(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】携帯型音声再生機
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20220713BHJP
G10K 15/04 20060101ALI20220713BHJP
【FI】
H04R3/00 101
G10K15/04 302F
(21)【出願番号】P 2021085262
(22)【出願日】2021-05-20
(62)【分割の表示】P 2017018538の分割
【原出願日】2017-02-03
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】595047020
【氏名又は名称】メモリーテック・ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 充朗
(72)【発明者】
【氏名】浅原 康路
(72)【発明者】
【氏名】土谷 昌義
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-199334(JP,A)
【文献】特開2005-084459(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0158270(US,A1)
【文献】実開平01-107055(JP,U)
【文献】登録実用新案第3016060(JP,U)
【文献】特開2013-236118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0222235(US,A1)
【文献】特開2012-124790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04R 1/10
G10K 15/04
H03F 1/00
G06F 1/26-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機であって、
前記音声出力装置の接続端子に電気的に接続される音声電極と、
前記音声データに基づいて前記音声信号を生成し、前記音声電極に出力する音声信号生成回路と、
前記音声信号生成回路に前記音声データを出力する制御回路
と
を備え
、
前記制御回路は、第5及び第6のノードを備え、前記第5及び第6のノードのいずれかに供給された電力によって動作可能であり、
所定の大きさの電圧を生成して前記第5のノードに供給する電源回路と、
前記電源回路に電力を供給するバッテリーと、
前記電源回路及び前記バッテリーを電気的に接続し、又は切断する電源スイッチと、
入力端子が前記バッテリーに、出力端子が前記第6のノードに接続された分圧回路と
を更に備える携帯型音声再生機。
【請求項2】
前記制御回路からの制御信号に応じて、前記音声電極及び前記音声信号生成回路の出力端子を、お互いに接続し、又は接地端子に接続する音声スイッチを更に備える
請求項1記載の携帯型音声再生機。
【請求項3】
前記制御回路は、前記電源スイッチによって電源が切断された場合、動作を停止する前に前記第6のノードから供給された電力によって予備情報を記憶する
請求項
1又は2記載の携帯型音声再生機。
【請求項4】
前記予備情報は、前記第6のノードの電圧である
請求項
3記載の携帯型音声再生機。
【請求項5】
前記電源スイッチは機械式のスイッチである
請求項
1~
4のいずれか1項記載の携帯型音声再生機。
【請求項6】
筐体の外部から操作可能な電源操作部を更に備え、
前記電源操作部は、前記電源スイッチと機械的に連動する
請求項
5記載の携帯型音声再生機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型音声再生機に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機が知られている。この様な携帯型音声再生機は、例えば、音声出力装置の接続端子(例えば、イヤホンジャック)に電気的に接続される音声電極と、音声データに基づいて上記音声信号を生成し、音声電極に出力する音声信号生成回路と、この音声信号生成回路に音声データを出力する制御回路と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、携帯型音声再生機に電源が投入された状態でイヤホンジャック等を挿入すると、イヤホンジャック等との接触時に音声電極の電荷が放出され、これによってポップノイズが発生する場合があった。
【0005】
