(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】イメージングアセンブリとその製造方法、及びモールド金型、撮像モジュールとスマート端末
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20220713BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/02 B
(21)【出願番号】P 2020508336
(86)(22)【出願日】2018-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2018096305
(87)【国際公開番号】W WO2019033897
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-02-13
(31)【優先権主張番号】201710693245.0
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201721013133.8
(32)【優先日】2017-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518168041
【氏名又は名称】▲寧▼波舜宇光▲電▼信息有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 武彦
(72)【発明者】
【氏名】姚 立▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 波杰
(72)【発明者】
【氏名】梅 哲文
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205961279(CN,U)
【文献】特開2006-041277(JP,A)
【文献】国際公開第2015/133631(WO,A3)
【文献】特開2002-110722(JP,A)
【文献】特開2004-296584(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光領域を備える感光素子、及び
前記感光領域の周囲に形成されていると共に、前記感光素子に接触しており、且つ、傾斜内側面と前記感光領域より高い天井面を有する、モールドパッケージ部を備え、
前記モールドパッケージ部の天井面と前記感光素子の感光領域との間の高度差は0.7mm以下であり、前記傾斜内側面は前記天井面とは異なる面粗さを有し、
前記モールドパッケージ部の天井面の面粗さプロファイル算術平均偏差は、傾斜内側面の面粗さプロファイル算術平均偏差より大き
く、
前記モールドパッケージ部の寸法は以下の不等式、
d
1
(1/sinα
1
-1/tanα
1
)+d
2
(1/sinα
2
-1/tanα
2
)≦0.4(b
1
+b
2
+b
3
)を満足しており、
式中、d
1
、α
1
、b
2
はそれぞれ前記モールドパッケージ部の片側の天井面と前記感光素子の感光領域との間の高度差、前記傾斜内側面の前記感光領域に対する傾斜角度、前記傾斜内側面の前記感光領域の平面における正投影の長さを示し、d
2
、α
2
、b
3
はそれぞれ前記片側の反対側の天井面と前記感光素子の感光領域との間の高度差、前記傾斜内側面の前記感光領域に対する傾斜角度、前記傾斜内側面の前記感光領域の平面における正投影の長さを示し、b
1
は、前記感光領域において、対向する前記傾斜内側面の間の距離を示し、
前記モールドパッケージ部の傾斜内側面の面粗さプロファイル算術平均偏差は1μm以上である、
ことを特徴とするイメージングアセンブリ。
【請求項2】
前記モールドパッケージ部の傾斜内側面の可視光に対する反射率は5%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のイメージングアセンブリ。
【請求項3】
前記傾斜内側面の前記感光領域に対する傾斜角度は20度~70度である、ことを特徴とする請求項1に記載のイメージングアセンブリ。
【請求項4】
イメージングアセンブリを製造する回路基板に感光素子を実装することと、
フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着させ、なお、前記フレキシブル膜は前記モールド金型に背向する粗い表面を備え、前記モールド金型の下部は圧力ヘッドと前記圧力ヘッドの周囲に位置するモジュール部を備え、前記圧力ヘッドのエッジ部は内側向き傾斜面を備えることと、
前記フレキシブル膜が付着されているモールド金型を前記感光素子の上に設置すると共に、前記モジュール部の前記感光素子に直面する底面と前記感光素子の天井面との間の高度差を0.7mm以下にすることと、
前記感光素子の周囲、及び、前記モジュール部の前記感光素子に直面する底面と、前記感光素子の天井面との間には、前記圧力ヘッドのエッジ部の内側向き傾斜面を取囲んでモールドパッケージ部をモールド成型することによって、前記モールドパッケージ部の前記内側向き傾斜面に隣接して形成した傾斜内側面には、前記内側向き傾斜面に付着されたフレキシブル膜の粗い表面と対応する粗い表面を有するようにすることを含み、
前記モジュール部に付着されているフレキシブル膜の粗い表面の面粗さプロファイル算術平均偏差は、前記内側向き傾斜面に付着されているフレキシブル膜の粗い表面の面粗さプロファイル算術平均偏差より大き
く、
フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着させた後、得られた前記フレキシブル膜の引張係数Kは1.4以下であり、
K=1+(d
1
(1/sinα
1
-1/tanα
1
)+d
2
(1/sinα
2
-1/tanα
2
))/(b
1
+b
