(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】ウルトラキャパシタモジュールのための平衡回路
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20220713BHJP
【FI】
H02J7/02 H
(21)【出願番号】P 2019572416
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(86)【国際出願番号】 US2018038671
(87)【国際公開番号】W WO2019005568
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2020-02-27
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500047848
【氏名又は名称】キョーセラ・エイブイエックス・コンポーネンツ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】ホック,ジョセフ・エム
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-501594(JP,A)
【文献】特開2002-353786(JP,A)
【文献】特開2010-141956(JP,A)
【文献】米国特許第09525298(US,B1)
【文献】国際公開第2009/078136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G01R31/36-31/396
H03K5/00-5/02
H03K5/08-5/1254
H03K5/15-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルトラキャパシタのための平衡回路であって、
感知入力部を含むコンパレータであり、前記感知入力部で受け取った前記ウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、前記コンパレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成される、コンパレータと、
前記ウルトラキャパシタに結合されたスイッチング回路であり、前記コンパレータの前記出力に少なくとも部分的に基づいて前記ウルトラキャパシタを放電させるように構成される、スイッチング回路と、
前記スイッチング回路と、前記コンパレータの前記感知入力部との間に結合されたフィードバック要素であって、前記フィードバック要素は、前記コンパレータにフィードバック信号を供給するように構成された、フィードバック要素と、を含み、
前記フィードバック信号は、前記スイッチング回路の状態と関連し、前記フィードバック信号は、前記コンパレータの応答時間を
緩和し、
前記スイッチング回路が、前記ウルトラキャパシタに結合された1つまたは複数の散逸要素と、前記1つまたは複数の散逸要素に結合された第1のスイッチング要素と、前記第1のスイッチング要素に結合された第2のスイッチング要素とを含み、前記コンパレータの前記出力ノードが、前記第1のスイッチング要素に結合され、
前記第1のスイッチング要素が、ベース、コレクタ、およびエミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタを含み、前記第2のスイッチング要素が、ベース、コレクタ、およびエミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタを含み、前記コンパレータの前記出力ノードが、前記第1のバイポーラ接合トランジスタの前記ベースに結合され、前記第1のバイポーラ接合トランジスタの前記コレクタが、前記第2のバイポーラ接合トランジスタの前記ベースに結合さ
れ、
前記第1のバイポーラ接合トランジスタの前記コレクタと前記第2のバイポーラ接合トランジスタの前記ベースとの間のノードと、前記コンパレータの前記感知入力部とに、前記フィードバック要素がそれぞれ結合されており、前記フィードバック要素が、前記ノードから前記コンパレータに前記フィードバック信号を供給するように構成されている、
平衡回路。
【請求項2】
前記コンパレータは、前記ウルトラキャパシタに関連する前記入力電圧が前記基準電圧よりも大きいときに第1の出力を供給し、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧が前記基準電圧以下であるときに第2の出力を供給するように構成される、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項3】
前記スイッチング回路が1つまたは複数のスイッチング要素を含み、前記1つまたは複数のスイッチング要素は、前記コンパレータが前記第1の出力を供給するときに導電状態になるように構成され、前記1つまたは複数のスイッチング要素は、前記コンパレータが前記第2の出力を供給するときに非導電状態になるように構成され、前記ウルトラキャパシタは、前記1つまたは複数のスイッチング要素が導電状態にあるときに放電するように構成される、請求項2に記載の平衡回路。
【請求項4】
前記フィードバック要素が少なくとも1つの抵抗器を含む、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項5】
前記フィードバック要素が、前記コンパレータにヒステリシスを与えるように構成される、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項6】
前記ヒステリシスが、前記コンパレータの第1の出力と第2の出力との間の切替えの際の前記コンパレータの前記応答時間を緩和するように動作可能である、請求項5に記載の平衡回路。
【請求項7】
前記フィードバック要素が、前記第1のスイッチング要素と前記第2のスイッチング要素との間のノードに結合される、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項8】
前記第1のバイポーラ接合トランジスタがpnpトランジスタであり、前記第2のバイポーラ接合トランジスタがnpnトランジスタである、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項9】
前記コンパレータの前記感知入力部が、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧を分圧器回路を介して受け取るように構成される、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項10】
前記感知入力部が、前記コンパレータの負入力部に関連し、前記基準電圧が、前記コンパレータの正入力部に関連する、請求項1に記載の平衡回路。
【請求項11】
ウルトラキャパシタの電圧を制御する方法であって、前記方法が、
コンパレータの第1の入力部において、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号を受け取るステップと、
前記コンパレータの第2の入力部において、基準電圧を示す信号を受け取るステップと、
前記コンパレータの前記第1の入力部において、前記ウルトラキャパシタを放電させるために使用されるスイッチング回路と、前記コンパレータとの間に結合されたフィードバック要素を介してフィードバック信号を受け取るステップであって、前記フィードバック信号は、前記スイッチング回路の状態と関連する、受け取るステップと、