また、例えば、音声信号自体にポップノイズが含まれる場合もあった。例えば、携帯型音声再生機によって、サンプリング周波数の異なる2つの音声データが連続して再生される場合、音声データの切替に際してポップノイズが発生してしまう場合があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、ポップノイズを抑制可能な携帯型音声再生機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の実施形態に係る携帯型音声再生機は、デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機である。この携帯型音声再生機は、音声出力装置の接続端子に電気的に接続される音声電極と、音声データに基づいて音声信号を生成し、音声電極に出力する音声信号生成回路と、この音声信号生成回路に音声データを出力する制御回路と、この制御回路からの制御信号に応じて、音声電極及び音声信号生成回路の出力端子を、お互いに接続し、又は接地端子に接続する音声スイッチと、を備える。
【0008】
例えば、上記音声スイッチは、制御信号に応じて音声電極を第1のノード又は第2のノードに接続する第1のスイッチ回路と、制御信号に応じて音声信号生成回路の出力端子を第3のノード又は第4のノードに接続する第2のスイッチ回路と、を備えても良い。また、第1及び第3のノードの少なくとも一方は、音声電極から音声信号生成回路の出力端子に至る音声信号の伝達経路上に設けられ、第2及び第4のノードは接地端子に接続されても良い。また、上記音声スイッチは、上記第2及び第4のノードと接地端子との間に並列に接続された抵抗及びキャパシタを更に備えていても良い。
【0009】
また、例えば、上記携帯型音声再生機においては、携帯型音声再生機の電源投入時に音声電極及び音声信号生成回路の出力端子を接地端子に接続し、音声の再生に際して音声電極及び音声信号生成回路の出力端子をお互いに接続しても良い。
【0010】
また、例えば、上記携帯型音声再生機においては、第1及び第2の音声データに基づいて順次音声を再生する場合であって、これら第1及び第2の音声データのサンプリング周波数が異なる場合、第1の音声データに基づく音声の再生を終了する際に音声電極及び音声信号生成回路の出力端子を接地端子に接続し、第2の音声データに基づく音声の再生を開始する際に音声電極及び音声信号生成回路の出力端子をお互いに接続しても良い。また、この場合には、例えば、第1及び第2の音声データのサンプリング周波数が同じ場合には、音声電極及び音声信号生成回路の出力端子がお互いに接続された状態で、第1及び第2の音声データの切替を行っても良い。
【0011】
また、例えば、上記制御回路は、第5及び第6のノードを備え、第5及び第6のノードのいずれかに供給された電力によって動作可能であっても良い。また、上記携帯型音声再生機は、所定の大きさの電圧を生成して第5のノードに供給する電源回路と、電源回路に電力を供給するバッテリーと、これら電源回路及びバッテリーを電気的に接続し、又は切断する電源スイッチと、入力端子がバッテリーに、出力端子が第6のノードに接続された分圧回路と、を更に備えても良い。
【0012】
また、例えば、上記電源スイッチによって電源が切断された場合、上記制御回路は、動作を停止する前に上記第6のノードから供給された電力によって予備情報を記憶しても良い。この予備情報は、例えば、第6のノードの電圧でも良い。
【0013】
また、例えば、上記電源スイッチは機械式のスイッチでも良い。更に、携帯型音声再生機は、筐体の外部から操作可能な電源操作部を更に備えても良く、この電源操作部は、上記電源スイッチと機械的に連動しても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ポップノイズを抑制可能な携帯型音声再生機を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の外観を示す正面図である。
【
図2】同携帯型音声再生機の外観を示す底面図である。
【
図3】同携帯型音声再生機の外観を示す平面図である。
【
図4】同携帯型音声再生機の外観を示す右側面図である。
【
図5】同携帯型音声再生機の外観を示す左側面図である。
【
図6】同実施形態に係る携帯型音声再生機の内部構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【
図7】音声スイッチの回路構成を説明するための概略的な回路図である。
【
図8】モニタ回路の回路構成を説明するための概略的な回路図である。
【
図9】同携帯型音声再生機の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図10】同携帯型音声再生機の一部の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施形態]