2
+b
3
)、
式中、d
1
、α
1
、b
2
はそれぞれ前記モールドパッケージ部の片側の天井面と前記感光素子の感光領域との間の高度差、前記傾斜内側面の前記感光領域に対する傾斜角度、前記傾斜内側面の前記感光領域の平面における正投影の長さを示し、d
2
、α
2
、b
3
はそれぞれ前記片側の反対側の天井面と前記感光素子の感光領域との間の高度差、前記傾斜内側面の前記感光領域に対する傾斜角度、前記傾斜内側面の前記感光領域の平面における正投影の長さを示し、b
1
は、前記感光領域において、対向する前記傾斜内側面の間の距離を示し、
前記モールドパッケージ部の傾斜内側面の面粗さプロファイル算術平均偏差は1μm以上である、
ことを特徴とするイメージングアセンブリを製造する方法。
【請求項5】
前記フレキシブル膜が付着されているモールド金型を前記感光素子の上に設置することは、前記フレキシブル膜が付着されている前記圧力ヘッドを前記感光素子の感光領域へ直接に突き当てることを含む、ことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記フレキシブル膜は前記モールド金型に向ける粘着防止面を備える、ことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
前記フレキシブル膜は、ETFE、PTFE、PFA、FEP及びPSからなる群から選ばれる1種類または多種類の材料で製造されている、ことを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項8】
前記感光素子と前記傾斜内側面との間に位置する緩衝構造を更に備え、
前記モールドパッケージ部の天井面と前記緩衝構造の上部との間の高度差は0.7mm以下で、前記モールドパッケージ部の傾斜内側面は天井面とは異なる面粗さを有する、ことを特徴とする請求項1に記載するイメージングアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はイメージングアセンブリ及びスマート端末の技術分野に関する。
<関連出願の相互参照>
本願は、2017年8月14日に、中国国家知識産権局に提出した第201710693245.0号及び201721013133.8号の中国特許出願の優先権と権益を要求し、前記出願の全ての内容は、参照によって本文に援用される。
【背景技術】
【0002】
伝統のCOB(Chip on Board)製の撮像モジュール構造は、回路基板、感光チップ、ミラーホルダー、モーター駆動、レンズが組立てられてなり、同時に、他の様々な電子部品が回路基板の表面に配置されている。
【0003】
目前、従来の感光チップの感光領域の占有率は増加しており、感光領域のエッジ部は光窓の側壁に近づいている。光窓の側壁が感光領域にとても近いため、外部の光線が光窓の側壁により反射されて感光領域に到達する強度は高くなり、よって、迷光が益々強くなり、撮像モジュールのイメージング質に影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本願では、イメージングアセンブリとその製造方法、及びモールド金型、撮像モジュールとスマート端末を提供する。
本願の一側面にて提供されるイメージングアセンブリは、感光領域を有する感光素子と、前記感光領域の周囲に形成されると共に、前記感光素子に接触するモールドパッケージ部とを備える。また、前記モールドパッケージ部は、傾斜内側面と前記感光領域より高い天井面を有し、前記モールドパッケージ部の天井面と前記感光素子の感光領域との間の高さの差は0.7mm以下であり、前記傾斜内側面は前記天井面とは異なる面粗さを有する。
【0005】
本願の他の一側面にて提供されるイメージングアセンブリの製造方法は、イメージングアセンブリを製造する回路基板に感光素子を実装し、フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着させ、前記フレキシブル膜は前記モールド金型に背向する粗い表面を有し、前記モールド金型の下部は圧力ヘッド、及び前記圧力ヘッドの周囲に位置するモジュール部を備え、前記圧力ヘッドのエッジ部は内側向き傾斜面を備える。前記フレキシブル膜を付着したモールド金型は前記感光素子の上に位置し、且つ、前記モジュール部の前記感光素子に直面する底面と前記感光素子の天井面との間の高度差は0.7mm以下である。また、前記感光素子の周囲、及び、前記モジュール部の前記感光素子に直面する底面と前記感光素子の天井面との間において、前記圧力ヘッドのエッジ部の内側向き傾斜面を取囲んでモールドパッケージ部をモールド成型することによって、前記モールドパッケージ部の前記内側向き傾斜面に隣接して形成した傾斜内側面は、前記内側向き傾斜面に付着されたフレキシブル膜の粗い表面と対応する粗い表面を備える。
【0006】
本願の一側面にて提供されるイメージングアセンブリの製造用のモールド金型は、エッジ部に内側向き傾斜面を備える圧力ヘッドと、前記圧力ヘッドを取囲むモジュール部とを備え、前記モジュール部の前記圧力ヘッドに隣接する底面と前記圧力ヘッドの底面との間の動作高度差は0.7mm以下である。
【0007】
本願の一側面にて提供される撮像モジュールは、上記のイメージングアセンブリを備える。
【0008】
本願の一側面にて提供されるスマート端末は、上記の撮像モジュールを備える。
【0009】
本願の一側面にて提供されるイメージングアセンブリは、感光領域を有する感光素子と、前記感光領域の周囲に形成されると共に、前記感光素子に接触し、且つ、傾斜内側面と前記感光領域より高い天井面を有するモールドパッケージ部と、前記感光素子と前記傾斜内側面との間に位置する緩衝構造を備える。前記モールドパッケージ部の天井面と前記緩衝構造の上部との間の高度差は0.7mm以下であり、前記モールドパッケージ部の傾斜内側面は天井面とは異なる面粗さを有する。
