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特許7104697血管内病変を修正するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】血管内病変を修正するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20220713BHJP
   A61B 17/3207 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B17/3207
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019524946
(86)(22)【出願日】2017-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-21
(86)【国際出願番号】 US2017058328
(87)【国際公開番号】W WO2018089197
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-09-02
(31)【優先権主張番号】15/351,208
(32)【優先日】2016-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】スィン,アシーム
(72)【発明者】
【氏名】バン・リエール,チャド
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,プオン
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0066978(US,A1)
【文献】特開昭64-027548(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0024402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0250001(US,A1)
【文献】特表2007-507312(JP,A)
【文献】特表2009-529372(JP,A)
【文献】特表2005-512630(JP,A)
【文献】特開平03-280945(JP,A)
【文献】特表2000-501307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/3207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンソールとカテーテル組立体とを備えるシステムであって、
前記コンソールは、
電流を振動エネルギーに変換するように構成された超音波生成機構、および
前記振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するために、駆動パラメータを調整するように構成された駆動パラメータ調整装置
を備え、
前記カテーテル組立体は、
シース内腔を備えるシース、および
少なくとも部分的に前記シース内腔の中に設けられたコアワイヤであって、前記コアワイヤは、前記コアワイヤの近位部および遠位部を備える、コアワイヤ
を備え、
前記コアワイヤの前記近位部が、前記超音波生成機構に結合され、
前記コアワイヤの前記遠位部の、前記シースを越えた作動長が、互いに異なる血管内病変修正処置を実施するために前記振動エネルギーの前記1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成され
前記駆動パラメータ調整装置が、前記異なる血管内病変修正処置を実施するために、少なくとも、パルス繰返し周波数、デューティ比、および前記パルス繰返し周波数と前記デューティ比の組合せから選択される前記駆動パラメータを調整するように構成される、
システム。
【請求項2】
前記駆動パラメータ調整装置が、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅で前記コアワイヤを横方向に変位させるように、前記パルス繰返し周波数を約5Hz~10Hzに調整するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記駆動パラメータ調整装置が、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅で前記コアワイヤを縦方向に変位させるように、前記デューティ比を約75%~100%に調整するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記コアワイヤが、前記コアワイヤの前記近位部と前記遠位部の間に座屈部分をさらに備え、前記座屈部分は、前記振動エネルギーの前記1つまたは複数の出力モードに従って座屈することにより、前記コアワイヤの前記作動長に横方向の変位を生じさせるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記カテーテル組立体が、前記コアワイヤの前記近位部の周りに制振機構をさらに備え、前記制振機構は、前記コアワイヤの前記近位部の周りで、縦方向に配向された振動エネルギーのために、横方向に配向された振動エネルギーを制振するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制振機構は、前記コアワイヤが貫通する円筒状の穴部を形成しており、前記円筒状の穴部の近位側端部に、半径方向内側に延在する環状面が設けられており、前記制振機構は、さらに、
第1の半径方向圧縮力で前記コアワイヤを包むスリーブと、
第2の半径方向圧縮力で前記スリーブを包む複数のОリングと、