前記フィードバック信号、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧、および前記基準電圧に少なくとも部分的に基づいて前記ウルトラキャパシタを放電させるように前記スイッチング回路を制御するステップであって、前記フィードバック信号は、前記コンパレータの応答時間を
緩和する、制御するステップと、を含み、
前記スイッチング回路が、前記ウルトラキャパシタに結合された1つまたは複数の散逸要素と、前記1つまたは複数の散逸要素に結合された第1のスイッチング要素と、前記第1のスイッチング要素に結合された第2のスイッチング要素とを含み、前記コンパレータ
の出力ノードが、前記第1のスイッチング要素に結合され、
前記第1のスイッチング要素が、ベース、コレクタ、およびエミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタを含み、前記第2のスイッチング要素が、ベース、コレクタ、およびエミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタを含み、前記コンパレータの前記出力ノードが、前記第1のバイポーラ接合トランジスタの前記ベースに結合され、前記第1のバイポーラ接合トランジスタの前記コレクタが、前記第2のバイポーラ接合トランジスタの前記ベースに結合さ
れ、
前記第1のバイポーラ接合トランジスタの前記コレクタと前記第2のバイポーラ接合トランジスタの前記ベースとの間のノードと、前記コンパレータの感知入力部とに、前記フィードバック要素がそれぞれ結合されており、前記フィードバック要素が、前記ノードから前記コンパレータに前記フィードバック信号を供給するように構成されている、
方法。
【請求項12】
前記フィードバック信号、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧、および前記基準電圧に少なくとも部分的に基づいて前記ウルトラキャパシタを放電させるように前記スイッチング回路を制御するステップが、
前記コンパレータによって、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧が前記基準電圧よりも大きいときに第1の出力を供給するステップと、
前記コンパレータによって、前記ウルトラキャパシタに関連する前記電圧が前記基準電圧以下であるときに第2の出力を供給するステップと
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィードバック信号が、前記コンパレータにヒステリシスを与えるように構成される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒステリシスが、前記コンパレータの前記第1の出力と前記第2の出力との間の切替えの際の前記コンパレータの前記応答時間を緩和するように動作可能である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ウルトラキャパシタを放電させるように前記スイッチング回路を制御するステップは、
前記コンパレータが前記第1の出力を供給するときに1つまたは複数のスイッチング要素を導電状態にするように制御するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
ウルトラキャパシタのための平衡回路であって、前記平衡回路が、
感知入力部を有するコンパレータであり、前記感知入力部で受け取った前記ウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、前記コンパレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成される、コンパレータと、
スイッチング回路であり、前記スイッチング回路が、
1つまたは複数の散逸要素、
ベース、コレクタ、およびエミッタを有するpnpトランジスタであって、前記コンパレータの出力ノードが前記pnpトランジスタに結合された、pnpトランジスタ、
ベース、コレクタ、およびエミッタを有するnpnトランジスタ
を含む、スイッチング回路と
を含み、
前記1つまたは複数の散逸要素が、前記ウルトラキャパシタと前記pnpトランジスタの前記エミッタとに結合され、前記pnpトランジスタの前記コレクタが、前記npnトランジスタの前記ベースに結合され、前記コンパレータの前記出力ノードが、前記pnpトランジスタの前記ベースに結合され、
前記平衡回路が、前記pnpトランジスタの前記コレクタと前記npnトランジスタの前記ベースとの間のノードに結合されたフィードバック要素をさらに含み、前記フィードバック要素が、前記コンパレータの前記感知入力部に結合され、前記フィードバック要素は、前記ノードから前記コンパレータにフィードバック信号を供給するように構成され、
前記フィードバック信号は、前記スイッチング回路の状態と関連し、前記フィードバック信号は、前記コンパレータの応答時間を
緩和する、
平衡回路。
【請求項17】
前記フィードバック要素が、前記コンパレー
タにヒステリシスを与えるように構成され、前記ヒステリシスが、第1の出力と第2の出力との間の切替えの際の前記コンパレータの前記応答時間を緩和するように動作可能である、請求項16に記載の平衡回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる「Balancing Circuit for an Ultracapacitor Module」と題する2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,139号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵セルは、電子、電気機械、電気化学、および他の有用なデバイスに電力を供給するために広く使用される。例えば、二重層ウルトラキャパシタは、液体電解質を含浸させた炭素粒子(例えば、活性炭)を含む1対の分極性電極を用いることができる。粒子の有効表面積と、電極間の小さい間隔とに起因して、大きいキャパシタンス値が達成され得る。個々の二重層コンデンサを一緒に組み合わせて、出力電圧を高めたまたはエネルギー容量を増加させたモジュールを形成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの例示の態様は、二重層ウルトラキャパシタなどのコンデンサのための平衡回路に関する。平衡回路は、コンパレータを含むことができる。コンパレータは感知入力部を有することができる。コンパレータは、感知入力部で受け取ったウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、コンパレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。平衡回路は、ウルトラキャパシタに結合されたスイッチング回路を含むことができる。スイッチング回路は、コンパレータ回路の出力に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを放電させるように制御され得る。平衡回路は、スイッチング回路とコンパレータの感知入力部との間に結合されたフィードバック要素をさらに含むことができる。
【0004】
本開示の他の特徴および態様が、以下でさらに詳細に説明される。
当業者を対象にした本開示の完全かつ可能な開示が、その最良の態様を含めて、添付の図を参照して本明細書の残りの部分でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の例示の実施形態によるウルトラキャパシタのための例示の平衡回路のブロック図である。
【
図2】本開示の例示の実施形態によるウルトラキャパシタのための例示の平衡回路の回路図である。
【