【0010】
本願の一側面にて提供されるイメージングアセンブリの製造方法は、イメージングアセンブリを製造する回路基板に感光素子を実装することと、緩衝構造を前記感光素子に付着させることと、フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着させることとを備える。前記フレキシブル膜は前記モールド金型に背向する粗い表面を備え、前記モールド金型の下部は圧力ヘッドと前記圧力ヘッドの周囲に位置するモジュール部を備え、前記圧力ヘッドのエッジ部には内側向き傾斜面を備える。イメージングアセンブリの製造方法は、前記フレキシブル膜が付着されているモールド金型を前記緩衝構造の上に設置させると共に、前記モジュール部の前記感光素子に直面する底面と前記緩衝構造の上部との間の高度差が0.7mm以下になるようにする。イメージングアセンブリの製造方法は、また、前記感光素子の周囲、及び、前記モジュール部の前記感光素子に直面する底面と前記感光素子の天井面との間において、前記圧力ヘッドのエッジ部の内側向き傾斜面を取囲んでモールドパッケージ部をモールド成型することによって、前記モールドパッケージ部の前記内側向き傾斜面に隣接して形成した傾斜内側面は、前記内側向き傾斜面に付着されたフレキシブル膜の粗い表面と対応する粗い表面を備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
参考図面には例示的な実施形態を示している。本明細書に開示されている実施形態及び図面は、限定的なものではなく、例示的なものとみなすべきである。
【
図1】本願の1つの実施形態のイメージングアセンブリの製造方法を示す図である。
【
図2a】
図1のステップS110を示す模式図である。
【
図2b】
図1のステップS120を示す模式図である。
【
図2c】
図1のステップS130を示す模式図である。
【
図2d】
図1のステップS140を示す模式図である。
【
図4】本願の1つの実施形態のイメージングアセンブリの断面図である。
【
図5a】式(2)の各々のパラメーターが表す意味を示す図である。
【
図6】本願の1つの実施形態のイメージングアセンブリの製造に用いられるモールド金型の断面図である。
【
図7a】式(3)の各々のパラメーターが表す意味を示す図である。
【
図8】本願の他の1つの実施形態のイメージングアセンブリの製造方法を示す図である。
【
図9】本願の他の1つの実施形態のイメージングアセンブリの断面図である。
【
図10】
図9の緩衝構造が光フィルタ素子である場合を示す図である。
【
図11】
図9の緩衝構造は階段ゴム及び光フィルタ素子である場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願をよりうまく理解するために、図面を参照しながら、本願の各々の側面に対して、より詳しい説明をする。このような詳細な説明は、本願の例示的な実施形態を述べるだけであって、何らかの形で本願の範囲を限定しないことを理解すべきである。明細書の全文において、同じ図面の符号は同じ要素を指す。「及び/または」という表現は、関連する表記項目中の1つまたは複数の任意及び全ての組合せを含む。
【0013】
本明細書において、第1、第2などの表現は、1つの構成を他の構成と区別するのみであって、構成に対して如何なる限定をしないことに注意すべきである。従って、本願の教示を逸脱しない限り、以下で記載されている第1の本体は第2の本体とも称すことができる。
【0014】
図面において、説明の便利さのために、物体の厚み、寸法及び形状を少し誇張している。図面は例示的なものであって、厳密に比例に従って描いたものではない。
【0015】
用語「からなる」、「含んでなる」、「備える」、「含む」及び/または「含んでいる」は、本明細書の中で使用される場合、記載されている構成、全体、ステップ、操作、素子及び/または部品が存在することを表し、決して、1つまたは複数の他の構成、全体、ステップ、操作、素子、部品及び/またはそれらの組合せが、存在または付加されることも排除しない。また、例えば、「…中の少なくとも1つ」の表現が挙げられた構成の後に記載された場合、挙げられた全ての構成を修飾しており、決して、構成中の単独の要素を修飾することではない。また、本願の実施形態を説明する際、「できる」を用いて「本願の1つまたは複数の実施形態」を示している。且つ、用語「例示的」は例示または例を挙げて説明することを指す。
【0016】
例えば、本明細書で使用している用語「基本的に」、「約」及び類似の用語は近似を表す用語として用いられ、程度を表す用語ではなく、且つ、当業者が分かっている、測定値または計算値の固有偏差を説明することを指す。
【0017】
他に限定しない限り、本明細書で使用しているすべての用語(技術用語と科学用語を含む)は、いずれも本願が属する分野の当業者の一般的な理解と同じ意味を有する。また、用語(例えば、慣用の辞書で定義する用語)は、それらが関連する技術の上下文章におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈され、且つ、本明細書において、明確に限定しない限り、理想化または過度に正式な意味として解釈されないことを、理解すべきである。
【0018】
本願で言及される上、下、左、右、前、後等は方向を表す単語は、いずれも図面に示されている相対的な位置を便利に説明するために使用され、決して本願に対して限定しない。実際の操作において、需要に応じて図面で示す各々の部品の実際様子を調整することができる。
【0019】
以下の説明において、本願の改善点に関する部品のみに対して相応的な説明を行い、従来の多くの部品、例えば、イメージングアセンブリにおける金線等の接続線及び各々の一般的な部品は省略している。