前記カテーテル組立体の前記制振機構の前記穴部の中前記複数のОリング保持するように、前記穴部の中に配置されたワッシャであって、前記複数のОリングを前記穴部の前記環状面に押し付ける縦方向の圧縮力を加えるように構成されたワッシャとを備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記カテーテル組立体が、前記シースの外部に固定された、ガイドワイヤレール内腔を備えるガイドワイヤレールをさらに備え、前記ガイドワイヤレールが、前記シースの遠位終端の周りで終端し、前記遠位終端において、前記ガイドワイヤレール、前記ガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤ、または前記ガイドワイヤレールと前記ガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤとの組合せは、前記コアワイヤの前記作動長の横方向変位の影響を受けない、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コンソールを備えるシステムであって、
前記コンソールは、
交流電流を高周波電流に変換するように構成された超音波発生装置と、
前記高周波電流を振動エネルギーに変換するように構成された超音波トランスデューサと、
コアワイヤを用いて互いに異なる血管内病変修正処置を実施するように前記振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するために、駆動パラメータを調整するように構成された駆動パラメータ調整装置であって、前記コアワイヤは、前記振動エネルギーの前記1つまたは複数の出力モードに従って、前記コアワイヤの遠位端部で、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成される、駆動パラメータ調整装置と、
を備え
前記駆動パラメータ調整装置が、前記異なる血管内病変修正処置を実施するために、少なくとも、パルス繰返し周波数、デューティ比、および前記パルス繰返し周波数と前記デューティ比の組合せから選択される前記駆動パラメータを調整するように構成される、システム。
【請求項9】
前記駆動パラメータ調整装置が、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅で前記コアワイヤを横方向に変位させるように、パルス繰返し周波数を約5Hz~10Hzに調整するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記駆動パラメータ調整装置が、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅で前記コアワイヤを縦方向に変位させるように、デューティ比を約75%~100%に調整するように構成される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
カテーテル組立体を備えるシステムであって、
前記カテーテル組立体は、
シース内腔を備えるシースと、
少なくとも部分的に前記シース内腔の中に設けられたコアワイヤであって、前記コアワイヤは、前記コアワイヤの近位部および遠位部を備え、前記コアワイヤの前記近位部が、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するように構成された超音波生成機構に結合される、コアワイヤと、
前記振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するために、駆動パラメータを調整するように構成された駆動パラメータ調整装置と、
前記コアワイヤの前記近位部の周りの制振機構であって、前記制振機構は、前記コアワイヤの前記近位部の周りで、縦方向に配向された振動エネルギーのために、横方向に配向された振動エネルギーを制振するように構成される、制振機構と、
を備え、
前記コアワイヤの前記遠位部の、前記シースを越えた作動長が、互いに異なる血管内病変修正処置を実施するように、前記振動エネルギーの前記1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成され
前記駆動パラメータ調整装置が、前記異なる血管内病変修正処置を実施するために、少なくとも、パルス繰返し周波数、デューティ比、および前記パルス繰返し周波数と前記デューティ比の組合せから選択される前記駆動パラメータを調整するように構成される、
システム。
【請求項12】
前記コアワイヤが、前記コアワイヤの前記近位部と前記遠位部の間の前記コアワイヤの中央部に座屈部分をさらに備え、前記座屈部分が、前記振動エネルギーの前記1つまたは複数の出力モードに従って座屈することにより、前記コアワイヤの前記作動長に横方向の変位を生じさせるように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コアワイヤが、前記コアワイヤの前記中央部にテーパ部分および逆テーパ部分をさらに備え、
前記座屈部分が、前記コアワイヤの前記テーパ部分と前記逆テーパ部分の間にあり、
前記座屈部分が、少なくとも2.54cm(1インチ)の長さであり、前記テーパ部分または前記逆テーパ部分のうちのいずれか一方より小さい断面積を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制振機構は、前記コアワイヤが貫通する円筒状の穴部を形成しており、前記円筒状の穴部の近位側端部に、半径方向内側に延在する環状面が設けられており、前記制振機構は、さらに、
前記コアワイヤを包むポリマー製スリーブと、
前記ポリマー製スリーブを包む複数のOリングと、
前記カテーテル組立体の前記制振機構の前記穴部の中に前記複数のOリングを保持するように、前記穴部の中に配置されたワッシャであって、前記複数のリングを前記穴部の前記環状面に押し付ける縦方向の圧縮力を加えるように構成されたワッシャとを備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記制振機構が、前記カテーテル組立体から前記超音波生成機構への洗浄剤の逆流を防止するように構成された、半径方向および縦方向に圧縮される複数のOリングを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記制振機構が、前記横方向に配向された振動エネルギーを制振することによって生じる摩擦熱を最小限に抑えるように、前記コアワイヤの振動の節で中央に位置決めされる、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記カテーテル組立体が、前記シースの外部に固定された、ガイドワイヤレール内腔を備えるガイドワイヤレールをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記ガイドワイヤレールが、前記シースの遠位終端の周りで終端し、前記遠位終端において、前記ガイドワイヤレール、前記ガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤ、または前記ガイドワイヤレールと前記ガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤとの組合せは、前記コアワイヤの前記作動長の横方向変位の影響を受けない、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
