(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】滅菌された不織布製品用のフィルムツーフィルム包装ソリューション
(51)【国際特許分類】
B65D 81/20 20060101AFI20220713BHJP
B65B 55/04 20060101ALI20220713BHJP
B65B 55/08 20060101ALI20220713BHJP
B65B 31/04 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B65D81/20 F
B65B55/04 H
B65B55/08 B
B65B55/04 B
B65B31/04 A
(21)【出願番号】P 2019525868
(86)(22)【出願日】2017-11-13
(86)【国際出願番号】 US2017061231
(87)【国際公開番号】W WO2018093700
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-10-01
(32)【優先日】2016-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518174101
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インターナショナル アンリミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マニオン、ギャビン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】スコル、フィリップ・エー
(72)【発明者】
【氏名】エルズウッド、マーク・アール
(72)【発明者】
【氏名】ブラム、ステファン・エル
(72)【発明者】
【氏名】ファンタズ、ジェイコブ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、アーロン・ディー
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-520720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0084144(US,A1)
【文献】米国特許第05485496(US,A)
【文献】特表2013-517996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/20
B65B 53/00-55/24
B65B 31/00-31/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品とフィルムツーフィルムパッケージとの組み合わせ体であって、
前記製品は、前記フィルムツーフィルムパッケージ内に真空包装され、
前記製品は、不織ポリオレフィン材料を含み、
前記フィルムツーフィルムパッケージは、内部及び外部を有し、かつ、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5~10立方センチメートルの酸素透過率を有する層を含み、
前記製品は、前記フィルムツーフィルムパッケージの前記内部に配置され、
前記フィルムツーフィルムパッケージの前記外部に2~10キロパスカル(20~100ミリバール)の真空圧力を印加し、次いで、前記フィルムツーフィルムパッケージの前記内部が10~50キロパスカル(100~500ミリバール)の不活性ガスフラッシュ圧力に達するまで前記フィルムツーフィルムパッケージの前記内部を不活性ガスでフラッシュすることによって、前記フィルムツーフィルムパッケージの前記内部から空気が除去され、
前記フィルムツーフィルムパッケージ及び前記製品は、電離放射線照射によって滅菌され、
滅菌後の前記製品は、13%以下のマシン方向の引張強度の減少を示すことを特徴とする組み合わせ体。
【請求項2】
前記フィルムツーフィルムパッケージは、熱成形されることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ体。
【請求項3】
前記電離放射線照射は、ガンマ線照射、電子線照射、またはX線照射であることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ体。
【請求項4】
前記層は、エチレンビニルアルコールまたはナイロンを含むことを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ体。
【請求項5】
前記層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5~5.0立方センチメートルの酸素透過率を有することを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ体。
【請求項6】
前記層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5~2.0立方センチメートルの酸素透過率を有することを特徴とする請求項5に記載の組み合わせ体。
【請求項7】
不活性ガスは、窒素、アルゴン、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ体。
【請求項8】
前記フィルムツーフィルムパッケージは、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも占有する体積が小さいことを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ体。
【請求項9】
当該組み合わせ体は、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の組み合わせ体よりも少なくとも10パーセント高い密度を有することを特徴とする請求項8に記載の組み合わせ体。
【請求項10】
当該組み合わせ体は、所定の形状を有し、
前記所定の形状は、平らな平面的な形状、湾曲した形状、円錐形状、折り線または折り畳み線を有する平らな平面的な形状、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項9に記載の組み合わせ体。
【請求項11】
前記所定の形状は、平らな平面的な形状であることを特徴とする請求項10に記載の組み合わせ体。
【請求項12】
製品をパッケージ内に包装する方法であって、
内部及び外部を有し、かつ、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5~10立方センチメートルの酸素透過率を有する層を含むフィルムツーフィルムパッケージを用意するステップと、
前記フィルムツーフィルムパッケージの前記内部に製品を配置するステップであって、前記製品は、不織ポリオレフィン材料を含む、該ステップと、
2~10キロパスカル(20~100ミリバール)の真空圧力に達するまで、制御された雰囲気中で前記フィルムツーフィルムパッケージの前記外部に真空を印加するステップと、
10~50キロパスカル(100~500ミリバール)の不活性ガスフラッシュ圧力に達するまで、前記フィルムツーフィルムパッケージの前記内部を不活性ガスでフラッシュするステップと、
前記フィルムツーフィルムパッケージを密封するステップと、
前記制御された雰囲気中で前記フィルムツーフィルムパッケージの前記外部に印加された前記真空を解除するステップと、
前記フィルムツーフィルムパッケージ及び前記製品を電離放射線照射によって滅菌するステップと、を含み、
滅菌後の前記製品は、13%以下のマシン方向の引張強度の減少を示すことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記フィルムツーフィルムパッケージは、熱成形されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電離放射線照射は、ガンマ線照射、電子線照射、またはX線照射であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記層は、エチレンビニルアルコールまたはナイロンを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5~5.0立方センチメートルの酸素透過率を有することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5立方センチメートル~2.0立方センチメートルの酸素透過率を有することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