[携帯型音声再生機の外観]
図1~
図5は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の外観を示す正面図、底面図、平面図、右側面図及び左側面図である。尚、携帯型音声再生機の外観、各構成の位置、大きさ及び範囲、各構成の具体的な態様等は適宜変更可能である。
【0017】
図1に示す通り、筐体101の正面下部には3つのボタン102が、その上方にはディスプレイ103が設けられる。ボタン102は、音声の再生、停止、曲送り、音量の調整等の操作に用いられる。ディスプレイ103は、再生中の音声や選択される音声に関する情報を表示する。
【0018】
図2に示す通り、筐体101の下部には、音声端子104、充電端子105及び光源106が設けられる。音声端子104にはイヤホンやヘッドホン等の音声出力装置の接続端子(例えば、イヤホンジャック)を接続可能である。音声出力装置は、接続端子への音声信号の入力に応じて音声を出力する。本実施形態に係る携帯型音声再生機は、この音声出力装置に音声信号を出力することによって音声を再生する。充電端子105は、例えば、マイクロUSBケーブル用の端子であり、内蔵バッテリーの充電やファームウェアのインストール等に用いられる。光源106は、例えば、発光ダイオード等の光源であり、内蔵バッテリーの状態や充電の状態等に応じて発光する。
【0019】
図3に示す通り、筐体101の上部には、記録媒体挿入部107が設けられる。記録媒体挿入部107は、microSDカードやSDカード等の半導体メモリを挿入可能なソケットである。本実施形態に係る携帯型音声再生機は、この半導体メモリに記録された音声データに基づいて音声信号を生成する。
【0020】
図4に示す通り、筐体101の右側面には、電源操作部108が設けられる。電源操作部108は、例えば、スライド式のスイッチであり、携帯型音声再生機の電源の投入及び切断に用いられる。また、電源操作部108の上方には、ストラップ等の付属品を取り付け可能な付属品取付部が設けられる。付属品取付部はピン部材110等を備え、このピン部材110と筐体101との間にはホール部111が設けられる。
【0021】
図5に示す通り、筐体101の左側面には、ボタン操作切替部109が設けられる。ボタン操作切替部109は、例えば、ボタン102の操作の切替に用いられる。例えば、ボタン操作切替部109の操作により、ボタン102の操作がロックされても良いし、ボタン102に異なる動作が割り当てられても良い。例えば、ボタン操作切替部109が第1の状態である場合には筐体101正面の3つのボタン102にそれぞれ再生及び曲送り等の第1の動作が割り当てられ、第2の状態である場合には、表示切替及び音量調整等の第2の動作が割り当てられても良い。
【0022】
[携帯型音声再生機の内部構成]
図6は、第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の内部構成を示す概略的な機能ブロック図である。尚、
図6においては、説明の都合上、一部の構成を省略している。
【0023】
筐体101内には、音声端子104、音声信号生成回路201、制御回路202、音声スイッチ203、電源回路204、バッテリー205、電源スイッチ206、充電回路207、モニタ回路208等が格納される。
【0024】
音声端子104は、例えば、左耳用の音声電極141、右耳用の音声電極142、並びに、接地用の電極143,144を備える3極式の音声端子である。音声電極141,142、及び、接地用の電極143,144は、音声出力装置の接続端子(例えば、イヤホンジャック)を機械的に保持すると共に、この接続端子に電気的に接続される。尚、音声端子104は、2極式又は4極式等、他の構成であっても良い。
【0025】
音声信号生成回路201は、例えばDAコンバータであり、デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成して音声電極141,142に出力する。具体的には、左耳用及び右耳用のアナログの音声信号(L,R)を生成し、それぞれ、出力端子201L,201Rから、カップリングコンデンサCC及び音声スイッチ203を介して、音声端子104の音声電極141、142に出力する。尚、ここで言う音声データとは、例えば、ハイレゾリューションオーディオ(以下、「ハイレゾ」と呼ぶ。)の音楽データである。ハイレゾの音楽データは、例えば、サンプリング周波数及び量子化ビット数の双方がCD音源よりも大きいか、サンプリング周波数及び量子化ビット数のどちらか一方がCD音源よりも大きく、且つ、他方がCD音源と同等である。尚、CD音源のサンプリング周波数は44.1kHz、量子化ビット数は16bitである。また、ハイレゾの音楽データは、例えば、FLAC(Free Lossless Audio Codec)やWAV等のデータ形式を有する。また、ここで言う音声信号とはアナログの交流信号であり、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置に出力されることにより、音楽等の音声が再生されるものである。
