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特許7104814電気コンタクト部および電気コンタクト部を形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】電気コンタクト部および電気コンタクト部を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B81B 7/02 20060101AFI20220713BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
B81B7/02
B81C1/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020573125
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019066921
(87)【国際公開番号】W WO2020002385
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】102018210815.3
(32)【優先日】2018-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】シャリー,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ラインムート,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】マヨーニ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クーンケ,マルクス
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0176466(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167958(US,A1)
【文献】特開2011-146687(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0117469(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 7/02
B81C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線(2)と導体領域(3)との間の電気コンタクト部(1)であって、
前記導体領域(3)がSOIウェハ(5)またはSOIチップ(5)の上方の導体層(4)に配置され、前記導体層(4)の上方と前記配線(2)の下方とにカバー層(6)が配置されており、
該カバー層(6)が接触領域(7)を有し、前記接触領域(7)が第1の凹部(8)によってカバー層(6)の残部から絶縁されており、少なくとも前記接触領域(7)と前記導体領域(3)とに開口部(9)が形成されており、前記接触領域(7)および前記導体領域(3)の両方における前記開口部(9)に金属材料(10)が配置されており、前記金属材料(10)が前記配線(2)と前記導体領域(3)との間を接続している、ことを特徴とする電気コンタクト部(1)。
【請求項2】
請求項に記載の電気コンタクト部(1)であって、前記第1の凹部(8)に第1の絶縁体(11)が配置されている、電気コンタクト部(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電気コンタクト部(1)であって、第1の接触領域(12)において前記導体層(4)と前記カバー層(6)との間の直接接触が形成されており、前記第1の接触領域(12)が、少なくとも部分的に、好ましくは完全に前記開口部(9)を取り囲んでいる、電気コンタクト部(1)。
【請求項4】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の電気コンタクト部(1)であって、前記接触領域(7)が前記開口部(9)を完全に取り囲んでいる、電気コンタクト部(1)。
【請求項5】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の電気コンタクト部(1)であって、前記金属材料(10)が、前記導体領域(3)で前記開口部(9)の側壁(13)に配置されており、前記金属材料(10)が、前記接触領域(7)で、特に前記開口部(9)の別の側壁(14)に配置されている、電気コンタクト部(1)。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項に記載の電気コンタクト部(1)であって、前記開口部(9)が、さらに、前記SOIウェハ(5)またはSOIチップ(5)のシリコン層(20)の付加領域(15)に形成されており、前記金属材料(10)が、さらに前記付加領域(15)の前記開口部(9)に配置されている、電気コンタクト部(1)。
【請求項7】
SOIウェハ(5)またはSOIチップ(5)の上方の導体層(4)に配置された導体領域(3)と配線(2)との間に電気コンタクト部(1)を形成する方法であって、
