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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】血栓除去装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220713BHJP
   A61B 17/3203 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
A61B17/22
A61B17/3203
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021001824
(22)【出願日】2021-01-08
(62)【分割の表示】P 2019125871の分割
【原出願日】2008-02-05
(65)【公開番号】P2021062236
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】60/888,265
(32)【優先日】2007-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516314147
【氏名又は名称】ウォーク バスキュラー, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WALK VASCULAR, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェンソン、マーク エル.
(72)【発明者】
【氏名】ドラスラー、ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シーレン、ジョセフ エム.
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06129698(US,A)
【文献】特開平06-197951(JP,A)
【文献】特開平07-016231(JP,A)
【文献】特開2003-290236(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22
A61B 17/3203
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状シャフトを備えるオーバー・ザ・ワイヤ型の血栓除去装置であって、前記長尺状シャフトは、
ガイドワイヤを配置するように構成されるとともに血栓を排出するように構成された排出管腔を有する外管であって、前記排出管腔は、真空源に結合するように構成された近位端と、前記長尺状シャフトの長手軸線に対して直角をなす開口を含む遠位端と、を有する、外管と、
加圧流体の供給源に結合するように構成された近位端と、前記開口の近くで前記排出管腔内に位置する閉じた遠位端と、を有する高圧管腔を有する内管であって、前記高圧管腔は、前記排出管腔の片側に配置されており、前記閉じた遠位端の近位で前記高圧管腔の側面に配置された噴射口を含み、該噴射口は前記排出管腔の長手軸線を横断する噴流を提供するように構成される、内管と、を備える血栓除去装置。
【請求項2】
前記長尺状シャフトは、患者の脈管構造を通って前進するのを容易にするためのテーパを有する、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項3】
前記内管は前記排出管腔内を延びる、請求項1または2に記載の血栓除去装置。
【請求項4】
前記噴射口は、実質的に、前記長尺状シャフトの長手軸線に垂直な方向と、前記排出管腔内における前記長手軸線に沿った近位方向との間に向けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の血栓除去装置。
【請求項5】
前記噴射口は、前記長尺状シャフトの長手軸線と実質的に垂直な方向に向けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の血栓除去装置。
【請求項6】
前記高圧管腔は、該高圧管腔の側面に配置された複数の噴射口を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の血栓除去装置。
【請求項7】
前記複数の噴射口が噴流を提供するように構成される、請求項6に記載の血栓除去装置。
【請求項8】
前記高圧管腔の前記閉じた遠位端は栓体を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の血栓除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置およびその使用方法に関する。より詳細には、本発明は、血栓除去装置およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の脈管構造から血栓および他の不要な物質を除去するために様々な方法が開発されてきた。例としては、血栓溶解薬剤、並びに流体ジェット、超音波、レーザ、サーマル、吸引、バルーン、回転バー、カッター、バスケットおよびワイヤのような機械的装置が挙げられる。血栓溶解薬剤は、投与がより容易であり、任意の所望される脈管に到達するという利点を有するが、作用の遅さ、モニタリングの必要性、出血性合併症の可能性、コストの高さ、より硬質のまたはより集合した血栓の除去不能性、および標的の脈管以外の他の脈管への薬剤の移動、といった不都合な点を有する。機械的装置は多くの場合、より速く、かつ標的の脈管に対して特異的であるが、サイズの大きさ、標的の脈管への到達の困難性、管壁に対する局所的な損傷、物理的な閉塞、複雑で多くの時間を要する準備、術者の訓練および熟練を必要とする複雑な手技、および高いコストという不都合な点があり、また、有効な装置ほど、より侵襲性であったり、より危険であったり、またはより高価であったりするため、より硬質のまたはより集合した血栓に対する有効性にバラつきがある。
【0003】
身体から、特に、大きな血管および心腔、または後腹膜出血のような出血の際に血液が充満し得る血管外腔(extravascular spaces)、または髄液腔(cerebrospinal fluid spaces)、中空の体器官などのような他の空間において、血栓または血塊を除去することが望ましい多くの状況が存在する。
