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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】外科用ドレープおよび外科用システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 46/10 20160101AFI20220713BHJP
【FI】
A61B46/10
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019504801
(86)(22)【出願日】2017-07-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 GB2017052193
(87)【国際公開番号】W WO2018020252
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-07-21
(31)【優先権主張番号】1613093.2
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1615918.8
(32)【優先日】2016-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,キース
(72)【発明者】
【氏名】フールチャンド,ニッキ プリヤム ス-リン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,トーマス ベイツ
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0173726(US,A1)
【文献】特表2019-512319(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0170519(US,A1)
【文献】国際公開第2010/081050(WO,A1)
【文献】特表2013-530738(JP,A)
【文献】国際公開第2016/081286(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/10
34/30 - 34/37
50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットアームの少なくとも一部を覆う外科用ドレープであって、該アームが、少なくとも1つの駆動装置インターフェースエレメントを含んで構成されており、該駆動装置インターフェースエレメントが、該アームおよび該アームと係合可能な器具との間で駆動を伝達するものであり
ドレープが、前記器具が前記アームと係合しているときに該アームと該器具の間に配置可能であり、前記ドレープの前記ロボットアーム側に取り付けられた第1の部分と前記ドレープの前記器具側に取り付けられた第2の部分を有し、前記駆動装置インターフェースエレメントと係合可能である駆動伝達エレメントを含んで構成されているインターフェース部と、前記インターフェース部を取り囲むバルク部と、を含んで構成されており、
前記インターフェース部と前記バルク部が互いに隣り合っていると共に
前記インターフェース部は、前記ドレープにおいて、前記器具が前記アームと係合しているときに該アームと該器具の間に捕捉される捕捉部分に設けられており、
該インターフェース部が、少なくとも一方向において前記バルク部よりも優先的に変形可能に構成されており、それによって前記インターフェース部の一部が該バルク部に対して反復可能な直線移動を許容されていることを特徴とする外科用ドレープ。
【請求項2】
前記インターフェース部が可動部を含んで構成されており、該可動部が前記バルク部に対して移動可能とされている請求項1に記載の外科用ドレープ。
【請求項3】
前記バルク部が、前記インターフェース部を完全に取り囲んでいる請求項1または2に記載の外科用ドレープ。
【請求項4】
前記インターフェース部の素材が、織物素材および弾性素材のうちの少なくとも一方である請求項1~3の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項5】
前記インターフェース部が前記ドレープのだぶついた部分を含んで構成されている請求項1~4の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項6】
前記インターフェース部が、前記ドレープの素材内の張力を少なくとも部分的に制御するように構成されたしわ制御部を含んで構成されている請求項1~5の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項7】
前記しわ制御部が前記可動部を含んで構成されている請求項2に従属する場合の請求項6に記載の外科用ドレープ。
【請求項8】
前記しわ制御部が蛇腹部を含んで構成されており、該蛇腹部が拡張状態と収縮状態との間で構成可能である請求項6または7に記載の外科用ドレープ。
【請求項9】
前記蛇腹部が、前記拡張状態および前記収縮状態のうちの一方に付勢されている請求項8に記載の外科用ドレープ。
【請求項10】
前記しわ制御部が、前記可動部の素材の巻き取りおよび繰り出しのうちの少なくとも一方のためのリールを含んで構成されている請求項2に従属する場合の請求項6~9の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項11】
前記リールが、回転方向に偏倚されているか駆動可能であるかの少なくとも一方である請求項10に記載の外科用ドレープ。
【請求項12】
前記しわ制御部が、前記インターフェース部の他の部分より変形強度が強化された部分を含んで構成されており、前記インターフェース部の前記他の部分が前記インターフェース部への変形力の作用下で優先的な変形を可能にするように構成されている請求項6~11の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項13】
前記強化された部分が、強化されていない部分の周囲の少なくとも一部を形成する請求項12に記載の外科用ドレープ。
【請求項14】
前記ドレープが複数の前記駆動装置インターフェースエレメントと係合するように構成されており、該ドレープは、該複数の駆動装置インターフェースエレメントのそれぞれに対応する前記しわ制御部を含んで構成されている請求項6~13の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項15】
前記可動部が第1のドレープ部と第2のドレープ部とを含んで構成されており、該第1のドレープ部と該第2のドレープ部とが接合線に沿って互いに解除可能に係合可能とされていることにより、第1のドレープ部と第2のドレープ部との間の隙間が該接合線に沿って移動可能とされている請求項2および請求項2に従属する場合の請求項3,4に記載の外科用ドレープ。
【請求項16】
前記ドレープが、該ドレープ内の張力および該ドレープに及ぼされる力のうちの少なくとも一方を検知するセンサを含んで構成されている請求項1~1の何れか1項に記載の外科用ドレープ。
【請求項17】
請求項1~1の何れか1項に記載の外科用ドレープと、制御ユニットと、センサとを含んで構成されている外科用システムであって、該センサが、該ドレープ内の張力および該ドレープに及ぼされる力のうちの少なくとも一方を検知して該制御ユニットに信号を送信するように構成されていると共に、該制御ユニットが、該信号に応じて該ドレープ内の張力および該ドレープに及ぼされる力のうちの少なくとも一方を決定するように構成されていることを特徴とする外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
手術を補助し実行するためにロボットを使用することが知られている。図1は外科用ロボット100を示しており、ベース108、アーム102、およびエンドエフェクタ106を含んで構成される器具105で構成されている。ベース108はロボット100を支持し、それ自体は、例えば手術室の床、手術室の天井、またはトロリーに強固に取り付けられている。アーム102は、ベース108と器具105の間に延在している。アーム102は、その全長に沿って複数の可撓性ジョイント103によって関節連結されており、これらの可撓性ジョイント103は、外科用器具105を患者101に対して所望の位置に配置するために使用される。外科用器具105は、ロボットアーム102の遠位端104に取り付けられている。外科用器具105は、手術部位にアクセスするためにポート107で患者101の身体を貫通する。器具105は、その遠位端において、医療処置に従事するエンドエフェクタ106を含んでいる。
【0002】
ロボットアーム102は、外科用ドレープ109によって覆われており、外科用器具105(滅菌されていなければならない)とロボットアーム102(滅菌されていなくてもよい)との間に滅菌境界が設けられる。ドレープ109は、ロボットアーム102と、アーム102が位置する滅菌フィールド(例えば手術室)との間に、境界を提供する。
【0003】