第1工程で、前記導体層(4)の上方と前記配線(2)の下方とに配置されたカバー層(6)をパターン形成して、第1の凹部(8)によって前記カバー層(6)の残部から絶縁された接触領域(7)を形成するようにし、
第2工程で、少なくとも前記接触領域(7)と前記導体領域(3)とに開口部(9)を形成し、
第3工程で、前記接触領域(7)および前記導体領域(3)の両方における前記開口部(9)に金属材料(10)を配置して、前記金属材料(10)により前記配線(2)と前記導体領域(3)とを接続する、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法であって、前記第1工程で、第1の接触領域(12)に前記カバー層(6)を形成し、前記第1の接触領域(12)で前記導体層(4)と前記カバー層(6)との間の直接接触を形成し、特に、さらに前記導体層(4)上に形成された第2の絶縁体層(16)に前記カバー層(6)を配置する方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の方法であって、
前記第1工程の後および前記第2工程の前の第1の中間工程で、前記第1の凹部(8)に第1の絶縁体(11)を配置し、さらに前記カバー層(6)に第1の絶縁体層(17)を配置し、
好ましくは、前記第1の中間工程の後および前記第2工程の前の第2の中間工程で、特に前記接触領域(7)の第3の接触領域(18)で、前記第1の絶縁体層(17)を除去する、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、前記第3工程で、前記配線(2)、特に金属の配線を、前記第1の絶縁体層(17)に配置する、方法。
【請求項11】
請求項から10までのいずれか1項に記載の方法であって、
第1の前工程で、前記SOIウェハ(5)または前記SOIチップ(5)のシリコン層(20)にパターン(19)を形成し、
前記第1の前工程の後の第2の前工程で、第3の絶縁体(21)を少なくとも部分的に前記パターン(19)内に配置し、前記シリコン層(20)の上方に第3の絶縁体層(22)を配置し、
前記第2の前工程の後の第3の前工程で、前記第3の絶縁体層(22)を第2の接触領域(23)で除去し、
前記第3の前工程の後の第4の前工程で、前記第3の絶縁体層(22)に前記導体層(4)を配置し、特に前記第2の接触領域(23)で、前記導体層(4)と前記シリコン層(20)との間の直接接触を形成し、第2の凹部(25)によって前記導体層(4)の別の導体領域(24)から絶縁された前記導体領域(3)が形成されるように前記導体層(4)をパターン形成し、
前記第4の前工程の後の第5の前工程で、前記導体層(4)上に第2の絶縁体層(16)を配置し、前記第2の凹部(25)に第2の絶縁体(26)を配置し、
前記第5の前工程の後で前記第1工程の前の第6の前工程で、特に前記導体領域(3)の第1の接触領域(12)で前記第2の絶縁体層(16)を除去する、方法。
【請求項12】
素子(30)に、特にセンサに接触させるための、請求項1からまでのいずれか1項に記載の電気コンタクト部(1)を含むシステム(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線と導体領域との間の電気コンタクト部に関し、導体領域がSOIウェハまたはSOIチップの上方の導体層に配置されており、導体層の上方および配線の下方にはカバー層が配置されている。さらに本発明は、電気コンタクト部を形成する方法および電気コンタクト部を含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コンタクト部、特にシリコン貫通ビア(TSV:Through Silicon Via)が一般に知られている。このようなコンタクト部は、ウェハまたはウェハの一部のみを貫通することができる。一般に、できるだけ小さい貫通コンタクト部を達成しつつ同時に接触抵抗を低くする試みがなされる。このことを実現するために、ほぼ垂直な壁を有する狭い孔が、例えばトレンチプロセスまたはレーザによってウェハ内にしばしば形成される。次に、これらの孔に絶縁体が堆積される。その孔の底部の領域では、絶縁体を介して、下方に位置する導体路までコンタクトエッチングが行われる。次に、この孔は、導電性材料または接着材/バリア材と導電層とによって完全に、または部分的に充填される。導電性材料は低抵抗が達成されるように選択することができる。したがって、全体として絶縁体および後の導電性材料は、あらかじめ生成された同じ孔に挿入される。
【0003】
しかしながら、特に公知の方法では追加のエッチングストップ層を必要とするので、多くのシステム、例えば、マイクロメカニカル素子では、このような公知のTSVを、形成することができないか、または多大な作業および関連コストをかけることでしか形成することができない。
【0004】
したがって、マイクロメカニカル素子では異なる手法がとられることが多く、TSVはドープされたシリコンから形成される。しかしながら、このようなTSVは比較的高い電気抵抗を有する。したがって、高周波への適用は可能ではないか、または品質の低下を受け入れることによってしか可能ではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、配線と導体領域との間の電気コンタクト部であって、特にマイクロメカニカルシステムのために汎用性があり、高い導電性を有し、好ましくは、適度な作業および比較的低い処理コストによって形成することができるコンタクト部を提供することである。
