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特許7104873有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化回収装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化回収装置
(51)【国際特許分類】
   B09C 1/02 20060101AFI20220714BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20220714BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B09C1/02
C02F1/00 V ZAB
C02F1/00 L
C02F1/00 M
B01D21/00 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022012483
(22)【出願日】2022-01-29
【審査請求日】2022-01-30
(31)【優先権主張番号】202110244453.9
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521088468
【氏名又は名称】生態環境部南京環境科学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】▲とう▼紹坡
(72)【発明者】
【氏名】周艶
(72)【発明者】
【氏名】孔令雅
(72)【発明者】
【氏名】丁達
(72)【発明者】
【氏名】李旭偉
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001070(JP,A)
【文献】特開2019-181403(JP,A)
【文献】特開2016-010768(JP,A)
【文献】特開2014-000495(JP,A)
【文献】特開2001-129527(JP,A)
【文献】特開2013-186025(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109757715(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/58 - 1/64
1/52 - 1/56
B01D 21/01
B09C 1/00 - 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化回収装置であって、
固体粒子と溶離液を分離する沈殿ろ過手段(1)と、前記沈殿ろ過手段(1)に接続され
て溶離液を浄化する浄化回収手段(2)とを含み、
前記沈殿ろ過手段(1)は、廃水を収集し、収集した廃水を沈殿する三段沈殿池(10)
と、前記三段沈殿池(10)に接続される石英砂ろ過缶(11)とを含み、
前記浄化回収手段(2)は、前記沈殿ろ過手段(1)に接続され、有機塩素系農薬を初期
除去する第1浄化手段(3)と、前記第1浄化手段(3)に接続され、有機塩素系農薬を
二次除去する第2浄化手段(4)と、第2浄化手段(4)に接続され、溶離液を回収する
回収タンクとを含み、
前記第1浄化手段(3)は、第2浄化手段(4)の周囲に均等に設けられた3つの浄化水
タンク(30)と、浄化水タンク(30)内に対応して設けられた3組の調整可能な浄化
ユニット(31)と、浄化水タンク(30)の上方に設けられ、調整可能な浄化ユニット
(31)における有機塩素系農薬を掃除する空気圧複合掃除ユニット(32)と、前記空
気圧複合掃除ユニット(32)と浄化水タンク(30)との接続箇所に設けられる調整ユ
ニット(33)と、3つの浄化水タンク(30)を接続する循環水配管(34)と、循環
水配管(34)と浄化水タンク(30)との接続箇所に設けられた液体負圧循環ポンプと
、浄化水タンク(30)内の溶離液中の有機塩素系農薬の含有量を検出する検出モジュー
ルとを含み、
前記調整可能な浄化ユニット(31)は、全て浄化水タンク(30)内に並設され、調整
ユニット(33)に可動に接続される複数組の取り付けフレーム(310)と、前記取り
付けフレーム(310)に取り付けられ、水流方向と垂直であるスクリーン(311)と
を含み、
前記調整可能な浄化ユニット(31)は、前記スクリーン(311)と前記取り付けフレ
ーム(310)との高度を調整し、