図2は、ロボット腹腔鏡手術を行うための代表的な外科用器具200を示している。外科用器具200は、外科用器具200がロボットアーム102に接続するための器具ベース201を備えている。シャフト202は、器具ベース201と関節203の間に延在している。関節203は、エンドエフェクタ204で終端している。図2では、一対の鋸歯状の顎部がエンドエフェクタ204として例示されている。関節203は、エンドエフェクタ204がシャフト202に対して動くことを可能にしている。関節203によってエンドエフェクタ204の動きに少なくとも2つの自由度が与えられていることが望ましい。
【0004】
関節203は、器具200内ではなくロボットアーム102内に収容された1つ以上のモータによって動力を供給される駆動装置によって機械的に駆動され得る。機械的駆動は、外科用ドレープ109を介して器具200に接続または連結される必要がある。
【0005】
外科用ドレープ109を通る機械的駆動装置の接続は、ドレープ109によって提供される滅菌バリアを維持しようと試みるときに支障をきたす。改善された外科用ドレープの必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、外科用ロボットアームの少なくとも一部を覆う外科用ドレープであって、該アームが、少なくとも1つの駆動装置インターフェースエレメントを含んで構成されており、該駆動装置インターフェースエレメントが、該アームおよび該アームと係合可能な器具との間で駆動を伝達するものであり、該ドレープが、前記器具が前記アームと係合しているときに該アームと該器具の間に配置可能なインターフェース部と、前記インターフェース部を取り囲むバルク部と、を含んで構成されており、前記インターフェース部と前記バルク部が互いに隣り合っていると共に、該インターフェース部が、少なくとも一方向において前記バルク部のモジュラスよりも低いモジュラスを有する1つ以上の素材または形状と、前記バルク部に対して移動可能な可動部とを含んで構成されており、それによって前記インターフェース部の一部が該バルク部に対して反復可能な移動を許容されていることを特徴とする外科用ドレープである。
【0007】
適切には、前記バルク部が、前記インターフェース部を完全に取り囲んでいる。適切には、前記インターフェース部の素材が、織物素材および弾性素材のうちの少なくとも一方である。適切には、前記インターフェース部が前記ドレープの拘束されていない部分を含んで構成されている。
【0008】
適切には、前記インターフェース部が、前記ドレープの素材内の張力を少なくとも部分的に制御するように構成されたしわ制御部を含んで構成されている。適切には、前記しわ制御部が前記可動部を含んで構成されている。
【0009】
適切には、前記しわ制御部が蛇腹部を含んで構成されており、該蛇腹部が拡張状態と収縮状態との間で構成可能である。
【0010】
適切には、前記蛇腹部が、前記拡張状態および前記収縮状態のうちの一方に付勢されている。
【0011】
適切には、前記しわ制御部が、前記可動部の素材の巻き取りおよび繰り出しのうちの少なくとも一方のためのリールを含んで構成されている。適切には、前記リールが、回転方向に偏倚されているか駆動可能であるかの少なくとも一方である。
【0012】
適切には、前記しわ制御部が強化された部分を含んで構成されており、該強化された部分が力の作用下で前記インターフェース部の優先的な変形を可能にするように構成されている。適切には、前記強化された部分が、強化されていない部分の周囲の少なくとも一部を形成する。
【0013】
適切には、前記ドレープが複数の前記駆動装置インターフェースエレメントと係合するように構成されており、該ドレープは、該複数の駆動装置インターフェースエレメントのそれぞれに対応する前記しわ制御部を含んで構成されている。
【0014】
適切には、前記インターフェース部が、前記駆動装置インターフェースエレメントと係合可能な駆動伝達エレメントを含んで構成されている。適切には、前記駆動伝達エレメントが、前記ドレープの両側に取り付けられた部分を含んで構成されている。
【0015】
適切には、前記可動部が第1のドレープ部と第2のドレープ部とを含んで構成されており、該第1のドレープ部と該第2のドレープ部とが接合線に沿って互いに解除可能に係合可能とされていることにより、第1のドレープ部と第2のドレープ部との間の隙間が該接合線に沿って移動可能とされている。
【0016】
適切には、前記ドレープが、該ドレープ内の張力および該ドレープに及ぼされる力のうちの少なくとも一方を検知するセンサを含んで構成されている。
【0017】
本発明の別の態様は、上記に定義された外科用ドレープと、制御ユニットと、センサとを含んで構成されている外科用システムであって、該センサが、該ドレープ内の張力および該ドレープに及ぼされる力のうちの少なくとも一方を検知して該制御ユニットに信号を送信するように構成されていると共に、該制御ユニットが、該信号に応じて該ドレープ内の張力および該ドレープに及ぼされる力のうちの少なくとも一方を決定するように構成されていることを特徴とする外科用システムである。
【0018】
上記の任意の態様における任意の1つ以上の特徴を、上記の他の任意の態様における任意の1つ以上の特徴と組み合わせてもよい。可能であれば、いかなる装置の特徴も方法の特徴として記述することができ、またその逆も可能である。これらは、あくまでも簡潔さのために、本明細書において完全に詳しくは記述されていない。
【0019】
この「発明の概要」は、簡略化した形で概念の選択を紹介するために提供されるものであり、以下の「発明を実施するための形態」においてさらに説明されている。この「発明の概要」における特徴の言及は、それらが本発明または特許請求の範囲に記載の主題の重要な特徴または必須の特徴であることを示すものではなく、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を限定するものと解釈されるべきでもない。
【0020】
以下、本発明を、添付図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】外科的処置を実行している外科用ロボットを示す図。
図2図1に示す外科用ロボットと共に使用されるエンドエフェクタを示す図。
図3】外科用ロボットを示す図。
図4】外科用ロボットアームの駆動装置インターフェースを示す図。
図5】外科用器具の器具インターフェースを示す図。
図6】外科用ドレープの一部を示す図。
図7a】しわ制御部を概略的に示す側面図。
図7b図7aに示すしわ制御部を概略的に示す平面図。
図8】別のしわ制御部を示す図。
図9】外科用ドレープのインターフェース部の区画を示す図。
図10】インターフェース部の接合機構を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図3に、ベース301から延びるアーム300を有する外科用ロボットを示す。アーム300は、多数の剛性の肢302を含んで構成されている。肢は、回転ジョイント303によって連結されている。最も近位側の肢302aは、近位側ジョイント303aによってベース301に連結されている。肢302aと他の肢は、さらに別のジョイント303によって直列に連結されている。適切には、リスト304は4つの個々の回転ジョイントによって構成される。リスト304は、1つの肢(302b)をアームの最遠位肢(302c)に連結する。最遠位肢302cは、外科用器具306用のアタッチメント305を担持する。アーム300の各ジョイント303は、それぞれのジョイントで回転運動を引き起こすように操作可能な1つ以上のモータ307と、当該ジョイントにおける現在の構成および/または荷重に関する情報を提供する1つ以上の位置および/またはトルクセンサ308とを有する。適切には、モータ307は、運動を駆動するジョイント303の近位に配置されて、重量分布を改善する。わかりやすくするために、図3には一部のモータとセンサのみを示す。アームは、一般に、本出願人の同時係属中の特許出願PCT/GB2014/053523に記載されているものであってもよい。
【0023】
アーム300は、器具306と整合するためのアタッチメント305で終端する。適切には、器具306は図2に関して説明した形態をとる。器具306は8mm未満の直径を有する。適切には、器具306は5mmの直径を有する。器具306は5mm未満の直径を有してもよい。器具306の直径はシャフトの直径とされていてもよい。器具306の直径は、関節の外形の直径とされていてもよい。適切には、関節の外形の直径は、シャフトの直径と一致するか、またはそれよりも小さくされる。アタッチメント305は、器具306の関節を駆動するための駆動装置を含んで構成されている。駆動装置インターフェースの可動インターフェースエレメントは、ロボットアームから器具に駆動を伝達するために、器具インターフェースの対応する可動インターフェースエレメントと機械的に係合する。一般的な手術では、1つの器具を他の機器と数回交換する。従って、器具は、手術中にロボットアームに着脱可能とされている。駆動装置インターフェースおよび器具インターフェースの機能によって、互いに係合したときにそれらの位置合わせが促進され、使用者によって位置合わせが必要となる精度が低減される。
【0024】