【0006】
独立請求項に記載の、本発明に係る配線と導体領域との間の電気コンタクト部では、導体領域がSOIウェハまたはSOIチップの上方の導体層に配置されており、この電気コンタクト部は、従来技術に対して、(特に、カバー層の接触領域をカバー層の残部から絶縁する第1の凹部によって)コンタクト部を絶縁する機能的な工程と、金属材料の配置とを別々に行うことができるという利点を有する。これにより、カバー層と導体層との間(特に接触領域)に追加のエッチングストップ層を設ける必要がなくなる。したがって、本発明によれば、コストを節約して高い導電性を有する電気コンタクト部を提供することが可能である。これにより、例えば、マイクロエレクトロメカニカル素子を高周波領域で使用する場合に特別な利点を達成することができる。これに対して、カバー層の接触領域内に(高い導電性を有する)金属材料を有していないTSVでは、このような利点は達成できない。このような利点(低コストおよび柔軟な適用性)は、あらかじめ形成された同じ孔の中に絶縁体と続く金属とを連続的に配置するシステムもしくはプロセスでは達成することができない。
【0007】
本発明によれば、「上方」および「下方」という用語は、SOIウェハまたはチップの表面からの距離に関する。例えば、導体層の上方および配線の下方に配置されたカバー層は、導体層よりもSOIウェハ(またはSOIチップ)の表面から遠く離れており、配線よりもSOIウェハ(またはSOIチップ)の表面から遠く離れていない。
【0008】
有利なさらなる構成および実施形態が、従属請求項に記載されている。
【0009】
開口部がさらに導体領域にも形成されており、金属材料がさらに導体領域の開口部に配置されていることにより、本発明の一実施形態によれば、金属材料を電気コンタクト部のより長い距離にわたって形成することができるので、有利には、特に高い導電性を達成しつつ同時に処理負荷を小さくすることが可能である。
【0010】
第1の凹部に第1の絶縁体が配置されていることにより、本発明の一実施形態によれば、有利には、接触領域(したがって、電気コンタクト部自体)とカバー層の残部との間に高度の絶縁を達成することが可能である。同時に、第1の絶縁体が開口部に配置されていないので、TSV絶縁体と金属との間の空間的分離を達成することができる。したがって、特に有利には、開口部の底部領域における後のエッチング工程を省略することができる。
【0011】
第1の接触領域が少なくとも部分的に、好ましくは完全に開口部を取り囲み、第1の接触領域において導体層とカバー層との間の直接接触を形成することにより、本発明の一実施形態によれば、第1の凹部によって完全に取り囲まれる第1の接触領域を形成することが可能である。したがって、電気コンタクト部とカバー層の残部との間に高度の絶縁を達成することができ、同時に、接触領域および導体領域の両方に簡単な方法で開口部を形成し、金属材料で被覆することができる。
【0012】
接触領域が開口部を完全に取り囲んでいることにより、(カバー層の)第1の凹部と、この凹部に配置された第1の絶縁体と、電気的な貫通コンタクト部の金属材料との間の有利な空間的分離を達成することができる。接触領域は、好ましくは、カバー層の全範囲で(基板/チップ表面に対して垂直な方向に)全周にわたって開口部を取り囲む。
【0013】
金属材料を導体領域の開口部の側壁に配置し、特に接触領域の開口部の別の側壁に金属材料を配置することにより、本発明の一実施形態によれば、導体領域と金属材料との間に大きい面積の直接接触を達成することが可能である。大きい接触面積は、特に有利には、装置の全体的な抵抗を低減することができる。さらに、これにより、ドーピング分布が導体層/導体領域内で垂直方向には重要な役割を果たさず、導体領域の高さ全体にわたって最適な接触を達成することができる。しかしながら、金属材料と導体領域との間の直接接触が導体領域の上側のみである場合(すなわち、導体領域の開口部の側壁に金属材料を配置しない場合)、これらの利点を達成することはできなかった。
【0014】
さらに開口部がSOIウェハまたはSOIチップのシリコン層の付加領域に形成され、金属材料がさらに付加領域の開口部に配置されていることにより、本発明の一実施形態によれば、金属材料が、接触領域(カバー層)および導体領域(導体層)を越えて、SOIウェハまたはSOIチップのシリコン層の付加領域にまで延在することが可能となり、これにより、特に低い電気抵抗を達成することができる。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、開口部は、ウェハもしくはチップ表面に対して少なくとも実質的に垂直に形成されていることが好ましい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、カバー層および/または導体層が(ドープされた)シリコンを含むことも可能である。
【0017】
