(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を操作するための装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220713BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220713BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20220713BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20220713BHJP
G02F 1/19 20190101ALI20220713BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/133 520
G02F1/1334
G02F1/15 502
G02F1/19 501
(21)【出願番号】P 2020500790
(86)(22)【出願日】2018-07-10
(86)【国際出願番号】 EP2018068606
(87)【国際公開番号】W WO2019011891
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-03-09
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】フローリアーン マンツ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ベーバー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エフェルツ
(72)【発明者】
【氏名】トーステン ドラガス
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-072895(JP,A)
【文献】国際公開第2015/185428(WO,A1)
【文献】特開2000-105363(JP,A)
【文献】特開平08-142203(JP,A)
【文献】特開2004-317908(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0188105(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102968973(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/1334
G02F 1/15 - 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)を有する装置(100)であって、
・出力電圧Uを有する電気エネルギー源(1)、
・電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)であって、高分子分散型液晶(PDLC)フィルムである機能素子(2)及び
・前記電気エネルギー源(1)と前記機能素子(2)とを接続する少なくとも二つの供給線(3)を備え、
前記出力電圧Uは交流電圧であって、
・周波数fは40Hz~210Hzであり、
・最大振幅U
maxは24V~100Vであり、
・前記出力電圧Uの-80%U
maxと80%U
maxの間の範囲の勾配は0.05×U
max/100μs~0.1×U
max/100μsであり、かつ
前記出力電圧Uの80%U
maxと-80%U
maxの間の範囲の勾配は-0.05×U
max/100μs~-0.1×U
max/100μsであり、
・前記出力電圧Uの-100%U
maxと-80%U
maxの間、及び80%U
maxと100%U
maxの間の範囲の勾配が、0.05×U
max/100μs未満であり、かつ
前記出力電圧Uの100%U
maxと80%U
maxの間、及び-80%U
maxと-100%U
maxの間の範囲の勾配が、-0.05×U
max/100μsよりも大きい、
装置(100)。
【請求項2】
電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)を有する装置(100)であって、
・出力電圧Uを有する電気エネルギー源(1)、
・電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)であって、高分子分散型液晶(PDLC)フィルムである機能素子(2)及び
・前記電気エネルギー源(1)と前記機能素子(2)とを接続する少なくとも二つの供給線(3)を備え、
前記出力電圧Uは交流電圧であって、
・周波数fは40Hz~210Hzであり、
・最大振幅U
maxは24V~100Vであり、
・前記出力電圧Uの-80%U
maxと80%U
maxの間の範囲の勾配は0.05×U
max/100μs~0.1×U
max/100μsであり、かつ
前記出力電圧Uの80%U
maxと-80%U
maxの間の範囲の勾配は-0.05×U
max/100μs~-0.1×U
max/100μsであり、
・前記出力電圧Uの-100%U
maxと-90%U
maxの間、及び90%U
maxと100%U
maxの間の範囲の勾配が、0.05×U
max/100μs未満である、
装置(100)。
【請求項3】
前記機能素子(2)が平坦である、請求項1又は2に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記周波数fが、45Hz~105Hzである、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記最大振幅U
maxは50V~75Vである、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項6】
-90%U
maxと-80%U
maxの間、及び80%U
maxと90%U
maxの間の範囲の前記勾配が、0.05×U
max/100μs~0.1×U
max/100μsである、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)を有する装置(100)であって、
・出力電圧Uを有する電気エネルギー源(1)、
・電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)であって、高分子分散型液晶(PDLC)フィルムである機能素子(2)及び
・前記電気エネルギー源(1)と前記機能素子(2)とを接続する少なくとも二つの供給線(3)を備え、
前記出力電圧Uは交流電圧であって、
・周波数fは40Hz~210Hzであり、
・最大振幅U
maxは24V~100Vであり、
・前記出力電圧Uの-80%U
maxと80%U
maxの間の範囲の勾配は0.05×U
max/100μs~0.1×U
max/100μsであり、かつ
前記出力電圧Uの80%U
maxと-80%U
maxの間の範囲の勾配は-0.05×U
max/100μs~-0.1×U
max/100μsであり、
温度計(5)が前記機能素子(2)上に配置されており、かつ
前記温度計(5)が前記電気エネルギー源(1)に接続されており、ここで、前記温度計(5)が温度を測定可能なように、かつ前記温度計(5)で測定した前記温度に合わせて前記最大振幅U
maxが変化するように
、前記電気エネルギー源(1)が構成されている、
装置(100)。
【請求項8】