図3】本開示の例示の実施形態による例示のウルトラキャパシタシステムの回路図である。
【
図4】本開示の例示の実施形態による例示の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書および図面における参照符号の反復使用は、本開示の同じまたは類似の形体または要素を表すように意図される。
当業者なら、本考察が単に例示的な実施形態の説明であり、本開示のより広い態様を限定するように意図されておらず、より広い態様が例示的な構成で具現されることを理解されたい。
【0007】
本開示の例示の態様は、ウルトラキャパシタなどの電気エネルギー貯蔵セルとともに使用するための平衡回路に関する。平衡回路は、例えば、過電圧状態がウルトラキャパシタに損傷を引き起こさないようにするために使用され得る。いくつかの実施態様では、平衡回路は、各ウルトラキャパシタの両端の電圧が実質的に同じ電圧に調整されるように、複数のウルトラキャパシタを含むウルトラキャパシタモジュールの各ウルトラキャパシタの両端の電圧を調整するのに役立つことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタのための平衡回路は、コンパレータを含むことができる。コンパレータは、ウルトラキャパシタの両端の電圧に関連する入力電圧を基準電圧(例えば、ウルトラキャパシタの平衡電圧)と比較するように構成され得る。入力電圧は、ウルトラキャパシタの両端の電圧を示す信号または電圧とすることができる。いくつかの実施形態では、入力電圧は、分圧器回路を使用して供給されてもよい。入力電圧は、コンパレータの感知入力部で(例えば、分圧器回路を介して)受け取られ得る。コンパレータは、基準電圧を基準とした入力電圧に少なくとも部分的に基づいてコンパレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。例えば、コンパレータは、入力電圧が基準電圧よりも大きいときに出力ノードを介して第1の出力(例えば、第1の論理出力)を供給するように構成され得る。コンパレータは、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧以下であるとき出力ノードを介して第2の出力(例えば、第2の論理出力)を供給するように構成され得る。
【0009】
平衡回路は、スイッチング回路をさらに含むことができる。スイッチング回路は、コンパレータからの出力に基づいてウルトラキャパシタを放電させるように構成され得る。スイッチング回路は、1つまたは複数のスイッチング要素と少なくとも1つの散逸要素(dissipative element)とを含むことができる。少なくとも1つの散逸要素はウルトラキャパシタに結合され得る。ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧を超えたとき、コンパレータの出力を使用して、1つまたは複数のスイッチング要素が導電状態になるように制御することができる。1つまたは複数のスイッチング要素が導電状態にあるとき、コンデンサからの放電電流は少なくとも1つの散逸要素を通って流れることができ、それは、ウルトラキャパシタの電圧を低下させる。このようにして、平衡回路は、ウルトラキャパシタの過電圧状態を減らすことができる。
【0010】
本開示の例示の態様によれば、平衡回路は、スイッチング回路とコンパレータの感知入力部との間に結合されたフィードバック要素を含むことができる。フィードバック要素を使用して、コンパレータ回路にヒステリシスを与えることができる。ヒステリシスは、平衡回路の動作中のコンパレータの第1の出力と第2の出力との間の急速な切替えを防止または緩和(reduce)する(例えば、切替えの応答時間を緩和する)ことができる。その結果、平衡回路は、過電圧状態からウルトラキャパシタを保護することができ、安定性を向上させ、ウルトラキャパシタの放電と非放電との間を行ったり来たりする急速な繰り返しを行わせない。これは、場合によっては、ウルトラキャパシタのノイズを減らすことができる。
【0011】
本開示の例示の態様が、ウルトラキャパシタを参照して論じられる。例示のウルトラキャパシタに関する詳細が本明細書で提供される。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本開示の例示の態様による平衡回路が、本開示の範囲から逸脱することなく、他のエネルギー貯蔵デバイスとともに使用され得ることを理解するであろう。数値に関連する「約」という用語の使用は、明示された量の20%内を指すように意図される。
【0012】
本開示の1つの例示の態様は、ウルトラキャパシタのための平衡回路に関する。平衡回路は、感知入力部を有するコンパレータを含むことができる。コンパレータは、感知入力部で受け取ったウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、コンパレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。平衡回路は、ウルトラキャパシタに結合されたスイッチング回路をさらに含む。スイッチング回路は、コンパレータの出力に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを放電させるように構成される。平衡回路は、スイッチング回路とコンパレータの感知入力部との間に結合されたフィードバック要素を含むことができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、コンパレータは、ウルトラキャパシタに関連する入力電圧が基準電圧よりも大きいときに第1の出力を供給し、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧以下であるときに第2の出力を供給するように構成され得る。スイッチング回路は、1つまたは複数のスイッチング要素を含むことができる。1つまたは複数のスイッチング要素は、コンパレータが第1の出力を供給するときに導電状態に設定され得る。1つまたは複数のスイッチング要素は、コンパレータが第2の出力を供給するときに非導電状態に設定され得る。ウルトラキャパシタは、1つまたは複数のスイッチング要素が導電状態にあるときに放電するように構成され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、フィードバック要素は、少なくとも1つの抵抗器を含むことができる。フィードバック要素は、コンパレータ回路にヒステリシスを与えるように構成され得る。ヒステリシスは、コンパレータの第1の出力と第2の出力との間の切替えの際のコンパレータの応答時間を緩和するように動作可能であり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、スイッチング回路は、ウルトラキャパシタに結合される1つまたは複数の散逸要素を含むことができる。スイッチング回路は、1つまたは複数の散逸要素に結合された第1のスイッチング要素を含むことができる。スイッチング回路は、第1のスイッチング要素に結合された第2のスイッチング要素を含むことができる。コンパレータの出力ノードは、第1のスイッチング要素に結合され得る。フィードバック要素は、第1のスイッチング要素と第2のスイッチング要素との間のノードに結合され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1のスイッチング要素は、ベース、コレクタ、およびエミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタを含むことができる。第2のスイッチング要素は、ベース、コレクタ、およびエミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタを含むことができる。コンパレータの出力ノードは、第1のバイポーラ接合トランジスタのベースに結合され得る。第1のバイポーラ接合トランジスタのコレクタは、第2のバイポーラ接合トランジスタのベースに結合され得る。いくつかの実施形態では、第1のバイポーラ接合トランジスタはpnpトランジスタとすることができる。第2のバイポーラ接合トランジスタはnpnトランジスタとすることができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、コンパレータの感知入力部は、ウルトラキャパシタに関連する電圧を分圧器回路を介して受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、感知入力部は、コンパレータの負入力部に関連する。基準電圧は、コンパレータの正入力部に関連する。
