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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】リアクトル
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20220714BHJP
   H01F 27/06 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
H01F37/00 M
H01F37/00 T
H01F37/00 S
H01F37/00 J
H01F27/06
H01F37/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018213781
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020080393
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】小林 健人
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩平
(72)【発明者】
【氏名】舌間 誠二
(72)【発明者】
【氏名】古川 尚稔
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207701(JP,A)
【文献】特開2005-183885(JP,A)
【文献】特開2017-028084(JP,A)
【文献】特開2015-222804(JP,A)
【文献】特開2013-084767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 37/00
H01F 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体を内部に収納するケースと、前記ケースの内部に充填されて前記組合体の少なくとも一部を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルであって、
前記ケースに固定されて、前記組合体の前記ケースからの脱落を防止する支持部を備え、
前記ケースは、
前記組合体が載置される底板部と、
前記組合体の外周を囲み、前記ケースの周方向に沿った長さの異なる一対の短辺部と一対の長辺部とが交互に並ぶ矩形枠状の側壁部とを有し、
前記コイルは、
前記底板部と直交する方向に積層されて互いに平行な軸を有する一対の巻回部と、
前記コイルの軸方向の一端側に設けられて前記一対の巻回部同士を電気的に接続する接続部と、を備え、
前記磁性コアは、前記コイルの外部に配置される一対の外側コア部を有し、
前記支持部は、
前記側壁部の前記短辺部の端面に固定される固定端と、
前記側壁部の前記長辺部に沿って延び、前記外側コア部の上方に重複する重複領域と、
前記固定端とは反対側に設けられて、前記ケースに固定されない自由端とを有する片持ち状であり、
前記支持部の前記固定端は、前記ケースにおける前記コイルの前記接続部側の前記短辺部の端面に固定されている、
リアクトル。
【請求項2】
前記封止樹脂部は、前記支持部の前記重複領域と前記外側コア部との間に介在されている請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記組合体と前記ケースの前記底板部との間に介在されて、前記組合体と前記ケースの底板部とを固定する接着層を有する請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
【請求項4】
前記組合体は、前記外側コア部を覆い、前記一対の巻回部の内部に及ぶモールド樹脂部を備える請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリアクトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リアクトルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のリアクトルは、コイルと磁性コアとケースと封止樹脂部と2つの支持部とを備える。ケースは、コイルと磁性コアとの組合体を内部に収納する。ケースは、底板部と側壁部と取付台とを有する。底板部は、組合体が載置される。側壁部は、組合体の外周を囲む。取付台は、側壁部の4つの角部に設けられ、支持部が取り付けられる。コイルは、一対の巻回部を有する。一対の巻回部は、互いの軸が平行となるように底板部の同一平面上に横並びに配置(平置き)されている。磁性コアは、一対の内側コア部と一対の外側コア部とを有する。各内側コア部は、各巻回部の内部に配置される。各外側コア部は、各巻回部の外部に配置される。封止樹脂部は、ケースの内部に充填され、組合体を封止する。各支持部は、封止樹脂部を介して各外側コア部の上面を支持する。各支持部は、その長手方向の両端に設けられて、ボルトによりケースの取付台に固定される一対の固定部と、その長手方向の中央に設けられて、外側コア部の上面に重複する重複領域とを有する。この重複領域の下面と外側コア部の上面との間には、封止樹脂部の一部が介在されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-207701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リアクトルの設置面積を小さくして、組合体のケースからの脱落を防止しつつ、組合体の動作時の振動に伴う騒音を抑制することが望まれている。リアクトルの設置対象によっては、リアクトルの設置スペースが小さくて、一対の巻回部を平置きできない場合があるからである。また、組合体がケースから脱落すると、組合体の保護やケースを介した組合体の冷却などができなくなるからである。更に、支持部の両端がケースに固定されていることで、組合体の振動が支持部を介してケースに振動が伝わると、騒音が大きくなるからである。
【0005】
そこで、設置面積が小さくて、組合体のケースからの脱落を抑制し易く、組合体の動作時の振動に伴う騒音を抑制し易いリアクトルを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第一のリアクトルは、
コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体を内部に収納するケースと、前記ケースの内部に充填されて前記組合体の少なくとも一部を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルであって、
前記ケースに固定されて、前記組合体の前記ケースからの脱落を防止する支持部を備え、
前記ケースは、
前記組合体が載置される底板部と、
前記組合体の外周を囲み、前記ケースの周方向に沿った長さの異なる一対の短辺部と一対の長辺部とが交互に並ぶ矩形枠状の側壁部とを有し、
前記コイルは、前記底板部と直交する方向に積層されて互いに平行な軸を有する一対の巻回部を備え、
前記磁性コアは、前記コイルの外部に配置される一対の外側コア部を有し、
