている。複数の外部接続端子24には、一対の電力端子と、いくつかの通信端子とが含まれている。一対の電力端子は、複数のバッテリセル12と電気的に接続されており、複数のバッテリセル12からの放電電力を電気機器へ出力する。また、一対の電力端子は、充電器(図示省略)と電気的に接続し、充電器から複数のバッテリセル12への充電電力を受け入れる。通信端子は、回路基板16に設けられたプロセッサ(図示省略)に接続されている。
【0022】
ハウジング18は、略直方体の外形を有しており、樹脂材料で構成されている。ハウジング18の上面には、電気機器と係合するための係合構造18aや、電気機器の接続端子を受け入れる複数の開口部18b(例えばスリット)が形成されている。複数の開口部18bの内部には、回路基板16上の複数の外部接続端子24がそれぞれ配置されている。なお、ここで説明するハウジング18の構成は一例であり、ハウジング18の具体的な構成については適宜変更することができる。
【0023】
次に、
図3を参照して、バッテリホルダ14の構造について説明する。バッテリホルダ14は、第1ホルダ本体26と第2ホルダ本体28とを備える。第1ホルダ本体26と第2ホルダ本体28は、複数のバッテリセル12を挟んで互いに固定されており、複数のバッテリセル12を平行に保持している。第1ホルダ本体26には、複数のバッテリセル12の第1端12aを露出する複数の貫通孔26aが形成されており、第2ホルダ本体28には、複数のバッテリセル12の第2端12bを露出する複数の貫通孔28aが形成されている。
【0024】
なお、複数のバッテリセル12の向きは同一ではない。即ち、一部のバッテリセル12は、第1端12aに正極を有するとともに第2端12bに負極を有し、他のバッテリセル12は、第1端12aに負極を有するとともに、第2端12bに正極を有する。但し、いずれのバッテリセル12についても、第1端12aからその反対側に位置する第2端12bまで延びる柱形状を有している。
【0025】
バッテリホルダ14はさらに、第1ホルダカバー30と第2ホルダカバー32とを備える。第1ホルダカバー30は、複数の第1リード板20を挟んで、第1ホルダ本体26に取り付けられており、複数の第1リード板20を第1ホルダ本体26に対して(即ち、複数のバッテリセル12に対して)固定している。第2ホルダカバー32は、複数の第2リード板22を挟んで、第2ホルダ本体28に取り付けられており、複数の第2リード板22を第2ホルダ本体28に対して(即ち、複数のバッテリセル12に対して)固定している。
【0026】
第1ホルダカバー30と複数の第1リード板20との間には、第1外側防水シート34が設けられており、複数の第1リード板20と第1ホルダ本体26との間には、第1内側防水シート36が設けられている。第1外側防水シート34及び第1内側防水シート36は、シリコーンゴムで構成されており、水分や微細な異物の侵入を禁止する。なお、複数の第1リード板20は、ラミネート加工により、一対のフィルム21間で一体的に保持されている。同様に、第2ホルダカバー32と複数の第2リード板22との間には、第2外側防水シート38が設けられており、複数の第2リード板22と第2ホルダ本体28との間には、第2内側防水シート40が設けられている。第2外側防水シート38及び第2内側防水シート40もまた、シリコーンゴムで構成されており、水分や微細な異物の侵入を禁止する。複数の第2リード板22についても、ラミネート加工により、一対のフィルム23間で一体的に保持されている。なお、各々の防水シート34、36、38、40は、シリコーンゴムに限定されず、例えばエラストマーといった他の高分子材料のような、その他の遮水性を有する柔軟な材料で構成されてもよい。
【0027】
図4、
図5、
図8を参照して、複数の第1リード板20について説明する。複数の第1リード板20は、バッテリセル12の長手方向に垂直な平面に沿って配列されている。各々の第1リード板20は、複数のコンタクト部20aと、ターミナル部20bとを有している。各々の第1リード板20は、コンタクト部20aにおいて複数のバッテリセル12と電気的に接続され、ターミナル部20bにおいて回路基板16と電気的に接続される。各々のコンタクト部20aは、複数のバッテリセル12に向けて突出しており、対応する一つのバッテリセル12の第1端12aに接触している。一例ではあるが、各々のコンタクト部20aは、バッテリセル12の第1端12aにスポット溶接(抵抗溶接)されており、複数の溶接部20dを有している。