【0018】
本開示の別の例示の実施形態は、ウルトラキャパシタの電圧を制御する方法に関する。この方法は、コンパレータの第1の入力部において、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す第1の信号を受け取るステップを含む。この方法は、コンパレータの第2の入力部において、基準電圧を示す信号を受け取るステップを含む。この方法は、コンパレータの第1の入力部において、ウルトラキャパシタを放電させるために使用されるスイッチング回路と、コンパレータとの間に結合されたフィードバック要素を介してフィードバック信号を受け取るステップを含む。この方法は、フィードバック信号、ウルトラキャパシタに関連する電圧、および基準電圧に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを放電させるようにスイッチング回路を制御するステップを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、フィードバック信号、ウルトラキャパシタに関連する電圧、および基準電圧に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを放電させるようにスイッチング回路を制御するステップは、コンパレータによって、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧よりも大きいときに第1の出力を供給するステップとコンパレータによって、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧以下であるときに第2の出力を供給するステップとを含む。ウルトラキャパシタを放電させるようにスイッチングを制御するステップは、コンパレータが第1の出力を供給するときに1つまたは複数のスイッチング要素を導電状態にするように制御するステップを含むことができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、フィードバック信号は、コンパレータにヒステリシスを与えるように構成され得る。ヒステリシスは、コンパレータの第1の出力と第2の出力との間の切替えの際のコンパレータの応答時間を緩和するように動作可能であり得る。
【0021】
本開示の別の例示の態様は、ウルトラキャパシタのための平衡回路に関する。平衡回路は、感知入力部を有するコンパレータを含むことができる。コンパレータは、感知入力部で受け取ったウルトラキャパシタに関連する入力電圧を基準電圧と比較し、コンパレータの出力ノードを介して出力を供給するように構成され得る。平衡回路は、スイッチング回路を含むことができる。スイッチング回路は、1つまたは複数の散逸要素を含むことができる。スイッチング回路は、ベース、コレクタ、およびエミッタを有するpnpトランジスタと、ベース、コレクタ、およびエミッタを有するnpnトランジスタとを含むことができる。1つまたは複数の散逸要素は、ウルトラキャパシタとpnpトランジスタのエミッタとに結合され得る。pnpトランジスタのコレクタは、npnトランジスタのベースに結合され得る。コンパレータの出力ノードは、pnpトランジスタのベースに結合され得る。フィードバック要素は、pnpトランジスタのコレクタとnpnトランジスタのベースとの間のノードに結合され得る。フィードバック要素は、コンパレータの感知入力部に結合され得る。いくつかの実施形態では、フィードバック要素は、コンパレータにヒステリシスを与えるように構成され得る。ヒステリシスは、コンパレータの第1の出力と第2の出力との間の切替えの際のコンパレータの応答時間を緩和するように動作可能であり得る。
【0022】
本開示の別の例示の実施形態は、直列または並列に結合された複数のウルトラキャパシタを含むウルトラキャパシタモジュールに関する。ウルトラキャパシタモジュールの各ウルトラキャパシタは、平衡回路に結合され得る。平衡回路は、本明細書で説明される例示の平衡回路のうちのいずれかまたはその変形の1つまたは複数の態様を含むことができる。
【0023】
図は、本開示の例示の実施形態の図示および議論のために提供される。
図1は、本開示の例示の実施形態によるウルトラキャパシタ110とともに使用するための例示の平衡回路100のブロック図を示す。平衡回路100はコンパレータ回路120を含む。コンパレータ回路120は、コンデンサの両端の電圧Vcを示す信号112(例えば、入力電圧)を分圧器115などの入力回路を介して受け取ることができる。コンパレータ回路120はまた、基準電圧を示す信号114を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、基準電圧は、ウルトラキャパシタが維持されるべき所望の電圧に基づいて決定され得る。
【0024】
コンパレータ回路120は、電圧Vcを示す信号112と基準電圧を示す信号114とに基づいて出力116を供給することができる。例えば、コンパレータ回路120は、ウルトラキャパシタの両端の電圧Vcを示す信号112が基準電圧を示す信号114よりも大きいときに第1の論理出力(例えば、論理ハイ)を供給することができる。コンパレータ回路120は、ウルトラキャパシタの両端の電圧Vcを示す信号112が基準電圧を示す信号114以下であるときに第2の論理出力(例えば、論理ロー)を供給することができる。
【0025】
出力116はスイッチング回路130に供給され得る。スイッチング回路130は、1つまたは複数のスイッチング要素を含むことができる。1つまたは複数のスイッチング要素が導電状態にあるとき、ウルトラキャパシタは、1つまたは複数の散逸要素を通して放電する(例えば、放電電流Icを供給する)ことができ、それは、ウルトラキャパシタの両端の電圧を低下させる。ウルトラキャパシタは、ウルトラキャパシタの両端の電圧Vcを示す信号112が十分に低く低下し、その結果、信号112がもはや基準電圧を示す信号114よりも大きくなくなるまで、放電することができる。この時点で、スイッチング要素は、非導電状態になるように制御され得、ウルトラキャパシタは放電を停止することができる。このようにして、平衡回路100を使用して、ウルトラキャパシタの電圧を調整し、過電圧状態を減少させることができる。
【0026】
平衡回路100は、スイッチング回路130とコンパレータ回路120との間に結合されたフィードバック要素140をさらに含むことができる。スイッチング回路130の状態に関連するフィードバック信号142は、フィードバック要素140を介してコンパレータ回路120に供給され得る。フィードバック要素140を通して供給されるフィードバック信号142は、コンパレータ回路120にヒステリシスを与えることができる。ヒステリシスは、第1の出力(例えば、論理ハイ)と(例えば、論理ロー)との間の切替えの際のコンパレータの応答時間が緩和され、平衡回路があまりにも速く繰り返さないように、信号112の変化に対するコンパレータ回路120の応答時間を緩和することができる。