【0026】
制御回路202は、例えばMCUであり、ボタン102及びボタン操作切替部109の操作、並びに、制御回路202内部のROMに記憶されたファームウェアに従って動作する。例えば、音声の再生に際して、制御回路202は記録媒体挿入部107に挿入された半導体メモリ300から音声データを読み出して、音声信号生成回路201に出力する。また、制御回路202は、ディスプレイ103を制御して、文字や数字、ロゴ等を表示させる。また、制御回路202は、ノードN5及びN6を備え、これらノードN5,N6のいずれかに供給された電力によって動作可能である。本実施形態においては、基本的にノードN5に供給された電力に応じて動作し、ノードN6はバッテリー205の電力モニタ等に使用される。
【0027】
音声スイッチ203は、音声電極141、142から音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rに至る音声信号の伝達経路上に設けられる。音声スイッチ203は、制御回路202からの音声出力開始/停止コマンド(制御信号)に応じて、音声電極141、142及び音声信号生成回路201の出力端子201L、201Rを、お互いに接続し、又は接地端子に接続する。尚、音声スイッチ203については、後に
図7を参照して詳述する。
【0028】
電源回路204は、例えば降圧回路、DC/DCコンバータ、レギュレータ等の集積回路であり、音声信号生成回路201、制御回路202、音声スイッチ203、ディスプレイ103等の動作に適した電圧を生成して、これらの構成に供給する。
【0029】
バッテリー205は、例えばリチウムイオン電池等の充電池であり、電源回路204に電力を供給する。尚、バッテリー205は、交換式の電池であっても良い。
【0030】
電源スイッチ206は、例えば、電源操作部108と機械的に連動する機械式のスイッチであり、電源回路204に接続されたノードn10及びバッテリー205の陽極に接続されたノードn11を電気的に接続し、又は切断する。即ち、本実施形態においては、電源切断時に電源回路204に電力を供給しない。尚、電源スイッチ206は、機械式のスイッチでなくても良い。
【0031】
充電回路207は、例えば、充電端子105に供給された電力を調整してバッテリー205に供給する集積回路である。また、充電回路207には光源106が接続されており、例えば、バッテリー205の状態や充電の状態等に応じて光源106を発光させる。
【0032】
モニタ回路208は、バッテリー205の電力のモニタ等に用いられる。尚、モニタ回路208については、後に
図8を参照して詳述する。
【0033】
[第1の実施形態に係る音声スイッチ203]
図7は、音声スイッチ203の回路構成を説明するための概略的な回路図である。尚、
図7には音声出力が許可された状態を例示しているが、音声スイッチ203の状態は音声出力開始/停止コマンドの入力によって切り替わる。また、音声スイッチ203は、左耳用の回路203L及び右耳用の回路203Rを備える。以下の説明においては左耳用の回路203Lを例に説明を行うが、右耳用の回路203Rも左耳用の回路203Lと同様に構成される。更に、音声スイッチ203の構成は適宜変更可能であり、例えば、音声スイッチ203の一部または全部をFPGA(Field Programable Gate Array)等によって実現することも可能である。
【0034】
音声スイッチ203Lは、音声電極141に接続された第1のスイッチ回路231、音声信号生成回路201の出力端子201LにカップリングコンデンサCCを介して接続された第2のスイッチ回路232、及び、これら第1及び第2のスイッチ回路231,232に接続された接地回路233を備える。
【0035】
第1のスイッチ回路231は、音声電極141を、音声出力開始コマンドに応じて第1のノードN1に接続し、音声出力停止コマンドに応じて第2のノードN2に接続するスイッチ回路である。第1のノードN1は、カップリングコンデンサCCを介して音声信号生成回路201の出力端子201Lに接続される。第2のノードN2は、抵抗R231、及び、接地回路233を介して接地端子に接続される。尚、第1のスイッチ回路は、例えば、低周波数の信号を増幅するものであっても良く、導通抵抗が1Ω以下のものであっても良い。また、カップリングコンデンサCCは、例えば、タンタルコンデンサであっても良い。