本発明の実施形態によれば、SOIウェハもしくはSOIチップに、エレクトロメカニカルな素子/システムが形成されていることも可能である。特に、導体領域がエレクトロメカニカル素子の構成要素に接続され、配線とエレクトロメカニカル素子の構成要素との間に導電性接続を形成するようなことが想定される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、導体路内の抵抗を低く抑えるために導体領域もしくは導体路をできるだけ広幅に形成することも可能である。特に、導体路/導体領域を、一般的なTSVの直径(特に、開口部内の金属材料の直径)および関連する接触面よりも著しく広幅に設計することが可能である。このことは、特に、好ましくはタングステン堆積時に自然封止するタングステンTSVに当てはまる。
【0019】
本発明の別の対象は、本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法であって、この方法は、
第1工程では、カバー層をパターン形成して、第1の凹部によってカバー層の残部から絶縁された接触領域を形成するようにし、
第2工程では、開口部を少なくとも接触領域に形成し、
第3工程では、金属材料を開口部に配置し、当該金属材料により配線と導体領域とを接続する、というものである。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、第1工程で、第1の凹部を形成することに加えて、例えば、第1工程に続いて、第2の絶縁体、第2の絶縁体層、第3の絶縁体、および第3の絶縁体層の部分をエッチング除去してマイクロエレクトロメカニカル素子を露出させるエッチング工程を行うことを可能にするトレンチを形成するために、カバー層をさらにパターン形成することが可能である。
【0021】
第2工程で開口部をさらに導体領域に形成し、第3工程で金属材料をさらに導体領域の開口部に配置することにより、本発明の一実施形態によれば、特に高い導電性を達成しつつ同時に処理負荷を小さくすることが可能である。好ましくは、開口部は、ウェハ/チップの表面に対して(実質的に)垂直に延在し、金属材料は、導体領域と配線との間に中断なしの接続を形成する。
【0022】
第1工程でカバー層が第1の接触領域に形成され、第1の接触領域で導体層とカバー層との間の直接接触が形成され、さらにカバー層が特に第2の絶縁体層に配置されることにより、本発明の一実施形態によれば、後の接触領域に隣接する第1の接触領域が形成され、ここではカバー層および導体層が(直接の)接触面を有する。これに対応して、カバー層の接触領域および導体層の(少なくとも部分的にカバー層の下方にカバー層に隣接して配置された)導体領域の両方に、後に開口部を形成することが可能である。
【0023】
第1工程の後および第2工程の前の第1の中間工程で、第1の絶縁体が第1の凹部に配置され、さらに第1の絶縁体層がカバー層に配置され、好ましくは、第1の中間工程の後および第2工程の前の第2の中間工程で、第1の絶縁体層が特に接触領域の第3の接触領域で除去されることにより、本発明の一実施形態によれば、高度の絶縁を接触領域とカバー層の残部との間に形成することが可能である。好ましくは、第1の絶縁体層および第1の絶縁体は、同時に(もしくは1つの工程で)形成される。特に好ましくは、第1の絶縁体および第1の絶縁体層は同じ誘電体から構成される。
【0024】
第3工程で、配線、特に金属配線が第1の絶縁体層に配置されることにより、本発明の一実施形態によれば、配線とカバー層との間の電気的接触を接触領域もしくは金属材料にのみ形成することが可能である。
【0025】
第1の前工程で、SOIウェハまたはSOIチップのシリコン層にパターンが形成され、
第1の前工程の後の第2の前工程では、第3の絶縁体が少なくとも部分的にパターン内に配置され、シリコン層の上方に第3の絶縁体層が配置され、
第2の前工程の後の第3の前工程では、第3の絶縁体層が第2の接触領域で除去され、
第3の前工程の後の第4の前工程では、導体層が第3の絶縁体層に配置され、特に第2の接触領域内で、導体層とシリコン層との間の直接接触が形成され、第2の凹部によって導体層の別の導体領域から絶縁された導体領域が形成されるように導体層がパターン形成され、
第4の前工程の後の第5の前工程では、第2の絶縁体層が導体層に配置され、第2の凹部に第2の絶縁体が配置され、
第5の前工程の後で第1工程の前の第6の前工程では、第2の絶縁体層が、特に導体領域の第1の接触領域で除去されることにより、本発明の実施形態によれば、特に効率的な例示的なプロセスを提供することが可能であり、これにより、マイクロエレクトロメカニカル素子を特に効率的にコストを節約して形成し、接触させることができる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、好ましくは、第1工程と第1の中間工程との間にエッチング工程を行うことが可能である。このエッチング工程では、第2の絶縁体、第2の絶縁体層、第3の絶縁体および/または第3の絶縁体層の一部をエッチング除去することができる。特に、絶縁体材料(犠牲酸化物)がマイクロエレクトロメカニカル素子の周囲から除去され、これによりマイクロエレクトロメカニカル素子が露出されるようにすることが可能である。
【0027】