器具306は、手術を実行するためのエンドエフェクタを含んで構成されている。エンドエフェクタは任意の適切な形態を取り得る。例えば、エンドエフェクタは、滑らかな顎部、鋸歯状の顎部、グリップ部、一対の鋏、縫合用針、カメラ、レーザー、ナイフ、ステープラー、焼灼器、吸引器、であってもよい。図2に関して説明したように、器具は器具シャフトとエンドエフェクタとの間の関節を含んで構成されている。関節は、エンドエフェクタが器具のシャフトに対して動くことを可能にするいくつかのジョイントを備えている。関節のジョイントは、ケーブルなどの駆動エレメントによって駆動される。これらの駆動エレメントは、器具シャフトの他端において器具インターフェースのインターフェースエレメントに固定されている。従って、ロボットアームは次のように駆動をエンドエフェクタに伝達する。即ち、駆動装置インターフェースエレメントの動作が器具インターフェースエレメントを動作させ、それが駆動エレメントを動作させ、それが関節のジョイントを動作させ、それによってエンドエフェクタが動作するのである。
【0025】
モータ、トルクセンサ、エンコーダ用のコントローラはロボットアーム内に配置されている。コントローラは、通信バスを介して制御ユニット309に接続されている。制御ユニット309は、プロセッサ310とメモリ311を備えている。メモリ311は、モータ307の動作を制御してアーム300をここに記載されているように動作するように、プロセッサ310によって実行可能なソフトウェアを非過渡的に記憶している。特に、ソフトウェアは、プロセッサ310を制御して、モータ307(例えば、配置されたコントローラを介して)をセンサ308からの入力および外科医コマンドインターフェース312からの入力に応じて駆動することができる。制御ユニット309は、ソフトウェアの実行により生成された出力に応じてそれらを駆動するために、モータ307に連結されている。制御ユニット309は、センサ308からの検知された入力を受け取るためにセンサ308に連結されていると共に、それからの入力を受け取るためにコマンドインターフェース312に連結されている。それぞれの連結は、例えば、それぞれが電気ケーブルまたは光ケーブルであってもよいし、無線接続であってもよい。コマンドインターフェース312は、使用者が所望の方法でエンドエフェクタの動きを要請できる1つ以上の入力装置を備えている。入力装置は、例えば、コントロールハンドルやジョイスティック等の手動で操作可能な機械式入力装置や、光学式ジェスチャーセンサ等の非接触入力装置であってもよい。メモリ311に記憶されたソフトウェアは、これらの入力に応答し、それに応じて所定の制御手順に従ってアーム300および器具306のジョイントを動作させるように構成されている。制御手順は、コマンド入力に応答してアーム300および器具306の動きを加減する安全機能を含んでいてもよい。従って、要約すると、外科医は、コマンドインターフェース312で器具306を制御して、所望の外科的処置を実行するように動かすことができる。制御ユニット309および/またはコマンドインターフェース312は、アーム300から離れていてもよい。
【0026】
図4および図5に、ロボットアームから器具に駆動を伝達するための駆動装置インターフェースと器具インターフェースとの例示的な機械的相互接続を示す。図4は、ロボットアーム404の端部における例示的な駆動装置インターフェース400を示している。駆動装置インターフェース400は、複数の駆動装置インターフェースエレメント401,402,403を含んで構成されている。駆動装置インターフェースエレメント401,402,403は、駆動装置インターフェース400上の表面406,407,408から突出している。駆動装置インターフェースエレメント401,402,403が駆動装置インターフェース400から突出していることにより、後述するように、駆動装置インターフェースエレメントと対応する器具インターフェースエレメントとの係合が可能とされている。図示の例では、突出部はフィンの形をしている。他の実施形態では、他の種類の突出部を設けることができる。適切には、駆動装置インターフェースエレメントは、金属等の硬い材料を含んで構成されている。適切には、突出部は金属等の硬い材料から形成される。好ましくは、駆動装置インターフェースエレメントは、金属などの剛性材料から形成される。
【0027】
突出部(図示の例ではフィン)は、それらの遠位端に面取り部414を備える。面取り部414は、後述するように、突出部の、対応する凹部への係合を容易にする。他の例では、突出部の遠位端に丸みを帯びた角を設けることができる。面取りされた部分の縁は丸みを帯びていてもよい。
【0028】
フィンは表面406,407,408を貫通して延びている。表面から突出しているフィンの部分は、表面の平面に対して垂直である。他の例では、フィンは、垂直から10度の範囲内の方向に突出していてもよい。好ましくは、フィンが延びる方向は、垂直から5度の範囲内または2度の範囲内である。
【0029】
図4は、3つの駆動装置インターフェースエレメント401,402,403を示している。他の例では、駆動装置インターフェースエレメントは、3つより多くてもよいし、少なくてもよい。駆動装置インターフェースエレメント401,402,403は、線状経路409,410,411に沿って駆動装置インターフェース400内で移動可能である。経路409,410,411は互いに平行であってもよい。適切には、少なくとも2つの経路は平行とされる。経路は互いに正確に平行である必要はない。経路をどれだけ厳密に位置合わせする必要があるかについては、ある程度の公差があってもよい。例えば、経路は互いから10度以内にあってもよい。経路は、10度の範囲内でそれぞれの方向に延びることができる。好ましくは、経路は互いから5度以内、または互いから2度もしくは1度以内にある。経路は、5度の範囲内、あるいは好ましくは2度または1度の範囲内でそれぞれの方向に延びることができる。
【0030】
このように経路を整列させることは、対応する機構をよりコンパクトに提供するのに役立ち得る。例えば、これらの機構は、互いに並んで移動するように配置することができ、それによって機構をより密接に一緒に配置することが可能になる。
【0031】
図示の例では、線状経路409,410,411は2つの平行平面上に配設されている。中央の線状経路410は、外側の2つの線状経路409,411が配設されている平面と比較して、駆動装置インターフェース400に入り込んで設定された平面407上に配置されている。この配置により、駆動装置インターフェース400と器具インターフェース500との間のよりコンパクトな整合が可能になる。
【0032】
他の実施形態では、3つの線状経路409,410,411を同じ平面上に配設することも、全て異なる平面上に配設することもできる。また別の例では、外側の2つの線状経路409、411は、中央の線状経路410が配設されている平面と比較して、駆動装置インターフェース400に入り込んで設定された平面上に配設される。異なる数の駆動装置インターフェースエレメントを用いた実施形態では、経路が配設される平面の異なる構成が可能である。
【0033】
次に図5を参照すると、器具のシャフト501は器具インターフェース500で終端している。器具インターフェース500は、複数の器具インターフェースエレメント(そのうちの1つが図5に502で示されている)を含んで構成されている。適切には、器具インターフェースエレメントは、金属等の硬い材料を含んで構成されている。適切には、器具インターフェースエレメントは、金属等の硬い材料から形成されている。対となる駆動エレメント(そのような一対が503,504で示されている)は、シャフト501の端部から器具インターフェース500内に延びている。駆動エレメントの各対は、器具インターフェースエレメントのうちの1つで終端する。図5に示す例では、駆動エレメントの対503,504は器具インターフェースエレメント502で終端する。同様に、他の駆動エレメントの対は対応する器具インターフェースエレメントで終端する。
【0034】
図示の例では、3つの器具インターフェースエレメントで終端する3つの駆動エレメントの対がある。他の例では、器具インターフェースエレメントは、3つより多くてもよいし、少なくてもよい。駆動エレメントの対は、3つより多くてもよいし、少なくてもよい。図5では、器具インターフェースエレメントと駆動エレメントの対の間に1対1の関係がある。他の例では、器具インターフェースエレメントと駆動エレメントの対との間に他の任意の連結関係があり得る。例えば、1つの器具インターフェースエレメントが、二対以上の駆動エレメントを駆動してもよい。別の例では、2つ以上の器具インターフェースエレメントが一対の駆動エレメントを駆動してもよい。
【0035】
各器具インターフェースエレメント502は、凹部、すなわちカップ505を含んで構成されており、このカップ505が、器具インターフェースエレメントにおいて駆動装置インターフェースエレメントと係合可能な部分である。
【0036】