【0036】
第2のスイッチ回路232は、音声信号生成回路201の出力端子201Lを、音声出力開始コマンドに応じて第3のノードN3に接続し、音声出力停止コマンドに応じて第4のノードN4に接続するスイッチ回路である。第3のノードN3は、どこにも接続されない。第4のノードN4は、接地回路233を介して接地端子に接続される。
【0037】
尚、上記第1及び第3のノードN1,N3は、これらのうちの少なくとも一方が音声電極141から音声信号生成回路201の出力端子201Lに至る音声信号の伝達経路上に設けられれば良い。例えば、第3のノードN3を音声電極141に接続しても良いし、この場合には第1のノードN1をどこにも接続しなくても良い。また、第1のノードN1を、出力端子201Lでなく、第3のノードN3に接続しても良い。
【0038】
接地回路233は、第2及び第4のノードN2,N4と接地端子との間に並列に接続された抵抗R232及びキャパシタC232を備える。接地回路233は、入力端子の電荷をキャパシタC232に一時的に蓄積させ、この電荷を、抵抗R232を介して徐々に接地端子に放出させる
【0039】
音声出力が許可された状態においては、
図7に例示するように、音声電極141がカップリングコンデンサCCを介して出力端子201Lに接続される。これにより、音声信号が音声電極141に伝達可能な状態となる。また、第2のノードN2及び第4のノードN4が接地回路233に接続される。従って、第2のノードN2及び第4のノードN4には電荷が蓄積されず、これらの電位は接地電位となる。
【0040】
音声スイッチ203に音声出力停止コマンドが入力されると、第1のスイッチ回路231において音声電極141の接続先が第1のノードN1から第2のノードN2に切り替わり、第2のスイッチ回路232において出力端子201Lの接続先が第3のノードN3から第4のノードN4に切り替わる。ここで、音声電極141及びここに接続された配線に電荷が蓄積していた場合、この電荷は抵抗R231及び接地回路233を介して徐々に放出される。従って、スイッチングに伴うポップノイズはほぼ生じない。
【0041】
音声出力が許可されない状態においては、音声電極141及び出力端子201Lが、接地回路233を介して接地端子に接続される。従って、音声電極141及び出力端子201Lには電荷が蓄積されず、これらの電位は接地電位となる。
【0042】
音声スイッチ203に音声出力開始コマンドが入力されると、
図7に例示するように、第1のスイッチ回路231において音声電極141の接続先が第2のノードN2から第1のノードN1に切り替わり、第2のスイッチ回路232において出力端子201Lの接続先が第4のノードN4から第3のノードN3に切り替わる。ここで、上述の通り、音声電極141及び出力端子201Lには電荷が蓄積されておらず、これらの電位も同電位である。従って、スイッチングに伴うポップノイズはほぼ生じない。
【0043】
[第1の実施形態に係るモニタ回路208]
図8は、モニタ回路208の回路構成を説明するための概略的な回路図である。モニタ回路208は、分圧回路281と、この分圧回路281の出力端子-接地端子間に並列に接続されたキャパシタC281,C282と、を備える。分圧回路281は、バッテリー205の電圧を降圧して、制御回路202がバッテリー205の電圧値を測定出来るようにする。分圧回路281は、抵抗R281及びR282を有し、入力端子がノードn11を介してバッテリー205の陽極に、出力端子が制御回路202のノードN6に接続される。抵抗R281及びR282の抵抗比は、例えば、バッテリー205が最大まで充電された場合のノードN6の電圧値が制御回路202によって測定可能となる様に決定される。キャパシタC281はノードN6に供給される電流を安定させる。キャパシタC282は高周波ノイズを抑制するものであり、キャパシタC281より静電容量が小さい。
【0044】
スイッチ206がON状態である場合、バッテリー205から電源回路204に電力が供給され、制御回路202にはノードN5を介して電力が供給される。モニタ回路208は、バッテリー205の電圧を降圧して、制御回路202がバッテリー205の電圧値を測定出来るようにする。
【0045】
スイッチ206がOFF状態とされ、これによって携帯型音声再生機の電源が切断された場合、ノードN5を介した制御回路202への電力の供給が停止する。制御回路202は、これを検知して、電力の供給元をノードN5からノードN6に切替える。また、制御回路202は、動作を停止する前に、ノードN6から供給された電力によって予備情報を記録する。尚、ここで言う予備情報は、例えば、ノードN6の電圧値である。制御回路202の動作が停止した後は、再びノードN5に電力が供給されるまで、制御回路202は動作しない。
