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特許7104751炭酸飲料、炭酸飲料の調製に用いられるシロップ、炭酸飲料の製造方法、及び炭酸飲料の泡立ちを抑制する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】炭酸飲料、炭酸飲料の調製に用いられるシロップ、炭酸飲料の製造方法、及び炭酸飲料の泡立ちを抑制する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20220713BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A23L2/00 A
A23L2/00 T
A23L2/60
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020137806
(22)【出願日】2020-08-18
(62)【分割の表示】P 2017039316の分割
【原出願日】2015-09-30
(65)【公開番号】P2020188809
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2020-09-17
(31)【優先権主張番号】P 2014202600
(32)【優先日】2014-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】浦井 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】和泉 彬子
(72)【発明者】
【氏名】長尾 浩二
【審査官】植原 克典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0071521(US,A1)
【文献】国際公開第2013/096420(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0337138(US,A1)
【文献】国際公開第2013/158390(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/186250(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/186084(WO,A1)
【文献】特開昭60-058232(JP,A)
【文献】特表2009-504180(JP,A)
【文献】特開昭60-259169(JP,A)
【文献】特開2008-029321(JP,A)
【文献】国税庁所定分析法(昭和36年国税庁訓令第1号)(平成19年改正),2007年,インターネット<URL: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/kaisei070622/01.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-2/84
A23L 27/00-27/40、27/60
CAplus/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RebAの含量が250ppm以下、
RebDの含量が486ppm以下、
(RebD/RebA)が、質量比で0.45以上、
RebA及びRebDの合計含量が、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5、
炭酸ガスのガス圧が2.15kgf/cm以上、
である、炭酸飲料。
【請求項2】
カフェイン、シンナムアルデヒド、又はカラメル色素を含む、請求項1に記載の炭酸飲料。
【請求項3】
ショ糖を含む、請求項1又は2に記載の炭酸飲料。
【請求項4】
容器詰である、請求項1~3のいずれか1項に記載の炭酸飲料。
【請求項5】
炭酸飲料の調製における、RebA及びRebDを含有するシロップの使用であって、
調製される炭酸飲料
RebAの含量が250ppm以下、
RebDの含量が486ppm以下、
(RebD/RebA)が、質量比で0.45以上、
RebA及びRebDの合計含量が、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5、
炭酸ガスのガス圧2.15kgf/cm以上
である、前記使用
【請求項6】
シロップはカフェイン、シンナムアルデヒド、又はカラメル色素を含む、請求項5に記載の使用
【請求項7】
シロップはショ糖を含む、請求項5又は6に記載の使用
【請求項8】
炭酸飲料の製造方法であって、
RebAを250ppm以下で添加し、
RebDを486ppm以下で添加し、
(RebD/RebA)を、質量比で0.45以上とし、
RebA及びRebDの合計含量を、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5とし、及び
炭酸ガスのガス圧を2.15kgf/cm以上とする、
ことを含む、前記製造方法。
【請求項9】
カフェイン、シンナムアルデヒド、又はカラメル色素を添加することを含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
ショ糖を添加することを含む、請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
請求項5~7のいずれか1項に記載のシロップを水で希釈した後、炭酸ガスを圧入することを含む、炭酸飲料の製造方法であって、