前記機能素子(2)が複合ペイン(10)内に配置されており、かつ前記温度計(5)が、前記複合ペイン(10)内に配置されている、請求項7に記載の装置(100)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置(100)を制御する方法であって、
(a)温度Tを前記温度計(5)で測定し、かつ
(b)前記出力電圧Uの前記最大振幅U
maxが、前記温度に合わせて変化し、ここで、前記温度計(5)による前記温度Tが所定の閾値温度T
Sから上昇するにつれて最大出力電圧U
maxは低下し、かつ前記温度Tが所定の閾値温度T
Sまで下降するにつれて最大出力電圧U
maxは増加する、
方法。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の装置(100)を制御する方法であって
、
温度Tを前記温度計(5)で測定し、かつ前記出力電圧Uの前記最大振幅U
maxが、前記温度Tの関数として変化し、ここで、
T≦T
Sの場合、50V≦U
max,k≦75Vの範囲で、U
max=U
max,k=一定であり、かつ
T>T
Sの場合、50V-1.5V/℃×(T-T
S)≦U
max≦75V-0.5V/℃×(T-T
S)であり、かつ
40℃≦T
S≦60℃の範囲でT
S=一定である、
方法。
【請求項11】
T≦T
Sの場合、50V≦U
max,k≦75Vの範囲で、U
max=U
max,k=一定であり、かつ
T>T
Sの場合、U
max=U
max,k+g(T-T
S)、
ここで、-1.5V/℃≦g≦-0.5V/℃であり、
かつ40℃≦T
S≦60℃の範囲で、T
S=一定である、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
T≦T
Sの場合、60V≦U
max,k≦70Vの範囲で、U
max=U
max,k=一定であり、かつ
T>T
Sの場合、U
max=U
max,k+g(T-T
S)、
ここで、g=一定であって、-1.5V/℃≦g≦-0.5V/℃であり、
かつ40℃≦T
S≦60℃の範囲で、T
S=一定である、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
水上、陸上、又は空中を移動する乗物における、又は建物の内部グレージング若しくは外部グレージングにおける、サンスクリーンとしての又はプライバシースクリーンとしての機能素子(2)を制御するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に制御可能な光学特性を有する少なくとも一つの機能素子を操作するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物分野や建築分野では、電気的に制御可能な機能素子を有する複合ペインが、サンスクリーンやプライバシースクリーンとしてしばしば使用されている。
【0003】
したがって、例えば、サンバイザーが電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子の形をとって組み込まれているウィンドシールドが知られている。特に可視域における電磁放射の透過率や散乱特性は、電気的に制御可能である。機能素子は通常フィルム状であり、複合ペイン内に積層されているか、複合ペインの上に接着されている。ウィンドシールドの場合、運転者は、日光に対するガラスペイン自体の光透過率の挙動を調節することができる。したがって、従来の機械的なサンバイザーを省略することができる。その結果、乗物の重量を低減でき、ルーフ回りのスペースを増やすことができる。また、サンバイザーを電気的に制御することは、機械的なサンバイザーを手動で折りたたむよりも簡便である。
【0004】
このような電気的に制御可能なサンバイザーを有するウィンドシールドは、例えば、独国特許出願公開第10 2013 001 334 A1号公報、独国特許10 2005 049 081 B3号明細書、独国特許出願公開第10 2005 007 427 A1号公報、及び独国特許出願公開第10 2007 027 296 A1号公報から知られている。
【0005】
電気的に制御可能な機能素子の代表的なものは、エレクトロクロミック層構造又は懸濁粒子デバイス(SPD)フィルムを含んでいる。電気的に制御可能なサンスクリーンを実現できるさらなる可能な機能素子として、いわゆるPDLC機能素子(高分子分散型液晶)がある。この機能素子の活性層には、ポリマーマトリックスに埋め込まれた液晶が含まれている。透明な表面電極が活性層の両側に配置され、それにより電界を活性層に印加できるようになっている。電圧が印加されていない時は、液晶は不規則に配向しており、そのため活性層を通過する光は激しく散乱する。表面電極に電圧が印加されると、液晶は同一の方向に配向し、活性層を通過する光の透過率は高くなる。PDLC機能素子は、全透過率を減少させることによって機能するよりも、代わりに、散乱を増加させることによって機能して、まぶしさからの保護を保証する。例として、米国特許出願公開第2017/090224 A1号公報、及び日本国特開2013-072895号公報にこのようなPDLC機能素子が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を操作するための改良された装置であって、特にその経時劣化耐性の点で改良された装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、独立請求項1に記載の装置により達成される。好ましい実施形態は、従属項から明らかとなる。
【0008】
本発明に係る、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を操作するための装置は、少なくとも、
・出力電圧Uを有する電気エネルギー源、
・電気的に制御可能な光学特性を有する少なくとも一つの機能素子、及び
・前記電気エネルギー源と前記機能素子とを接続する少なくとも二つの供給線を備え、
この出力電圧Uは交流電圧であって、
・周波数fは40Hz~210Hz、好ましくは45Hz~105Hz、特に好ましくは49Hz~69Hzであり、
・最大振幅Umaxは24V~100V、好ましくは50V~75V、特に好ましくは60V~70Vであり、かつ
・この出力電圧Uの-80%Umaxと80%Umaxの間の範囲の勾配は0.05×Umax/100μs~0.1×Umax/100μsであり、かつ
この出力電圧Uの80%Umaxと-80%Umaxの間の範囲の勾配は-0.05×Umax/100μs~-0.1×Umax/100μsである。
【0009】
すなわち、本発明に係る装置は、少なくとも一つの本発明に係る機能素子と、それを操作するためのさらなる装置を備えている。
【0010】
「勾配」との用語は、数学では一般的なように、時間の経過に伴う出力電圧Uの微分値(dU(t)/dt)、言い換えれば、上記の出力電圧Uのそれぞれの範囲内(すなわち、-80%Umaxと80%Umaxの間(立ち上がりエッジ)又は80%Umaxと-80%Umaxの間(立ち下がりエッジ))の任意の時点における局部的勾配を指す。勾配は、それぞれ、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ内で必ずしも一定ではない。それぞれの範囲において、勾配が本発明に係る勾配の範囲から逸脱しないことのみが重要である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジのそれぞれの範囲においても、出力電圧Uは、時間tに伴い直線的に推移することができ、それによって、その勾配が、それぞれの範囲において一定となるようにされている。