【0027】
図2は、本開示の例示の実施形態による平衡回路100の例示の実施態様の回路図を示す。図示のように、平衡回路100は、分圧器回路115、コンパレータ回路120、スイッチング回路120、およびフィードバック要素140を含む。平衡回路100は、当技術分野で一般に知られている任意の方法を使用して設けられ構成されてもよい。いくつかの実施形態では、平衡回路100は、プリント回路基板などの回路基板(図示せず)に設けられる。
【0028】
分圧器回路115は、直列に結合された1対の抵抗器R1およびR2を含むことができる。抵抗器R1と抵抗器R2との間に配置されたノード215は、コンパレータ220の感知入力部212に結合され得る。ノード215の電圧は、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧に関連し、ウルトラキャパシタ110の両端の電圧を示す入力電圧であり得る。ノード215の電圧は、抵抗器R1およびR2の抵抗値に基づいてウルトラキャパシタ110の両端の電圧に関連づけられ得る。
【0029】
図示のように、コンパレータ回路120は、ウルトラキャパシタ110からのVsを少なくとも部分的に使用して電力供給されるコンパレータ220を含む。コンパレータ220は、感知入力部212および基準入力部214を含む。入力電圧(例えば、ノード215の電圧)は感知入力部212に供給され得る。基準電圧224を表す信号は基準入力部214に供給され得る。感知入力部212は、コンパレータ220の負入力部とすることができる。基準入力部214は、コンパレータ220の正入力部とすることができる。コンパレータ220は、出力ノード216を介して出力を供給する。出力ノード216は、ウルトラキャパシタ110の放電を制御するためにスイッチング回路130に結合され得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、コンパレータ回路120(コンパレータ220および基準を含む)は3端子デバイスとすることができる。端子は、入力端子、出力端子、および接地端子を含むことができる。
【0031】
スイッチング回路130は、散逸要素(例えば、抵抗器RD)、第1のスイッチング要素230、および第2のスイッチング要素240を含む。第1のスイッチング要素230は、ベース、コレクタ、およびエミッタを有するpnpバイポーラ接合トランジスタである。第2のスイッチング要素240は、ベース、コレクタ、およびエミッタを有するnpnバイポーラ接合トランジスタである。他のスイッチング要素(例えば、トランジスタ、リレーなど)が、本開示の範囲から逸脱することなく使用され得る。
【0032】
散逸要素RDは、第1のスイッチング要素230のベースに結合される。第1のスイッチング要素230のコレクタは、第2のスイッチング要素240のベースに結合される。コンパレータ220の出力ノード216は、第1のスイッチング要素230のベースに結合される。
【0033】
コンパレータ220が第1の出力(例えば、論理ハイ)を供給するとき、第1のスイッチング要素230および第2のスイッチング要素240は、導電状態に置かれ、それにより、放電電流Icがウルトラキャパシタ110から散逸要素RDを通って流れることができる。コンパレータ220が第2の出力(例えば、論理ロー)を供給するとき、第1のスイッチング要素230および第2のスイッチング要素240は、非導電状態に維持される。
【0034】
平衡回路100は、フィードバック抵抗器RFをもつフィードバック要素140を含む。フィードバック要素140の第1の端部は、第1のスイッチング要素230のコレクタと第2のスイッチング要素240のベースとの間に配置されたノード235に結合される。フィードバック要素140の第2の端部は、コンパレータ220の感知入力部212に結合される。このようにして、フィードバック要素140は、上述でより詳細に論じられたように、コンパレータ220にヒステリシスを与えることができる。
【0035】
本開示の例示の実施形態による平衡回路は、直列または並列に結合された複数のウルトラキャパシタを含むウルトラキャパシタモジュールに関連して使用され得る。任意の数の平衡回路が本開示に従って用いられ得る。例えば、モジュールは、少なくとも1つの平衡回路を含み、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの平衡回路を含む。しかしながら、モジュールはより多くの平衡回路を含むことができることが理解されるべきである。例えば、モジュールは、4つ以上、例えば6つ以上など、例えば8つ以上など、およびいくつかの実施形態では8つから30個の個々の平衡回路を含むことができる。いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタ当たり少なくとも1つの平衡回路がある。
【0036】
図3は、別のものと直列に結合された複数のウルトラキャパシタを有するウルトラキャパシタモジュール300の例示の回路図の一部分を示す。
図3では、2つのウルトラキャパシタ、すなわち、ウルトラキャパシタ310およびウルトラキャパシタ320が示されている。ウルトラキャパシタ310は平衡回路315に並列に結合される。ウルトラキャパシタ320は平衡回路325に並列に結合される。各平衡回路315および325は、
図2に示された平衡回路100と同じ構成を有することができる。この配置は、ウルトラキャパシタ310および320に直列に結合される追加のウルトラキャパシタに対して継続され得る。任意の数のウルトラキャパシタ、例えば、2つ以上のウルトラキャパシタ、4つ以上のウルトラキャパシタ、6つ以上のウルトラキャパシタ、8つ以上のウルトラキャパシタ、10個以上のウルトラキャパシタなどが、モジュール300に含まれ得る。
【0037】
図4は、本開示の例示の実施形態による例示の方法(400)の流れ図である。方法(400)は、例えば
図1および
図2に示された平衡回路を使用して実施され得る。
図4は、図示および議論のために特定の順序で実行されるステップを示す。当業者は、本明細書で提供される開示を使用して、本明細書で開示される方法のうちのいずれかの様々なステップが、本開示の範囲から逸脱することなく様々な方法で省略され、再配置され、同時に実行され、拡張され、修正され、および/または適応され得ることを理解されよう。
【0038】
(402)において、この方法は、コンパレータの第1の入力部において、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号を受け取るステップを含む。例えば、
図2のコンパレータ220は、感知入力部212において入力電圧を受け取ることができる。いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタに関連する電圧を示す信号は、分圧器を介して供給される入力電圧である。
【0039】
図4の(404)において、この方法は、コンパレータの第2の入力部において、基準電圧を表す信号を受け取るステップを含む。例えば、
図4のコンパレータ220は、入力部214において基準電圧に関連する入力信号を受け取ることができる。基準電圧は、ウルトラキャパシタの所望の電圧に基づいて選択され得る。
【0040】
図4の(406)において、この方法は、コンパレータの第1の入力部において、フィードバック要素を介してフィードバック信号を受け取るステップを含む。例えば、
