(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】太陽光発電装置および該装置の使用
(51)【国際特許分類】
H02S 20/10 20140101AFI20220713BHJP
H02S 20/30 20140101ALI20220713BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20220713BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H02S20/10 D
H02S20/30 A
F16B5/06 H
F16B5/10 Z
(21)【出願番号】P 2019534849
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2017083813
(87)【国際公開番号】W WO2018115120
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】102016015436.5
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519224340
【氏名又は名称】ネクスト2サン ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Next2Sun GmbH
【住所又は居所原語表記】Trierer Str. 22, 66663 Merzig, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ヒルデブラント
(72)【発明者】
【氏名】マークス プロープスト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ブリル
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ツヴォスタ
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト バルディ
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-335903(JP,A)
【文献】実開昭55-042720(JP,U)
【文献】特開平08-170790(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02669596(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0005583(US,A1)
【文献】特表2015-513882(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/127638(US,A1)
【文献】米国特許第3955801(US,A)
【文献】実開昭53-130830(JP,U)
【文献】実開昭51-12434(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/00-20/32
F16B 5/06、 5/10
E04H 17/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置(1)であって、支持構造(3)に直立配置されている複数の両面PVモジュール(2)を有しており、前記支持構造(3)は、地面上にまたは地面内に取り付けられ
る複数の支柱(4)を有しており、前記支柱(4)には、それぞれ隣接する2つの支柱(4)を互いに接続するビーム(5)が取り付けられており、それぞれ2つの支柱(4)と2つのビーム(5)とは実質的に方形の1つの組付け領域(6)を画定しており、前記組付け領域(6)に少なくとも1つのPVモジュール(2)が配置されている太陽光発電装置(1)において、
-前記支柱(4)に、それぞれ1つのビーム(5)または該ビームの端部を受容するために、貫通差込開口(14)が形成さ
れ、
前記貫通差込開口(14)は、鉛直方向で、前記ビーム(5)の少なくとも1.25倍の高さを有している、
太陽光発電装置(1)。
【請求項2】
前記支柱(4)は実質的に鉛直に向けられていて、かつ/または前記ビーム(5)は実質的に水平に向けられており、かつ/または鉛直方向で、複数
のPVモジュール(2)が互いに上下に配置されている、請求項1記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項3】
前記支柱(4)は少なくとも、前記地面に結合される取付け区分(7)と、該取付け区分(7)の上に延在し、該取付け区分(7)に接続可能な、または接続されている保持区分(8)とに分割されており、かつ/または水平方向で隣接するPVモジュール(2)は鉛直方向で互いにずらされて配置されている、請求項1または2記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項4】
前記PVモジュール(2)の作用面(9)は、前記支柱(4)および/または前記ビーム(5)から離間されて配置されており
、少なくとも20°の入射角までは
、前記支柱(4)による前記作用面(9)への影形成が生じないように、かつ/または少なくとも25°の入射角までは
、前記ビーム(5)による前記作用面(9)への影形成が生じないように、離間されて配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項5】
前記PVモジュール(2)の前記作用面(9)
の対向する側縁
が、前記支柱(4)および/または前記ビーム(5)に対して非対称に離間されて配置されており、かつ/または前記PVモジュール(2)は
、回転軸(25)を中心として旋回可能に前記支持構造(3)に懸吊されている、請求項
4記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項6】
前記支柱(4)には、所属のビーム(5)が面状に取り付け可能な支持面(10)が形成されていて
、前記支持面(10)は成形材(12)におけるフランジ(11)として、かつ/または成形材(12)に設けられた開口(14)における舌片(13)として形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項7】
前記支持面(10)は、前記支持面(10)の間に挿入される1つのビーム(5)を両側から把持するために対として形成されており、かつ/または前記ビーム(5)は、前記支柱(4)よりも細
い、請求項6記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項8】
前記支柱(4)の少なくとも1つが、または前記支柱(4)の前記保持区分(8)がΩ型成形材の形状に形成されている、請求項
3記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項9】
1つの貫通差込開口(14)内に2つのビーム(5)が配置されているか、または1つの貫通差込開口(14)内に1つだけのビーム(5)が配置されていて、別のビーム(5)は、前記支柱(4)の、前記貫通差込開口(14)の反対側で、貫通差込開口(14)を介さずに、前記支柱(4)に形成された支持面(10)によって組み付けられて
いる、請求項8記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項10】
前記支持面(10)には、前記貫通差込開口(14)に差し込まれた1つのビーム(5)および別のビーム(5)が取り付けられている、請求項9記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項11】
前記支柱(4)は少なくとも前記保持区分(8)に、または1つの保持区分(8)に、C字型の、U字型の、Z字型の、またはS字型の基本形状を有する成形材(12)を有し
ている、請求項
3記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項12】
前記成形材(12)の端部には、フランジ(11)としての付加的な支持面(10)が形成されている、請求項11記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項13】
前記PVモジュール(2)は前記ビーム(5)に取り付けられており、このために保持エレメント(15)が設けられていて
、前記保持エレメント(15)はこのために、前記PVモジュール(2)のそれぞれの縁部が差し込まれる、または差し込み可能な溝区分(16)を提供し
ている、請求項1から
12までのいずれか1項記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項14】
前記保持エレメント(15)は、対向して位置する2つの溝区分(16)を有しており、かつ/または前記ビーム(5)は下面に傾斜面(24)を有している、請求項13記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項15】
前記保持エレメント(15)はそれぞれ1つの横断面減少部(17)を有しているので、保持エレメント(15)は、ビームに形成された貫通差込開口(23)内に、所定の差し込み深さまで差し込み可能であるか、または差し込まれて
いる、請求項
13記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項16】
前記保持エレメント(15)には当接面(18)が形成されていて、前記保持エレメント(15)は前記当接面でもって前記ビーム(5)に面状に当接する、請求項15記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項17】
前記地面と最下方のビーム(5)との間に空間(26)が残されており
、前記空間(26)は、少なくとも50cm
の高さを有しており