【0012】
最大振幅Umaxは、好ましくは一定であるか、又は所定の温度範囲にわたって、若しくは所定の閾値温度未満で、一定である。
【0013】
本発明の別の有利な実施形態において、出力電圧Uの下記の範囲における勾配は、以下のとおりである:
-100%Umax~-80%Umaxの間、及び80%Umax~100%Umaxの間の範囲では、0.05×Umax/100μsより小さく(好ましくは0と0.05×Umax/100μsの間)であり、かつ
100%Umax~80%Umaxの間、及び-80%Umax~-100%Umaxの間の範囲では、-0.05×Umax/100μsより大きい(好ましくは-0.05×Umax/100μsと0の間)。
【0014】
本発明の有利な実施形態において、出力電圧Uの下記の範囲における勾配は、以下のとおりである:
-90%Umaxと90%Umaxの間の範囲では、0.05×Umax/100μs~0.1×Umax/100μsであり、かつ
90%Umaxと-90%Umaxの間の範囲では、-0.05×Umax/100μs~-0.1×Umax/100μsである。
【0015】
さらなる有利な展開では、出力電圧Uの下記の範囲における勾配は、以下のとおりである:
-100%Umaxと-90%Umaxの間、及び90%Umaxと100%Umaxの間の範囲では、0.05×Umax/100μsより小さく、かつ
100%Umaxと90%Umaxの間、及び-90%Umaxと-100%Umaxの間の範囲では、-0.05×Umax/100μsより大きい。
【0016】
本発明に係る機能素子は、単一ペイン若しくは複合ペインの外側又は内側、あるいは複合ペイン内に配置するのが有利である。
【0017】
さらなる有利な展開では、本発明に係る装置は、機能素子上に配置された温度計を有する。温度計と機能素子との最大距離は、好ましくは10mmであり、より好ましくは1mmである。特に、温度計は、機能素子に直接取り付ける。
【0018】
温度計は、例えば、抵抗温度計、又は負温度係数(NTC)サーミスタ若しくは正温度係数(PTC)サーミスタが通常用いられ、好ましくは小型のものである。
【0019】
温度計は電力源と、例えば信号線を介して接続されている。電力源は、温度計が温度を測定可能なように、かつ最大出力電圧Umaxが温度に合わせて変化するように構成されている。
【0020】
本発明はさらに、本発明に係る装置を制御する方法を提供し、この方法では、
(a)温度Tを温度計で測定し、かつ
(b)出力電圧Uの最大振幅Umaxが、温度に合わせて変化し、ここで、温度Tが所定の閾値温度TSから上昇するにつれ最大振幅Umaxは低下し、温度Tが閾値温度TSまで下降するにつれて最大振幅Umaxは増加する。
【0021】
閾値温度TS未満の温度Tに対しては、最大振幅Umaxは、好ましくは一定に保たれる。
【0022】
本発明はさらに、本発明に係る装置を操作する方法を提供し、この方法では、温度Tを温度計で測定し、かつ出力電圧Uの最大振幅Umaxが、以下のとおり、温度Tの関数として変化する:
T≦TSの場合:Umax,u≦Umax≦Umax,oかつ
T>TSの場合:Umax,u+gu×(T-TS)≦Umax,T≦Umax,o+go×(T-TS)、
ここで、Umax,u≦Umax,T≦Umax,o及びgu≦go≦0V/℃、
かつ、TSは一定である。
【0023】
Umax,uは下側最大振幅、Umax,oは上側最大振幅であり、guは下側勾配、goは上側勾配である。
【0024】
好ましい実施形態において、次式が成り立つ:
Umax,u=24V、Umax,o=100V、gu=2V/℃、及びgo=0.3V/℃であって、40℃≦TS≦60℃である。
【0025】
特に好ましい実施形態において、次式が成り立つ:
Umax,u=60V、Umax,o=70V、gu=1.5V/℃、及びgo=0.5V/℃であって、40℃≦TS≦60℃である。
【0026】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態において、次式が成り立つ:
T≦TSの場合:50V≦Umax,k≦75Vの範囲で、Umax=Umax,k=一定であり、かつ
T>TSの場合:Umax=Umax,k+g(T-TS)、
ここで、-1.5V/℃≦g≦-0.5V/℃であり、
かつ、40℃≦TS≦60℃の範囲で、TS=一定であり、
特に好ましくは45℃≦TS≦55℃、例えば、TS=50℃である。
【0027】
本発明に係る方法の別の好ましい実施形態において、次式が成り立つ:
T≦TSの場合:60V≦Umax,k≦70Vの範囲で、Umax=Umax,k=一定であり、かつ
T>TSの場合:Umax=Umax,k+g(T-TS)、
ここで、g=一定であって、-1.5V/℃≦g≦-0.5V/℃であり、
かつ40℃≦TS≦60℃の範囲で、TS=一定であり、
特に好ましくは45℃≦TS≦55℃、例えば、TS=50℃である。
【0028】
本発明に係る複合ペインは、少なくとも以下のものを備えている:
・外部ペイン、第1の中間層、第2の中間層、及び内部ペインを順次積層して形成した積層体、ここで、これらの中間層は、それぞれ、少なくとも一つの可塑剤を含む少なくとも一つの熱可塑性ポリマーフィルムを含み、及び
・第1の中間層と第2の中間層との間に少なくとも部分的に配置された、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子。
【0029】
複合ペインは、例えば、乗物のウィンドシールド若しくはルーフパネル、又は他の乗物のグレージングとすることができ、例えば、好ましくは軌道乗物やバスなどの乗物における分離(間仕切り)ペインとすることができる。あるいは、複合ペインは、建築物のグレージング、例えば、建物の外面ファサードや、建物の内部の分離ペインとすることができる。
【0030】
「外部ペイン」及び「内部ペイン」との用語は、任意に、2つの異なるガラスペインを指す。具体的には、外部ペインを「第1のペイン」、内部ペインを「第2のペイン」と称することができる。
【0031】
複合ペインが、外部環境から内部を分離するために、乗物や建物のウィンドウ開口部に設けられた場合、本発明の観点からすれば、「内部ペイン」は、内部(乗物内部)を向いたペイン(第2のペイン)を指す。「外部ペイン」は、外部環境のほうを向いたペイン(第1のペイン)を指す。ただし、本発明はこのような定義に限定されない。
【0032】
本発明に係る複合ペインは、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を含んでおり、この機能素子は、第1の中間層と第2の中間層の間に少なくとも部分的に配置されている。第1及び第2の中間層は、通例として、外部ペイン及び内部ペインと同じ寸法を有している。
【0033】
機能素子は、好ましくは、平坦に、言い換えればフィルム状に実施されている。
【0034】
本発明に係る複合ペインの有利な実施形態において、中間層は、ポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマーを含有している。
【0035】
本発明に係る複合ペインの特に有利な実施形態において、中間層は少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも20重量%、さらに好ましくは少なくとも30重量%、特に好ましくは少なくとも40重量%の可塑剤を含有している。好ましくは、可塑剤はトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)を含有するか、それよりなる。
