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特許7104853多数のマイクロ光学系システムから成る投射装置、及び自動車投光器用のライトモジュール
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  • 特許-多数のマイクロ光学系システムから成る投射装置、及び自動車投光器用のライトモジュール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-12
(45)【発行日】2022-07-21
(54)【発明の名称】多数のマイクロ光学系システムから成る投射装置、及び自動車投光器用のライトモジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/265 20180101AFI20220713BHJP
   F21S 41/43 20180101ALI20220713BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20220713BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220713BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220713BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20220713BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20220713BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220713BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20220713BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/43
F21S41/663
F21S41/143
F21V5/04 350
F21V17/00 502
F21W102:155
F21Y115:10
F21Y113:10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021506414
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019070975
(87)【国際公開番号】W WO2020030568
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-03-08
(31)【優先権主張番号】18187726.7
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】モーゼル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、フリートリヒ
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/066817(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/265
F21S 41/43
F21S 41/663
F21S 41/143
F21V 5/04
F21V 17/00
F21W 102/155
F21Y 115/10
F21Y 113/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射装置を備えた自動車投光器用のライトモジュールであって、
前記投射装置(2)は、行列状に配設された多数のマイクロ光学系システム(3)から構成されており
各マイクロ光学系システム(3)は、マイクロ入射光学系(30)と、該マイクロ入射光学系(30)に割り当てられたマイクロ出射光学系(31)と、マイクロ絞り(32)とを有し、全てのマイクロ入射光学系(30)は、入射光学系(4)を構成し、全てのマイクロ出射光学系(31)は、出射光学系(5)を構成し、複数のマイクロ絞り(32)は、絞り装置(6)を構成し、前記絞り装置(6)は、前記投射装置(2)の主放射方向(Z)に対して直角に位置する面内に配設されており、前記入射光学系(4)と前記出射光学系(5)と前記絞り装置(6)とは、互いに平行な面内に配設されている構成であり、
マイクロ光学系システム(3)の全体が、少なくとも2つのマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)に分割されており、各マイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)のマイクロ光学系システム(3)のマイクロ絞り(32)は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長(λG1、λG2、λG3)の光により鮮明に結像可能であり、予め定められた光波長領域は、異なるマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)では異なっていること
前記ライトモジュール(1)は、光源(7)を備え、前記投射装置(2)は、光放射方向において前記光源(7)の後方に備えられており、前記光源(7)により発生された光を、明暗境界(80)を有する配光(8)のかたちで前記ライトモジュール(1)の前方の領域に投射し、前記配光は、それぞれ部分明暗境界を有する互いに重なり合う多数の部分配光から構成されており、各部分配光は、正に1つのマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)により構成されていること、
各部分明暗境界は、予め定められた色の色縁を有し、異なる部分明暗境界は、異なる色の色縁を有し、各色は、予め定められた光波長領域からの1つの光波長(λ G1 、λ G2 、λ G3 )に対応し、又は予め定められた1つの光波長(λ G1 、λ G2 、λ G3 )に対応すること
を特徴とするライトモジュール
【請求項2】
各マイクロ光学系システム(3)においてマイクロ絞り(32)の少なくとも一部分は、マイクロ出射光学系(31)から所定の間隔(d、d1、d2、d3)だけ離間されており、前記間隔(d、d1、d2、d3)は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長(λ、λG1、λG2、λG3)に依存し、同じマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)内では同じであり、前記間隔(d1、d2、d3)は、異なるマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)からのマイクロ光学系システム(3)では異なっていること
を特徴とする、請求項1に記載のライトモジュール
【請求項3】
異なるマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)における前記間隔(d1、d2、d3)の間の差(Δd12、Δd23)は、ほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、又はほぼ0.01mmからほぼ0.06mmまで、又はほぼ0.01mmからほぼ0.03mmまでの値をとり、マイクロ出射光学系(31)は、バックフォーカス距離を有し、該バックフォーカス距離は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長(λ、λG1、λG2、λG3)と、その直径とに依存すること
を特徴とする、請求項2に記載のライトモジュール
【請求項4】
各マイクロ光学系システム(3)のマイクロ出射光学系(31)は、予め定められた曲率(k1、k2)をもつ光出射面を有し、前記予め定められた曲率(k1、k2)は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長(λG1、λG2、λG3)に依存し、又は予め定められた光波長(λG1、λG2、λG3)のうちの1つに依存し、同じマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)内では同じであり、前記予め定められた曲率(k1、k2)は、異なるマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)からマイクロ光学系システム(3)では異なっていること