図2のコンパレータ220は、フィードバック要素140を介して感知入力部212においてフィードバック信号を受け取ることができる。フィードバック要素140は、キャパシタを放電させるために使用されるスイッチング回路130と、コンパレータ220との間に結合され得る。
【0041】
図4の(408)において、この方法は、フィードバック信号、ウルトラキャパシタに関連する電圧、および基準電圧に少なくとも部分的に基づいてウルトラキャパシタを放電させるようにスイッチング回路を制御するステップを含むことができる。例えば、
図2のコンパレータ220は、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧よりも大きいときに第1の出力(例えば、第1の論理出力)を供給することができる。コンパレータは、ウルトラキャパシタに関連する電圧が基準電圧以下であるときに第2の出力(例えば、第2の論理出力)を供給することができる。スイッチング回路130のスイッチング要素230および240は、コンパレータが第1の出力を供給するときにウルトラキャパシタを放電させるために導電状態になるように制御され得る。上述で論じたように、フィードバック信号はコンパレータにヒステリシスを与えることができる。ヒステリシスは、第1の出力と第2の出力との間の切替えの際のコンパレータ220の応答時間を緩和することができる。
【0042】
様々な異なる個々のウルトラキャパシタのいずれも、通常、本開示の例示の態様によるモジュールで用いられ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、ウルトラキャパシタは、電極アセンブリと、ハウジング内に含まれ任意選択で気密封止された電解質とを含む。電極アセンブリは、例えば、第1の集電子に電気的に結合された第1の炭素質コーティング(例えば、活性炭粒子)を含む第1の電極と、第2の集電子に電気的に結合された第2の炭素質コーティング(例えば、活性炭粒子)を含む第2の電極とを含むことができる。所望の場合には、特にウルトラキャパシタが多数のエネルギー貯蔵セルを含む場合には、追加の集電子がさらに用いられてもよいことが理解されるべきである。集電子は、同じまたは異なる材料から形成されてもよい。それにも関わらず、各集電子は、典型的には、導電性金属、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銀、パラジウムなど、ならびにこれらの合金などを含む基材から形成される。アルミニウムおよびアルミニウム合金は、本開示で使用するのに特に好適である。基材は、箔、シート、プレート、メッシュなどの形態であってもよい。基材は、さらに、比較的小さい厚さ、例えば約200マイクロメートル以下、いくつかの実施形態では約1から約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5から約80マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10から約50マイクロメートルを有することができる。決して必要というわけではないが、基材の表面は、洗浄、エッチング、ブラスト処理などによって任意選択で粗化されてもよい。
【0043】
第1および第2の炭素質コーティングは、さらに、第1および第2の集電子にそれぞれ電気的に結合される。それらは同じまたは異なるタイプの材料から形成されてもよく、そして1つまたは多数の層を含んでもよいが、炭素質コーティングの各々は、通常、活性化粒子を含む少なくとも1つの層を含む。ある実施形態では、例えば、活性炭層は、集電子上に直接位置決めされてもよく、任意選択で、炭素質コーティングのただ1つの層であってもよい。好適な活性炭粒子の例は、例えば、ヤシ殻ベースの活性炭、石油コークスベースの活性炭、ピッチベースの活性炭、ポリ塩化ビニリデンベースの活性炭、フェノール樹脂ベースの活性炭、ポリアクリロニトリルベースの活性炭、および石炭、木炭、または他の天然有機源などの天然源からの活性炭を含むことができる。
【0044】
ある実施形態では、活性炭粒子のある態様、例えば、粒度分布、表面積、および細孔サイズ分布を選択的に制御して、1回または複数回の充放電サイクルに供された後、あるタイプの電解質のイオン移動度を改善するのを助けることが望ましいことがある。例えば、粒子の少なくとも50体積%(D50サイズ)は、約0.01から約30マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.1から約20マイクロメートル、いくつかの実施形態では約0.5から約10マイクロメートルの範囲のサイズを有することができる。粒子の少なくとも90体積%(D90サイズ)は同様に、約2から約40マイクロメートル、いくつかの実施形態では約5から約30マイクロメートル、いくつかの実施形態では約6から約15マイクロメートルの範囲のサイズを有することができる。BET表面は、約900m2/gから約3000m2/g、いくつかの実施形態では約1000m2/gから約2500m2/g、いくつかの実施形態では約1100m2/gから約1800m2/gにわたることもできる。
【0045】
特定のサイズおよび表面積を有することに加え、活性炭粒子は、特定のサイズ分布を有する細孔をさらに含むことができる。例えば、サイズが約2ナノメートル未満の細孔(すなわち、「ミクロ細孔」)の量は、全細孔体積の約50体積%以下、いくつかの実施形態では約30体積%以下、いくつかの実施形態では0.1体積%から15体積%の細孔体積と規定することができる。サイズが約2ナノメートルと約50ナノメートルとの間の細孔(すなわち、「メソ細孔」)の量は同様に、約20体積%から約80体積%、いくつかの実施形態では約25体積%から約75体積%、いくつかの実施形態では、約35体積%から約65体積%とすることができる。最後に、サイズが約50ナノメートルよりも大きい細孔(すなわち、「マクロ細孔」)の量は、約1体積%から約50体積%、いくつかの実施形態では約5体積%から約40体積%、いくつかの実施形態では約10体積%から約35体積%とすることができる。炭素粒子の全細孔体積は、約0.2cm3/gから約1.5cm3/g、いくつかの実施形態では約0.4cm3/gから約1.0cm3/gの範囲とすることができ、メジアン細孔幅は、約8ナノメートル以下、いくつかの実施形態では約1から約5ナノメートル、いくつかの実施形態では約2から約4ナノメートルとすることができる。細孔サイズおよび全細孔体積は、窒素吸着を使用して測定され、Barrett-Joyner-Halenda(「BJH」)技法によって分析されてもよい。
【0046】
所望の場合には、結合剤は、第1および/または第2の炭素質コーティング中に、炭素100部当たり約60部以下、いくつかの実施形態では40部以下、いくつかの実施形態では約1から約25部の量で存在することができる。結合剤は、例えば、炭素質コーティングの全重量の約15重量%以下、いくつかの実施形態では約10重量%以下、いくつかの実施形態では約0.5重量%から約5重量%を構成することができる。様々な好適な結合剤のいずれかが、電極に使用され得る。例えば、水不溶性有機結合剤、例えば、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニルホモポリマー、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、エチレン-塩化ビニルコポリマー、エチレン-塩化ビニル-酢酸ビニルターポリマー、アクリルポリ塩化ビニルポリマー、アクリルポリマー、ニトリルポリマー、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリフッ化ビニリデンなどのフルオロポリマー、ポリオレフィンなど、ならびにこれらの混合物などが、ある実施形態で用いられ得る。水溶性有機結合剤、例えば多糖およびその誘導体なども用いられ得る。1つの特定の実施形態では、多糖は、非イオン性セルロースエーテル、例えば、アルキルセルロースエーテル(例えば、メチルセルロースおよびエチルセルロース);ヒドロキシアルキルセルロースエーテル(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルヒドロキシブチルセルロースなど);アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテル(例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、およびメチルエチルヒドロキシプロピルセルロース);カルボキシアルキルセルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース);および同様のもの、ならびにナトリウムカルボキシメチルセルロースなどの前述のいずれかのプロトン化塩などとすることができる。