、前記太陽光発電装置(1)の列(20)は、前記列(20)の間に、少なくとも6m
の幅を有する耕作空間が生じるように、離間されて配置されている、請求項1から
16までのいずれか1項記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項18】
前記PVモジュール(2)は、前記支持構造(3)と共に実質的に1つの平面を形成しており、かつ/または前記PVモジュール(2)は、互いに離間された複数の列(20)に配置されており、1つの列(20)の前記PVモジュール(2)は実質的に1つの平面を形成している、請求項1から
17までのいずれか1項記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項19】
2つの列(20)の間の間隔は、前記太陽光発電装置(1)の1つの作用面(9)の最大高さの少なくとも3
倍である、請求項
18記載の太陽光発電装置(1)。
【請求項20】
前記貫通差込開口(14)は、前記ビーム(5)が、それぞれの前記貫通差込開口(14)を形成する前記支柱(4)の全幅と少なくとも同じ深さまで、それぞれの前記貫通差込開口(14)に差し込み可能であるように形成されている、請求項1から19までのいずれか1項記載の太陽光発電装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの支持構造上に直立配置された複数の両面太陽光発電モジュールを備えた太陽光発電(PV)装置に関する。本発明はさらに、1つの支持構造上に直立配置された少なくとも1つの両面PVモジュールを備えたPV装置に関する。
【0002】
本発明はその他に、所定の設置における発電のためのこのようなPV装置の使用に関する。
【0003】
発電のために片面のPVモジュールを使用する従来のPV装置は、しばしば傾斜した形態で設置される。この場合、太陽放射エネルギを電気エネルギに変換することができる各PVモジュールの唯1つの作動面は、通常は南に向けられる。このような装置は、そのピーク出力を正午前後に放出するという欠点を有している。これにより、すなわちこのような電力の過剰供給の場合には、給電網が負荷されかねない。
【0004】
したがって、数年来、両側に作用面を有するPVモジュールを備えたPV装置も試用されている。両面(バイフェイシャル)と呼ばれるこれらのPVモジュールは、直立に配置され、これにより前面および背面がそれぞれ太陽によって照射される。このような形式のPV装置の両面PVモジュールが、北・南方向で設置されるならば、このPV装置は、特に早朝および遅い夕方の東方向および西方向からの太陽光を受け取ることができる。これにより、正午前後は僅かに低下するが朝夕にピーク値に達する、従来の装置を補完する出力放出が達成される。このような一日を通しての電力特性曲線は、給電網における均一な電力供給の目的で、日中にわたって分配されるのが有利である。しかしながらさらに、両面PVモジュールを備えたPV装置は、南・北方向とは異なる向きでも有利に設置することができる。
【0005】
両面PVモジュールでは、片面PVモジュールとは異なり、モジュールの背面も発電に利用すべきであるので、新しい形式の技術的問題が生じている。したがって、片面PVモジュールのために開発されたこれまでの支持構造および設置構想は、限定的にしか使用可能ではなく、もしくは手間のかかる、したがって高価な適合が必要となる。
特開2004-335903号明細書(JP 2004 335903)、特開2003-229591号明細書(JP 2003 229591)、特開2006-080568号明細書(JP 2006 080568)、および米国特許出願公開第2011/0005583号明細書(US 2011/0005583 A1)により、両面太陽光発電モジュールを備えた直立する太陽光発電装置が公知であり、この公知の太陽光発電装置では、太陽光発電モジュールが、2つの支柱の間に互いに上下に重ねられて、かつ互いに隣接して配置されており、太陽光発電モジュールはそれぞれ横方向接続材により縁取られている。
特開2002-076416号明細書(JP 2002 076416)には、支持構造に直立配置されている複数の両面PVモジュールを備えた太陽光発電装置が開示されており、この場合、支持構造が、地面上にまたは地面内に取り付けられる複数の支柱を有しており、これら支柱には、それぞれ隣接する2つの支柱を互いに接続するビームが取り付けられており、それぞれ2つの支柱と2つのビームとは実質的に方形の1つの組付け領域を画定しており、この組付け領域に少なくとも1つの太陽光発電モジュールが配置されていて、これら太陽光発電モジュールはビームに取り付けられている。
独国実用新案第202014105516号明細書(DE 20 2014 105 516 U1)により、少なくとも2つの両面太陽光発電モジュールを有した太陽光発電装置が公知であり、この場合、太陽光発電モジュールはそれぞれ1つのまたは2つのモジュールホルダ内に保持されており、このモジュールホルダは、2つの両面太陽光発電モジュールを垂直に立てて、かつ互いに平行に間隔を置いて保持するように設計されており、この場合、平行な太陽光発電モジュール間にはリフレクタが配置されている。
【0006】
そこで本発明の課題は、複数の両面PVモジュールを垂直配置で組み付けることができ、両面PVモジュールの特別な要件に適合したPV装置を提供することである。このために特に、安価に製造できるだけでなく、PV装置の円滑な、したがって安価な設置も可能とするような支持構造を提供すべきである。さらに、支持構造は、典型的な気候条件のもと十分な安定性を有しているのが望ましい。
【0007】
本発明の課題はさらに、PV装置のための電気的エネルギへの太陽光の変換効率を改善することにある。
【0008】
この課題を解決するために、本発明によれば、太陽光発電装置において、請求項1の特徴が設けられている。したがって特に、この課題を解決するために本発明によれば、冒頭で述べた形式の太陽光発電装置において、支持構造が、地面上にまたは地面内に取り付けられる、特にアンカボルト固定される複数の支柱を有しており、これら支柱には、それぞれ隣接する2つの支柱を互いに接続するビームが取り付けられており、それぞれ2つの支柱と2つのビームとは実質的に方形の1つの組付け領域を画定しており、この組付け領域内に少なくとも1つのPVモジュールが配置されていることが提案される。
【0009】
したがって、本発明による組付け領域は、1つのPVモジュールまたは複数のPVモジュールを収容することができ、組付け領域を、例えば付加的なビームおよび/または鉛直に延在する中間支柱によってさらに分割することも想定され得る。組付け領域が、方形の外輪郭を有するPVモジュールを収容するために適しているならば、本発明による組付け領域は特に実質的に方形であるとみなすことができる。したがって本発明によれば特に、それぞれ2つの支柱と2つのビームとが1つの組付け領域を画定していて、この組付け領域内に少なくとも1つのPVモジュールが配置されており、PVモジュールに向けられている、したがって組付け領域を画定する支柱とビームの縁部とが好適には一様に、少なくとも1つのPVモジュールの外輪郭に対して間隔をおいて配置されていてよい。
【0010】
殆どの設置状態では、1つの支持構造に複数の両面太陽光発電モジュールが鉛直に立つように配置されているならば好適である。
【0011】
したがって換言すると、本発明は、支柱とビームとが、好適には規則的な間隔をおいて、好適には直角に互いに接続されている支持構造を提供しており、これによりそれぞれ2つの支柱と2つのビームとが方形の組付け領域を画定していて、この組付け領域内に両面PVモジュールが鉛直の懸吊により装着されている。これによりPVモジュールは、電気エネルギに変換される太陽光を両側で集めることができる。
【0012】
本発明によれば、少なくとも個々のビームが両側で支柱に取付け手段により取り付けられているならば、支持構造の高い剛性のために好適である。この場合、本発明の意味で好適なビームの取付けは、特に、ねじ、特にタッピンねじまたはねじ山付きねじにより、リベット、ピン、ならびに溶接、接着により、または簡単な形状接続により実現することができる。
【0013】
この場合、好適には、請求項1の特徴を有する本発明によるPV装置は安価に製造することができ、かつ効率的に、したがって安価に設置することができる。同時に、本発明による支持構造は、特に風荷重に対する高い安定性、ならびに両面モジュールの作用面の効果的な利用を保証する。
【0014】
本発明によれば、支持構造は例えば地面におけるアンカボルト固定により基礎を形成することができる。これは、例えば、地盤アンカ、地盤ねじ、打ち込み支柱、またはコンクリート基礎により実現することができ、この場合、補完的に支え材が設けられてよい。例えば、PV装置の埋め立て地への設置の際に、地面へのアンカボルト固定が回避される場合には、本発明によれば、支持構造の基礎構造は、地面における支柱の重み付けにより達成することができる。さらに、支柱およびビームは、細長い成形材として、例えばアルミニウム押出成形材として形成することができ、これにより特に使用材料を節約することができ、ひいては軽量な支持構造を可能にする。本発明によれば、支持構造は例えばC字型、S字型、U字型、Σ型、Ω型の成形材から、特にこれらの成形材の組み合わせから製作されてよい。この場合、例えば、PVモジュールへの影形成を最小限にするために、支柱および/またはビームにおいて、斜めのかつ/または円形の成形エレメントが設けられていてもよい。本発明による別の態様では、熱間圧延鋼または冷間圧延鋼から成る支柱および/またはビームが設けられ、これには好適には、腐食保護材が設けられている。
【0015】
本発明によれば、この課題は、従属請求項の別の好適な実施形態によっても解決される。
【0016】