炭酸飲料におけるRebA及びRebDが
RebAの含量が250ppm以下、
RebDの含量が486ppm以下、
(RebD/RebA)が、質量比で0.45以上、
RebA及びRebDの合計含量が、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5、及び
炭酸ガスのガス圧が2.15kgf/cm以上、
に調整される、前記製造方法。
【請求項12】
炭酸飲料におけるカフェイン、シンナムアルデヒド、又はカラメル色素の含量を調整することを含む、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
炭酸飲料におけるショ糖の含量を調整することを含む、請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか1項に記載の炭酸飲料を製造するための、請求項8~13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
RebAを250ppm以下で添加し、
RebDを486ppm以下で添加し、
(RebD/RebA)を、質量比で0.45以上とし、
RebA及びRebDの合計含量を、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5とし、及び
炭酸ガスのガス圧を1.89kgf/cm以上とする、
ことを含む、炭酸飲料の泡立ちを抑制する方法。
【請求項16】
カフェイン、シンナムアルデヒド、又はカラメル色素の含量を調整することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ショ糖の含量を調整することを含む、請求項15又は16に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、炭酸飲料、炭酸飲料の調製に用いられるシロップ、炭酸飲料の製造方法、及び炭酸飲料の泡立ちを抑制する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸飲料は、幅広い層の消費者に好んで飲用されている。現在市販されている炭酸飲料は多種多様であるが、容器を開栓した際又はコップ等の容器に注いだ際の泡立ちにより飲用者を視覚的に楽しませたり、飲用者にのど越しの爽快感を与えたりする等の特性を有している。炭酸飲料のこのような特性は、主として、炭酸飲料に含まれる炭酸ガスに起因するものであるが、泡立ちが問題になることがある。
【0003】
炭酸飲料の製造時や開栓時における泡立を抑制するために、特許文献1は、シリコーンオイル、グリセリン脂肪酸エステル、又はソルビタン脂肪酸エステル等、特定の消泡剤を用いることを開示する。特許文献2は、カップ式飲料の自動販売機に関し、シロップと炭酸水の混合により生じる過度な泡立ちを抑制するために、スクラロース又はアセスルファムカリウムをシロップに配合することを開示する。一方、特許文献3及び4には、非重合カテキン類とステビア抽出物を特定の比率で炭酸飲料に配合することが開示されているが、炭酸ガスの保持性の改善に向けられたものであり、泡立ちの抑制に向けられたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-087359号公報
【文献】特開2008-228633号公報
【文献】特開2012-179015号公報
【文献】特開2012-213341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の天然志向の高まりを受け、本願の発明者は、天然甘味料の飲料への利用に関する研究を行っている。研究の過程において、容器を開栓する際にこの天然甘味料を含有する炭酸飲料が泡立ち、容器から噴きこぼれる場合、或いは、開栓後、コップ等の別の容器に注いだ場合にも泡立ちが起こり、噴きこぼれる場合がある。なお、詳細は後述するが、天然甘味料として、ステビア抽出物の甘味成分としてステビオサイド(Stevioside)、レバウディオサイド(Rebaudioside、以下「Reb」とする。)等が知られている。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、泡立ちを抑制する炭酸飲料、炭酸飲料の調製に用いられるシロップ、炭酸飲料の製造方法、及び炭酸飲料の泡立ちを抑制する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施の形態によれば、炭酸飲料は、RebAの含量が500ppm以下、RebD及び/又はRebMの含量が486ppm以下、((RebD及び/又はRebM)/RebA)が、質量比で0.45以上、RebA、並びに、RebD及び/又はRebMの合計含量が、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、RebA、RebD、及びRebMの含有量の泡立ちへの影響を示す。
図2図2は、RebA、RebD、及びRebMによる、泡立ちへの影響を示す。
図3図3は、Rebとカフェインの組み合わせによる泡立ちへの影響を示す。
図4図4は、RebM又はRebDとRebAの比率による泡立ちへの影響を示す。
図5図5は、RebD及びRebMの組み合わせによる、泡立ちへの影響を示す。
図6図6は、炭酸飲料のガス圧による泡立ちへの影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る炭酸飲料を図面を参照して説明する。