前記支持部は、
前記側壁部の前記短辺部の端面に固定される固定端と、
前記側壁部の前記長辺部に沿って延び、前記外側コア部の上方に重複する重複領域と、
前記固定端とは反対側に設けられて、前記ケースに固定されない自由端とを有する片持ち状である。
【0007】
本開示に係る第二のリアクトルは、
コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体を内部に収納するケースと、前記ケースの内部に充填されて前記組合体の少なくとも一部を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルであって、
前記ケースに固定されて、前記組合体の前記ケースからの脱落を防止する支持部を備え、
前記ケースは、
前記組合体が載置される底板部と、
前記組合体の外周を囲み、前記ケースの周方向に沿った長さの異なる一対の短辺部と一対の長辺部とが交互に並ぶ矩形枠状の側壁部とを有し、
前記コイルは、前記底板部に直交し、かつ互い平行な軸を有する一対の巻回部を備え、
前記磁性コアは、前記コイルの外部に配置される一対の外側コア部を有し、
前記支持部は、
前記側壁部の前記短辺部の端面に固定される固定端と、
前記側壁部の前記長辺部に沿って延び、前記外側コア部の上方に重複する重複領域と、
前記固定端とは反対側に設けられて、前記ケースに固定されない自由端とを有する片持ち状である。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る第一のリアクトル及び第二のリアクトルは、設置面積が小さくて、組合体のケースからの脱落を抑制し易く、組合体の動作時の振動に伴う騒音を抑制し易い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係るリアクトルの概略を示す側面図である。
図2】実施形態1に係るリアクトルの概略を示す上面図である。
図3】実施形態2に係るリアクトルの概略を示す側面図である。
図4】実施形態3に係るリアクトルの概略を示す側面図である。
図5】実施形態3に係るリアクトルの概略を示す上面図である。
図6】実施形態4に係るリアクトルの概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《本開示の実施形態の説明》
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、ケースの底板部の同一平面上に横並びに配置されて、互いに平行な軸を有する一対の巻回部を「平置き型」ということがある。また、ケースの底板部と直交する方向に積層されて互いに平行な軸を有する一対の巻回部を「縦積み型」ということがある。更に、ケースの底板部に直交し、かつ互い平行な軸を有する一対の巻回部を「直立型」ということがある。
【0011】
(1)本開示の一形態に係る第一のリアクトルは、
コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体を内部に収納するケースと、前記ケースの内部に充填されて前記組合体の少なくとも一部を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルであって、
前記ケースに固定されて、前記組合体の前記ケースからの脱落を防止する支持部を備え、
前記ケースは、
前記組合体が載置される底板部と、
前記組合体の外周を囲み、前記ケースの周方向に沿った長さの異なる一対の短辺部と一対の長辺部とが交互に並ぶ矩形枠状の側壁部とを有し、
前記コイルは、前記底板部と直交する方向に積層されて互いに平行な軸を有する一対の巻回部を備え、
前記磁性コアは、前記コイルの外部に配置される一対の外側コア部を有し、
前記支持部は、
前記側壁部の前記短辺部の端面に固定される固定端と、
前記側壁部の前記長辺部に沿って延び、前記外側コア部の上方に重複する重複領域と、
前記固定端とは反対側に設けられて、前記ケースに固定されない自由端とを有する片持ち状である。
【0012】
上記の構成によれば、縦積み型の一対の巻回部であることで、平置き型の一対の巻回部に比較して、設置面積が小さい。一般的に、コイルの軸方向と一対の巻回部の並列方向の両方向に直交する方向に沿った組合体の長さが、一対の巻回部の並列方向に沿った組合体の長さよりも小さいという関係(以下、長さの大小関係ということがある)を満たすからである。
【0013】
また、組合体のケースからの脱落を抑制し易い。上述のように上記長さの大小関係を満たす。そのため、平置き型の一対の巻回部を収納するケースの深さに比較して、縦積み型の一対の巻回部を収納するケースの深さを深くし易いからである。その上、支持部を備えることで、組合体のケースからの飛び出しを規制できるからである。特に、この支持部の固定形態がケースに対して片持ち支持される形態であっても、組合体のケースからの脱落を抑制し易い。それは、上述のようにケースの深さが深いことに加えて、支持部の固定箇所を長辺部ではなく短辺部の端面に設けているからである。支持部の幅を一定として、支持部が短辺部の端面に固定される場合と、支持部が長辺部の端面に固定される場合とを比較する。「(支持部の幅)/(短辺部の長さ)」は「(支持部の幅)/(長辺部の長さ)」よりも大きい。そのため、支持部で組合体を支持し易い。支持部の幅とは、一対の長辺部の対向方向に沿った長さをいう。短辺部の長さとは、一対の長辺部の内面同士の最短距離をいう。長辺部の長さは、一対の短辺部の内面同士の最短距離をいう。
【0014】
更に、組合体の動作時の振動に伴う騒音を抑制し易い。支持部をケースに対して片持ち支持していることで、支持部を板バネとして機能させられる。そのため、組合体の動作時における振動を支持部で吸収し易い。よって、組合体の動作時における振動が支持部を介してケースに伝達され難いからである。また、縦積み型の一対の巻回部を収納するケースの開口部は、平置き型の一対の巻回部を収納するケースの開口部に比較して、小さい。即ち、組合体におけるケースからの露出領域が小さく、ケースでの被覆領域が大きい。そのため、組合体自体が振動し難いからである。更に、短辺部は長辺部に比較して剛性が高い。そのため、支持部の固定箇所を短辺部に設けることで、支持部の固定箇所を長辺部に設ける場合に比較して、組合体の脱落を防止する支持部のケースへの固定を強固に行えるからである。
【0015】
そして、部品点数を低減できる。一対の巻回部が平置き型の場合、組合体のケースからの脱落と騒音とを抑制するために、2つの支持部と各支持部に対して2つずつの合計4つのボルトとを要していた。これに対して、上記の構成では1つの支持部と1つのボルトとを要すればよいからである。
【0016】
コイルの軸方向に沿った組合体の長さが、一対の巻回部の並列方向に沿った組合体の長さよりも長い場合、一対の巻回部が縦積み型であることで、一対の巻回部が直立型の場合に比較して高さを低くできる。
【0017】
一方、一対の巻回部の並列方向に沿った組合体の長さが、コイルの軸方向に沿った組合体の長さよりも長い場合、一対の巻回部が縦積み型であることで、一対の巻回部が直立型の場合に比較して、リアクトルの設置面積を小さくできる。その上、組合体のケースからの脱落をより一層抑制し易い。直立型の一対の巻回部を収納するケースの深さに比較して、縦積み型の一対の巻回部を収納するケースの深さが深いからである。