導電性が十分であるが、場合によっては、狭幅な金属領域とシリコン領域との間の狭幅な遷移領域の抵抗の増大を特に効率的に防止するために、本発明の一実施形態によれば、導体領域/導体路とカバー層の接触領域との間の第1の接触面(第1の接触領域)を、金属材料を挿入する開口部よりも大きくなるように選択することが有利には可能である。これにより、狭幅なTSVと広幅なシリコン導体路との間の遷移領域において有効なシリコン厚さを増加させることができ、そこでは局所的に抵抗を低減させることができる。代替的にまたは付加的に、導体領域の下方にSOI層の(絶縁された)付加領域を付加的に設け、この付加領域をシリコン導体路に向かって第2の接触領域に接続することが可能である。これにより、第2工程(トレンチ工程)によってSOI材料(付加領域)にエッチングを施することも可能になる。したがって、SOI層を使用して、シリコン導体路の抵抗を局所的に低減させることができる。
【0028】
本発明の別の対象は、素子、特にセンサに接触させるための、本発明のいずれか1つの実施形態による電気コンタクト部を含むシステムである。当該素子は、特に、少なくとも実質的にSOIウェハまたはSOIチップ内に形成されたマイクロエレクトロメカニカル素子である。
【0029】
素子に接触させるための本発明のいずれか1つの実施形態による電気コンタクト部、ならびに電気コンタクト部を形成するための本発明に係る方法を含む本発明に係るシステムについて、本発明に係る電気コンタクト部または本発明に係る電気コンタクト部の実施形態に関連する特徴、構成、および利点を使用することができる。
【0030】
本発明に係る電気コンタクト部に関して、電気コンタクト部を形成するための本発明に係る方法、電気接続部を含む本発明に係るシステム、電気接続部を形成するための本発明に係る方法の実施形態、または電気接続部を含むシステムの実施形態に関連して説明した特徴、構成、および利点を使用することができる。
【0031】
本発明の例示的な実施形態を図面に示し、以下の説明により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第3の前工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法を示す概略図である。
図2】第6の前工程にしたがって本発明の一実施形態による電気接続部を形成する方法を示す概略図である。
図3】第1工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法を示す概略図である。
図4】第1工程およびエッチング工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法を示す概略図である。
図5】第2の中間工程の後の、本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法を示す概略図である。
図6】第2工程の後の、本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法を示す概略図である。
図7】第3工程の後の、本発明の一実施形態による電気コンタクト部を形成する方法を示す概略図である。
図8】本発明のさらなる実施形態による、素子に接触させるための電気コンタクト部を備えるシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
様々な図において、同じ部分には常に同じ参照符号を付しているので、原則として一度だけ名称が付されるか、もしくは言及がなされている。
【0034】
図1は、第3の前工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示す。第2の前工程の前に、SOIウェハ5またはSOIチップ5のシリコン層20にパターン19を生成する(トレンチ形成)。このパターン19によって、マイクロエレクトロメカニカル素子30の個々の構成要素が定められる。次に第2の前工程では、第3の絶縁体21がパターン19内に堆積され、同時に、シリコン層20の上方に第3の絶縁体層22が形成される。したがって、第3の絶縁体層22および第3の絶縁体21は、好ましくは同じ酸化物からなる。次に第3の前工程では、第2の接触領域23において絶縁体層22を除去する。
【0035】
図2は、第6の前工程にしたがって、本発明の一実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示す。第4の前工程では、導体層4が第3の絶縁体層22にあらかじめ被覆される。この場合、第2の接触領域23において導体層4とシリコン層20との間の直接接触が形成される。導体層4は、第2の凹部25によって導体層4の別の導体領域24から分離された導体領域3が形成されるようにパターン形成されている。導体層4のさらなるパターン形成を同時に行うこともできる。次に第5の前工程では、第2の絶縁体層16が導体層4に被覆される。第2の凹部25には第2の絶縁体26が配置される。したがって、第2の絶縁体26は、導体領域3とさらなる導体領域24との間に電気的な絶縁をもたらす。最後に第6の前工程では、第2の絶縁体層16は、導体領域3に隣接する第1の接触領域12において除去される。第1の接触領域は、有利には、後に形成される開口部9と部分的にまたは完全に重なる(図6参照)。
【0036】