例えば、本発明によれば、PV装置の使用位置において支柱が実質的に鉛直に向けられていて、かつ/またはビームが実質的に水平に向けられていると好適である。支柱およびビームのこのような向きにより、個々の組付け領域を画定する、特に支柱およびビームのPVモジュールに向けられた縁部が、PV装置の方形のPVモジュールの外縁に対して、好適には均一に離間されて配置されていることを保証することができる。これにより、PVモジュールに対する支柱およびビームの間隔をできるだけ小さく選択することができるので、通常市販されている方形のPVモジュールに関して、支持構造のための使用材料の節約および/または良好な面積利用が達成可能である。片面PVモジュールのための従来のPV装置とは異なり、この場合、特に、PVモジュールへの望ましくない影形成を招き得る、PVモジュールの下側もしくは後方での支柱およびビームの延在が回避される。
【0017】
さらに、本発明によるPV装置では、例えば、鉛直方向で複数の、特に4つまでのPVモジュールが上下に重ねられて配置されていることが想定されてよい。したがって上下に重ねられて延在するPVモジュールの複数の列を設けることにより、付加的な支柱を設置する必要なしに、有効作用面積を全体として拡大することができる。上下に重ねられて配置されるPVモジュールの4つ以上の設置は、本発明によれば、風荷重が著しく増加するので、支柱の基礎構造が著しく煩雑になり、ひいては必然的により高価な構造となるという欠点を有する。したがって本発明は、上下に重ねて配置されるモジュールの数は4つまでに制限することを提案している。本発明によれば、上下に重ねられて配置されるPVモジュールの最適な行数は2~3である。
【0018】
本発明によれば、水平方向で隣接するPVモジュールが鉛直方向で互いにずらされて配置されているならばさらに好適である。従来の装置では典型的ではないこのような構成により、支持構造の特に効果的な構成形式が可能である。このことは特に、水平方向で隣接するPVモジュール間の鉛直方向のずれが、少なくとも1つのビームの高さである場合に特に該当する。これにより、ビームを鉛直方向で互いに上下に位置するように支柱に組み付けることができ、このことは、支持構造の本発明による多数の構成にとっては有利である。したがって特に、水平方向で隣接するビームの、1つの支柱における各固定点を、鉛直方向で互いに上下に位置するように配置することができる。これにより、さらに詳しく後述するように、支柱におけるフランジおよび舌片の効率的な利用が可能である。
【0019】
PV装置の支柱のできるだけ効率的な設置のために、本発明によれば、支柱が少なくとも、地面に接続される取付け区分と、この取付け区分に接続可能な、または接続されている保持区分とに分割されていることが想定され得る。この場合、保持区分は取付け区分の上方で延在している。この場合、好適には、取付け区分をまず、保持区分とは独立して地面内にまたは地面上に基礎として設けることができる。このようなことは、例えば、取付け区分を地面への打ち込みによって基礎づけるべき場合に有利である。このために、取付け区分は特に、打ち込み成形材の形態で成形されていてよく、これにより取付け区分は、打ち込みのために十分な強度を有している。
【0020】
保持区分および取付け区分は、本発明によれば、好適には金属から成る細長い成形材として成形されていてよい。この場合好適には、特に様々な成形材を、互いに組み合わせることができる。例えば、取付け区分としての、打ち込みに適したC字型、U字型、またはΣ型成形材を、支柱の保持区分としての、それぞれ打ち込みにはそれほど適していないS字型またはΩ型成形材と組み合わせることができる。さらに、材料節約のために、保持区分を、取付け区分よりも薄く形成することもできる。このことは例えば、別の形状選択により、特に別の形状寸法設定により、または材料の薄化により達成することができる。
【0021】
取付け区分を基礎づけた後、保持区分を取付け区分に整列させて、例えば、場合によっては予め穿孔された穴内にねじ込み可能なタッピンねじによって、堅固に取付け区分に接続することができる。このために、本発明によれば、取付け区分と保持区分とにそれぞれ対応する接触面が形成されていると好適である。この接触面で、両区分は互いに接触し、したがってオーバラップすることができる。これにより、取付け区分の高さのずれを、取付け区分に対して保持区分を整列させることにより補償することができる。このために保持区分は特に、接触面で取付け区分に接触した状態で、取付け区分の長手方向に沿って摺動可能であるように構成されていてよい。
【0022】
本発明によれば、取付け区分と保持区分との間のオーバラップ部は、補足的に回転可能に形成されていてよい。これにより、対応する接触面が互いに接触した状態で、1つの支柱の両区分は互いに回動できる、もしくは回動されていてよい。これは例えば、接触面の平坦な構成により達成され得るので、取付け区分と保持区分とは組み付け状態で背面同士で接触している。オーバラップ部の回動可能な構成により、支柱の両区分の長手方向軸線が互いに回動することができ、これにより取付け区分の基礎づけ工程で生じ得る、取付け区分の傾いた向きの補償を改善することができる。
【0023】
本発明によればさらに、個々のPVモジュールが、すなわち特にPVモジュールの外縁が、支柱および/またはビームから離間されて配置されているならばさらに有利である。何故ならばこれにより、PVモジュールの作用面に支柱および/またはビームによって影が形成されるのを阻止することができるからである。この場合、本発明によれば、影形成が、最大75°の入射角までは排除されるような大きさに離間を選択しさえすれば好適である。これにより、離間のために過剰な所要スペースを回避することができ、これにより有効な面積利用が可能である。概して本発明によれば、PVモジュールが、支柱および/またはビームの外縁に関して真ん中に組み付けられているならば、好適である。何故ならば、これにより、両面PVモジュールの両側の影形成を最小限にすることができるからである。
【0024】
入射角とは、この場合、以下では、入射する太陽光線と、PVモジュールの作用面の垂線とが成す角度であると理解される。したがって、PVモジュールの作用面への垂直な入射光は、0°の入射角に相当する。PVモジュールが鉛直に配置されているので、入射角は特に側方からの入射角であってよい。
【0025】
効率の高いPV装置は、本発明によれば、PVモジュールの作用面が支柱および/またはビームから離間されて配置されている場合に得られる。これにより、入射光が傾斜した場合、支柱またはビームが、PVモジュールの作用面の縁部領域に影を作ることがほぼ回避される。影の形成は装置の効率にネガティブに作用する。
【0026】
本発明によれば、この場合、PVモジュールの作用面が、少なくとも20°の入射角まで、特に好適には少なくとも30°の入射角まで、支柱による作用面への影形成が排除されるように支柱から離間されるならば特に好適である。選択的にまたは補足的に、PVモジュールの作用面が、少なくとも25°の入射角まで、好適には少なくとも30°または40°の入射角まで、ビームによる作用面への影形成が排除されるように、ビームから離間されて配置されていることが想定されてよい。
【0027】
さらにコンパクトなPV装置は、本発明によれば、PVモジュールの作用面が互いに対向する側で、支柱および/またはビームに対して非対称に離間されて配置されていることにより得られる。例えば、個々のPVモジュールは、北方向では、PVモジュールの作用面に関して、少なくとも20°の入射角まで、好適には少なくとも30°の入射角まで、この作用面への影形成が排除されるように支柱から離間されて配置されており、南方向では、PVモジュールの作用面に関して、少なくとも45°の入射角まで、好適には少なくとも60°の入射角まで、この作用面への影形成が排除されるように支柱から離間されて配置されていることが想定されてよい。
【0028】
ビームが水平に延在している場合には、本発明によれば、PVモジュールが、PVモジュールの上方で延在するビームに対してのみ、離間されて配置されていれば十分である。これにより、上方で延在するビームによる作用面への影形成は回避される。これに対して、水平に延在するビームの上方に配置されたモジュールに関しては、このモジュールの下方に延在するビームによって影が形成される危険はない。何故ならば、直接入射する太陽光は、斜め上方から作用面に入るからである。したがって、本発明によれば結果として、水平に延在するビームの上方のPVモジュールの作用面を、鉛直方向でのPV装置の所要スペースを減じるために、このビームに近付けることができる。
【0029】
PV装置を特に風の影響が大きい場所に設置すべき場合には、本発明によれば、PVモジュールを回転軸を中心として旋回可能に支持構造に懸吊することができる。この場合、回転軸がビームに平行に延在しているならば、これによりコンパクトな組付け領域での旋回可能性を保証することができるので有利である。回転軸を中心としたPVモジュールの旋回可能性は例えば、PVモジュールを支持構造の上方のビームにのみ旋回可能に懸吊することよって達成できる。旋回可能性に基づき、PVモジュールは、強風のもとで、支柱によって形成されている平面から出るように動くことができる。したがって、組付け領域にこれにより生じる隙間を通って、風はほぼ妨げられることなく吹き抜けることができ、これにより、支持構造に作用する風荷重は著しく減じられる。この場合、支持構造を全体としてより低い安定性で形成するだけでよく、これにより例えば支柱の剛性を低く形成することができ、したがって全体として材料コストを節約することができるという利点がある。
【0030】
PV装置のできるだけ簡単な組み付けを可能にするために、本発明によれば、所属のビームを面状に取り付け可能な支持面を支柱に形成することが想定される。支持面へのビームの面状の接触により、ビームから導入される力とモーメントとを効果的に支柱によって吸収することができる。
【0031】
