(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】FPICフィルム、これを含むフレキシブルプリント回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/037 20060101AFI20220713BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20220713BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20220713BHJP
G03F 7/031 20060101ALI20220713BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20220713BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20220713BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20220713BHJP
C09J 179/08 20060101ALI20220713BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20220713BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20220713BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
G03F7/037
G03F7/027 513
G03F7/004 501
G03F7/027 511
G03F7/004 512
G03F7/031
C08G73/10
H05K1/03 610P
H05K1/03 670A
C09J7/30
C09J179/08 Z
C09J133/00
C09J175/04
C09J11/06
(21)【出願番号】P 2019199139
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2019-10-31
(31)【優先権主張番号】10-2018-0135047
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0135048
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519204054
【氏名又は名称】イノックス・アドバンスト・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INNOX Advanced Materials Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】171,Asanvalley-ro,Dunpo-myeon,Asan-si,Chungcheongnam-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヒュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ユ、 スン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ソン グン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、 ジョン ミン
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-333672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/037
G03F 7/027
G03F 7/004
G03F 7/031
C08G 73/10
H05K 1/03
C09J 7/30
C09J 179/08
C09J 133/00
C09J 175/04
C09J 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性接着樹脂の硬化物を含む感光性接着層を含み、
前記硬化物は、B-ステージ(B-stage)状態の硬化物であり、
前記感光性接着樹脂は、アルカリ可溶性及び光硬化性であるポリウレタン樹脂と、熱硬化性樹脂と、アルカリ可溶性及び非光硬化性ポリイミド樹脂と、水溶性及び光硬化性の第1のアクリルオリゴマー樹脂と、前記ポリイミド樹脂のカルボキシ基と結合してポリイミド樹脂にUV反応性を付与する第2のアクリルオリゴマー樹脂と、及び光開始剤とを含み、
前記感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、光開始剤9.8~18.4重量部を含み、
前記第1のアクリルオリゴマー樹脂は、二官能性アクリルオリゴマー樹脂であり、
前記第2のアクリルオリゴマー樹脂は、イソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂であ
り、下記関係式3を満たすことを特徴とする、
FPICフィルム。
[関係式3]
C<D<A<B
(前記関係式3において、Aは、前記アルカリ可溶性及び非光硬化性ポリイミド樹脂の含量、Bは、前記アルカリ可溶性及び光硬化性であるポリウレタン樹脂の含量、Cは、前記光開始剤の含量、Dは、前記熱硬化性樹脂の含量を示す。)
【請求項2】
前記第1のアクリルオリゴマー樹脂及び第2のアクリルオリゴマー樹脂は、1:0.11~0.22重量比で含むことを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項3】
前記感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、第1のアクリルオリゴマー樹脂117~218重量部及び第2のアクリルオリゴマー樹脂19~37重量部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項4】
前記感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂318~593重量部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項5】
前記感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、熱硬化性樹脂39~73重量部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項6】
前記光開始剤は、ヒドロキシケトン系光開始剤及びオキシム系光開始剤の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項7】
前記感光性接着層は、10~40μmの厚さを有することを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項8】
前記FPICフィルムは、
前記感光性接着層の一面に積層されたベースフィルムと、
前記感光性接着層の他面に積層された離型フィルムと、をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載のFPICフィルム。
【請求項9】
請求項1のFPICフィルムの製造方法であって、
ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、第1のアクリルオリゴマー樹脂、第2のアクリルオリゴマー樹脂、光開始剤、及び溶媒を混合して感光性接着樹脂を製造する第1の段階と、
前記感光性接着樹脂をベースフィルムの一面に塗布し、乾燥してベースフィルムの一面に感光性接着層を形成する第2の段階と、を含み、
前記感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、光開始剤9.8~18.4重量部を含み、
前記第1のアクリルオリゴマー樹脂は、二官能性アクリルオリゴマー樹脂であり、
前記第2のアクリルオリゴマー樹脂は、イソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂であり、
前記ポリイミド樹脂は、アルカリ可溶性及び非光硬化性であり、前記第1のアクリルオリゴマー樹脂は、水溶性及び光硬化性であり、前記第2のアクリルオリゴマー樹脂は、前記ポリイミド樹脂のカルボキシ基と結合してポリイミド樹脂にUV反応性を付与することを特徴とする、
FPICフィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のFPICフィルムを含むことを特徴とする、フレキシブルプリント回路基板。
【請求項11】
前記フレキシブルプリント回路基板は、携帯電話、カメラ、ノートパソコン、及びウェアラブル機器のうち少なくとも一つに使用されることを特徴とする、
請求項10に記載のフレキシブルプリント回路基板。
【請求項12】
一面にネガティブ(negative)型の回路パターンが形成されたフレキシブルプリント回路基板を準備する第1の段階と、
前記回路パターンが形成された方向にフレキシブルプリント回路基板及び回路パターンをカバーリング(covering)しながらフレキシブルプリント回路基板に請求項1のFPICフィルムを接着させる第2の段階と、
前記FPICフィルムの一面にマスク(Mask)を配置し、前記FPICフィルムが接着された方向にフレキシブルプリント回路基板を露光(light exposure)する第3の段階と、
前記露光したフレキシブルプリント回路基板をアルカリ水溶液に浸漬させて現像する第4の段階と、
を含むことを特徴とする、
フレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記現像したフレキシブルプリント回路基板を完全に硬化させる第5の段階、
をさらに含むことを特徴とする、