前記3つの調整可能な浄化ユニット(31)内のスクリーン(311)は、それぞれ3種
類の異なる固体パッキンを充填しており、
前記3種類の異なる固体パッキンは粒径10~40μmのシリカゲルパッキン、三ケイ酸
マグネシウムパッキン、アミノ固相パッキンであり、
前記調整ユニット(33)は、浄化水タンク(30)内に設けられる制限支持板(331
)と、前記制限支持板(331)上に設けられ、取り付けフレーム(310)に可動に接
続されるシュート(332)と、前記取り付けフレーム(310)に固定され、シュート
(332)に接続されるスライダと、前記浄化水タンク(30)の他端に設けられて取り
付けフレーム(310)を昇降させる動力ユニットとを含む、
ことを特徴とする有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化回収装置。
回収装置。
【請求項2】
前記空気圧複合掃除ユニット(32)は、それぞれ前記浄化水タンク(30)に対応して
設けられる3つの掃除箱(320)と、3つの掃除箱(320)を接続する循環エアチュ
ーブ(321)と、前記循環エアチューブ(321)に設けられる気体負圧循環ポンプ(
322)と、前記気体負圧循環ポンプ(322)に接続される空気加熱ユニット(323
)と、スクリーン(311)の間に並べられて挿設される複数組の紫外ランプ群(324
)とを含み、
前記紫外ランプ群(324)は、上から下へ平行に配列された複数の紫外チューブと、前
記紫外チューブに取り付けられ、両側のスクリーン(311)に開口するカバーとからな
る、
ことを特徴とする請求項1に記載の有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化
回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚水処理の技術分野に関し、具体的には、有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高
性能溶離液の浄化回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機塩素系農薬は分解しにくい重要な有機汚染物であり、発癌性、催奇形性及び突然変異
誘発性があり、人間の健康への潜在的な危険となる。
従来技術では、通常、界面活性剤を溶離液として土壤を溶離し、土壤中の有機塩素を除去
するのが一般的であるが、溶離の品質が高い反面、溶離液が消費され、その結果、このよ
うに有機塩素系農薬汚染土壤を処理するとかなり高コストであり、このため、通常、使用
済みの溶離液に沈殿ろ過、活性炭による吸着を行った後に溶離することにより、土壤溶離
のコストを低下させる。しかし、このような再利用溶離液は、有機塩素物質に対する処理
の度合いが低いため、再使用するときに溶離の品質、効率が大幅に低下するという問題が
生じる。
【発明の概要】
【0003】
上述の背景技術に記載の問題に対して、本発明は、
固体粒子と溶離液を分離する沈殿ろ過手段と、沈殿ろ過手段に接続されて溶離液を浄化す
る浄化回収手段とを含み、
沈殿ろ過手段は、廃水を収集し、収集した廃水を沈殿する三段沈殿池と、三段沈殿池に接
続される石英砂ろ過缶とを含み、
浄化回収手段は、沈殿ろ過手段に接続され、有機塩素系農薬を初期除去する第1浄化手段
と、第1浄化手段に接続され、有機塩素系農薬を二次除去する第2浄化手段と、第2浄化
手段に接続され、溶離液を回収する回収タンクとを含み、
第1浄化手段は、第2浄化手段の周囲に均等に設けられた3つの浄化水タンクと、浄化水
タンク内に対応して設けられた3組の調整可能な浄化ユニットと、浄化水タンクの上方に
設けられ、調整可能な浄化ユニットにおける有機塩素系農薬を掃除する空気圧複合掃除ユ
ニットと、空気圧複合掃除ユニットと浄化水タンクとの接続箇所に設けられる調整ユニッ
トと、3つの浄化水タンクを接続する循環水配管と、循環水配管と浄化水タンクとの接続
箇所に設けられた液体負圧循環ポンプと、浄化水タンク内の溶離液中の有機塩素系農薬の
含有量を検出する検出モジュールとを含み、
調整可能な浄化ユニットは、全て浄化水タンク内に並設され、調整ユニットに可動に接続
される複数組の取り付けフレームと、取り付けフレームに取り付けられ、水流方向と垂直
であるスクリーンとを含み、
3つの調整可能な浄化ユニット内のスクリーンは、それぞれ3種類の異なる固体パッキン
を充填しており、