器具インターフェースエレメントは器具インターフェース内で変位可能である。図示の例では、器具インターフェースエレメントはレールに沿って摺動可能である。器具インターフェースエレメント502はレール506に沿って摺動可能である。各器具インターフェースエレメントは、その器具インターフェースエレメントが係留している一対の駆動エレメントの伸長方向と平行な方向に沿って変位可能である。各器具インターフェースエレメントは、器具シャフト501の長手方向軸512に平行な方向に変位可能である。器具インターフェースエレメントがそれぞれのレールに沿って移動すると、当該器具インターフェースエレメントに固定された駆動エレメントの対がそれに対応して動くこととなる。従って、器具インターフェースエレメントを動かすことにより、駆動エレメントの対の動き、ひいては器具のジョイントの動きが駆動される。
【0037】
駆動装置インターフェース400は器具インターフェース500と嵌合する。器具インターフェース500は、駆動装置インターフェースエレメント401,402,403を受容するための構造を含んで構成されている。具体的には、器具インターフェースエレメントが駆動装置インターフェースエレメントを受容する。図示の例では、各器具インターフェースエレメントは、対応する駆動装置インターフェースエレメントのフィンを受容するためのソケット、すなわちカップ505を備えている。ある器具インターフェースエレメント502のソケット505は、対応する駆動装置インターフェースエレメント402のフィンを受容する。同様に、他の器具インターフェースエレメントのソケットは他の駆動装置インターフェースエレメントのフィンを受容する。
【0038】
各駆動装置インターフェースエレメントは、駆動装置内で変位可能である。この変位は駆動によって行われる。例えば、変位は、モータとリードスクリューの構成によって駆動されてもよい。
【0039】
各駆動装置インターフェースエレメントは、ロボットアームの末端リンクの長手方向軸413に平行な方向に沿って変位可能である。駆動装置インターフェースエレメントが移動すると、当該駆動装置インターフェースエレメントが係合している器具インターフェースエレメントがそれに対応して動くこととなる。従って、駆動装置インターフェースエレメントの動きを駆動することにより、器具のエンドエフェクタの関節を駆動する器具インターフェースエレメントの動きが駆動される。
【0040】
表面から突出しているフィンの部分は、駆動装置インターフェースエレメントの移動方向に位置合わせされた前面および後面を備えている。ここにおいて、前後とは、前面が移動方向を向き、後面が移動方向とは離れた方向を向くときの一方向への移動について言う。駆動装置インターフェースエレメントが反対方向に移動すると、前面は移動方向とは離れた方向を向き、後面は移動方向を向くようになる。
【0041】
駆動装置インターフェースエレメントの前面および後面は、駆動装置インターフェースエレメントが駆動によって移動可能とされる方向と交差している。駆動装置インターフェースエレメントの前面および後面は、フィンが表面から突出する方向と平行である。前面および後面は、この方向と正確に平行である必要はないが、好ましくはこの方向から10度の範囲内、または5度の範囲内、あるいはより好ましくは2度の範囲内にある。
【0042】
ソケット505は、器具インターフェースエレメントが移動可能とされる方向と交差する内面を備えている。内面は、この方向と正確に交差する必要はないが、好ましくはこの方向と交差する方向から10度の範囲内、または5度の範囲内、あるいはより好ましくは2度の範囲内にある。
【0043】
図示の例では、器具インターフェースエレメントの内面と駆動装置インターフェースエレメントの前面および後面とは互いに平行である。これにより、エレメント間における駆動の転移が容易となり得る。
【0044】
器具インターフェース500が駆動装置インターフェース400と係合すると、駆動装置インターフェースエレメントはそれぞれの器具インターフェースエレメントによって係留される。器具インターフェースエレメントおよび駆動装置インターフェースエレメントは全て同じ方向に変位可能である。この方向は、ロボットアーム404の末端リンクの長手方向軸413と器具シャフト501の長手方向軸512の両方と平行である。
【0045】
従って、図示の例では、線形駆動が駆動装置400と器具との間で伝達される。他の例では、駆動は線形駆動である必要はない。例えば、駆動は回転駆動、または円弧周りの駆動であってもよい。
【0046】
手術または外科的処置の間、外科用ロボットは滅菌ドレープ(その一例が図6aに示されている)で覆われて、非滅菌外科用ロボットと滅菌手術環境との間に滅菌バリアを提供する。そうすると、ドレープで覆われているロボットの部分は滅菌される必要はない。外科用器具は、外科用ロボットに取り付けられる前に滅菌される。滅菌ドレープは、一般的には、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるプラスチックシートで構成されている。適切には、ドレープは可撓性を有し、および/または変形可能である。これにより、外科的処置中にロボットアームおよび/または器具の位置および/または動きに干渉することなく、ドレープがロボットアームを覆い易くなり得る。
【0047】
滅菌ドレープ600は、駆動装置インターフェース400と器具インターフェース500との間を適切に通過する。器具(外科的処置で使用するために滅菌されている)とロボットアーム(通常は滅菌されない)との間に滅菌バリアを維持するために、外科用ドレープ600が駆動装置インターフェース400と器具インターフェース500との間に設けられる。器具インターフェース500を駆動装置インターフェース400と係合させることにより、器具インターフェース500と駆動装置インターフェース400との間にあるドレープの一部が捕捉されることとなる。
【0048】
滅菌ドレープは、駆動装置と器具インターフェースとの間にバリアを形成する。このバリアは完全に気密である必要はないが、適切には実質的に気密である。
【0049】
フィンとソケットとの間、より広くは駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間の係合は、ドレープの捕捉部分を介して行われる。捕捉された部分は、駆動装置および器具インターフェースに対する駆動装置インターフェースエレメントおよび器具インターフェースエレメントの動きを許容し、駆動を伝達するが、そのような動きがドレープの完全性に悪影響を及ぼさないようにすることが適切である。ドレープの完全性を維持することで、滅菌バリアが損なわれないことが確実になる。
【0050】
図示の例では、駆動装置インターフェースエレメントは突出部(すなわちフィン)を含んで構成されており、器具インターフェースエレメントは凹部(すなわちソケット)を含んで構成されている。いくつかの例では、器具インターフェースエレメントが突出部を備え、駆動装置インターフェースエレメントが凹部を備えていてもよい。他の例では、それらの組み合わせが可能である。すなわち、1つ以上の駆動装置インターフェースエレメントが突出部を備え、別の1つ以上の駆動装置インターフェースエレメントが凹部を備えているとともに、対応する1つ以上の器具インターフェースエレメントが凹部を備え、別の1つ以上の器具インターフェースエレメントが突出部を備えていてもよい。
【0051】
突出部と凹部との間の係合は、場合によっては、器具インターフェースと駆動装置インターフェースとの間でピンと張られた状態で保持されたドレープを引き裂く、破る、もしくは破裂させる可能性があり、それにより、場合によっては滅菌バリアが損なわれる可能性がある。ドレープが直ちに引き裂かれたり破けたりしなくても、駆動を伝達する際の駆動装置インターフェースエレメントの移動によって、ドレープが引き裂かれたり、破れたり、もしくは破裂する場合がある。滅菌バリアは、ドレープが破裂することに加えて、またはそれに替えて、時間の経過とともにドレープが薄くなる、またはすり減ることによっても損なわれ得る。面取り部414を設けること、および/または突出部の端部に向かって丸みを設けることによって、突出部と凹部との間に捕捉された際にドレープに損傷が生じる可能性を低減することができる。
【0052】
ドレープが破れる可能性に加えて、ドレープの変形により、1つ以上のインターフェースエレメントに力が及ぼされ、その力がインターフェースエレメントに対し、例えばその動きに影響を及ぼすことによって影響を及ぼす可能性もある。これにより、インターフェース、またはロボット全体の性能が低下する可能性がある。例えば、ドレープによってインターフェースエレメントに及ぼされる力は、駆動装置によって供給される駆動の作用下でのインターフェースエレメントの自由な動きを制限し得る。ドレープによってインターフェースエレメントに及ぼされる力はまた、1つ以上のインターフェースエレメントに及ぼされる力を検知し得るフォースフィードバック測定に影響を及ぼし得る。従って、ドレープが引き起こす力により、そのようなフォースフィードバック測定において誤差が生じる可能性がある。
【0053】
滅菌バリアが損なわれるのを回避または制限するために、図6aに示すように、ドレープ600にはインターフェース部602が設けられている。捕捉部分はインターフェース部602を含んで構成されていてもよい。インターフェース部602は、ドレープ600のバルク部601によって取り囲まれる、すなわち包囲されるものとして示されている。適切には、バルク部601はインターフェース部602を完全に取り囲んでいる。バルク部601は、インターフェース部602と隣り合って設けられている。適切には、バルク部601はインターフェース部602に当接または隣接している。適切には、ドレープ600はインターフェース部602とバルク部601とに亘って連続している。一般的に、このようにインターフェース部602がバルク部601内にあることが最も都合がよく、それによってバルク部601がインターフェース部602から離れるように延びてロボットアームを覆うことが可能になる。適切には、バルク部601はプラスチックシートを含んで構成されている。