【0036】
可塑剤は、プラスチックをより柔らかく、より可撓性に、より滑らかに、及び/又はより弾性的にする化学物質である。可塑剤は、プラスチックの熱弾性範囲をより低い温度側にシフトさせ、プラスチックに使用する温度の範囲で所望の特性を与えるものである。他の好ましい可塑剤としては、カルボン酸エステル、特に低揮発性カルボン酸エステル、脂肪、油、軟性樹脂、及び樟脳などがある。他の可塑剤としては、好ましくは、トリ又はテトラエチレングリコールの脂肪族ジエステルが挙げられる。特に好ましく用いられる可塑剤としては、3G7、3G8、又は4G7などがあり、これらの最初の数字がエチレングリコール単位の数を、最後の数字がその化合物のカルボン酸部分の炭素原子数を表している。したがって、3G8は、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)を表しており、すなわち、式:C4H9CH(CH2CH3)CO(OCH2CH2)3O2CCH(CH2CH3)C4H9の化合物である。
【0037】
本発明に係る複合ペインの、特に有利な別の実施形態において、中間層は少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%、特に好ましくは少なくとも97重量%のポリビニルブチラールを含有している。
【0038】
各々の中間層の厚さは、好ましくは0.2mm~2mm、より好ましくは0.3mm~1mm、特に好ましくは0.3mm~0.5mm、例えば0.38mmである。
【0039】
本発明に係る複合ペインの有利な実施形態において、機能素子はバリアフィルムによって完全に又は部分的に、直接取り囲まれている。バリアフィルムは、中間層から外部へ可塑剤が拡散し、機能素子の活性層に入り込むと、機能素子の電気的に制御可能な光学特性を失わせることになるので、これを防止するために設けられている。
【0040】
本発明に係る複合ペインの特に有利な実施形態において、バリアフィルムにおける可塑剤の含有量は低く、好ましくは3重量%未満、より好ましくは1重量%未満、特に好ましくは0.5重量%未満である。最も好ましいのは、バリアフィルムは可塑剤を含有せず、言い換えれば、可塑剤が意図的には添加されていない状態である。バリアフィルムは、ポリマー、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET又はポリフッ化ビニル(PVF)を含有するか、又はこれでできている。また、バリアフィルムは、可塑剤の含有量が3重量%未満の低可塑剤ポリビニルブチラール(PVB)を含有していてもよい。
【0041】
制御可能な機能素子は、典型的には、二つの表面電極の間に活性層を有する。活性層は、表面電極に印加された電圧によって制御することができる、制御可能な光学特性を有する。表面電極と活性層は、通常、外部ペイン及び内部ペインの表面と実質的に平行に配置される。表面電極は、外部の電圧源に、それ自体既知の様式で電気的に接続される。電気的接触は、適切な接続ケーブルを用いて実現され、例えば、導電性の部材又は導電性インプリントの条片などからなる、いわゆる「バスバー」を介して表面電極に任意に接続される箔導体を用いて実現できる。
【0042】
表面電極は、好ましくは、透明な導電性の層として構成される。表面電極は、好ましくは、少なくとも金属、合金、又は透明な導電性酸化物(TCO)を含有する。表面電極は、例えば、銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、インジウム錫酸化物(ITO)、ガリウムドープ又はアルミニウムドープ酸化亜鉛、及び/又はフッ素ドープ又はアンチモンドープ酸化錫を含むことができる。表面電極の厚さは、好ましくは10nm~2μm、特に好ましくは20nm~1μm、最も好ましくは30nm~500nmである。
【0043】
機能素子は、活性層と表面電極に加え、それ自体既知の他の層、例えば、バリア層、遮蔽層、反射防止層、保護層、及び/又は平滑層などを有してもよい。
【0044】
機能素子は、好ましくは二つの外側キャリアフィルムを含む多層フィルムとして存在する。このような多層フィルムでは、表面電極と活性層は二つのキャリアフィルムの間に配置される。ここで「外側キャリアフィルム」とは、キャリアフィルムが多層フィルムのその二つの面を形成することを指す。このように、機能素子を、有利には加工が可能な積層フィルムとして設けることができる。機能素子は、キャリアフィルムによって、損傷、特に腐食から効果的に保護される。多層フィルムは、少なくとも一つのキャリアフィルム、一つの表面電極、一つの活性層、もう一つの表面電極、及びもう一つのキャリアフィルムを、この順で含有する。キャリアフィルムは、特に表面電極を担持するとともに、液体又は軟性の活性層に必要な機械的安定性を付与するものである。
【0045】
キャリアフィルムは、好ましくは少なくとも一つの熱可塑性ポリマー、特に好ましくは低可塑剤の又は可塑剤を含まない、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含有する。これは多層フィルムの安定性を確保する上で特に有利である。しかしながら、キャリアフィルムは、他の低可塑剤の又は可塑剤を含まないポリマーを含むか又はこのポリマーでできていてもよく、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリアセテート樹脂、注型用樹脂、アクリレート、フッ化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、及び/又はエチレン―テトラフルオロエチレンを含有するか、又はこれでできていてもよい。キャリアフィルムの厚さは好ましくは0.1mm~1mm、特に好ましくは0.1mm~0.2mmである。
【0046】
典型的には、キャリアフィルムは、各々、活性層に面しかつ表面電極として作用する導電性コーティングを有する。
【0047】
本発明に係る複合ペインの有利な別の実施形態において、機能素子は、PDLC(高分子分散型液晶)機能素子である。PDLC機能素子の活性層は、ポリマーマトリックスに埋め込まれた液晶を含んでいる。電圧が表面電極に印加されていない時は、液晶は不規則に配向しており、そのため活性層を通過する光は激しく散乱する。表面電極に電圧が印加されると、液晶は同一の方向に配向し、活性層を通過する光の透過率は高くなる。
【0048】
しかしながら、原則として、他の種類の制御可能な機能素子、例えばエレクトロクロミック機能素子や、SPD(懸濁粒子デバイス)機能素子を用いることも可能である。上記の制御可能な機能素子及びその操作方式は当業者には公知であるので、これらに関する詳細な説明はここでは省略する。
【0049】
多層フィルムのような機能素子は一般に市販されている。組み込むべき機能素子は通常、比較的大きなサイズの多層フィルムから所望の形状及びサイズに切り取られる。この工程は機械的に、例えばナイフを用いて行うことができる。有利な実施形態において、切断はレーザーを使用して行われる。この場合は、機械的に切断した場合よりも、側端がより安定であることが確認されている。機械的に切断した側端の場合、材料がめくれてしまい、その部分が視覚的に目立ってペインの見栄えが損なわれるリスクが生じ得る。しかも、表面電極が互いに接触してしまうリスクも増大する。