調整ユニットは、浄化水タンク内に設けられ、第2浄化手段の一端に近い制限支持板と、
制限支持板上に設けられ、取り付けフレームに可動に接続されるシュートと、取り付けフ
レームに固定され、シュートに接続されるスライダと、浄化水タンクの他端に設けられて
取り付けフレームを昇降させる動力ユニットとを含む、有機塩素系農薬汚染土壤修復用の
高性能溶離液の浄化回収装置を提供する。
【0004】
本発明の一態様によれば、第2浄化手段は、3つの浄化水タンクの画定領域の中心に設け
られ、浄化水タンクに連通するパルス増圧手段と、パルス増圧手段の下方に設けられる固
相抽出手段とを含み、
パルス増圧手段は、3つの浄化水タンクに接続される増圧室と、それぞれ浄化水タンクと
増圧室との接続箇所に設けられる3つのHPLCポンプと、増圧室の内壁に摺動可能に接
続されるピストン板と、上端が増圧室の天面に接続され、下端がピストン板に接続される
複数の伸縮式エアバッグと、伸縮式エアバッグの上端に連通し、パルス空気圧を供給する
気体充填ユニットと、ピストン板に設けられる電磁圧力逃し弁とを含み、伸縮式エアバッ
グと増圧室との接続箇所にシールリングが設けられ、
固相抽出手段は、増圧室の下端に可動に接続される複数の固相抽出カラムと、固相抽出カ
ラムの下端に設けられる集液器とを含み、増圧室と固相抽出カラムとの接続箇所に一方向
弁が設けられ、固相抽出カラムの上端は係合部材を介して増圧室に可動に係合され、下端
は係合部材を介して集液器に可動に係合される。固相抽出カラムは溶離液をさらに浄化す
ることができ、浄化品質を効果的に向上させ、有機塩素の除去率を向上させ、固相抽出カ
ラムを係合して取り付けることにより、固相抽出カラムの交換やメンテナンスを容易なも
のとする。
【0005】
本発明の一態様によれば、固相抽出カラムの上端側面には逆方向溶離排液口がさらに設け
られ、固相抽出手段は集液器、逆方向溶離排液口に連通して逆方向溶離通路を形成し得る
逆方向溶離液貯蔵タンクをさらに含む。逆方向洗浄回路を介して固相抽出カラムを逆方向
に洗浄することにより、吸着した有機塩素を効果的に除去し、固相抽出カラムによる二次
処理の品質を高め、二次処理の場合の品質低下や効率低下の問題を回避する。
【0006】
本発明の一態様によれば、空気圧複合掃除ユニットは、それぞれ浄化水タンクに対応して
設けられる3つの掃除箱と、3つの掃除箱を接続する循環エアチューブと、循環エアチュ
ーブに設けられる気体負圧循環ポンプと、気体負圧循環ポンプに接続される空気加熱ユニ
ットと、スクリーンの間に並べられて挿設される複数組の紫外ランプ群とを含み、
紫外ランプ群は、上から下へ平行に配列された複数の紫外チューブと、紫外チューブに取
り付けられ、両側のスクリーンに開口するカバーとからなる。熱気流と紫外線を組み合わ
せることにより、固体パッキンにより吸着された有機塩素を効率よく除去し、有機塩素と
溶離液を十分に分離することができ、
両側のスクリーンに開口するカバーによれば、紫外線が下方の溶離液に照射されて、界面
活性剤の効果を低下させることを防止する一方、一定の集光作用があり、紫外チューブの
光分解効率を向上させる。
【0007】
本発明の一態様によれば、動力ユニットは、浄化水タンクの他端に設けられる案内摺動ロ
ッドと、案内摺動ロッドに設けられ、取り付けフレームに接続される動力歯車と、取り付
けフレームに固定され、動力歯車と噛み合うラックと、案内摺動ロッドに平行に設けられ
るボールねじと、一端がボールねじに設けられ、他端が動力歯車に接続されるY字形接続
部材と、Y字形接続部材に設けられ、動力歯車に動力を供給する駆動モータとを含み、
ボールねじによって、動力歯車を制御して案内摺動ロッド上を摺動させ、動力歯車が異な
るラックと噛み合うようにし、駆動モータによって、動力歯車を駆動して異なるスクリー
ンを昇降させることができ、このユニットは、構造が簡単であり、生産コストが低く、か
つ安全で確実であり、スクリーンを素早く昇降させることができる。
【0008】
本発明の一態様によれば、3種類の異なる固体パッキンは、それぞれ粒径10~40μm
のシリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウムパッキン、アミノ固相パッキンであり、ス
クリーンの孔径は5~8μmであり、シリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウムパッキ
ン、アミノ固相パッキンの3種類のパッキンが設けられることによって、複数の有機塩素
物質に対する複合遮断効果を果たし、有機塩素の遮断吸着効果を大幅に高め、浄化品質を
向上させる。
【0009】
本発明の一態様によれば、装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤修復用の溶離液を浄化回
収する方法は、
まず、三段沈殿池に溶離液を投入し、30~60min静置した後、溶離液を石英砂ろ過
缶内で3~5次繰り返してろ過する、沈殿ろ過のステップ1と、
第1浄化手段にステップ1で処理された溶離液を投入し、溶離液中の有機塩素系農薬含有
量を検出し、液体負圧循環ポンプによって溶離液を駆動して3つの浄化水タンクのそれぞ
れに設けられた粒径10~40μmのシリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウムパッキ
ン、アミノ固相パッキンを通過させ、有機塩素系農薬含有量の検出データに基づいて溶離
液を1~5回循環させ、動力ユニットによって取り付けフレームを昇降させ、溶離液が通
過するスクリーンの数を調整し、次に、温度60~85℃、流速5~20m/sの気流及
び紫外光を用いてスクリーン内のパッキンにより吸着された有機塩素を5~30min処
理する、三相吸着のステップ2と、
HPLCポンプによって増圧室にステップ2で処理された溶離液を投入し、気体充填ユニ
ットにより伸縮式エアバッグに気体の充填と排出を周波数5~20Hzでパルス的に行い
、ピストン板を往復移動させ、一方向弁を介して溶離液を固相抽出カラムに入れて5~2
0min抽出し、次に溶離液を排出し、さらに逆方向溶離液貯蔵タンクによって固相抽出
カラムを逆方向に洗浄する固相パルス増圧抽出のステップ3とを含む。
【発明の効果】
【0010】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
(1)第1浄化手段、第2浄化手段を用いて2回浄化することによって、溶離液リサイク
ルにおいて溶離の効率や品質が低下するという問題を解決し、有機塩素系農薬汚染土壤の
溶離に消費される界面活性剤などの溶離剤の量を大幅に減少させ、土壤の溶離修復のコス
トを低下させることを図る。
(2)第1浄化手段は、溶離液をシリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウムパッキン、
アミノ固相パッキンを通すことで循環的に吸着させ、このように、固体三相の組み合わせ
により吸着して浄化することを可能とし、溶離液中の有機塩素の抽出品質を大幅に高める
ことができ、調整ユニットによって固体パッキンを上昇させ、固体パッキンと溶離液との
接触量を変更して、吸着能力を調整することができ、空気圧複合掃除ユニットによれば、
空気圧複合掃除ユニット内の固体パッキンに上がった有機塩素を効率よく除去して分解し
、固体パッキンの吸着能力を回復し、固体パッキンの吸着効果の低下を効果的に防止する
ことができる。
(3)第2浄化手段は、パルス増圧手段によって固相抽出カラムをパルス的に増圧するこ
とができ、固相抽出カラムの給液効率を向上させ、抽出にかかる時間を短縮することがで
き、固相抽出カラムの有機塩素抽出効率をある程度向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1の構造模式図である。
図2】本発明の実施例1の第1浄化手段の構造模式図である。
図3】本発明の実施例1の調整ユニットの構造模式図である。
図4】本発明の実施例2の第1浄化手段と第2浄化手段の組み合わせの構造模式図である。
図5】本発明の実施例2のパルス増圧手段の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例1
図1に示す機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化回収装置は、固体粒子と溶
離液を分離する沈殿ろ過手段1と、沈殿ろ過手段1に接続されて溶離液を浄化する浄化回
収手段2とを含み、
沈殿ろ過手段1は、廃水を収集し、収集した廃水を沈殿する三段沈殿池10と、三段沈殿
池10に接続される石英砂ろ過缶11とを含む。
図1に示すように、浄化回収手段2は、沈殿ろ過手段1に接続され、有機塩素系農薬を初
期除去する第1浄化手段3と、第1浄化手段3に接続され、有機塩素系農薬を二次除去す