【0018】
(2)本開示の一形態に係る第二のリアクトルは、
コイルと磁性コアとの組合体と、前記組合体を内部に収納するケースと、前記ケースの内部に充填されて前記組合体の少なくとも一部を封止する封止樹脂部とを備えるリアクトルであって、
前記ケースに固定されて、前記組合体の前記ケースからの脱落を防止する支持部を備え、
前記ケースは、
前記組合体が載置される底板部と、
前記組合体の外周を囲み、前記ケースの周方向に沿った長さの異なる一対の短辺部と一対の長辺部とが交互に並ぶ矩形枠状の側壁部とを有し、
前記コイルは、前記底板部に直交し、かつ互い平行な軸を有する一対の巻回部を備え、
前記磁性コアは、前記コイルの外部に配置される一対の外側コア部を有し、
前記支持部は、
前記側壁部の前記短辺部の端面に固定される固定端と、
前記側壁部の前記長辺部に沿って延び、前記外側コア部の上方に重複する重複領域と、
前記固定端とは反対側に設けられて、前記ケースに固定されない自由端とを有する片持ち状である。
【0019】
上記の構成によれば、上記第一のリアクトルと同様、設置面積が小さくて、組合体のケースからの脱落を抑制し易く、騒音を抑制し易い。その上、部品点数を低減できる。
【0020】
特に、一対の巻回部が縦積み型の場合に比較して、騒音を抑制し易い。組合体は、コイルの軸方向に振動し易い。一対の巻回部を直立型としていることで、支持部をコイルの軸方向と直交するように配置できる。そのため、支持部は組合体を組合体の振幅を押さえる方向から支持できる。よって、支持部により組合体の振動を吸収し易いからである。
【0021】
コイルの軸方向に沿った組合体の長さが、一対の巻回部の並列方向に沿った組合体の長さよりも長い場合、一対の巻回部が縦積み型の場合に比較して、リアクトルの設置面積を小さくし易い。その上、組合体のケースからの脱落をより一層抑制し易い。縦積み型の一対の巻回部を収納するケースの深さに比較して、直立型の一対の巻回部を収納するケースの深さが深いからである。
【0022】
一方、一対の巻回部の並列方向に沿った組合体の長さが、コイルの軸方向に沿った組合体の長さよりも長い場合、一対の巻回部が縦積み型の場合に比較して、高さを低くできる。
【0023】
(3)縦積み型の一対の巻回部を有する上記第一のリアクトルの一形態として、
前記コイルは、その軸方向の一端側に設けられて前記一対の巻回部同士を電気的に接続する接続部を有し、
前記支持部の前記固定端は、前記ケースにおける前記コイルの前記接続部側の前記短辺部の端面に固定されていることが挙げられる。
【0024】
上記の構成によれば、一対の巻回部における各巻線の両端部と、支持部とが互いに干渉することを防止できる。一対の巻回部における各巻線の両端部は、接続部に対してコイルの軸方向の反対側に設けられる。即ち、一対の巻回部における各巻線の両端部と接続部側に設けられる支持部とは互いに距離が離れているからである。
【0025】
また、騒音の抑制に効果的である。コイルの接続部側は、一対の巻回部における各巻線の両端部側に比較して、振動し易いからである。両端部は、詳しくは後述するが端子部材を介して電源などの外部装置が接続されるため、振動し難い。
【0026】
(4)上記第一のリアクトル又は上記第二のリアクトルの一形態として、
前記封止樹脂部は、前記支持部の前記重複領域と前記外側コア部との間に介在されていることが挙げられる。
【0027】
上記の構成によれば、騒音を抑制し易い。支持部を外側コア部に直接接触させて外側コア部をケースの底板部側へ押圧する場合に比較して、磁性コアの振動が支持部に伝わるのを抑制し易い。そのため、支持部が磁性コアの振動のケースへの伝達経路になり難いからである。
【0028】
(5)上記第一のリアクトル又は上記第二のリアクトルの一形態として、
前記組合体と前記ケースの前記底板部との間に介在されて、前記組合体と前記ケースの底板部とを固定する接着層を有することが挙げられる。
【0029】
上記の構成によれば、組合体を底板部に強固に固定できる。そのため、組合体の動きを規制し易い。よって、組合体のケースからの脱落を抑制し易い。
【0030】
(6)上記第一のリアクトル又は上記第二のリアクトルの一形態として、
前記組合体は、前記外側コア部を覆い、前記一対の巻回部の内部に及ぶモールド樹脂部を備えることが挙げられる。
【0031】
上記の構成によれば、外側コア部とコイルとを一体化できる。そのため、リアクトルの製造過程でケースに組合体を収納する際、組合体を取り扱い易い。
【0032】
《本開示の実施形態の詳細》
本開示の実施形態の詳細を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
【0033】
《実施形態1》
〔リアクトル〕
図1図2を参照して、実施形態1に係るリアクトル1Aを説明する。リアクトル1Aは、コイル2と磁性コア3とを組み合わせた組合体10と、ケース5と、封止樹脂部6とを備える。ケース5は、組合体10が載置される底板部51と、組合体10の外周を囲む側壁部52とを備える。コイル2は、一対の巻回部21,22を有する(図1)。磁性コア3は、各巻回部21,22の外部に配置される一対の外側コア部33を有する。封止樹脂部6は、ケース5の内部に充填されて組合体10の少なくとも一部を封止する。リアクトル1Aの特徴の一つは、一対の巻回部21、22の配置形態が平置き型ではなく縦積み型又は直立型としている点と、ケース5に固定されて組合体10のケース5からの脱落を防止する特定の支持部7を有する点と、にある。以下、リアクトル1Aの主たる特徴部分、特徴部分に関連する部分の構成、及び主要な効果を順に説明する。その後、各構成を詳細に説明する。以下、ケース5の底板部51側を下とし、底板部51側とは反対側(開口部55側)を上とする。この上下方向(図1の紙面上下方向)に沿った方向(ケース5の深さ方向)を高さ方向とする。
【0034】
[主たる特徴部分及び関連する部分の構成]
(ケース)
ケース5は、内部に組合体10を収納する。ケース5は、組合体10の機械的保護及び外部環境からの保護(防食性の向上)を図ると共に、組合体10を放熱できる。ケース5は、代表的には、ダイキャストなどの金型鋳造や射出成形により製造される。ケース5は、底板部51と側壁部52とを備える有底筒状の容器である。底板部51と側壁部52とは、本例では一体に成形されている。なお、底板部51と側壁部52とは、個々に成形されていてもよい。その場合、底板部51と側壁部52とは、互いにねじ止めするなどして一体化することが挙げられる。側壁部52の上端側(底板部51側とは反対側)には、開口部55が形成されている。底板部51と側壁部52とで囲まれる内部空間は、組合体10の全体を収納可能な形状及び大きさを有する。
【0035】
〈底板部〉
底板部51は、組合体10が載置される内底面と、冷却ベースなどの設置対象(図示略)に設置する外底面とを有する。底板部51は、矩形平板状である。内底面及び外底面は、本例では平面で構成されている。
【0036】
〈側壁部〉