【0050】
機能素子は、第1の中間層部分を介して外部ペインと接合し、かつ第2の中間層部分を介して内部ペインと接合している。これらの中間層は、その2層の間に機能素子を挿入しながら、好ましくは、互いに上下に重ねて配置し、かつ互いに積層する。このため、機能素子と重なる中間層の領域は、機能素子をペインに接合する領域を形成する。それ以外の、中間層がペインと直接接触している領域では、中間層同士が積層過程で融合し、元の2層が互いに識別不能となり、一体化した均質な中間層が形成される。
【0051】
中間層は、例えば単一の熱可塑性フィルムで形成することができる。また、中間層は2層、3層、又は多層の積層フィルムとして形成することができ、この場合それぞれのフィルムの物性は同じでも異なっていてもよい。さらに、中間層は、異なる熱可塑性フィルムの部分同士を、それらの側端が当接するように結合して形成してもよい。
【0052】
本発明に係る複合ペインの有利な展開において、第1の又は第2の中間層における、それを介して機能素子が外部ペイン又は内部ペインと接合する部分に相当する領域は、薄く色がついているか又は着色している。したがって、この領域の、可視スペクトル範囲の光の透過率は、薄く色かついていないか又は着色していない層と比べて低くなる。そのため、中間層の薄く色がついた/着色した領域によって、ウィンドシールドのサンバイザーに相当する領域の光透過率は低下する。特に、着色によって、見る人により快適な印象を与える、よりニュートラルな外観が得られるので、機能素子の見栄えが向上する。
【0053】
本発明の観点から見て、「電気的に制御可能な光学特性」とは、広範囲に制御可能であるが、二つ又はそれを超える異なった状態を切り換えることが可能な特性も指す。
【0054】
サンバイザーの電気的制御は、例えば、乗物のダッシュボードに組み込んだスイッチ、回転ノブ、又はスライダーなどを用いて行うことができる。しかしながら、サンバイザーを制御するスイッチエリアは、ウィンドシールド、例えば容量スイッチ領域に組み入れることもできる。これに代えて又はこれに加えて、例えば、ジェスチャー認識や、カメラ及び適切な評価電子機器で検出した瞳や瞼の動きに応じることによって、無接触方式でサンバイザーを制御することもできる。これに代えて又はこれに加えて、ガラスに入射する光を検出するセンサーを用いてサンバイザーを制御することもできる。
【0055】
中間層の薄く色がついた又は着色した領域は、可視スペクトル範囲で、好ましくは10%~50%、特に好ましくは20%~40%の透過率を有する。これにより、ぎらつき防止及び見栄えの点で、特に良好な効果が達成できる。
【0056】
中間層は単一の熱可塑性フィルムから形成できるが、その場合、薄く色がついた又は着色した領域は、局部的に薄く色をつけるか又は着色することで得られる。このようなフィルムは、例えば共押出によって得ることができる。あるいは、無彩色のフィルム部分と、薄く色がついた又は着色したフィルム部分とを結合して、熱可塑性フィルム層を形成してもよい。
【0057】
薄く色がついた又は着色した領域は、均一に薄く色がついているか又は着色しており、言い換えれば、位置に左右されない光透過率が得られる。しかしながら、薄い色付け又は着色は、特に漸増的な光透過率となるように、不均一にすることができる。ある実施形態において、透過率レベルは、上縁から遠ざかるほど、彩色又は着色領域において少なくとも部分的に増加する。したがって、薄く色がついた又は着色した領域に、くっきりとした端縁が形成されることを回避でき、サンバイザーからウィンドシールドの透明な領域への移行が緩やかになるため、より魅力的な美観を得ることができる。
【0058】
有利な実施形態において、第1の中間層における領域、すなわち、機能素子と外部ペインの間に相当する領域は、薄く色がついている。これにより、外部ペインを上から見た場合に、特に美的な印象が得られる。第2の中間層における、機能素子と内部ペインの間に相当する領域は、任意にかつ追加的に、薄く色をつけるか又は着色することができる。
【0059】
電気的に制御可能な機能素子を有する複合ペインは、電気的に制御可能なサンバイザーを有するウィンドシールドとして有利に実施することができる。
【0060】
このようなウィンドシールドは、上端、下端、及び上端と下端の間に延在する両側の側端を有する。「上端」は、設置位置において上方を向くことを意図した端縁である。「下端」は、設置位置において下方を向くことを意図した端縁である。上端は「ルーフエッジ」と呼ばれることもあり、下端は「エンジンエッジ」と呼ばれることもある。
【0061】
ウィンドシールドは中心視野を有し、この部分の光学的品質については高い要求が課されている。中心視野は高い光透過率(典型的には70%超)を持たねばならない。上記の中心視野は、具体的には、当業者の間で視野B、視覚領域B、又はゾーンBと呼ばれる視野である。視野Bとこれに対する技術的要件は、国連欧州経済委員会(UN/ECE)の規則No.43(ECE-R43、「安全ガラス材及び車両への取り付けの認可に関する統一規定」)に定められている。これによると、視野Bは附則18に定義されている。
【0062】
このため、機能素子を、有利には中心視野(視野B)の上部に配置する。すなわち、機能素子を中心視野とウィンドシールドの上端との間に配置する。機能素子をこの領域全体を覆うように配置する必要はないが、機能素子を完全に上記の領域内に配置し、かつ機能素子は中心視野に進入することはない。言い換えれば、機能素子は、中心視野からよりも、ウィンドシールドの上端からより近い距離にある。したがって、中心視野の光透過率は、機能素子の影響を受けることがなく、機能素子は、折りたたまれた状態にある従来からの機械的サンバイザーの位置と同様な位置にある。
【0063】
ウィンドシールドは、好ましくは自動車に、特に好ましくは乗用車に設けられる。
【0064】
好ましい実施形態において、機能素子、より厳密には機能素子の側端は、第3の中間層に周囲を囲まれている。第3の中間層は凹部を有する枠状に形成され、その凹部に機能素子が挿入される。第3の中間層は熱可塑性フィルムで形成することもでき、凹部を切り取りによってこのフィルム中に形成する。もしくは、第3の中間層は、複数のフィルム片を用いて、機能素子の周囲に形成してもよい。中間層は、好ましくは、互いに上下に重ねられた少なくとも3層の熱可塑性フィルム層で構成され、そのうち中間の層には機能素子を挿入する凹部が形成される。製造過程において、すべての中間層の側端を好ましくはぴったり合わせながら、第3の中間層を第1と第2の中間層の間に配置する。第3の中間層は、好ましくは機能素子と同じ厚さを有する。したがって、限られた位置に配置される機能素子がもたらす、ウィンドシールドの局部的な厚さの差異が補償され、それによって、積層工程中におけるガラスの破損を回避できる。
【0065】
ウィンドシールドを通じて見たときに見える機能素子の側端は、好ましくは第3の中間層と面一であり、それによって、機能素子の側端と、中間層のそれぞれ対応する側端との間に全くずれがない状態になっている。このことは、特に、通常視認できる機能素子の下端に当てはまる。したがって、第3の中間層と機能素子との境界は、視覚的により目立たなくなっている。また、端縁部は例えばガラスの外側から、黒色プリントで隠すことができる。
【0066】