【0004】
流体ジェット血栓除去装置を含む既存の血栓除去装置は、大きな血栓を治療すること、および大径の脈管から血栓を効率的かつ効果的に除去することが困難である。流体ジェットカテーテルは、ある程度の距離において、幾分の混合が得られ、作用し得るが、それを安全に行い、すべての血栓を除去するために捕捉することについては問題がある。冠状動脈または脚の動脈などのようなより細い脈管においては、様々な血栓除去カテーテルを用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、特に、末梢静脈または中心静脈、肺動脈および分枝を含む大きな脈管、心室、より大きな動脈および人工血管のための改善された血栓除去能力が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、概して、比較的大きな動脈および静脈のような脈管内から血栓および他の不要な物質を除去するための装置に関する。例証となるが限定しない例において、血栓除去システムは、高圧管腔および低圧管腔を画定する長尺状シャフトを備えることができる。高圧管腔は低圧管腔の端付近で終端し得る。低圧管腔の端付近には拡張可能な捕捉バスケットを配置することができる。一部の用途では、血栓除去システムは、捕捉バスケットなしで機能し得る。
【0007】
別の例証となるが限定しない例においては、血栓除去装置は、長尺状シャフトと、長尺状シャフト内を延びる排出管腔と、長尺状シャフト内を延びる高圧管腔とを備えることができる。長尺状シャフト内を延びるワイヤ管腔内には、捕捉装置が、ワイヤ管腔から先端側に延びるように配置され得る。
【0008】
別の例証となるが限定しない例において、装置は、第1カテーテルシャフト部分と、第2カテーテルシャフト部分とを備えることができる。第1カテーテルシャフト部分は、吸引管腔および高圧管腔を有することができる。第2カテーテルシャフト部分は、ワイヤ管腔、およびワイヤ管腔内に少なくとも部分的に配置された捕捉装置を有することができる。
【0009】
別の例証となるが限定しない例においては、吸引管腔内に血栓を引き寄せる排出器/吸引装置として高圧ジェットを用いることによって、血栓を脈管内から除去することができる。捕捉された血栓は高圧ジェットによって粉砕され、粉砕された血栓は脈管から外に吸引され得る。そのような装置において、高圧ジェットは先端チップの先端開口の付近に位置し得る。いくつかの実施形態において、高圧ジェットは、先端開口に関連した基端傾斜部にほぼ平行な角度、または軸線の向きに向かって若干より傾斜した角度で、高圧管腔を退出し得る。
【0010】
別の例証となるが限定しない例において、血栓を捕捉装置内に捕捉することによって、血栓を脈管内から除去することができる。捕捉された血栓は、高圧ジェットによって粉砕され、次いで、粉砕された血栓は脈管から外に吸引され得る。
【0011】
別の例証となるが限定しない例において、上記に記載した血栓除去装置に類似した血栓除去装置を提供することによって、血栓を除去することができる。血栓除去装置は患者の脈管構造の所望の位置に進められ得る。拡張可能な捕捉バスケットが拡張され、その捕捉バスケット内に血栓が捕捉され得る。捕捉された血栓を粉々にするために、高圧管腔を介して高圧流体源が提供され得る。粉々になった血栓を排出するために、低圧管腔に吸引が適用され得る。
【0012】
いくつかの実施形態の上記の要約は、本発明の各開示された実施形態またはすべての実施を記載するようには意図されていない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0013】
本発明は、添付の図面に関連する以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を参酌してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図2】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図3】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図4】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図5】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図5A】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図5B】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図6】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図7】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図8】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図9】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図10】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図11】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図12】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図13】本発明の一実施形態による血栓除去装置の一部の概略図。
図14】本発明の一実施形態による血栓除去システムの概略図。
図15】本発明の一実施形態による血栓除去システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は様々な改変および代替形態が可能であるが、それらのうちの特定のものを例として図面に示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、記載する特定の実施形態に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明は、本発明の主旨および範囲内にあるすべての改変物、均等物、および代替物をも包含するものである。