側壁部52は、組合体10の外周を囲む。側壁部52は、底板部51の周縁に立設される。側壁部52の形状は、本例では矩形枠状である。側壁部52の高さは、組合体10の高さよりも高い。側壁部52は、ケース5の周方向に沿った長さの異なる一対の短辺部521と一対の長辺部522との4つの壁部を有する。一対の短辺部521のケース5の周方向に沿った長さは、一対の長辺部522の同長さに比較して短い。一対の短辺部521と一対の長辺部522とは、ケース5の周方向に交互に配置されている。一対の短辺部521は互いに対向している。一対の長辺部522は互いに対向している。一対の短辺部521の対向方向と一対の長辺部522の対向方向とは互いに直交する。図1では、説明の便宜上、紙面手前の長辺部の図示を省略している。
【0037】
一対の短辺部521のうち、コイル2の後述する接続部23側(図1の紙面右側)の短辺部521における端面は、平面で構成されている。この接続部23側の短辺部521の端面には、ねじ穴(図示略)が形成されている。このねじ穴は、支持部7を固定するボルト70が締結される。短辺部521は長辺部522に比較して剛性が高い。そのため、支持部7の固定箇所を短辺部521に設けることで、支持部7の固定箇所を長辺部522に設ける場合に比較して、組合体10の脱落を防止する支持部7のケース5への固定を強固に行えるからである。仮にねじ穴を設けるために側壁部52の厚みを厚くする場合には、短辺部521の厚みを厚くしたほうが、長辺部522の厚みを厚くする場合に比較して、ケース5の大きさ及び重量が増大し難い。
【0038】
〈材質〉
ケース5の材質は、非磁性金属や非金属が挙げられる。
【0039】
非磁性金属としては、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、オーステナイト系ステンレス鋼などが挙げられる。これらの非磁性金属は熱伝導率が比較的高い。そのため、ケース5を放熱経路に利用でき、組合体10に発生した熱を設置対象(例えば、冷却ベース)に効率良く放熱できる。よって、リアクトル1Aの放熱性を高められる。金属でケース5を形成する場合、ダイキャストを好適に利用できる。
【0040】
非金属としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ウレタン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂などの樹脂が挙げられる。これらの非金属は一般に電気絶縁性に優れるものが多い。そのため、コイル2とケース5との間の絶縁性を高められる。これらの非金属は上述した金属よりも軽く、リアクトル1Aを軽量にできる。
【0041】
上記樹脂には、セラミックスフィラーを含有させてもよい。セラミックスフィラーは、例えば、アルミナ、シリカなどが挙げられる。これらのセラミックスフィラーを含有する樹脂は、放熱性及び電気絶縁性に優れる。樹脂でケース5を形成する場合、射出成形を好適に利用できる。底板部51と側壁部52とを個々に成形する場合には、底板部51と側壁部52とが互いに異なる材質で構成されていてもよい。
【0042】
(コイル)
コイル2に備わる一対の巻回部21,22は、本例では接合部の無い1本の巻線を螺旋状に巻回してなる中空の筒状体(角筒状体)である。一対の巻回部21,22は、コイル2の軸方向の一端側(図1の紙面右側)で接続部23を介して互いに電気的に接続されている。接続部23は、巻線の一部をU字状に屈曲して構成している。
【0043】
なお、一対の巻回部21,22は、別々の巻線を螺旋状に巻回して形成してもよい。一対の巻回部21,22同士を電気的に接続する接続部は、例えば、次のようにして形成することができる。一対の巻回部21,22における巻線の導体同士を直接接続する。或いは、一対の巻回部21,22とは独立する連結部材を、一対の巻回部21,22における巻線の導体と接続する。導体同士を直接接続する場合、一方の巻回部21における巻線の端部側を曲げて、他方の巻回部22における巻線の端部側に引き伸ばすことが挙げられる。連結部材は、例えば、巻線と同一部材で構成する。導体同士の接続や連結部材と導体との接続は、溶接や圧接で行える。
【0044】
コイル2の軸方向の他端側(図1の紙面左側)における各巻線の両端部(図示略)は、ケース5の開口部55から上方へ引き伸ばされている。各巻線の両端部は、絶縁被覆が剥がされて導体が露出している。露出した導体には、端子部材(図示略)が接続される。コイル2は、この端子部材を介してコイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置(図示略)が接続される。
【0045】
一対の巻回部21、22を構成する各巻線は、導体線の外周に絶縁被覆を備える被覆線を利用できる。導体線の材質は、銅、アルミニウム、マグネシウム、或いはその合金が挙げられる。導体線の種類は、平角線や丸線が挙げられる。絶縁被覆は、エナメル(代表的にはポリアミドイミド)などが挙げられる。本例の各巻線には、導体線が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を用いている。この被覆平角線をエッジワイズ巻きしたエッジワイズコイルで各巻回部21、22を構成している。一対の巻回部21、22の巻線の断面積は、本例では互いに同一である。一対の巻回部21、22の巻回方向は、互いに同一方向である。一対の巻回部21、22の巻数は、互いに同一数である。なお、一対の巻回部21、22の巻線の断面積や巻数が互いに異なっていてもよい。
【0046】
一対の巻回部21、22の端面形状は、互いに矩形枠状(正方形枠状を含む)としている。各巻回部21、22の角部は丸めている。なお、一対の巻回部21、22の端面形状は、台形枠状などでもよい。台形枠状としては、等脚台形枠状や直角台形枠状(いずれも図示略)が挙げられる。
【0047】
一対の巻回部21、22の高さ及び幅は、本例では互いに同一である。この幅は、本例では、高さ方向とコイル2の軸方向との両方向に直交する方向(図2の紙面上下方向)に沿った長さである。なお、一対の巻回部21,22の高さは、互いに異ならせてもよい。
【0048】
一対の巻回部21、22の配置形態は、平置き型ではなく、縦積み型(図1)又は直立型(図4)が挙げられる。平置き型とは、一対の巻回部21,22を互いの軸が平行となるように底板部51の同一平面上に横並びに配置することをいう。縦積み型とは、一対の巻回部21,22を互いの軸が平行となるように底板部51と直交方向に積層することをいう。直立型とは、一対の巻回部21,22を互いの軸が平行であり、かつ底板部51に直交するように配置することをいう。この軸が平行とは、同一直線状は含まない。一対の巻回部21,22の配置形態が縦積み型又は直立型であることで、一対の巻回部21,22の配置形態が平置き型の場合に比較して、設置面積を小さくできる。
【0049】
本例では、一対の巻回部21、22の配置形態は、縦積み型である。一方の巻回部21は、底板部51側に配置されていて、他方の巻回部22は、一方の巻回部21の上方側(開口部55側)に配置されている。下方側の巻回部21の4つの外周面のうち上方側の巻回部22との対向面を除く3面がケース5(底板部51と一対の長辺部522)に対向している。上方側の巻回部22の4つの外周面のうち下方側の巻回部21との対向面と上面とを除く2面がケース5(一対の長辺部522)に対向している。一対の巻回部21,22の外周面(合計8面)のうち、ケース5との対向面は合計5面であるため、ケース5を介してコイル2を放熱し易い。