る第2浄化手段4と、第2浄化手段4に接続され、溶離液を回収する回収タンクとを含み

図2に示すように、第1浄化手段3は、第2浄化手段4の周囲に均等に設けられた3つの
浄化水タンク30と、それぞれ浄化水タンク30内に対応して設けられた3組の調整可能
な浄化ユニット31と、浄化水タンク30の上方に設けられ、調整可能な浄化ユニットに
おける有機塩素系農薬を掃除する空気圧複合掃除ユニット32と、空気圧複合掃除ユニッ
ト32と浄化水タンク30との接続箇所に設けられる調整ユニット33と、3つの浄化水
タンク30を接続する循環水配管34と、循環水配管34と浄化水タンク30との接続箇
所に設けられる液体負圧循環ポンプと、浄化水タンク30内の溶離液中の有機塩素系農薬
の含有量を検出する検出モジュールとを含み、
図2に示すように、調整可能な浄化ユニット31は、全て浄化水タンク30内に並設され
、調整ユニット33に可動に接続される9組の取り付けフレーム310と、取り付けフレ
ーム310に取り付けられ、水流方向と垂直であるスクリーン311とを含み、
3つの調整可能な浄化ユニット31内のスクリーン311は、それぞれ3種類の異なる固
体パッキンを充填しており、
図3に示すように、調整ユニット33は、浄化水タンク30内に設けられ、第2浄化手段
4の一端に近い制限支持板331と、制限支持板331に設けられ、取り付けフレーム3
10に可動に接続されるシュート332と、取り付けフレーム310に固定され、シュー
ト332に接続されるスライダと、浄化水タンク30の他端に設けられて取り付けフレー
ム310を昇降させる動力ユニットとを含み、
図3に示すように、動力ユニットは、浄化水タンク30の他端に設けられる案内摺動ロッ
ド333と、案内摺動ロッド333に設けられ、取り付けフレーム310に接続される動
力歯車334と、取り付けフレーム310に固定され、動力歯車334と噛み合うラック
335と、案内摺動ロッド333に平行に設けられるボールねじ336と、一端がボール
ねじ336に設けられ、他端が動力歯車334に接続されるY字形接続部材337と、Y
字形接続部材337に設けられ、動力歯車334に動力を提供する駆動モータ338とを
含む。
図2に示すように、空気圧複合掃除ユニット32は、それぞれ浄化水タンク30に対応し
て設けられる3つの掃除箱320と、3つの掃除箱320を接続する循環エアチューブ3
21と、循環エアチューブ321に設けられる気体負圧循環ポンプ322と、気体負圧循
環ポンプ322に接続される空気加熱ユニット323と、スクリーン311の間に並べら
れて挿設される8組の紫外ランプ群324とを含む。
紫外ランプ群324は、上から下へ平行に配列された6つの紫外チューブと、紫外チュー
ブに取り付けられ、両側のスクリーン311に開口するカバーとからなる。
ここで、3種類の異なる固体パッキンは、それぞれシリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネ
シウムパッキン、アミノ固相パッキンであり、スクリーン311の孔径は6μmである。
第2浄化手段4としては、通常の活性炭吸着装置が使用される。
ここで、活性炭吸着装置、駆動モータ338、ボールねじ336、紫外チューブ、検出モ
ジュール、気体負圧循環ポンプ32、空気加熱ユニット323、液体負圧循環ポンプは全
て市販品を用い、且つ具体的な製品の型番については、当業者は必要に応じて選択して使
用すればよく、ここでは特に限定しない。
【0013】
実施例2
実施例1との相違点は以下のとおりである。
図4に示すように、第2浄化手段4は、3つの浄化水タンク30の中心に設けられ、浄化
水タンク30に連通するパルス増圧手段40と、パルス増圧手段40の下方に設けられる
固相抽出手段41とを含み、
図5に示すように、パルス増圧手段40は、3つの浄化水タンク30に接続される増圧室
401と、それぞれ浄化水タンク30と増圧室401との接続箇所に設けられる3つのH
PLCポンプ402と、増圧室401の内壁に摺動可能に接続されるピストン板403と
、上端が増圧室401の天面に接続され、下端がピストン板403に接続される3つの伸
縮式エアバッグ404と、伸縮式エアバッグ404の上端に連通し、パルス空気圧を供給
する気体充填ユニット405と、ピストン板403に設けられる電磁圧力逃し弁406と
を含む。
図5に示すように、固相抽出手段41は、増圧室401の下端に可動に接続される7つの