【0016】
以下に定義される用語については、特許請求の範囲または本明細書の他の箇所において異なる定義がなされない限り、これらの定義が適用されるものとする。
本願において、すべての数値は、明示的に示されているか否かに関わらず、「約」という語によって修飾されるものと見なされる。「約」という語は、一般に、記載される値と同等である(すなわち、同じ機能または結果を有する)と当業者が見なす数値範囲を指す。多くの場合において、「約」という語は、最も近い有効数字に四捨五入された数を含み得る。
【0017】
上下限値による数値範囲の記載は、その範囲内のすべての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4および5を含む)。
本明細書および添付された特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」「an」および「the」は、内容が明らかに異なることを示していない限り、複数の指示対象物を含む。本明細書および添付された特許請求の範囲において、「または」という語は、内容が明らかに異なることを示していない限り、「および/または」を含む意味にて使用される。
【0018】
以下の詳細な説明は、異なる図面において類似した要素には同じ番号が付されている図面を参照して読まれるべきである。図面は必ずしも寸法比率が等しいものではなく、例証となる実施形態を表すものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。
【0019】
本発明は、概して、低圧管腔すなわち排出管腔と、高圧管腔と、拡張可能な捕捉バスケットとを備えた血栓除去装置に関する。いくつかの場合において、前記血栓除去装置は、保管、輸送および/または搬送のために外部シース内に提供されていてもよい。
【0020】
単に明瞭にするために、いくつかの図面では、本発明の特定の要素のみを示しており、特定の他の要素は示していない。これらの要素は、本発明を実施する際に、所望の通りに組み合わせ得ることが理解されよう。
【0021】
図1は、血栓除去カテーテル10の一部の概略断面図である。血栓除去カテーテル10は、先端16を画定する先端領域14を有する長尺状シャフト12を備える。図示した実施形態では、低圧または排出管腔18は先端領域14内を延び、図のように、先端16まで延在することができる。排出管腔18は先端開口20において終端することができる。高圧管腔22は先端領域14内を延びることができる。高圧管腔22は先端開口24において終端することができる。
【0022】
いくつかの場合には、例示したように、高圧管腔22は排出管腔18と少なくともほぼ平行に延在し得る。いくつかの場合には、高圧管腔22は排出管腔18内を延びる管状部材によって形成されていてもよい。この図では明らかに示されていないが、長尺状シャフト12は、捕捉バスケット管腔、ガイドワイヤ管腔などのような1つ以上の付加的な管腔を備えてもよいことが認識されよう。
【0023】
図1において、環境は明らかには示されていないが、血栓除去カテーテル10は、血栓または他の望ましくない物質を含み得る患者の脈管構造または他の所望の管腔または空隙内に配置されていると考えることができる。血栓26は、概して、長尺状シャフト12の先端16のすぐ遠位に配置されて示されている。血栓26は、排出管腔18の基端(図示せず)に低圧源を適用することにより、排出管腔18に向かって引き寄せられ、排出管腔18内に引き込まれ得る。低圧源は、真空源のように、吸引を提供することができる。排出管腔18内の低圧は、概して矢印28によって表わされ得る。これらの矢印28はまた、血栓26が排出管腔18を通って進む方向も示している。
【0024】
一部の例では、所望に応じて、高圧流体源は、高圧管腔22と連通するように配置することができる。生理食塩水または別の治療上許容可能な流体のような好適な流体は、矢印30によって示す方向に移動することができる。一部の例において、高圧流体は先端開口24を介して高圧管腔22を退出することができる。いくつかの場合に、先端開口24は、そこから高圧流体を高速で退出させる噴射口であり得る。従って、高圧流体は血栓26に衝撃を与えて、排出管腔18を詰まらせることなくより良好に通り抜けるより小さな断片へと、血栓26を少なくとも部分的に破壊することができる。
【0025】
一部の例では、例示したように、高圧管腔22の先端開口24は、排出管腔18の先端開口20に対して、高圧流体が先端開口20を少なくとも部分的に横断して延びる噴流(ジェット)を生成するように配置することができる。後続の図面に関して検討するように、先端開口24は、排出管腔18の先端開口20に対して様々な異なる位置に配置することができる。
【0026】
長尺状シャフト12は任意の好適な材料から形成することができる。場合により、長尺状シャフト12は、1種以上の好適なポリマー材料から形成することができる。好適なポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社(DuPont)から入手可能なDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテル-エステル(例えばDSM エンジニアリング プラスチックス社(DSM Engineering Plastics)から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエステル系のコポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよび/またはデュポン社から入手可能なHYTREL(登録商標)のような他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えばバイエル社(Bayer) から入手可能なDURETHAN(登録商標)またはエルフ アトケム社(Elf Atochem) から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えばPEBAX(登録商標)という商品名で入手可能)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス(Marlex)高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMS アメリカン グリロン社(American Grilon)から入手可能なGRILAMID(登録商標)など)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリカーボネート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、他の好適な材料もしくはそれらの混合物、それらの組み合わせ、それらのコポリマー、ポリマー/金属複合材などを挙げることができる。