を特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のライトモジュール
【請求項5】
各マイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)の複数のマイクロ絞り(32)のうちの少なくとも一部分は、水平のマイクロ明暗境界を結像するために形成されている光学的に有効な縁部(320、320a、320b、320c、320d、320e)を有すること
を特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のライトモジュール
【請求項6】
異なるマイクロ光学系システムグループにおけるマイクロ明暗境界は、異なる光波長(λG1、λG2、λG3)の光により鮮明に結像可能であること
を特徴とする、請求項5に記載のライトモジュール
【請求項7】
異なるマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)は、互いに別個に形成されており、互いに離間されていること
を特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のライトモジュール
【請求項8】
各マイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)の複数のマイクロ絞り(32)は、1つのマイクロ絞りグループにまとめられており、それらのマイクロ絞りグループは、同一に形成されており、各マイクロ絞り(32)は、開口部(321、321a、321b、321c、321d、321e)を有する非透光性の材料から成るプレートとして構成されており、各マイクロ絞り(32)は、主放射方向(Z)に沿って有限の厚さ(D)を有し、又はほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、又はほぼ0.06mmの有限の厚さ(D)を有すること
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のライトモジュール
【請求項9】
部分明暗境界及び明暗境界は、真っ直ぐに延在するか又は非対称の上り勾配(80)を有すること
を特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のライトモジュール。
【請求項10】
前記光源(7)は、コリメートされた光を発生させるように構成されていること
を特徴とする、請求項のいずれか一項に記載のライトモジュール。
【請求項11】
前記光源(7)は、光をコリメートする光学素子(9)と、光をコリメートする該光学素子(9)の手前に備えられた発光素子を含むこと
を特徴とする、請求項10のいずれか一項に記載のライトモジュール。
【請求項12】
前記光源(7)は、少なくとも2つの発光領域(70、71、72)を有し、個々の各発光領域は、前記光源(7)の他の発光領域に依存せずに制御可能であり、又はオンオフ可能であり、各発光領域(70、71、72)には、少なくとも1つ、又は正に1つのマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)が、それぞれの発光領域(70、71、72)により発生される光が直接的に且つこの発光領域(70、71、72)に割り当てられたマイクロ光学系システムグループ(G1、G2、G3)だけに入射するように割り当てられていること
を特徴とする、請求項11のいずれか一項に記載のライトモジュール。
【請求項13】
請求項12のいずれか一項に記載のライトモジュールを少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行列状に配設された多数のマイクロ光学系システムから構成されている、自動車投光器(例えば自動車ヘッドライト)のライトモジュール用の投射装置に関し、各マイクロ光学系システムは、マイクロ入射光学系と、該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系と、マイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系の間に配設されたマイクロ絞り(マイクロシェード)とを有し、全てのマイクロ入射光学系は、入射光学系を構成し、全てのマイクロ出射光学系は、出射光学系を構成し、複数のマイクロ絞りは、絞り装置(シェード装置)を構成し、絞り装置は、投射装置の主放射方向に対して実質的に直角に位置する面内に配設されており、入射光学系と出射光学系と絞り装置とは、実質的に互いに平行な面内に配設されている。
【0002】
それに加え、本発明は、そのような投射装置を少なくとも1つ備えたライトモジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
上記の形式の投射装置、及びそのような投射装置を備えたライトモジュールは、従来技術から知られている。
【0004】
本出願人の国際出願である下記特許文献1(WO 2015/058227 A1)は、個々の投射システム、即ち投射装置が並列されているマイクロ投射ライトモジュールを示している。個々の各投射システムを用い、全配光の鮮明な結像、例えばロービーム配光の鮮明な結像が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2015/058227号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1によるマイクロ投射ライトモジュールにおいて、投射システムを構成している唯一のマイクロ光学系システムの設計は、ほぼ555nmの波長に対し、即ち緑色の色領域に対して行われる。この色領域は、鮮明に(ピントの合った状態で)結像されるが、それに対して全ての他の波長領域は、色収差が原因で不鮮明に結像されてしまう。このことは、ロービーム配光では、例えば明暗境界が紫色の色縁(カラーフリンジ)をもつことをもたらす。色縁の色は、そのような投射システムでは、マイクロ出射光学系の位置を変更することにより投射システムの意図的な焦点はずれを介してのみ調節される。しかしこのことは、例えば(光線絞りの方向へレンズの焦点はずれをおこさせる場合には)ロービーム配光と部分ハイビーム配光の間に肉眼で極めてはっきりと見ることのできる大きな隙間が発生すること、又は(光線絞り(絞り装置)から離れる方向へレンズの焦点はずれをおこさせる場合には)色縁がより青くなることをもたらす。例えば色消しレンズのような他の解決策は、それらが所定の材料の組み合わせを要求するため、製造に費用がかかりすぎ、高価でありすぎる。
【0007】
従って本発明の課題は、従来技術の欠点を排除すること、そして色縁を補償する投射装置並びにライトモジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、上記の形式の投射装置において、本発明により、マイクロ光学系システムの全体が、少なくとも2つのマイクロ光学系システムグループに分割されており、この際、各マイクロ光学系システムグループのマイクロ光学系システムのマイクロ絞り(複数)が、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光により、好ましくは予め定められた光波長の光により、鮮明に結像可能であり、予め定められた光波長領域は、異なるマイクロ光学系システムグループでは異なっていること、好ましくは重なり合わないことにより解決される。
即ち本発明の第1の視点により、
行列状に配設された多数のマイクロ光学系システムから構成されている、自動車投光器のライトモジュール用の投射装置であって、
各マイクロ光学系システムは、マイクロ入射光学系と、該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系と、マイクロ絞りとを有し、全てのマイクロ入射光学系は、入射光学系を構成し、全てのマイクロ出射光学系は、出射光学系を構成し、複数のマイクロ絞りは、絞り装置を構成し、前記絞り装置は、前記投射装置の主放射方向に対して直角に位置する面内に配設されており、前記入射光学系と前記出射光学系と前記絞り装置とは、互いに平行な面内に配設されている構成であり、
マイクロ光学系システムの全体が、少なくとも2つのマイクロ光学系システムグループに分割されており、各マイクロ光学系システムグループのマイクロ光学系システムのマイクロ絞りは、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光により鮮明に結像可能であり、予め定められた光波長領域は、異なるマイクロ光学系システムグループでは異なっていること、を特徴とする投射装置が提供される。