本発明の実施の形態の炭酸飲料は、RebAの含量が500ppm以下、RebD及び/又はRebMの含量が486ppm以下、((RebD及び/又はRebM)/RebA)が、質量比で0.45以上、RebA、並びに、RebD及び/又はRebMの合計含量が、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5である。
【0010】
Rebは、ステビア抽出物に含まれる甘味成分として知られている。ステビア抽出物は、ステビア乾燥葉から抽出、精製したものである。ステビアは南米パラグアイを原産地とする菊科多年生植物で、学名をステビア・レバウディアナ・ベルトニー(Stevia Rebaudiana Bertoni)という。ステビアは砂糖の約300倍以上の甘味を持つ成分を含むので、この甘味成分を抽出して天然甘味料として用いる為に栽培されている。Rebとしては、RebA、RebB、RebC、RebD、RebEが知られている。更に、最近では特表2012-504552に記載のRebM等、様々な配糖体が存在することが報告されている。様々なRebの中で、RebAは、高甘味度と良質甘味を有する甘味料として評価されており、広く用いられている。本発明の実施の形態では、ステビア抽出物としてRebA、RebD、及びRebMに着目する。RebA、RebD、及びRebMは、市場から入手することができるし、有機化学的手法により合成することもできる。或いは、ステビア抽出物を出発原料として、RebA、RebD、及びRebMを分離、精製することもできる。例えば、RebAは特表2009-517043号に、RebDはUS8414949号に、RebMはFoods 2014, 3(1), 162-175; doi:10.3390/foods3010162に記載された方法に従って精製することができる。RebA、RebD、及びRebMは、いずれの方法によって分析してもよいが、例えば、特表2012-504552号に記載の条件に設定した高速液体クロマトグラフィー分析計(HPLC)により分析することができる。本明細書では、特に記載がなければ、当該方法によりRebA、RebD、及びRebMを分析するものとする。
【0011】
炭酸飲料とは、炭酸ガスを含有する飲料をいう。炭酸飲料としては、例えば、清涼飲料水、非アルコール飲料、アルコール飲料等が挙げられる。具体的には、スパークリング飲料、コーラ、ダイエットコーラ、ジンジャーエール、サイダー、及び果汁風味が付与された炭酸水等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本願の発明者は、ステビア抽出物を含有する炭酸飲料に関して、開栓時や容器へ注いだ場合等に問題になり得る泡立ちに、RebAが関与していることを初めて見出している。本発明の実施の形態は、炭酸飲料において、ステビア抽出物としてのRebAの含量を低くすることによって、泡立ちを抑制するものである。RebAの含量は、例えば、炭酸飲料中、500ppm以下、好ましくは450ppm以下、より好ましくは383ppm以下、さらに好ましくは25
0ppm以下とすることができるが、これに限定されるものではない。或いは、RebAは、わずかでも甘味を感じる程度に炭酸飲料に含まれていてもよく、例えば、0.5ppm以上、好ましくは1ppm以上、より好ましくは16.7ppm以上で炭酸飲料に含まれていてもよい。
【0012】
上記のように、ステビア抽出物としてRebAの炭酸飲料における含量を単に低くした場合、炭酸飲料にステビア抽出物に由来する甘味を十分に与えることができない。本願の発明者は、RebAに比べて、RebD及びRebMが泡立ちにくいことを初めて突き止めた。即ち、本発明の実施の形態は、炭酸飲料において、ステビア抽出物としてのRebAをRebD及び/又はRebMに置き換えることにより、炭酸飲料の泡立ちの問題に対処しながら、ステビア抽出物に由来する甘味を十分に与えることを可能とする。本発明の実施形態の炭酸飲料においては、RebD及び/又はRebMの含量は、RebAの代替として必要な量とすることができる。炭酸飲料は、RebD及びRebMは、単独で又は組み合わせて含有することができる。炭酸飲料がRebDを単独で含有する場合、RebDの含量は、限定されないが、例えば、486ppm以下とすることができる。炭酸飲料がRebMを単独で含有する場合、RebMの含量は、限定されないが、例えば、450ppm以下、好ましくは404ppm以下、より好ましくは271ppm以下とすることができる。炭酸飲料がRebD及びRebMを含有する場合には、RebDとRebMの合計量は、例えば、486ppm以下とすることができる。
【0013】
ステビア抽出物としてのRebA、RebD、RebMの炭酸飲料における合計量は、必要とされる範囲で設定することができ、香味上問題とならない範囲で設定することができるし、或いは、低カロリーの炭酸飲料に必要とされる範囲で設定することもできる。例えば、限定されないが、炭酸飲料におけるRebA、RebD、RebMの合計量は、ショ糖換算でBrix 0.5~13.5、好ましくは0.5~12、より好ましくは0.5~11.5、さらに好ましくは0.5~7.5に相当するものとすることができる。当該合計量がショ糖換算でBrix 0.5より少ない場合、ステビア抽出物に由来する甘味を十分に付与できないだけでなく、RebAのRebD及び/又はRebMへの置き換えによる泡の抑制効果が十分に発揮されないことがある。一方、当該合計量がショ糖換算でBrix 13.5を超える場合は、炭酸飲料に関し、RebAのRebD及び/又はRebMへの置き換えによる泡の抑制効果が得られない上に、甘味が強くなりすぎることにより、香味が悪くなることがある。