【0027】
一部の例では、排出管腔18および高圧管腔22は、単一のカテーテルシャフト内に平行な管腔として形成されていてもよい。一部の例では、排出管腔18は、カテーテルシャフト内に形成されていてもよいし、または別個の長尺管状部材として形成されていてもよい。一方、高圧管腔22は、排出管腔18を形成するカテーテルシャフトまたは長尺管状部材の外面上に少なくとも部分的に設けられた長尺管として形成することができる。
【0028】
上記で検討したように、血栓除去装置は、捕捉バスケットも備えることができる。図2は、所望に応じて、図1に関して説明した血栓除去カテーテル10と共に使用可能であるか、または同カテーテルに組み入れることさえできる拡張可能な捕捉バスケット32を示している。拡張可能な捕捉バスケット32は、フレーム構造34と、フレーム構造34の少なくとも一部の上に配置された膜36とを備える。一部の例では、膜36は上記に列挙した材料のような任意の好適な材料から形成することができ、任意の所望のレベルの空隙率を有するように操作されていてもよい。一部の例では、膜36は、血液に対しては少なくとも実質的に透過性であるが、血栓のようなより大きなものに対しては不透過性となるように形成することができる。いくつかの場合には、血流に対して少なくとも実質的に不透過性である膜36を構成することが有用なこともある。
【0029】
一部の例では、フレーム構造34は、第1ループ38および第2ループ40を備えることができる。第1ループ38は基端42および先端44を有することができ、第2ループ40は先端46および基端48を有することができる。第1ループ38は、第1長さのワイヤまたはフィラメントをループにすることによって形成することができるため、基端42は2つのワイヤ端またはフィラメント端を含み得ることが認識されるであろう。同様に、第2ループ40は、第2長さのワイヤまたはフィラメントをループにすることによって形成することができるため、先端46は2つのワイヤ端またはフィラメント端を含み得る。一部の例では、代わりに、第1長さのワイヤまたはフィラメントの2つの端を相互に溶接するか、または別の方法で接合して閉ループを形成することによって、第1ループ38および/または第2ループ40を形成することについても企図される。
【0030】
いくつかの場合において、第1ループ38の先端44は、所望に応じて、第2ループ40の基端48に固定されていてもよい。一部の例では、第1ループ38の基端42は作動フィラメント50まで延びて、該フィラメント50に固定することができる。一方、第2ループ40の先端46はワイヤ52まで延びて、該ワイヤ52に固定することができる。拡張可能な捕捉バスケット32は、所望に応じて、作動フィラメント50をワイヤ52に対して軸線方向に移動させることによって開放または閉鎖できることが分かる。図2は開放形態にある拡張可能な捕捉バスケット32を示しており、図3は閉鎖形態にある拡張可能な捕捉バスケット32を示している。図4は、膜36が除去されているため、フレーム構造34をよりよく見えるように示している。
【0031】
前記構造は、作動フィラメント50がワイヤ52に対して軸線方向に移動することは許容するが、作動フィラメント50および/またはワイヤ52が過度に半径方向に移動することは制限するように設けられ得ることが認識されるであろう。一部の例では、作動フィラメント50とワイヤ52との間の相対運動は、作動フィラメント50および/またはワイヤ52の少なくとも一方を血栓除去カテーテル10内の適切な管腔内に提供することによって制御することができる(図1)。いくつかの場合において、好適な管腔は、例えば、排出管腔18と平行に設けられていてもよいし、または排出管腔18内に設けられていてもよい。
【0032】
作動フィラメント50およびワイヤ52は任意の好適な材料から形成することができる。一部の例では、作動フィラメント50およびワイヤ52は、独立して、任意の好適なポリマー材料または金属材料から形成することができる。好適な材料の例としては、金属、金属合金、ポリマー(ポリマーの一部の例は上記に開示)、金属-ポリマー複合材、それらの組み合わせなど、または他の好適な材料が挙げられる。好適な金属および合金の一部の例としては、304V、304Lおよび316LVステンレス鋼のようなステンレス鋼;軟鋼;線形弾性および/または超弾性ニチノールのようなニッケル-チタン合金;他のニッケル合金、例えば、ニッケル-クロム-モリブデン合金(例えば、INCONEL(登録商標)625のようなUNS:N06625)HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)のようなUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)のようなUNS:N10276、他のHASTELLOY(登録商標)合金など)、ニッケル銅合金(例えばMONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのようなUNS:04400)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばMP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニッケル-モリブデン合金(例えばHASTELLOY(登録商標)ALLOY B2(登録商標)のようなUNS:N10665)、他のニッケル-クロム合金、他のニッケル-モリブデン合金、他のニッケル-コバルト合金、他のニッケル-鉄合金、他のニッケル-銅合金、他のニッケル-タングステンまたはタングステン合金など;コバルト-クロム合金;コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOXなど(登録商標)のようなUNS:R30003);白金富化ステンレス鋼(platinum enriched stainless);またそれらの組み合わせ;および同種のもの;または他の好適な材料が挙げられる。