本発明によれば、支持面は特に簡単に、成形材にフランジとして、かつ/または例えば成形材の外面に設けられた開口に舌片として、形成することができる。このために、支柱の一方の側には支持面をフランジとして、他方の側には舌片として形成することも想定され得る。したがって、舌片またはフランジは、本発明によれば選択的なものとしてみなされ、この場合、本発明によれば、支柱から直角に突出しているならば、かつ/またはPVモジュールによって形成される平面の方向で、好適にはこの平面に対して側方でずらされるように延在するならば、舌片であっても、フランジであっても好適である。さらに、ねじまたは類似のものによる、ビームの取付けを容易にするために、舌片および/またはフランジに穴、長孔等を設けることもできる。
【0032】
支持面として働くフランジは、本発明によれば特に、支柱の支持区分全体に沿って延在していてよい;したがって、フランジは、成形材の部分であってよい;しかしながらフランジを、後から支柱に、例えば溶接によって接合することもできる。成形材の端部に一重のフランジのみを有する成形材を、例えばS字型成形材を使用する場合には、本発明によれば、成形材にねじ固定可能な付加的なアングル状接続材を設けることができる。これにより、ビームを一重のフランジにアングル状接続材に接続して結合する際には、閉じられた環状の力の流れを形成することができ、したがって構造の剛性を高めることができる。その他に、フランジを支柱に、本発明によれば支柱の曲げ剛性を高めるためだけに設けることもできる。
【0033】
例えば、打ち抜き加工またはレーザ切断のような工程と共に、曲げ加工または成形を行うような工程により、開口と、この開口に属する舌片とを安価に支柱に形成することによって、本発明によれば、舌片の形状を、所属の開口の形状により成形材に設けることができる。この場合、1つの開口により、この開口の両側に配置されている舌片対を形成することもでき、これにより1つのビームを両側から把持することができる。
【0034】
支持面が対になって形成されているならば、支持構造の堅牢性および剛性は、本発明によればさらに向上される。支持面から成る対は、これら支持面の間に挿入されるビームを両側で把持することができるので、力の導出はさらに改善される。支持面による1つのビームの両側からの把持を容易にするために、ビームが支柱よりも細く、特に、対になって形成されている支持面の間の間隔よりも細く形成されているとさらに有利である。
【0035】
選択的にまたは補足的に、ビームをアングル状接続材によって支柱に取り付けることもできる。この場合、本発明によれば、取り付けたいビームの両側に、支柱に面状に接続可能な支持面を有しているアングル状接続材が好適である。
【0036】
本発明の別の可能な構成は、それぞれ1つのビームまたはその端部を受容するために支柱に貫通差込開口を形成することを想定している。貫通差込開口の構成は、ビームを貫通差込開口内に多かれ少なかれ深く差し込むことにより、支柱の互いの傾動、ひいてはこれに伴う支柱間の間隔の変動を容易に補償することができるという利点を有している。
【0037】
この場合、貫通差込開口が、この開口によって受容すべきビームよりも幾分大きく形成されているならば、簡単な組み付けのために好適であることがわかる。しかしながら本発明によれば、貫通差込開口は、鉛直方向で、ビームの少なくとも1.25倍の、好適には少なくとも1.5倍の高さを有していることが想定され得る。これにより、例えば起伏のある敷地における支柱の異なる高さ位置を、ビームを様々な高さに組み付けることにより少なくとも部分的に補償する可能性が得られる。
【0038】
支柱の外面側方に、取り付けられたアングル状接続材によって形成される貫通差込通路とは異なり、貫通差込開口はさらに、本発明によれば貫通差込開口を支柱の真ん中に配置することができるという利点を提供する。これにより特に、PVモジュールを支柱および/またはビームに関して真ん中に配置することを簡単に達成できる。このような配置は本発明によれば、PVモジュールの両側への影形成が最小限であるので、好適である。
【0039】
貫通差込開口を使用する場合、支柱の少なくとも支持区分が、Ω型成形材の形態で形成されていると特に有利である。何故ならば、Ω型成形材を使用する場合、水平方向で隣接する2つのビームを、成形材に沿って延在する平行なフランジ対によって形成され得るΩ型成形材の両開放端部によって両側から把持することができるからである。これによりΩ型成形材において閉じられた力の流れを形成することができる。この場合、個々のビームを、Ω型成形材の側面に形成された貫通差込開口を通してガイドすることができる。したがって、このような構成では、Ω型成形材として形成された支柱の左右に延在するビームを、支柱の片側に延在する1つのフランジ対に取り付けることができる。これにより、支持構造の、特に簡単に組み付けられ、なおかつ堅牢な構成が得られる。
【0040】
支柱の少なくとも支持区分が、C字型またはU字型の成形材の形態で形成されているならば、本発明によれば、貫通差込開口の使用のもとで、支柱とビームとの間の同様に堅牢な接続が達成される。この場合、各成形材の側面に、曲げ加工により立ち上げられた舌片を有する貫通差込開口が形成され、この舌片自体が、ビームを取り付けるための支持面を提供する。
【0041】
支柱の左右に延在する2つのビームを1つの舌片に組み付けるべき場合には、舌片の高さが、ビームの高さの1.25倍以上であるならば、好適には少なくともビームの高さの1.5倍であるならば有利である。したがってこのような構成により、貫通差込開口の舌片、もしくは舌片対は、2つのビームを保持するために十分な高さである。ビームによる組付け高さの改善された補償を可能にするために、本発明によれば、付加的により高く構成された貫通差込開口はさらに有効であり得る。
【0042】
本発明の構成では、貫通差込開口は、1つのビームを、好適には2つのビームを組み付けるための支持面を提供する、上述したような舌片を1つ以上有することができる。これにより、Ω型成形材と接続しても様々な構成が得られる。別個に取り付けられるアングル状接続材に対して、舌片は、アングル状接続材のように成形材に取り付ける必要がないので、組み付けの手間が減じられるという利点を提供する。さらに、曲げ加工により立ち上げられた舌片は、通常、成形材の垂直面に回動不能に接続され、これにより簡単に支持構造の高いねじれ剛性が得られる。
【0043】
全般的に、貫通差込開口の上述した全ての構成では、特に、個々の貫通差込開口が、1つのビームの高さの少なくとも2倍、特に少なくとも3倍を有していることを想定することができる。このような構成により、1つのビームまたは特に2つのビームを、1つの貫通差込開口に配置することができ、貫通差込開口を比較的大きく構成することにより、1つのまたは複数のビームの組み付け高さを、貫通差込開口に関して可変にすることができ、すなわち特に組み付けの際に変化させることができる。これにより高さの補償が達成され、このことは特に、起伏のある設置敷地において有利である。
【0044】
1つの貫通差込開口に少なくとも2つのビームを受容するのに対して選択的に、本発明の別の構成では、1つの貫通差込開口に1つだけのビームを配置し、別のビームは、支柱の、貫通差込開口とは反対側の面に、貫通差込開口を使用せずに、支柱に形成された支持面によって組み付けることが想定される。この場合、特に、貫通差込開口を通してガイドされたビームが、支柱の、この貫通差込開口とは反対の側で、別のビームと同じ支持面に組み付けられてもよい。換言すると、本発明の構成によれば特に、1つの支持面に、貫通差込開口を通して差し込まれるビームと、別のビームとを取り付けることができる。
【0045】
本発明による別の構成は、支柱が、少なくとも前記保持区分に、または1つの保持区分に、C字型のまたはU字型の基本形状を有する成形材を有していることを想定している。この場合、成形材の端部には、フランジとしての付加的な支持面が形成されていてよい。フランジは、成形材の制作中に形成することができる、または後から成形材に取り付けることができる。
【0046】
本発明によるさらに別の構成によれば、支柱は少なくとも前記保持区分に、または1つの保持区分に、Z字型の、またはS字型の基本形状を有する成形材を有していてよく、この場合、成形材の端部には、フランジとしての付加的な支持面が形成されていてよい。S字型の成形材は、商取引においては一部で、「Z-プラス」成形材としても公知である。「付加的な支持面/フランジ」はこの場合、既に前述したC字型またはU字型の成形材の場合と同様に、成形材の製造時に支持面/フランジが既に形成されている場合であっても、フランジなしに既に成形材の基本形状が提供されるものと理解されたい。
【0047】
PVモジュールの特に簡単かつさらに堅牢な組み付けのためには、本発明によれば、PVモジュールがビームに取り付けられていると好適である。モジュールが横長に/縦長に組み付けられる場合、これにより、モジュールの保持は、その長辺側/短辺側に沿って行われる。このために、本発明によれば、特別な保持エレメントを設けることができる。好適には、この保持エレメントは、好適には摩擦接続的な結合を省いて、各PVモジュールの縁部が挿入されている、または挿入可能な溝区分を提供する。この場合、PVモジュールを損傷から保護するために、溝区分は、塑性変形可能な、または弾性的な材料、好適にはEPDMによって被覆されている。さらに、補足的には、溝区分内でのPVモジュールの滑脱を阻止するために、PVモジュールを保持エレメントに接着することができる。
【0048】
保持エレメントは本発明によれば、例えば、冷間成形された鋼部分として、好適には耐腐食性の鋼から、かつ/または腐食防止加工されて、製造することができ、またはプラスチックから、またはアルミニウムのような軽量金属から製造することができ、特にゴム製の被覆を有していてよい。保持エレメントはさらに、成形材の形態で、または射出成形部品またはダイカスト部品として製造されてよい。
【0049】
本発明によれば、PVモジュールは、溝区分の領域で、好適には、両側から各保持エレメントによって把持されるので、PVモジュールの確実な保持が保証可能である。
【0050】
上述したような保持エレメントは本発明の同様の使用で、支柱におけるPVモジュールの取り付けのためにも使用することができるのは勿論である。