不活性ガスは、窒素、アルゴン、またはそれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルムツーフィルムパッケージは、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも占有する体積が小さいことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記制御された雰囲気中で前記フィルムツーフィルムパッケージの前記外部に印加された前記真空を解除する前記ステップにより、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない場合と比較して、少なくとも10%高い密度を有するパッケージと製品との組み合わせ体が形成されることを特徴とする請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記制御された雰囲気中で前記フィルムツーフィルムパッケージの前記外部に印加された前記真空を解除する前記ステップにより、所定の形状を有する組み合わせ体が形成され、前記所定の形状は、平らな平面的な形状、湾曲した形状、円錐形状、折り線または折り畳み線を有する平らな平面的な形状、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項22】
前記所定の形状は、平らな平面的な形状であることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
輸送システムであって、
輸送コンテナと、
複数の、上記の請求項1ないし11のいずれかに記載の組み合わせ体と、を含むことを特徴とする輸送システム。
【請求項24】
分配システムであって、
分配コンテナと、
複数の、上記の請求項1ないし11のいずれかに記載の組み合わせ体と、を含むことを特徴とする分配システム。
【請求項25】
上記の請求項1ないし11のいずれかに記載の組み合わせ体を2以上含むスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2016年11月6日に出願された米国特許仮出願第62/422、806号に基づく優先権を主張するものである。上記出願の内容の全体は、参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、真空包装された製品及びその製造方法に関し、より詳細には、真空包装された不織布製品及びその滅菌に関連する望ましくない副次的効果を低減または排除する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な使用分野では、滅菌されたポリオレフィンベースの布、機器、及び道具の使用が必要とされている。例えば、医療従事者、歯科従事者、化学研究従事者、バイオ技術従事者、及び他の同様の分野での作業環境では、使用前に滅菌されたポリオレフィンベースの製品(例えば、ドレープ、ガウン、マスクなど)を使用することがよく知られている。
【0004】
現在、エチレンオキシドは、例えば外科用ガウン及びドレープとして使用される医療用布などのポリオレフィンベースの製品を滅菌するために使用されている。しかしながら、潜在的な危険性及びエチレンオキシド滅菌が高コストであることにより、医学界は別の滅菌方法を検討するようになった。1つの効果的な滅菌方法は、ガンマ線照射及び他の種類の電離放射線照射、例えば電子線照射またはX線照射を使用する方法である。ガンマ線照射及び他の方法による滅菌は、ポリオレフィンベースの製品及び機器については成功しているが、照射プロセスによって引き起こされる少なくとも2つの非常に望ましくない副次的効果が依然として存在する。第1の望ましくない副次的効果は、照射処理の結果として発生する臭気であり、それは、ガンマ線照射されたポリオレフィンベースの製品を多くの用途にとって望ましくないものにする。第2の望ましくない副次的効果は、照射されたポリオレフィンベースの製品の強度が著しく減少することである。実際、照射プロセスは、ポリオレフィンベースの製品の引裂強度を、照射されていない場合と比べて65%も減少させることが知られている。
【0005】
望ましくない臭気及びポリオレフィンベース製品の強度の減少の原因は、製品のポリオレフィンが酸素存在下でガンマ線に暴露されたときに生じるフリーラジカルプロセスであることが分かっている。ポリオレフィンベースの製品では、このプロセスは、ポリオレフィン鎖を互いに結合させている化学結合を本質的に破壊してフリーラジカルを生成する。ポリオレフィン主鎖の破壊により、ポリオレフィンの強度は、放射線量に比例して減少する。生成されたフリーラジカルは、空気中の酸素と再結合することができ、これにより、短鎖酸または酸化化合物が生成される。生成された短鎖酸または酸化化合物は製品に捕らわれる。生成された酸の1つである酪酸は、臭気を引き起こす主要な原因となり得る。
【0006】
上記の2つの望ましくない副次的効果を排除するための従来の努力及び試みとしては、ポリオレフィンベースの製品のガンマ線照射に関連する臭気をわずかに低減する方法が挙げられるが、これは、照射処理によって生じる臭気を十分に低減したり引裂強度の減少を最小限に抑えたりすることはできなかった。
【0007】
このため、ポリオレフィンベースの製品のガンマ線照射に関連する臭気をさらに最小化または排除するための製品及び方法が求められている。
【0008】
また、臭気を低減するだけでなく、ガンマ線照射によるポリオレフィンベースの製品の引張強度の減少を最小限に抑えることができる製品及び方法も求められている。
【0009】
さらに、包装された製品の体積を従来よりも減少させることができ、その結果、包装された製品が保管及び出荷において占有するスペースがより小さくなり、それによってコストを減少させることができる製品及び方法も求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、製品とフィルムツーフィルムパッケージとの組み合わせ体が意図される。製品は、フィルムツーフィルムパッケージ内に真空包装される。フィルムツーフィルムパッケージは、内部及び外部を有し、かつ、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約10立方センチメートル以下の酸素透過率を有する層を含む。製品は、フィルムツーフィルムパッケージの内部に配置される。そして、フィルムツーフィルムパッケージの外部に約25キロパスカル(250ミリバール)以下の真空圧力を印加し、次いで、フィルムツーフィルムパッケージの内部が約75キロパスカル(750ミリバール)以下の不活性ガスフラッシュ圧力に達するまでフィルムツーフィルムパッケージの内部を不活性ガスでフラッシュすることによって、フィルムツーフィルムパッケージの内部から空気が除去される。フィルムツーフィルムパッケージ及び製品は、電離放射線照射によって滅菌され、滅菌後の製品は、18.5%以下の引張強度の減少を示す。
【0011】
一実施形態では、フィルムツーフィルムパッケージは、熱成形される。
【0012】
特定の一実施形態では、電離放射線照射は、ガンマ線照射、電子線照射、またはX線照射である。
【0013】
別の実施形態では、層は、エチレンビニルアルコールまたはナイロンを含む。
【0014】
1以上の実施形態では、製品は、不織ポリオレフィン材料を含む。
【0015】
さらに別の実施形態では、真空圧力は、約1.5~5キロパスカル(15ミリバール~50ミリバール)であり、不活性ガスフラッシュ圧力は、約5~15キロパスカル(50ミリバール~150ミリバール)である。このような実施形態では、滅菌後の製品のマシン方向の引張強度の減少は約10%以下であり、滅菌後の製品のクロスマシン方向の引張強度の減少は約18%以下である。
【0016】
さらなる別の実施形態では、真空圧力は、約7.5~12.5キロパスカル(75ミリバール~125ミリバール)であり、不活性ガスフラッシュ圧力は、約40~60キロパスカル(400ミリバール~600ミリバール)である。このような実施形態では、滅菌後の製品の方向の引張強度の減少は約15%以下であり、滅菌後の製品のクロスマシン方向の引張強度の減少は約18.5%以下である。
【0017】
別の実施形態では、層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約5.0立方センチメートル以下の酸素透過率を有する。例えば、層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約0.001立方センチメートル~2.0立方センチメートルの酸素透過率を有する。
【0018】
1以上の実施形態では、不活性ガスは、窒素、アルゴン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0019】