【0050】
(磁性コア)
磁性コア3は、一対の内側コア部31,32と、一対の外側コア部33とを備える(図1)。一対の内側コア部31,32はそれぞれ、一対の巻回部21,22の内部に配置される。一対の内側コア部31、32は、離間して配置される。一対の外側コア部33は、一対の巻回部21、22の外部に配置される。即ち、外側コア部33は、コイル2が配置されず、コイル2から突出(露出)される。磁性コア3は、離間して配置される一対の内側コア部31、32を挟むように一対の外側コア部33が配置される。磁性コア3は、各内側コア部31、32の端面と外側コア部33の内端面とを接触させて環状に形成される。これら一対の内側コア部31、32と一対の外側コア部33とにより、コイル2を励磁したとき、閉磁路を形成する。なお、一対の内側コア部31、32とは、磁性コア3のうち、一対の巻回部21、22の軸方向に沿った部分を意味する。本例では、磁性コア3のうち、各巻回部21、22の軸方向に沿った部分の両端部が各巻回部21、22の外側に突出しているが、その突出する部分も各内側コア部31、32の一部である。
【0051】
〈内側コア部〉
各内側コア部31,32は、その軸が底板部51及び側壁部52の長辺部522に対して平行となるように配置されている。即ち、各内側コア部31,32は、その軸が側壁部52の短辺部521に対して直交するように配置されている。各内側コア部31、32の形状は、各巻回部21、22の内周形状に沿った形状とすることが好ましい。各巻回部21、22の内周面と各内側コア部31、32の外周面との間の間隔を、各内側コア部31、32の周方向に亘って均一にし易いからである。本例では、各内側コア部31、32の形状は、直方体状である。各内側コア部31、32の角部は、各巻回部21、22の角部の内周面に沿うように丸めている。
【0052】
一対の内側コア部31、32の高さ及び幅は、本例では互いに同一の高さ及び幅としている。即ち、各巻回部21、22の内周面と各内側コア部31、32の外周面との間の間隔の大きさは、互いに同一である。この幅は、一対の巻回部21、22の幅方向(図2の紙面上下方向)に沿った長さである。
【0053】
各内側コア部31、32は、一つの柱状のコア片で構成されている。コア片は、ギャップを介さず、各巻回部21、22の軸方向の略全長の長さを有する。なお、各内側コア部31、32は、複数の柱状のコア片とギャップとがコイル2の軸方向に沿って積層配置された積層体で構成してもよい。
【0054】
〈外側コア部〉
各外側コア部33は、その外端面がケース5の側壁部52における各短辺部521と対向するように配置されている。外側コア部33の外端面とは、外側コア部33における一対の内側コア部31、32側とは反対側の面をいう。外側コア部33の形状は、例えば、直方体状などが挙げられる。
【0055】
外側コア部33の上面は、本例では上方側の内側コア部32の上面と略面一である。外側コア部33の下面は、本例では下方側の内側コア部31の下面と略面一である。なお、外側コア部33の上面は、上方側の内側コア部32の上面よりも上方にあってもよい。外側コア部33の下面は、下方側の内側コア部31の下面よりも下方にあってもよい。各外側コア部33は、一つの柱状のコア片で構成されている。
【0056】
(封止樹脂部)
封止樹脂部6は、ケース5内に充填されて組合体10の少なくとも一部を覆う。封止樹脂部6は、以下の(a)~(d)に示す種々の機能を有する。(a)組合体10の熱をケース5へ伝達する。(b)組合体10を機械的保護及び外部環境から保護(防食性の向上)する。(c)組合体10とケース5との間の電気的な絶縁性を向上する。(d)組合体10とケース5との一体化によるリアクトル1Aの強度や剛性を向上する。
【0057】
本例の封止樹脂部6は、実質的にケース5の開口端まで充填されていて、組合体10の全体を埋設している。即ち、封止樹脂部6の上面はケース5の側壁部52の端面と実質的に面一である。この封止樹脂部6は、組合体10と支持部7との間に介在される部分と、コイル2とケース5との間に介在される部分と、巻回部21,22同士の間に介在される部分とを有する。具体的には、封止樹脂部6は、外側コア部33の上面及び第二端面部材42(後述)の上面と支持部7の下面との間の全域に亘って介在されている。また、封止樹脂部6は、下方側の巻回部21の下面と底板部51の内底面との間と、下方側の巻回部21の側面と側壁部52の長辺部522との間と、上方側の巻回部22の側面と長辺部522との間とに介在されている。更に、封止樹脂部6は、下方側の巻回部21の上面と上方側の巻回部22の下面との間に介在されている。
【0058】
封止樹脂部6の熱伝導率は、高いほど好ましい。各巻回部21、22の熱をケース5に伝達させ易いからである。封止樹脂部6の熱伝導率は、例えば、0.3W/m・K以上が好ましく、更に1W/m・K以上が好ましく、特に2W/m・K以上が好ましい。封止樹脂部6の材質は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、PPS樹脂などが挙げられる。これらの樹脂には、上述のセラミックスフィラーなどを含有させてもよい。
【0059】
(支持部)
支持部7は、ケース5に固定されて、組合体10の上方を支持する。支持部7による組合体10の支持により、組合体10のケース5からの脱落を防止する。支持部7による組合体10の支持形態は、支持部7を組合体10に直接接触させて行う直接支持でもよいが、支持部7と組合体10との間に固化した封止樹脂部6を介して間接的に行う間接支持が好ましい。支持部7と組合体10との間に介在する封止樹脂部6により、組合体10の振動が支持部7に伝わるのを抑制し易いからである。本例では、支持部7は、封止樹脂部6を介して間接的に組合体10を支持する。即ち、支持部7と組合体10との間には封止樹脂部6が介在されている。支持部7は、その長手方向が長辺部522に沿って設けられる。支持部7は、固定端71と重複領域72と自由端73とを有する片持ち状に構成されている。
【0060】
〈固定端〉
固定端71は、ケース5の側壁部52における短辺部521の端面に固定される。固定端71が短辺部521に固定されることで、長辺部522に固定される場合に比較して、支持部7自体の振動が短辺部521に伝達され難い。短辺部521の剛性は長辺部522に比較して高いからである。固定端71の固定箇所は、一対の短辺部521のうち、コイル2の接続部23側における短辺部521の端面とすることが好ましい。ケース5の開口部55から上方へ引き伸ばされたコイル2の他端側の両端部と支持部7とが互いに干渉しないからである。また、騒音の抑制に効果的である。コイル2の接続部23側は、一対の巻回部21,22における各巻線の両端部側に比較して、振動し易いからである。両端部は、上述したように端子部材を介して電源などの外部装置が接続されるため振動し難い。固定端71の固定には、ボルト70が利用できる。固定端71には、ボルト70が挿通される挿通孔(図示略)が形成されている。