【0054】
適切には、インターフェース部602は、応力、例えば単軸応力または二軸応力を受けたときにバルク部601とは異なる挙動を示す。
【0055】
図6aでは、インターフェース部602は略矩形であるものとして示されている。この形状は重要ではない。一般的に、インターフェース部602の形状は、駆動装置インターフェースの形状(または駆動装置インターフェースの平面への投影)に対応していることが好ましい。
【0056】
インターフェース部602は、それによって滅菌バリアが損なわれることなく駆動装置インターフェースエレメントの移動に対応するように構成されている。従って、一例では、ドレープに裂け目、破れおよび/または穴(または他の破裂)を引き起こすことなく、駆動装置インターフェースエレメントの移動を生じさせることができる。
【0057】
インターフェース部602は適合部を含んで構成されていてもよい。適合部は、駆動装置インターフェースエレメントおよび器具インターフェースエレメントの移動に対応するように構成されている。適合部は、それによってドレープがピンと張られることがないようにそのような移動に対応する。従って、ドレープが提供する滅菌バリアが損なわれてしまう可能性が減少する。これにより、外科的処置の間中、滅菌バリアを確実に維持することができる。
【0058】
一例では、インターフェース部602は、ドレープ600が器具インターフェース500と駆動装置インターフェース400との間で捕捉された際に、捕捉された素材がだぶつく、および/または拘束されないように十分な素材を含んで構成されている。だぶだぶの、ゆるい、または拘束されていない素材は、ドレープ素材が伸張(または弾性限界を超えて伸張)することなく、引き裂かれることおよび/または破れることなく駆動装置インターフェースエレメントの全範囲の動きを許容するのに適切に十分である。言い換えれば、インターフェース部602は、捕捉のために素材が余分に提供されるように配置される。余分な、または拘束されていない素材の部分は、ドレープ600のバルク部601に対して移動することができる。これにより、ドレープ600のインターフェース部602は、ピンと張ることなく駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間の係合を可能にする。このようにして、拘束されていないインターフェース部602を設けることにより、滅菌バリアの完全性を維持しながら駆動を伝達するように駆動装置の所望の動きが可能になる。
【0059】
一例では、ドレープ600のインターフェース部602とバルク部601は、異なる素材、または異なる性質や特性を有する素材を含んで構成することができる。適切には、ドレープ600のインターフェース部602は、少なくとも一方向において、低モジュラス(例えば、弾性係数や引張係数)または低摩擦係数を有する素材を含んで構成される。好ましくは、インターフェース部602は、複数の方向において低モジュラスまたは低摩擦係数を有する素材を含んで構成される。いくつかの例では、モジュラスや摩擦係数は、インターフェース部602の値がバルク部601の値より低ければ、低いと見なすことができる。いくつかの例では、モジュラスや摩擦係数は、インターフェース部602の値が所定の閾値より低ければ、低いと見なすことができる。適切には、バルク部601およびインターフェース部602の少なくとも一方は液体不透過性素材、例えばシートやフィルムで形成される。バルク部601とインターフェース部602が異なる素材を含んで構成され、その両方が液体不透過性であってもよい。適切には、インターフェース部602は、張力下で変形するように構成された素材から形成される。インターフェース部602は、適切には、バルク部601の素材よりも張力下でより容易に変形する素材を含んで構成される。例えば、インターフェース部602は、張力下で伸張および/または剪断するように構成された素材で形成される。
【0060】
一例では、インターフェース部602は織物素材、例えば密に製織された素材で形成されている。適切には、織物素材は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)素材のうちの1つまたはそれらを組み合わせたものである。適切には、織物素材の織密度は、1インチあたり少なくとも約140スレッド、好ましくは1インチあたり少なくとも約270または約280スレッドである。織物素材は、インターフェース部602の剪断を許容してもよい。それによって、インターフェース部602の張力は、インターフェース部602の剪断によって緩和され得る。剪断するように設計された素材からインターフェース部602を形成することによって、インターフェース部602が剪断によって引き裂かれたり、破れたり、もしくは破裂したりすることなく剪断させることが可能となる。従って、滅菌バリアを維持することができる。
【0061】
インターフェース部602は、伸縮性素材のような弾性素材から形成することができる。弾性素材は、以下の群からの素材を含んで構成することができる。すなわち、ゴム繊維、ゴム、天然ゴム、ポリイソプレン、エラストマー、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ビニル、およびポリ塩化ビニルからなる群である。これにより、伸張によって素材が破裂することなく素材を伸張させることができる。
【0062】
ドレープ600は、インターフェース部602の素材の張力を検知するための少なくとも1つの張力センサを備えているか、またはそれに連結されていてもよい。張力センサは制御ユニット309に連結されていてもよい。連結は、有線接続および無線接続のうちの1つ以上によって行われ得る。制御ユニット309は、張力センサから1つ以上の信号を受信し、受信した信号に応じてインターフェース部602の素材の張力を決定するように適切に構成されている。通常の操作では、インターフェース部602の素材の張力は一般に既知の範囲内にある。駆動装置インターフェースエレメントの移動に応じて、素材の複数の部分の張力が増減する。複数の張力センサを使用して、インターフェース部の素材の複数の箇所における張力を検知してもよい。
【0063】
インターフェース素材の1つ以上の箇所における張力は、1つ以上の駆動装置インターフェースエレメントの所定のまたは公知の構成に対して決定され得る。1つ以上の駆動装置インターフェースエレメントの構成は、制御ユニット309によって決定され得る。適切には、制御ユニット309は、駆動装置インターフェースエレメントの一連の構成に対する期待張力値から成る参照テーブルを含んで構成されている。
【0064】
インターフェース部602が破裂すると、少なくとも一箇所での張力は期待張力とは異なることとなる。制御ユニット309は、検出または検知された張力を期待張力と比較するように構成されていてもよい。検出張力と期待張力との間の差、例えば閾値差(これは絶対値、または張力値の比率であり得る)を超える差を用いて、インターフェース部602の破裂を検出することができる。閾値差は適切に設定可能であり、例えば使用者によって設定可能とされている。張力が異なる箇所、または差が最大となる箇所を用いて、破裂の性質および位置を決定することができる。この決定に基づいて、制御ユニット309は、外科的処置を継続できるかどうか、または外科的処置を継続する前に注意を要するような破裂であるかどうかを決定することができる。オペレータによる目視検査などの動作は、制御ユニット309によって指示することができる。
【0065】
期待張力、または基準張力は、制御ユニット309によって計算することができる。制御ユニット309は、参照テーブル等のテーブルにアクセスするように構成することができる。テーブルは、駆動装置インターフェースエレメントの少なくとも1つの構成に対して少なくとも1つの基準張力を含むことができる。期待張力または基準張力は、テーブルへの参照に応じて制御ユニット309によって決定することができる。例えば、基準張力は、駆動装置インターフェースエレメント構成に従って、または実際の構成に最も近いそのような構成に従ってテーブルから読み出すことができる。あるいは、基準張力は、テーブル内の基準張力間で補間してもよいし、またはテーブル内の基準張力から補外してもよい。制御ユニット309はテーブルを含んで構成されていてもよい。適切には、メモリ311はテーブルを含んで構成されている。張力は力と呼ばれる場合もある。
【0066】