更に本発明の第2の視点により、
前記本発明の第1の視点に記載した投射装置と、光源とを備えた自動車投光器用のライトモジュールであって、前記投射装置は、光放射方向において前記光源の後方に備えられており、前記光源により発生された光を、明暗境界を有する配光のかたちで前記ライトモジュールの前方の領域に投射し、前記配光は、それぞれ部分明暗境界を有する互いに重なり合う多数の部分配光から構成されており、各部分配光は、正に1つのマイクロ光学系システムグループにより構成されていること、を特徴とするライトモジュールが提供される。
より詳しくは、前記第2の視点において、
投射装置を備えた自動車投光器用のライトモジュールであって、
前記投射装置は、行列状に配設された多数のマイクロ光学系システムから構成されており、
各マイクロ光学系システムは、マイクロ入射光学系と、該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系と、マイクロ絞りとを有し、全てのマイクロ入射光学系は、入射光学系を構成し、全てのマイクロ出射光学系は、出射光学系を構成し、複数のマイクロ絞りは、絞り装置を構成し、前記絞り装置は、前記投射装置の主放射方向に対して直角に位置する面内に配設されており、前記入射光学系と前記出射光学系と前記絞り装置とは、互いに平行な面内に配設されている構成であり、
マイクロ光学系システムの全体が、少なくとも2つのマイクロ光学系システムグループに分割されており、各マイクロ光学系システムグループのマイクロ光学系システムのマイクロ絞りは、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光により鮮明に結像可能であり、予め定められた光波長領域は、異なるマイクロ光学系システムグループでは異なっていること、
前記ライトモジュールは、光源を備え、前記投射装置は、光放射方向において前記光源の後方に備えられており、前記光源により発生された光を、明暗境界を有する配光のかたちで前記ライトモジュールの前方の領域に投射し、前記配光は、それぞれ部分明暗境界を有する互いに重なり合う多数の部分配光から構成されており、各部分配光は、正に1つのマイクロ光学系システムグループにより構成されていること、
各部分明暗境界は、予め定められた色の色縁を有し、異なる部分明暗境界は、異なる色の色縁を有し、各色は、予め定められた光波長領域からの1つの光波長に対応し、又は予め定められた1つの光波長に対応すること
を特徴とするライトモジュールが提供される。
更に本発明の第3の視点により、
前記本発明の第2の視点に記載したライトモジュールを少なくとも1つ備えた自動車投光器が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
行列状に配設された多数のマイクロ光学系システムから構成されている、自動車投光器のライトモジュール用の投射装置であって、
各マイクロ光学系システムは、マイクロ入射光学系と、該マイクロ入射光学系に割り当てられたマイクロ出射光学系と、マイクロ絞りとを有し、全てのマイクロ入射光学系は、入射光学系を構成し、全てのマイクロ出射光学系は、出射光学系を構成し、複数のマイクロ絞りは、絞り装置を構成し、前記絞り装置は、前記投射装置の主放射方向に対して実質的に直角に位置する面内に配設されており、前記入射光学系と前記出射光学系と前記絞り装置とは、実質的に互いに平行な面内に配設されている構成であり、
マイクロ光学系システムの全体が、少なくとも2つのマイクロ光学系システムグループに分割されており、各マイクロ光学系システムグループのマイクロ光学系システムのマイクロ絞りは、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光により鮮明に結像可能であり、予め定められた光波長領域は、異なるマイクロ光学系システムグループでは異なっていること。
(形態2)
各マイクロ光学系システムにおいてマイクロ絞りの少なくとも一部分は、マイクロ出射光学系から所定の間隔だけ離間されており、前記間隔は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長に依存し、同じマイクロ光学系システムグループ内では同じであり、前記間隔は、異なるマイクロ光学系システムグループからのマイクロ光学系システムでは異なっていること、が好ましい。
(形態3)
異なるマイクロ光学系システムグループにおける前記間隔の間の差は、ほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、好ましくはほぼ0.01mmからほぼ0.06mmまで、特にほぼ0.01mmからほぼ0.03mmまでの値をとり、マイクロ出射光学系は、バックフォーカス距離を有し、該バックフォーカス距離は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長と、その直径とに依存すること、が好ましい。
(形態4)
各マイクロ光学系システムのマイクロ出射光学系は、予め定められた曲率をもつ光出射面を有し、前記予め定められた曲率は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長に依存し、好ましくは予め定められた光波長のうちの1つに依存し、同じマイクロ光学系システムグループ内では同じであり、前記予め定められた曲率は、異なるマイクロ光学系システムグループから成るマイクロ光学系システムでは異なっていること、が好ましい。
(形態5)
各マイクロ光学系システムグループの複数のマイクロ絞りのうちの少なくとも一部分は、実質的に水平のマイクロ明暗境界を結像するために形成されている光学的に有効な縁部を有すること、が好ましい。
(形態6)
異なるマイクロ光学系システムグループにおけるマイクロ明暗境界は、異なる光波長の光により鮮明に結像可能であること、が好ましい。
(形態7)
異なるマイクロ光学系システムグループは、互いに別個に形成されており、好ましくは互いに離間されていること、が好ましい。
(形態8)
各マイクロ光学系システムグループの複数のマイクロ絞りは、1つのマイクロ絞りグループにまとめられており、それらのマイクロ絞りグループは、同一に形成されており、好ましくは、各マイクロ絞りは、開口部を有する非透光性の材料から成るプレートとして構成されており、特に各マイクロ絞りは、主放射方向に沿って有限の厚さを有し、例えばほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、好ましくはほぼ0.06mmの有限の厚さを有すること、が好ましい。
(形態9)
形態1~8のいずれか1つに記載の投射装置と、光源とを備えた自動車投光器用のライトモジュールであって、前記投射装置は、光放射方向において前記光源の後方に備えられており、前記光源により発生された光を、明暗境界を有する配光のかたちで前記ライトモジュールの前方の領域に投射し、前記配光は、それぞれ部分明暗境界を有する互いに重なり合う多数の部分配光から構成されており、各部分配光は、正に1つのマイクロ光学系システムグループにより構成されていること。
(形態10)
各部分明暗境界は、予め定められた色の色縁を有し、異なる部分明暗境界は、異なる色の色縁を有し、各色は、予め定められた光波長領域からの1つの光波長に対応し、好ましくは予め定められた1つの光波長に対応すること、が好ましい。
(形態11)
部分明暗境界及び明暗境界は、実質的に真っ直ぐに、例えば水平又は垂直に延在するか又は非対称の上り勾配を有すること、が好ましい。
(形態12)
前記光源は、コリメートされた光を発生させるように構成されていること、が好ましい。
(形態13)
前記光源は、光をコリメートする光学素子と、光をコリメートする該光学素子の手前に備えられた好ましくは半導体ベースの発光素子、例えばLED光源とを含み、光をコリメートする該光学素子は、例えば、コリメータ、又は光をコリメートする前置光学系、又はTIRレンズであること、が好ましい。
(形態14)
前記光源は、少なくとも2つの発光領域を有し、個々の各発光領域は、前記光源の他の発光領域に依存せずに制御可能であり、例えばオンオフ可能であり、各発光領域には、少なくとも1つ、好ましくは正に1つのマイクロ光学系システムグループが、それぞれの発光領域により発生される光が直接的に且つこの発光領域に割り当てられたマイクロ光学系システムグループだけに入射するように割り当てられていること、が好ましい。
(形態15)
形態9~14のいずれか1つに記載のライトモジュールを少なくとも1つ備えた自動車投光器。
【0010】