[0001]本出願は、本出願に全体として援用される、2016年11月14日出願の米国特許出願第15/351,208号の優先権の利益を主張する。
【0002】
[0002]本出願は、一般に、血管内病変を修正(modify)するシステムおよび方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]アテローム性動脈硬化は、脂肪、コレステロール、およびカルシウムなどの血液由来の物質を含む粥腫の一部に形成される、1つまたは複数の血管内病変を特徴とする。動脈病変などの血管内病変は、動脈内腔の片側に生じ、内腔を横切ってその反対側まで構築される場合がある。最後の開存点は、動脈病変と動脈内腔の反対側との境界に存在することが多い。
【0004】
[0004]粥腫切除術や血管形成術などのアテローム性動脈硬化向けの外科的処置を用いて、1つまたは複数の血管内病変で失われた開存性および血流を回復させることができる。しかし、これらの外科的処置のいずれを実施するにも、複数の様々な装置が必要とされる。たとえば、粥腫切除術では、1つ目の病変横断装置を用いて血管内病変にガイドワイヤを通し、その後、2つ目の粥腫切除装置を病変へと進めて病変をアブレーションすることが必要とされる場合がある。複数の様々な装置のそれぞれを患者に挿入し、また患者から取り出す必要があり、これにより手術合併症のリスクが上昇する。したがって、アテローム性動脈硬化向けの外科的処置に使用される様々な装置の数を減らす必要性がある。本明細書のいくつかの実施形態では、上記のことに対処するシステムおよび方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本明細書のいくつかの実施形態では、コンソールおよびカテーテル組立体を含むシステムが提供される。コンソールは、電流を振動エネルギーに変換するように構成された超音波生成機構を含む。コンソールは、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供する駆動パラメータを調整するように構成された、駆動パラメータ調整装置も含む。カテーテル組立体は、シース内腔を含むシースと、少なくとも部分的にシース内腔の中に設けられたコアワイヤとを含む。コアワイヤは、コアワイヤの近位部および遠位部を含み、コアワイヤの近位部は、超音波生成機構に結合される。コアワイヤの遠位部の、シースを越えた作動長は、様々な血管内病変修正処置を行うように、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成される。
【0006】
[0006]本明細書に提供される概念の上記その他の特徴は、図面、説明、および添付の特許請求の範囲を参照すると、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]いくつかの実施形態によるシステムを示す概略図である。
図2】[0008]いくつかの実施形態による、パルス繰返し周波数およびデューティ比の駆動パラメータを示すグラフである。
図3】[0009]いくつかの実施形態によるシステムのカテーテル組立体を示す概略図である。
図4A】[0010]いくつかの実施形態によるカテーテル組立体のコアワイヤの座屈部分を示す概略図である。
図4B】[0011]いくつかの実施形態によるカテーテル組立体のコアワイヤの座屈部分を示す概略図である。
図5A】[0012]いくつかの実施形態によるカテーテル組立体の制振機構を示す概略図である。
図5B】[0013]いくつかの実施形態によるカテーテル組立体の制振機構を示す概略図である。
図6】[0014]いくつかの実施形態によるカテーテル組立体のガイドワイヤレールを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0015]いくつかの特定の実施形態をより詳細に提示する前に、本明細書に提供される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に提供される特定の実施形態は、その特定の実施形態から容易に分離することができかつ本明細書に提供される複数の他の実施形態のうちの任意の実施形態の特徴と任意選択で組み合わせまたは置換することができる特徴を有する場合があることも理解されたい。
【0009】
[0016]本明細書で使用する術語に関しては、各術語はいくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないということも理解されたい。別段の指示がない限り、序数(たとえば第1の、第2の、第3の、など)は、複数の特徴またはステップの群の中の、互いに異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、順番の限定または数的な限定を加えるものではない。たとえば、「第1の」、「第2の」、および「第3の」特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、こうした特徴またはステップを含む特定の実施形態は、これら3つの特徴またはステップに必ずしも限定される必要はない。別段の指示がない限り、「左」、「右」、「前」、「後ろ」、「上」、「下」、「順方向」、「逆方向」、「時計回り」、「反時計回り」、「上に」、「下に」などの任意の表記、または「上部」、「下部」、「後部」、「前部」、「垂直」、「水平」、「近位」、「遠位」などの他の同様の用語は、便宜的に使用されており、たとえば任意の特定の固定的な位置、向き、または方向を意味するものではないことも理解されたい。むしろ、こうした表記は、たとえば相対的な位置、向き、または方向を示すために使用される。内容から明らかにそうでないことが示されていなければ、「a」、「an」、および「the」という単数形は、複数形を含むということも理解されたい。