次に図6bを参照すると、インターフェース部602は少なくとも1つの駆動伝達エレメント603,604,605を含んで構成することができる。各駆動伝達エレメントは、駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間で駆動を伝達するためのものである。3つの駆動装置インターフェースエレメントを備えた駆動装置インターフェースと3つの器具インターフェースエレメントを備えた器具インターフェースとの間で駆動を伝達するために、3つの駆動伝達エレメント603,604,605が図6に示されている。上述のように、駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントは、突出部と凹部のうちの一方または他方を含んで構成され得る。従って、駆動伝達エレメントは、駆動装置インターフェースエレメント上の凹部または突出部とそれぞれ係合するための突出部または凹部と、器具インターフェースエレメント上の凹部または突出部とそれぞれ係合するための突出部または凹部とを適切に備えている。図6cを参照すると、駆動伝達エレメント603は、第1の部分603aと第2の部分603bとを含んで構成され得る。第1の部分603aはドレープ600の一方の側に適切に配設されている。第1の部分603aはロボットアームと係合可能である。例えば、第1の部分603aは、駆動装置インターフェースエレメントと係合可能である等、駆動装置インターフェース400と係合可能である。第2の部分603bは、ドレープ600の他方の側に適切に配設されている。第2の部分603bは器具と係合可能である。例えば、第2の部分603bは、器具インターフェースエレメントと係合可能である等、器具インターフェース500と係合可能である。駆動伝達エレメントは、駆動装置インターフェース400と器具インターフェース500との間の駆動伝達を可能にする。
【0067】
駆動伝達エレメント603は、第1の部分603aと第2の部分603bとの間にドレープの一部602を挟むことによってドレープ600に取り付けることができる。あるいは、駆動伝達エレメントは、駆動伝達エレメントがドレープの両側に延びるように、駆動伝達エレメントの周囲の周りでドレープに取り付けることができる。駆動伝達エレメント603、あるいは第1の部分603aおよび/または第2の部分603bは、任意の好都合な方法でドレープに取り付けることができる。例えば、熱風溶接、振動溶接、超音波溶接、誘導溶接、赤外線/レーザー溶接および誘電溶接等の溶接、および、例えば接着剤、溶剤接着や融着等による接着のうちの少なくとも1つの方法による。
【0068】
別の例では、インターフェース部602、またはインターフェース部602の適合部は、インターフェース部602の領域内の素材を制御するための1つ以上のしわ(または折れ/ひだ)制御部、または素材制御部を含んで構成される。しわ制御部により、インターフェース部602の素材がしわになる(または折れる/ひだになる)可能性を低減し、および/またはインターフェース部602の素材がしわになる程度を制御する。しわ制御部は、駆動装置インターフェースエレメントが移動するにつれてインターフェース部の素材が移動する方法を制御するように構成される。これにより、インターフェース部602の素材内の張力の制御および/またはそれに対する反応を可能にすることができる。
【0069】
しわ制御部は、駆動装置インターフェース400と器具インターフェース500との間を適切に整合する。しわ制御部は、ドレープと一体的に形成されていてもよい。あるいは、しわ制御部をドレープとは別に形成した後にドレープに取り付けてもよい。いずれにせよ、しわ制御部は滅菌されている。しわ制御部の一方の側は駆動装置インターフェースと直接接触する。しわ制御部の他方の側は器具インターフェースに直接接触する。従って、しわ制御部は、滅菌されていない駆動装置インターフェースが滅菌された器具インターフェースに直接接触するのを防止し、ひいては2つの部材間の滅菌バリアを維持する。
【0070】
図7aおよび図7bを参照すると、しわ制御部は1つ以上の可動部710を含んで構成されている。適切には、可動部710は、伸縮性がある等、可撓性および/または弾力性を有する。例えば、可動部710は、布地などの素材である。好ましくは、素材は、ロボットアームと器具との間に滅菌バリアを提供し易くするために耐水性とされている。素材は、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で形成されたプラスチックシートで構成することができる。可動部710は、しわ制御部の素材がしわになる可能性を低減させ、および/またはしわ制御部の素材がしわになる程度を制御する。可動部710は、駆動伝達エレメントが移動するにつれて、しわ制御部の素材が移動する方法を制御するように構成される。これにより、しわ制御部の素材内の張力の制御および/またはそれに対する反応を可能にすることができる。
【0071】
一例では、可動部710の素材は、駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間で捕捉される。可動部710は、駆動装置インターフェースエレメントの移動と一緒に移動するように構成され、それによって可動部710が引き裂かれたり、破れたりするのを回避できる。別の例では、1つ以上の駆動伝達エレメントが可動部710に設けられているかまたは取り付けられている。
【0072】
図示の例では、2本のリール711,712が設けられている。各リールは、ある量の素材を保有し保持するように構成されている。リール間の素材の撓みを取るために、素材を一方または両方のリールに巻き取ることができる。リール間の素材の張力を緩和するために、素材を一方または両方のリールから繰り出すことができる。駆動装置インターフェースエレメント、ひいては駆動装置インターフェースエレメントに係合した駆動伝達エレメントの移動に対応するように、素材をリールに巻き取ったり、またはリールから繰り出したりすることができる。
【0073】
図7aを参照すると、リール間の素材は左に移動している。これは、例えば、駆動装置インターフェースエレメントが駆動装置によって左に駆動されているためである。駆動装置インターフェースエレメントが左に移動すると、可動部710も左に移動する。これは、可動部710が駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間に捕捉されるためであるか、または可動部710に取り付けられた駆動伝達エレメントが駆動装置インターフェースエレメントと係合しているためである。右側リール711は、矢印で示すように時計回りに回転して、右側リール711から素材を繰り出す。これは、駆動装置インターフェースエレメントと右側リール711との間の素材が、高張力に晒されないことを意味する。さもないと、高張力が素材の破裂を引き起こしたり、および/またはしわ制御部および/または器具インターフェースの作動を阻害したりする可能性がある。左側リール712は、矢印で示すように反時計回りに回転して、左側リール712上に素材を巻き取ることができる。これは、駆動装置インターフェースエレメントと左側リール712との間の素材が緩まないことを意味する。同様に、駆動装置インターフェースエレメントが右に移動すると、素材は左側リール712から繰り出されることとなる。素材は右側リール711によって巻き取ることができる。左側リール712および右側リール711の一方または両方が素材の撓みを巻き取る必要はない。しかしながら、素材のピンとした張りを維持することにより、滅菌バリアを維持し易くなり得る。
【0074】
次に図7bを参照すると、3つの可動部710が互いに隣り合って設けられている。それぞれに駆動伝達エレメント701,702,703が取り付けられているが、他の例では、1つ以上の駆動伝達エレメントを設ける必要はない。リールは三対設けられている。これにより、3つの可動部710が、互いに独立して移動することができ、そのような独立した移動によって、しわ制御部の素材の張力を増大させることはない。例えば、各可動部710に一対のリールを設けることにより、可動部710の素材が張力、剪断力および/または破裂に晒される程度を減少させることができる。この減少は、一対のみのリールが複数の可動部に対して設けられ、素材の位置決めが、例えば、複数の可動部の位置の加重平均等の平均に基づいている構成と比較することができる。
【0075】
図示の例では、(図7bの向きにおいて)最上部の駆動伝達エレメント701が(矢印で示すように)右に移動しており、中央の駆動伝達エレメント702が(矢印で示すように)左に移動しており、下部の駆動伝達エレメント703が(矢印で示すように)右に移動している。最上部分の第1の右側リール713は、可動部710の素材を巻き取るため、より大きいリール直径を有する。最上部分の第1の左側リール714は、リールから可動部710の素材を繰り出すため、より小さいリール直径を有する。中央部分の第2の右側リール715は、リールから可動部710の素材を繰り出すため、より小さいリール直径を有する。中央部分第2の左側リール716は、可動部710の素材を巻き取るため、より大きいリール直径を有する。下部分の第3の右側リール717は、可動部710の素材を巻き取るため、より大きいリール直径を有する。下部分の第3の左側リール718は、リールから可動部710の素材を繰り出すため、より小さいリール直径を有する。
【0076】
可動部710の数および/または配置が図示の例と異なる場合、リールの対の数および/または配置も同様に異なり得ることが理解されよう。
【0077】