請求項12に記載のフレキシブルプリント回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPICフィルム及びその製造方法に関し、現像性に優れているだけでなく、ホールプラッギング(hole plugging)性及び曲げ成形性(bendability)に優れたFPICフィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、フレキシブルプリント回路基板の製造方法に関し、本発明のFPICフィルムを使用して、露光後と現像前に感光物質を加熱乾燥させる別途のPEB(post exposure bake)過程がないため、製造工程が単純容易なフレキシブルプリント回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電子製品の集積化、小型化、薄膜化、高密度化、高屈曲化の傾向に応じて、より狭い空間でも内蔵が容易なプリント回路基板(Printed Circuit Board、PCB)の必要性が増大しており、こうした市場のニーズに応じて、小型化と高密度化が可能で、繰り返し屈曲性を有するフレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit Board、FPCB)が開発された。このようなフレキシブルプリント回路基板は、スマートフォン、携帯用モバイル電子機器(スマートウォッチ、スマートグラスなど)などの技術的発展により、使用が急激に増加して、その需要は、さらに増えているのが現状である。
【0004】
一般的に、フレキシブルプリント回路基板を製造するためには、高耐熱性、高屈曲性を有するポリイミド(polyimide)のような絶縁性基材フィルムの両面もしくは片面に銅箔層を形成したフレキシブル銅張積層板(Flexible Copper Clad Laminate)にドライフィルム(dry film)をラミネート加工(laminating)した後、順次露光、現像、及びエッチングで回路パターンを形成した後、外側(≒回路パターンが形成された面)にカバーレイフィルム(coverlay film)を仮付し、ホットプレスを用いて接着する方式で、フレキシブルプリント回路基板が製造される。
【0005】
フレキシブルプリント回路基板に使用されるカバーレイフィルムは、フレキシブルプリント回路基板の絶縁信頼性の確保や、フレキシブルプリント回路基板に形成された回路パターンの保護のために使用される。一般的に使用されるカバーレイフィルムは、接着剤と接着剤の一面に積層されたベースフィルムから構成されているが、フレキシブルプリント回路基板に直接接着されるカバーレイフィルムの接着剤は、フレキシブルプリント回路基板に安定した性能を発揮するため、耐熱性、耐薬品性が良好なエポキシ樹脂を主成分とする接着剤が広く使用されている。例えば、韓国特許出願第2014-0084415号は、非ハロゲン系速硬化性接着剤組成物と、これを用いたカバーレイフィルムが開示されており、韓国特許出願第2012-0117438号は、フレキシブルプリント回路基板の製造方法を開示しており、このような接着剤組成物を含むカバーレイフィルムは、過度な剛性によって柔軟性を確保できないので、カバーレイを含むフレキシブルプリント回路基板を製造して、ウェアラブル機器、スマートフォンなどの携帯機器に部品実装時に公正性及び信頼性が低下するという問題点を有していた。
【0006】
また、カバーレイフィルムの物性を向上させるため、カバーレイフィルムを構成する接着剤には、エポキシ樹脂の他にも、様々な成分を含んで柔軟性などの物性を向上させるためのカバーレイフィルムが開発されているのが現状である。しかし、フレキシブルプリント回路基板が使用される電子機器の市場は、ますますスリム(slim)化され、従来よりも向上された微細ピッチ(pitch)及びフレキシブル(flexible)特性を求めているため、従来のカバーレイフィルムは、このようなニーズ(needs)を満たすのに不適合な部分がある。
【0007】
一方、カバーレイフィルムの他にもフレキシブルプリント回路基板の絶縁信頼性の確保や、フレキシブルプリント回路基板に形成された回路パターンの保護のために使用できる製品として液状タイプの感光性ソルダーレジスト(PSR:photosensitive solder resist)がある。しかし、液状タイプの感光性ソルダーレジストは、フレキシブルプリント回路基板に使用するにはホールプラッギング(hole plugging)性が悪いだけでなく、曲げ成形性(bendability)においても著しく劣るという問題点がある。
【0008】
さらに、カバーレイフィルムの他にも、フレキシブルプリント回路基板の絶縁信頼性の確保や、フレキシブルプリント回路基板に形成された回路パターンの保護のために使用できる製品としてドライフィルムソルダーレジスト(DFSR:Dry Film Solder Resist)がある。しかし、ドライフィルムソルダーレジストは、価格が非常に高いだけでなく、曲げ成形性(bendability)が著しく劣るという問題点がある。
【0009】
したがって、従来のカバーレイフィルムを代替できるだけでなく、フレキシブルプリント回路基板が使用される電子機器市場のニーズ(needs)を満たすための製品の開発が必要な現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような点に鑑みて案出されたもので、現像性に優れているだけでなく、ホールプラッギング(hole plugging)性及び曲げ成形性(bendability)に優れたFPICフィルム及びその製造方法を提供することに目的がある。
【0011】
また、耐熱性、折り曲げ性、接着力、及び耐薬品性に優れたFPICフィルム及びその製造方法を提供することに目的がある。
【0012】
また、露光後と現像前に感光物質を加熱乾燥させる別途のPEB(post exposure bake)の過程がないため、製造工程が単純容易なフレキシブルプリント回路基板の製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明のFPICフィルムは、感光性接着樹脂の硬化物を含む感光性接着層を含み、前記硬化物は、B-ステージ(B-stage)状態の硬化物であり、前記感光性接着樹脂は、アルカリ可溶性及び非光硬化性ポリイミド樹脂、水溶性及び光硬化性第1のアクリルオリゴマー樹脂及び前記ポリイミド樹脂のカルボキシ基と結合してポリイミド樹脂にUV反応性を付与する第2のアクリルオリゴマー樹脂を含んでいてもよい。
【0014】
本発明の好適な一実施例において、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、二官能性アクリルオリゴマー樹脂であってもよい。
【0015】
本発明の好適な一実施例において、第2のアクリルオリゴマー樹脂は、イソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂であってもよい。
【0016】
本発明の好適な一実施例において、第1のアクリルオリゴマー樹脂及び第2のアクリルオリゴマー樹脂は、1:0.11~0.22重量比で含んでいてもよい。
【0017】
本発明の好適な一実施例において、感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、第1のアクリルオリゴマー樹脂117~218重量部及び第2のアクリルオリゴマー樹脂19~37重量部を含んでいてもよい。
【0018】
本発明の好適な一実施例において、感光性接着樹脂は、ポリウレタン樹脂をさらに含んでいてもよい。
【0019】
本発明の好適な一実施例において、感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂318~593重量部を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の好適な一実施例において、ポリウレタン樹脂は、アルカリ可溶性及び光硬化性であってもよい。
【0021】
一方、本発明のFPICフィルムは、感光性接着樹脂の硬化物を含む感光性接着層を含み、前記硬化物は、B-ステージ(B-stage)状態の硬化物であり、前記感光性接着樹脂は、アルカリ可溶性及び非光硬化性ポリイミド樹脂、アルカリ可溶性及び光硬化性ポリウレタン樹脂並びに光開始剤を含み、下記関係式1を満たすことができる。
【0022】
[関係式1]
C<A<B
【0023】
前記関係式1において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤の含量を示す。
【0024】
本発明の好適な一実施例において、感光性接着樹脂は、下記関係式2を満たすことができる。
【0025】
[関係式2]
A+C<B
【0026】
前記関係式2において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤の含量を示す。
【0027】
本発明の好適な一実施例において、本発明の感光性接着樹脂は、熱硬化性樹脂をさらに含み、下記関係式3を満たすことができる。
【0028】
[関係式3]
C<D<A<B
【0029】
前記関係式3において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤の含量、Dは、熱硬化性樹脂の含量を示す。
【0030】
本発明の好適な一実施例において、光開始剤は、ヒドロキシケトン系光開始剤及びオキシム系光開始剤の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の好適な一実施例において、本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、光開始剤9.8~18.4重量部を含んでいてもよい。
【0032】
本発明の好適な一実施例において、感光性接着層は、10~40μmの厚さを有するものであってもよい。
【0033】
本発明の好適な一実施例において、本発明のFPICフィルムは、前記感光性接着層の一面に積層されたベースフィルム及び感光性接着層の他面に積層された離型フィルムをさらに含んでいてもよい。
【0034】
一方、本発明のFPICフィルムの製造方法は、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、第1のアクリルオリゴマー樹脂、第2のアクリルオリゴマー樹脂、光開始剤、及び溶媒を混合して感光性接着樹脂を製造する第1の段階、及び前記感光性接着樹脂をベースフィルムの一面に塗布し、乾燥してベースフィルムの一面に感光性接着層を形成する第2の段階を含み、前記ポリイミド樹脂は、アルカリ可溶性及び非光硬化性であり、前記第1のアクリルオリゴマー樹脂は、水溶性及び光硬化性であり、前記第2のアクリルオリゴマー樹脂は、前記ポリイミド樹脂のカルボキシ基と結合してポリイミド樹脂にUV反応性を付与することができる。