【0046】
[携帯型音声再生機の動作]
図9は、第1の実施の形態に係る携帯型音声再生機の動作を説明するためのフローチャートである。以下の動作は、例えば、携帯型音声再生機の電源の投入に伴い、制御回路202(
図6)内部のROMに記憶されたファームウェアに従って、制御回路202内部のCPUにより実行される。
【0047】
ステップS100においては、音声スイッチ203に音声出力停止コマンドが出力される。即ち、携帯型音声再生機の電源投入時(電源投入直後)に、音声出力停止コマンドが出力される。これにより、出力端子104が音声信号生成回路201から電気的に切り離され、音声出力が許可されない状態となる。
【0048】
ステップS200においては、半導体メモリ300の状態が検知される。例えば、携帯型音声再生機に半導体メモリ300が挿入されているか否か、半導体メモリ300が取扱い可能なものか否か、及び、半導体メモリ300のルートディレクトリに音声データ又はそれを指定するデータが記憶されているか否か、を判定する。尚、ここで言う「それを指定するデータ」とは、例えばプレイリストファイルであり、音声データを記憶するサブディレクトリの名称、音声データの名称、及び、音声データの再生順等を指定するデータである。全ての条件が満たされていた場合、ステップS300が開始される。いずれかの条件が満たされていなかった場合には、その旨をディスプレイ103に表示した上で、全ての条件が満たされるまで待機する。例えば、取扱い可能且つルートディレクトリに音声データ又はそれを指定するデータが記憶された半導体メモリ300が挿入されるまで待機する。
【0049】
ステップS300においては、音声データの選択が行われる。例えば、ディスプレイ103に、音声データに関する情報を、所望の音声データを選択可能な態様で表示する。尚、ここで言う音声データに関する情報とは、例えば音声データに対応する名称(例えば曲名)や、音声データのサンプリング周波数、プレイリストに対応する名称等である。また、「選択可能な態様で表示する」とは、例えば、選択対象の音声データに対応する名称やプレイリストに対応する名称をディスプレイ103に表示し、ボタン102の操作に応じてディスプレイ103上で選択対象の音声データやプレイリストを切り換え、これによってユーザが音声データ又はそれを指定するデータを選択可能な状態にすることである。ユーザがボタン102等によって音声データを決定すると、ステップS400が開始される。尚、例えば音声データの選択に際し、ボタン102の操作に応じて効果音を鳴らしても良い。この場合、例えば、ボタン102の操作に応じて音声出力開始コマンドを出力し、効果音を鳴らし、音声出力停止コマンドを出力しても良い。
【0050】
尚、ステップS300においては、例えば、一つの音声データだけでなく、その次以降に選択される音声データも決定されても良い。例えば、選択された音声データが半導体メモリ300のルートディレクトリに記憶されていた場合、このルートディレクトリに記憶された音声データを順次選択しても良い。また、例えば第1の音声データがプレイリストによって指定されたものである場合、このプレイリストに従って順次選択しても良い。また、半導体メモリ300に記憶された音声データをランダムに並び替えて、並び替えた順番に選択しても良い。
【0051】
ステップS400においては、音声スイッチ203に音声出力開始コマンドが出力される。即ち、音声の再生に際して音声出力開始コマンドが出力される。これにより、出力端子104が音声信号生成回路201に電気的に接続され、音声出力が許可された状態となる。尚、ここで言う「音声の再生に際して」とは、例えば、「音声データが選択されてから、この音声データに基づく音声の再生を開始するまでの間に」と言う意味である。
【0052】
ステップS500においては、音声の再生が行われる。即ち、ステップS300において選択された音声データが半導体メモリ300から読み出され、音声信号生成回路201に出力される。また、音声信号生成回路201はこれに基づいて音声信号を生成し、音声電極141,142に出力する。また、音声の再生中には、制御回路202によって各種監視が行われる。例えば、他の音声データ又はそれを指定するデータが選択されたり、停止や曲送り等が行われた場合には、これら操作に従って動作を行う。また、半導体メモリ300が引き抜かれた場合には、その旨をディスプレイ103に表示すると共に、音声の再生を中断する。例えば音声の再生を終了した場合や、終了直前の所定時間内となった場合にステップS600が開始される。
【0053】
ステップS600においては、音声データの切替が行われる。このステップについては、
図10を参照して詳述する。ステップS600が終了すると、再びステップS500が開始される。