さらに別の実施形態では、フィルムツーフィルムパッケージは、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも占有する体積が小さい。例えば、組み合わせ体は、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の組み合わせ体よりも少なくとも10パーセント高い密度を有する。加えて、組み合わせ体は、所定の形状及び/または所定の剛性を有する。例えば、所定の形状は、実質的に平面的な形状であり、所定の剛性は、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の組み合わせ体よりも少なくとも10パーセント高い。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、製品をパッケージ内に包装する方法が意図される。
本方法は、内部及び外部を有し、かつ、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約10立方センチメートル以下の酸素透過率を有する層を含むフィルムツーフィルムパッケージを用意するステップと、フィルムツーフィルムパッケージの内部に製品を配置するステップと、約25キロパスカル(250ミリバール)以下の真空圧力に達するまで、制御された雰囲気中でフィルムツーフィルムパッケージの外部に真空を印加するステップと、約75キロパスカル(750ミリバール)以下の不活性ガスフラッシュ圧力に達するまで、フィルムツーフィルムパッケージの内部を不活性ガスでフラッシュするステップと、フィルムツーフィルムパッケージを密封するステップと、制御された雰囲気中でフィルムツーフィルムパッケージの外部に印加された真空を解除するステップと、フィルムツーフィルムパッケージ及び製品を電離放射線照射によって滅菌するステップと、を含み、滅菌後の製品は、18.5%以下の引張強度の減少を示す。
【0021】
一実施形態では、フィルムツーフィルムパッケージは、熱成形される。
【0022】
特定の一実施形態では、電離放射線照射は、ガンマ線照射、電子線照射、またはX線照射である。
【0023】
別の実施形態では、層は、エチレンビニルアルコールまたはナイロンを含む。
【0024】
1以上の実施形態では、製品は、不織ポリオレフィン材料を含む。
【0025】
さらに別の実施形態では、真空圧力は、約1.5~5キロパスカル(15ミリバール~50ミリバール)であり、不活性ガスフラッシュ圧力は、約5~15キロパスカル(50ミリバール~150ミリバール)である。このような実施形態では、滅菌後の製品のマシン方向の引張強度の減少は約10%以下であり、滅菌後の製品のクロスマシン方向の引張強度の減少は約18%以下である。
【0026】
さらなる別の実施形態では、真空圧力は、約7.5~12.5キロパスカル(75ミリバール~125ミリバール)であり、不活性ガスフラッシュ圧力は、約40~60キロパスカル(400ミリバール~600ミリバール)である。このような実施形態では、滅菌後の製品の方向の引張強度の減少は約15%以下であり、滅菌後の製品のクロスマシン方向の引張強度の減少は約18.5%以下である。
【0027】
別の実施形態では、層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約5.0立方センチメートル以下の酸素透過率を有する。例えば、層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約0.001立方センチメートル~2.0立方センチメートルの酸素透過率を有する。
【0028】
1以上の実施形態では、不活性ガスは、窒素、アルゴン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0029】
さらに別の実施形態では、フィルムツーフィルムパッケージは、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも占有する体積が小さい。例えば、制御された雰囲気中でパッケージの外部に印加された真空を解除する上記のステップにより、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない場合と比較して、少なくとも10%高い密度を有するパッケージと製品との組み合わせ体が形成される。
【0030】
特定の実施形態では、フィルムツーフィルムパッケージの外部に印加された真空を解除する上記のステップにより、所定の形状及び/または所定の剛性を有する組み合わせ体が形成される。例えば、所定の形状は、実質的に平面的な形状であり、所定の剛性は、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の組み合わせ体よりも少なくとも10パーセント高い。
【0031】
本発明の別の実施形態によれば、輸送コンテナと、複数の、上記の製品及びパッケージの組み合わせ体と、を含む輸送システムが意図される。
【0032】
さらに別の実施形態では、分配コンテナと、複数の、上記の製品及びパッケージの組み合わせ体と、を含む分配システムが意図される。
【0033】
さらなる別の実施形態では、上記の製品及びパッケージの組み合わせ体を2以上含むスタックが意図される。
【0034】
本発明の他の態様及び利点は、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図であり、パッケージの密封後の状態を示す。
【
図2】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図及び拡大図であり、パッケージの密封前に、真空引き及び不活性ガスフラッシュを実施するためのチャンバが形成された状態を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図及び拡大図であり、パッケージの密封前に、パッケージの外部に対して真空が引かれた状態を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図及び拡大図であり、パッケージの密封前に、パッケージの内部に不活性ガスをフラッシュした状態を示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図及び拡大図であり、制御された雰囲気下でパッケージを密封する状態を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図及び拡大図であり、制御された雰囲気下でパッケージを密封した後の状態を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係るパッケージの内部に製品を密封する方法に使用される包装装置の断面図及び拡大図であり、制御された雰囲気下でパッケージを密封した後に、真空を解除してパッケージを大気条件に曝した状態を示す。
【
図8】本発明の一実施形態によるパッケージの内部に密封された製品の断面図であり、真空解除前の制御された雰囲気中の状態を示す。
【
図9】本発明の一実施形態によるパッケージの内部に密封された製品の断面図であり、真空解除後の大気条件に曝された状態を示す。
【
図10】本発明の包装された製品の一実施形態の部分破断図を示す。
【
図11】
図10の断面図であり、本発明によって意図される外部部材12及び外部部材14の構成要素の一実施形態を示す。
【
図12】
図10の断面図である。本発明によって意図される外部部材12及び外部部材14の構成要素の別の実施形態を示す。
【
図13】2つの互いに異なるパッケージ材料内で滅菌した不織布製品のマシン方向の引張強度の減少を示す棒グラフである。各パッケージ材料を2キロパスカル(20ミリバール)の真空圧力を印加し、10キロパスカル(100ミリバール)の圧力で窒素ガスをフラッシュした後、45キログレイの線量のガンマ線照射で製品を滅菌した。対照として、窒素ガスフラッシュを行わずに45~50キログレイの線量の放射線照射で滅菌した第3のパッケージ材料を示す。
【
図14】2つの互いに異なるパッケージ材料内で滅菌した不織布製品のクロスマシン方向の引張強度の減少を示す棒グラフである。各パッケージ材料を2キロパスカル(20ミリバール)の真空圧力を印加し、10キロパスカル(100ミリバール)の圧力で窒素ガスをフラッシュした後、45キログレイの線量のガンマ線照射で製品を滅菌した。対照として、窒素ガスフラッシュを行わずに45~50キログレイの線量の放射線照射で滅菌した第3のパッケージ材料を示す。
【
図15】2つの互いに異なるパッケージ材料内で滅菌した不織布製品のマシン方向の引張強度の減少を示す棒グラフである。各パッケージ材料を10キロパスカル(100ミリバール)の真空圧力を印加し、50キロパスカル(500ミリバール)の圧力で窒素ガスをフラッシュした後、45キログレイの線量のガンマ線照射で製品を滅菌した。対照として、窒素ガスフラッシュを行わずに45~50キログレイの線量の放射線照射で滅菌した第3のパッケージ材料を示す。