【0051】
特に好適には、保持エレメントには、互いに向かい合うそれぞれ2つの溝区分が形成されている。したがって、個々の保持エレメントは、互いに向かい合って位置する2つのPVモジュールを保持することができる。この場合、2つの溝区分が1つの共通の平面に延在しているならば有利である。補足的に、または選択的に、2つの溝区分をそれぞれ、保持エレメントの側方の外面に関して真ん中に配置することができる。このような形式の構成により、支柱および/またはビームに関して、全てのPVエレメントのために、本発明による好適な真ん中の位置決めが容易になる。
【0052】
さらに、保持エレメントが、好適には直角のそれぞれ1つの横断面減少部を有していてもよい。したがって、横断面が変化するこの個所で、保持エレメントに当接面を形成することができる。これにより保持エレメントは、ビームに形成された開口内に、所定の差し込み深さまで差し込み可能、または差し込まれていてよい。したがってこのために、本発明によれば、ビームは、保持エレメントに対応する、特に真ん中に配置された貫通差込開口を有していてよい。ビームに設けられるこの貫通差込開口は特に、ビームの長手方向での保持エレメントの滑脱を阻止するように形成することができる。
【0053】
このような構成の実質的な利点は、保持エレメントを収容するビームに設けられた上方の溝の領域に保持エレメントを、例えばねじ固定により取り付ければ、PVモジュールの堅牢な位置決めには十分であることにある;したがって第2の下方の溝の領域における付加的な取り付けは不要である。これにより、組み付けの手間が省かれるだけでなく、下方の保持溝を取り囲むそれぞれ下方の領域において、保持エレメントを、上方の領域におけるよりも細く形成することができ、このことは、PVモジュールへの影形成を回避するために有利である。
【0054】
保持エレメントの位置を保証する、傾動のない組み付けのためには、本発明によればさらに、保持エレメントに、ビームに面状に接触する当接面が形成されているならば有利である。
【0055】
本発明によるさらに最適化された保持エレメントでは、保持エレメントが下面に傾斜面を有していて、これにより、保持エレメントの下方の溝内に装着されるPVモジュールへの影形成を阻止することができる。
【0056】
別個の保持エレメントに対して選択的または補足的な構成として本発明によれば、ビームに、各PVモジュールを差し込むことができる溝区分を形成することができる。この溝は、例えば、ビームの上面にのみ形成されてもよく、かつ/または特にビームの全長にわたって延在していてもよい。この場合、PVモジュールを、組み付けの際に直接ビームの溝内に装着することができ、これにより、組み付けるべき保持エレメントの数を減じることができることが有利である。このような方式は、組み付けの手間を減じ、ひいてはコストを削減することができる。
【0057】
保持エレメントと同様に、ビームについても、ビームは下面に傾斜面を有していてよい。これにより、PVモジュールの作用面の縁部領域のためにもさらに、各ビームによる影形成なしにそれぞれ大きな入射角を保証することができる。
【0058】
本発明はさらに、支持構造が、特に個々の列の間の耕作空間の、PV装置を設置する面の特に農業用の耕作が、引き続き可能なままであるように、支持構造が設計されると好適であることを認識している。このために、本発明は、地面と支持構造の最下方のビームとの間に空間が残されるようになっている。この空間は、本発明によれば、少なくとも50cm、好適には少なくとも60cm、特に好適には少なくとも1mの高さを有していてよい。したがって空間は、必要な支柱によって単に中断されるだけであることがわかる。
【0059】
PVモジュールを列において設置する際には、この場合、特に、列の間に、少なくとも6メートルの、少なくとも8メートルの、または少なくとも10メートルの幅を有する耕作空間が生じるようにPV装置の列を間隔を置いて配置することが、特に想定され得る。
【0060】
できるだけ有効な面積利用のために、すなわち、単位面積あたり最大限のエネルギ発生のために、本発明によれば、PVモジュールが支持構造と共に実質的に1つの平面を形成するのが好適である。したがってこのために、支柱を、実質的に直線に沿って設置することができる。設置面の所定の最小幅以降は、PVモジュールを複数の列に配置することもできる。この場合、これらの列が、好適には均一に、互いに離間して配置されているならば好適である。何故ならば本発明により、PV装置の列の高さに応じて、太陽方向で隣接する列に対する最小間隔を、隣接する列によるPVモジュールの作用面への影形成がほぼ排除されるように選択することができるからである。この場合、様々な高さを有する、すなわち例えば互いに上下に重ねられて配置されたPVモジュールの数が異なる列を設けることもできる。
【0061】
本発明の特に好適な構成では、PVモジュールが実質的に北・南方向に向けられていてよい。北・南向きの場合、1つの両面PVモジュールの両作用面の面法線はそれぞれ東と西に向けられている。この場合、本発明によれば、±30°の角度のずれが設けられてよく、したがって向きは、「実質的に」北・南方向に延在するとして記載される。このような構成により、PV装置によって、冒頭で述べたような、正午前後にピーク出力を有していない一日を通しての電流特性曲線が得られる。しかしながら本発明によるPV装置は、空の方向に関して複数の別の向きで好適に使用することができる。
【0062】
本発明によれば、2つの列の間の間隔が、PV装置の1つの作用面の最大高さの少なくとも3倍、好適には少なくとも4倍、特に好適には少なくとも5倍であるならば、エネルギ変換効率において容認し得る損失でPV装置の面利用を最適化することができる。これにより、PV装置の設置場所の地形的な幅に応じて、隣接している列によるPVモジュールへの影形成を、特に朝夕においてほぼ回避することができる。PV装置の作用面の最大の高さは、例えば、それぞれPV装置の1つの列の作用面の内側の最高点と最低点との間の鉛直方向の間隔によって規定することができる(これに関しては図面の説明も参照)。
【0063】
PVモジュールの個々のセルは通常、列になってセルストリングスを形成するように接続され、したがって最も弱く照射されるセルが、実際に流れる電流を制限するので、影形成は公知のように不利である。従来技術では、PVモジュールの作用面における部分的な影形成の影響を最小限にするために、PVモジュールに標準的に共に設けられているいわゆるバイパスダイオードが公知である。しかしながら、影形成による影響を最小限にするために専らバイパスダイオードを使用することは大きな欠点につながっている。例えば、作用面の影が形成された領域を電気的に橋絡するために、バイパスダイオードを接続すると、著しい熱が発生する。しかしながら、本発明による、毎日の影形成を考慮しているPV装置ではこのような方式は、著しい熱発生が、PVモジュールの耐用期間に不都合な影響を与える可能性があるので、受け入れがたいものである。さらなる欠点は、市場で使用されている多くのインバータは、バイパスダイオードが設けられているにもかかわらず、PVモジュールにとって不都合な動作点を調節するので、当該インバータに接続されているPVモジュールにおいてさらなる出力損失が生じることにある。
【0064】
したがって、PV装置のエネルギ変換効率を高めるために、選択的に、少なくとも1つの両面PVモジュールを有したPV装置を対象とする第2の独立請求項の特徴が設けられている。したがって、特に、支持構造の上述した構成によりさらに形成することができる、少なくとも1つの両面PVモジュールを備えた太陽光発電装置のために、本発明によれば、上記課題を解決するために、PV装置の作用面、特に全ての作用面の電気的接続を、異なる高さに位置する、電気的接続における作用面が様々な電気的動作点で作動可能であるように、選択することが提案されている。この場合、特に、上方の(すなわち上方に配置された)作用面は、下方の(すなわち下方に配置された)作用面に電気的に並列に接続されていることを想定することができる。選択的に、または補足的に、上方の作用面は、互いに直列に接続されていてよく、かつ/または下方の作用面が互いに直列に接続されていてよい。
【0065】
本発明の別の構成によれば、このような接続のために、例えばケーブルによる、モジュールを使用しない電気的な戻し路を設けることができるので、すなわちPVモジュールは戻し路を中断することはない。このようなモジュールを使用しない電気的な戻し路は特に、直列接続されたPVモジュールに対応するように構成されてよい。このような戻し路は、片面PVモジュールを備える従来のPV装置では、コスト的な理由および技術的な理由により行われていない。しかしながら本発明は、PVモジュールの最良の電気的接続を保証すべきであるならば、垂直に直立するPVモジュールを備えたPV装置への影形成の大きな影響はこのような戻し路を必要とする可能性があるということを認識している。
【0066】
本発明はさらに、PV装置の縁部領域のみを例外として、様々な高さに位置する全ての作用面が様々な動作点で作動可能であるならば、直立する両面PVモジュールをPV装置のために使用する場合に大きな利点が得られると認識している。
【0067】
このような構成は特に、PV装置の1つ以上のPVモジュールの、様々な高さに配置される作用面を通って流れる電流を変化させることができることを意味している。すなわちこのような構成により、例えば、1つ以上のPVモジュールの上方および下方の作用面が電気的に直列に接続される場合にそうであるように、例えば下方の作用面への影形成が、上方の作用面における電流生成を制限することを回避することができる。
【0068】
数年来、さらに、2つの電気的に分離された作用面を有する方形の両面PVモジュールが市場で入手可能であり、この場合、通常、これらの作用面それぞれが、複数のセルストリングスを有しており、モジュールの短辺側に対して平行に、電気的な分離が延びている。本発明は、電気的に分離された作用面を有するこのような両面PVモジュールを縦長に設置し、これにより上方および下方の作用面を本発明のように形成することを提案する。