本発明により、各マイクロ光学系システムグループには、1つの光波長が割り当てられ、好ましくは正に1つの光波長が割り当てられる。従って各マイクロ光学系システムグループは、予め定められた光波長領域からの1つの光波長により、好ましくは予め定められた1つの光波長により特徴付けられている。それに加え、マイクロ光学系システムグループのうちの1つは、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光だけ、好ましくは予め定められた1つの光波長の光だけ、を焦点合わせすると言うこともできる。他のマイクロ光学系システムグループは、この予め定められた光波長領域からのその光波長の光に関しては、好ましくは予め定められたその光波長の光に関しては、焦点はずれが成されている。
【0011】
投射装置を用いて生成された配光(光分布)は、多数のマイクロ配光の重なり合い、即ち個々のマイクロ光学系システムにより形成された多数の配光の重なり合いとして構成される。更に各マイクロ光学系システムグループは、1つの部分配光を形成するように構成されている。部分配光は、対応のマイクロ光学系システムグループに属するマイクロ光学系システムを用いて構成/形成されるマイクロ配光の重なり合いである。また配光ないし全配光は、個々のマイクロ光学系システムグループの部分配光の重なり合いでもある。
【0012】
予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光、好ましくは予め定められた光波長の光における複数のマイクロ絞りの上記の鮮明な結像により、例えばそれらの光学的に有効な縁部(エッジ)の上記の鮮明な結像により、光像内には、異なる色で色縁(カラーフリンジ)を有するマイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界が発生する。複数のマイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界を重ね合わせることにより、光像内の色縁も同様に重ね合わされ、それにより色縁の色が全体的な配光ないし全配光に適合される色補償効果が達成される。好ましくは、予め定められた複数の光波長領域、特に予め定められた複数の光波長は、白色の色縁が発生するように選択されている。
【0013】
従って、色消しレンズ(アクロマート)、マイクロ出射光学系の特殊な位置決め、追加的なプロセスステップ、又は追加的な構成部材を伴わない色補償が可能とされる。
【0014】
それに加え、有利には、各マイクロ光学系システムにおいてマイクロ絞りは、マイクロ出射光学系から所定の間隔だけ離間して配設することができ、この際、その間隔は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長に依存し、好ましくは予め定められた1つの光波長に依存し、同じマイクロ光学系システムグループ内では実質的に同じであり、この際、それらの間隔は、異なるマイクロ光学系システムグループからのマイクロ光学系システムでは異なっている。
【0015】
このことは、同じマイクロ光学系システムグループ内ではマイクロ絞りがそれぞれのマイクロ出射光学系から同じ間隔だけ離間されていることが可能であることを意味し、この際、この間隔は、予め定められてこのマイクロ光学系システムグループに割り当てられた光波長領域からの少なくとも1つの光波長に従って、好ましくは予め定められた少なくとも1つの光波長に従って選択されている。この際、2つ以上の異なるマイクロ光学系システムグループからのマイクロ光学系システムは、それらのマイクロ絞りとそれぞれのマイクロ出射光学系との間に2つ以上の異なる間隔を有することができる。各マイクロ光学系システムグループは、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光、好ましくは予め定められた1つの光波長の光においてマイクロ絞りを鮮明に結像するように設けられていることが可能である。
【0016】
更に、異なるマイクロ光学系システムグループにおける前記間隔の間の差がほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、好ましくはほぼ0.01mmからほぼ0.06mmまで、特にほぼ0.01mmからほぼ0.03mmまでの値をとると、目的に適うことができ、この際、マイクロ出射光学系は、バックフォーカス(後側焦点)距離を有し、即ち焦点と光入射面の間の間隔を有し、このバックフォーカス距離は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長と、その直径とに依存する。
【0017】
例えば、マイクロ出射光学系は、緑色光に対して設計されることが可能である。マイクロ出射光学系が、例えば、ほぼ2mmのレンズ直径を有する平凸レンズとして形成されている場合には、これらのマイクロ出射光学系は、ほぼ555nmの光波長をもつ光(「緑色光」)に対し、ほぼ0.7mmのバックフォーカス(「緑色の焦点」)距離を有することができる(図面を用いた説明における例を参照)。
【0018】
ここで言及すべきことは、1つのマイクロ光学系システムグループ内のマイクロ絞りの位置は、このマイクロ光学系システムグループに割り当てられて予め定められた1つの光波長領域に適合され、好ましくは1つの光波長に適合され得るということである。例えばそのマイクロ光学系システムグループが(ほぼ490nmからほぼ575nmまでの光波長をもつスペクトルの緑色領域から:λ~490-575nm、特にλ~555nmの)緑色光に対してマイクロ絞りを結像すべき場合には、中間像面の位置は、これらの波長に対して決定され、それに続き、このマイクロ光学系システムグループのマイクロ絞りは、緑色の中間像面に位置決めされ、ないしマイクロ出射光学系の光軸と緑色光線との交点(Schnittpunkt)に位置決めされる。この際、これらのマイクロ絞りは、マイクロ出射光学系から所定の間隔を有し、この間隔は、緑色光に適合されており、従って対応の光波長と関連している。
【0019】
同じマイクロ光学系システムグループ内の光学的に有効な縁部は、予め定められた1つの光波長領域からの光、好ましくは予め定められた1つの光波長の光を用いて鮮明に結像されることができる。つまり光学的に有効な縁部により生成される明暗移行部(単数又は複数)、例えば明暗境界(単数又は複数)は、対応する色の色縁を有する。
【0020】
有利には、各マイクロ光学系システムのマイクロ出射光学系は、予め定められた曲率をもつ光出射面を有するよう配設することができ、この際、予め定められた曲率(予め定められた曲率の値)は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長に依存し、好ましくは予め定められた光波長のうちの1つに依存し、同じマイクロ光学系システムグループ内では実質的に同じであり、この際、予め定められた曲率は、異なるマイクロ光学系システムグループからのマイクロ光学系システムでは異なっている。
【0021】
更に、各マイクロ光学系システムグループのマイクロ絞りのうちの少なくとも一部分は、実質的に水平の(非対称の上り勾配を伴う又は伴わない)マイクロ明暗境界を結像するために形成されている光学的に有効な縁部を有するよう配設することができる。
【0022】
この際、異なるマイクロ光学系システムグループにおけるマイクロ明暗境界が(それぞれ)異なる光波長の光により鮮明に結像可能であると、更なる利点を提供することができる。
【0023】
自動車投光器内にマイクロ光学系システムグループを格納することに関しては、異なるマイクロ光学系システムグループが互いに別個に形成されており、好ましくは互いに離間されていると、有利であり得る。
【0024】
更に好ましくは、各マイクロ光学系システムグループのマイクロ絞りが1つのマイクロ絞りグループにまとめられており、それらのマイクロ絞りグループが同一に形成されているよう配設することができ、この際、好ましくは、各マイクロ絞りは、開口部(切欠き部)を有する非透光性の材料から成るプレートとして構成されており、この際、特に各マイクロ絞りは、主放射方向に沿って有限の厚さ、例えばほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、好ましくはほぼ0.06mmの有限の厚さを有する。
【0025】
それに加え、上記課題は、本発明による投射装置を少なくとも1つ備えたライトモジュールにより解決され、この際、ライトモジュールは、更に光源を有し、この際、投射装置は、光放射方向において光源の後方に備えられており、実質的に、光源により発生された光全体を、明暗境界を有する配光(光分布)のかたちでライトモジュールの前方の領域に投射し、この際、配光は、それぞれ部分明暗境界を有する互いに重なり合う多数の部分配光から構成されており、各部分配光は、正に1つのマイクロ光学系システムグループにより構成されている。