【0033】
上記で述べたように、いくつかの場合には、作動フィラメント50およびワイヤ52はワイヤ構造体である。しかしながら、いくつかの場合においては、作動フィラメント50および/またはワイヤ52の一部または全部が中空であってもよく、また高圧管腔22(図1)のような高圧流体源と連通していてもよい。いくつかの状況では、フレーム構造34内の1つ以上の位置に配置された1つ以上の高圧ジェットを有することが望ましいことがある。例えば、フレーム構造34の中点54に位置する高圧ジェットを有することが望ましいことがある。一部の例では、第1ループ38および/または第2ループ40に沿って配置された1つ以上の高圧ジェットを有することが望ましいことがある。一部の例では、作動フィラメント50およびワイヤ52をワイヤ構造体とし、別の供給ライン(この図では図示せず)が前述の高圧ジェットに流体を提供することについても企図される。
【0034】
ここで、図5に移ると、血栓除去アセンブリ56は、先に記載したような血栓除去カテーテル10および拡張可能な捕捉バスケット32を備えるものとして示されている。例示したように、作動フィラメント50およびワイヤ52は長尺状シャフト12の隣で基端側に延在して示されている。長尺状シャフト12が、作動フィラメント50および/またはワイヤ52が延在し得る1つ以上の付加的な管腔(図示せず)を備えてもよいことが認識されるであろう。一部の例では、別個のカテーテル(図示せず)が、作動フィラメント50および/またはワイヤ52を拘束するために好適な1つ以上の管腔を提供してもよい。
【0035】
図5Aおよび図5Bは、長尺状シャフト12が作動フィラメント50およびワイヤ52をどのように収容し得るかについてのいくつかの例を提供する概略断面図である。図5Aは、ワイヤ管腔58が長尺状シャフト12を通って延在し、かつ排出管腔18および高圧管腔22と平行である例を提供している。ワイヤ管腔58は作動フィラメント50およびワイヤ52の双方を収容する寸法とすることができる。いくつかの場合において、ワイヤ管腔58は、作動フィラメント50とワイヤ52との間の相対的な軸線方向の移動を許容にするためには十分に大きいが、作動フィラメント50とワイヤ52との間の相対的な半径方向の移動を制限するためには十分に小さい径を有することができる。
【0036】
図5Bは、作動フィラメント管腔60およびワイヤ管腔62が、長尺状シャフト12を通って延在し、かつ排出管腔18および高圧管腔22と平行である例を提供している。作動フィラメント管腔60は作動フィラメント50を摺動可能に収容する寸法とすることができ、ワイヤ管腔62はワイヤ52を摺動可能に収容する寸法とすることができる。図5Aおよび図5Bは、単一シャフト内に形成されているような付加的な管腔を示しているが、ワイヤ管腔58、作動フィラメント管腔60およびワイヤ管腔62のうち1つ以上が、相互に接合されて長尺状シャフト12を形成する別個の独立した管状部材内に形成されていてもよいことが認識されよう。
【0037】
図6は、図5に類似しているが、第1ループ38の先端44付近に位置する高圧ジェット58を追加している。一部の例において、特に、第1ループ38を形成する管が中空であり、かつ高圧管腔22のような高圧流体源と連通している場合には、高圧ジェット58は、単に、第1ループ38を形成する管に形成された小さな開口であってもよい。いくつかの場合において、高圧ジェット58は独立した流体ライン(図示せず)に設けられたオリフィスとすることについても企図される。
【0038】
例示したように、高圧ジェット58は、少なくとも部分的に排出管腔18の先端開口20の方に向けられているものと考えられる。一部の例では、高圧ジェット58はより下向きの方向に向けられていてもよい。いくつかの場合において、高圧ジェット58は、膜36の内面をより直接狙っていてもよい。一部の例では、高圧ジェット58のような2つ、3つまたはそれ以上の高圧ジェットが、拡張可能な捕捉バスケット32の中、およびその付近の様々な位置に配置されていてもよい。
【0039】
図7は、捕捉バスケット内の1つ以上の位置に加圧流体を提供するように構成された例証となる血栓除去装置64を提供している。血栓除去装置64は、カテーテル部66およびバスケット部68を備える。カテーテル部66は、基端シャフト区域70と、基端シャフト区域70内に少なくとも部分的に配置され、そこから先端側に延びる中間シャフト区域72とを備える。先端シャフト区域74は中間シャフト区域72から延び、先端チップ76まで先端側に延在する。カテーテル部66は、排出管腔、高圧流体管腔、ワイヤ管腔、ガイドワイヤ管腔などのような1つ以上の管腔を備えていてもよいことが認識されよう。
【0040】
基端シャフト区域70および中間シャフト区域72は、先に説明した排出管腔18に類似した排出管腔を提供するように構成することができる。排出管腔は、例えば、先端開口78において終端し得る。先に述べたように、排出管腔(この図では見えない)は、血栓および他の不要な物質を該排出管腔に引き込むために、吸引のような低圧源と連通して配置することができる。
【0041】
基端側高圧流体ライン80は、中間シャフト区域72と平行に延在し得る。基端側高圧流体ライン80は、基端シャフト区域内を基端側に延在することができ、高圧流体源と連通し得る。基端側高圧流体ライン80は接合部82まで延在することができ、接合部82からは先端側高圧流体ライン84が先端チップ76へと先端側に延在し得る。所望により、接合部82は噴射口を備えてもよいが、これは必須ではない。
【0042】
明瞭にするために、バスケット部68は膜なしで示されているが、バスケット部68が図2に関して先に記載した膜36に類似した膜を備え得ることは認識されよう。バスケット部68は、先端チップ76から基端側に延びる管状ライン86を備える。いくつかの場合において、先端チップ76は、管状ライン86が先端側高圧流体ライン84と連通し得るように、適切な配管接続(plumbing connections)を備えることができる。一部の例では、管状ライン86は接合部88まで延在していてもよい。所望により、接合部88はまた、噴射口を備えていてもよい。