可動部710等のしわ制御部の素材は、それぞれのリールをその軸の周りに駆動することによってリールに巻き取る、および/またはリールから繰り出すことができる。しわ制御部の素材は、それぞれのリールをその軸の周りに弾性的に偏倚させることによってリールに巻き取る、および/またはリールから繰り出してもよい。一例では、各リールは弾性的に偏倚されており、かつ駆動されている。リールを弾性的に偏倚させることにより、しわ制御部の素材内の張力を一定に保つことが容易となり得る。張力が低下する(例えば、駆動伝達エレメントが該当するリールに向かって移動することによって)と、リールの偏倚によってリールは回転し、素材を巻き取る。張力が増大する(例えば、駆動伝達エレメントが該当するリールから離れるように移動することによって)と、リールの偏倚によってリールは回転し、リールから素材を繰り出すことが可能になる。弾性的偏倚の弾力性は、しわ制御部の素材に所望の張力または所望の範囲の張力を与えるように決定され得る。弾性的偏倚は、一例では、それぞれのリールに連結されたばねによって与えられる。
【0078】
リールの駆動は、電気モータ等のモータを各リールに連結することによって達成することができる。リールを駆動することによって、所望の速度で張力を解放すること、および/または撓みを巻き取ることが可能となり得る。例えば、リールを駆動することにより、弾性的偏倚による場合よりも速い速度で張力を解放すること、および/または撓みを巻き取ることが可能となり得る。リールを駆動することにより、弾性的偏倚に依拠する、または弾性的偏倚のみに依拠する場合よりも、張力をより正確に制御することが可能となり得る。
【0079】
一例では、一対のリールのうちの一方がそのリールを駆動するためのモータに連結され、一対のリールのうちの他方が弾性的に偏倚されている。弾性的偏倚は素材の張力に適応する一方、モータは所望の張力を得るように駆動される。この構成により、しわ制御部の素材における張力を制御することができる。
【0080】
第1の張力センサ721(図7aに概略的に示す)は、右側リール711,713,715,717に連結されている。第1の張力センサ721は、駆動伝達エレメント(または駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間に捕捉された可動部710の一部)と右側リール711,713,715,717との間の素材における張力を検知するように構成されている。第1の張力センサ721は、右側リール711,713,715,717の回転軸に適切に連結されている。第2の張力センサ722(図7aに概略的に示す)は、左側リール712,714,716,718に連結されている。第2の張力センサ722は、駆動伝達エレメント(または駆動装置インターフェースエレメントと器具インターフェースエレメントとの間に捕捉された可動部710の一部)と左側リール712,714,716,718との間の素材における張力を検知するように構成されている。第2の張力センサ722は、左側リール712,714,716,718の回転軸に適切に連結されている。第1の張力センサ721および第2の張力センサ722の一方または両方によって検知された張力は、右側リール711,713,715,717および左側リール712,714,716,718の一方または両方をどのように駆動するかを決定するために使用される。言い換えれば、右側リール711,713,715,717および左側リール712,714,716,718の一方または両方は、第1の張力センサ721および第2の張力センサ722の一方または両方によって検知された張力に応じて制御される。
【0081】
第1の張力センサおよび第2の張力センサを設けることにより、第1および第2の張力センサのそれぞれによって検知された張力の比較が可能となり得る。この比較は、素材の破裂または他の損傷を検出するために使用することができる。例えば、駆動伝達エレメント(または可動部)が移動するにつれて一対のリールの両方で検知される張力が減少する場合、リール間の素材が破裂したと判断することができる。
【0082】
いくつかの例では、一対のリールの各々に対して1つの張力センサのみが必要とされる。
【0083】
図8aおよび図8bに、しわ制御部800の別の例を示す。第1の蛇腹部801および第2の蛇腹部802が、インターフェース部の素材における互いに離隔した位置に設けられている。駆動装置インターフェースエレメントおよび器具インターフェースエレメントは、蛇腹部間の素材の一部を捕捉する。あるいは、駆動装置インターフェースエレメントおよび器具インターフェースエレメントと係合するための駆動伝達エレメント804を、(図8aに破線で示すように)蛇腹部の間の素材上に設けてもよい。従って、駆動装置インターフェースエレメントを駆動すると、インターフェース部の素材が移動することとなる。
【0084】
各蛇腹部は一連の素材の折り目を含む。折り目は、素材内で予め折り畳まれているもの、および素材内で予め応力をかけられている線、の少なくとも一方である。蛇腹部は、素材の折り目が比較的互いに接近している収縮状態と、素材の折り目が比較的遠くに離れている拡張状態とを有する。例えば、駆動装置インターフェースエレメントが蛇腹部から離れて移動することにより、蛇腹部の素材にかかる張力が増大すると、折り目が開いて、素材の張力の増大が制限されるように素材の移動を許容する。また、例えば、駆動装置インターフェースエレメントが蛇腹部に向かって移動することにより、蛇腹部の素材にかかる張力が減少すると、折り目が閉じて、素材の張力の減少を制限するように素材の移動を許容する。蛇腹部の折り目は、折り目が形成される素材の弾力性の下で張力が減少すると閉じるように構成されていてもよい。それに替えてまたはそれに加えて、弾性部材が、例えば蛇腹部の両側で素材に連結されることによって蛇腹部の周りに連結され、蛇腹部をより折り畳まれた形状に付勢するように構成される。そのような弾性部材の一例は、図8bの803に示すような、ばね付エレメントである。
【0085】
蛇腹部は、蛇腹部が形成される素材のものよりも低い有効モジュラス(例えば、弾性係数または引張係数)を有していてもよい。素材を折り目の形にすることにより、その部分全体のモジュラスを減少させることができる。結果として、蛇腹部は、蛇腹部が形成される素材の平坦部分を拡張するのに必要とされる力よりも低い力の下で適切に拡張可能である。
【0086】
別の例では、蛇腹部の折り目は、折り目が形成される素材の弾力性の下で圧縮の減少時に開くように構成されていてもよい。それに替えてまたはそれに加えて、弾性部材が、例えば蛇腹部の両側で素材に連結されることによって蛇腹部の周りに連結され、蛇腹部をより拡張された形状に付勢するように構成される。図8bの803に示されたタイプのばね付エレメントが、そのような弾性部材の一例である。
【0087】
図8aを参照すると、駆動装置インターフェースエレメントが(図8aの向きにおいて)左に移動し、矢印で示すようにインターフェース部の素材を左に移動させると、第1の蛇腹部801が閉じて、第1の蛇腹部801の折り目が互いに接近する一方、第2の蛇腹部802が開いて、第2の蛇腹部802の折り目が遠くに離れる。従って、インターフェース部の素材は、素材を破裂させることなく駆動装置インターフェースエレメントと共に移動することができる。
【0088】
各駆動装置インターフェースエレメントに対応するように1つのしわ制御部800を設けることができる。従って、3つの駆動装置インターフェースエレメントがある場合、3つのしわ制御部800を設けてもよい。駆動装置インターフェースエレメントの数および/または配置が異なれば、しわ制御部800の数および/または配置も異なり得る。
【0089】
各蛇腹式しわ制御部に対して2つの蛇腹部を設けることが好ましいが、いくつかの例では、1つの蛇腹部のみが必要とされる。この場合、張力は、素材の伸張、素材の変形、および素材の拘束されていない部分、または緩んだ部分のうちの少なくとも1つによって適応させることができる。
【0090】
上述の蛇腹部は直線移動に対応することができる。直線移動以外の移動に対応することも可能である。例えば、扇形の蛇腹部を設けることにより、円弧状の移動に対応することができる。
【0091】
いくつかの例では、インターフェース部は、図9a~図9dに示すように、インターフェース部を優先的に所定の方法で変形させることを可能にする改変部を含んで構成される。改変部901は厚肉化および/または強化されている。改変部901は、厚肉化も強化もされていないインターフェース部の非改変部902に対して厚肉化および/または強化されている。従って、改変部901は、非改変部902よりも比較的厚く、および/または強固である。図9aに示す例では、2つの改変部901が、非改変部902の両側に1つずつ設けられている。
【0092】
インターフェース部は複数の区画に分けて設けてもよく、少なくとも1つの区画に少なくとも1つの改変部901を設けてもよい。改変部901は、非改変部902の周囲に設けることができる。言い換えれば、改変部901は区画に端縁を形成することができ、その中央が非改変部902である。
【0093】