【0035】
さらに、本発明のFPICフィルムの製造方法は、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、アクリルオリゴマー樹脂、光開始剤、及び溶媒を混合して感光性接着樹脂を製造する第1の段階、及び前記感光性接着樹脂をベースフィルムの一面に塗布し、乾燥してベースフィルムの一面に感光性接着層を形成する第2の段階を含み、前記感光性接着樹脂は、下記関係式1を満たすことができる。
【0036】
[関係式1]
C<A<B
【0037】
前記関係式1において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤の含量を示す。
【0038】
一方、本発明のフレキシブルプリント回路基板は、前述したFPICフィルムを含む。
【0039】
このとき、フレキシブルプリント回路基板は、携帯電話、カメラ、ノートパソコン、及びウェアラブル機器のうち少なくとも一つに使用されてもよい。
【0040】
一方、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、一面にネガティブ(negative)型の回路パターンが形成されたフレキシブルプリント回路基板を準備する第1の段階と、前記回路パターンが形成された方向にフレキシブルプリント回路基板及び回路パターンをカバーリング(covering)しながら、フレキシブルプリント回路基板に第1項のFPICフィルムを接着させる第2の段階と、前記FPICフィルムの一面にマスク(Mask)を配置し、前記FPICフィルムが接着された方向にフレキシブルプリント回路基板を露光(light exposure)する第3の段階、及び前記露光したフレキシブルプリント回路基板をアルカリ水溶液に浸漬させて現像する第4の段階と、を含んでいてもよい。
【0041】
本発明の化合物を表示する上で、*印は、化学結合部位を意味する。
【0042】
本発明で使用する用語のうち、「B-ステージ(B-stage)状態」とは、半硬化状態をいい、具体的に物質の硬化反応過程の中間状態をいう。
【0043】
また、本発明で使用する用語のうち、「樹脂(resin)」は、有機化合物及びその誘導体からなる非結晶性固体又は半固体であってもよく、重合体状、フィルム状、又は形成体状を持つものであってもよい。
【発明の効果】
【0044】
本発明のFPICフィルム及びその製造方法は、現象性に優れているだけでなく、ホールプラッギング(hole plugging)性及び曲げ成形性(bendability)に優れている。
【0045】
それだけでなく、本発明のFPICフィルム及びその製造方法は、耐熱性、折り曲げ性、接着力、及び耐薬品性にも優れている。
【0046】
また、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、本発明のFPICフィルムを使用して露光後と現像前に感光物質を加熱乾燥させる別途のPEB(post exposure bake)の過程がないため、製造工程が単純容易である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の好適な一実施例によるFPICフィルムの断面図である。
【
図2】本発明の好適な一実施例によるフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第2の段階を示した工程図である。
【
図3】本発明の好適な一実施例によるフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第3の段階を示した工程図である。
【
図4】本発明の好適な一実施例によるフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第4の段階を示した工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、添付図面を参考にして、本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、いくつかの異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。図面で本発明を明確に説明するため、説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体を通じて、同一又は類似した構成要素に対しては、同一の参照符号を付加する。
【0049】
本発明のFPIC(Flexible Photo Imageable Coverlay)フィルムは、感光性(photosensitive)接着樹脂の硬化物を含む感光性(photosensitive)接着層を含む。このとき、硬化物は、B-ステージ(B-stage)状態の硬化物であってもよい。
【0050】
本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂を含んでいてもよい。
【0051】
本発明のポリイミド樹脂は、ジアミン(diamine)系化合物及び無水物(anhydride)系化合物の共重合体を含んでいてもよい。
【0052】
また、ポリイミド樹脂は、アルカリ可溶性及び非光硬化性であってもよい。
【0053】
また、ポリイミド樹脂は、粘度が100~600cPs(25℃)、好ましくは、200~400cPs(25℃)であってもよく、もし、粘度が100cPs(25℃)未満であると、フィルム化形成不良の問題が発生し得、600cPs(25℃)を超えると、解像度低下の問題が発生し得る。
【0054】
また、ポリイミド樹脂は、酸価(acid value)が、100~250mgKOH/g、好ましくは、150~200mgKOH/gであってもよく、もし、酸価が100mgKOH/g未満であると、解像度低下の問題が発生し得、250mgKOH/gを超えると、現像速度の制御不可の問題が発生し得る。
【0055】
また、ジアミン系化合物及び無水物系化合物を1:0.27~0.52重量比、好ましくは、1:0.31~0.48重量比、さらに好ましくは、1:0.35~0.44重量比で含んでいてもよく、もし、重量比が、このような範囲から外れることになると、フィルム化の外観不良の問題が発生し得る。
【0056】
ジアミン系化合物は、ポリエーテルアミン(polyetheramine)及び下記化1で表される化合物の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、ポリエーテルアミン(polyetheramine)及び下記化1で表される化合物を含んでいてもよい。
【0057】
【0058】
このとき、前記化1で表される化合物は、下記化1-1で表される化合物を含んでいてもよい。
【0059】
【0060】
ジアミン系化合物がポリエーテルアミン(polyetheramine)及び前記化1で表される化合物を含む場合、ポリエーテルアミン(polyetheramine)100重量部に対して、前記化1で表される化合物を0.72~1.36重量部、好ましくは、0.83~1.25重量部、さらに好ましくは、0.93~1.15重量部で含んでいてもよく、もし、0.72重量部未満であると、解像度低下の問題が発生し得、1.36重量部を超えると、現像速度の制御不可の問題が発生し得る。
【0061】
一方、ジアミン系化合物は、下記化2で示される化合物をさらに含んでいてもよい。このとき、下記化2で表される化合物は、ポリエーテルアミン(polyetheramine)100重量部に対して、5.88~11.0重量部、好ましくは、6.73~10.1重量部、さらに好ましくは、7.57~9.26重量部で含んでいてもよく、もし、5.88重量部未満であると、表面硬度低下の問題が発生し得、11.0重量部を超えると、解像度低下の問題が発生し得る。
【0062】
【0063】
【0064】
また、前記化2において、R1及びR2は、それぞれ独立して、-H又はC1~C5のアルキル基、好ましくは、C1~C3のアルキル基である。
【0065】
さらに、本発明のポリエーテルアミンは、下記化3で表される化合物を含んでいてもよい。
【0066】
【0067】
前記化3において、R1及びR2は、それぞれ独立して、-H又はC1~C5のアルキル基であり、好ましくは、C1~C3のアルキル基である。
【0068】
また、前記化3において、mは、5~20、好ましくは、8~17、さらに好ましくは、10~15を満たす有理数であり、1+nは、3~9、好ましくは、4~8、さらに好ましくは、5~7を満たす有理数である。
【0069】
また、前記化3で表される化合物は、アミン水素当量(amine hydrogen equivalent weight)が210~290g/eq、好ましくは、230~270g/eq、さらに好ましくは、240~260g/eqであってもよい。
【0070】
また、前記化3で表される化合物は、分子量(molecular weight)が、900以下であってもよい。
【0071】
また、前記化3で表される化合物は、pHが8.19~15.21、好ましくは、9.36~14.04、さらに好ましくは、10.53~12.87であってもよい。
【0072】
また、前記化3で表される化合物は、粘度(viscosity)が95~145cSt(20℃)、好ましくは、100~140cSt(20℃)、さらに好ましくは、110~130cSt(20℃)であってもよい。
【0073】
また、前記化3で表される化合物は、融点(melting point)が17~28℃、好ましくは、20~25℃であってもよい。
【0074】
また、前記化3で表される化合物は、密度(density)が0.72~1.35g/ml、好ましくは、0.82~1.25g/ml、さらに好ましくは、0.93~1.14g/mlであってもよい。
【0075】
一方、無水物系化合物は、下記化4で表される化合物及び下記化5で表される化合物の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、下記化4で表される化合物及び下記化5で表される化合物を含んでいてもよい。
【0076】
【0077】
【0078】