【0014】
ここで、ショ糖換算のBrixとは、ショ糖に対するRebの甘味度と、Rebの含量から計算することができる。ショ糖に対して、RebAは300倍、RebDは285倍、RebMは285倍の甘味を有する。従って、ショ糖換算のBrix 1に相当するRebの量は、RebAについては33.3ppm、RebD(RebMも同様)については35.1ppmと計算することができる。
【0015】
RebA、RebD、及びRebMの含量と泡立ちの抑制効果の関係は、次のように確認することができる。試験溶液の甘味度をショ糖換算でBrix 0.5、1.0、1.59、7.5、及び13.5相当に揃えるため、Rebの含有量を以下のように調整した。RebAを16.7ppm、33.3ppm、53ppm、250ppm、及び450ppmで純水15.8mLに溶解させた。RebDとRebMはそれぞれ、17.6ppm、35.1ppm、55.7ppm、271.2ppm、及び486ppmで純水15.8mLに溶解させた。溶解液を4℃に冷却し、炭酸水で液量を100mLに調整した。容器を密閉し、冷蔵庫にて4℃で1時間静置した。容器を開栓し、逆さまにした500mLのメスシリンダーを試験溶液が収容された容器の注ぎ口に被せ、固定した。メスシリンダーと容器を反転させ、試験溶液をメスシリンダーに注いだ。泡の立ち上がり面の目盛を読み取り、泡液面量とした。RebAをショ糖換算のBrix 1.59(53ppm)
で含有する試験溶液に関する泡液面量を1とする相対値として、泡液面量を図1に示した。ショ糖換算のBrix 0.5で配合した場合、RebA、RebD、及びRebMの間で泡液面量に実質的な差は見られなかった。ショ糖換算のBrix 1.0以上で配合した場合、RebDやRebMは、RebAに比べて泡液面量を減少させた。RebDは、ショ糖換算のBrix 13.5においても、RebAに比べて泡液面を減少させた。RebMは、配合量がショ糖換算のBrix 11.5以下において、RebAに比べて泡液面を減少させた。
【0016】
このことより、RebDによる泡立ち抑制効果は、RebAのショ糖換算のBrix 0.5~13.5又は1.0~13.5の代替において有効であることが示された。そして、RebMによる泡立ち抑制効果は、RebAのショ糖換算のBrix 0.5~11.5又は1.0~11.5の代替において有効であることが示された。そして、RebA、並びにRebD及び/又はRebMの合計含量が、ショ糖換算のBrixで0.5~13.5において泡立ちの抑制に有効であることも示唆される。
【0017】
本発明の実施の形態の炭酸飲料は、カフェイン、シンナムアルデヒド、カラメル色素、及び甘味料(砂糖、異性化液糖、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK等の高甘味度甘味料)、香料、酸味料(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸)、着色料、果汁、及び果汁ピューレ、乳および乳製品、強化剤(ビタミン類、カルシウム、ミネラル類、アミノ酸類)等の、炭酸飲料において一般的に用いられる成分を更に含むことができる。炭酸飲料は、これらの成分は単独又は複数の組み合わせを含有してもよい。例えば、炭酸飲料は、カフェイン、シンナムアルデヒド、カラメル色素、又はこれらの2以上の組み合わせを、ステビア抽出物と共に含有することができる。一態様として、本発明の実施の形態の炭酸飲料はカフェインを含有することができる。ここで、カフェインは、食品添加物として使用できる精製品(カフェイン含量98.5%以上の精製品)や、食品として使用できる粗精製品(カフェイン含量50~98.5%)の他、カフェインを含有する植物(茶葉、コーラの実、コーヒー豆、ガラナ等)の抽出物又はその濃縮物の形態であってもよい。本発明の実施の形態において、炭酸飲料のカフェインの含量は、1~200ppmとすることができる。カフェインの定量はいずれの方法を用いて行ってもよいが、例えば、炭酸飲料をメンブランフィルター(ADVANTEC製 酢酸セルロース膜0.45μm)で濾過し、以下の条件に設定したHPLCに試料を供すことにより行うことができる。本明細書において、特段の言及がなければ、当該方法によりカフェイン含量を定量するものとする。
(カフェイン定量のためのHPLCの条件)
・カラム TSK-gel ODS-80TsQA(4.6mmφx150mm、東ソー株式会社)
・移動相A 水:トリフルオロ酢酸=1000:0.5
・移動相B アセトニトリル:トリフルオロ酢酸=1000:0.5
・流速 1.0ml/min
・カラム温度 40℃
・グラディエント条件
分析開始から5分後まではA:B=95:5で保持
5分から20分まででA:B=5:95
20分から25分までA:B=5:95で保持
25分から26分まででA:B=95:5
26分から30分までA:B=95:5で保持
・注入量 5.0μL
・検出波長 280nm
・標準物質 無水カフェイン(ナカライテスク株式会社)。
【0018】