【
図16】2つの互いに異なるパッケージ材料内で滅菌した不織布製品のクロスマシン方向の引張強度の減少を示す棒グラフである。各パッケージ材料を10キロパスカル(100ミリバール)の真空圧力を印加し、50キロパスカル(500ミリバール)の圧力で窒素ガスをフラッシュした後、45キログレイの線量のガンマ線照射で製品を滅菌した。対照として、窒素ガスフラッシュを行わずに45~50キログレイの線量の放射線照射で滅菌した第3のパッケージ材料を示す。
【
図17】パッケージ材料はまだ滅菌処理されておらず、パッケージ材料の内部に不織布材料が収容されている場合の、様々なパッケージ材料中に存在する酸素量を経時的に示すグラフである。
【
図18】パッケージ材料はまだ滅菌処理されておらず、パッケージ材料の内部に不織布材料が収容されている場合の、様々なパッケージ材料中に存在する酸素量を経時的に示す別のグラフである。
【0037】
本明細書及び図面において繰り返し用いられている参照符号は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことを意図している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本開示が例示的な実施形態の説明にすぎず、本発明のより広範な態様を限定することを意図するものではないことは、当業者には理解されるであろう。
【0039】
本発明は、不織布ベースの製品に関する。特定の一実施形態では、不織布ベースの製品は、ポリオレフィンを含む材料であり得る。不織布材料は、織りプロセスまたは編みプロセスの助けを借りずに形成された、識別可能な繰り返しパターンは有していない、インターレイドされた個々の繊維または糸の構造を有する材料である。不織布材料は、従来、例えばメルトブロー法、スパンボンド法、及びボンデッドカーデッドウェブ法などの様々な方法によって形成されてきた。本発明の材料は、一般的に、ポリオレフィン系から選択される。より具体的には、ポリオレフィンは、ホモポリマーまたはコポリマーであり得る。好ましいホモポリマーはポリプロピレンであり、好ましいコポリマーはプロピレン/エチレンコポリマーである。コポリマー中のプロピレンの量は90%~100%の範囲であり得、コポリマー中のエチレンの量は0~10%の範囲であり得る。エチレンの量が増加するにしたがって、作製される材料の柔軟性が増加することを理解されたい。したがって、好ましいコポリマーは、97%のプロピレンと3%のエチレンとからなるコポリマーである。ポリオレフィンベースの布の製造方法は当分野で周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4、041、203号明細書及び同第4、340、563号明細書を参照されたい。特定の一実施形態では、ポリオレフィンベースの布はスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)布であるが、当分野で既知のように、他の種類の布も使用できることを理解されたい。
【0040】
不織布ベースの製品に使用するために製造された材料の重量(1平方ヤードあたりのオンスで表される)は通常、それの意図する用途によって決定される。例えば、材料が車両カバーとして使用される場合、材料の重量は一般的に1平方ヤードあたり7.20オンス(osy)の範囲内であるべきである。材料がおむつライナーとして使用される場合、材料の重量は一般的に1平方ヤードあたり0.3オンス~0.8オンスの範囲であるべきである。外科用ガウンの場合、材料の重量は1平方ヤードあたり0.8オンス~3.0オンスの範囲であるべきである。本発明の製品に好ましいポリオレフィンベース材料は、約128osyの坪量(他の好ましい坪量は約1.8osyである)を有する不織ポリプロピレンスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)材料である。
【0041】
安息香酸エステルなどのガンマ安定剤が、ポリオレフィン押出しの前にポリオレフィン中に混入され得る。従来、ガンマ線照射プロセスのためにポリオレフィンを安定化させるためには、ガンマ安定剤をポリオレフィンに添加する必要があると一般的に考えられていた。この工程は、ポリオレフィンの強度損失を最小限に抑えるとともに臭気を低減させるために行われてきた。しかしながら、ポリオレフィンの強度損失及び臭気を最小限に抑えるために、ガンマ安定剤は不要であることが分かった。本発明は、ガンマ安定剤を使用することなく、ポリプロピレンの強度損失を最小限に抑えることが見出した。また、ガンマ線照射工程に関連する臭気を低減させるのに、ガンマ線安定化剤は不要であることが分かった。なお、それにもかかわらず、本明細書における意図された用途に適する、かつ当業者に知られているガンマ安定剤を、ポリオレフィン押出しの前にポリオレフィン中に組み込んでもよい。
【0042】
上記したような不織布材料などのポリオレフィンベース製品を、ガンマ線、電子線、またはX線などの照射、あるいは任意の他の種類の電離放射線の照射によって滅菌するとき、ポリオレフィン鎖のいくつかの結合が破壊されて利用可能な酸素と結合し、それにより、より多くの分子鎖切断が生じ、その結果、製品が弱体化することが知られている。例えば、本発明の製品が電離放射線の照射を受けると、ポリオレフィン鎖のいくつかが破壊される。しかしながら、製品が収容されるパッケージの様々な特徴(詳細については後述する)に起因して、破壊されたポリオレフィン鎖の結合部位と結合する酸素はほとんどまたは全く存在しない。いかなる特定の理論によっても制限されることを意図しないが、これにより、ポリオレフィン鎖の利用可能な結合部位は、パッケージ中の酸素の代わりに、互いに自由に再結合することができ、その結果、電離放射線が照射された製品の引張強度の大部分が維持されると考えられる。本発明の特徴は、例えば短鎖有機酸などの含酸素化合物が形成される可能性を最小化し、その結果、臭気を低減または排除することを含む。また、そのような特性を示す製品も本発明に含まれる。本発明の他の特徴は、以下により詳細に説明される。
【0043】
該して言えば、本発明は、製品の様々な性質(例えば、引張強度損失の低減、臭気の低減、輸送/保管のための体積の減少、パッケージの破損インジケータとしての機能を果たす能力、製造時のプロセス時間の短縮など)を向上させるための、製品と熱成形されたフィルムツーフィルムパッケージ(film-to-film package)との組み合わせ体及びその作製方法に関する。製品は、熱成形されたフィルムツーフィルムパッケージ内に真空包装される。熱成形フィルムツーフィルムパッケージは、内部と外部とを有し、かつ、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約10立方センチメートル以下の酸素透過率を有する層を含む。さらに、製品は、熱成形されたフィルムツーフィルムパッケージの内部に配置される。熱成形フィルムツーフィルムパッケージの外部に約25キロパスカル(250ミリバール)以下の真空圧力を印加し、次いで、熱成形フィルムツーフィルムパッケージの内部が約75キロパスカル(750ミリバール)以下の不活性ガスフラッシュ圧力に達するまで熱成形フィルムツーフィルムパッケージの内部を不活性ガスでフラッシュ(flush)することによって、熱成形フィルムツーフィルムパッケージの内部から空気が除去される。その後、電離放射線照射によって、フィルムツーフィルムパッケージ及び製品が滅菌される。そして、滅菌後の製品は、約18.5%以下の引張強度の減少を示す。
【0044】
例えば、熱成形フィルムツーフィルムパッケージの外部に対して最初に引かれる真空圧力が約1.5キロパスカル~5キロパスカル(15ミリバール~50ミリバール)であり、不活性ガスフラッシュ圧力が約5キロパスカル~15キロパスカル(50ミリバール~150ミリバール)である場合には、滅菌後の製品のマシン方向の引張強度の減少は約10%以下、例えば約9.9%以下、または例えば約9.8%以下であり、滅菌後の製品のクロスマシン方向の引張強度の減少は約18%以下、例えば17.75%以下、または例えば約17.5%以下である。さらに、熱成形フィルムツーフィルムパッケージの外部に対して最初に引かれる真空圧力が約7.5キロパスカル~12.5キロパスカル(75ミリバール~125ミリバール)であり、不活性ガスフラッシュ圧力が約40キロパスカル~60キロパスカル(400ミリバール~600ミリバール)である場合には、滅菌後の製品のマシン方向の引張強度の減少は約13.5%以下、例えば約13.25%以下、または例えば約13%以下であり、滅菌後の製品のクロスマシン方向の引張強度の減少は約18.75%以下、例えば18.5%以下、または例えば約18.25%以下である。