【0054】
図10は、ステップS600を説明するためのフローチャートである。以下の動作は、例えば、ステップS600の開始に伴い、制御回路202(
図6)内部のROMに記憶されたファームウェアに従って、制御回路202内部のCPUにより実行される。尚、以下において、切替前の音声データを第1の音声データと、切替後の音声データを第2の音声データと呼ぶ。
【0055】
ステップS601においては、サンプリング周波数が変更されるか否かを判定する。具体的には、第1の音声データのサンプリング周波数と、第2の音声データのサンプリング周波数と、が同じか否かを判定する。サンプリング周波数が同じである場合には、ステップS602が開始される。変更される場合にはステップS603が開始される。
【0056】
ステップS602においては、音声データの切替が行われる。即ち、第1の音声データの再生を終了し、第2の音声データの再生を開始する。尚、ステップS602では音声データの切替が行われるが、第2の音声データの選択自体はステップS601よりも前、例えば、ステップS300(
図9)において行われる。
【0057】
ステップS603においては、音声スイッチ203に音声出力停止コマンドが出力される。即ち、第1の音声データに基づく音声の再生を終了する際に音声出力停止コマンドが出力される。これにより、出力端子104が音声信号生成回路201から電気的に切り離され、音声出力が許可されない状態となる。尚、ここで言う「音声の再生を終了する際」とは、例えば、「音声の再生を終了した後」であっても良いし、「音声の再生を終了する直前の所定時間内」であっても良い。
【0058】
ステップS604においては、音声データの切替が行われる。ステップS604は、ステップS602と同様に行われる。
【0059】
ステップS605においては、音声スイッチ203に音声出力開始コマンドが出力される。即ち、第2の音声データに基づく音声の再生を開始する際に音声出力開始コマンドが出力される。これにより、出力端子104が音声信号生成回路201に電気的に接続され、音声出力が許可された状態となる。尚、ここで言う「音声の再生を開始する際」とは、例えば、「第2の音声データに基づく音声の再生を開始する前」であっても良いし、「第2の音声データに基づく音声の再生を開始した直後の所定時間内」であっても良い。
【0060】
[第1の実施形態に係る携帯型音声再生機の効果]
本実施形態に係る携帯型音声再生機は、
図7等を参照して説明した通り、デジタルの音声データに基づいてアナログの音声信号を生成し、イヤホンやヘッドホン等の音声出力装置を介して音声を再生する携帯型音声再生機である。この携帯型音声再生機は、音声出力装置の接続端子(例えば、イヤホンジャック)に電気的に接続される音声電極141,142と、音声データに基づいて音声信号を生成し、音声電極141,142に出力する音声信号生成回路201と、音声信号生成回路201に音声データを出力する制御回路202と、制御回路202からの制御信号に応じて、音声電極141,142及び音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rを、お互いに接続し、又は接地端子に接続する音声スイッチ203と、を備える。
【0061】
ここで、例えば、携帯型音声再生機に電源が投入された状態でイヤホンジャック等を挿入すると、イヤホンジャック等との接触時に音声電極141,142の電荷が放出され、これによってポップノイズが発生する場合があった。しかしながら、本実施形態においては、例えば、イヤホンジャック等の挿入に先立って音声電極141,142を接地端子に接続しておき、予め音声電極141,142の電荷を放出しておくことが可能である。これにより、ポップノイズを抑制可能である。
【0062】
また、例えば、音声信号自体にポップノイズが含まれる場合もあった。例えば、音声データがハイレゾの音楽データである場合、半導体メモリ300(
図6)には複数種類のサンプリング周波数のデータが記憶される場合がある。ここで、2つの音声データが連続して流れる場合に、これら音声データのサンプリング周波数が異なると、音声データの切替に際してポップノイズが発生してしまう場合がある。しかしながら、本実施形態においては、サンプリング周波数が異なる2つの音声データの切替のタイミングで音声電極141,142を音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rから切り離すことにより、ポップノイズの発生を抑制可能である。
【0063】