別の態様として、本発明の実施の形態の炭酸飲料はシンナムアルデヒドを含有することができる。ここで、シンナムアルデヒド(cinnamaldehyde、CCH=CH-CHO、分子量132.16)は、シナモンの香り成分として知られる芳香族アルデヒドの一種であり、香料製剤として入手可能である。本発明の実施の形態において、炭酸飲料は、シンナムアルデヒドを特定範囲の量で含有することができる。例えば、本発明の実施の形態の炭酸飲料中のシンナムアルデヒドの含量は、0.5~50ppm、好ましくは0.5~32ppm、1.0~20ppmにすることができる。シンナムアルデヒドの定量は、例えば、ガスクロマトグラフィー、質量分析計等を用いる方法により定量することができる。本明細書において、特に記載がなければ、シンナムアルデヒドの含量については、当該方法により定量するものとする。
【0019】
更に別の態様として、本発明の実施の形態の炭酸飲料はカラメル色素を含有することができる。ここで、カラメル色素としては、食用に適する公知のカラメル色素を使用することができる。例えば、砂糖又はブドウ糖に代表される食用炭水化物を熱処理して得られた物、酸もしくはアルカリを加えて食用炭水化物を熱処理したものなどを用いることができる。また、果汁や野菜汁に含まれる糖分をカラメル化して使用することもでき、この場合、加熱処理、酸やアルカリによる処理などによって糖分をカラメル化することができる。本発明の実施の形態において、炭酸飲料は、カラメル色素を特定範囲の含量で含有することができる。
【0020】
カフェイン又はシンナムアルデヒドとの組み合わせにおける、RebD及びRebMの泡立ち抑制効果は、次のようにして確認することができる。RebA、RebD、及びRebMは、一般に市販品を使用した。調製する試験溶液の甘味度をショ糖換算でBrix
1.59相当に揃えることとし、RebA 53ppm、RebD 55.7ppm、及びRebM 55.7ppmをそれぞれ単独で、15.8mLの純水に溶解させた。また、RebA 53ppm、RebD 55.7ppm、及びRebM 55.7ppmそれぞれを、カフェイン10ppm、又はシンナムアルデヒド50μl/100mlと組み合わせて、15.8mLの純水に溶解させた。溶解液を4℃に冷却し、炭酸水で100mLにメスアップした。容器を密閉し、冷蔵庫にて4℃で1時間静置した。容器を開栓し、逆さまにした500mLのメスシリンダーを試験溶液が収容された容器の注ぎ口に被せ、固定した。メスシリンダーと容器を反転させ、試験溶液をメスシリンダーに注いだ。泡の立ち上がり面の目盛を読み取り、泡液面量とした。RebAを単独で含有する試験溶液に関する泡液面量を1とする相対値として、泡液面量を図2に示した。
【0021】
RebMを単独で含有する試験溶液は、RebAを単独で含有する試験溶液に比べて、泡液面量が0.8程度であった。RebDについても同様の結果であった。そして、カフェインとの組み合わせにおいて、RebD又はRebMを含有する試験溶液は、RebAを含有する試験溶液に比べ、泡液面量を大きく減少させた。また、RebA、RebD、及びRebMをシンナムアルデヒドと組み合わせた場合にも同様の結果が得られた。以上の結果より、炭酸飲料に広く配合されるカフェインやシンナムアルデヒド等、その他の原料との組合わせにおいても、RebD及びRebMは、泡立を抑制する効果を発揮することが示された。
【0022】
更に、カフェインとの組み合わせにおける、RebD及びRebMの泡立ち抑制効果を次のように確認することができる。試験溶液の甘味度をショ糖換算でBrix 1.59相当に揃えるため、含有量をRebA 53ppm、RebM 55.7ppm、及びRebM 55.7ppmとした。RebA、RebD、及びRebMをそれぞれ、カフェインと共に純水15.8mLに溶解した。ここで、カフェイン含量は1ppm、5ppm、10ppm、100ppm、200ppmに変化させた。溶解液を4℃に冷却し、炭酸水で100mLにメスアップした。容器を密閉し、冷蔵庫にて4℃で1時間静置した。容
器を開栓し、逆さまにした500mLのメスシリンダーを試験溶液が収容された容器の注ぎ口に被せ、固定した。メスシリンダーと容器を反転させ、試験溶液をメスシリンダーに注いだ。泡の立ち上がり面の目盛を読み取り、泡液面量とした。泡液面量をRebA 53ppmとカフェイン1ppmを含有する試験溶液の泡液面量を1とする相対値として、泡液面量を図3(A)に示した。いずれの量のカフェインとの組み合わせにおいても、RebMを含有する試験溶液は、RebAを含有する試験溶液に比べて泡液面量を減少させた。RebDについても同様の結果が得られた(図3(B))。
【0023】
この結果より、RebM及びRebDは、カフェインと組み合わせた場合においても、RebAに比べて、炭酸飲料の泡立ちを有効に抑制することが示された。この泡立ちの抑制効果は、カフェインの含有量に関わらず、発揮されることも示唆された。また、カフェインは、炭酸飲料において一般的に配合される成分である。よって、RebM及び/又はRebDが奏する効果は、炭酸飲料に広く適用できることが示唆される。
【0024】
炭酸飲料は、RebD及び/又はRebMと、RebAを特定の比率で含有してもよい。例えば、((RebD及び/又はRebM)/RebA)は、質量比で0.45以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは6.0以上とすることができる。当該比率が0.45未満になるとRebAの影響が強くなり、炭酸飲料の泡立ちを抑制できなくなる。
【0025】