好ましい実施形態において、機能素子と中間層の彩色領域の下端はウィンドシールドの上端の形状に合致するよう形成され、視覚的な印象をさらに向上させている。ウィンドシールドの上端は通常湾曲しており、特に凹形状に湾曲しているので、機能素子と彩色領域の下端も好ましくは湾曲している。特に好ましくは、機能素子の下端をウィンドシールドの上端と実質的に平行とする。しかしながら、サンバイザーを各々直線状の二つの半部で構成し、それらを互いに角度を付けて、ウィンドシールドの上端の形状に近似させてV字型に形成することもできる。
【0067】
本発明のある実施形態において、機能素子は分離線によってセグメントに分割されている。分離線は、特に、表面電極に形成することができ、それによって、表面電極の各セグメントを互いに絶縁するようになっている。個々のセグメントは、それぞれ独立に電圧源に接続され、別々に作動するようになっている。したがって、サンバイザーの異なる部分をそれぞれ独立して駆動することができる。特に好ましくは、分離線と各セグメントを、設置位置に対して水平に配置する。よって、サンバイザーの高さはユーザーが調節可能である。ここで「水平」とは広義に解釈されるべきであり、ウィンドシールドにおいて両側の側端を結ぶように延在する方向を指す。分離線は必ずしも直線である必要はなく、わずかに湾曲していてもよく、好ましくはウィンドシールドの上端にあり得る湾曲部に沿うように、特に、ウィンドシールドの上端と実質的に平行となるように形成される。言うまでもなく、縦方向の分離線を設けてもよい。
【0068】
分離線の幅は、例えば、5μm~500μm、好ましくは20μm~200μmである。セグメントの幅、すなわち、隣り合う分離線同士の距離は、個々のケースの条件に応じて、当業者により適切に選択される。
【0069】
分離線は、機能素子の製造工程中に、レーザー除去、機械的切断、又はエッチングなどで形成できる。あらかじめ積層された多層フィルムを、後工程でレーザー除去によりセグメントに分離してもよい。
【0070】
機能素子の上端及び側端、又はすべての端部は、複合ペインを通して見えないように、好ましくは不透明なマスキングプリント又は外枠によって隠すことができる。ウィンドシールドは通常、不透明なエナメルでできたマスキングプリントが周縁に沿って施されており、このマスキングプリントが、特に、ウィンドウの設置に使用した接着剤を隠し、かつ接着剤を紫外線から保護する。この周縁のマスキングプリントは、好ましくは、機能素子の上端と側端、そして必要な電気的接続を隠すようにも形成できる。サンバイザーはこのようにウィンドシールドの外観中に有利に組み込まれ、下端部のみが視覚的に識別可能となる。好ましくは、外部ペインと内部ペインの双方にマスキングプリントを施し、どちら側からも透けて見えないようにするとよい。
【0071】
機能素子は、例えばいわゆる「センサーウィンドウ」や「カメラウィンドウ」の部分に、凹部又はホールを形成してもよい。これらの部分には、ビーム経路に位置する制御可能な機能素子によって機能が損なわれかねないセンサーやカメラ、例えばレインセンサーが備えられることになっている。また、互いに隔離した少なくとも二つの機能素子を有するサンバイザーを実施することもでき、これらの機能素子間の領域をセンサーウィンドウやカメラウィンドウを配置するのに利用してもよい。
【0072】
機能素子(又は上記のように複数の機能素子の場合はそのすべて)は、好ましくは、例えば2mm~20mmの幅を持つ両側の端縁部を除いた、複合ペイン又はウィンドシールドの幅方向全域にわたって設けられる。また、機能素子は、好ましくは上端から例えば2mm~20mm離間して配置される。このように、機能素子は中間層内に封止され、周囲の外気との接触が遮断され、腐食から保護される。
【0073】
外部ペインと内部ペインは、通常のウィンドウペインにおいて一般的であるように、好ましくはガラス材でできており、特に好ましくはソーダ石灰ガラスでできている。しかしながら、これらのガラスを、他の種類のガラス、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、又はアルミノケイ酸ガラス、あるいは、例えばポリカーボネートやポリメチルメタクリレートなどの硬質透明プラスチックで構成してもよい。ペインは透明でも、薄く色がついていても又は着色していてもよい。ウィンドシールドは、中心視野において適切な光透過率が要求され、ECE-R43に準拠し、主視界ゾーンA(primary through-vision zone A)にて少なくとも70%の光透過率が必要である。
【0074】
外部ペイン、内部ペイン、及び/又は中間層には、さらに、例えば、反射防止コーティング、粘着防止コーティング、掻き傷防止コーティング、光触媒コーティング、耐光コーティング、又は低放射率コーティングなどの、公知の適切なコーティングを施してもよい。
【0075】
外部ペイン及び内部ペインの厚さは、幅広く変えることができ、したがって、個々のケースの条件に適応させることができる。外部ペイン及び内部ペインの厚さは、好ましくは0.5mm~5mm、特に好ましくは1mm~3mmである。
【0076】
本発明は、機能素子に印加される電圧はその最大値又は最小値にできるだけ急速に到達するのが有利であるという、発明者らの知見に基づくものである。機能素子は、通例として大きな容量を有しているので、高いスイッチング電流が必要であるが、このような電流は供給線、接触点、及び表面電極に大きな熱を与えるため、機能素子が短期間で経時劣化を起こしてしまう。ここで特に重要なのは、例えば、供給線から表面電極に接しているバスバーへの通過点や、バスバーから表面電極への通過点などの、相対的に高い接触抵抗のある部分の位置である。これらの部分では、局部的に高い温度が表面電極や機能素子の活性層に損傷を与え、又は早期の経時劣化を引き起こすことになる。本発明に基づく低下した勾配により、このような局部的な高温による過熱を回避することができる。
【0077】
上述のとおり、光学的透明度の点から、機能素子に対する最大又は最小電圧にできるだけ急速に到達することが有利である。矩形又は台形の信号の場合は、エッジとプラトーとの間の急速な移行により、隣り合う電子部品間の電磁両立性(EMC)に問題が生じることがある。この移行に丸み付けすることにより、干渉信号を抑制して電磁両立性を向上させることができる。
【0078】
本発明はさらに、乗物や建物の内部グレージング又は外部グレージングにおける、本発明に係る電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を操作する装置の使用も含み、ここで、この電気的に制御可能な機能素子は、サンスクリーン、又はプライバシースクリーンとして用いられる。
【0079】
本発明はさらに、乗物のウィンドシールド又はルーフパネルにおける、本発明に係る電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を操作する装置の使用も含み、ここで、この電気的に制御可能な機能素子は、サンバイザーとして用いられる。
【0080】
本発明に基づく、ウィンドシールドとして使用される複合ペインの主たる利点は、従来の、乗物のルーフに取り付けられ、機械的に折りたたまれるサンバイザーをなくすことができるという点にある。したがって、本発明は、このような従来のサンバイザーが取り付けられていない乗物、好ましくは自動車、特に乗用車をも提供するものである。
【0081】
本発明はまた、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子と、ウィンドシールドの外部ペイン又は内部ペインとを接合するための、中間層の薄く色がついた又は着色した領域の使用に関するものであり、ここで、この電気的に制御可能なサンバイザーは、中間層の薄く色がついた又は着色した領域及び機能素子によって実現される。