このとき、前記化4で表される化合物及び前記化5で表される化合物は、1:0.09~0.18重量比、好ましくは、1:0.11~0.17重量比、さらに好ましくは、1:0.12~0.16重量比で含んでいてもよく、もし、重量比が1:0.09未満であると、 現象速度低下の問題が発生し得、1:0.18を超えると、粘度の下向によるフィルム化の外観不良の問題が発生し得る。
【0079】
一方、本発明の感光性接着樹脂は、ポリウレタン樹脂をさらに含んでいてもよい。
【0080】
このとき、本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、ポリウレタン樹脂318~593重量部、好ましくは、364~547重量部、さらに好ましくは、409~501重量部を含んでいてもよく、もし、318重量部未満で含む場合、耐アルカリ性の低下の問題が発生し得、593重量部を超えて含む場合、解像度低下の問題が発生し得る。
【0081】
本発明のポリウレタン樹脂は、ポリカーボネートジオール(polycarbonate diol)、シクロ基(cyclo group)を含むジイソシアネート(diisocyanate)、カルボキシ基(carboxy group)含有ジアルコール化合物及び水酸基(hydroxyl group)を有するアクリレートを含んで反応して生成されたものであってもよい。
【0082】
また、本発明のポリウレタン樹脂は、アルカリ可溶性及び光硬化性であってもよい。
【0083】
また、本発明のポリウレタン樹脂の粘度は、1100~5000cPs(25℃)、好ましくは、1200~4000cPs(25℃)、さらに好ましくは、1400~3500cPs(25℃)であってもよく、もし、粘度が1100cPs(25℃)未満であると、解像度低下の問題が発生し得、5000cPs(25℃)を超えると、現像速度低下の問題が発生し得る。
【0084】
また、本発明のポリウレタン樹脂は、(メタ)アクリレート(methacrylate)成分を10重量%以下、好ましくは、3~8重量%、さらに好ましくは、4~6重量%で含んでいてもよく、もし、(メタ)アクリレート成分を10重量%を超えて含む場合、現象速度低下の問題が発生し得る。
【0085】
一方、ポリカーボネートジオールは、数平均分子量(Mn)が、500~1100、好ましくは、600~1000、さらに好ましくは、700~900であってもよい。
【0086】
また、シクロ基を含むジイソシアネートは、下記化6で表される化合物を含んでいてもよい。
【0087】
【0088】
前記化6において、Dは、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2CH2CH2-であり、好ましくは、-CH2-、-CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2-である。
【0089】
前記化6において、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立して、-H又はC1~C5のアルキル基であり、好ましくは、それぞれ独立して、-H又はC1~C3のアルキル基である。
【0090】
また、カルボキシ基含有ジアルコール化合物は、下記化7で表される化合物を含んでいてもよい。
【0091】
【0092】
前記化7において、E、F、及びGは、それぞれ独立して、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2CH2CH2-であり、好ましくは、それぞれ独立して、-CH2-、-CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2-である。
【0093】
前記化7において、R15は、C1~C5のアルキル基であり、好ましくは、C1~C3のアルキル基である。
【0094】
また、水酸基を有するアクリレートは、下記化8で表される化合物を含んでいてもよい。
【0095】
【0096】
前記化8において、Jは、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2CH2CH2-であり、好ましくは、-CH2-、-CH2CH2-、又は-CH2CH2CH2-である。
【0097】
さらに、本発明のポリウレタン樹脂は、ポリカーボネートジオール100重量部に対して、シクロ基を含むジイソシアネートを55~103重量部、好ましくは、62~95重量部、さらに好ましくは、70~87重量部を含んでいてもよい。
【0098】
また、本発明のポリウレタン樹脂は、ポリカーボネートジオール100重量部に対して、カルボキシ基含有ジアルコール化合物を17~33重量部、好ましくは、20~31重量部、さらに好ましくは、22~28重量部を含んでいてもよく、もし、17重量部未満で含む場合、現象速度低下の問題が発生し得、33重量部を超えて含む場合、表面硬度低下の問題が発生し得る。
【0099】
また、本発明のポリウレタン樹脂は、ポリカーボネートジオール100重量部に対して、水酸基を有するアクリレートを6~13重量部、好ましくは、7~12重量部、さらに好ましくは、8~11重量部を含んでいてもよい。
【0100】
一方、本発明の感光性接着樹脂は、アクリルオリゴマー(acrylate oligomer)樹脂をさらに含んでいてもよい。
【0101】
このとき、アクリルオリゴマー樹脂は、水溶性及び光硬化性の第1のアクリルオリゴマー及びポリイミド樹脂のカルボキシ基と結合してポリイミド樹脂にUV反応性を付与する第2のアクリルオリゴマー樹脂を含んでいてもよい。
【0102】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、二官能性アクリルオリゴマー樹脂であってもよく、第2のアクリルオリゴマー樹脂は、イソシアネート基(isocyanate group)を含むアクリルオリゴマー樹脂であってもよい。
【0103】
具体的には、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、エポキシ環(epoxy ring)が開環され、-OH基が分子構造内に含まれるエポキシアクリレート(epoxy acrylate)であってもよい。
【0104】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、重量平均分子量(Mw)が500~1,000、好ましくは、600~900、さらに好ましくは、650~850であってもよい。
【0105】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、粘度(viscosity)が1,000~2,000cPs(25℃)、好ましくは、1,100~1,900cPs(25℃)、さらに好ましくは、1,300~1,700cPs(25℃)であってもよい。
【0106】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、屈折率(refractive index)が1.18~1.79nD25、好ましくは、1.33~1.64nD25、さらに好ましくは、1.4~1.53nD25であってもよい。
【0107】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、比重(specific gravity)が0.8~1.6(25℃)、好ましくは、0.9~1.5(25℃)、さらに好ましくは、1.0~1.4(25℃)であってもよい。
【0108】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂は、酸価(acid value)が6.4~12.4mgKOH/g、好ましくは、7.4~11.4mgKOH/g、さらに好ましくは、8.4~10.4mgKOH/gであってもよい。
【0109】
一方、第2のアクリルオリゴマー樹脂は、イソシアネート基を含んで自家重合性だけでなく、光重合性の特性を持つことができる。
【0110】
また、第2のアクリルオリゴマー樹脂は、イソシアネート基を9.9~15.9%、好ましくは、10.9~14.9%、さらに好ましくは、11.9~13.9%を含んでいてもよい。
【0111】
また、第2のアクリルオリゴマー樹脂は、粘度(viscosity)が7,000~11,000cPs(25℃)、好ましくは、8,000~10,000cPs(25℃)、さらに好ましくは、8,500~9,500cPs(25℃)であってもよい。
【0112】
また、第1のアクリルオリゴマー樹脂及び第2のアクリルオリゴマー樹脂は、1:0.11~0.22重量比、好ましくは、1:0.13~0.20重量比、さらに好ましくは、1:0.14~0.19重量比で含んでいてもよく、もし、1:0.11重量比未満であると、表面硬度低下の問題が発生し得、1:0.22の重量比を超えると、現像速度低下の問題が発生し得る。
【0113】
また、本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、第1のアクリルオリゴマー樹脂117~218重量部、好ましくは、133~201重量部、さらに好ましくは、150~185重量部を含んでいてもよく、もし、117重量部未満で含む場合、解像度低下の問題が発生し得、218重量部を超えて含む場合、製品のカール(Curl)発生の問題が発生し得る。
【0114】
また、本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、第2のアクリルオリゴマー樹脂19~37重量部、好ましくは、22~34重量部、さらに好ましくは、24~31重量部を含んでいてもよく、もし、19重量部未満で含む場合、表面硬度低下の問題が発生し得、37重量部を超えて含む場合、解像度低下の問題が発生し得る。
【0115】
さらに、本発明の感光性接着樹脂は、光開始剤をさらに含んでいてもよい。
【0116】
このとき、本発明の感光性接着樹脂は、下記関係式1、好ましくは、下記関係式2を満たすことができる。
【0117】
[関係式1]
C<A<B
【0118】
前記関係式1において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤樹脂の含量を示す。
【0119】
[関係式2]
A+C<B
【0120】
前記関係式2において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤樹脂の含量を示す。