尚、例えば音声データがライブ音源等である場合、連続して再生される音声データのサンプリング周波数は同じである場合が多い。ここで、この様な場合にまで音声電極141,142を音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rから切り離してしまうと、このタイミングで音声が途切れてしまう。この様なことを防止するために、例えば、音声データのサンプリング周波数が変更されない場合は、音声電極141,142及び音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rがお互いに接続された状態で音声データの切替を行えば良い。
【0064】
また、
図7等を参照して説明した通り、本実施形態においては、音声電極141,142が音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rから切り離された状態で、これら音声電極141,142及び音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rを接地可能である。従って、これら音声電極141,142及び音声信号生成回路201の出力端子201L,201Rをお互いに接続するタイミングで、どちらの電荷も放出しておくことが可能であるため、このタイミングにおけるポップノイズも生じない。
【0065】
また、本実施形態に係る音声スイッチ233は、第2及び第4のノードN2,N4と接地端子との間に並列に接続された抵抗R232及びキャパシタC232と、を備える。
【0066】
ここで、音声電極141,142を接地端子に接続すると、第1のノードN1の電荷が第2のノードN2に放出され、これによってポップノイズが発生することも考えられる。しかしながら、この様な構成においては、第1のノードN1の電荷を徐々に放出可能であり、このタイミングのポップノイズも抑制可能である。
【0067】
また、本実施形態に係る携帯型音声再生機においては、
図8等を参照して説明した通り、制御回路202が、ノードN5,N6を備え、これらノードN5,N6のいずれかに供給された電力によって動作可能である。更に、本実施形態に係る携帯型音声再生機は、所定の大きさの電圧を生成してノードN5に供給する電源回路204と、この電源回路204に電力を供給するバッテリー205と、これら電源回路204及びバッテリー205を電気的に接続し、又は切断する電源スイッチ206と、入力端子がバッテリー205に、出力端子が上記ノードN6に接続された分圧回路281と、を更に備える。
【0068】
この様な態様においては、例えば、制御回路202をノードN5に供給された電力によって動作させ、ノードN6はバッテリー205のモニタに使用することが可能である。また、この様な態様においては、OFF状態において電源回路204とバッテリー205とが電気的に切断され、ファームウェアによる電源の監視等も行わない。従って、待機電力の少ない構成を実現可能である。また、例えば、制御回路202は、電源スイッチ206によって電源が切断された場合にこれを検知して、電力の供給元をノードN5からノードN6に切替え、動作を停止する前にノードN6から供給された電力によって種々の動作を行うことが可能である。この様な動作としては、例えば、ノードN6の電圧等の予備情報の記録等が考えられる。
【0069】
また、本実施形態において、電源スイッチ206は機械式のスイッチである。従って、電源スイッチ206においてはリーク電流がほぼ生じない。更に、本実施形態に係る携帯型音声再生機は、筐体101の外部から操作可能な電源操作部108を更に備え、この電源操作部108は、電源スイッチ206と機械的に連動する。
【0070】
[その他の実施形態]
上記実施形態に係る携帯型音声再生機は説明のために例示したものであり、具体的な構成は適宜変更可能である。
【0071】
例えば、
図6では、音声信号生成回路201と制御回路202とがそれぞれ独立した集積回路によって実現される例を示している。しかしながら、例えば、音声信号生成回路201と制御回路202とを一つの集積回路によって実現することも可能である。
【0072】
また、例えば、上記実施形態に係る携帯型音声再生機は音声出力装置を含んでいないが、本発明は、音声出力装置と一体に形成されたものについて適用することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
101…筐体、102…ボタン、103…ディスプレイ、104…音声端子、105…充電端子、106…光源、107…記録媒体挿入部、108…電源操作部、109…ボタン操作切替部、110…ピン部材、201…音声信号生成回路、202…制御回路、203…音声スイッチ、204…電源回路、205…バッテリー、206…電源スイッチ、207…充電回路、208…モニタ回路、231…第1のスイッチ回路、232…第2のスイッチ回路、233…接地回路。