【0020】
なお、衝突しない場合下で、本願における異なる実施形態の構成は互いに組合せることができ、且つ、方法における各々のステップとの間の順番は置換または同時に行うことができる。以下、図面を参照しながら、且つ、実施形態を結合しながら、本願に対して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本願の1つの実施形態のイメージングアセンブリの製造方法を示す図である。
図1に示すように、前記方法100は、ステップS110~S140を含む。
【0022】
ステップS110において、感光素子はイメージングアセンブリを製造する回路基板に実装される。
図2aは、前記ステップS110を示す模式図である。
図2aに示すように、ステップS110において、感光素子220は回路基板210に実装されている。回路基板210は製造しようとするイメージングアセンブリの一部として、その上には、イメージングアセンブリに必要とする電気回路が含まれている。感光素子220は製造しようとするイメージングアセンブリにおいて、光学画像情報を受信し、且つ、使用可能な出力信号に変換されるセンサーである。
【0023】
図1に戻り、ステップS120において、フレキシブル膜はモールド金型の下部に付着される。
図2bは、前記ステップS120を示す模式図である。
図2bに示すように、ステップS120において、フレキシブル膜300はイメージングアセンブリの製造に用いられるモールド金型400の下部に付着される。フレキシブル膜300のモールド金型400に背向する表面310(即ち、大体下方に向けた表面)は粗い表面である。モールド金型400の下部は圧力ヘッド410とモジュール部420を備え、モジュール部420は圧力ヘッド410の周囲に位置し、且つ、圧力ヘッド410は、そのエッジ部の位置に内側向き傾斜面411を備えている。膜300はフレキシブルであるため、それをモールド金型400の下部に付着した場合、フレキシブル膜300は、延伸されて変形し圧力ヘッド410の部分(
図2bにおいて、点線部分で示している)までに付着される。フレキシブル膜300のモールド金型400に背向する表面310は粗い表面であるため、フレキシブル膜300が圧力ヘッド410部分に付着される部分は引っ張られて、そのRa(面粗さプロファイル算術平均偏差)は小さくなり、即ち、面粗さの程度は低下する。
【0024】
図1に戻り、ステップS130において、フレキシブル膜が付着されているモールド金型は感光素子の上に設置されると共に、モジュール部の感光素子を直面する底面と感光素子の天井面との間の高度差は0.7mm以下にする。
図2cは前記ステップS130を示す模式図である。
図2cに示すように、ステップS130において、フレキシブル膜300が付着されているモールド金型400は感光素子220の上に設置されると共に、モジュール部420の底面421と感光素子220の天井面221との間の高度差δHは0.7mm以下である。本願において、圧力ヘッド410の底面412とモジュール部420の底面421との間の高度差(モールド金型400の設計段階またはイメージングアセンブリを製造する操作段階に)を調整することによってδHの大きさを調節することができる。設計する際または操作過程において、底面412と底面421との間の高さの差を調整することにより、δHを0.7mm以下にし、従って、フレキシブル膜300が延伸される程度を比較的に小さくし、これにより、フレキシブル膜300表面310の表面粗さ程度をわずかに低下させることができる。
【0025】
図1に戻り、ステップ140において、感光素子の周囲及びモジュール部の感光素子に直面する底面と感光素子の天井面との間には、圧力ヘッドエッジ部の内側向き傾斜面を取囲んでモールドパッケージ部をモールド成型することによって、モールドパッケージ部の内側向き傾斜面に隣接して形成した傾斜内側面は、内側向き傾斜面に付着されたフレキシブル膜の粗い表面と対応する粗い表面を備える。
図2dは、前記ステップS140を示す模式図である。
図2dに示すように、ステップS140において、イメージングアセンブリを製造するために、感光素子220の周囲、モジュール部420の感光素子220に直面する底面421と、感光素子220の天井面221との間では、モールド成型(例えば、熱硬化性樹脂材料を採用してモールド成型を行う)を行うことによって、内側向き傾斜面411を取囲んでモールドパッケージ部230を形成する。これによって、モールド金型400の下部にフレキシブル膜300が付着しており、且つ、フレキシブル膜300の大体下方に向けた表面310は粗い表面であるため、モールド成型したモールドパッケージ部230の内側向き傾斜面411に隣接して形成した傾斜内側面231は、内側向き傾斜面411に付着されたフレキシブル膜300の粗い表面310と対応する粗い表面を備える。
【0026】
ステップ140の後に、離型等の一般的な処理を行うことによって、イメージングアセンブリを得ることができる。
【0027】
これにより、イメージングアセンブリを製造するとき、モジュール部の感光素子に直面する底面と感光素子の天井面との間の高度差を0.7mm以下の範囲内に制御することによって、製造過程において、フレキシブル膜が延伸される程度は比較的に小さくなり、すなわちフレキシブル膜の下表面の面粗さの程度はわずかに低下される。従って、製造されたイメージングアセンブリのモールドパッケージ部の傾斜内側面もかなりな面粗さを有することによって、光線が前記傾斜内側面により感光素子の感光領域に反射されることを抑制し、迷光の感光素子に対する影響を有効的に制御する。
【0028】
本願の1つの実施形態において、