RebAに対するRebM及び/又はRebDの含量の比率による泡立ちへの影響は次のように確認することができる。試験溶液の甘味度をショ糖換算でBrix 1.59相当に揃えた。RebAとRebMを、ショ糖換算のBrixで100:0、70:30、30:70、15:85、5:95、及び0:100の比で組み合わせ、純水15.8mLに溶解させた。溶解液を4℃に冷却し、炭酸水で100mLにメスアップした。容器を密閉し、冷蔵庫にて4℃で1時間静置した。また、RebAとRebDの組み合わせについても、同様に行った。容器を開栓し、逆さまにした500mLのメスシリンダーを試験溶液が収容された容器の注ぎ口に被せ、固定した。メスシリンダーと容器を反転させ、試験溶液をメスシリンダーに注いだ。泡の立ち上がり面の目盛を読み取り、泡液面量とした。RebAを単独で含有する試験溶液に関する泡液面量を1とする相対値として、泡液面量を図4に示した。図4(A)中、A100はRebA:RebM=100:0、A70はRebA:RebM=70:30、A30はRebA:RebM=30:70、A15はRebA:RebM=15:85、A5はRebA:RebM=5:95、A0はRebA:RebM=0:100を表す(比は、全てショ糖換算のBrix)。図4(B)については、上記図4(A)の説明においてRebMをRebDに置き換える。
【0026】
RebMの割合が高くなるに従って、泡液面量が減少することが示された(図4(A))。この傾向は、ショ糖換算のBrixに占めるRebMの割合が30%以上の場合に明確になり、特に、ショ糖換算のBrixに占めるRebMの割合が70%以上の場合により明確になった。RebDについても同様の傾向であった(図4(B))。この結果より、RebAをRebM及び/又はRebDで代替することによって、炭酸飲料の甘味を実質的に変更することなく、泡立ちを抑制できることが示された。((RebD及び/又はRebM)/RebA)が、質量比で約0.45以上となる場合に、泡立ちを抑制できることが示された。
【0027】
本発明の実施の形態においては、RebDとRebMを組み合わせて炭酸飲料に含有させる場合、RebDとRebMはいずれの比率で組み合わせてもよい。RebD及びRebMの組み合わせによる泡立ちへの影響は、次のように確認することができる。試験溶液の甘味度をショ糖換算でBrix 1.59相当に揃えるため、Rebの含有量を調整した。RebDとRebMを、ショ糖換算のBrixで0:100、25:75、50:5
0、75:25、100:0の比で組み合わせ、純水15.8mLに溶解させた。溶解液を4℃に冷却し、炭酸水で100mLにメスアップした。容器を密閉し、冷蔵庫にて4℃で1時間静置した。また、RebAを単独で含有する試験溶液も同様にして調製した。容器を開栓し、逆さまにした500mLのメスシリンダーを試験溶液が収容された容器の注ぎ口に被せ、固定した。メスシリンダーと容器を反転させ、試験溶液をメスシリンダーに注いだ。泡の立ち上がり面の目盛を読み取り、泡液面量とした。RebAを単独で含有する試験溶液に関する泡液面量を1とする相対値として、泡液面量を図5に示した。図中、横軸の「100」は、RebA、RebD、又はRebMを単独で含有する試験溶液を表す。横軸の「75」、「50」、及び「25」はそれぞれ、RebMとRebDをショ糖換算のBrixで75:25、50:50、及び25:75の比で含有する試験溶液を表す。
【0028】
RebD又はRebMを単独で含有する試験溶液は、RebAを単独で含有させた場合に比べて、泡液面量を有意に減少させた。RebDとRebMの組み合わせを含有する試験溶液についても、RebAを単独で含有する試験溶液に比べて、泡液面量を減少させることが確認された。この結果より、RebDとRebMを組み合わせてRebAを代替した場合にも、炭酸飲料の甘味度を実質的に変化させることなく、泡立ちを抑制できることが示された。
【0029】
本発明の実施の形態の炭酸飲料は、ショ糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、並びに、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKのような高甘味度甘味料等の、飲料において一般的に用いられる甘味料を更に含有してもよい。炭酸飲料は、これらの甘味料の単独又は複数を含んでいてもよい。一態様として、本発明の実施の形態の炭酸飲料は、ショ糖を更に含有することができる。ここで、炭酸飲料におけるショ糖の含量は、限定されないが、6~12g/100gとすることができる。ショ糖等の糖類の定量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの通常の方法によって行うこともできる。HPLCは、例えば、以下の条件で行うことができる。
使用機器:HP社 HP1100システム
使用カラム:LiChrospher100 NH2(5μm)(4mm×250mm)移動相:アセトニトリル:水=75:25
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
注入量:10μL
検出器:糖度示差屈折計(Shodex RI-71)
本明細書において、特に記載がなければ、ショ糖等の糖類は、当該方法により定量するものとする。
【0030】