【0045】
本明細書を通じて、パッケージは、熱成形されたフィルムツーフィルムパッケージであるとして説明されているが、本発明は熱成形されないパッケージも意図することを理解されたい。例えば、パッケージは、3つの側縁部が密封され、かつ1つの側縁部が密封されていないフィルムツーフィルムパッケージであってもよく、密封されていない側縁部を通じてパッケージの内部に製品を挿入した後に、本明細書に記載した方法にしたがって真空印加及び不活性ガスフラッシュを実行するようにしてもよい。
【0046】
パッケージと、該パッケージの内部に収容される不織布製品との組み合わせ体であって、電離放射線照射による滅菌後の製品の引張強度の減少を最小限に抑えることができる組み合わせ体を作製するために、本発明者らは、熱成形プロセスを、真空印加及び不活性ガスフラッシュと組み合わせて用いることによって、向上した性質を示す製品が得られることを見出した。また、不活性ガスを使用することによって、製品を包装するのに必要な真空サイクル時間を短縮することができ、その結果、製造プロセスをより効率的かつ経済的にすることができる。パッケージは、例えば、MULTIVAC(登録商標)SeppHaggenmullerGmbH&Co KG(ドイツ国)から入手可能なMULTIVAC(登録商標)R245またはMULTIVAC(登録商標)R535などの熱成形包装機、または他の適切な熱成形包装機を使用して熱成形されるフィルムツーフィルムパッケージであり得る。このような熱成形包装機を使用して、パッケージフィルムのロールからパッケージを熱成形することができる。真空包装される製品は、外部部材(例えばフィルム)によって形成された熱成形ポケットに入れられ、次いで、製品の上に別の外部部材(例えばフィルム)が載置される。その後、上側の外部部材を真空下で密封することによって、真空包装製品が得られる。上記したようなフィルムツーフィルムパッケージを使用することによって、紙とフィルムとから構成されるペーバーツーフィルム滅菌パウチの使用を回避することができる。ペーバーツーフィルム滅菌パウチは、紙が容易に裂けて無菌性を損なう恐れがあり、製品全体がかさばり、かつ占有する体積が大きい。
【0047】
ここで
図1~
図9を参照すると、概して上述した装置のような熱成形包装機を使用してフィルムツーフィルムパッケージ内に製品を包装する方法が示されている。まず、
図1は、本発明の一実施形態による外部部材12及び外部部材14から形成されたパッケージ10の内部22に収容された製品24を密封する方法において使用される熱成形包装機100の断面図を概略的に示す。
図1は、パッケージ10が、シールライン16及び18で密封された後の状態を示す。包装機100は、真空及び換気ダイ上部106と、真空及び換気ダイ底部108と、圧力プレート110と、密封プレート112と、密封ダイヤフラム114とを含む。パッケージ10は、滅菌後の製品の引張強度の損失を減少させ、かつ、滅菌後の酸素フリーラジカルによって発生する臭気を最小限に抑えるために、一般的に酸素不透過性のパッケージであるべきである。「酸素不透過性」とは、構成材料が酸素透過に対して高いバリア性を示すことを意味する。例えば、パッケージ10の少なくとも1つの層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約10立方センチメートル以下の酸素透過率、例えば約7.5立方センチメートル以下、例えば約5立方センチメートル以下、または例えば約2.5立方センチメートル以下の酸素透過率を有するフィルムであり得る。また、例えば、パッケージ10の少なくとも1つの層は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約0.001立方センチメートル~2立方センチメートルの範囲の酸素透過率を有するフィルムであり得る。
【0048】
次に、
図2は、
図1の熱成形包装機100の断面図であり、パッケージ10が密封される前の状態を示す。
図2の拡大部分に示すように、外部部材12と外部部材14とは、互いに接触していない。製品24は、パッケージ10の内部に配置されている。製品24は下側の外部部材14上に載置されており、上側の外部部材12が製品24の上側に配置されている。このような構成により、チャンバ116を形成し、真空を引いて不活性ガスフラッシュを実施することが可能となる。製品24を包装する前に、製品24が部分的に無菌であることを確実にするために、製品24を不活性ガスフラッシュで前処理してもよいことを理解されたい。この場合は、製品24の初期バイオバーデンレベルを減少させることができ、これにより、製品を適切に滅菌するのに必要な滅菌暴露の強度を低減させることができる。したがって、このような前処理工程により、滅菌時間を短縮し、かつ、電離放射線への曝露に起因する引張強度の減少を制限することができる。
【0049】
続いて、
図3に示すように、真空118を引く。
図3の拡大部分に示すように、外部部材12及び外部部材14が互いに密封される前に真空118が引かれる。真空118は、パッケージ10の外部23に対して引かれて、パッケージ10の内部22からの空気(例えば酸素)の除去または排出を促進する。この結果、パッケージ10の内部22は、約25キロパスカル(250ミリバール)以下の圧力、例えば約20キロパスカル(200ミリバール)以下、または例えば約15キロパスカル(150ミリバール)以下の圧力の真空にすることができる。中レベルの真空と称される一実施形態では、パッケージ10の内部22は、約7.5キロパスカル~12.5キロパスカル(75ミリバール~125ミリバール)の範囲の圧力、例えば約10キロパスカル(100ミリバール)の圧力の真空にすることができる。高レベルの真空と称される別の実施形態では、パッケージ10の内部22は、約1.5キロパスカル~5キロパスカル(15ミリバール~50ミリバール)の範囲の圧力、例えば約2キロパスカル(20ミリバール)の圧力の真空にすることができる。
【0050】
次に、
図4に示すように、真空118を引いた後、パッケージ10の内部22を不活性ガス120(例えば、窒素、アルゴン、または他の不活性ガス、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)でフラッシュする。不活性ガスフラッシュ120は、約75キロパスカル(750ミリバール)以下の圧力、例えば約7.5キロパスカル~52.5キロパスカル(75ミリバール~525ミリバール)の圧力が達成されるまで適用される。一実施形態では、不活性ガスフラッシュ120は、約40キロパスカル~60キロパスカル(400ミリバール~600ミリバール)の範囲の圧力、例えば約50キロパスカル(500ミリバール)の圧力で適用され得る。別の実施形態では、不活性ガスフラッシュは、約50キロパスカル~140キロパスカル(50ミリバール~150ミリバール)の範囲の圧力、例えば約10キロパスカル(100ミリバール)の圧力で適用され得る。不活性ガス120によるフラッシュは、パッケージ10の内部22から残留大気ガスを追い出し、それにより、パッケージ内の酸素ガスの濃度をさらに低下させる。
【0051】
次に、
図5及び
図6に示すように、不活性ガスフラッシュ120の後、密封プレート112を使用して、制御された雰囲気中でパッケージ10内に製品24を密封する。
図5に示すように、密封プレート112によって外部部材12を押し下げ、それにより、外部部材12が外部部材14と接触してシールライン16及び18が形成される。完全を期すために、シールライン16の拡大図が示されている。シールライン16及び18が、真空118及び不活性ガスフラッシュ120に起因する制御された雰囲気下で形成された後、密封プレート112は
図6に示すように上方へ移動する。
【0052】
パッケージ10の密封後、
図7に示すように、制御された雰囲気中でパッケージ10の外部23に印加した真空を解除する。これにより、パッケージ10及びその内容物が大気圧124に曝され、パッケージ10は、その内部の真空に起因して収縮する(潰れる)。
図8及び
図9は、このプロセスをより詳細に示す。具体的には、
図8及び
図9は、制御された雰囲気中(
図8)で密封されたとき、及び、真空解除後の通常の雰囲気中(