【0082】
本発明を、添付の図面と例示的な実施形態に基づき、詳細に説明する。図面は模式図であって、大小関係は必ずしも実際のとおりではない。また図面は本発明を何ら限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【
図1A】本発明に係る、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子を操作するための装置の、一実施形態を表す平面図である。
【
図1B】
図1Aに示す複合ペインの、切断線X-X’に沿った断面図である。
【
図2A】出力電圧Uを時間tの関数として表した略図である。
【
図2B】
図2Aの略図からの、時間tの関数として表した出力電圧Uの詳細拡大図である。
【
図3】最大出力電圧U
maxを温度Tの関数として表した略図である。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1Aは、電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子2を操作するための装置100を表す。装置100は、電気エネルギー源1を備えており、この電気エネルギー源は、2本の供給線3を介して機能素子2と電気的に導通して接続している。この例では、機能素子2は複合ペイン10内に配置されている。
【0085】
図1Bは、本発明に係る複合ペイン10の断面図である。複合ペイン10は、外部ペイン11と内部ペイン12とを有し、これらは第1の中間層13a及び第2の中間層13bを介して互いに接合されている。外部ペイン11の厚さは2.1mmであり、例えば透明なソーダ石灰ガラスで形成されている。内部ペイン12の厚さは1.6mmであり、これも例えば透明なソーダ石灰ガラスで形成されている。複合ペイン10を、乗物のグレージングとして、例えば自動車のルーフにおけるルーフパネルとして配置することができる。別の例示的な実施形態では、複合ペイン10を、建築物のグレージングとして他のペインと共にウィンドウのフレームに配置して、断熱グレージングを形成することができる。
【0086】
電圧によってその光学特性を制御することができる機能素子2は、第1の中間層13aと第2の中間層13bの間に配置されている。
【0087】
制御可能な機能素子2は、例えば、二つの表面電極22、23の間の活性層21、及び二つのキャリアフィルム24、25からなるPDLC多層フィルムである。活性層21は、表面電極に印加される電圧に応じて配向する液晶が内部に分散したポリマーマトリックスを有し、これによって光学特性が制御できる。キャリアフィルム24、25はPETでできており、厚さは例えば、0.125mmである。キャリアフィルム24、25は、活性層21に面して約100nmの厚さを持つITOコーティングを具備しており、このコーティングが表面電極22、23を形成している。表面電極22、23は、図示していないバスバー(例えば銀含有スクリーンプリントにより形成したもの)を介して供給線3と接続し、かつ供給線を介してエネルギー源1と電気的に接続している。
【0088】
中間層13a、13bはそれぞれ、厚さが0.38mmの熱可塑性フィルムで構成されている。中間層13a、13bは、例えば、78重量%のポリビニルブチラール(PVB)及び可塑剤としての20重量%のトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)で形成されている。
【0089】
電気エネルギー源1は、供給線3を介して機能素子2の表面電極22、23に印加される出力電圧Uを出力し、その電圧レベルによって、機能素子2の光学特性、すなわち、この場合には可視光線に対する透過性を制御する。
【0090】
図2Aは、エネルギー源1の出力電圧Uを時間tの関数として表した略図である。出力電圧Uは装置の稼働中に、すなわち機能素子が接続されている時に、エネルギー源1から出力される。
【0091】
図2Bは、
図2Aの略図の詳細拡大図である。出力電圧Uは、基本的には、わずかに斜めに傾いたエッジと丸められたコーナー部を持つ台形電圧である。出力電圧Uは、最小値である-U
max(負の最大出力電圧)と最大値であるU
max(正の最大出力電圧)の間、例えば-65Vと+65Vの間で変動する。
【0092】
周波数は例えば50Hzであり、その周期Pは20msである。
【0093】
-80%Umaxと+80%Umaxの間、すなわち-52Vから+52Vへの立ち上がりエッジの勾配は、0.075×Umax/100μs、すなわち4.875V/100μsである。立ち上がり時間t1、すなわち-52Vから+52Vへの立ち上がりエッジの時間的長さは、1066.6μsとなる。80%Umaxと-80%Umaxの間、すなわち+52Vから-52Vへの立ち下がりエッジの勾配は、例えば-0.075×Umax/100μs、すなわち-4.875V/100μsである。+52Vから-52Vへの立ち下がりエッジの時間的長さは、同様に、1066.6μsとなる。
【0094】
勾配は80%Umaxと100%Umaxの間で緩やかになり、0.075×Umax/100μsより著しく低くなる。このことは、100%Umax~80%Umaxの範囲、-80%Umax~-100%Umaxの範囲、及び-100%Umax~-80%Umaxの範囲についても同様に当てはまる。矩形の信号のコーナー部を丸くすることにより、装置100の電磁両立性(EMC)が向上し、かつ、例えば周辺の電子部品間の干渉が大きく低減される。
【0095】
-80%Umaxから+80%Umaxまで、及び80%Umaxから-80%Umaxまでの勾配を低下させることにより、層構造の充放電電流が低減され、したがい供給線と活性層における加熱が抑制される。よって、経時劣化に対する耐性が大きく向上する。
【0096】
図3は、出力電圧Uの温度依存の最大振幅U
maxを、温度Tの関数として表した略図である。
【0097】
本発明に係る方法のある実施形態によれば、出力電圧Uの最大出力電圧U
maxは、機能素子2の温度Tに合わせて変動する。温度Tは、ここでは、例えば機能素子2に直接取り付けられた温度計5(例えば、
図1A、1B、1C参照)によって計測される。
【0098】
図示した例において、閾値温度TSより低い範囲では、出力電圧Uの最大振幅Umaxは一定(=Umax,k)である。閾値温度TSを超える範囲、例えば50℃より高い範囲では、最大振幅Umaxは低下する。閾値温度TSより高い温度Tでは、最大振幅Umaxは、例えば、Umax,k-1.0V/℃×(T-TS)である。言い換えれば、最大出力電圧Umax(TS以下の温度範囲)が65Vであって、かつ温度Tが75℃になると、温度依存の最大出力電圧Umaxは、例えば65V-1.0℃×(75℃-50℃)=40Vとなる。
【0099】
発明者らによる研究によれば、このような温度依存の最大出力電圧Umaxを用いるだけで、最終的な光学特性の面で所望の切り替え結果を達成するのに十分であること、すなわち、低い温度範囲におけるより高い最大出力電圧の場合に匹敵するような、透過率の値と不透過率の値を達成することが可能であることが示された。同時に、作動電力が節約され、機能素子における不要な付加的加熱が抑制され、したがって、その耐用寿命を延ばすことが可能となる。
【0100】