【0069】
電気的に互いに分離されている作用面という表現は、本発明の意味では特に、作用面が互いに直列接続されていないことを意味している;これに対して、作用面の電気的な並列接続は、PVモジュールの内側でも存在し得る。
【0070】
本発明はさらに、このような両面PVモジュールのそれぞれ上方の作用面をそれぞれ下方の作用面に対して電気的に並列に接続し作動させることを提案しており、これにより上方の作用面は、下方の作用面の電気的な動作点とは異なる電気的な動作点で作動することができる。したがって下方の作用面のうちの1つが既に影形成されている場合に、単数もしくは複数の上方の作用面を通る電流は、影が形成された下方の作用面に対して平行な電流路が上方の作用面により形成されているので、上方の作用面によって影響を与えられない。すなわち特に、本発明の意味での電気的な動作点は、相応の作用面を通って流れる電流によって規定することができる。
【0071】
本発明の意味では、ほぼ同じ高さに配置されている作用面、すなわち特に全体としてのPVモジュールは、列で接続されていてよいことが理解される。ほぼ同じ高さに配置されているPVモジュールの作用面が、列で接続されている場合、これを本発明による電線路として言及することができる。
【0072】
したがって、本発明の構成は、電気的に互いに分離された複数の電線路を作用面の直列接続により設備し、これらの電線路を異なる高さに配置し、好適には電線路を電気的に並列に接続して作動させることを提案している。したがって、個々の電線路を流れる電流量を変化させることができ、このことは、異なる電線路における作用面は異なる動作点で作動可能であって、すなわち特に異なる電流のもと作動可能であるというのと同じ意味を持つ。
【0073】
したがって、異なる動作点で作動可能な上方の作用面と下方の作用面とを有する、第2の独立請求項によるPV装置の実現は、PVモジュールを直列接続して、好適には上下に重ねられて配置される電線路を成し、かつ、このような電線路を例えば共通のインバータ入力部または異なるインバータ入力部に並列接続させて作動させることにある。
【0074】
互いに分離された電線路におけるPVモジュールの作動による、1つ以上のPVモジュールの電気的に分離された作用面の利用は、太陽の高さが低いことによりPVモジュールの部分的な影形成が生じた場合に、通常は下方の電線路のみが作用が弱くなり、まだ完全に照射されている上方の電線路は通常作動で作動することができるので、日出および日没の頃において特に有利である。これに対して、電気的に分離された作用面を有する上述したようなPVモジュールの横向きの設置は、両作用面に部分的に影が形成されるので、モジュール全体の効率が下がる。
【0075】
本発明により互いに上下に配置された電線路は、並列に接続されて作動することができるので、1つの電線路の影形成、およびこれに伴うこの電線路における電流の制限が、隣接する(典型的にはその上に位置する)電線路に影響を与えることは回避される。本発明による電線路は、例えば既に、1つのPVモジュールの互いに電気的に分離された2つの作用面のうちの1つにより形成することができる。
【0076】
本発明の別の構成によれば、上述したような電線路が、特に少なくとも2つの両面PVモジュールの、作用面の直列接続により形成されているならばPV装置の高い出力が特に安価に得られる。上述したように、電線路への電気的分割により、電流を異なる電線路によって互いに独立させる/互いに変位させることができる。
【0077】
したがって、電線路は、特に水平に隣接するPVモジュールの作用面によって形成することができる。このために本発明によれば、好適にはPVモジュールのこのような作用面が、ほぼ同じ高さに配置された列において互いに電気的接続されているならば好適である。PVモジュールの内側では、これに対して、作用面が電気的に並列に接続されているならば、特にこれらが垂直方向で互いに上下に重ねられて位置するように配置されているならば、好適である。
【0078】
本発明においては、各電線路が1つのインバータ入力部に電気的に接続されているならば特に好適である。この場合、本発明によれば、個々の電線路を、異なるインバータのインバータ入力部に、または1つの共通のインバータのインバータ入力部に接続することができる。
【0079】
したがって本発明は、1つの電線路は、複数の両面PVモジュールにわたって形成することができ、これにより特に、各両面PVモジュールを固有のインバータに接続する必要はなく、これによりコストを節減できるという認識を有する。この場合、1つの電線路は特に、間に組み付けられるPVモジュールを備えた複数の支柱の列よりも短くてよい。作用面が直列に接続されている場合には、発生する電圧は増加するので、典型的には、列において互いに接続すべき作用面の数は制限しなければならない。
【0080】
本発明の制限なく、または矛盾なく、例えば1つの列の縁部領域で、本発明によれば、互いに上下に重ねられて配置された作用面を、1つのPVモジュールの内側で、または複数のPVモジュールにわたって、互いに直列に接続することもできる。したがって、縁部領域でも、特に十分に高い電圧のもとでの、効果的で安価な発電を保証することができる。この場合、縁部領域の一部の影形成時に、PV装置全体の効率が部分的に低減することは甘受される。
【0081】
本発明の別の構成によれば、PVモジュールが、好適には各PVモジュールが、それぞれ異なる電線路に配属されている、電気的に互いに分離された少なくとも2つの作用面を有しているならば特に有利である。これにより、1つのPVモジュールに部分的に影が形成された場合でも、PVモジュールに入る光線の電気エネルギへの変換の高い効率は、PV装置全体としては、維持することができる。
【0082】
最後に、本発明によれば、上述したような、かつ/または請求項16および17のうちの一方または両方の特徴を含む、本発明により構成された複数の、特に2つの電線路を有するPV装置が、上述したような、かつ/または請求項1から15のうちの1つまたは複数の本発明による特徴を含む支持構造を有していることも想定されてよい。
【0083】
冒頭で述べた課題を解決するために、上述したような本発明によるPV装置の特別な使用も想定されている。したがって特に、本発明によれば、本発明によるPV装置は、特に上述したような、かつ/または太陽光発電装置に関する請求項のいずれか1項によるPV装置は、PVモジュールが発電の間にほぼ北・南方向に向けられるように使用される。この場合、本発明によれば、±30°の角度のずれが設けられてよく、したがって向きは「ほぼ」北・南方向に延在するとして記載される。PVモジュールが北・南向きである場合、1つの両面PVモジュールの両作用面の面法線はそれぞれ東と西に向けられている。このような特別な使用により、本発明によるPV装置によって、冒頭で述べたような、正午前後にピーク出力を有していない一日を通しての電流特性曲線が得られる。
【0084】
本発明を、実施例により詳しく説明し、図示するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0085】
別の実施例は、個別のまたは複数の請求項の特徴の互いの組み合わせにより、かつ/または各実施例の個別のまたは複数の特徴との組み合わせにより得られる。したがって特に、本発明の構成は、好適な実施例の以下の記載と、詳細な説明全般、請求の範囲、図面との組み合わせにより得られる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】本発明による太陽光発電装置の二角投影図である。
【
図2】同じPV装置の複数の支柱から成る1つの列を詳細に示す図である。
【
図3】組み付けられた2つのビームを有する、C字型成形材によって形成された本発明による支柱を示す図である。
【
図4】組み付けられた2つのビームを有する、Ω型成形材によって形成された本発明による支柱を示す図である。
【
図5】
2つのPVモジュールを受容するための、対向して位置する2つの溝区分を備えた本発明によるビームを示す図である。
【
図6】
U字型成形材により形成されたビーム内に挿入されている本発明による保持エレメントを示す断面図である。
【
図7】
U字型のビーム内に挿入された、図7の保持エレメントを示す斜視図である。
【
図8】
1つの支柱と、この支柱に対して本発明により北もしくは南方向で非対称に離間されたPVモジュールならびに作用面を示す平面図である。
【
図9】
水平方向に延在する1つのビームと、このビームの上方および下方に配置されたPVモジュールとその作用面とを示す側方の断面図である。
【
図10】
離間されて設置された2列の支柱を有する本発明によるPV装置を示す側面図である。
【
図11】
PV装置のPVモジュールの本発明による電気的な接続を示す図である。
【
図12】
PV装置のPVモジュールの本発明による別の電気的な接続を示す図である。
【
図13】
PV装置の本発明による支持構造におけるPVモジュールの本発明による懸吊を示す断面図である。
【
図14】
PV装置の本発明による支持構造におけるPVモジュールの本発明による別の懸吊を示す断面図である。
【0087】
本発明の様々な実施形態の以下の説明では、その機能において一致するエレメントは、異なる形態または形状であっても同じ符号を有する。
【0088】
図1には、全体に符号1が付与された太陽光発電(PV)装置が示されていて、この太陽光発電装置は、1つの支持構造3に直立配置された複数の両面PVモジュール2を有している。支持構造3は、1列に設置されている複数の支柱4により形成される。より詳しく述べると、各支柱4は、取付け区分7と、この取付け区分に結合される保持区分8とに分割されている。地表を示す水平面により示されるように、支持構造3は、取付け区分7によって地面にアンカボルト固定されている。
【0089】