図9)で密封されたときのパッケージ10及び製品24の状態を示す。図示のように、通常の雰囲気中では、大気圧がパッケージ10の内部の圧力よりも大きいことに起因してパッケージ10及び製品24が収縮し(潰れ)、その結果、パッケージ10の体積が減少する。制御された雰囲気中でパッケージの外部に印加された真空を解除するステップは、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の組み合わせ体よりも少なくとも10%高い密度を有するパッケージと製品との組み合わせ体が形成されるように制御され得る。これにより、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも密度が増加した、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、または例えば少なくとも約50%増加した密度を有するパッケージ10(すなわち、占有する体積がより小さいパッケージ)が得られる。概して言えば、密度の増加(すなわち、体積の減少)は、少なくとも約10%から最大で約75%の範囲であり得る。例えば、密度の増加は、約20%~60%の範囲であり得る。
【0053】
本発明の一態様によれば、パッケージの外部に印加された真空を解除するステップは、所定の形状及び/または所定の剛性を有する組み合わせ体が形成されるように制御され得る。例えば、所定の形状は、実質的に平らな平面的な形状であることが望ましい。また、所定の形状は、湾曲した形状や平面的な形状(例えば、中空円筒の半環状部分または四半環状部分など)であってもよい。また、所定の形状は、円錐形状であってもよい(例えば、中空円錐形)。所定の形状は、鋭角、鈍角、または直角を形成するための折り線または折り畳み線を有する平らな平面的な形状であり得る。これらの所定の形状は、特定の湾曲形状、円錐形状、または他の幾何学的形状を有する密封プレート112を使用して、パッケージをその形状に形成することができる。その代わりに及び/またはそれに加えて、これらの所定の形状は、後処理または工程によって形成してもよい。
【0054】
また、パッケージの外部に印加された真空を解除するステップは、所定の剛性を有する組み合わせ体を形成するように制御され得る。所定の剛性は、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の組み合わせ体よりも少なくとも10%高い。これにより、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも剛性が高い、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、または例えば少なくとも約50%高い剛性を有するパッケージ10が得られる。概して言えば、剛性の増加は、少なくとも約10%から最大で約75%の範囲であり得る。例えば、剛性の増加は、約20%~60%の範囲であり得る。
【0055】
図2~
図9を参照して上述したように、熱成形パッケージ10内に製品24を密封した後、製品24を収容したパッケージ10は、ガンマ線照射、電子線照射、またはX線照射技術などの任意の適切な形態の電離放射線照射によって滅菌される。例えば、製品は、ガンマ線照射によって滅菌することができる。ガンマ線照射技術は、当分野において周知である。ポリオレフィン繊維のガンマ線照射の概要については、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5、972、948号明細書を参照されたい。概して言えば、ポリオレフィン製品またはガウンを滅菌するのに必要な放射線量は、製品のバイオバーデンに依存する。さらなる要因には、滅菌される製品の密度及び構造が含まれる。照射線量の適切な範囲は、約10キログラム~100キログレイの範囲、例えば約15キログレイ~60キログレイ、または例えば約25キログラム~50キログレイの範囲である。特定の一実施形態では、電離放射線の線量は、50kGy以下である。
【0056】
次に、
図10に示すように、本発明の一態様では、滅菌される製品24及びパッケージ10は、外部部材12及び外部部材14を含むパッケージ内に包装された不織ポリプロピレン材料製の製品を含む。外部部材12及び外部部材14の一方または両方は、十分な酸素不透過性を有するように、少なくともエチレンビニルアルコール層またはナイロン層を含むフィルムであって、上記により詳細に説明したように24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり約10立方センチメートル以下の酸素透過率を有するフィルムから形成される。例えば、いくつかの実施形態では、外部部材12及び外部部材14の一方はポリエチレン/ナイロン積層体を含み、他方はポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン積層体またはエチレン/ポリエチレン積層体を含む。
【0057】
本発明により意図され、本明細書に記載した方法によって形成されるパッケージ10は、個々のまたは複数の製品、例えば、ほんの一例として、外科用または他の種類のガウン、手袋、マスク、ドレープ、パック、カバーなどを包装するのに使用され得る。パッケージ10は外部23と、酸素不透過性フィルムである外部部材12及び外部部材14とを含む。パッケージ10の外部部材12及び外部部材14は、例えばヒートシールライン16、18及び20によって密封されて、パッケージ10の内部22を形成する。外部部材12及び外部部材14は、単一層の材料、あるいは、互いに同一のまたは互いに異なる2以上の材料層の積層体であり得、酸素不透過性を目的とした層を含み得る。例えば、
図11及び
図12を参照すると、外部部材12及び外部部材14の可能な変形例が示されている。
図11に示すように、パッケージ10は、外部部材12と外部部材14とを含む。外部部材12及び外部部材14の各々は、ナイロンの最外層12aまたは14aと、ポリエチレンの最内層12cまたは14c(例えば、シーラント側層)と、エチレンビニルアルコール(EVOH)の中間層12bまたは14bとを有する3層共押出フィルムを含む。なお、十分なレベルの酸素不透過性が実現される限り、任意の数及び種類のフィルム層を使用することができ、例えば、1または複数のナイロンベースまたはEVOHベースのフィルム層、または酸素透過率が低い他の任意の適切な材料から形成された1または複数の層を使用してもよい。例えば、外部部材12及び外部部材14の各々は、5つ、7つ、9つまたはそれ以上の数の層を含むことができる。
図12を参照して、パッケージ200は、それぞれ7層の共押出フィルムを有する外部部材12及び外部部材14を含み得る。例えば、パッケージ200は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の最外層12aまたは14aと、LLDPEの最内層12gまたは14g(例えば、シーラント側層)と、ポリエチレンの中間層12dまたは14dとを有し得る。そして、中間層12dまたは14dに隣接する内部層12c、14c、12e、及び14eをナイロンとし、それらに隣接する内部層12b、14b、12f、及び14fをポリエチレンとすることができる。なお、十分なレベルの酸素不透過性が実現される限り、任意の適切な材料、例えば、もう1つのナイロンベースまたはEVOHベースのフィルム層を使用して、外部部材12及び外部部材14のフィルムを作製してもよいことを理解されたい。
【0058】
一方、SMSポリオレフィン材料などの不織材料であり得る製品24をパッケージ10の内部22に配置し、次いでパッケージ10をその周縁部28に沿って密封する。所望に応じて、製品の取り出しを容易にするために、切り込み26をパッケージ10に切欠形成してもよい。
【0059】
本発明を実施するのに使用される材料及び方法は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解されるであろう。なお、以下の実施例は、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0060】
実施例1
【0061】
スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド(SMS)ポリオレフィンベース不織布の引張強度の損失(減少)を低減させる能力を、様々な真空、不活性ガス(窒素)フラッシュ、及びガンマ線照射条件について調べた。SMS布のサンプルを、概して上述したように熱成形包装機を使用して熱成形されたフィルムツーフィルムパッケージ内に密封した。フィルムツーフィルムパッケージは上部層及び底部層を含み、得られたパッケージは下記の表1に示すように様々な酸素透過率(OTR)を有していた。
【0062】
【0063】
SMS布の個々のパッケージは、熱成形包装機を使用してフォームフィルシールプロセス(form-fill-seal process)によって作製した。一般的に、パッケージの底部層(
図2~
図9に示すような外部部材14)をキャビティ(10インチ×8インチ×1.5インチ)内に配置した後、熱成形を行う。続いて、SMS布の単一束をキャビティ内に入れ、上部層(
図2~