固相抽出カラム410と、固相抽出カラム410の下端に設けられる集液器411とを含
み、前記増圧室401と固相抽出カラム410との接続箇所に一方向弁が設けられ、前記
固相抽出カラム410の上端は係合部材を介して増圧室401に可動に係合され、下端は
係合部材を介して集液器411に可動に係合される。
図5に示すように、固相抽出カラム410の上端側面には逆方向溶離排液口がさらに設け
られ、固相抽出手段41は集液器411、逆方向溶離排液口に連通して逆方向溶離通路を
形成し得る逆方向溶離液貯蔵タンク412をさらに含む。
図5に示すように、伸縮式エアバッグ404と増圧室401との接続箇所にはシールリン
グ407が設けられる。
ここで、電磁圧力逃し弁406、HPLCポンプ402は全て市販品を用い、且つ具体的
な製品の型番については、当業者は必要に応じて選択して使用すればよい。
【0014】
実施例3
実施例1の装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤修復用の溶離液を浄化回収する方法は、
以下のステップ1~ステップ3を含む。
ステップ1:沈殿ろ過
まず、三段沈殿池10に溶離液を投入し、60min静置した後、溶離液を石英砂ろ過缶
11内で5回繰り返してろ過する。
ステップ2:三相吸着
第1浄化手段3にステップ1で処理された溶離液を投入し、溶離液中の有機塩素系農薬の
含有量を検出し、液体負圧循環ポンプによって溶離液を駆動して3つの浄化水タンク30
のそれぞれに設けられた粒径30~40μmのシリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウ
ムパッキン、アミノ固相パッキンを順次通過させ、有機塩素系農薬の含有量の検出データ
に基づいて溶離液を5回循環させ、動力ユニットによって取り付けフレーム310を昇降
させ、溶離液が通過するスクリーン311の数を9個に調整し、次に、温度85℃、流速
20m/sの気流及び紫外光を用いてスクリーン311内のパッキンにより吸着された有
機塩素を30min処理する。
【0015】
実施例4
実施例2の装置を用いて有機塩素系農薬汚染土壤修復用の溶離液を浄化回収する方法は、
ステップ1~ステップ3を含む。
ステップ1:沈殿ろ過
まず、三段沈殿池10に溶離液を投入し、30min静置した後、溶離液を石英砂ろ過缶
11内で3回繰り返してろ過する。
ステップ2:三相吸着
第1浄化手段3にステップ1で処理された溶離液を投入し、溶離液中の有機塩素系農薬の
含有量を検出し、液体負圧循環ポンプによって溶離液を駆動して3つの浄化水タンク30
のそれぞれに設けられる粒径10~20μmのシリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウ
ムパッキン、アミノ固相パッキンを順次通過させ、溶離液を1回循環させ、動力ユニット
によって取り付けフレーム310を昇降させ、溶離液が通過するスクリーン311の数を
5個に調整し、次に、温度60℃、流速5m/sの気流及び紫外光を用いてスクリーン3
11内のパッキンにより吸着された有機塩素を5min処理する。
ステップ3:固相パルス増圧抽出
ステップ2で処理された溶離液をHPLCポンプ402によって増圧室401に投入し、
気体充填ユニット405により伸縮式エアバッグ404に気体の充填と排出を周波数5H
zでパルス的に行い、ピストン板403を往復移動させ、一方向弁を介して溶離液を固相
抽出カラム410に入れて5min抽出し、次に溶離液を排出し、さらに逆方向溶離液貯
蔵タンク412によって固相抽出カラム410を1回逆方向に洗浄する。
【0016】
実施例5
実施例4との相違点は以下のとおりである。
ステップ1においては、静置時間は45minであり、ろ過は4回繰り返される。
ステップ2においては、シリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウムパッキン、アミノ固
相パッキンの粒径は20~30μmであり、溶離液は3回循環され、通過するスクリーン
311の数は7個であり、気流温度は70℃、流速は12m/sであえり、紫外光を用い
たスクリーン311内のパッキンにより吸着された有機塩素の処理の時間は18minで
ある。
ステップ3においては、パルス周波数は13Hzであり、抽出時間は12minであり、
逆方向洗浄の回数は2回である。
【0017】
実施例6