図2dを参照すると、モールドパッケージ部230の傾斜内側面231の可視光に対する反射率は5%以下である。前記のように、製造プロセスの改善により、モールドパッケージ部の傾斜内側面にはかなりな面粗さを有し、従って、その反射率は比較的に低いレベルまで低下され、その光線に対する反射を低減した。
【0029】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部230の傾斜内側面231のRa(面粗さプロファイル算術平均偏差)の数値は1μm以上である。
【0030】
本願の1つの実施形態において、モジュール部420に付着されているフレキシブル膜300の粗い表面のRa値は、内側向き傾斜面411に付着されているフレキシブル膜の粗い表面のRa値より大きい。前記のように、イメージングアセンブリを製造する過程において、圧力ヘッド410に付着されているフレキシブル膜300の部分は変形し、モジュール部420に付着されているフレキシブル膜300の部分は変形しないまたはほぼ変形が発生しない。従って、フレキシブル膜300の、モジュール部420に付着されている粗い表面のRa値は、内側向き傾斜面411に付着されている粗い表面のRa値より大きい。
【0031】
本願の1つの実施形態において、上記のステップS130は、フレキシブル膜が付着されている圧力ヘッドは感光素子の感光領域へ直接に突き当てる(当接する)ことを含む。イメージングアセンブリのモールドパッケージ部は感光素子の感光領域の周囲に形成されるが、モールド成型の過程において、モールド材料が感光領域に流れることが好ましくない。従って、フレキシブル膜が付着されている圧力ヘッドは感光素子の感光領域へ直接に突き当てることができる。フレキシブル膜はその可撓性により一定の伸縮性を有するため、圧力ヘッドを感光領域に突き当てた後、優れた阻止作用を果たし、モールド材料が感光領域へ進入することを防止することができる。
【0032】
本願の1つの実施形態において、内側向き傾斜面411が感光素子の感光領域に対する傾斜角度は20~70度である。
【0033】
本願の1つの実施形態において、引張係数Kでイメージングアセンブリを製造する過程におけるフレキシブル膜の引張程度を示す。Kが大きいほど、フレキシブル膜の引張程度が大きいことを示す。
Kは以下の式にて表す。
K=1+2d(1/sinα-1/tanα)(/(b1+2b2) (1)
dは、モジュール部の感光素子に直面する底面と感光素子の天井面との間の高度差を示し、αは、内側向き傾斜面の感光素子の天井面に対する傾斜角度を示し、b1は圧力ヘッドの内側向き傾斜面との間の距離を示し、b2は、内側向き傾斜面が感光領域の天井面における正投影の長さを示す。
【0034】
図3aは上述式(1)の物理的意味を示す。
図3aに示すように、A1は、圧力ヘッドに付着されているフレキシブル膜の部分が延伸される前の長さを示し、A2(図に示せず)は前記部分が圧力ヘッドに付着されるために延伸された後の長さとして設定した。分かるように、A1=b
1+2b
2、A2=b
1+2cである。本実施形態において、フレキシブル膜の引張係数Kは、K=A2/=(b
1+2c)/(b
1+2b
2)に限定する。推定により、上記の式(1)を得ることができる。
【0035】
上記の説明において、d(即ちδH)≦0.7mm、20°≦α≦70°である。設計条件及び/またはプロセス条件の制限により、b1+2b2≧2.48mmである。従って、本実施形態において、フレキシブル膜の引張係数Kは1.4以下である。
【0036】
Kの数値は、イメージングアセンブリを製造する過程におけるフレキシブル膜の引張程度を表し、従って、K値を所定の範囲内に制御することによって、フレキシブル膜が引張られすぎ、その粗い表面の面粗さが低下しすぎないようし、製造されるイメージングアセンブリにおいて、モールドパッケージ部の傾斜内側面にかなりな面粗さを有するように保証することができ、光線が前記傾斜内側面により感光素子の感光領域に反射することを抑制し、迷光が感光素子に対する影響を有効的に制御する。
【0037】
図3bは、上記
図3aの変形を示す図である。
図3bに示す実施形態において、Kは以下の式、
K=1+(d
1(1/sinα
1-1/tanα
1)+d
2(1/sinα
2-1/tanα
2))/(b
1+b
2+b
3) (1’)により示される。
図3bに示すように、d
1及びd
2はモジュール部の感光素子に直面する底面と感光素子の天井面との間の高度差を表し、α
1及びα
2は内側向き傾斜面が感光素子の天井面に対する傾斜角度を表し、b
1は圧力ヘッドの内側向き傾斜面の間の距離を表し、b
2及びb
3は内側向き傾斜面が感光素子の天井面における正投影の長さを表す。
【0038】
図3bと
図3aが示す実施形態の相違点は、
図3aが示す実施形態は
図3bが示す実施形態におけるd
1=d
2、α
1=α
2且つb
2=b
3の場合である。
【0039】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜はモールド金型に向けた粘着防止面を備える。従って、モールドが完成した後、離型操作を行う際、モールド金型とイメージングアセンブリの分離に有利である。
【0040】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜はETFE、PTFE、PFA、FEP及びPSからなる群から選ばれる1種類または多種類の材料で製造される。これらの材料は何れも粘着防止面を形成することができると共に、耐汚染性がよく、靭性が高く、分離しやすく、耐高温等の特性を有することによって、フレキシブル膜の操作に便利である。
【0041】
図4は、本願の1つの実施形態のイメージングアセンブリの断面図である。前記の方法100を採用すると、
図4に示すようなイメージングアセンブリ200を製造することができる。