【0026】
更に、各部分明暗境界が予め定められた色の色縁(カラーフリンジ)を有し、異なる部分明暗境界が異なる色の色縁を有するよう配設することができる。
【0027】
部分明暗境界及び明暗境界が実質的に真っ直ぐに、例えば水平又は垂直に延在するか又は非対称の上り勾配を有すると、目的に適うことができ、この際、各色は、予め定められた光波長領域からの1つの光波長に対応し、好ましくは予め定められた1つの光波長に対応する。
【0028】
実際に実証された一実施形態では、光源がコリメート(平行化)された光を発生させるように構成されているよう配設することができる。
【0029】
それに加え、好ましくは、光源は、光をコリメートする光学素子と、光をコリメートする該光学素子の手前に備えられた好ましくは(半導体を基礎とした)半導体ベースの発光素子、例えばLED光源とを含むよう配設することができ、この際、光をコリメートする光学素子は、例えば、コリメータ、又は光をコリメートする前置光学系(アタッチメントレンズ)、又はTIRレンズ(Total Internal Reflection:全内反射)である。
【0030】
光源が少なくとも2つの発光領域を有するよう配設することができ、この際、個々の各発光領域は、光源の他の発光領域に依存せずに制御可能であり、例えばオンオフ可能であり、各発光領域には、少なくとも1つ、好ましくは正に1つのマイクロ光学系システムグループが、それぞれの発光領域により発生される光が直接的に且つこの発光領域に割り当てられたマイクロ光学系システムグループだけに入射するように割り当てられている。それにより明暗境界の色縁の色の動的な調節、即ちライトモジュールの稼働中の動的な調節が可能である。
【0031】
以下、図面に具体的に図示されている例示の実施形態に基づき、更なる利点と共に本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】複数のマイクロ光学系システムから成る一投射装置を備えた一照射装置を斜視図として示す図である。
図1a図1のマイクロ光学系システムのうちの1つの分解図を示す図である。
図1b図1aのマイクロ光学系システムの断面A-Aを示す図である。
図2】マイクロ絞りとマイクロ出射光学系が異なって離間されている2つのマイクロ光学系システムグループを示す図である。
図3】マイクロ絞りとマイクロ出射光学系が異なって離間されている2つのマイクロ光学系システムグループを示す図である。
図4】有限の厚さのマイクロ絞りを備えた一マイクロ光学系システムを示す図である。
図5】マイクロ出射光学系の光出射面が異なって湾曲されている(2つの)マイクロ光学系システムグループを示す図である。
図6】マイクロ絞りとマイクロ配光の様々な形状を示す図である。
図7】非対称の明暗境界を有するロービーム配光を示す図である。
【実施例
【0033】
これらの図は、本発明の説明に有益であり得る構成部材だけを示す概要図である。当業者は、自動車投光器用の投射装置とライトモジュールが、調整装置、位置調節装置、電気的な供給手段などのようなここでは非図示の他の多数の構成部材を有し得ることを即座に認識する。
【0034】
見易さを明快にするために目的にかなうところには、図面に基準軸が記載されている。これらの基準軸は、自動車内の本発明の対象の正しい取付位置に関するものであり、また自動車に関する座標系を表している。
【0035】
それに加え、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」などのような方向に関する概念は、本発明との関連では、相対的な意味として理解されるべきであり、自動車内の本発明の対象の上述の正しい取付位置に関するか、又は光像内ないし交通空間内の放射された配光の通常の配向に関するものである。
【0036】
従って、基準軸も、方向に関連する概念も、限定的に解釈されるべきではない。
【0037】
図1は、自動車投光器(例えば自動車ヘッドライト)用の照射装置(照明装置)1を示しており、照射装置1は、本発明によるライトモジュールに対応することができる。照射装置1は、行列状(マトリックス状)に配設された多数のマイクロ光学系システム3から構成されている投射装置2を含み、この際、各マイクロ光学系システム3は、マイクロ入射光学系(マイクロ入射光学要素)30と、マイクロ入射光学系30に割り当てられたマイクロ出射光学系(マイクロ出射光学要素)31と、マイクロ入射光学系30とマイクロ出射光学系31の間に配設されたマイクロ絞り(マイクロシェード)32とを有する。図1から、行列状に配設されたマイクロ光学系システム3が、主放射方向Zに対して実質的に直角に位置する2つの方向、即ちX方向(水平)とY方向(垂直)に延在していることが見てとれる。図1図1a、図1bに示された座標系は、上述のように、通常の取付位置にある照射装置1に関するものである。
【0038】
照射装置1を用い(例えば図6に図示したように)多数のマイクロ配光の重なり合いとして、即ち個々のマイクロ光学系システムにより形成される配光として構成される配光を生成することができる。図7は、例えば、非対称の上り勾配80を伴う明暗境界を有するロービーム配光8として形成されている配光を示している。マイクロ光学系システムが所定のマイクロ光学系システムグループ(下の説明又は上の説明を参照)にまとめられる場合、各マイクロ光学系システムグループは、1つの部分配光を形成するために設けられている。部分配光は、同様に複数のマイクロ配光の重なり合いである。配光ないし全配光は、部分配光の重なり合いである。
【0039】
好ましくは、各マイクロ光学系システム3は、正に1つのマイクロ入射光学系30と、正に1つのマイクロ出射光学系31と、正に1つのマイクロ絞り32とから構成されている(図1a)。この際、全てのマイクロ入射光学系30は、例えば一体形の入射光学系4を構成する。同様に全てのマイクロ出射光学系31は、例えば一体形の出射光学系5を構成し、マイクロ絞り32は、例えば一体形の絞り装置6を構成する。従って入射光学系4と出射光学系5と絞り装置6とは、例えば一体形の投射装置2を構成する。しかしながら投射装置2が一体形では形成されていないことも勿論考えられる。マイクロ入射光学系30とマイクロ出射光学系31とマイクロ絞り32とは、例えばガラス又はプラスチックから成る1つ又は複数の好ましくは透光性の基板40、50、51、52、60上に取り付けられていることが可能である。
【0040】
絞り装置6は、投射装置2の主放射方向Zに対して実質的に直角に位置する面内、即ち中間像面322内に配設されている。従って全てのマイクロ絞り32は、同様に中間像面322内に位置している。入射光学系4と出射光学系5と絞り装置6とは、実質的に互いに平行な面内に配設されている。
【0041】
図1aは、図1のマイクロ光学系システム3のうちの1つの拡大分解図を模式的に示している。図1bは、図1aの断面A-Aを示している。これらの図では、単純明快さのために基板40、50、51、52、60は省略されている。図1aから、マイクロ絞り32が光学的に有効な縁部(エッジ)320を有し得ることが見てとれる。マイクロ絞り32は、マイクロ出射光学系31から所定の間隔dだけ離間されている。光学的に有効な縁部320は、マイクロ配光の明暗境界、所謂マイクロ明暗境界3200、3201を生成させるように設けられ、或いは形成されていることが可能である(図6を参照)。ここでは図6が参照されるべきである。図6は、1つのマイクロ絞り32の光学的に有効な縁部320a、320b、320c、320d、320eの様々な形状(図6の右側)並びにこれらの形状に対応するマイクロ配光(図6の左側)を示しており、これらのマイクロ配光は、例えば、実質的に水平に延在するマイクロ明暗境界3200、又は非対称の上り勾配80を伴うマイクロ明暗境界3201を有することができる。
【0042】
マイクロ配光は、それぞれのマイクロ光学系システム3を通過する光により構成される。つまり好ましくは、各マイクロ光学系システム3は、正に1つのマイクロ配光を形成し、またその逆も同様であり、即ち各マイクロ配光は、好ましくは、正に1つのマイクロ光学系システム3により形成される。光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eは、異なる延在経過を有することができる。図1aに示されているように、マイクロ絞り32が、開口部以外は非透光性のプレートにおいて開口部(切欠き部)321、321a、321b、321c、321d、321eとして形成されていると、この場合には開口部境界として形成されている光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eは、閉じた形状を有する(図6も参照)。この際、光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eの少なくとも一部分は、マイクロ明暗境界3200、3201を形成/構成するために設けられて/形成されている。図1a及び図6に示されたマイクロ絞りにおいて、その一部分は、光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eの下部分である。