図1が示すように、支柱4の間には、複数のビーム5が実質的に水平方向に延在している。したがって、支柱4は実質的に鉛直に立つように組み付けられているので、それぞれ2つの隣接する支柱4と2つの隣接するビーム5とは、実質的に方形の1つの組付け領域6を画定している。
図1に示した実施例では、これら方形の組付け領域6それぞれに1つのPVモジュール2が配置されていて、すなわち鉛直に立てられている。両側に作用面9を有するPVモジュール2の直立配置により、西方向および東方向からの太陽光を効果的に受け取ることができ、PV装置によって電力に変換することができる。
【0090】
図2においてPV装置1の詳細図が示されているように、鉛直方向で複数のPVモジュール2が、すなわち正確には2つのPVモジュールが上下に重ねられて配置されている。さらに、
図2によりよくわかるように、例えば最上方のビーム5は鉛直方向で互いにずらされて配置されている。PVモジュール2は保持エレメント15によってビーム5に取り付けられているので、水平方向で隣接するPVモジュール2も鉛直方向で互いにずらされて配置されている。このような構成は、本発明によれば、これにより様々な敷地の延在表面に簡単に適応することができるので、好適である。
【0091】
図2により良好に示されているように、それぞれC字型成形材により形成されている取付け区分7と保持区分8とは、背面同士が互いに接触していて、したがってオーバラップ領域でオーバラップしている。この場合、本発明によれば、オーバラップ領域が地面の上方に位置しているならば、これにより、取付け区分7への保持区分8の組み付けが容易であり、さらに取付け区分7を保持区分8とは独立して地面に、例えば打ち込みによりアンカボルト固定することができるので、好適である。
【0092】
図3には、支柱4、より詳しくはその上方の保持区分8と、水平に延在する2つのビーム5との結合部の本発明による構成が示されている。ビーム5はそれぞれU字型成形材22から形成されていて、支柱4の保持区分8はC字型成形材12により形成されている。
【0093】
両ビーム5を取り付けるために、
図3の支柱4には、貫通差込開口として形成された開口14が設けられていて、この開口を通ってビーム5が貫通案内されている、もしくは差し込まれている。開口14自体は、支柱4のC字型成形材12に打ち抜き加工により形成されている。1回の打ち抜き行程により、比較的簡単な形式で、
図3に示された両舌片13を形成することができ、これらの舌片は本発明によれば支持面10として用いられる。例えば、両ビーム5を、タッピンねじと、対応する貫通孔とによって、極めて簡単かつ可変的な高さで、両舌片13に取り付けることができる。
【0094】
図4には、本発明による支持面10の、これに対して選択的に設けられた構成が示されている。このために、支柱4、より詳しくはその上方の保持区分8は、Ω型成形材12によって形成されている。Ω型成形材12はその両自由端部に2つのフランジ11を有しており、これらのフランジは、
図3の舌片13とは異なり、Ω型成形材12の全長に沿って延在していて、好適には、本発明による支持面10として利用することができる。したがって、左側のビーム5はΩ型成形材12にのみ差し込まれており、右側のビーム5は、支柱4の側面に形成された貫通差込開口14を通ってガイドされている。良好に示されているように、両ビーム5はΩ型成形材12の対になって形成された支持面10に、互いに上下に取付けられていてよい。1つのビーム5の両側面に対してそれぞれ、支持面10が対になって構成されていることにより、特に安定的な接続、ひいては特に安定的な支持構造3が得られる。
図4に示されているように、対になって構成された支持面10はビーム5をそれぞれ両側から把持する。
【0095】
図3および
図4からは、ビーム5が支柱4よりも細く形成されているという、想定される本発明の別の構成の利点が明らかである。このような構成により極めて容易に、ビーム5が支柱4の貫通差込開口14によってガイドされ得ると同時に支柱4によって形成される支持面10によって両側から、すなわち特に
図4のように外側から把持されるようになる。
【0096】
本発明によれば、貫通差込開口14に、
図3に示したように2つのビームを配置することができ、または
図4の実施例に示したように、1つだけのビームを配置することもできる。したがって
図4に示したように、貫通差込開口14に配置された第1のビーム5に隣接する別のビーム5を、支柱4の、貫通差込開口14の反対側に、すなわち、貫通差込開口14を使用せずに、すなわち支柱に形成された、
図4ではフランジ11によって形成されている支持面10を介して組み付けることができる。このような構成は、例えば、平坦ではない敷地における異なる高さを補償するために極めて有効である。
【0097】
例えば、
図3に示した実施例は、選択的には、支柱4が、少なくともその保持区分8が、C字型またはU字型の基本形状を有する成形材12によって形成されていると解釈してよく、この場合、U字型の場合には、成形材12の自由端部をフランジ11とみなすことができる。しかしながら好適には、支持面10として機能すべきフランジ11は、本発明によれば、
図4に示したように形成されていて、すなわちフランジ11は好適にはビーム5の方向に延在している。このような構成は、ビーム5との面状の接触を可能にする。
図4に示した支柱4のΩ型成形材12も、C字型の基本形状を備えた成形材12として考えてもよく、この場合、この成形材12の端部には、図示した支持面10がフランジ11として形成されている。
【0098】
既に
図2に示したように、PVモジュール2は本発明によれば好適にはビーム5に取り付けられ、この場合、このために
図2に示した保持エレメント15が設けられていてよい。
【0099】
図6には、これに対して選択的な本発明による構成が示されており、この構成では、ビーム5に、PVモジュール2を収容し、かつ保持するための溝区分16が設けられている。
図6に示したように、溝区分16は、互いに反対側に、かつ/または1つの共通の平面に位置するならば、一般的に本発明によれば好適である。この構成により、PVモジュール2は、支持構造3に関して真ん中に位置付けられている。
図6によれば、ビーム5の下面における本発明よる傾斜面24も良好に示されている。この傾斜面24は、下方のPVモジュール2へのビーム5による影を最小にする。
【0100】
図7には、本発明による保持エレメント15の詳細な断面図が示されている。保持エレメント15は、U字型成形材22によって形成されているビーム5の底面に形成された貫通差込開口23に差し込まれている。この場合、保持エレメント15には、当接面18が形成されていて、保持エレメント15はこの当接面で、ビーム5の内面に面状に接触する。当接面18の高さに形成されている横断面減少部17により、保持エレメント15は、所定の差込深さまで、貫通差込開口23内に導入可能である。これによりとりわけ、両PVモジュール2の作用面9を、ビーム5に対して所定の間隔で取り付けることができ、これにより特に影の形成を効果的に回避することができる。
図7に良好に示されているように、PVモジュール2はその縁部でそれぞれ、保持エレメント15の互いに向かい合って位置する両溝区分16内に差し込まれている。この場合、差し込み深さは、PVモジュール2の作用面9が保持エレメント15および/またはビーム5によって、所定の入射角まで覆われないように、または影にならないように、選択されている。
【0101】
保持エレメント15の、このように説明した本発明による特徴は、再度、
図8の斜視図にも図示されている。特に、
図8により明らかであるように、確実な保持を保証するために、保持エレメント15はPVモジュール2を好適には両側から把持する。このためには、保持エレメント15が、
図8に示したようにPVモジュールを所定の縁部区分に沿ってのみ両側から把持すれば十分である。
【0102】
図9および
図10により、本発明の別の中心的な態様が、すなわちPVモジュール2の作用面9を支柱4および/またはビーム5から間隔を置いて配置することが説明される。
図9における支柱4の平面図に示したように、支柱4の左右に配置された両PVモジュール2の作用面9は、所定の入射角までは太陽光が支柱4の影になることなく作用面9に達することができるように、支柱4から間隔を置いて配置されている。入射角は
図9において、図示した両太陽光線と当該作用面9の垂線(
図9において水平に延在する)とが形成する角度に相当する。
【0103】
両PVモジュール2の隣り合う両側縁を詳しく見ると、支柱の左右の作用面9は、支柱4に対して同じ間隔を有しているのではないことがわかる。むしろ、支柱に対して非対称の間隔を置いて配置されている。
図9の上方に配置されたPVモジュール2の作用面9の支柱4に対する間隔がより大きいことにより、南方向からの太陽光のためには、北方向からの太陽光を受ける
図9の下方に配置されたPVモジュール2のための入射角よりも大きな入射角にわたって作用面9への影形成が排除されるようになっている。換言すると、
図9において両PVモジュール2を示したように、PVモジュール2の南側の縁部では、PVモジュール2、より詳しくはその作用面9と、支柱4との間の間隔が、北側の縁部におけるよりも大きくなるように選択される。
【0104】
これに対して
図10には、図示した両PVモジュール2の作用面9の、横方向に延在するビーム5に対する本発明による離間により、作用面9への影形成を阻止することができる様子が示されている。
図10は水平に延在するビーム5の横断面を示しているので、図示した太陽光線は、斜め上方から、通常横方向に下方のPVモジュール2に入射する。したがって下方のPVモジュール2の作用面9がビーム5から離間されていることにより、
図10に示したように、太陽光が影にならずに作用面9に入ることができる最大の入射角が規定される。
図10では、この入射角は、
図10の鉛直に延在する切断平面への投影により示された入射する太陽光線が、作用面9への垂線(
図10では水平に延在する)と形成する角度に相当する。したがって、太陽光線と入射垂線との間の実際の入射角は通常、(