【0121】
もし、本発明の感光性接着樹脂が、前記関係式1及び2を満たしていなければ、解像度及び耐アルカリ性低下の問題が発生し得る。
【0122】
本発明の光開始剤は、ヒドロキシケトン系光開始剤及びオキシム系光開始剤の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、ヒドロキシケトン系光開始剤を含んでいてもよい。
【0123】
また、本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、光開始剤9.8~18.4重量部、好ましくは、11.3~17.0重量部、さらに好ましくは、12.7~15.6重量部を含んでいてもよく、もし、9.8重量部未満で含む場合、未硬化による現象性低下の問題が発生し得、18.4重量部を超えて含む場合、過硬化による解像度低下の問題が発生し得る。
【0124】
一方、本発明の感光性接着樹脂は、熱硬化性樹脂及び溶媒の中から選ばれた1種以上をさらに含んでいてもよく、好ましくは、熱硬化性樹脂をさらに含んでいてもよい。このとき、本発明の感光性接着樹脂は、下記関係式3を満たすことができる。
【0125】
[関係式3]
C<D<A<B
【0126】
前記関係式3において、Aは、ポリイミド樹脂の含量、Bは、ポリウレタン樹脂の含量、Cは、光開始剤の含量、Dは、熱硬化性樹脂の含量を示す。
【0127】
もし、本発明の感光性接着樹脂が、前記関係式3を満たしていなければ、耐アルカリ性不良の問題が発生し得る。
【0128】
本発明の感光性接着樹脂は、ポリイミド樹脂100重量部に対して、熱硬化性樹脂39~73重量部、好ましくは、44~68重量部、さらに好ましくは、50~62重量部を含んでいてもよく、もし、39重量部未満で含む場合、耐熱性低下の問題が発生し得、73重量部を超えて含む場合、現象速度低下の問題が発生し得る。
【0129】
また、本発明の熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含んでいてもよく、好ましくは、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン系エポキシ樹脂、及びテトラフェニルメタン系エポキシ樹脂の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、さらに好ましくは、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂を含んでいてもよい。
【0130】
さらに、本発明の感光性接着樹脂は、フィラー、顔料、添加剤、及び難燃粒子の中から選ばれた1種以上をさらに含んでいてもよい。
【0131】
一方、本発明のFPICフィルムは、
図1を参照して説明すると、前述したように、感光性接着層10を含んでいてもよい。このとき、感光性接着層10は、10~40μmの厚さ、好ましくは、15~35μmの厚さ、さらに好ましくは、20~30μmの厚さを有することができ、もし、厚さが10μm未満であると、回路埋立性不良の問題が発生し得、40μmを超えると、光透過特性の低下によって解像度低下の問題が発生し得る。
【0132】
本発明のFPICフィルムは、感光性接着層10の一面に積層されたベースフィルム20をさらに含んでいてもよい。ベースフィルム20は、感光性接着層10のフィルム(film)化及び光透過の役割を果たすフィルムとして、PP(polypropylene)及びPET(Polyethylene terephthalate)の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、光学PETを含んでいてもよい。また、ベースフィルム20は、15~50μmの厚さ、好ましくは、25~50μmの厚さを有することができ、もし、厚さが15μm未満であると、作業性の問題が発生し得、50μmを超えると、UV光透過特性不良の問題が発生し得る。
【0133】
本発明のFPICフィルムは、感光性接着層10の他面に積層された離型フィルム30をさらに含んでいてもよい。離型フィルム30は、本発明のFPICフィルムの感光性接着層10は、フレキシブルプリント回路基板(Flexible Printed Circuit Board、FPCB)に付着されて使用されるとき、除去される部分であって、PET(Polyethylene terephthalate)を含んでいてもよく、好ましくは、離型PETを含んでいてもよい。また、離型フィルム30は、15~50μmの厚さ、好ましくは、25~50μmの厚さを有することができ、もし、厚さが15μm未満であると、感光性接着層10の保護不良による外観上の問題が発生し得、50μmを超えると、カール(Curl)不良の問題が発生し得る。
【0134】
さらに、本発明のFPICフィルムの製造方法は、第1の段階及び第2の段階を含む
【0135】
まず、本発明のFPICフィルムの製造方法の第1の段階は、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、第1のアクリルオリゴマー樹脂、第2のアクリルオリゴマー樹脂、光開始剤、及び溶媒を混合して感光性接着樹脂を製造しうる。このとき、第1の段階の溶媒は、有機溶媒が使用されてもよく、好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチルピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンの中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、さらに好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)を含んでいてもよい。
【0136】
次に、本発明のFPICフィルムの製造方法の第2の段階は、第1の段階で製造した感光性接着樹脂をベースフィルムの一面に塗布し、乾燥してベースフィルムの一面に感光性接着層を形成しうる。
【0137】
第2の段階の乾燥は、100~230℃の温度、好ましくは、130~200℃の温度で1~10分、好ましくは、3~7分の間行うことができる。
【0138】
また、本発明のFPICフィルムの製造方法は、第3の段階をさらに含んでいてもよく、本発明のFPICフィルムの製造方法の第3の段階は、第2の段階で形成された感光性接着層の一面に離型フィルムを合紙しうる。言い換えれば、第3の段階を通じて、感光性接着層の一面には、ベースフィルム、他面には、離型フィルムが積層されたFPICフィルムを製造できるものである。
【0139】
一方、本発明のポリイミド樹脂は、下記のような方法で製造しうる。
【0140】
まず、(1)段階は、ジアミン系化合物、無水物系化合物、及び溶媒を混合及び反応させてポリアミック酸(polyamic acid)溶液を製造しうる。このとき、(1)段階の溶媒は、有機溶媒が使用されてもよく、好ましくは、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、n-メチルピロリドン(NMP)、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンの中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、さらに好ましくは、n-メチルピロリドン(NMP)を含んでいてもよい。
【0141】
具体的には、(1)段階は、ジアミン系化合物であるポリエーテルアミン(polyetheramine)、前記化1で表される化合物及び前記化2で表される化合物と溶媒を15~35℃の温度、好ましくは、20~30℃の温度で30~90分、好ましくは、45~75分の間混合してジアミン混合物を製造しうる。その後、ジアミン混合物に無水物系化合物である前記化4で表される化合物を投入した後、15~35℃の温度、好ましくは、20~30℃の温度で5~25分、好ましくは、10~20分の間攪拌し、その後、前記化5で表される化合物を投入した後、15~35℃の温度、好ましくは、20~30℃の温度で2~6時間、好ましくは、3~5時間の間攪拌及び反応させてポリアミック酸溶液を製造しうる。
【0142】
次に、(2)段階は、(1)段階で製造されたポリアミック酸溶液をイミド化反応させて、30~50重量%、好ましくは、35~45重量%の固体成分を有するポリイミド樹脂を製造しうる。
【0143】
(2)段階のイミド化反応は、150~250℃の温度、好ましくは、180~220℃の温度で1~5時間、好ましくは、2~4時間の間行うことができる。もし、イミド化反応の温度が150℃未満であると、完全にイミド化されないという問題が発生し得、250℃を超えると、溶媒の蒸発による、重合が困難な問題が発生し得る。
【0144】
(2)段階で製造したポリイミド樹脂は、粘度が100~400cPs(20℃)、好ましくは、200~300cPs(20℃)であってもよく、酸価(acid value)が、100~250mgKOH/g、好ましくは、150~200mgKOH/gであってもよい。
【0145】
さらに、本発明のフレキシブルプリント回路基板は、前述したFPICフィルムを含む。フレキシブルプリント回路基板(flexible printed circuits board、FPCB)は、電子製品が小型化及び軽量化されながら開発された電子部品であって、本発明のFPICフィルムを含むフレキシブルプリント回路基板は、物性に優れている。
【0146】
本発明のフレキシブルプリント回路基板は、電子製品の核心部品として携帯電話、カメラ、ノートパソコン、ウェアラブル機器、コンピュータ及び周辺機器、移動通信端末、ビデオ及びオーディオ機器、ビデオカメラ、プリンタ、DVDプレーヤー、TFT LCDディスプレイ装置、衛星装備、軍事装備、医療装備のうち少なくとも一つに使用されてもよく、好ましくは、携帯電話、カメラ、ノートパソコン及びウェアラブル機器のうち少なくとも一つに使用されてもよい。
【0147】
一方、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、第1の段階ないし第4の段階を含む。
【0148】
まず、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第1の段階は、一面にネガティブ(negative)型の回路パターンが形成されたフレキシブルプリント回路基板を準備しうる。