【0043】
当業者は、配光の幾何学形状(部分配光の幾何学形状とマイクロ配光の幾何学形状も)に該当する技術的な特徴がそれぞれの配光の二次元的な投射に関連することを直ちに認識する。この投射は、例えば光技術ラボにおいて、通常の取付位置に位置決めされたライトモジュール、照射装置、又は自動車投光器の主放射方向に対して直角にほぼ25メートルの間隔で立てられた測定スクリーン上に配光が投射される場合に、発生することができる。上記の内容は、明暗境界(部分明暗境界ないしはマイクロ明暗境界)についても対応して適用される。
【0044】
色収差が原因で、光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eは、所定の色の光ないし所定の波長の光でのみ鮮明に結像される。
【0045】
例えば、ほぼ555nmの光波長をもつ光線(緑色のスペクトル領域からの光)に対してほぼ0.7mmのバックフォーカス(後側焦点)距離を有するマイクロ出射光学系31を備えたマイクロ光学系システム3では、そのバックフォーカス距離分だけマイクロ出射光学系31から離間されているマイクロ絞り32(この場合、間隔dはバックフォーカス距離と同じである)の光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eは、マイクロ光学系システムが白色光で、例えば(半導体を基礎とした)半導体ベースの光源の白色光で、好ましくはLED光源の白色光で照射される場合には、紫色の色縁を伴うマイクロ明暗境界のかたちで結像される。色縁の紫色は、白色光の青色部分と赤色部分の混合に由来する。主放射方向Zに沿ってマイクロ絞り32を変位させることにより間隔dは変化される。それにより色縁の色も変化する。なぜならマイクロ絞りは、もはやマイクロ出射光学系の光軸と(マイクロ入射光学系を通過した)緑色光線(緑色のスペクトル領域からの1つの光波長をもつ光線)との交点に位置するのではなく、例えばマイクロ出射光学系の光軸と赤色光線(赤色放射線)又は青色光線(青色放射線)との交点に位置するためである。つまり間隔dは、光波長λに依存して選択されることが可能である。この例は、一般的に表現されることができ、つまり投射装置の全てのマイクロ光学系システムが同一であるならば、投射装置を用いて生成される配光の明暗移行部、例えばロービーム配光の明暗境界は、マイクロ出射光学系とマイクロ絞りの間隔dに依存する色で色縁を有する。この色縁の色は、マイクロ絞りが焦点面内に位置することをもたらさない光波長の光の混合により得られる(色収差)。
【0046】
色縁の問題に対処し、色縁を補償するために、マイクロ光学系システム3の全体は、少なくとも2つのマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3に分割される。図1は、例えば3つのマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3を示している。各マイクロ光学系システムグループG1、G2、G3には、予め定められた1つの光波長領域(例えば緑色領域)、好ましくは予め定められた1つの光波長λG1、λG2、λG3が割り当てられる。このことは、各マイクロ光学系システムグループが、予め定められた光波長領域からの光波長λG1、λG2、λG3をもつ光によってのみ、好ましくは予め定められた1つの光波長(例えばほぼ555nm)の光によってのみマイクロ絞りが鮮明に結像可能であるマイクロ光学系システムを含むことを意味する。本発明により、異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3の予め定められた光波長領域、好ましくは予め定められた光波長λG1、λG2、λG3は、異なっている。異なる光波長領域が(互いに)重なり合わないことは、目的に適い得る。予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光、好ましくは予め定められた光波長λG1、λG2、λG3の光におけるマイクロ絞り32ないしそれらの光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eの上記の鮮明な結像により、光像内には、異なる色で色縁を有するマイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界が発生する。マイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界を重ね合わせることにより、光像内の色縁も同様に重ね合わされ、それにより色補償効果が達成され、この色補償効果では、色縁の色が全体的な配光ないし全配光に対して適合される。好ましくは、予め定められた光波長領域、特に予め定められた光波長は、白色の色縁が発生するように選択される。
【0047】
各マイクロ光学系システムグループG1、G2、G3のマイクロ絞り32は、1つのマイクロ絞りグループにまとめられていることが可能であり、この際、それらのマイクロ絞りグループは、同一に形成されていることが可能である。
【0048】
更に各マイクロ光学系システム3においてマイクロ絞り32の少なくとも一部分がマイクロ出射光学系31から間隔d、d1、d2、d3だけ離間されているよう配設することができ、この際、間隔d、d1、d2、d3は、予め定められた1つの光波長領域から又は予め定められた複数の光波長領域のうちの1つからの1つの光波長λ、λG1、λG2、λG3に依存し、同じマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3内では実質的に同じである。間隔d1、d2、d3は、異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3からのマイクロ光学系システム3では異なって選択されることが可能である。このことは、同じマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3内ではマイクロ絞り32がそれぞれのマイクロ出射光学系から同じ間隔だけ離間されていることを意味し、この際、この間隔d1、d2、d3は、予め定められてこのマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3に割り当てられた光波長領域からの光波長に従って、好ましくは予め定められた光波長λG1、λG2、λG3に従って選択されている。この際、2つ以上の異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3からのマイクロ光学系システム3は、それらのマイクロ絞り32とそれぞれのマイクロ出射光学系31との間に2つ以上の異なる間隔d1、d2、d3を有する。各マイクロ光学系システムグループG1、G2、G3は、予め定められた光波長領域からの少なくとも1つの光波長の光、好ましくは予め定められた1つの光波長の光においてマイクロ絞り32を鮮明に結像するように設けられている。
【0049】
紫色の色縁に関する上記の例において、マイクロ絞りは、ほぼ555nmの光波長の緑色光により鮮明に結像される。
【0050】
異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3における間隔d1、d2、d3の間の差Δd12、Δd23は、ほぼ0.01mmからほぼ0.12mmまで、好ましくはほぼ0.01mmからほぼ0.06mmまで、特にほぼ0.01mmからほぼ0.03mmまでの値をとることができる。この際、マイクロ出射光学系31は、緑色光、特にほぼ555nmの光波長をもつ光に対し、好ましくは、ほぼ0.7mmのバックフォーカス距離を有する。
【0051】
ここで言及すべきことは、1つのマイクロ光学系システムグループ内のマイクロ絞りの位置は、このマイクロ光学系システムグループに割り当てられて予め定められた1つの光波長領域に適合され、好ましくは1つの光波長に適合され得るということである。例えばそのマイクロ光学系システムグループが(ほぼ490nmからほぼ575nmまでの光波長をもつスペクトルの緑色領域から:λ~490-575nm、特にλ~555nmの)緑色光に対してマイクロ絞りを結像すべき場合には、中間像面の位置は、これらの波長のために決定され、それに続き、このマイクロ光学系システムグループのマイクロ絞りは、緑色の中間像面に位置決めされ、ないしマイクロ出射光学系の光軸と緑色光線との交点(Schnittpunkt)に位置決めされる。この際、これらのマイクロ絞りは、マイクロ出射光学系から所定の間隔を有し、この間隔は、緑色光に適合されており、従って対応の光波長と関連している。