【0047】
他の材料が、さらに、第1および/または第2の炭素質コーティングの活性炭層内で、および/または第1および/または第2の炭素質コーティングの他の層内で用いられ得る。例えば、ある実施形態では、導電性促進剤を用いて、導電率をさらに増加させることができる。例示的な導電性促進剤は、例えば、カーボンブラック、黒鉛(天然または人工)、黒鉛、カーボンナノチューブ、ナノワイヤまたはナノチューブ、金属ファイバ、グラフェンなど、ならびにこれらの混合物を含むことができる。カーボンブラックが特に好適である。導電性促進剤は、用いられる場合、典型的には、炭素質コーティング中の活性炭粒子100部当たり約60部以下、いくつかの実施形態では40部以下、いくつかの実施形態では約1から約25部を構成する。導電性促進剤は、例えば、炭素質コーティングの全重量の約15重量%以下、いくつかの実施形態では約10重量%以下、いくつかの実施形態では約0.5重量%から約5重量%を構成することができる。活性炭粒子は同様に、典型的には、炭素質コーティングの85重量%以上、いくつかの実施形態では約90重量%以上、いくつかの実施形態では約95重量%から約99.5重量%を構成する。
【0048】
炭素質コーティングを集電子に塗布する特定の手法は、印刷(例えば、輪転グラビア)、噴霧、スロット-ダイコーティング、ドロップコーティング、浸漬コーティングなど、様々であってもよい。塗布する手法とは無関係に、得られる電極は、典型的には、コーティングから水分を除去するために、約100℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約300℃から約500℃の温度などで乾燥される。電極はまた、ウルトラキャパシタの体積効率を最適化するために、圧縮(例えば、カレンダ仕上げ)されてもよい。いずれかの任意選択の圧縮の後、各炭素質コーティングの厚さは、通常、ウルトラキャパシタの所望の電気性能および動作範囲に基づいて変化してもよい。しかしながら、典型的には、コーティングの厚さは、約20から約200マイクロメートル、30から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約40から約100マイクロメートルである。コーティングは、集電子の片面または両面に存在してもよい。それにも関わらず、電極全体(任意選択の圧縮の後の集電子および炭素質コーティングを含む)の厚さは、典型的には、約20から約350マイクロメートル、いくつかの実施形態では約30から約300マイクロメートル、いくつかの実施形態では約50から約250マイクロメートルの範囲内にある。
【0049】
電極アセンブリは、さらに、典型的には、第1の電極と第2の電極との間に位置決めされたセパレータを含む。所望の場合には、他のセパレータが、さらに、電極アセンブリで用いられてもよい。例えば、1つまたは複数のセパレータが、第1の電極、第2の電極、または両方の上に位置決めされてもよい。セパレータは、1つの電極を別の電極から電気的に絶縁して、電気的短絡を防止するのを助けることが可能であるが、依然として2つの電極間のイオン輸送がなされる。ある実施形態では、例えば、セパレータは、セルロース繊維材料(例えば、エアレイドペーパーウェブ、湿式ペーパーウェブなど)、不織繊維材料(例えば、ポリオレフィン不織ウェブ)、織布、フィルム(例えば、ポリオレフィンフィルム)などを含むものが用いられてもよい。セルロース繊維材料は、天然繊維、合成繊維などを含むものなどが、ウルトラキャパシタで使用するのに特に好適である。セパレータで使用するのに好適なセルロース繊維の特定の例は、例えば、広葉樹パルプ繊維、針葉樹パルプ繊維、レーヨン繊維、再生セルロース繊維などを含むことができる。用いられる特定の材料とは無関係に、セパレータは、典型的には、約5から約150マイクロメートル、いくつかの実施形態では約10から約100マイクロメートル、いくつかの実施形態では約20から約80マイクロメートルの厚さを有する。
【0050】
電極アセンブリの構成要素が一緒に組み合わされる方法は、様々であってもよい。例えば、電極およびセパレータを最初に折り畳み、巻き上げ、または他の手法で一緒に接触させて、電極アセンブリを形成してもよい。1つの特定の実施形態では、電極、セパレータ、および任意選択の電解質は、「ジェリーロール」構成を有する電極アセンブリに巻き上げられてもよい。
【0051】
ウルトラキャパシタを形成するために、電解質は、電極アセンブリを形成するのに電極およびセパレータが一緒に組み合わされる前に、組み合わされる間に、および/または組み合わされた後に、第1の電極および第2の電極にイオン接触して配置される。電解質は、通常、本質的に非水性であり、したがって少なくとも1つの非水溶媒を含む。ウルトラキャパシタの動作温度範囲を拡げるのを助けるために、典型的には、非水溶媒が比較的高い沸騰温度、例えば約150℃以上、いくつかの実施形態では約200℃以上、いくつかの実施形態では約220℃から約300℃などを有することが望ましい。特に好適な高沸点溶媒は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどのような環状カーボネート溶媒を含むことができる。当然、他の非水溶媒も、単独でまたは環状カーボネート溶媒と組み合わせて用いられてもよい。そのような溶媒の例は、例えば、開鎖カーボネート(例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど)、脂肪族モノカルボキシレート(例えば、酢酸メチル、プロピオン酸メチルなど)、ラクトン溶媒(例えば、ブチロラクトン バレロラクトンなど)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリルなど)、アミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルピロリジノン)、アルカン(例えば、ニトロメタン、ニトロエタンなど)、硫黄化合物(例えば、スルホラン、ジメチルスルホキシドなど);および同様のものを含むことができる。
【0052】
電解質は、非水溶媒に溶解された少なくとも1つのイオン性液体をさらに含んでもよい。イオン性液体の濃度は変えることができるが、典型的には、イオン性液体は比較的高い濃度で存在することが望ましい。例えば、イオン性液体は、電解質リットル当たり約0.8モル(M)以上、いくつかの実施形態では約1.0M以上、いくつかの実施形態では約1.2M以上、いくつかの実施形態では約1.3から約1.8Mの量で存在してもよい。
【0053】