【0010】
[0017]別段の定めがない限り、本明細書で使用するあらゆる技術的用語および科学的用語は、当業者に一般に理解されているものと同じ意味をもつ。
[0018]アテローム性動脈硬化は、脂肪、コレステロール、およびカルシウムなどの血液由来の物質を含む粥腫の一部に形成される、1つまたは複数の血管内病変を特徴とする。粥腫切除術や血管形成術などのアテローム性動脈硬化向けの外科的処置を用いて、1つまたは複数の血管内病変で失われた開存性および血流を回復させることができる。しかし、これらの外科的処置のいずれを実施するにも、複数の様々な装置が必要とされる。たとえば、粥腫切除術では、1つ目の病変横断装置を用いて血管内病変にガイドワイヤを通し、その後、2つ目の粥腫切除装置を病変へと進めて病変をアブレーションすることが必要とされる場合がある。複数の様々な装置のそれぞれを患者に挿入し、また患者から取り出す必要があり、これにより手術合併症のリスクが上昇する。したがって、アテローム性動脈硬化向けの外科的処置に使用される様々な装置の数を減らす必要性がある。本明細書のいくつかの実施形態では、上記のことに対処するシステムおよび方法が提供される。
【0011】
[0019]たとえば、本明細書のいくつかの実施形態では、コンソールおよびカテーテル組立体を含むシステムが提供される。コンソールは、電流を振動エネルギーに変換するように構成された超音波生成機構を含む。コンソールは、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するための駆動パラメータを調整するように構成された、駆動パラメータ調整装置も含む。カテーテル組立体は、シース内腔を含むシースと、少なくとも部分的にシース内腔の中に設けられたコアワイヤとを含む。コアワイヤは、コアワイヤの近位部および遠位部を含み、コアワイヤの近位部は、超音波生成機構に結合される。コアワイヤの遠位部の、シースを越えた作動長は、様々な血管内病変修正処置を行うように、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成される。
【0012】
[0020]いくつかの実施形態では、1つまたは複数の出力モードは、少なくとも、血管内病変をアブレーションするための粥腫切除モード、および血管内病変を横断(cross)するための横断モードを含む。粥腫切除モードおよび横断モードのそれぞれは、その1つまたは複数の出力モードを有することができる。
【0013】
[0021]図1には、いくつかの実施形態によるシステム100を示す概略図が示してある。図示のように、システム100は、コンソール(換言すれば、制御部)110およびカテーテル組立体160を含むことができる。
コンソール
[0022]コンソール110は、システムおよび種々のサブシステム、ならびにそれらの機能を監視および制御するための機器を、システム操作者に提供する。コンソール110は、超音波発生装置120と超音波トランスデューサ130とを含む超音波生成機構を含んでもよい。超音波生成機構は、電流を振動エネルギーに変換するように構成され得る。たとえば、超音波発生装置120は、交流電流(たとえば商用電源に関連付けられた電流)を、高周波電流(たとえば、超音波トランスデューサ130の動作周波数と同等の周波数をもつ電流)に変換するように構成され得、超音波トランスデューサ130は、高周波電流を、振動エネルギー(たとえば20.5kHz±500Hzなど、>20kHz)に変換するように構成され得る。コンソール110は、駆動パラメータを調整して振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するように構成された、駆動パラメータ調整装置122も含むことができる。振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードは、カテーテル組立体160のコアワイヤを用いて、様々な血管内病変修正処置を実施することができる。コアワイヤは、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、コアワイヤの遠位端部で縦方向(換言すれば、長手方向)、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成され得る。
【0014】
[0023]いくつかの実施形態では、コンソール110は、カテーテル組立体160のコアワイヤを動作させ、また動作不能にするなど、システムを動作させ、また動作不能にするように構成された足踏みスイッチ140をさらに含んでもよい。たとえば、システム100に電源が入っているが動作していないとき、足踏みスイッチ140を使用してシステム100を動作させ、それによってカテーテル組立体160のコアワイヤを動作させることができる。システム100に電源が入っており、動作しているとき、足踏みスイッチ140を使用してシステム100を動作不能にし、それによってカテーテル組立体160のコアワイヤを動作不能にすることができる。いくつかの実施形態では、コンソール110は、カテーテル組立体160の任意選択の洗浄内腔162に洗浄剤を注入するように構成された注入装置150をさらに含んでもよい。洗浄剤は、たとえば、血管内病変修正処置を受けている解剖学的領域の洗浄、カテーテル組立体のコアワイヤの冷却、またはこれらの組合せのための、無菌の生理食塩水でもよい。いくつかの実施形態では、コンソール110は、足踏みスイッチ140および注入装置150をさらに含んでもよい。こうした実施形態では、足踏みスイッチ140は、足踏みスイッチ140でシステム100を動作させたとき注入装置150を動作させ、足踏みスイッチ140でシステム100を動作不能にしたとき注入装置150を動作不能にするように、さらに構成されてもよい。
【0015】