【0149】
次に、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第2の段階は、
図2を参照して説明すると、回路パターンが形成された方向にフレキシブルプリント回路基板2及び回路パターン3をカバーリング(covering)しながら、フレキシブルプリント回路基板2に本発明のFPICフィルム1を接着させることができる。
【0150】
このとき、カバーリング(covering)を行う上で、80~120℃、好ましくは90~110℃の温度、1.5~5.5kg/cm2、好ましくは、2.5~4.5kg/cm2の圧力、0.5~3m/min、好ましくは、1.5~2.0m/minの速度条件で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0151】
次に、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第3の段階は、
図3を参照して説明すると、本発明のFPICフィルム1の一面にマスク(Mask)4を配置し、FPICフィルム1が接着された方向にフレキシブルプリント回路基板2を露光(light exposure)しうる。
【0152】
このとき、露光を行う上で、感度機(21段Stouffer Step Tablet)を位置させた後、感度6~9段、好ましくは、7~9段を得るための露光量で行うことができ、好ましくは、100~500mJ/cm2、さらに、好ましくは、200~300mJ/cm2の露光量で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0153】
最後に、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第4の段階は、
図4を参照して説明すると、露光したフレキシブルプリント回路基板2をアルカリ水溶液に浸漬させて現像しうる。
【0154】
アルカリ水溶液は、現像液として、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸カリウム(K2CO3)、及びリン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)の中から選ばれた1種以上を含んでいてもよく、好ましくは、炭酸ナトリウム(Na2CO3)を含んでいてもよい。
【0155】
また、現像を行う上で、25~35℃、好ましくは、28~32℃の温度、1.0~2.0kg/cm2、好ましくは、1.8~2.2kg/cm2のノズル(nozzle)圧力、1.5~3.5m/min、好ましくは、2.0~3.05m/minの速度条件で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0156】
このように、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、露光段階である第3の段階と現像段階である第4の段階の間に、一般的に感光性物質を加熱乾燥させる別途のPEB(post exposure bake)過程がない。これは、フレキシブルプリント回路基板の製造方法において、本発明のFPICフィルムを使用するためであり、PEB(post exposure bake)過程がなくても第3の段階を通じて、本発明のFPICフィルムが硬化されることができるためである。すなわち、本発明のFPICフィルムは、構成成分として感光性物質を含むが、第3の段階で本発明のFPICフィルムは、PEB(post exposure bake)過程が必要ないほど十分に硬化されることができるため、別途のPEB(post exposure bake)過程を経ていない。
【0157】
さらに、本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法は、第5の段階をさらに含んでいてもよい。
【0158】
本発明のフレキシブルプリント回路基板の製造方法の第5の段階は、前記現像したフレキシブルプリント回路基板を完全に硬化させることができる。
【0159】
このとき、硬化を行う上で、120~180℃、好ましくは140~160℃の温度で30~90分、好ましくは40~60分の間行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0160】
以上で、本発明に対して具現例を中心に説明したが、これは単に例示に過ぎず、本発明の具現例を限定するものではなく、本発明の実施例が属する分野の通常の知識を持つ者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上に例示されていないいくつかの変形と応用が可能であることが分かる。例えば、本発明の具現例に具体的に示された各構成要素は、変形して実施できるものである。そして、このような変形と応用に係る相違点は、添付された請求範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【0161】
準備例1:ポリイミド樹脂の製造
ポリエーテルアミン(Huntsman Co. Jeffamine ED-900)92.12g、下記化1-1で表される化合物0.957g、下記化2-1で表される化合物7.75g、及びn-メチルピロリドン(NMP)210gを25℃の温度で60分間混合してジアミン混合物を製造した。製造したジアミン混合物に、下記化4で表される化合物35.31gを投入して15分間攪拌した後、下記化5で表される化合物を4.86g投入して、4時間の間攪拌してポリアミック酸溶液を製造した。
【0162】
製造したポリアミック酸溶液にトルエン30mlをさらに投入した後、温度を200℃まで30分にわたって昇温し、3時間の間攪拌を行って、40重量%の固体成分を有し、粘度250cPs(25℃)、酸価180mgKOH/gであるポリイミド樹脂を製造した。このとき、トルエンは、発生した水を容易に除去するための共沸化合物として使用した。
【0163】
【0164】
【0165】
前記化2-1において、A及びBは、
であり、R
1及びR
2は、メチル基である。
【0166】
【0167】
【0168】
実施例1:FPICフィルムの製造
準備例1で製造したポリイミド樹脂1.84g、(メタ)アクリレート成分を5重量%含むポリウレタン樹脂(Samwha paint Co., 0103-C)8.38g、ヒドロキシケトン系光開始剤(Irgacure、Irg-184D)0.26g、熱硬化性樹脂であるクレゾールノボラック系エポキシ(Kukdo Chem. Co., YDCN-7P)1.03g、第1のアクリルオリゴマー樹脂である二官能性アクリルオリゴマー樹脂(Miwon Co., Miramer WS2100)3.08g、第2のアクリルオリゴマー樹脂であるイソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂(Miwon Co., SC7100NT)0.51g、及び溶媒であるMEK(methyl ethyl ketone)4.91gを混合して感光性接着樹脂を製造した。
【0169】
製造した感光性接着樹脂をベースフィルムである光学PET(厚さ:36μm)の一面に均一に塗布し、165℃の温度で5分間インラインドライングオーブン(in-line drying oven)を介して乾燥させて感光性接着層を形成した。
【0170】
その後、感光性接着層の一面に離型フィルムである離型PET(SKC Co., SG31-36μm)(厚さ:36μm)を合紙して、感光性接着層の一面には、光学PET、他面には、離型PETが積層されたFPICフィルムを製造した。このとき、感光性接着層は、乾燥後の厚さ30μmを有した。
【0171】
実施例2~9:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、表1及び表2に記載されたように、それぞれ第1のアクリルオリゴマー及び第2のアクリルオリゴマーの使用含量を異にしてFPICフィルムを製造した。
【0172】
実施例10:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、第1のアクリルオリゴマーとして二官能性アクリルオリゴマー樹脂の代わりにNIPPON KAYAKU社のアクリルオリゴマー樹脂製品であるR-712を使用してFPICフィルムを製造した。
【0173】
実施例11:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、第2のアクリルオリゴマーとしてイソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂の代わりにエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(Daicel-Orunekusu、EA-1020)を使用してFPICフィルムを製造した。
【0174】
比較例1:FPICフィルムの製造
準備例1で製造したポリイミド樹脂1.84g、(メタ)アクリレート成分を5重量%含むポリウレタン樹脂(Samwha paint Co., 0103-C)8.38g、ヒドロキシケトン系光開始剤(Irgacure、Irg-184D)0.26g、熱硬化性樹脂であるクレゾールノボラック系エポキシ(Kukdo Chem. Co., YDCN-7P)1.03g、第1のアクリルオリゴマー樹脂である二官能性アクリルオリゴマー樹脂(Miwon Co., Miramer WS2100)3.59g及び溶媒であるMEK(methyl ethyl ketone)4.91gを混合して感光性接着樹脂を製造した。
【0175】
製造した感光性接着樹脂をベースフィルムである光学PET(厚さ:36μm)の一面に均一に塗布し、165℃の温度で5分間インラインドライングオーブン(in-line drying oven)を介して乾燥させて感光性接着層を形成した。
【0176】
その後、感光性接着層の一面に離型フィルムである離型PET(SKC Co., SG31-36μm)(厚さ:36μm)を合紙して、感光性接着層の一面には、光学PET、他面には、離型PETが積層されたFPICフィルムを製造した。このとき、感光性接着層は、乾燥後の厚さ30μmを有した。
【0177】