【0052】
他のマイクロ光学系システムグループにおいて、マイクロ絞りの位置は、スペクトルの他の光波長領域からの光波長に依存して決定される。スペクトルの更なる領域は、例えば、以下の領域である。即ちほぼ380nmからほぼ420nmまでの光波長(λ~380-420nm)をもつ紫色領域(紫色光)、ほぼ420nmからほぼ490nmまでの光波長(λ~420-490nm)をもつ青色領域(青色光)、ほぼ575nmからほぼ585nmまでの光波長(λ~575-585nm)をもつ黄色領域(黄色光)、ほぼ585nmからほぼ650nmまでの光波長(λ~585-650nm)をもつオレンジ色領域(オレンジ色光)、及びほぼ650nmからほぼ750nmまでの光波長(λ~650-750nm)をもつ赤色領域(赤色光)である。
【0053】
従って、同じマイクロ光学系システムグループ内の光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eは、予め定められた1つの光波長領域からの光、好ましくは予め定められた1つの光波長の光を用いて鮮明に結像されることが可能である。つまり光学的に有効な縁部320、320a、320b、320c、320d、320eにより生成される明暗移行部(単数又は複数)、例えば明暗境界(単数又は複数)は、対応する色の色縁を有する。上記の例に関すると、マイクロ出射光学系からほぼ0.7mmだけ離間されたマイクロ絞り(緑色の焦点)を、水平方向においてほぼ0.06mmだけマイクロ出射光学系に向かって変位させる或いはマイクロ出射光学系から離れるように変位させることは、マイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界において赤色ないし青色の色縁をもたらすことになる。例えばマイクロ絞りを0.03mmだけマイクロ出射光学系に向かって変位させる(ないしマイクロ出射光学系をマイクロ絞りに向かって変位させる)ことにより、オレンジ色の色縁が生じることになる。光像において異なる色で色縁を重ね合わせることは、色縁の明らかな補償をもたらしてくれる。例えば黄赤色の色縁を紫色の色縁と重ね合わせることができ、それにより実質的に白色の色縁が生成され、即ち補償がもたらされる。このことは、例えば、同数のマイクロ光学系システムから成る2つのマイクロ光学系システムグループを含んだ投射装置を用いて達成することができ、この際、一方のマイクロ光学系システムグループのマイクロ出射光学系は、他方のものよりもほぼ0.06mmだけ厚くなっている。それに続き、配光の鮮明度ファクタを適合することができる。
【0054】
異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3における異なる間隔d1、d2、d3は、例えば、マイクロ出射光学系31自体の異なる厚さ、対応の基板の異なる厚さ、又は対応の基板とマイクロ出射光学系との間の対応の接着層の異なる厚さにより達成されることが可能である。
【0055】
図1から、マイクロ出射光学系31が基板50、51、52に取り付けられていることが見てとれる。この際、基板50、51、52は、マイクロ光学系システムグループG1、G2、G3に応じて異なる厚さを有する。対応のマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3における基板50、51、52の厚さは、このマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3におけるマイクロ絞り32とマイクロ出射光学系31の間の間隔d1、d2、d3を規定する。また絞り装置6の基板60又は入射光学系4の基板40を、異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3のために異なる厚さで形成することも考えられる。
【0056】
図2図3では、異なる間隔d1、d2、d3を、例えば0.01mmからほぼ0.12mmまで、好ましくはほぼ0.01mmからほぼ0.06mmまで、特にほぼ0.01mmからほぼ0.03mmまでの厚さΔdの接着層53を用いて達成し得ることも見てとれる。この際、いくらか厚いこの接着層は、例えば、マイクロ出射光学系31と出射光学系5の基板50との間(図3)、又はマイクロ絞り32と出射光学系5の基板50との間(図2)に配設されることが可能である。
【0057】
それに加え、厚さDのマイクロ絞りを作成することが考えられ(図4を参照)、それにより、例えば、その光学的に有効な縁部において(主放射方向Zにおいて)裏側にありマイクロ出射光学系31に関して遠位部分32aが、予め定められた光波長領域からの第1の光波長λG11の光で鮮明に結像され、そしてその光学的に有効な縁部において(主放射方向Zにおいて)表側にありマイクロ出射光学系31に関して近位部分32bが、予め定められた光波長領域からの第2の光波長λG12の光で鮮明に結像される。つまり遠位部分32aは、マイクロ光学系システム3の光軸OAと光波長λG11の光線との交点SλG11に配設され、近位部分32bは、マイクロ光学系システム3の光軸OAと光波長λG12の光線との交点SλG12に配設されている(この際、図4においてSλG11、SλG12は、当該交点とマイクロ出射光学系31の頂点部との間の距離として示されている。)。
【0058】
ほぼ555nmの光波長をもつ光線(緑色のスペクトル領域からの光)に対してほぼ0.7mmのバックフォーカス距離を有するマイクロ出射光学系31を備えたマイクロ光学系システムの上記の例に関すると、マイクロ絞り32は、ほぼ0.12mmの厚さとすることができ、この際、その中心部は、マイクロ出射光学系31からほぼ0.7mmだけ離間されていることが可能である。この際、マイクロ絞り32の光学的に有効な縁部の遠位部分32aは、マイクロ出射光学系31の光軸OAと赤色光線との交点SλG11(間隔で表示)に位置し、マイクロ絞り32の光学的に有効な縁部の近位部分32bは、マイクロ出射光学系31の光軸OAと青色光線との交点SλG12(間隔で表示)に位置する。例えば遠位部分や近位部分のような光学的に有効な縁部の異なる部分は、異なる色で色縁を有するマイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界のかたちとして光像内で重ね合わされる。この重ね合わせにより、明暗境界の色縁の補償を同じく行うことができる。
【0059】
しかしながら製作の簡単さの観点からは、異なる厚さのマイクロ出射光学系が、より厚い基板、より厚い接着層、又はより厚いマイクロ出射光学系本体のいずれにより達成されるにせよ、好ましい。異なる厚さのマイクロ絞りの製造は、塗布の方法でのみ可能であり(リソグラフィ)、投射装置内に空隙をもたらすことになる。厚さの異なるマイクロ絞りは、例えばインプリント法で使用されるような平坦なガラスプレートと結合することはできない。しかし異なる厚さのマイクロ出射光学系(屈折面の変位に対応)は、工具を用いて簡単に製造することができる。
【0060】
それに加え、各マイクロ光学系システム3のマイクロ出射光学系31は、予め定められた曲率k1、k2をもつ光出射面を有するよう配設することができ、この際、予め定められた曲率k1、k2(予め定められた曲率の値)は、予め定められた1つの光波長領域からの1つの光波長、又は予め定められた複数の光波長領域のうちの1つからの1つの光波長に依存し、好ましくは光波長λG1、λG2、λG3のうちの1つに依存し、同じマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3内では実質的に同じであり、この際、予め定められた曲率k1、k2は、異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3から成るマイクロ光学系システム(複数)3では異なっている。
【0061】