図10に示した)切断平面におけるこの光線の投影図と入射垂線とが成す角度よりも大きくてよいことが理解される。
【0105】
図10に示したPVモジュールにおいて、作用面の入射垂線がまさに太陽の方向を向いている珍しいケースについては、
図10で太陽光線によって示した入射角は、太陽の位置(高さ)に、すなわち地平線上方の太陽の高さを角度で示したものに相当する。しかしながら、通常太陽光は、斜め側方からPVモジュールへと入射するので、太陽の高さと入射角とは互いにずれる。
図9に示した両太陽光線も、斜め側方からPVモジュールに入射し、この場合も、この光線の、水平に延在する
図9の切断平面への投影図がそれぞれ示されている。
【0106】
図10に示した実施例でも、本発明によれば、ビーム5からのPVモジュールの非対称の離間が設定されていてよい。例えば、本発明によれば、上方のPVモジュール2、より詳しくはその作用面9を、ビーム5により近く引き寄せると好適である。これにより、一方では、支持構造3の最大構成高さが、ひいては作用する風力が減じられる;他方では、太陽光は常に斜め上方からPVモジュール2へと入射するので、上方の作用面9がその下方に位置するビーム5の影になることはあり得ない。すなわち本発明によれば、上方のPVモジュール2は、作用面9がビーム5によって覆われないところまでは、ビーム5の近くに引き寄せられてよい。
【0107】
図11につき最後に、太陽光発電装置1の本発明による別の構成を、特にPV装置1の列20の本発明による離間が説明される。既に
図1および
図2において説明したように、PVモジュール2は本発明によれば、支持構造3と共に実質的に1つの平面を形成することができる。効果的な面積利用のために、本発明によれば、PVモジュール2は
図11に示したように、互いに離間された列20に配置される。したがって、1つの列20のPVモジュール2も、実質的に1つの平面を形成し、この場合、この平面は、
図11に示されているように、特に、北・南方向に向けられていてよい。したがって、例えば太陽光線が西方向から入射する場合は(
図11の左側から入射する場合は)、
図11に示した状態が生じ得るので、すなわち列20の部分領域(この場合、右側の列20の下方のPVモジュール)は、隣接する列20(この場合、左側の列20)の影になる。
【0108】
図11に両太陽光線によって示されているように、この場合、太陽の高さが低くなるほど、影は増える。したがって、符号Bで示された、両列20の間の間隔が、PV装置1の作用面9の最大高さの3倍よりも大きい、
図11に示したような構成が好適である。この最大の高さは、
図11ではまさに、それぞれ左側の列20の作用面9の内側の最高点と最低点との間の間隔を規定する鉛直方向間隔Aに相当する。したがって、両列20の間の、本発明により大きく選択された水平方向の間隔Bによって、
図11に上方の太陽光が示すように、太陽の高さが低い場合でも、右側の列20の部分領域のみが影になるので、少なくとも
図11の右側の列20の上方の作用面9はなお発電のために利用することができることを保証する。
【0109】
PV装置1の列20の離間のさらなる利点は列の間に生じる耕作空間19にある。何故ならば、この空間を例えば農業目的で利用することができるからである。本発明はこのために特に、それぞれ各列において、支持構造3の支柱4の間および下方のビーム5と地表面との間に空間26が残されることにより、
図11に幅Bで示した耕作空間19を利用可能にすることを想定している。したがって、PVモジュール2が少なくとも高さCで地面上方に配置されていることにより(
図11参照)、一方では、耕作空間19の農業利用の際に砕石によりPVモジュールが損傷されることが回避される。他方では、このような構成により特に、PV装置の下方の作用面9に、耕作空間19における植物の成長または植え付けにより影が形成されることが実質的に回避される。したがって、自由空間26は、発電における損失がほとんどなしに、耕作空間19の農業利用のための必要な条件を提供する。
【0110】
図11により、PV装置を、互いに上下に配置される電線路21に、本発明により分割する利点も理解される。
図11の右側の列20の下方の行21を、
図11の右側の列20の上方の行21から電気的に分離することにより、すなわち特に、それぞれ分離されたインバータ入力部に配属されることにより、下方の行21における影形成は、上方の行21によって発電される電力に影響を与えない。同様に、
図11において、右側の列20の上方のPVモジュール2の部分的影の作用は、本発明によれば、このPVモジュール2が、例えばPVモジュール2の内側で互いに電気的に分離された2つの作用面9によって形成される、水平に延在する、互いに上下に配置された2つの電線路を有することにより、最小にされる。
【0111】
図12および
図13には、それぞれ図面の上半部もしくは下半部に示されたPV装置1の上方および下方の作用面9の本発明による電気的な接続が示されている。
図12および
図13に示した作用面9,9’はこの場合、それぞれ別個のPVモジュール2に属している。しかしながら、以下で説明する作用面9,9’の接続は、電気的に互いに分離された複数の作用面9,9’を有するPVモジュール2にも、特にこれら作用面が互いに隣接しているのではなく、互いに上下に配置されてPV装置内に配置されているならば、PVモジュール2にも適用できる。
【0112】
図12に示された接続では、上方の作用面9はそのすぐ下に配置された下方の作用面9’に対して並列に接続されているので、例えば上方左側の作用面9を通る電流は、下方左側の作用面9’を通る電流とは異なっていてよい。これにより、その上に位置する上方の作用面9とは異なる高さに位置する下方の作用面9’は、上方の作用面9とは異なる電気的な動作点で作動することができる。
【0113】
このような並列接続に、右側の両作用面9,9’から成る別の同様の並列接続が、直列に接続されている。二重の並列接続に基づき、電流は、図示した作用面9,9’の個々において変化させることができる。
【0114】
図13に示した接続では、上方の両作用面9が互いに直列に接続されている。したがってこれら両作用面9は、本発明の意味での上方の電線路21を形成する。同様に、下方の両作用面9’が互いに直列に接続されて下方の電線路21を形成している。上方および下方の電線路21は、並列に接続されていて、したがって例えば1つの共通のインバータ入力部に供給され得る。
【0115】
選択的に、
図13の接続の両電線路21のそれぞれは、別個のインバータ入力部に配置されていてもよい。したがってこの場合、両電線路21は互いに電気的に分離されている。
【0116】
図13において、両上方の作用面9を通って直流が流れている間、上方の電線路21を通る電流と、下方の電線路21を流れる電流とは異なっていてよい。換言すると、下方の作用面9’は、
図12に示した接続でも同様であるように、上方の両作用面9が働く動作点とは異なる動作点で作動することができる。
【0117】
最後に、
図14および
図15にはそれぞれ、本発明による支持構造3のそれぞれ斜線で示された面によって示された上方および下方のビーム5のそれぞれの断面図が示されている。この場合、両面PVモジュール2は、著しい風力がPVモジュール2に加えられると、例えば二重矢印によって示されているように回転軸25を中心として旋回することができるように、支持構造3に懸吊されている。回転軸25はこの場合、好適にはビーム5に対してほぼ平行に延在している。この場合、本発明によれば、PVモジュール2の旋回運動は、付加的な装置によって減衰されると好適である。
【0118】
図14に示した実施例では、このために、上方の方形のビーム5の下方に、PVモジュール2を両側から把持する保持エレメント15が設けられていて、この保持エレメント自体は、回転軸25を中心として回転可能に上方のビーム5に取り付けられている。
【0119】
これに対して
図15に示した実施例では、ビーム5は円形の外側輪郭を有するように構成されているので、PVモジュール2を保持する保持エレメント15はビーム5をリング状に取り囲むことができ、したがってPVモジュール2と共に、上方のビーム5の中心軸線を通るように形成された回転軸25を中心として旋回することができる。
【0120】
要するに、直立の、特に両面PVモジュール2を有するPV装置1の経済的な、かつエネルギ効率の良い利用のために、かつ特にPVモジュール2が影になるのをほぼ回避するために、一方では、交点で互いに結合される鉛直の支柱4と水平に延在するビーム5とにより形成されていて、これにより個々のPVモジュール2のために方形の組付け領域6を提供することができる、極めて簡単に製造され、組み付けられる支持構造3が提案され、この場合、支柱4とビーム5とは好適にはそれぞれ材料節約的に、連続的な成形材12,22から形成することができ、この場合特に、互いに接続される2つの区分7,8への支柱4の分割が、組み付けを全体として実質的に容易にし、他方では本発明は、電気的な接続を提案し、これにより互いに上下に配置された作用面9,9’は様々な電気的動作点で作動することができ、これにより好適には互いに分離されて作動する、好適には水平に延在するように配置されている電線路21が形成される。これにより、PVモジュール2の影形成による、PV装置1のエネルギ変換効率への影響はさらに減じることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 太陽光発電装置
2 PVモジュール
3 支持構造
4 支柱
5 ビーム
6 組付け領域
7 取付け区分
8 保持区分
9 (上方の)作用面
9’ (下方の)作用面
10 支持面
11 フランジ
12 4の成形材
13 舌片
14 (5のための)4の開口、特に貫通差込開口
15 保持エレメント
16 溝区分
17 横断面減少部
18 当接面
19 耕作空間
20 列
21 電線路
22 5の成形材
23 (15のための)5の開口、特に貫通差込開口
24 傾斜面
25 回転軸
26 空間