比較例2:FPICフィルムの製造
準備例1で製造したポリイミド樹脂1.84g、(メタ)アクリレート成分を5重量%含むポリウレタン樹脂(Samwha paint Co., 0103-C)8.38g、ヒドロキシケトン系光開始剤(Irgacure、Irg-184D)0.26g、熱硬化性樹脂であるクレゾールノボラック系エポキシ(Kukdo Chem. Co., YDCN-7P)1.03g、第2のアクリルオリゴマー樹脂であるイソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂(Miwon Co., SC7100NT)3.59g及び溶媒であるMEK(methyl ethyl ketone)4.91gを混合して感光性接着樹脂を製造した。
【0178】
製造した感光性接着樹脂をベースフィルムである光学PET(厚さ:36μm)の一面に均一に塗布し、165℃の温度で5分間インラインドライングオーブン(in-line drying oven)を介して乾燥させて感光性接着層を形成した。
【0179】
その後、感光性接着層の一面に離型フィルムである離型PET(SKC Co., SG31-36μm)(厚さ:36μm)を合紙して、感光性接着層の一面には、光学PET、他面には、離型PETが積層されたFPICフィルムを製造した。このとき、感光性接着層は、乾燥後の厚さ30μmを有した。
【0180】
実施例12~15:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、表4に記載されたように、それぞれ、光開始剤の使用含量を異にしてFPICフィルムを製造した。
【0181】
実施例16:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、ヒドロキシケトン系光開始剤の代わりにオキシム系光開始剤(Basf、OXE-01)を使用してFPICフィルムを製造した。
【0182】
実施例17:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、ヒドロキシケトン系光開始剤の代わりにモノアシルホスフィン系光開始剤(Basf、Darocur TPO)を使用してFPICフィルムを製造した。
【0183】
比較例3:FPICフィルムの製造
準備例1で製造したポリイミド樹脂1.84g、(メタ)アクリレート成分を5重量%含むポリウレタン樹脂(Samwha paint Co., 0103-C)8.38g、熱硬化性樹脂であるクレゾールノボラック系エポキシ(Kukdo Chem. Co., YDCN-7P)1.03g、第1のアクリルオリゴマー樹脂である二官能性アクリルオリゴマー樹脂(Miwon Co., Miramer WS2100)3.08g、第2のアクリルオリゴマー樹脂であるイソシアネート基を含むアクリルオリゴマー樹脂(Miwon Co., SC7100NT)0.51g、及び溶媒であるMEK(methyl ethyl ketone)4.91gを混合して感光性接着樹脂を製造した。
【0184】
製造した感光性接着樹脂をベースフィルムである光学PET(厚さ:36μm)の一面に均一に塗布し、165℃の温度で5分間インラインドライングオーブン(in-line drying oven)を介して乾燥させて感光性接着層を形成した。
【0185】
その後、感光性接着層の一面に離型フィルムである離型PET(SKC Co., SG31-36μm)(厚さ:36μm)を合紙して、感光性接着層の一面には、光学PET、他面には、離型PETが積層されたFPICフィルムを製造した。このとき、感光性接着層は、乾燥後の厚さ30μmを有した。
【0186】
比較例4~5:FPICフィルムの製造
実施例1と同し方法でFPICフィルムを製造した。ただし、表5に記載されたように、それぞれ、光開始剤の使用含量を異にしてFPICフィルムを製造した。
【0187】
実験例1
前記実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムを、次のような物性評価法に基づいて評価を行い、その結果を表1~5に示した。
【0188】
(1)現象性、解像度
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面に回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、FPICフィルムの光学PET部分にHole 50、100、200μmのサイズで露光Maskを適用し、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。その後、弱アルカリ現像液(Na2CO3 1wt%、35℃、Dipping)で現像を行って、現像性の可否を評価した。また、現像後、光学顕微鏡を用いて回路パターンを観察したとき、未露光部を完全に除去できたライン幅間のスペース幅の最小幅(単位:μm)を測定することにより、解像度を測定した。解像度の評価は、数値が小さいほど良好な値である。
【0189】
(2)折り曲げ性(MIT)
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面にMIT L/S=50/50μm回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。CURE OVENで175℃の温度で2時間の間完全硬化(full cure)させて試験片を準備した。
【0190】
準備された試験片をMIT(Massachusetts Institute of Technology)試験機を使用して、下記条件で折り曲げを繰り返し実施し、導通が取れなくなるサイクル数(=回)を求めた。1回の評価において5つの試験片に対して試験を行い、導通が観測されなくなる平均値を計算した。
【0191】
*MIT試験条件*
荷重:500gf
角度:角対向135°
速度:175回/分
先端:R0.38mm円筒
【0192】
(3)鉛耐熱性
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面に回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、FPICフィルムの光学PETの部分にHole 50、100、200μmのサイズで露光Maskを適用し、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。その後、CURE OVENで175℃の温度で2時間の間完全硬化(full cure)させて試験片を準備した。
【0193】
準備された試験片を下記条件で調湿した後、260℃から320℃の溶融はんだに1分間浸漬した後、目視で観察して発泡や膨張などの異常がなければ合格とした。
【0194】
<測定条件>
(1)評価規格:IPCTM-650 2.4.13
(2)試料形状:15mm×30mm
(3)調湿条件:温度22.5℃ないし23.5℃、湿度39.5%ないし40.5%の環境下で24時間放置。
【0195】
(4)耐薬品性
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面に回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、FPICフィルムの光学PET部分にHole 50、100、200μmのサイズで露光Maskを適用し、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。その後、CURE OVENで175℃の温度で2時間の間完全硬化(full cure)させて試験片を準備した。
【0196】
準備された試験片を酸溶液(H2SO4 10vol%)、アルカリ溶液(NaOH 10%)、及びアルコール(IPA)に浸漬(25℃*30min)した後に外観の変化の有無を観察し、Cross Cut Test(Elcometer 99 tape、ASTM D 3359)に接着した後に剥離して脱落の可否を確認して、耐薬品性を測定した。
【0197】
(5)接着力
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面に回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。その後、CURE OVENで175℃の温度で2時間の間完全硬化(full cure)させて試験片を準備した。
【0198】
Cross Cut Test(Elcometer 99 tape、ASTM D 3359)に接着した後に剥離して脱落の可否を確認して、接着力を測定した。
【0199】
(6)ホールプラッギング(hole plugging)性
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、Copperの厚さ30μmにL/S=60~160μmの間隔で回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、光学顕微鏡を用いてパターン間の空隙、回路の浮き上がりの可否を目視で観察して充填特性を判断した。
【0200】
(7)耐Migration
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面にL/S=50/50μmで回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。その後、CURE OVENで175℃の温度で2時間の間完全硬化(full cure)させて試験片を準備した。
【0201】
回路パターンと電流印加用電線を半田付けして、85℃/85%RH 50Vの条件の下で絶縁抵抗を測定した。絶縁抵抗の特性は、1×10^9以上、1000hr維持の際、耐Migration特性が良好であると判断した。
【0202】
(8)曲げ成形性(bendability)
実施例及び比較例で製造されたFPICフィルムの離型PETを除去した後、一面に回路パターンが形成されているCCL(Copper Clad Laminate)面にラミネート加工(Roll Lami. 60℃)を行った。その後、マイダスシステムを用いて(MDA-400S Aligner 200mJ/cm2)露光処理した。その後、CURE OVENで175℃の温度で2時間の間完全硬化(full cure)させて試験片を準備した。