[0024]駆動パラメータ調整装置122は、少なくともパルス繰返し周波数、デューティ比、およびパルス繰返し周波数とデューティ比の組合せから選択される駆動パラメータを含むが限定はされない、複数の駆動パラメータうちのいずれかを調整して、様々な血管内病変修正処置を実施するように構成され得る。駆動パラメータ調整装置122は、システム操作者が粥腫切除モードと横断モードを切り換える、複数の駆動パラメータのうちのいずれかを調整する、またはこれらの組合せを実施するための、ボタン、スイッチ、ノブ、ホイール、またはこれらの組合せを含むが限定はされない、任意の複数の制御装置を含んでもよい。
【0016】
[0025]図2には、いくつかの実施形態によるパルス繰返し周波数およびデューティ比の駆動パラメータを示すグラフが示してある。
[0026]パルス繰返し周波数に関しては、図2に示すように、超音波トランスデューサからの超音波パルスなどの複数のパルスが、特定の時間期間Δtimeにわたって生じ得る。これら複数のパルスのうちの各パルスは、Δtimeの一部など、ある単位時間に測定されるパルス幅(「PW」)をもつことができ、任意の2つの連続したパルスの開始点間の時間が、パルス繰返し周期(「PRP」)を規定し得る。パルス繰返し周波数(「PRF」)はパルス繰返し周期の逆数であり、つまりPRF=PRP-1である。Δtimeが1秒である場合、たとえばパルス繰返し周波数は1秒当たりのパルス数、すなわちHzで表すことができる。図2には、Δtimeが1秒である場合の、例示的な3Hzのパルス繰返し周波数が示してある。
【0017】
[0027]デューティ比に関しては、デューティ比は、100分の1(すなわちパーセンテージ)で表されたデューティファクタである。デューティファクタ(「DF」)は、パルス繰返し周期のうち、パルス繰返し周期の間に複数のパルスのうちのそれぞれのパルスが存在する割合である。各パルスは、パルス繰返し周期中、そのパルス幅の間は存在しているとみなされる。したがって、DF=PW/PRPであり、DC=DF×100である。図2には、例示的な約0.50のデューティファクタおよび約50%のデューティ比が示してある。
【0018】
[0028]駆動パラメータ調整装置122は、パルス繰返し周波数を調整して、たとえば、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅で、コアワイヤを横方向に変位させるように構成され得る。約5Hz~10Hzなど、約5Hz~17Hzを含めた約5Hz~25Hzの間のパルス繰返し周波数が、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを横方向に変位させることができる。さらに、約5Hz~25Hzの間のパルス繰返し周波数に対してデューティ比が約50%~75%の間であると、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを横方向に変位させることができる。さらに、約5Hz~10Hzのパルス繰返し周波数に対してデューティ比が約50%~75%の間であると、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを横方向に変位させることができる。
【0019】
[0029]駆動パラメータ調整装置122は、デューティ比を調整して、たとえば、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅で、コアワイヤを縦方向に変位させるように構成され得る。約75%~100%など、約50%~100%を含めた約25%~100%の間のデューティ比が、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させることができる。さらに、約75%~100%の間のデューティ比に対してパルス繰返し周波数が約10Hz~25Hzの間であると、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させることができる。デューティ比が約100%である場合、パルス繰返し周波数は、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させることにおいて、より小さい成分になる。さらに、約100%のデューティ比に対し、約5Hz~25Hzの間のパルス繰返し周波数を含めた任意のパルス繰返し周波数が、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅で、コアワイヤを縦方向に変位させることができる。
【0020】
[0030]カテーテル組立体160のコアワイヤの寸法および/または材料を修正すると、様々な血管内病変修正処置を実施するためのパルス繰返し周波数およびデューティ比が影響を受ける場合がある。したがって、駆動パラメータ調整装置122は、その構成において、前述の5~25Hzの範囲でパルス繰返し周波数を調整することに限定されないことを理解されたい。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置122は、パルス繰返し周波数を約5Hz未満、約25Hz超、または約5Hz未満および約25Hz超に調整するように、さらに構成されてもよい。駆動パラメータ調整装置122は、その構成において、前述の25~100%の範囲でデューティ比を調整することに限定されないことも理解されたい。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置122は、デューティ比を約25%未満に調整するように、さらに構成されてもよい。
カテーテル組立体
[0031]図3には、いくつかの実施形態によるシステム100のカテーテル組立体160を示す概略図が示してある。
【0021】
[0032]カテーテル組立体160は、シース内腔372を含むシース370と、少なくとも部分的にシース内腔372の中に設けられたコアワイヤ380とを含むことができる。コアワイヤ380は、コアワイヤの近位部382および遠位部384を含むことができ、コアワイヤ380の近位部382は、ソニックコネクタ381(図5Aおよび図5Bを参照)によって超音波生成機構に結合され、超音波トランスデューサ130または介在する超音波ホーンに結合され得る。コアワイヤ380の遠位部384の、シース370を越えた作動長386は、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って変位して、様々な血管内病変修正処置を実施するように構成され得る。コアワイヤ380の作動長386は、約5~100mm、または100~200mmを含め、約5~200mmの間の範囲でもよい。