改変部901は、例えば張力下および/または剪断下にあるときに、インターフェース部の変形の制御を可能にする。図示の例では、図9bに示す区画が剪断力を受けると、図9cに示すように優先的に剪断する。一例では、非改変部902を剪断するのに必要とされる力は、改変部901を図示された区画の二辺の端縁に沿って曲げるのに必要とされる力よりも小さい。従って、図示された区画の二辺の端縁に沿った改変部901は曲がらず、むしろその形状を直線状に実質的に維持し、非改変部902の素材を優先的に変形させる。いくつかの例では、改変部901は、そのような変形を可能にするために区画の各隅に完全には延びていない。適切には、区画のモジュラスは、少なくとも一方向においてドレープのバルク部のモジュラスよりも低い。適切には、区画はこの方向に沿って優先的に変形する。
【0094】
言い換えれば、改変部901は、区画の変形を制御する。複数のそのような区画がある場合、改変部901は各区画の変形を制御し、それによってインターフェース部の変形を制御する。
【0095】
図示の例は四辺形の形状であるが、任意の他の形状を与えることができる。一例では、区画は六角形の形状である。改変部901は六角形の端縁を形成する。より一般的には、区画は多角形の形状とされていてもよい。改変部901は、多角形の少なくとも1つの辺を形成する。他の例では、改変部901を円形などの円弧状に設けることが望ましい。2つ以上の形状の組み合わせが可能である。
【0096】
図9dは、いくつかの区画が互いに隣り合って設けられている例を示している。各区画は、改変部901によって境界が定められている。各区画の中央には、非改変部902が設けられている。素材903の全体部分が張力を受けると、図示のように優先的に変形する。従って、素材の変形を制御することができる。これにより、インターフェース部が、(インターフェース部の素材を器具インターフェースエレメントに対して捕捉するか、またはインターフェース部に設けられた駆動伝達エレメントと係合する可能性のある)駆動装置インターフェースエレメントの移動に対応することができ、破裂することなく素材の張力を変化させることができる。
【0097】
図10に示す別の例では、インターフェース部1001は第1のドレープ部1002と第2のドレープ部1003とを含んで構成されている。第2のドレープ部1003に向かって配置された第1のドレープ部1002の端縁は、第1のストリップ1004を含んで構成されている。第1のドレープ部1002に向かって配置された第2のドレープ部1003の端縁は、第2のストリップ1005を含んで構成されている。第1のストリップ1004と第2のストリップ1005は互いに係合するための係合部を備えている。第1のドレープ部1002と第2のドレープ部1003とは、接合線に沿って互いに係合する。第1のストリップ1004と第2のストリップ1005は互いに密封係合する。第1のストリップ1004と第2のストリップ1005は、滅菌バリアを維持するように互いに密封係合する。第1のドレープ部1002と第2のドレープ部1003とは、互いに対して(互いに向かって、そして互いに離れて)移動可能であり、互いの間に隙間を開けたり、閉じたりする。このようにして、第1のドレープ部1002および第2のドレープ部1003の少なくとも一方は、バルクドレープ部に対して移動可能である。
【0098】
適切には、第1のストリップ1004は、第1の咬合歯セットを含んで構成されている。適切には、第2のストリップ1005は、第2の咬合歯セットを含んで構成されている。第1および第2の咬合歯セットが互いに噛み合うことで、第1のストリップ1004と第2のストリップ1005との制御された接合および分離が可能になるように構成されている。これにより、第1のドレープ部1002と第2のドレープ部1003とを接合および分離することができる。
【0099】
インターフェース部1001は、第1の接合機構1006と第2の接合機構1007とを含んで構成されている。各接合機構1006,1007は、第1および第2の咬合歯セットを互いに係合させることによって、第1のストリップ1004と第2のストリップ1005とを互いに接合することができる。各接合機構1006,1007は、第1および第2の咬合歯セットを互いに係合解除させることによって第1のストリップ1004を第2のストリップ1005から分離することができる。第1の接合機構1006は、第1および第2のストリップ1004,1005に対して第1の方向に移動するときに、第1および第2のストリップ1004,1005を接合することができる。第1の接合機構1006は、第1および第2のストリップ1004,1005に対して第2の方向、一般的には第1の方向とは反対の方向に移動するときに、第1および第2のストリップ1004,1005を分離することができる。
【0100】
第1の接合機構1006と第2の接合機構1007は背中合わせに配置されている。これにより、第2の接合機構1007は、第2の方向に移動するときに第1および第2のストリップ1004,1005を接合することができると共に、第1の方向に移動するときに第1および第2のストリップ1004,1005を分離することができる。
【0101】
接合機構1006,1007は、接合機構間の領域で第1および第2のストリップ1004,1005を分離し、第1および第2の接合機構の対の両側の領域で第1および第2のストリップ1004,1005を互いに接合するように構成されている。これは図10に示されている。
【0102】
第1および第2の接合機構1006,1007は、連結エレメント1008によって互いに連結されている。連結エレメント1008は、第1および第2の接合機構1006,1007間の空間的関係を適切に維持する。図示の例では、連結エレメント1008は棒材であるが、任意の他の適切な形態の連結を提供できることが理解されよう。第1および第2の接合機構1006,1007の空間的関係の維持において、ある程度の公差を設けることも可能である。言い換えれば、正確な空間的関係は重要ではなく、2つの接合機構1006,1007間に、ある範囲の離隔距離があってもよい。従って、連結エレメント1008は弾力性を有し得る。例えば、連結エレメント1008は弾性部分を含んで構成され得る。弾力性または弾性部分により、第1および第2の接合機構1006,1007間の間隔に所望の公差が設けられる。
【0103】
第1および第2の接合機構1006,1007間に空間または隙間が維持される。第1および第2のストリップ1004,1005は第1および第2の接合機構1006,1007間の領域で分離されているので、この領域のインターフェース部には隙間または孔1009が形成されている。
【0104】
第1の接合機構1006が移動すると、第2の接合機構1007はそれによって第1の接合機構1006と同じ方向に移動する。結合エレメント1008により、第1および第2の接合機構1006,1007の移動は同じ方向になる。
【0105】
図10を参照すると、第1および第2の接合機構1006,1007が(図10の向きにおいて)右に移動すると、第1の接合機構1006は第1および第2のストリップ1004,1005を分離する。第2の接合機構1007は、第1および第2のストリップ1004,1005を互いに接合する。ストリップ1004,1005が互いに接合されている領域の間には隙間1009が維持されている。従って、この隙間1009は第1および第2の接合機構1006,1007と共に移動する。
【0106】
インターフェース部1001は、隙間1009が駆動装置インターフェースエレメントまたは器具インターフェースエレメントの突出部の位置および/または大きさに対応するように配置される。従って、突出部は、器具インターフェースエレメントまたは駆動装置インターフェースエレメントの対応する凹部とそれぞれ係合するように隙間1009を通って延びることができる。駆動装置インターフェースエレメントが駆動されると、突出部は、第1の接合機構1006の第1の内縁1010または第2の接合機構1007の第2の内縁1011に当接する。従って、突出部が移動することにより、一対の接合機構が移動することとなる。これにより、突出部の周囲の滅菌バリアを維持しつつ、突出部の移動が可能になる。
【0107】
一例では、第1および第2の接合機構1006,1007はジッパーである。別の例では、第1のストリップ1004と第2のストリップ1005は、さねはぎ形状で互いに係合するように構成されている。
【0108】
本明細書に記載のドレープは、非外科的ロボット目的に使用される可能性がある。例えば、モーションフィードスルーを可能にするバリアを提供することが望ましいロボットシステム、またはより一般的なシステムで使用される可能性がある。そのようなバリアは、流体の流れに対するバリア、および/または粒子状物質、例えば空気等の流体の流れに同伴される粒子状物質に対するバリアであってもよい。従って、そのようなバリアは、化学薬品、物質の削り屑および/または塵埃からの効果的な保護を提供するために使用することができる。
【0109】
出願人はこれによって、ここに記載の各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを別々に開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示している。なお、そのような特徴または特徴の組み合わせが本明細書に開示される問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図9d
図10