図9に示すような外部部材12)を底部層の上に押し付ける。次いで、所望のレベルの真空を引き、内部キャビティを窒素でフラッシュし、上部層を底部層にヒートシールする。報告された真空レベルは、パッケージからのガス(例えば酸素)の最初の排出中に達成された真空圧力のレベルであり、一方、窒素ガスレベルは、窒素ガスフラッシュと、パッケージの外部に適用された真空の解除とを行った後に、パッケージを密封したときにパッケージ内に残った圧力の量である。その後、対照サンプルの引張強度をすぐに試験し、一方、他のサンプルには、引張試験の前に25~50キログレイ(kGy)のガンマ線を照射した。
【0064】
ガンマ線照射は、放射線量を厳密に制御(±10%)するために行った。下記の表3に示すように、25、45、または50kGyの目標線量を、様々なサンプルに対して使用した。これらのサンプルを生成するために使用される製造プロセスに関して、50kGyは、10-6の無菌性保証レベルを保証するために必要な最悪の場合の放射線曝露と考えられ、そのため、本発明を説明するために選択された。従来の研究により、ポリプロピレンスパンボンドサンプルに適用された放射線量と、発生する引張損失の量との間の強い相関関係が実証されている。
【0065】
全てのサンプルについて、引張試験は、「織物の破断強度及び伸びについての標準試験方法(グラブ試験)」と題されたASTM D-5034試験方法にしたがって実施した。試験方法の詳細は、下記の表2に示す。
【0066】
【0067】
下記の表3に示す各サンプルのマシン方向及びクロスマシン方向の引張強度を試験した。対照サンプルは、ガンマ線照射を受けたサンプルの引張強度の損失パーセントを計算するのに使用された。
【0068】
ガンマ線照射暴露に起因する、各サンプルのマシン方向またはクロスマシン方向の引張強度の損失%は、下記の式を用いて計算した。
【0069】
【0070】
下記の表3は、酸素透過率が異なるフィルム(表1参照)から作製されたパッケージにおける、様々な真空レベル、窒素ガスフラッシュレベル、及びガンマ線照射曝露レベルで処理された様々なサンプルについてのマシン方向及びクロスマシン方向の引張強度の損失%を示す。また、45クログレイのガンマ線照射に暴露されたサンプルが、
図13~16に示す棒グラフにおいて比較されている。
【0071】
【0072】
表3は、ガンマ線に暴露されたポリオレフィンベースSMS布の引張強度の損失(減少)に対する、様々なパッケージ材料の初期真空レベル、窒素ガスフラッシュ圧力レベル、及び酸素透過率(OTR)の影響を示す(ガンマ線量=25、45、または50kGy)。概して、窒素ガスフラッシュが実施されたサンプル(サンプル1-4及び7-10)は、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5立方センチメートルの高いOTRを有するにも関わらず、窒素ガスフラッシュ(サンプル12-13)が実施されていない、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり0.2立方センチメートルのOTRを有するサンプルと比較して、引張強度損失の減少を示した。したがって、高い酸素透過率(OTR)を有するにも関わらず、本発明によって意図された窒素ガスフラッシュが実施されたサンプルは、概して、酸素透過率がより小さいサンプルよりも引張強度が良好に維持された。高いOTRを有するフィルム層は、低いOTRを有するフィルム層よりも安価であるので、このような差異は重要である。
【0073】
具体的には、サンプル1~4及び7~10(窒素ガスフラッシュあり)は、マシン方向において、9.5%~12.8%の範囲の引張強度の損失パーセントを示し、サンプル12及び13(窒素ガスフラッシュなし)は、マシン方向において、12.3%~15.6%の範囲の引張強度の損失パーセントを示した。また、サンプル1~4及び7~10(窒素ガスフラッシュあり)は、クロスマシン方向において、13.5%~18.1%の範囲の引張強度の損失パーセントを示し、サンプル12及び13(窒素ガスフラッシュなし)は、クロスマシン方向において、14.5%~19.6%の範囲の引張強度の損失パーセントを示した。さらに、同一の真空レベル(2キロパスカル(20ミリバール)または10キロパスカル(100ミリバール))を使用してサンプルを比較すると、窒素ガスフラッシュが実施され、かつより高いOTRを有するフィルムを含むサンプルは、より良好に機能し、マシン方向においてより小さい引張強度損失を示した。例えば、2キロパスカル(20ミリバール)の真空では、サンプル3~4及び9~10は、マシン方向において、4.8%~9.7%の範囲の引張強度の損失パーセントしか示さなかったが、サンプル13は、マシン方向において、12.3%の引張強度の損失パーセントを示した。さらに、10キロパスカル(100ミリバール)の真空では、サンプル1~2及び7~8は、マシン方向において、8.6%~12.8%の範囲の引張強度の損失パーセントしか示さなかったが、サンプル12は、マシン方向において、15.6%の引張強度の損失パーセントを示した。
【0074】
次に
図13~
図16を参照すると、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5立方センチメートルのOTRを有するパッケージ内に収容され、かつ窒素ガスフラッシュが実施された本発明により意図される製品と、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり0.2立方センチメートルのOTRを有するパッケージ内に収容され、かつ窒素ガスフラッシュが実施されていない製品とについての、様々な真空レベルでの45~50キログラムのガンマ線滅菌暴露後のマシン方向及びクロスマシン方向の引張強度の損失パーセントを比較して示されている。図示のように、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5立方センチメートルのOTRを有し、かつ窒素ガスフラッシュが実施されたパッケージ中で滅菌されたAmcorサンプル及びSealed Airサンプルは、2キロパスカル(20ミリバール)の真空及び10キロパスカル(100ミリバール)の窒素フラッシュでの処理後には、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり0.2立方センチメートルのOTRを有し、窒素ガスフラッシュが実施されなかったパッケージ中で滅菌されたLegacy Cryovacサンプル(対照サンプル)と比較して、マシン方向の引張強度損失の改善を示した。さらに、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり1.5立方センチメートルのOTRを有し、かつ窒素ガスフラッシュが実施されたパッケージ中で滅菌されたAmcorサンプル及びSealed Airサンプルは、10キロパスカル(100ミリバール)の真空及び50キロパスカル(500ミリバール)の窒素フラッシュでの処理後には、24時間あたり645.16平方センチ(100平方インチ)あたり0.2立方センチメートルのOTRを有し、窒素ガスフラッシュが実施されなかったパッケージ中で滅菌されたLegacy Cryovacサンプル(対照サンプル)と比較して、マシン方向の引張強度損失の改善を示した。
【0075】
実施例2
【0076】
不織布材料(例えば、ドレープ、ガウン)を熱成形したフィルムツーフィルムパッケージ内に収容し、32日間の期間にわたってパッケージ内の酸素含有量について試験した。実施例2の目的の1つは、様々なパッケージが、滅菌前の最大5年間にわたって、パッケージ内の酸素低減環境を維持するというバリア要件の目標を満たしているか否かを調べることであった。試験した様々なサンプルを下記の表4に示す。25個のパッケージサンプルは、特に断りのない限り、45mmのドロー深さ(draw depth)で成形されたことに留意されたい。
【0077】
【0078】
酸素含有量の試験中、MOCONからのOpTech(登録商標)酸素リーダを使用して、密封されたパッケージサンプルの底部に密封された再使用可能な白金センサを読み取った。これらのセンサによって、各パッケージの酸素パーセントを経時的に測定することができる。表4に示したサンプルの酸素含有量は、パッケージを密封したとき(時間0)及びその後の32日間にわたって測定した。試験は、初期は2~4日ごとに行い、最後の2回の読み取りは週1回の頻度で行った。
【0079】
図17及び18に、32日間にわたる各パッケージ中の酸素パーセント(酸素濃度)についての結果を要約して示す。具体的には、
図17には、高い酸素透過率(中レベルのバリア)を有するパッケージ(コンボ1~3)及び低い酸素透過率(高レベルのバリア)を有するパッケージ(コンボ5)についての酸素濃度のデータが要約されており、