イオン性液体は、通常、比較的低い融解温度、例えば、約400℃以下、いくつかの実施形態では約350℃以下、いくつかの実施形態では約1℃から約100℃、いくつかの実施形態では約5℃から約50℃などを有する塩である。塩は、カチオン種および対イオンを含む。カチオン種は、「カチオン中心」として少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、窒素またはリン)を有する化合物を含む。そのようなヘテロ原子化合物の例は、例えば、非置換または置換有機第四級アンモニウム化合物、例えば、アンモニウム(例えば、トリメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムなど)、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピラミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、チアゾリウム、キノリニウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、2つ以上の環がスピロ原子(例えば、炭素、ヘテロ原子など)によって一緒に接続されている第四級アンモニウムスピロ化合物、第四級アンモニウム縮合環構造(例えば、キノリニウム、イソキノリニウムなど)、および同様のものなどを含む。1つの特定の実施形態では、例えば、カチオン種はN-スピロ二環式化合物、例えば環式環を有する対称または非対称N-スピロ二環式化合物であってもよい。そのような化合物の一例は、以下の構造の
【0054】
【0055】
を有し、ここで、mおよびnは独立して3から7の数であり、いくつかの実施形態では4から5である(例えば、ピロリジニウムまたはピペリジニウム)である。
同様に、カチオン種に好適な対イオンは、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物など);スルフェートまたはスルホネート(例えば、硫酸メチル、硫酸エチル、硫酸ブチル、硫酸ヘキシル、硫酸オクチル、硫酸水素、スルホン酸メタン、スルホン酸ドデシルベンゼン、ドデシルスルフェート、スルホン酸トリフルオロメタン、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、ドデシルエトキシ硫酸ナトリウムなど);スルホスクシネート;アミド(例えば、ジシアナミド);イミド(例えば、ビス(ペンタフルオロエチル-スルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチル)イミドなど);ボレート(例えば、テトラフルオロボレート、テトラシアノボレート、ビス[オキサラト]ボレート、ビス[サリチラト]ボレートなど);ホスフェートまたはホスフィネート(例えば、ヘキサフルオロホスフェート、ジエチルホスフェート、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィネート、トリス(ペンタフルオロエチル)-トリフルオロホスフェート、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロホスフェートなど);アンチモネート(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート);アルミネート(例えば、テトラクロロアルミネート);脂肪酸カルボキシレート(例えば、オレエート、イソステアレート、ペンタデカフルオロオクタノエートなど);シアネート;アセテート;および同様のもの、ならびに前述のいずれかの組合せを含むことができる。
【0056】
好適なイオン性液体のいくつかの例は、例えば、テトラフルオロホウ酸スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム、ヨウ化スピロ-(1,1’)-ビピロリジニウム、ヨウ化トリエチルメチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸メチルトリエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウムなどを含むことができる。
【0057】
上記のように、ウルトラキャパシタは、電極アセンブリおよび電解質が保持され任意選択で気密封止されるハウジングをさらに含む。ハウジングの性質は、所望に応じて変化してもよい。1つの実施形態では、例えば、ハウジングは、タンタル、ニオブ、アルミニウム、ニッケル、ハフニウム、チタン、銅、銀、鋼(例えば、ステンレス)、それらの合金、それらの複合体(例えば、導電性酸化物でコーティングされた金属)、および同様のものから形成されたものなどの金属容器(「カン」)を含むことができる。アルミニウムは、本開示で使用するのに特に好適である。金属容器は、円筒状、D字形などの様々な異なる形状のいずれかを有してもよい。円筒形状の容器が特に好適である。
【0058】
ウルトラキャパシタが、様々な方法で接続されてもよい。例えば、ウルトラキャパシタは、ウルトラキャパシタのそれぞれの端子に取り付けるかまたは接続する相互接続を使用して接続されてもよい。相互接続は、導電性金属などの導電材料で製作されてもよい。1つの実施形態では、相互接続は、比較的平坦であってもよく、または表面積が増加するものであってもよい。後者に関して、相互接続は、突起/突出を有してもよく、または、さらに、ワイヤ、編組、コイルなどから形成されてもよい。これに関して、相互接続の特定の寸法および構成は必ずしも限定されない。その形態に関係なく、銅、スズ、ニッケル、アルミニウムなどならびに合金および/またはコーティングされた金属などの様々な異なる導電材料のいずれかが用いられてもよい。所望の場合には、導電材料は、任意選択で、シース材料を用いて絶縁されてもよい。
【0059】
ウルトラキャパシタは、所望の特定の性質に応じて、直列にまたは並列に一緒に電気的に接続され得る。例えば、1つの特定の実施形態では、ウルトラキャパシタは、あるウルトラキャパシタの特定の極性(例えば、正)の端子が別のウルトラキャパシタの反対の極性(例えば、負)の端子に接続されるように直列に電気的に接続され得る。例えば、正端子は第1のウルトラキャパシタの頂部から延びることができ、負端子は第2のウルトラキャパシタの底部から延びることができる。
【0060】
それらを含むウルトラキャパシタおよびモジュールは、大量の電荷を貯蔵するために用いられ得る。その結果、本開示のモジュールおよびウルトラキャパシタは、様々な用途において用いられ得る。例えば、それらは、限定はしないが、風力タービン、ソーラータービン、ソーラーパネル、および燃料電池を含む様々なエネルギー用途で使用され得る。加えて、それらは、限定はしないが、車両(例えば、バッテリ推進電気車両、バス、エンジン始動、パワーおよびブレーキ回復システムを含むハイブリッド電気車両など)、列車および電車(例えば、リニアモーターカー、線路切換、スタータシステムなど)、および航空宇宙(例えば、ドア用アクチュエータ、脱出用シュートなど)を含む様々な輸送用途でも使用され得る。それらは、オートメーション(例えば、ロボティクスなど)、車両(例えば、フォークリフト、クレーン、電気カートなど)を含む様々な産業用途も有する。それらは、家庭用電化製品(例えば、ポータブルメディアプレイヤ、ハンドヘルドデバイス、GPS、デジタルカメラなど)、コンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ、PDAなど)、および通信システムにおける様々な用途も有する。モジュールおよびウルトラキャパシタは、様々な軍用用途(例えば、戦車および潜水艦のためのモータ始動、フェーズドアレイレーダアンテナ、レーザ電源、無線通信、アビオニクス表示および計装、GPSガイダンスなど)、および医療用途(例えば、除細動器など)を有することもできる。