マイクロ出射光学系31の光出射面の曲率k1、k2を変更することにより、マイクロ出射光学系31の(全ての色に対する)バックフォーカス距離を変更することができる。それにより異なって湾曲された光出射面をもつマイクロ出射光学系31を有するマイクロ光学系システム(複数)3は、予め決められた光波長λに対し、異なるバックフォーカス距離を有する。図5は、異なるマイクロ光学系システムグループG1、G2からの2つのマイクロ出射光学系31と、これらのマイクロ出射光学系31に前置されたマイクロ絞り32とを模式的に示している。この際、マイクロ絞りは、この例ではマイクロ出射光学系31(マイクロ出射光学系31の底面)に対して同じ間隔に配設されていることを述べておく。このことが限定的ではないことは自明のことである。マイクロ絞りとマイクロ出射光学系の間の間隔は、ここでも、上述したように、変更されて光波長に適合されることが可能である。さて図5のマイクロ出射光学系31の光出射面は、異なって湾曲されている。つまり第1のマイクロ光学系システムグループG1のマイクロ光学系システム3のマイクロ絞り32は、対応のマイクロ光学系システム3の光軸OAと光波長λG1の光線との交点SλG1に位置することができ、第2のマイクロ光学系システムグループG2のマイクロ光学系システム3のマイクロ絞り32は、対応のマイクロ光学系システム3の光軸OAと光波長λG2の光線との交点SλG2に位置することができる(この際、図5においてSλG1、SλG2は、当該交点とマイクロ出射光学系31の頂点部との間の距離として示されている。)。それによりマイクロ絞り32の光学的に有効な縁部は、異なる色で色縁を有するマイクロ明暗移行部ないしマイクロ明暗境界3200、3201として結像される。既述したように、光波長は、重ね合わせにおいて発生する色縁が白色であるように選択されることが可能である。
【0062】
これらの実施例が互いに組み合わされ得ることは自明のことである。例えばマイクロ絞りの位置(マイクロ絞りとそれぞれのマイクロ出射光学系の間の間隔d1、d2、d3)だけをマイクロ光学系システムグループごとに変更するのではなく、マイクロ出射光学系の光出射面の曲率k1、k2も変更することは、目的に適い得る。この際、例えば、投射装置の全体厚に影響が及ぼされ、しかしまた投射装置が使用されるライトモジュール全体の長手方向の大きさにも影響が及ぼされ、従って例えば構造深さが適合されることが可能である。例えば図5のマイクロ光学系システム3において、図2又は図3におけるような接着層、或いは図1におけるようなより厚い基板を設けることも、勿論考えられる。
【0063】
既述したように、図6は、異なって形成された開口部321a、321b、321c、321d、321eを有するマイクロ絞り32と、開口部のそれぞれの形状により生成可能であるマイクロ配光との例を示している。図6から、マイクロ明暗境界の2つの異なる形状が見てとれる。即ち実質的に水平に延在するマイクロ明暗境界3200と、非対称の上り勾配を伴うマイクロ明暗境界3201である。上で説明したように、同じマイクロ光学系システムグループのマイクロ配光を重ね合わせることにより、光像内には、予め定められた色の色縁を伴う部分明暗境界を有する部分配光が構成され、この際、予め定められた色は、予め定められた光波長領域に依存し、好ましくは予め定められた光波長に依存する。光像内で重なり合う部分配光は、例えば図7のロービーム配光8のような、1つの配光ないし1つの全配光を構成する。非対称の上り勾配を伴うマイクロ明暗境界3201を有するマイクロ配光は、非対称の上り勾配を伴う部分明暗境界をもたらし、この際、各部分明暗境界は、予め定められた色で色縁を有する。それにより非対称の上り勾配80を伴う明暗境界が構成され、その色縁は、部分配光の色縁の色により決定される色を有する。好ましくは、ロービーム配光8における非対称の上り勾配80を伴う明暗境界の色縁の色は、白色である。
【0064】
図には示されていないが、異なるマイクロ光学系システムグループは、勿論互いに別個に形成されていることが可能である。この際、異なるマイクロ光学系システムグループが互いに離間されていることが考えられる。この際、入射光学系と出射光学系と絞り装置とは、別個の異なる好ましくは透光性の基板上に配設されていることが可能である。
【0065】
それに加え、図1から、自動車投光器用の照射装置1は、光放射方向Zにおいて投射装置2の手前に備えられた光源7を有することが見てとれる。光源7は、投射装置2を用いて照射装置1の前方の領域に、配光のかたちで、例えば明暗境界を有するロービーム配光8のかたちで、例えば非対称の上り勾配80を伴う明暗境界を有するロービーム配光8のかたちで投射される光を放出する。
【0066】
上述のように、配光は、それぞれが部分明暗境界を有する互いに重なり合う多数の部分配光から構成されている。各部分配光は、正に1つのマイクロ光学系システムグループにより構成されている。
【0067】
目的に適うように、光源7は、コリメート(平行化)された光を発生させるように構成されていることが可能である。
【0068】
例えば、光源7は、図1におけるコリメータ9のような光をコリメートする光学素子と、コリメータ9の手前に備えられた好ましくは半導体ベースの発光素子、例えばLED光源7とを含むことができる。この際、光をコリメートする光学素子は、光をコリメートする前置光学系(アタッチメントレンズ)又はTIRレンズ(Total Internal Reflection:全内反射;図示せず)として構成されていることも可能である。
【0069】
それに加え、図1では、光源7が3つの発光領域70、71、72を有することが見てとれる。個々の各発光領域は、1つまたは複数の半導体ベースの光源、好ましくはLED光源とすることができ、光源7の他の発光領域に依存せずに制御可能であり、例えばオンオフ可能とすることができる。更に各発光領域70、71、72に対し、少なくとも1つ、好ましくは正に1つのマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3を、それぞれの発光領域70、71、72により発生される光が直接的に且つこの発光領域70、71、72に割り当てられたマイクロ光学系システムグループG1、G2、G3だけに入射するように割り当てることは、目的に適い得る。
【0070】
本発明の前述の議論は、具現化と説明の目的で紹介されたものである。前述の内容は、本発明を本明細書で開示された1つの形態又は複数の形態に限定されるべきではない。前述の詳細な説明では、例えば、本発明の様々な特徴が、開示内容を簡潔にする目的で1つ又は複数の実施形態としてまとめられている。この種の開示内容は、この開示内容が、各請求項において明示的に述べられるよりも、より多くの特徴を権利要求の発明が要求するという意図を反映することはないものとして理解されるべきである。むしろ添付の請求項が反映するように、発明の各視点は、1つの前述の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴をもって提示されている。
【0071】
それに加え、本発明の説明が1つ又は複数の実施形態と、所定の変形形態及び修正形態の説明を含むにもかかわらず、他の変形形態及び修正形態は、本発明の範囲内にあり、例えば本開示内容を理解した後の当業者の能力と知識の範囲内にある。
【0072】
請求項における参照符号は、本発明のより良い理解のためだけに用いられ、決して本発明の限定を意味するものではない。
【符号の説明】
【0073】
1 照射装置
2 投射装置
3 マイクロ光学系システム
30 マイクロ入射光学系
31 マイクロ出射光学系
32 マイクロ絞り
32a 光学的に有効な縁部の遠位部分
32b 光学的に有効な縁部の近位部分
320 光学的に有効な縁部
320a~e 光学的に有効な縁部
321 開口部
321a~e 開口部
3200 マイクロ明暗境界
3201 マイクロ明暗境界
322 中間像面
4 入射光学系
40 基板
5 出射光学系
50 基板
51 基板
52 基板
53 接着層
6 絞り装置
60 基板
7 光源
71 発光領域
72 発光領域
73 発光領域
8 ロービーム配光
80 非対称の上り勾配
9 コリメータ

X 水平方向
Y 垂直方向
Z 主放射方向

d マイクロ出射光学系とマイクロ絞りの間の間隔
d1~d3 マイクロ出射光学系とマイクロ絞りの間の間隔

Δd12 d1とd2の差
Δd23 d2とd3の差

Δd 接着層の厚さ
D マイクロ絞りの厚さ

G1~G3 マイクロ光学系システムグループ

λ 光波長
λG1~G3 光波長
λG11 第1の光波長
λG12 第2の光波長

OA マイクロ光学系システムの光軸
λG11 光軸OAと光線(光波長λG11)の交点(距離で表示)
λG12 光軸OAと光線(光波長λG12)の交点(距離で表示)
λG1 光軸OAと光線(光波長λG1)の交点(距離で表示)
λG2 光軸OAと光線(光波長λG2)の交点(距離で表示)

k1、k2 光出射面の曲率
図1
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7