【0022】
[0033]コアワイヤ380の作動長386は、横断モードおよび粥腫切除モードを含めた振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成され得る。コアワイヤ380の作動長386が縦方向に変位すると、キャビテーションなどのマイクロモーションを生じさせることができ、コアワイヤ380の作動長386が横方向に変位すると、マクロモーションを生じさせることができる。横断モードでは、マイクロモーションを使用して血管内病変を横断することができる。粥腫切除モードでは、マイクロモーションと結合したマクロモーションを使用して血管内病変をアブレーションし、それによって病変を微小な断片へと破壊し、開存性および血流を回復させることができる。
【0023】
[0034]コアワイヤ380はチップなしで構成されてもよく、これにより、コアワイヤ380からチップが分離するなどのチップの破損から生じる、外科的処置を原因とする合併症が排除される。外科的処置を原因とする合併症をさらに排除するために、コアワイヤ380は、コアワイヤ380の遠位端部などの遠位部384では増大(bulk-up)して、より耐久性のある遠位部384を形成してもよく、これにより、コアワイヤ380の遠位部384での、外科的処置を原因とするワイヤの破損が減る。コアワイヤ380の増大遠位部384は、テーパ付けしたコアワイヤと比較して、コアワイヤの遠位部384において増加した質量を有する。質量の増加は、コアワイヤの遠位部384のサイズの拡大に起因してもよく、コアワイヤの遠位部384の密度の増加に起因してもよく、これらの組合せに起因してもよい。コアワイヤ380の遠位部384において外科的処置を原因とするワイヤの破損を減らすことに加えて、コアワイヤの増大遠位部384は、コアワイヤ380に縦方向の変位を生じさせるための固定具(anchor)およびノード位置を提供することができる。
【0024】
[0035]図4Aおよび図4Bには、いくつかの実施形態によるカテーテル組立体のコアワイヤの座屈部分を示す概略図が示してある。
[0036]いくつかの実施形態では、コアワイヤ380は、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って座屈することによってコアワイヤ380の作動長に横方向の変位を生じさせるように構成された、座屈部分488を含むことができる。座屈部分488は、コアワイヤの近位部382と遠位部384の間の、コアワイヤ380の中央部483に含まれ得る。コアワイヤ380の中央部483は、コアワイヤ380のテーパ部分487および逆テーパ部分489を含むことができ、座屈部分488は、テーパ部分487と逆テーパ部分489の間に存在することができ、断面積はテーパ部分487または逆テーパ部分489のうちのいずれか一方よりも小さい。座屈部分488は、たとえば少なくとも約10.16cm(約4インチ)の長さである、少なくとも約7.62cm(約3インチ)の長さなど、少なくとも約5.08cm(約2インチ)の長さを含めた、少なくとも約2.54cm(約1インチ)の長さでもよい。いくつかの実施形態では、座屈部分は約7.62~10.16cm(約3~4インチ)の長さでもよい。
【0025】
[0037]図5Aおよび図5Bには、いくつかの実施形態によるカテーテル組立体の制振機構を示す概略図が示してある。
[0038]カテーテル組立体160は、コアワイヤ380の近位部382のあたりに制振機構を含み、この制振機構は、コアワイヤ380の近位部382のあたりで、縦方向に配向された振動エネルギーを優先させて、横方向に配向された振動エネルギーを制振し、かつコアワイヤ380の疲労を防止するように構成され得る。制振機構は、第1の半径方向圧縮力でコアワイヤ380を包むスリーブ592と、第2の半径方向圧縮力でスリーブ592を包むガスケット装置594と、カテーテル組立体160の制振機構穴部598の中にガスケット装置594を保持するように構成された保持装置596とを含むことができる。コアワイヤ380を包むスリーブ592は、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)のスリーブ592など、ポリマーのスリーブ592でもよい。コアワイヤ380に対するスリーブ592の第1の半径方向圧縮力は、隙間嵌め、中間嵌め、および締まり嵌めから選択される、工学的嵌合に関連付けられた範囲になり得る。隙間嵌めは、コアワイヤ380がスリーブ592の中で自由に回転または摺動するのを可能にする、かなりゆるい嵌合であり、中間嵌めは、コアワイヤ380をスリーブ592の中で定位置に堅く保持するが、コアワイヤ380をスリーブ592から取り出すことができないほど堅くはなく、締まり嵌めは、コアワイヤ380、スリーブ592、またはコアワイヤ380とスリーブ592の両方を損傷させることなしにはコアワイヤ380をスリーブ592から取り出すことができないように、コアワイヤ380をスリーブ592の中で定位置に確実に保持する。いくつかの実施形態では、コアワイヤ380に対するスリーブ592の第1の半径方向圧縮力は、中間嵌めまたは締まり嵌めに関連付けられる。中間嵌めおよび締まり嵌めは、たとえば、カテーテル組立体160の組立て中、コアワイヤ380の周りに所望の通りに嵌合するように、適当なサイズのPTFEを熱収縮させることによって行われてもよい。
【0026】