【0028】
各々の第1リード板20には、一又は複数の第1開口部20cが設けられている。第1開口部20cは、コンタクト部20aに設けられている。第1開口部20cは、十字形状のスリットであり、隣接する二つの溶接部20dの間に介在する。コンタクト部20aに開口部20cが設けられていると、コンタクト部20aをバッテリセル12の第1端12aへスポット溶接(抵抗溶接)するときに、溶接電流をリード板20とバッテリセル12との間で確実に通電させることができる。本実施例における第1開口部20cは、十字形状のスリットであるが、第1開口部20cの形状は特に限定されない。第1開口部20cでは、バッテリセル12の第1端12aが露出している。各々の第1リード板20にはさらに、一又は複数の第2開口部20eが設けられている。第2開口部20eは、第1リード板20の位置決めのために設けられており、位置決めピン(図示省略)を受け入れる。
【0029】
図6、
図8を参照して、第1外側防水シート34について説明する。第1外側防水シート34は、複数の第1リード板20に沿って配置され、複数の第1リード板20を外側(即ち、複数のバッテリセル12に対して反対側)から覆う。第1外側防水シート34の内面34aには、複数の第1突出部34bが設けられている。各々の第1突出部34bは、第1リード板20に向けて突出しており、第1リード板20の第1開口部20cを取り囲むように、リング状に設けられている。リング状の第1突出部34bが、第1リード板20に強く接触することで、第1リード板20と第1外側防水シート34との間が十分に密閉される。これにより、第1リード板20の第1開口部20cを通じた水や異物の侵入が有意に抑制され、第1開口部20cにおいて露出するバッテリセル12の第1端12aの汚染(あるいは腐食)が防止される。
【0030】
第1外側防水シート34の内面34aには、各々の第1突出部34bに対して、外側溝34c及び内側溝34dが設けられている。外側溝34cは、第1突出部34bの外側に位置しており、第1突出部34bに沿ってリング状に延びている。内側溝34dは、第1突出部34bの内側に位置しており、第1突出部34bに沿ってリング状に延びている。このような構成によると、リング状の第1突出部34bが、第1リード板20との接触に伴って変形し易くなるので、第1リード板20と第1外側防水シート34との間の密閉性を高めることができる。
【0031】
第1外側防水シート34の内面34aには、複数の第2突出部34eがさらに設けられている。各々の第2突出部34eは、第1リード板20に向けて突出しており、第1リード板20の第2開口部20eを取り囲むように、リング状に設けられている。リング状の第2突出部34eについても、第1リード板20に強く接触することで、第1リード板20と第1外側防水シート34との間が十分に密閉される。これにより、第1リード板20の第2開口部20eを通じた水や異物の侵入が有意に抑制され、バッテリセル12の汚染(あるいは腐食)が防止される。なお、第1外側防水シート34の内面34aには、各々の第2突出部34eに対して、外側溝34f及び内側溝34gが設けられている。外側溝34fは、第2突出部34eの外側に位置しており、第2突出部34eに沿ってリング状に延びている。内側溝34gは、第2突出部34eの内側に位置しており、第2突出部34eに沿ってリング状に延びている。
【0032】
図7、
図8を参照して、第1内側防水シート36について説明する。第1内側防水シート36は、複数のバッテリセル12と複数の第1リード板20との間に位置する。第1内側防水シート36には、複数のバッテリセル12の位置(あるいは、複数の第1リード板20のコンタクト部20a)に合わせて、複数の開口部36aが形成されている。これにより、第1内側防水シート36は、複数の第1リード板20に設けられた複数のコンタクト部20aを、それぞれ取り囲んでいる。第1内側防水シート36は、バッテリセル12と第1リード板20との間を密閉する。従って、第1リード板20のコンタクト部20aや、それに接続されたバッテリセル12の第1端12aが、水や異物で汚染されることが防止される。
【0033】
第1内側防水シート36には、第1リード板20に向けて突出するとともに、第1リード板20の第1開口部20c又は第2開口部20eを取り囲むリング状の突出部36b、36eが設けられている。なお、第1開口部20cを取り囲む突出部36bは、第1開口部20cだけでなく、第1リード板20のコンタクト部20aの全体を取り囲んでいる。また、第1内側防水シート36には、各々の突出部36b、36eに対して、外側溝36c、36f及び内側溝36d、36gが設けられている。これにより、バッテリセル12と第1リード板20との間の密閉性が高められている。