【0061】
〈重複領域〉
重複領域72は、外側コア部33の上方に重複する。重複領域72は、側壁部52の長辺部522の長手方向に沿って延びていて、固定端71と自由端73(後述)との間に設けられている。本例では、重複領域72は、外側コア部33の上面を覆う第二端面部材42(後述)の上方に重複している。重複領域72の下面と第二端面部材42(外側コア部33)の上面との間には、固化した封止樹脂部6が介在されている。そのため、重複領域72の下面と第二端面部材42(外側コア部33)の上面とが直接接していない。重複領域72の下面は封止樹脂部6の上面に接していて、重複領域72は封止樹脂部6に埋設されていない。なお、重複領域72は封止樹脂部6に埋設されていてもよい。重複領域72の下面と第二端面部材42(外側コア部33)の上面とが直接接していてもよい。
【0062】
〈自由端〉
自由端73は、ケース5に固定されない。自由端73は、固定端71とは支持部7の長手方向の反対側に設けられる。自由端73は、本例では第二端面部材42の上方に重複しているが、重複領域72の重複箇所によってはコイル2の上方に重複していてもよい。自由端73の下面と第二端面部材42(外側コア部33)の上面との間には、固化した封止樹脂部6が介在されている。そのため、自由端73の下面と第二端面部材42(外側コア部33)の上面とが直接接していない。自由端73の下面は封止樹脂部6の上面に接していて、自由端73は封止樹脂部6に埋設されていない。なお、自由端73は封止樹脂部6に埋設されていてもよい。
【0063】
〈幅〉
支持部7の幅は、大きいほど好ましい。「(支持部7の幅)/(短辺部521の長さ)」を大きくできて、組合体10のケース5からの脱落を抑制し易いからである。支持部7の幅とは、一対の長辺部522の対向方向(図2の紙面上下方向)に沿った長さをいう。短辺部521の長さとは、一対の長辺部522の内面同士の最短距離をいう。支持部7の幅を一定として、支持部7が短辺部521の端面に固定される場合と、支持部7が長辺部522の端面に固定される場合とを比較する。「(支持部7の幅)/(短辺部521の長さ)」は「(支持部7の幅)/(長辺部522の長さ)」よりも大きい。そのため、支持部7が片持ち支持されていても、支持部7で組合体10を支持し易い。よって、組合体10の脱落を効果的に抑制できる。長辺部522の長さは、一対の短辺部521の内面同士の最短距離をいう。本例では、支持部7の幅は、内側コア部32の幅よりも大きく、外側コア部33の幅よりも小さい。なお、支持部7の幅は、外側コア部33の幅よりも大きくてもよい。
【0064】
〈形状〉
支持部7の形状は、固定端71と重複領域72と自由端73とが短辺部521の端面に略平行で屈曲部のない平板で構成している。支持部7を平板で構成することで、組合体10をケース5に収納して支持部7の固定端71を短辺部521の端面に取り付けた際、外側コア部33の上面と支持部7の重複領域72の下面との間に封止樹脂部6を介在させられる所定の間隔の隙間を形成し易い。上述したように、側壁部52の高さが組合体10の高さよりも高いからである。ここでは、支持部7の下面は、第二端面部材42(外側コア部33)の上面よりも上方側に位置している。なお、側壁部52の上面が封止樹脂部6の上面よりも十分に高い場合、支持部7の形状は、重複領域72及び自由端73が固定端71に比べて低くなるように段差状に折り曲げたZ字状の平板で構成することもできる。
【0065】
〈材質〉
支持部7の材質は、非金属としてもよいが、金属とすることが好ましい。支持部7を金属で構成すれば、支持部7の固定端71を金属製のケース5へ強固に固定できる。そのため、組合体10のケース5からの脱落を抑制し易い。その上、組合体10の動作時の振動を吸収し易い。そのため、組合体10の動作時における振動が支持部7を介してケース5に伝達され難い。よって、組合体10の振動に伴う騒音を抑制し易い。非金属は、ケース5の材質の欄で説明した非金属が挙げられる。金属は、ケース5の材質の欄で説明した非磁性金属としてもよいが、特にばね鋼が好ましい。
【0066】
[サイズ]
リアクトル1Aの体積は、250cm以上1450cm以下が挙げられる。リアクトル1Aの高さは、例えば、80mm以上150mm以下が挙げられる。リアクトル1Aの幅(長辺部522に沿った長さ)は、例えば、80mm以上120mm以下が挙げられる。リアクトル1Aの奥行き(短辺部521に沿った長さ)は、例えば、40mm以上80mm以下が挙げられる。本例では、「(リアクトル1Aの奥行き)<(リアクトル1Aの幅)<(リアクトル1Aの高さ)」を満たす。即ち、「(上記奥行き方向に沿った組合体10の長さ)<(上記幅方向に沿った組合体10の長さ)<(上記高さ方向に沿った組合体10の長さ)」を満たす。
【0067】
[リアクトルの主たる特徴部分における作用効果]
実施形態1に係るリアクトル1Aは、以下の効果を奏することができる。
【0068】
(1)一対の巻回部21、22が縦積み型であるため、一対の巻回部21、22が平置き型の場合に比較して、リアクトル1Aの設置面積を小さくできる。上記奥行き方向に沿った組合体10の長さが、上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも小さいからである。
【0069】
特に、一対の巻回部21,22が直立型の後述の実施形態3に係るリアクトル1C(図4)に比較して、設置面積を小さくできる。上記幅方向に沿った組合体10の長さが、上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも短いからである。
【0070】
(2)組合体10のケース5からの脱落を抑制できる。上記奥行き方向に沿った組合体10の長さが上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも小さい。そのため、平置き型の一対の巻回部を収納するケースの深さに比較して、縦積み型の一対の巻回部21,22を収納するケース5の深さを深くし易いからである。その上、支持部7を備えることで、組合体10のケース5からの飛び出しを規制できるからである。特に、この支持部7の固定形態がケース5に対して片持ち支持される形態であっても、組合体10のケース5からの脱落を抑制し易い。それは、上述のようにケース5の深さが深いことに加えて、支持部7の固定箇所を長辺部522ではなく短辺部521の端面に設けているからである。支持部7の幅を一定として、支持部7が短辺部521の端面に固定される場合と、支持部7が長辺部522の端面に固定される場合とを比較すると、「(支持部7の幅)/(短辺部521の長さ)」は、「(支持部7の幅)/(長辺部522の長さ)」よりも大きい。そのため、支持部7で組合体10を支持し易い。
【0071】
特に、実施形態3に係るリアクトル1Cに比較して、組合体10のケース5からの脱落を抑制し易い。上記幅方向に沿った組合体10の長さが、上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも短い。そのため、縦積み型の一対の巻回部21,22を収納するケース5(図1)の深さが、直立型の一対の巻回部21,22を収納する実施形態3に係るリアクトル1Cのケース5(図4)の深さに比較して、深いからである。