図4に示すように、前記イメージングアセンブリ200は回路基板210、感光素子220及びモールドパッケージ部230を備える。感光素子220は感光領域222を備え、モールドパッケージ部230は感光領域222の周囲に形成されると共に、感光素子220に接触し、且つ、モールドパッケージ部230は傾斜内側面231と感光領域222より高い天井面232を備える。モールドパッケージ部230の天井面232と感光素子220の感光領域222との間の高度差δHは0.7mm以下であり、傾斜内側面231は天井面232とは異なる面粗さを有する。
【0042】
イメージングアセンブリを製造する際、モジュール部の感光素子に直面する底面と感光素子の天井面との間の高度差を0.7mm以下の範囲内に制御することによって、モールドパッケージ部の天井面と感光素子の感光領域との間の高度差は0.7mm以下になる。(本願において、フレキシブル膜の厚さが他の素子寸法に対する影響を無視することができる)。モールド成型の過程において、フレキシブル膜が延伸される程度は比較的に小さく、すなわちフレキシブル膜の下面の面粗さ程度がわずかに低下されることによって、製造されるイメージングアセンブリにおけるモールドパッケージ部の傾斜内側面もかなりな面粗さを有する。モールドパッケージ部の傾斜内側面は天井面とは異なる面粗さ(従って、反射率も異なる)を有し、前記傾斜内側面が依然としてかなりな面粗さを保持するため、光線が前記傾斜内側面により感光素子の感光領域に反射されることを抑制することによって、迷光の感光素子に対する影響を有効的に制御することができる。
【0043】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部230の傾斜内側面231の可視光に対する反射率は5%以下である。
【0044】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部230の傾斜内側面231のRa値は1μm以上である。
【0045】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部230の天井面232のRa値は傾斜内側面231のRa値より大きい。
【0046】
本願の1つの実施形態において、傾斜内側面231は感光領域222に対する傾斜角度が20度~70度である。
【0047】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部230の寸法は以下の不等式、
5d(1/sinα-1/tanα)≦(b1+2b2) (2)を満足している。
【0048】
図5aは、上記式(2)の各パラメーターが表す意味を示している。式(2)及び(1)において、相当または類似のパラメーターは同じ符号で示している。
図5aに示すように、dはモールドパッケージ部の天井面と感光素子の感光領域との間の高度差を示し、αは傾斜内側面の感光領域に対する傾斜角度を示し、b
1は感光領域において、対向する傾斜内側面の間の距離を示し、b
2は傾斜内側面が感光領域の平面における正投影の長さを示している。
【0049】
上記の式(1)の説明を結合すると分かるように、1+2d(1/sinα-1/tanα)/(b1+2b2)≦1.4であり、これから、式(2)を導き出すことができる。
【0050】
図5bには、上記
図5aの1つの変形を示している。
図5bに示す実施形態において、モールドパッケージ部230の寸法は以下の不等式、
d
1(1/sinα
1-1/tanα
1)+d
2(1/sinα
2-1/tanα
2)≦0.4(b
1+b
2+b
3) (2’)を満足している。
【0051】
図5bに示すように、d
1及びd
2はモールドパッケージ部の天井面と感光素子の感光領域との間の高度差を示し、α
1及びα
2は傾斜内側面の感光領域に対する傾斜角度を示し、b
1は感光領域における対向する傾斜内側面の間の距離を示し、b
2及びb
3は傾斜内側面が感光領域の平面における正投影の長さを示す。
【0052】
図5bと
図5aに示す実施形態の相違点は、
図5aに示す実施形態は
図5bに示す実施形態におけるd
1=d
2、α
1=α
2且つb
2=b
3の場合である点にある。
【0053】
図6には、本願の1つの実施形態のイメージングアセンブリの製造に用いられるモールド金型の断面図が示されている。前記モールド金型は
図1に示す方法100に用いられる。
図6に示すように、前記モールド金型400は圧力ヘッド400及びモジュール部420を備えることができる。圧力ヘッド410は、そのエッジ部に内側向き傾斜面411を備え、且つ、モジュール部420は圧力ヘッド410を取囲んでいる。モジュール部420の圧力ヘッド410に隣接する底面421と圧力ヘッド410の底面412との間の動作高度差は0.7mm以下である。
【0054】
これにより、前記のモールド金型を採用してイメージングアセンブリを製造する場合、モジュール部420の圧力ヘッド410に隣接する底面421と圧力ヘッド410の底面412との間の動作高度差は0.7mm以下であるため、フレキシブル膜はモールド金型に付着られる際、それが延伸される程度は比較的に小さく、すなわちフレキシブル膜の下表面の面粗さの程度をわずかに低下させる。従って、製造されるイメージングアセンブリにおけるモールドパッケージ部の傾斜内側面もかなりな面粗さを有することによって、光線が前記傾斜内側面により感光素子の感光領域に反射することを抑制し、迷光の感光素子に対する影響を有効的に制御する。
【0055】
本願の1つの実施形態において、内側向き傾斜面411の圧力ヘッド410の底面412に対する傾斜角度は20度~70度である。
【0056】
本願の1つの実施形態において、モールド金型400の寸法は以下の不等式、
5d(1/sinα-1/tanα)≦(b1+2b2) (3)を満足している。
【0057】