実施例4との相違点は以下のとおりである。
ステップ1においては、静置時間は60minであり、ろ過は5回繰り返される。
ステップ2においては、シリカゲルパッキン、三ケイ酸マグネシウムパッキン、アミノ固
相パッキンの粒径は30~40μmであり、溶離液は5回循環され、通過するスクリーン
311の数は9個であり、気流温度は85℃、流速は20m/sであり、紫外光を用いた
スクリーン311内のパッキンにより吸着された有機塩素の処理の時間は30minであ
る。
ステップ3においては、パルス周波数は20Hzであり、抽出時間は20minであり、
逆方向洗浄の回数は3回である。
試験例:それぞれ上述実施例3~6の処理方法を用いて、ある機塩素系農薬汚染土壤を溶
離して生じた溶離液を浄化処理し、データを記録し、表1は溶離液を浄化処理する前の3
種類の有機塩素汚染物の含有量であり、表2は溶離液を浄化処理した後の3種類の有機塩
素汚染物の除去率である。
表1:溶離液を浄化処理する前の3種類の有機塩素汚染物の含有量
【0018】
【0019】
表2:溶離液を浄化処理した後の3種類の有機塩素汚染物の除去率
【0020】
【0021】
結論:(1)表1、表2から明らかなように、上述実施例3~6の実施態様は、全て溶離
液中の3種類の有機塩素汚染物を効率よく除去することができ、3種類の有機塩素汚染物
の除去率は全て92%以上に達し、高い浄化効果があり、溶離液リサイクルにおいて溶離
効率や品質が低下するという問題を解決し、有機塩素系農薬汚染土壤を溶離するのに消費
される界面活性剤などの溶離剤の量を大幅に減少させ、土壤の溶離修復コストを低下させ
る。
(2)実施例3と実施例6を比較した結果、実施例3を基に、パルス増圧手段40、固相
抽出手段41を用いて固相パルス増圧と抽出を行うこおtにより、ヘキサクロロベンゼン
、β-ヘキサクロロシクロヘキサン、p,p′-DDEの3種類の有機塩素汚染物の除去
率を効果的に向上させることが分かり、パルス増圧手段40は固相抽出カラム410をパ
ルス的に増圧し、それにより、固相抽出カラム410の給液効率を効率よく向上させ、抽
出にかかる時間を短縮するだけでなく、固相抽出カラム410の内部圧力を持続的に変化
させ、固相抽出カラム410の有機塩素抽出効率をある程度向上できる。
(3)実施例4~6を比較した結果、三相吸着と固相パルス増圧抽出戸を組み合わせた処
理プロセスにおいては、異なるパラメータが設定されると、ヘキサクロロベンゼン、β-
ヘキサクロロシクロヘキサン、p,p′-DDEの3種類の有機塩素汚染物の除去率も異
なり、この中でも、実施例6は、除去率が最も高く、本発明の実施例として開示された最
適な実施例であることが分かった。
【0022】
[符号の説明]
1-沈殿ろ過手段
10-三段沈殿池
11-石英砂ろ過缶
2-浄化回収手段
3-第1浄化手段
30-浄化水タンク
31-調整可能な浄化ユニット
310-取り付けフレーム
311-スクリーン
32-空気圧複合掃除ユニット
320-掃除箱
321-循環エアチューブ
322-気体負圧循環ポンプ
323-空気加熱ユニット
324-紫外ランプ群
33-調整ユニット
331-支持板
332-シュート
333-案内摺動ロッド
334-動力歯車
335-ラック
336-ボールねじ
337-Y字形接続部材
338-駆動モータ
34-循環水配管
4-第2浄化手段
40-パルス増圧手段
401-増圧室
402-HPLCポンプ
403-ピストン板
404-伸縮式エアバッグ
405-気体充填ユニット
406-電磁圧力逃し弁
407-シールリング
41-固相抽出手段
410-固相抽出カラム
411-集液器
412-逆方向溶離液貯蔵タンク
【要約】      (修正有)
【課題】有機塩素系農薬汚染土壤修復用の高性能溶離液の浄化回収装置を提供する。
【解決手段】固体粒子と溶離液を分離する沈殿ろ過手段1と、沈殿ろ過手段に接続されて溶離液を浄化する浄化回収手段2とを含み、浄化回収装置は、沈殿ろ過手段に接続され、有機塩素系農薬を初期除去する第1浄化手段3と、第1浄化手段に接続され、有機塩素系農薬を二次除去する第2浄化手段4と、第2浄化手段に接続され、溶離液を回収する回収タンクとを含む。本装置は、溶離液リサイクルにおいて溶離効率や品質が低下するという問題を解決することができ、有機塩素系農薬汚染土壤の溶離コストを大幅に低下させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5