【0072】
(3)組合体10の振動に伴う騒音を抑制し易い。支持部7をケース5に対して片持ち支持していることで、支持部7を板バネとして機能させられる。そのため、組合体10の動作時における振動を支持部7で吸収し易いからである。また、支持部7の固定箇所を長辺部522ではなく短辺部521に設けている。短辺部521は長辺部522に比較して剛性が高い。そのため、支持部7の固定箇所を短辺部521に設けることで、支持部7の固定箇所を長辺部522に設ける場合に比較して、支持部7のケース5への固定を強固に行えるからである。更に、支持部7と組合体10との間に封止樹脂部6を介在させていることで、支持部7を組合体10に直接接触させて組合体10をケース5の底板部51側へ押圧する場合に比較して、組合体10の振動が支持部7に伝わるのを抑制し易い。そのため、支持部7が組合体10の動作時における振動のケース5への伝達経路になり難いからである。そして、上記奥行き方向に沿った組合体10の長さが、上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも小さい。そのため、ケース5の開口面積は、平置き型の一対の巻回部を収納するケースの開口面積に比較して小さい。即ち、組合体10におけるケース5からの露出領域が小さく、ケース5での被覆領域が大きい。よって、組合体10自体が振動し難いからである。
【0073】
特に、実施形態3に係るリアクトル1Cに比較して、組合体10自体が振動し難い。上記幅方向に沿った組合体10の長さが、上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも短い。そのため、ケース5の開口面積は、実施形態3に係るリアクトル1Cのケース5(図4)の開口面積に比較して小さいからである。よって、騒音を抑制し易い。
【0074】
(4)部品点数を低減できる。組合体10のケース5からの脱落と騒音とを抑制するために、1つの支持部7と1つのボルト70とを要すればよいからである。
【0075】
(5)平置き型の一対の巻回部21、22に比較して、放熱性に優れる。一対の巻回部21,22の外周面におけるケース5との対向面が多いからである。平置き型の一対の巻回部21、22において、各巻回部21,22の4つの外周面におけるケース5との対向面は、互いの対向面とは反対側の面と底板部51との対向面との2面である。即ち、一対の巻回部21,22の外周面(合計8面)のうち、ケース5との対向面は合計4面である。これに対して、縦積み型の一対の巻回部21,22では、上述したように合計5面である。
【0076】
[その他の特徴部分を含む各構成の説明]
(コイル)
各巻回部21、22は、一体化樹脂(図示略)によって個別に一体化されていてもよい。一体化樹脂は、各巻回部21、22の外周面、内周面、及び端面を覆うと共に、隣り合うターン同士を接合する。一体化樹脂は、巻線の外周(絶縁被覆のさらに外周)に形成される熱融着樹脂の被覆層を有するものを利用し、巻線を巻回した後、加熱して被覆層を溶融することで形成できる。熱融着樹脂の種類は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0077】
(磁性コア)
〈材質〉
一対の内側コア部31、32と一対の外側コア部33とは、圧粉成形体や複合材料で構成される。圧粉成形体は、軟磁性粉末を圧縮成形してなる。圧粉成形体は、複合材料に比較して、コア片に占める軟磁性粉末の割合を高くできる。そのため、磁気特性(比透磁率や飽和磁束密度)を高め易い。複合材料は、樹脂中に軟磁性粉末が分散されてなる。複合材料は、未固化の樹脂中に軟磁性粉末を分散した流動性の素材を金型に充填し、樹脂を硬化させることで得られる。複合材料は、樹脂中の軟磁性粉末の含有量を容易に調整できる。そのため、磁気特性(比透磁率や飽和磁束密度)を調整し易い。その上、圧粉成形体に比較して、複雑な形状でも形成し易い。なお、一対の内側コア部31、32と一対の外側コア部33とは、圧粉成形体の外周が複合材料で覆われたハイブリッドコアとすることもできる。本例では、一対の内側コア部31、32を複合材料で構成し、一対の外側コア部33を圧粉成形体で構成している。
【0078】
軟磁性粉末を構成する粒子は、軟磁性金属の粒子や、軟磁性金属の粒子の外周に絶縁被覆を備える被覆粒子、軟磁性非金属の粒子などが挙げられる。軟磁性金属は、純鉄や鉄基合金(Fe-Si合金、Fe-Ni合金など)などが挙げられる。絶縁被覆は、リン酸塩などが挙げられる。軟磁性非金属は、フェライトなどが挙げられる。複合材料の樹脂は、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が利用できる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、PPS樹脂、ポリアミド(PA)樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン9Tなど)、液晶ポリマー(LCP)、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。これらの樹脂には、上述のセラミックスフィラーを含有させてもよい。ギャップは、一対の内側コア部31、32と一対の外側コア部33よりも比透磁率が小さい材料からなる。
【0079】
(保持部材)
組合体10は、更に、保持部材4を備えていてもよい(図1)。保持部材4は、コイル2と磁性コア3との間の絶縁を確保する。本例の保持部材4は、第一端面部材41(図1の紙面左側)と第二端面部材42(図1の紙面右側)とを有する。
【0080】
〈第一端面部材・第二端面部材〉
第一端面部材41と第二端面部材42とは、コイル2の端面と外側コア部33との間の絶縁を確保する。第一端面部材41は、コイル2における各巻線の両端部側(接続部23とは反対側)に配置される。第二端面部材42は、コイル2の接続部23側に配置される。第一端面部材41と第二端面部材42はそれぞれ、二つの貫通孔43が一対の巻回部21、22の積層方向に沿って設けられた枠状の板材である。各貫通孔43には、各内側コア部31、32が嵌め込まれる。
【0081】
第一端面部材41と第二端面部材42におけるコイル2側の面には、各巻回部21、22の端面の傾斜に沿った傾斜面が形成されている。各傾斜面は、各巻回部21、22の端面と面接触する。第一端面部材41の上記傾斜面は、貫通孔43の周囲を全周に囲むように矩形の環状に形成されている。第二端面部材42の上記傾斜面は、貫通孔43の周囲の3方を囲むようにU字状に形成されている。第一端面部材41と第二端面部材42における外側コア部33側の面には、外側コア部33を嵌め込むための一つの凹部44が形成されている。第二端面部材42の長辺部522側の面には、コイル2の接続部23が収納される収納部45が形成されている。
【0082】
〈内側部材〉
保持部材4は、更に、内側部材(図示略)を有していもよい。内側部材は、各巻回部21、22の内周面と各内側コア部31、32の外周面との間の絶縁を確保する。