【0043】
1対の作動フィラメント90が接合部88に接続され、そこから基端側に延在している。一部の例では、作動フィラメント90は、入口92を介して基端シャフト区域70に進入し、基端シャフト区域70を通って基端側に延在する。作動フィラメント90を軸線方向に移動させることによって、バスケット部68は開放形態(図示の通り)と閉鎖形態との間で動かされ得る。いくつかの場合において、作動フィラメント90はワイヤであってもよい。一部の例では、作動フィラメント90の一方または双方が、接合部88と連通した中空管であってもよい。
【0044】
図8図13は、血栓除去装置の例証となるが限定しない例を提供する。明瞭にするために、ワイヤ管腔および捕捉バスケット膜のような特定の要素が図面から排除されている。しかしながら、所望に応じてこれらの要素を備え得ることは認識されよう。
【0045】
図8は、モノレール型またはオーバー・ザ・ワイヤ型のいずれかであり得る血栓除去装置94を示している。血栓除去装置94は、ガイドワイヤ98が配置されるガイドワイヤ管腔96を備える。図ではガイドワイヤ管腔96の先端部分のみが見られるが、当業者であれば、血栓除去装置94がモノレール(またはシングル・オペレータ・エクスチェンジ)カテーテルとして意図される場合には、ガイドワイヤ管腔96は比較的短い長さを有し得ることが認識されよう。いくつかの場合において、血栓除去装置94がオーバー・ザ・ワイヤ・カテーテルとして設計されている場合には、ガイドワイヤ管腔96は相当な距離にわたって基端側に延在し得る。
【0046】
血栓除去装置94は、先端102まで延びる長尺状シャフト100を備える。ガイドワイヤ管腔96は、所望される場合には、長尺状シャフト100の一体部分として形成されてもよい。排出管腔104は長尺状シャフト100内に形成されており、先端開口106まで先端側に延在する。排出管腔104は、真空のような低圧源と連通していてもよい。いくつかの場合において、例示したように、先端開口106は、患者の脈管構造内における血栓除去装置94の前進を容易にするためにテーパが付けられていてもよく、例えば、さらに、血栓および他の類似した物質を収容するために適切な寸法を有することができる。
【0047】
長尺状シャフト100はまた、長尺状シャフト100内を先端側に延びる高圧管腔108を備える。高圧管腔108は、高圧管腔108の側面に、その先端に近接して配置された噴射口110を備える。この形態では、噴射口110が排出管腔104を横断する流体ジェットを提供し得るため、排出管腔104内に入る血栓を粉砕する助けとなり得ることが分かる。
【0048】
図9は、オーバー・ザ・ワイヤ型として構成された血栓除去装置112を示している。血栓除去装置112は、先端116まで延びる長尺状シャフト114を備える。排出管腔118は長尺状シャフト114内に形成されており、先端開口120まで先端側に延びている。ガイドワイヤ98は、排出管腔118を通って延びている。
【0049】
排出管腔118は、真空のような低圧源と連通していてもよい。いくつかの場合において、例示したように、先端開口120は、患者の脈管構造内における血栓除去装置112の前進を容易にするためにテーパが付けられていてもよく、例えば、さらに、血栓および他の類似した物質を収容するために適切な寸法を有することができる。
【0050】
長尺状シャフト114はまた、長尺状シャフト114内を先端側に延びる高圧管腔108を備える。高圧管腔108は、高圧管腔108の側面に、その先端に近接して配置された噴射口110を備える。この形態では、噴射口110が排出管腔118を横断する流体ジェットを提供することができるため、排出管腔118内に流入する血栓を粉砕する助けとなり得ることが分かる。
【0051】
図10は、モノレール型またはオーバー・ザ・ワイヤ型のいずれかであり得る血栓除去装置120を示している。血栓除去装置120は、ガイドワイヤ98が配置されるガイドワイヤ管腔122を備える。図ではガイドワイヤ管腔122の先端部分のみが見られるが、当業者であれば、血栓除去装置120がモノレール(またはシングル・オペレータ・エクスチェンジ)カテーテルとして意図される場合には、ガイドワイヤ管腔122は比較的短い長さを有し得ることが理解されよう。いくつかの場合において、血栓除去装置120がオーバー・ザ・ワイヤ・カテーテルとして設計されている場合には、ガイドワイヤ管腔122は相当な距離にわたって基端側に延在し得る。
【0052】
血栓除去装置120は、先端126まで延びる長尺状シャフト124を備える。ガイドワイヤ管腔122は、所望に応じて、長尺状シャフト124の一体部分として形成されてもよい。排出管腔128は長尺状シャフト124内に形成されており、先端側に延びている。一部の例では、例示したように、排出管腔128は側面開口130を有し得る。側面開口130は、血栓および類似した物質が該側面開口130を介して排出管腔128内に進入することを許容する寸法を有する。排出管腔128は、真空のような低圧源と連通していてもよい。いくつかの場合において、例示したように、例えば、患者の脈管構造内における血栓除去装置120の前進を容易にするために、長尺状シャフト124は傾斜端132にて終端していてもよい。
【0053】
長尺状シャフト124はまた、長尺状シャフト124内を先端側に延びる高圧管腔108を備える。高圧管腔108は、高圧管腔108の側面に、その先端に近接して配置された噴射口110を備える。この形態では、噴射口110が排出管腔128を横断する流体ジェットを提供することができるため、排出管腔128内に流入する血栓を粉砕する助けとなり得ることが分かる。この形態では、噴射口110は、側面開口130の中点に、または該中点の近くに配置することができる。
【0054】
図11は、モノレール型またはオーバー・ザ・ワイヤ型のいずれかであり得る血栓除去装置134を示している。血栓除去装置134は、ガイドワイヤ98が配置されるガイドワイヤ管腔122を備える。図ではガイドワイヤ管腔122の先端部分のみが見られるが、血栓除去装置134がモノレール(またはシングル・オペレータ・エクスチェンジ)カテーテルとして意図される場合には、ガイドワイヤ管腔122は比較的短い長さを有し得ることが認識されよう。いくつかの場合において、血栓除去装置134がオーバー・ザ・ワイヤ・カテーテルとして設計されている場合には、ガイドワイヤ管腔122は相当な距離にわたって基端側に延在し得る。