図7aには上記式(3)における各パラメーターが表す意味を示している。式(3)及び(1)において、相当又は類似のパラメーターは同じ符号により示している。
図7aに示すように、dは、モジュール部の圧力ヘッドに隣接する底面と圧力ヘッドの底面との間の動作高度差を示し、αは内側向き傾斜面の圧力ヘッドの底面に対する傾斜角度を示し、b
1は圧力ヘッドの内側向き傾斜面の間の距離を示し、b
2は内側向き傾斜面が圧力ヘッドの底面の平面における正投影の長さを示す。
【0058】
上記の式(1)の説明を結合すると分かるように、1+2d(1/sinα-1/tanα)/(b1+2b2)≦1.4であり、これから式(3)を導き出すことができる。
【0059】
図7bには、上記の
図7aの1つの変形を示している。
図7bに示す実施形態において、モールド金型400の寸法は以下の不等式、
d
1(1/sinα
1-1/tanα
1)+d
2(1/sinα
2-1/tanα
2)≦0.4(b
1+b
2+b
3) (3’)を満足している。
【0060】
図7bに示すように、d
1及びd
2は、モジュール部の圧力ヘッドに隣接する底面と圧力ヘッドの底面との間の動作高度差を示し、α
1及びα
2は、内側向き傾斜面の圧力ヘッドの底面に対する傾斜角度を示し、b
1は、圧力ヘッドの内側向き傾斜面の間の距離を示し、b
2及びb
3は、内側向き傾斜面が圧力ヘッドの底面の平面における正投影の長さを示す。
【0061】
図7bと
図7aに示す実施形態の相違点は、
図7aに示す実施形態は
図7bに示す実施形態におけるd
1=d
2、α
1=α
2且つb
2=b
3の場合である点にある。
【0062】
本願の1つの実施形態において、前記のようなイメージングアセンブリを備える撮像モジュールを提供する。
【0063】
本願の他の1つの実施形態において、前記撮像モジュールを備えるスマート端末を提供する。
【0064】
図8には、本願の他の1つの実施形態のイメージングアセンブリの製造方法が示されている。
図8に示すように、前記方法800はステップS810~S850を含んでいる。
【0065】
ステップS810において、イメージングアセンブリを製造する回路基板に感光素子を実装する。当該ステップと前記ステップS110は同じまたは類似し、ここでは改めて説明しない。
【0066】
ステップS820において、緩衝構造を感光素子に付着させる。前記緩衝構造は感光素子及び/または接続線等の部品が衝撃を受けないように保護することができる。
【0067】
ステップS830において、フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着させる。フレキシブル膜はモールド金型に背向する粗い表面を備え、モールド金型の下部は圧力ヘッドと圧力ヘッドの周囲に位置するモジュール部を備え、圧力ヘッドのエッジ部は内側向き傾斜面を備える。当該ステップと上記ステップS120は同じまたは類似し、ここでは改めて説明しない。
【0068】
ステップS840において、フレキシブル膜が付着されているモールド金型を緩衝構造の上に設置すると共に、モジュール部の感光素子に直面する底面と緩衝構造の上部との間の高度差は0.7mm以下である。当該ステップと上記ステップS130は類似し、その相違点は、ステップS820にて緩衝構造を導入することであり、このため、ステップS840において、フレキシブル膜が付着されているモールド金型を、感光素子の上に設置することではなく、緩衝構造の上に設置し、且つ、モジュール部の感光素子に直面する底面と緩衝構造の上部との間の高度差は0.7mm以下にする必要がある。
【0069】
ステップS850において、感光素子の周囲、及び、モジュール部の感光素子に直面する底面と、感光素子の天井面との間には、圧力ヘッドのエッジ部の内側向き傾斜面を取囲んでモールドパッケージ部をモールド成型することによって、モールドパッケージ部の内側向き傾斜面に隣接して形成した傾斜内側面は、内側向き傾斜面に付着されたフレキシブル膜の粗い表面と対応する粗い表面を有する。当該ステップと上記ステップS140は同じまたは類似し、ここでは改めて説明しない。
【0070】
ステップS850の後、離型等の一般的な処理を行うことによって、イメージングアセンブリを得ることができる。
【0071】
本願の1つの実施形態において、緩衝構造は階段ゴムと及び/または光フィルタ素子である。
【0072】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の傾斜内側面の可視光に対する反射率は5%以下である。
【0073】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の傾斜内側面のRaは1μm以上である。
【0074】
本願の1つの実施形態において、モジュール部に付着されているフレキシブル膜の粗い表面のRaは、内側向き傾斜面に付着されているフレキシブル膜の粗い表面のRaより大きい。
【0075】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜が付着されているモールド金型を緩衝構造の上に設置することは、フレキシブル膜が付着されている圧力ヘッドを緩衝構造へ直接に突き当てることを含む。
【0076】
本願の1つの実施形態において、内側向き傾斜面の感光領域に対する傾斜角度は20度~70度である。
【0077】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着した後、得られたフレキシブル膜の引張係数Kは1.4以下であり、
K=1+2d(1/sinα-1/tanα)/(b1+2b2) (4)
式中、dは、モジュール部の感光素子に直面する底面と緩衝構造の上部との間の高度差を示し、αは、内側向き傾斜面の感光領域に対する傾斜角度を示し、b1は、圧力ヘッドの内側向き傾斜面の間の距離を示し、b2は、内側向き傾斜面が感光領域の平面における正投影の長さを示す。