特に理論に基づいて確認しなくとも、上記の挙動は単純なモデルから理解できるであろう。PDLCフィルムは、2枚の透明なフィルムの間に埋め込まれたポリマー液晶フィルムを含んでいる。不規則な方向を向いた、電気的に分極した液晶分子が固形ポリマー内にあり、特定の電圧が印加されると、この液晶が電界内で配向する。
【0101】
PDLCフィルムは温度変化に対し非常に敏感である。互いに競合する二つの現象が起こる。温度が上昇すると、分極した液晶分子の固有の動きが増大し、電界中での配向がより困難となる。しかしながら、同時に、液晶の粘度が大きく低下し、言い換えれば液晶分子がより容易に分極し電界内で配向しやすくなる。さらに、液晶分子の相転移が起こる。
【0102】
発明者らが予期せず発見したことであるが、概して、より高い温度範囲では、より低い温度範囲でのより高い最大出力電圧の場合よりも小さな電界、したがってより低い電圧が必要であり、この低い電圧によって、より低い温度範囲でのより高い最大出力電圧の場合に匹敵するような透過率と不透過率を達成することができる。したがって、高い温度では電力を節約でき、かつPDLCフィルムは高い電圧が印加されないことにより保護され、その結果、耐用寿命の延長につながる。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)を有する装置(100)であって、
・出力電圧Uを有する電気エネルギー源(1)、
・電気的に制御可能な光学特性を持つ少なくとも一つの機能素子(2)、及び
・前記電気エネルギー源(1)と前記機能素子(2)とを接続する少なくとも二つの供給線(3)を備え、
前記出力電圧Uは交流電圧であって、
・周波数fは40Hz~210Hzであり、
・最大振幅U
max
は24V~100Vであり、
・前記出力電圧Uの-80%U
max
と80%U
max
の間の範囲の勾配は0.05×U
max
/100μs~0.1×U
max
/100μsであり、かつ
前記出力電圧Uの80%U
max
と-80%U
max
の間の範囲の勾配は-0.05×U
max
/100μs~-0.1×U
max
/100μsである、
装置(100)。
[2]前記機能素子(2)が平坦である、上記[1]に記載の装置(100)。
[3]前記機能素子(2)が、懸濁粒子デバイス(SPD)フィルム又は高分子分散型液晶(PDLC)フィルムである、上記[1]又は[2]に記載の装置(100)。
[4]前記周波数fが、45Hz~105Hz、好ましくは49Hz~69Hzである、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[5]前記最大振幅U
max
は50V~75V、好ましくは60V~70Vである、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[6]-100%U
max
と-80%U
max
の間、及び80%U
max
と100%U
max
の間の範囲の前記勾配が、0.05×U
max
/100μs未満であり、かつ
100%U
max
と80%U
max
の間、及び-80%U
max
と-100%U
max
の間の範囲の前記勾配が、-0.05×U
max
/100μsよりも大きい、
上記[1]から[5]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[7]-90%U
max
と-80%U
max
の間、及び80%U
max
と90%U
max
の間の範囲の前記勾配が、0.05×U
max
/100μs~0.1×U
max
/100μsである、上記[1]から[6]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[8]-100%U
max
と-90%U
max
の間、及び90%U
max
と100%U
max
の間の範囲の前記勾配が、0.05×U
max
/100μs未満である、上記[1]から[7]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[9]温度計(5)が前記機能素子(2)上に配置されており、かつ前記温度計(5)が電力供給源(1)に接続されている、上記[1]から[8]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[10]前記機能素子(2)が複合ペイン(10)内に配置されており、かつ前記温度計(5)が、好ましくは前記複合ペイン(10)内に配置されている、上記[1]から[9]のいずれか一つに記載の装置(100)。
[11]上記[9]又は[10]に記載の装置(100)を制御する方法であって、
(a)温度Tを前記温度計(5)で測定し、かつ
(b)前記出力電圧Uの前記最大振幅U
max
が、前記温度に合わせて変化し、ここで、前記温度計(5)による前記温度Tが所定の閾値温度T
S
から上昇するにつれて最大出力電圧U
max
は低下し、かつ前記温度Tが所定の閾値温度T
S
まで下降するにつれて最大出力電圧U
max
は増加する、
方法。
[12]上記[9]又は[10]に記載の装置(100)を制御する方法であって、
前記温度Tを前記温度計(5)で測定し、かつ前記出力電圧Uの前記最大振幅U
max
が、前記温度Tの関数として変化し、ここで、
T≦T
S
の場合、50V≦U
max,k
≦75Vの範囲で、U
max
=U
max,k
=一定であり、かつ
T>T
S
の場合、50V-1.5V/℃×(T-T
S
)≦U
max
≦75V-0.5V/℃×(T-T
S
)であり、かつ
40℃≦T
S
≦60℃の範囲でT
S
=一定である、
方法。
[13]T≦T
S
の場合、50V≦U
max,k
≦75Vの範囲で、U
max
=U
max,k
=一定であり、かつ
T>T
S
の場合、U
max
=U
max,k
+g(T-T
S
)、
ここで、-1.5V/℃≦g≦-0.5V/℃であり、
かつ40℃≦T
S
≦60℃の範囲で、T
S
=一定である、
上記[12]に記載の方法。
[14]T≦T
S
の場合、60V≦U
max,k
≦70Vの範囲で、U
max
=U
max,k
=一定であり、かつ
T>T
S
の場合、U
max
=U
max,k
+g(T-T
S
)、
ここで、g=一定であって、-1.5V/℃≦g≦-0.5V/℃であり、
かつ40℃≦T
S
≦60℃の範囲で、T
S
=一定である、
上記[12]に記載の方法。
[15]水上、陸上、又は空中を移動する乗物における、好ましくは、自動車のウィンドシールド若しくはルーフパネルとしての、又は建物の内部グレージング若しくは外部グレージングにおける、サンスクリーンとしての又はプライバシースクリーンとしての機能素子(2)を制御するための、上記[1]から[10]のいずれか一つに記載の装置(100)の使用。
【符号の説明】
【0103】
1 電圧源
2 電気的に制御可能な光学特性を有する機能素子
3 供給線
5 温度計
6 信号線
10 複合ペイン
11 外部ペイン
12 内部ペイン
13a 第1の中間層
13b 第2の中間層
21 機能素子5の活性層
22 機能素子5の表面電極
23 機能素子5の表面電極
24 キャリアフィルム
25 キャリアフィルム
100 装置
f 周波数
g 温度係数
go 上側温度係数
gu 下側温度係数
P 周期
t 時間
t1 立ち上がり時間
T 温度
TS 閾値温度
U 出力電圧
Umax 出力電圧Uの最大振幅
Umax,o 出力電圧Uの上側最大振幅
Umax,u 出力電圧Uの下側最大振幅
Umax,k 温度T≦TSの場合の出力電圧Uの最大振幅
X-X’ 切断線
Z 拡大領域