【0203】
Bendability測定装備を用いて試験片が180度で押されてから広げた時、回路の短絡のない回数を5回繰り返し測定して、平均値で曲げ成形性を判断した。
【0204】
【0205】
前記表1から確認できるように、実施例1~5で製造されたFPICフィルムの中から実施例1で製造されたFPICフィルムが現像性、解像度、折り曲げ性、耐薬品性、接着力、ホールプラッギング性、耐Migrantion、曲げ成形性などの物性が最も優れていることを確認できた。
【0206】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例2で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪くなり、折り曲げ性に劣り、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0207】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例3で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、耐薬品性が不良であるだけでなく、接着力が低下し、ホールプラッギング性が著しく高くなり、耐Migration、曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0208】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例4で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪くなり、折り曲げ性に劣り、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0209】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例5で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性が著しく劣るだけでなく、鉛耐熱性が低下し、接着力が低下し、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、及び曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0210】
【0211】
前記表2から確認できるように、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例6で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪く、折り曲げ性に劣り、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0212】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例7で製造されたFPICフィルムは、解像度が著しく悪く、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、耐薬品性が不良であるだけでなく、接着力が低下し、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0213】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例8で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪く、折り曲げ性が劣り、鉛耐熱性が低下し、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0214】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例9で製造されたFPICフィルムは、解像度が著しく悪く、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、ホールプラッギング性が著しく高くなり、耐Migration、曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【表3】
【0215】
前記表3から確認できるように、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例10で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性に劣り、耐薬品性が不良であり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0216】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例11で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪く、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0217】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、比較例1で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪く、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が著しく低下し、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0218】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、比較例2で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性に著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、耐薬品性が不良であるだけでなく、接着力が低下し、ホールプラッギング性が著しく高くなり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0219】
【0220】
前記表4から確認できるように、実施例1、実施例12~15で製造されたFPICフィルムのうち、実施例1で製造されたFPICフィルムが、現像性、解像度、折り曲げ性、耐薬品性、接着力、ホールプラッギング性、耐Migration、曲げ成形性などの物性が最も優れていることを確認できた。
【0221】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例12で製造されたFPICフィルムは、折り曲げ性が劣り、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0222】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例13で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性が著しく劣り、耐薬品性が不良であるだけでなく、接着力が浮き上がり状態となり、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0223】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例14で製造されたFPICフィルムは、折り曲げ性が劣り、耐Migration及び曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0224】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例15で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が悪く、折り曲げ性が著しく劣るだけでなく、鉛耐熱性が低下し、ホールプラッギング性が著しく高くなり、耐Migration及び曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0225】
【0226】
前記表5から確認できるように、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例16で製造されたFPICフィルムは、解像度が悪く、折り曲げ性が著しく劣り、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が低下することを確認できた。
【0227】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、実施例17で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性が劣り、鉛耐熱性が低下し、耐薬品性が不良であるだけでなく、接着力が低下し、ホールプラッギング性が高くなり、耐Migration、曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0228】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、比較例3で製造されたFPICフィルムは、解像度が著しく悪くて測定が不可能であり、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、耐薬品性が不良であり、接着力が著しく悪くて測定が不可能であり、耐Migration及び曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0229】
また、実施例1で製造されたFPICフィルムと比較して、比較例4及び5で製造されたFPICフィルムは、現像性及び解像度が著しく悪く、折り曲げ性が著しく劣り、鉛耐熱性が低下し、ホールプラッギング性が著しく高くなり、耐Migration及び曲げ成形性が著しく低下することを確認できた。
【0230】
本発明の単純な変形や変更は、この分野の通常の知識を持つ者によって容易に実施することができ、このような変形や変更は、すべて本発明の範囲に含まれるものと考えられる。