本発明の実施の形態の炭酸飲料は炭酸ガスを含む。炭酸飲料における炭酸ガスの含量は、ガス圧で規定することができる。炭酸飲料における炭酸ガスは、ガス圧として、例えば、1.7kgf/cm以上、1.89kgf/cm以上、2.15kgf/cm以上とすることができる。そして、必要に応じ、ガス圧の上限を、例えば、5.0kgf/cm以下、4.0kgf/cm以下としてもよい。炭酸飲料に関してガス圧というときは、特に記載がなければ、容器内の炭酸飲料における炭酸ガスのガス圧をいう。従って、炭酸飲料は、容器詰めとすることができる。容器は、いずれの形態・材質の容器を使用することができ、例えば、ビン、缶、樽、又はペットボトル等の容器であってもよい。ガス圧の測定は、例えば、20℃にした飲料をガス内圧計に固定し、一度ガス内圧計活栓を開いてガスを抜き、再度活栓を閉じ、ガス内圧計を振り動かして指針が一定の位置に達した時の値を読み取ることにより行うことができる。本明細書においては、特に記載がなければ、当該方法を用いて炭酸飲料のガス圧を測定する。
【0031】
炭酸飲料の炭酸ガス含量による泡立ちへの影響は、次のように確認することができる。純水にショ糖換算のBrix 10相当のRebA、RebD、及びRebMをそれぞれ添加し、溶解させた後、炭酸水を加えて規定のガス圧に調整することにより、試験溶液を調製した。逆さまにした500mLのメスシリンダーを試験溶液が収容された容器の注ぎ口に被せ、固定した。メスシリンダーと容器を反転させ、試験溶液をメスシリンダーに注いだ。泡の立ち上がり面の目盛を読み取り、泡液面量とした。RebAをショ糖換算のBrix 10相当で含有する試験溶液に関する泡液面量を1とする相対値として、泡液面量を図6に示した。図中、「GAS VOL」はガス圧を表す。RebAを含有する試験溶液に比べて、RebMを含有する試験溶液は、ガス圧1.9kgf/cm以上において泡立ちを抑制し、更に、ガス圧2.15kgf/cm以上において泡立ちをより強く抑制する傾向にあった。そして、RebDを含有する試験溶液は、ガス圧1.7kgf/cm以上において泡立ちを抑制し、更に、ガス圧1.89kgf/cm以上から泡立ちを抑制する傾向にあった。
【0032】
本発明の実施の形態の炭酸飲料は、果汁、酸味料、香料、果汁、植物の抽出物、乳製品、その他のフレーバー等、食品添加物として認可されている成分、又は認可されていなくても古くから食経験があり、一般的に安全であると認識されている成分を更に含んでもよい。
【0033】
<炭酸飲料の製造方法>
本発明の実施の形態によれば、炭酸飲料の製造方法が提供される。当該製造方法は、シロップを調製し、必要な液量調整、及び炭酸ガスを供給することを含む。本明細書でいうシロップとは、炭酸飲料に含有される上記した少なくとも1つの成分を含有する、炭酸ガスを実質的に含まない溶液をいう。
【0034】
シロップは、RebA、RebD、RebM等の原料を水に溶解することにより調製することができる。シロップ中のRebA含量は、炭酸飲料中のRebAの含量が500ppm以下、好ましくは450ppm以下、より好ましくは383ppm以下、さらに好ましくは250ppm以下となるように設定することができるし、炭酸飲料に実質的に含まれないものとなるように設定することもできるが、これらに限定されるものではない。また、RebAは、わずかでも甘味を感じる程度に炭酸飲料に含まれていてもよく、例えば、0.5ppm以上、好ましくは1ppm以上、より好ましくは16.7ppm以上で炭酸飲料に含まれるように、シロップ中のRebAの含量を設定してもよい。
【0035】
シロップにおけるRebD及び/又はRebMの含量は、RebAの代替として必要な量とすることができる。RebD又はRebMは単独で、又はRebDとRebMを組み合わせて、シロップに含有させることができる。RebDを単独でシロップに含有させる場合、RebDの含量は、限定されないが、例えば、炭酸飲料中のRebDの含量が486ppm以下となるように設定することができる。RebMを単独でシロップに含有させる場合、RebMの含量は、限定されないが、例えば、炭酸飲料中のRebMの含量が450ppm以下、好ましくは404ppm以下、より好ましくは271ppm以下となるように設定することができる。RebDとRebMを組み合わせてシロップに含有させる場合には、RebDとRebMの合計量は、例えば、炭酸飲料中のRebDとRebMの含量が486ppm以下となるように設定することができる。シロップにおいて、ステビア抽出物としてのRebAをRebD及び/又はRebMに置き換えることにより、炭酸飲料の泡立ちの問題に対処しながら、炭酸飲料にステビア抽出物に由来する甘味を十分に与えることを可能とする。また、RebDとRebMを組み合わせてシロップに含有させる場合、RebDとRebMはいずれの比率で組み合わせてもよい。
【0036】
シロップには、RebD及び/又はRebMと、RebAを特定の比率で含有させても
よい。例えば、((RebD及び/又はRebM)/RebA)は、質量比で0.45以上、好ましくは1.1以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは6.0以上とすることができる。当該比率が0.45未満になるとRebAの影響が強くなり、炭酸飲料の泡立ちを抑制できなくなることがある。
【0037】