【0055】
血栓除去装置134は、先端126まで延びる長尺状シャフト124を備える。ガイドワイヤ管腔122は、所望に応じて、長尺状シャフト124の一体部分として形成されてもよい。排出管腔128は長尺状シャフト124内に形成されており、先端側に延びている。一部の例では、例示したように、排出管腔128は側面開口130を有し得る。側面開口130は、血栓および類似した物質が該側面開口130を介して排出管腔128内に進入することを許容する寸法を有する。排出管腔128は、真空のような低圧源と連通していてもよい。いくつかの場合において、例示したように、例えば、患者の脈管構造内における血栓除去装置134の前進を容易にするために、長尺状シャフト124は傾斜端132にて終端していてもよい。
【0056】
長尺状シャフト124はまた、長尺状シャフト124内を先端側に延びる高圧管腔108を備える。高圧管腔108は、高圧管腔108の側面に、その先端に近接して配置された噴射口110を備える。この形態では、噴射口110は、側面開口130の先端縁に、または該先端縁の近くに配置することができる。
【0057】
図12は、モノレール型またはオーバー・ザ・ワイヤ型のいずれかであり得る血栓除去装置136を示している。血栓除去装置136は、ガイドワイヤ98が配置されるガイドワイヤ管腔122を備える。図ではガイドワイヤ管腔122の先端部分のみが見られるが、当業者であれば、血栓除去装置136がモノレール(またはシングル・オペレータ・エクスチェンジ)カテーテルとして意図される場合には、ガイドワイヤ管腔122は比較的短い長さを有し得ることが認識されよう。いくつかの場合において、血栓除去装置136がオーバー・ザ・ワイヤ・カテーテルとして設計されている場合には、ガイドワイヤ管腔122は相当な距離にわたって基端側に延在し得る。
【0058】
血栓除去装置136は、先端140まで延びる長尺状シャフト138を備える。ガイドワイヤ管腔122は、所望に応じて、長尺状シャフト138の一体部分として形成されてもよい。排出管腔142は長尺状シャフト138内に形成されており、先端側に延びている。一部の例では、例示したように、排出管腔142は側面開口144を有し得る。側面開口144は、血栓および類似した物質が該側面開口144を介して排出管腔142内に進入することを許容する寸法を有する。排出管腔142は、真空のような低圧源と連通していてもよい。いくつかの場合において、例示したように、例えば、患者の脈管構造内における血栓除去装置136の前進を容易にするために、長尺状シャフト138は傾斜端146にて終端していてもよい。一部の例では、排出管腔142内で流れ特性を制御することが所望される場合には、傾斜端146は内曲面148を備えてもよい。
【0059】
長尺状シャフト138はまた、長尺状シャフト138内を先端側に延びる高圧管腔150を備える。高圧管腔150は、高圧管腔150の先端に配置された噴射口152を備える。この形態では、噴射口152が、排出管腔142の先端領域154内に乱流を引き起こし得る流体ジェットを提供し得ることが分かる。一部の例では、この乱流は、排出管腔142に流入する血栓を粉砕する助けとなり得る。
【0060】
図13は、モノレール型またはオーバー・ザ・ワイヤ型のいずれかであり得る血栓除去装置156を示している。血栓除去装置156は、ガイドワイヤ98が配置されるガイドワイヤ管腔122を備える。図ではガイドワイヤ管腔122の先端部分のみが見られるが、当業者であれば、血栓除去装置156がモノレール(またはシングル・オペレータ・エクスチェンジ)カテーテルとして意図される場合には、ガイドワイヤ管腔122は比較的短い長さを有し得ることが認識されよう。いくつかの場合において、血栓除去装置156がオーバー・ザ・ワイヤ・カテーテルとして設計されている場合には、ガイドワイヤ管腔122は相当な距離にわたって基端側に延在し得る。
【0061】
血栓除去装置156は、先端140まで延びる長尺状シャフト138を備える。ガイドワイヤ管腔122は、所望に応じて、長尺状シャフト138の一体部分として形成されてもよい。排出管腔142は長尺状シャフト138内に形成されており、先端側に延びている。一部の例では、例示したように、排出管腔142は側面開口144を有し得る。側面開口144は、血栓および類似した物質が該側面開口144を介して排出管腔142内に進入することを許容する寸法を有する。排出管腔142は、真空のような低圧源と連通していてもよい。いくつかの場合において、例示したように、例えば、患者の脈管構造内における血栓除去装置156の前進を容易にするために、長尺状シャフト138は傾斜端146にて終端していてもよい。一部の例では、排出管腔142内で流れ特性を制御することが所望される場合には、傾斜端146は内曲面148を備えてもよい。
【0062】
長尺状シャフト138はまた、長尺状シャフト138内を先端側に延びる高圧管腔150を備える。図12とは異なり、図13においては、高圧管腔150は側面開口144から離れて位置している。高圧管腔150は、高圧管腔150の先端に配置された噴射口152を備える。この形態においては、噴射口152が、排出管腔142の先端領域154内に乱流を引き起こし得る流体ジェットを提供することができることが理解できる。一部の例では、この乱流は、排出管腔142に流入する血栓を粉砕する助けとなり得る。
【0063】
図14は血栓除去システム158を概略的に示している。一部の例では、血栓除去システム158は、外部の流体接続または電力接続なしで作動させることができる、自己充足アセンブリであると考えることができる。血栓除去システム158は、図1図13に関して上述したものに類似した血栓除去装置160を備える。作動流体槽162は、推進剤槽164内に貯蔵される推進剤によって加圧され得る。
【0064】