【0034】
本実施例のバッテリパック10では、上述した第1リード板20、第1外側防水シート34及び第1内側防水シート36の構成が、第2リード板22、第2外側防水シート38及び第2内側防水シート40にも採用されている。
図9、
図12に示すように、複数の第2リード板22は、バッテリセル12の長手方向に垂直な平面に沿って配列されている。各々の第2リード板22は、複数のコンタクト部22aと、ターミナル部22bとを有している。各々の第2リード板22は、コンタクト部22aにおいて複数のバッテリセル12と電気的に接続され、ターミナル部22bにおいて回路基板16と電気的に接続される。各々のコンタクト部22aは、複数のバッテリセル12に向けて突出しており、対応する一つのバッテリセル12の第2端12bに接触している。各々のコンタクト部22aは、バッテリセル12の第2端12bにスポット溶接(抵抗溶接)されており、複数の溶接部22dを有している。
【0035】
各々の第2リード板22には、一又は複数の第3開口部22cと、一又は複数の第4開口部22eが設けられている。第3開口部22cは、第2リード板22のコンタクト部22aに設けられており、バッテリセル12の第2端12bを露出させている。第2開口部20eは、第2リード板22の位置決めのために設けられている。
【0036】
図10、
図12に示すように、第2外側防水シート38は、複数の第2リード板22に沿って配置され、複数の第2リード板22を外側(即ち、複数のバッテリセル12に対して反対側)から覆う。第2外側防水シート38の内面38aには、複数の第3突出部38bと、複数の第4突出部38eが設けられている。各々の第3突出部38bは、第2リード板22に向けて突出しており、第2リード板22の第3開口部22cを取り囲むように、リング状に設けられている。各々の第4突出部38eは、第2リード板22に向けて突出しており、第2リード板22の第4開口部22eを取り囲むように、リング状に設けられている。これにより、第2リード板22の開口部22c、22eを通じた水や異物の侵入が有意に抑制される。
【0037】
図11、
図12に示すように、第2内側防水シート40は、複数のバッテリセル12と複数の第2リード板22との間に位置する。第2内側防水シート40には、複数のバッテリセル12の位置(あるいは、複数の第2リード板22のコンタクト部20a)に合わせて、複数の開口部40aが形成されている。これにより、第2内側防水シート40は、複数の第2リード板22に設けられた複数のコンタクト部22aを、それぞれ取り囲んでいる。第2内側防水シート40は、バッテリセル12と第1リード板20との間を密閉する。第2内側防水シート40には、第2リード板22に向けて突出するとともに、第2リード板22の第3開口部22c又は第4開口部22eを取り囲むリング状の突出部40b、40eが設けられている。なお、第3開口部22cを取り囲む突出部40bは、第3開口部22cだけでなく、第2リード板22のコンタクト部22aの全体を取り囲んでいる。また、第2内側防水シート40には、各々の突出部40b、40eに対して、外側溝40c、40f及び内側溝40d、40gが設けられている。これにより、バッテリセル12と第2リード板22との間の密閉性が高められている。
【0038】
以上、いくつかの具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【符号の説明】
【0039】
10:バッテリパック
12:バッテリセル
14:バッテリホルダ
16:回路基板
18:ハウジング
20:第1リード板
20a:第1リード板のコンタクト部
20c、20e:第1リード板の開口部
22:第2リード板
22a:第2リード板のコンタクト部
22c、22e:第2リード板の開口部
24:外部接続端子
26:第1ホルダ本体
28:第2ホルダ本体
30:第1ホルダカバー
32:第2ホルダカバー
34:第1外側防水シート
34b、34e:第1外側防水シートのリング状の突出部
36:第1内側防水シート
36b、36e:第1内側防水シートのリング状の突出部
38:第2外側防水シート
38b、38e:第2外側防水シートのリング状の突出部
40:第2内側防水シート
40b、40e:第2内側防水シートのリング状の突出部