[0039]ガスケット装置594は、複数のOリング599を含んでもよい。Oリング599の数は、たとえば6個のOリングである、4個のOリングなど、2個のOリングを含めた1個のOリングから12個のOリングの範囲でもよい。Oリング599は、カテーテル組立体160の制振機構穴部598の中で圧縮され、保持装置596、たとえばワッシャによる縦方向の圧縮を用いて、制振機構穴部598の中に保持され得る。この縦方向の圧縮は、コアワイヤ380の近位部382の周りで、縦方向に配向された振動エネルギーを優先させて、横方向に配向された振動エネルギーを制振するのに十分なところまでコアワイヤ380を半径方向に圧縮することに寄与する。制振機構は、コアワイヤ380の振動の節(vibrational node)で中央に位置決めされて、横方向に配向された振動エネルギーを制振することによって生じる摩擦熱を最小限に抑えることができる。摩擦熱が最小限に抑えられることにより、カテーテル組立体160の制振機構にはヒートシンクの必要性がなくなる。注入装置150を含むシステム100の実施形態では、ガスケット装置594により、カテーテル組立体160から超音波生成機構へと洗浄剤が洗浄剤逆流するのを防止することができる。
【0027】
[0040]図6には、いくつかの実施形態によるカテーテル組立体のガイドワイヤレールを示す概略図が示してある。
[0041]カテーテル組立体160は、シース370と横並びになるなど外部からシース370に固定された、ガイドワイヤレール内腔666を備えるガイドワイヤレール664をさらに含んでもよい。ガイドワイヤレール664は遠位シース終端の近傍で終端してもよく、遠位シース終端では、コアワイヤ380の作動長は、ガイドワイヤレール664、全体的もしくは部分的にガイドワイヤレール内腔666の中に設けられたガイドワイヤG、またはガイドワイヤレール664とガイドワイヤGの組合せと相互作用することなく、自由に横方向に変位する。したがって、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モード用の駆動パラメータの調整(たとえばパルス繰返し周波数、デューティ比などの調整)に関連付けられる微妙な違いには、影響がない。
【実施例
【0028】
[0042]いくつかの実施形態によるシステムを使用して、パルス繰返し周波数およびデューティ比を含めた駆動パラメータを調整し、それにより、少なくとも粥腫切除モードおよび横断モードを実施するための駆動パラメータの値を決定した。血管内病変をアブレーションするための粥腫切除モード、および血管内病変を横断するための横断モードの有効性も、定性的に決定した。粥腫切除出力モードに関しては、約5Hz~10Hzの間のパルス繰返し周波数および約50%~75%の間のデューティ比により、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを横方向に変位させることができると判定された。表1には、上記のことを判定する元となった駆動パラメータのうちのいくつかが示してある。
【0029】
【表1】
























【0030】
[0043]横断出力モードに関しては、約75%~100%の間のデューティ比に対してパルス繰返し周波数を約10Hz~25Hzの間にすると、病変横断処置を行うのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させることができると判定された。デューティ比が約100%である場合、パルス繰返し周波数は、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させることにおいて、より小さい成分になる。約100%のデューティ比に対し、約5Hz~25Hzの間のパルス繰返し周波数を含めた任意のパルス繰返し周波数が、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させることができる。表2には、前述のことを判定する元となった駆動パラメータのうちのいくつかが示してある。
【0031】
【表2】
















【0032】
[0044]したがって、本明細書のいくつかの実施形態では、コンソールおよびカテーテル組立体を含むシステムが提供される。コンソールは、電流を振動エネルギーに変換するように構成された超音波生成機構を含む。コンソールは、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するための駆動パラメータを調整するように構成された、駆動パラメータ調整装置も含む。カテーテル組立体は、シース内腔を含むシースと、少なくとも部分的にシース内腔の中に設けられたコアワイヤとを含む。コアワイヤは、コアワイヤの近位部および遠位部を含み、コアワイヤの近位部は、超音波生成機構に結合される。コアワイヤの遠位部の、シースを越えた作動長は、様々な血管内病変修正処置を実施するために振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置は、様々な血管内病変修正処置を実施するために、少なくとも、パルス繰返し周波数、デューティ比、およびパルス繰返し周波数とデューティ比の組合せから選択される駆動パラメータを調整するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置は、約5Hz~10Hzの間でパルス繰返し周波数を調整して、粥腫切除処置を行うのに十分な振幅でコアワイヤを横方向に変位させるように構成される。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置は、約75%~100%の間でデューティ比を調整して、血管内病変横断処置を行うのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させるように構成される。
【0033】
[0045]いくつかの実施形態では、コアワイヤは、コアワイヤの近位部と遠位部の間に座屈部分をさらに含み、この座屈部分は、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って座屈することにより、コアワイヤの作動長に横方向の変位を生じさせるように構成される。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、コアワイヤの近位部の周りに制振機構をさらに含み、この制振機構は、コアワイヤの近位部の周りで、縦方向に配向された振動エネルギーを優先させて、横方向に配向された振動エネルギーを制振するように構成される。いくつかの実施形態では、制振機構は、第1の半径方向圧縮力でコアワイヤを包むスリーブと、第2の半径方向圧縮力でスリーブを包むガスケット装置と、カテーテル組立体の制振機構穴部の中でガスケット装置を収容するように構成されたワッシャとを含む。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、シースの外部に固定された、ガイドワイヤレール内腔を含むガイドワイヤレールをさらに含み、ガイドワイヤレールは、シースの遠位終端の周りで終端し、遠位終端では、ガイドワイヤレール、ガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤ、またはガイドワイヤレールとガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤとの組合せは、コアワイヤの作動長が横方向に変位することのいかなる影響も受けない。