図3は、第1工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示す。第1工程では、第1の接触領域12において導体層4とカバー層6との間の直接接触がもたらされるように、カバー層6が第1の接触領域12に形成される。さらに、カバー層6が第2の絶縁体層16上に成膜される。次に、第1の凹部8(トレンチ)によってカバー層6の残部から絶縁された接触領域7が形成されるように、カバー層6がパターン形成される。同時に、さらなるエッチングパターン33がカバー層6に形成され、このエッチングパターンを介して、後にエッチング工程において、素子30を露出させるために下方の犠牲酸化物をエッチング除去することができる。共通工程でエッチングパターン33の形成と共に第1の凹部構成8の形成を行うことができることにより、特に費用効率の高いプロセスがもたらされる。
【0037】
図4は、第1工程およびエッチング工程にしたがって本発明の実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示す。このエッチング工程では、第1工程と第1の中間工程との間に、第2の絶縁体26、第2の絶縁体層16、第3の絶縁体21、および第3の絶縁体層22の一部が、エッチングパターン33(および第1の凹部8)を介してエッチングされる。この犠牲酸化物の除去によりマイクロエレクトロメカニカル素子30が露出する。
【0038】
図5は、第2の中間工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示す。第2の中間工程の前の第1の中間工程では、第1の絶縁体11(または誘電体)が、第1の凹部8(およびエッチングパターン33)に配置される。これにより、(例えば、共振器を含む)素子30は封止される。したがって、有利には、素子30の封止と、凹部8への第1の絶縁体11の充填とを同時に行うことができ、(素子30は、一般に、いずれにせよ封止される必要があるので)電気コンタクト部1の電気絶縁のためにほとんど追加の作業が生じない。同時に、第1の絶縁体層17がカバー層6上に成膜される。第2の中間工程において、第1の絶縁体層17は、接触領域7に隣接する第3の接触領域18において除去される。
【0039】
図6は、第2工程にしたがって本発明の一実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示す。第2工程では、開口部9が、接触領域7、導体領域3および付加領域15(シリコン層20)に形成される。開口部9は、共通工程で領域7、3、15にエッチング形成され、ウェハ/チップの表面に対して実質的に垂直に(もしくは主延在面に対して垂直に)延在する。開口部9は、カバー層6の内部で接触領域7によって完全に取り囲まれ、導体層4の内部で導体領域3によって完全に取り囲まれるように配置されている。
【0040】
図7は、第3工程にしたがって本発明の実施形態による電気コンタクト部1を形成する方法の概略図を示し、MEMS素子30および電気コンタクト部1を備える完成したシステム40を示す。第3工程では、金属材料10が、(接触領域7、導体領域3および追加領域15の)開口部9に導入される。この場合、金属材料10は、導体領域3の開口部9の側壁13上と、接触領域7の開口部9の別の側壁14上とに配置される。これにより、金属材料10と導体領域3(もしくは金属材料10と接触領域7)との間に大きな接触領域が形成され、このことは、金属材料10と導体領域3との間の遷移部における電気抵抗を最小化するうえで特に有利に作用する。
【0041】
特に有利には、本発明によれば、接触領域7がカバー層6の残部から既にあらかじめ絶縁され、導体領域3が導体層4の残部から既にあらかじめ絶縁されているので、開口部9を(金属材料10を充填する前、すなわち第3工程の前に)絶縁層で付加的に被覆すること、およびこのような絶縁層を(開口部の底部で)局所的に除去することを省略することができる。
【0042】
さらに、第3工程において、適宜に金属材料10と同じ材料からなる配線2が同時に形成される。金属材料10は、配線2と導体領域3と付加領域15との間に低抵抗の導電性接続をもたらすように配置されている。導体領域3は、MEMS素子30の構成要素にも接続されている。したがって、全体として、配線2と、極めて低い抵抗を有するMEMS素子30の構成要素との間に電気接続が形成される。
【0043】
図8は、本発明のさらなる実施形態による、素子30に接触させるための電気コンタクト部1を備えるシステム40の概略図を示す。図7に示す実施形態とは異なり、開口部9は、接触領域7および導体領域3にのみ配置されており、SOIウェハ5のシリコン層20には配置されていない(もしくは追加領域15には配置されていない)。このことは、第3の絶縁層22が後の開口部9の下方で除去されないこと、すなわち、第3の前工程が行われず、第2の接触領域23が形成されないことにより有利に達成される。したがって、第1工程の後のエッチング工程において、酸化物をもしくは第3の絶縁体層22の材料を導体領域3の下方に残すことが可能である。第2工程では、接触領域7および導体領域3にのみ開口部9を形成することができ、第3の絶縁体層22によって下方を制限することができる。したがって、金属材料10は、開口部9内において接触領域7および導体領域3の内部にしか形成されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8