図18には、低い酸素透過率(高レベルのバリア)を有するパッケージ(コンボ4~6)の酸素濃度のデータが要約されている。コンボ5は、
図17と
図18との間の評価基準として、
図18にもプロットされている。
【0080】
図17及び
図18は、各サンプルについての直線状の傾向線を、それに対応する線形方程式及びR
2値と共に示す。全体的なパッケージバリアは線の傾斜から得られ、開始時の酸素濃度は切片により推定することができる。例えば、コンボ1では、成形、ガスフラッシュ、及びシーリング後のパッケージの最初の酸素濃度は約0.68%であり、パッケージの酸素透過率は1日あたり約0.17%である。
図17のコンボ1によって証明されるように、パッケージ内の酸素濃度が増加するにしたがって、各曲線の傾きが減少し始めることに留意されたい。この傾きの変化は、パッケージの内部と外部との間の酸素分圧の相対差が時間の経過とともに減少し、それにより原動力が減少するという事実に起因する。
【0081】
図17及び
図18に示した結果と、PV=nRTの理想気体の法則から導き出すことができる下記の方程式とに基づき、パッケージ内の酸素分圧(P(t))を時間の関数として推定することができる。
【0082】
【0083】
式中、Pd=原動力分圧(%)、Pi=パッケージ内の初期分圧(%)、R=ガス定数、T=温度、TR´=100%酸素で測定された酸素透過率、V=ヘッドスペース体積、t=時間、である。
【0084】
上記の計算では、ヘッドスペース容量は10立方センチメートルと仮定した。また、低酸素透過率バリア(高レベルのバリア)を使用したパッケージ(コンボ4~6)については、酸素透過率/日の0.0016%の平均勾配(コンボ4~6のデータの平均勾配)を使用した。このような仮定に基づき、コンボ1は100日未満で21%の酸素濃度で平衡化すると予想され、コンボ2は約220日で21%の酸素濃度で平衡化すると予想され、コンボ3は約415日で21%の酸素濃度で平衡化すると予想され、コンボ4~6は5年間で4~6%の酸素濃度までしか到達せず、21%の酸素濃度で平衡化するには50年以上かかると予想される。
【0085】
結論として、実施例2は、高レベルの酸素バリアとして長期間機能してパッケージの安定性を高め、パッケージの体積またはサイズを制限し、かつ、パッケージを硬い状態に維持する熱成形フィルムツーフィルムパッケージを製造できることを示す。これにより、本開示に説明したようにして成形されたパッケージの効率的な輸送及び保管を可能にすることができる。加えて、包装時と滅菌時との間に酸素が侵入するとパッケージの殺菌時に強い臭気が発生する恐れがあるので、5年以上の期間にわたる低い酸素含有量により、包装された製品を、滅菌時に生じる臭気を減少させるとともに、長期間保管することが可能となる。
【0086】
実施例3
【0087】
実施例3では、本開示の方法にしたがって製造された製品(例えば外科用ガウン)を収容する熱成形フィルムツーフィルムパッケージを、80人の実験参加者に提供した。この実験では、参加者の100%が手術衣の無菌着用を許容できると判断した。さらに、参加者の大多数は、着用に関する包装が、従来の包装と同じか、それより少し良いか、またははるかに良いと判断し、本パッケージを彼らの施設で使用できると判断した。また、開封されたパッケージから発生する臭気に関する意見は出なかった。さらに、本発明の真空パッケージは、対照パッケージの半分の厚さを有し、かつ、パッケージが破損したか否か、すなわち無菌であるか否かについて知ることができるという信頼を与えるので、何人かの参加者に好まれた。加えて、参加者は、熱成形されたフィルムツーフィルムパッケージの概念が、保管及び物流管理の観点から、彼らの施設に有益であると認識した。
【0088】
上述したように、本発明によって意図される特定のフィルムツーフィルムパッケージ及び包装/滅菌条件の結果として、例えば滅菌ドレープやガウンなどの不織材料は、例えば引張強度損失の最小化や殺菌後の臭気の低減などの様々な改良された性質を示すことができる。加えて、本発明では、製品を包装するためにフィルムツーフィルムパッケージを真空と組み合わせて使用するので、フィルムツーフィルムパッケージは、折り畳まれたドレープやガウンなどの形状に適合することができ、パッケージを一様に収縮させることができる。その結果、しわ、曲がり、及び折り目の形成を防ぐことができ、これにより、平らな平面的形状を有するパッケージが提供される。パッケージは平らな平面的な形状を有し、そのような形状は比較的硬く、かつ従来の包装された製品よりも占有する体積が大幅に小さい、及び/または、より高い安定性を有するので、パッケージとその中に収容された製品との組み合わせ体をより効率的に輸送及び保管することができる。したがって、本発明は、下記の(i)及び(ii)を含む、多数の折り畳まれたドレープやガウンなどを輸送するためのシステムを包含する。(i)例えば輸送用カートンなどの輸送用コンテナ。(ii)輸送用コンテナ内に配置された複数の包装製品であって、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の複数のパッケージと比較して、占有する体積が少なくとも約20%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、または例えば少なくとも約50%小さい包装製品(例えば、占有する体積が約10%から最大で約75%小さい;別の例として、占有する体積が約20%から最大で約60%小さい)。そのような製品を輸送するための上記のシステムはまた、包装された製品(折り畳まれたドレープやガウンなど)を積み重ね、保管及び/または分配するシステムを包含する。とりわけ、包装された製品が、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていない同一の包装された製品と比較して少なくとも10%大きい所定の形状及び/または所定の剛性を有する場合、包装された製品は、互いに積み重ねて配置された、または保管コンテナまたは分配コンテナ内に配置された複数の包装された製品を含む。これにより、真空及び不活性ガスフラッシュによって処理されていないパッケージよりも硬い、例えば少なくとも約20%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、または例えば少なくとも約50%硬いパッケージが得られる。概して言えば、剛性の増加は、少なくとも約10%から最大で約75%の範囲であり得る。例えば、剛性の増加は、約20%~60%の範囲であり得る。このようなより硬い製品は、(例えば、保管のために)積み重ねたときにより安定し、また、輸送用コンテナまたは分配用コンテナ内においてもより安定する。このようなより硬い製品は、実質的に平坦かつ平面的な所定の形状を有することが望ましく、そのようにすると、互いに積み重ねたとき、及び、保管コンテナ内または分配コンテナ内に収容したときの安定性を高まると一般的に考えられている。所定の形状は、湾曲した形状や平面的な形状(例えば、中空円筒の半環状部分または四半環状部分など)であってもよい。また、所定の形状は、円錐形状であってもよい(例えば、中空円錐形)。所定の形状は、鋭角、鈍角、または直角を形成するための折り線または折り畳み線を有する平らな平面的な形状であり得る。これらの代替的な形状によっても、安定性及び/または分配のパッケージを開けたときに、ドレープまたはガウンを「膨らませる」ことができる。容易さが得られる。
【0089】
このような形状はまた、包装された製品をより安定的に積み重ねることを可能にする(例えば、キットの一部として及び/または手順トレイ上の滅菌器内で)。また、包装された製品の平らなかつ硬い性質により、パッケージを開くことが容易になる。さらに、収縮されたパッケージは、パッケージが破損した場合には膨張し、また特定の条件下では膨張音を発生させることができるので、パッケージ内に収容された製品の無菌性が損なわれたことをユーザに知らせる破損インジケータとして機能することができる。
【0090】
さらに、本発明は、パッケージが開封されたときに直面するリバウンドのレベルに対処し、パッケージが開封されたときにドレープまたはガウンをフワッと膨らませる(fluff up)ように、包装製品の圧縮または収縮の量を調節するために、不活性ガスフラッシュの体積(量)を制御することを可能にする。
【0091】
本発明はその趣旨から逸脱しない範囲で様々な変更または変形が可能であることは、当業者であれば理解できるであろう。加えて、様々な実施形態の態様は、その全体またはその一部を相互に交換できることを理解されたい。さらに、当業者であれば、上記の詳細な説明及び実施例は説明のみを目的としており、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲をいかなる意味でも限定することを意図していないことを理解できるであろう。