【0078】
上記の式(4)と式(1)の相違点は、式(4)において、dは、モジュール部の感光素子に直面する底面と緩衝構造の上部との間の高度差を示し、式(1)において、dは、モジュール部の感光素子に直面する底面と感光素子の天井面との間の高度差を示す。
【0079】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜をモールド金型の下部に付着した後、得られたフレキシブル膜の引張係数Kは1.4以下であり、
K=1+(d1(1/sinα1-1/tanα1)+d2(1/sinα2-1/tanα2))/(b1+b2+b3) (4’)
式中、d1及びd2は、モジュール部の感光素子に直面する底面と緩衝構造の上部との間の高度差を示し、α1及びα2は、内側向き傾斜面の感光領域に対する傾斜角度を示し、b1は、圧力ヘッドの内側向き傾斜面の間の距離を示し、b2及びb3は、内側向き傾斜面が感光領域の平面における正投影の長さを示す。
【0080】
上記の式(4’)と式(4)の相違点は、式(4)に示す実施形態は、式(4’)に示す実施形態におけるd1=d2、α1=α2且つb2=b3の場合である点にある。
【0081】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜はモールド金型に向けた粘着防止面を備える。
【0082】
本願の1つの実施形態において、フレキシブル膜はETFE、PTFE、PFA、FEP及びPSからなる群から選ばれる1種類または多種類の材料で製造される。
【0083】
図9には、本願の他の1つの実施形態のイメージングアセンブリの断面図を示している。前記のような方法800を採用すると、
図9に示すようなイメージングアセンブリ200’を製造することができる。
図9に示すように、前記イメージングアセンブリ200’は、回路基板210、感光素子220、モールドパッケージ部230及び緩衝構造240を備える。感光素子220は感光領域222を備え、モールドパッケージ部230は感光領域222の周囲に形成されると共に、感光素子220に接触し、且つ、モールドパッケージ部230は傾斜内側面231と感光領域222より高い天井面232とを備える。緩衝構造240は感光素子220と傾斜内側面231との間に位置する。モールドパッケージ部230の天井面232と緩衝構造240の上部241との間の高度差δH’は0.7mm以下であり、モールドパッケージ部230の傾斜内側面231は天井面232とは異なる面粗さを有する。
【0084】
本願の1つの実施形態において、緩衝構造は階段ゴム及び/または光フィルタ素子である。上記の
図9に示す緩衝構造は階段ゴムである。
図10には、
図9における緩衝構造が光フィルタ素子である場合が示されている。
図11には、
図9における緩衝構造が階段ゴム及び光フィルタ素子である場合が示されている。
【0085】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の傾斜内側面の可視光に対する反射率は5%以下である。
【0086】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の傾斜内側面のRa値は1μm以上である。
【0087】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の天井面のRa値は傾斜内側面のRa値より大きい。
【0088】
本願の1つの実施形態において、傾斜内側面の感光領域に対する傾斜角度は20度~70度である。
【0089】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の寸法は以下の不等式、
5d(1/sinα-1/tanα)≦(b1+2b2) (5)を満足している。
式中、dは、モールドパッケージ部の天井面と緩衝構造の上部との間の高度差を示し、αは、傾斜内側面の感光領域に対する傾斜角度を示し、b1は緩衝構造において、対向する傾斜内側面の間の距離を示し、b2は、傾斜内側面が感光領域の平面における正投影の長さを示す。
【0090】
上記の式(5)と式(2)の相違点は、式(5)において、dは、モールドパッケージ部の天井面と緩衝構造の上部との間の高度差を示し、b1は、緩衝構造において、対向する傾斜内側面の間の距離を示し、式(2)において、dは、モールドパッケージ部の天井面と感光素子の感光領域との間の高度差を示し、且つ、b1は、感光領域において、対向する傾斜内側面の間の距離を示す点にある。
【0091】
本願の1つの実施形態において、モールドパッケージ部の寸法は以下の不等式、
d1(1/sinα1-1/tanα1)+d2(1/sinα2-1/tanα2)≦0.4(b1+b2+b3) (5’)を満足している。
式中、d1及びd2は、モールドパッケージ部の天井面と緩衝構造の上部との間の高度差を示し、α1及びα2は、傾斜内側面の感光領域に対する傾斜角度を示し、b1は、緩衝構造において、対向する傾斜内側面の間の距離を示し、b2及びb3は、傾斜内側面が感光領域の平面における正投影の長さを示す。
【0092】
上記の式(5’)と式(5)の相違点は、式(5)に示す実施形態は、式(5’)に示す実施形態におけるd1=d2、α1=α2且つb2=b3の場合である点にある。
【0093】
以上の説明には多くの特定配置とパラメーターが含まれているが、ただし、これらの特定配置及びパラメーターは、本願の1つの実施形態を説明することにのみ用いられる点に留意されたい。これは、本願の範囲に対する限定になってはいけない。当業者は、本願の範囲と精神を逸脱しない限り、様々な修正、追加及び置換が可能であることが理解できる。従って、本願の範囲は、前記請求項に基づいて解釈されるべきである。