ステビア抽出物としてのRebA、RebD、RebMのシロップにおける合計量は、必要とされる範囲で設定することができ、例えば、香味上問題とならない範囲で設定することができるし、低カロリーの炭酸飲料に必要とされる範囲で設定することもできる。例えば、限定されないが、炭酸飲料におけるRebA、RebD、RebMの合計量が、ショ糖換算でBrix 0.5~13.5、好ましくは0.5~12、より好ましくは0.5~11.5、さらに好ましくは0.5~7.5相当になるように設定することができる。当該合計量がショ糖換算でBrix 0.5より少ない場合、ステビア抽出物に由来する甘味を十分に付与できないだけでなく、RebAのRebD及び/又はRebMへの置き換えによる泡の抑制効果が十分に発揮されないことがある。一方、当該合計量がショ糖換算でBrix 13.5を超える場合は、炭酸飲料に関し、RebAのRebD及び/又はRebMへの置き換えによる泡の抑制効果が得られない上に、甘味が強くなりすぎることにより、香味が悪くなることがある。
【0038】
シロップには、カフェイン、シンナムアルデヒド、カラメル色素、及び甘味料(砂糖、異性化液糖、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK等の高甘味度甘味料)、香料、酸味料(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、リン酸、乳酸)、着色料、果汁および果汁ピューレ、乳および乳製品、強化剤(ビタミン類、カルシウム、ミネラル類、アミノ酸類)等の、炭酸飲料において一般的に用いられる成分を更に含有させてもよい。これらの成分は単独又は複数を組み合わせてシロップに含有させてもよい。例えば、カフェイン、シンナムアルデヒド、カラメル色素、又はこれらの2以上の組み合わせを、ステビア抽出物と共にシロップに含有させることができる。一態様として、本発明の実施の形態のシロップにカフェインを含有させることができる。ここで、カフェインは、食品添加物として使用できる精製品(カフェイン含量98.5%以上の精製品)や、食品として使用できる粗精製品(カフェイン含量50~98.5%)の他、カフェインを含有する植物(茶葉、コーラの実、コーヒー豆、ガラナ等)の抽出物又はその濃縮物の形態であってもよい。本発明の実施の形態において、カフェインは、炭酸飲料中の含量が特定の範囲になるように、シロップに含有させることができる。例えば、シロップのカフェインの含量は、限定されないが、炭酸飲料のカフェイン含量が1~200ppmとなるように設定することができる。
【0039】
別の態様として、本発明の実施の形態のシロップにシンナムアルデヒドを含有させることができる。シンナムアルデヒドは、炭酸飲料中の含量が特定の範囲になるように、シロップに含有させることができる。例えば、シロップ中のシンナムアルデヒドの含量は、炭酸飲料のシンナムアルデヒドが0.5~50ppm、好ましくは0.5~32ppm、1.0~20ppmとなるように設定にすることができる。
【0040】
更に別の態様として、本発明の実施の形態のシロップにカラメル色素を含有させることができる。本発明の実施の形態において、カラメル色素は、炭酸飲料中の含量が特定の範囲になるように、シロップに含有させることができる。
【0041】
本発明の実施の形態のシロップには、ショ糖、ブドウ糖、果糖、異性化液糖、並びに、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKのような高甘味度甘味料等の、飲料の製造に一般的に用いられる甘味料を更に含有させてもよい。これらの甘味料は、単独又は複数を組み合わせてシロップに含有させてもよい。一態様として、本発明の実施の形態のシロップにショ糖を更に含有させることができる。ここで、シロップのショ糖の含量は、特定の範囲で炭酸飲料に含有されるように設計することができる。例えば、シロップのショ糖の含量は、限定されないが、炭酸飲料のショ糖の含量が6~12g/100gとなるように設定することができる。
【0042】
また、果汁、酸味料、香料、果汁、植物の抽出物、乳製品、その他のフレーバー等、食品添加物として認可されている成分、又は認可されていなくても古くから食経験があり、一般的に安全であると認識されている成分を更にシロップに含有させてもよい。
【0043】
炭酸飲料の調製において、炭酸ガスの供給は、シロップと炭酸水を混合することによって行うことができる。当該混合は、シロップを収容する容器に炭酸水を添加することによって行ってもよいし、炭酸水を収容する容器にシロップを添加することによって行ってもよいし、或いはシロップと炭酸水を別の容器に移しながら行ってもよい。また、シロップと炭酸飲料を同一の工場で調製してもよいし、シロップをコンテナ等に充填して別の工場へ運搬し、炭酸水と混合することにより炭酸飲料を調製してもよい。さらに、シロップを飲食店などに運搬し、飲食店において利用者がシロップと炭酸水とを混合して炭酸飲料を調製してもよい。或いは、炭酸ガスの供給は、シロップを水で希釈した後、炭酸ガスを圧入することによっても行うことができる。炭酸飲料への炭酸ガスの供給量は、ガス圧として規定することができる。炭酸飲料におけるガス圧が、例えば、1.7kgf/cm以上、1.89kgf/cm以上、2.15kgf/cm以上となるように、炭酸ガスをシロップに供給することができる。そして、必要に応じ、炭酸ガスの供給量に上限を設けてもよい。例えば、炭酸飲料におけるガス圧が、5.0kgf/cm以下、4.0kgf/cm以下となるように炭酸ガスをシロップに供給することができる。従って、炭酸飲料は、容器詰めとすることができる。容器は、いずれの形態・材質の容器を使用することができ、例えば、ビン、缶、樽、又はペットボトル等の容器であってもよい。また、炭酸飲料の容器への充填の方法も特に制限されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6