一部の例では、推進剤槽164は、液体形態の推進剤を収容することができる。推進剤が気化すると、結果として生じた気体は、ライン166を通って、作動流体槽162内に移動することができる。図で示されているように、推進剤槽164は、約半分(描かれているように下半分)が液化した推進剤で充填され得るとともに、約半分が気化した推進剤で充填され得る。同様に、作動流体槽162の下半分は生理食塩水のような液体の作動流体で充填することができ、上半分は気化した推進剤で充填されている。一部の例では、推進剤は二酸化炭素である。推進剤槽164の推進剤が気化するにつれて、結果として、作動流体槽162の作動流体は加圧される。これに代えて、作動流体を外部から加圧することについても企図される。例えば、酸素または窒素のような加圧気体の外部供給源を用いて、作動流体槽162内の作動流体に圧力を加えてもよい。
【0065】
加圧された作動流体は、供給ライン168を介して血栓除去装置160に提供され得る。一部の例では、加圧された作動流体はまた、別の供給ライン172を介して吸引装置170にも提供されてもよい。吸引装置170は、ジェットポンプ吸引装置、ベンチャーなどとすることができ、例えば、供給ライン174を介して血栓除去装置160内の低圧管腔に接続され得る。一部の例では、上記の代わりに、例えば、病室内の真空ポートのように、吸引が外部から提供されることについても企図される。血栓除去装置160を介して除去された血栓または他の物質は、収集物槽176に収集され得る。一部の例では、収集物槽176は再使用可能な容器であってもよい。いくつかの場合において、収集物槽176は使い捨ての袋または他の類似した構造体であってもよい。
【0066】
図15は、関連する捕捉装置なしで機能し得る血栓除去装置を示している。血栓除去カテーテル10は、排出管腔18と、ほぼ平行な高圧管腔22とを有する長尺状シャフト12を備える。図5Aに示すように、長尺状シャフト12は、任意で、高圧管腔22、ガイドワイヤ管腔(図示せず)などを収容していてもよい。他の実施形態において、高圧管腔22は、排出管腔18に接合されて長尺状シャフト12を形成する別個の独立した管状部材として提供されてもよい。排出管腔18は先端開口20にて終端し得る。高圧管腔22は、長尺状シャフト12の先端開口20付近で、先端開口24において終端し得る。いくつかの実施形態において、先端開口24は、高圧管腔22内に挿入された先端栓体16に形成することができる。一般的に長尺状シャフト12の先端開口20のすぐ遠位に示されている血栓26は、排出管腔18の基端(図示せず)に低圧源を提供することにより、排出管腔18内に引き込まれ得る。いくつかの実施形態において、生理食塩水または他の治療上許容可能な流体のような好適な流体は、高圧管腔22内を矢印30によって示す方向に移動することができる。先端開口24を退出すると、その流れは、排出管腔18内に存在する概ね矢印28の方向の流れに合流することができる。いくつかの形態において、特に先端開口24を退出する流れが、低圧管腔18の軸線に直交する方向と矢印28によって示される向きの低圧管腔内の軸線方向との間に向けられる場合、先端開口24を退出する流れは、長尺状シャフト12内に血栓26を引き込むことを支援する排出器/吸引器作用を提供することができる。先端開口24を退出する流れは、排出管腔18に進入すると、血栓を粉砕して弱め得ると考えられる。
【0067】
一部の例では、本願に記載される装置の一部または全部は、放射線不透過性物質でドープされているか、放射線不透過性物質から形成されているか、放射線不透過性物質でコーティングされているか、または別の方法で放射線不透過性物質を含有していてもよい。放射線不透過性物質は、医学的処置の間に、蛍光スクリーン上または別の撮像技術において比較的明るい像を生成することができる材料であると理解される。放射線不透過性物質のいくつかの例としては、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
いくつかの場合において、本願に記載される装置の一部にある程度のMRI適合性が付与されていてもよい。例えば、核磁気共鳴映像(MRI)装置との適合性を高めるために、本願に記載される装置の様々な部分を、MRI画像を実質的に歪めない材料、または実質的なアーチファクト(画像中の実際とは異なる像)を生じさせない材料から形成することが望ましいことがある。一部の強磁性物質は、MRI画像中にアーチファクトを形成し得るため、適当ではない場合がある。一部の例では、本願に記載される装置は、MRI装置が撮像できる物質を含有することができる。これらの特性を示すいくつかの物質としては、例えば、タングステン、コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのようなUNS:R30003)、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金(例えばMP35-N(登録商標)などのようなUNS:R30035)、ニチノールなど、および他のものが挙げられる。
【0069】
いくつかの場合において、本願に記載される装置のうちの一部は、潤滑性コーティングまたは親水性コーティングのようなコーティングを含むことができる。フルオロポリマーのような疎水性コーティングは乾式潤滑を提供する。潤滑性コーティングは、操縦性を改善するとともに、病変部通過能力を向上させる。好適な潤滑性ポリマーは当業においてよく知られており、そのようなポリマーとしては、シリコーンおよび同種のもの、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアリーレンオキシド、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrolidones)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース誘導体、アルギン、糖類、カプロラクトンなどのような親水性ポリマー、並びにそれらの混合物および組み合わせが挙げられる。親水性ポリマーは、好適な潤滑性、接着性および可溶性を備えたコーティングを生成するために、親水性ポリマー同士で、または調合量の水不溶性化合物(一部のポリマーを含む)とブレンドされてもよい。
【0070】
本開示が多くの点において単に例示的なものにすぎないことは理解されるべきである。本発明の範囲を逸脱することなく、詳細について、特に形状、寸法、および工程の順序について変更を加えることができる。本発明の範囲は、当然ながら、添付の特許請求の範囲の文言において定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15