【0034】
[0046]本明細書のいくつかの実施形態では、コンソールを含むシステムも提供される。コンソールは、超音波発生装置、超音波トランスデューサ、および駆動パラメータ調整装置を含む。超音波発生装置は、交流電流を高周波電流に変換するように構成される。超音波トランスデューサは、高周波電流を振動エネルギーに変換するように構成される。駆動パラメータ調整装置は、駆動パラメータを調整して、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するように構成される。振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードにより、コアワイヤを用いて様々な血管内病変修正処置が実施され、このコアワイヤは、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、コアワイヤの遠位端部で縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置は、少なくとも、パルス繰返し周波数、デューティ比、およびパルス繰返し周波数とデューティ比の組合せから選択される駆動パラメータを調整して、様々な血管内病変修正処置を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置は、約5Hz~10Hzの間でパルス繰返し周波数を調整して、粥腫切除処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを横方向に変位させるように構成される。いくつかの実施形態では、駆動パラメータ調整装置は、約75%~100%の間でデューティ比を調整して、血管内病変横断処置を実施するのに十分な振幅でコアワイヤを縦方向に変位させるように構成される。
【0035】
[0047]本明細書のいくつかの実施形態では、カテーテル組立体を含むシステムも提供される。カテーテル組立体は、シース、コアワイヤ、および制振機構を含む。シースはシース内腔を含み、コアワイヤは、少なくとも部分的にシース内腔の中に設けられる。コアワイヤは、コアワイヤの近位部および遠位部を含み、コアワイヤの近位部は、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードを選択的に提供するように構成された超音波生成機構に結合される。コアワイヤの近位部の周りの制振機構は、コアワイヤの近位部の周りで、縦方向に配向された振動エネルギーを優先させて、横方向に配向された振動エネルギーを制振するように構成される。コアワイヤの遠位部の、シースを越えた作動長は、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って、縦方向、横方向、または縦方向および横方向に変位して、様々な血管内病変修正処置を実施するように構成される。いくつかの実施形態では、コアワイヤは、コアワイヤの近位部と遠位部の間のコアワイヤの中央部に座屈部分をさらに含み、この座屈部分は、振動エネルギーの1つまたは複数の出力モードに従って座屈することにより、コアワイヤの作動長に横方向の変位を生じさせるように構成される。いくつかの実施形態では、コアワイヤは、コアワイヤの中央部にテーパ部分および逆テーパ部分をさらに含み、座屈部分はコアワイヤのテーパ部分と逆テーパ部分の間に存在し、座屈部分は少なくとも2.54cm(1インチ)の長さであり、断面積はテーパ部分または逆テーパ部分のうちのいずれか一方よりも小さい。いくつかの実施形態では、制振機構は、コアワイヤを包むポリマーのスリーブと、ポリマーのスリーブを包むガスケット装置と、カテーテル組立体の制振機構穴部の中でガスケット装置を収容するように構成されたワッシャとを含む。いくつかの実施形態では、ガスケット装置は、カテーテル組立体から超音波生成機構へと洗浄剤が逆流することを防止するように構成された、半径方向および縦方向に圧縮される複数のOリングを含む。いくつかの実施形態では、制振機構は、コアワイヤの振動の節で中央に位置決めされて、横方向に配向された振動エネルギーを制振することによって生じる摩擦熱を最小限に抑える。いくつかの実施形態では、カテーテル組立体は、シースの外部に固定された、ガイドワイヤレール内腔を含むガイドワイヤレールをさらに含む。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤレールは、シースの遠位終端の周りで終端し、遠位終端では、ガイドワイヤレール、ガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤ、またはガイドワイヤレールとガイドワイヤレール内腔の中に設けられたガイドワイヤとの組合せは、コアワイヤの作動長が横方向に変位することのいかなる影響も受けない。
【0036】
[0048]本明細書ではいくつかの特定の実施形態を提供し、またこれら特定の実施形態をいくらか詳細に提示してきたが、これら特定の実施形態は、本明細書に提示した概念の範囲を制限するものではない。当業者ならさらなる改変形態および/または修正形態に想到する可能性があり、より広い態様では、これらの改変形態および/または修正形態も包含される。したがって、本明細書に提示した概念の範囲から逸脱しない限り、本明細書に提示した特定の実施形態からの逸脱がなされてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6