【0083】
〈材質〉
保持部材4の材質は、各種の樹脂等の絶縁材料が挙げられる。樹脂としては、例えば、上述した複合材料の樹脂と同様の樹脂が挙げられる。その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。その他の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。特に、保持部材4の材質は、封止樹脂部6と同じ材質とすることが好ましい。保持部材4と封止樹脂部6の線膨張係数を同じにすることができ、熱膨張・収縮に伴う各部材の損傷を抑制できるからである。
【0084】
(モールド樹脂部)
組合体10は、更に、モールド樹脂部8を備えていてもよい(図1)。モールド樹脂部8は、各外側コア部33の外周面のうち、各内側コア部31、32との連結面を除く領域を覆うと共に、一対の巻回部21,22の内部に及ぶ。このモールド樹脂部8は、各外側コア部33と第一端面部材41及び第二端面部材42の凹部44との間と、各内側コア部31,32の外周面と第一端面部材41及び第二端面部材42の貫通孔43との間と、各巻回部21,22の内周面と各内側コア部31、32の外周面との間とに介在されている。このモールド樹脂部8により、各外側コア部33と第一端面部材41及び第二端面部材42と各内側コア部と各巻回部21,22とを一体化できる。
【0085】
モールド樹脂部8の材質には、例えば、上述した複合材料の樹脂と同様の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が利用できる。これらの樹脂には、上述のセラミックスフィラーを含有させてもよい。セラミックスフィラーを含有すれば、モールド樹脂部8の放熱性を向上させられる。
【0086】
[使用態様]
リアクトル1Aは、電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品に利用できる。リアクトル1Aは、例えば、種々のコンバータや電力変換装置の構成部品などに利用できる。コンバータの一例としては、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の車両に搭載される車載用コンバータ(代表的にはDC-DCコンバータ)や、空調機のコンバータ等が挙げられる。
【0087】
[製造]
リアクトル1Aは、例えば、次のようにして製造できる。ケース5内に、コイル2と磁性コア3と保持部材4をモールド樹脂部8で一体に組み合わせた組合体10を収納する。次に、ケース5の側壁部52における短辺部521の端面に対して支持部7をボルト70で固定する。次に、封止樹脂部6の構成樹脂をケース5内に充填する。本例では、封止樹脂部6の構成樹脂の充填は、支持部7の下面に構成樹脂が接触する高さに至るまで行う。そして、封止樹脂部6の構成樹脂を充填して硬化する。
【0088】
《実施形態2》
〔リアクトル〕
図3を参照して、実施形態に係るリアクトル1Bを説明する。実施形態に係るリアクトル1Bは、組合体10をケース5の底板部51に固定する接着層9を有する点が、実施形態1に係るリアクトル1Aと相違する。以下、相違点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0089】
(接着層)
接着層9は、組合体10と底板部51との間に介在される。接着層9により、組合体10を底板部51に強固に固定できる。そのため、組合体10の動きを規制し易く、組合体10のケース5からの脱落を効果的に抑制し易い。また、接着層9の材質によっては、組合体10の放熱性を向上し易い。
【0090】
接着層9の形成領域は、下方側の巻回部21とケース5の底板部51との間の全域に亘る領域のみとしてもよいし、本例のように第一端面部材41から下方側の巻回部21を跨いで第二端面部材42に亘る領域としてもよい。本例の場合、接着層9により、下方側の巻回部21と底板部51との固定に加えて、第一端面部材41及び第二端面部材42と底板部51とが固定される。
【0091】
接着層9の材質は、絶縁性樹脂が挙げられる。そうすれば、下方側の巻回部21とケース5との絶縁性を高められる。絶縁性樹脂は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどが挙げられる。熱可塑性樹脂は、例えば、PPS樹脂、LCPなどが挙げられる。絶縁性樹脂には、上述のセラミックスフィラーなどを含有することが好ましい。接着層9の放熱性を高め易いからである。接着層9の熱伝導率は、高いほど好ましい。下方側の巻回部21の熱をケース5に伝達させ易いからである。接着層9の熱伝導率は、例えば、0.3W/m・K以上が好ましく、更に1W/m・K以上が好ましく、特に2W/m・K以上が好ましい。
【0092】
〔作用効果〕
実施形態2に係るリアクトル1Bは、実施形態1に係るリアクトル1Aと同様の効果を奏することができる。その上、実施形態1に係るリアクトル1Aに比較して、組合体10のケース5からの脱落をより一層抑制し易い。接着層9を有することで、第一端面部材41及び第二端面部材42と下方側の巻回部21とをケース5の底板部51に強固に固定できるからである。
【0093】
《実施形態3》
〔リアクトル〕
図4図5を参照して、実施形態3に係るリアクトル1Cを説明する。実施形態3に係るリアクトル1Cは、一対の巻回部21,22の配置形態が直立型である点が、実施形態1に係るリアクトル1Aと相違する。以下、相違点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0094】
(コイル)
一対の巻回部21,22は、互いの軸が平行であり、かつ軸が底板部51に直交するように配置されている。各巻回部21,22の4つの外周面(合計8面)のうち互いに対向する面を除く3面(合計6面)がケース5の側壁部52に対向している。一対の巻回部21,22の外周面(合計8面)のうち、ケース5との対向面は合計6面であるため、側壁部52を介してコイル2を放熱し易い。
【0095】
(磁性コア)
一対の内側コア部31,32は、その軸が底板部51に対して直交するように配置されている。一対の外側コア部33のうち、一方の外側コア部33は、底板部51側に配置されていて、他方の外側コア部33は、開口部55側に配置されている。
【0096】
(支持部)
支持部7は、その長手方向が長辺部522に沿って設けられる。そのため、支持部7は、コイル2の軸方向に対して直交する。支持部7の重複領域72は、上方側の外側コア部33の上面に重複する(図5)。自由端73は、上方側の外側コア部33の上面に重複する。重複領域72及び自由端73の下面と外側コア部33の上面との間には、固化した封止樹脂部6が介在されている(図4)。そのため、重複領域72及び自由端73の下面と外側コア部33の上面とが直接接していない。重複領域72及び自由端73の下面は封止樹脂部6の上面に接していて、重複領域72及び自由端73は封止樹脂部6に埋設されていない。
【0097】
[サイズ]
リアクトル1Cの高さは、例えば、80mm以上150mm以下が挙げられる。リアクトル1Cの幅(長辺部522に沿った長さ)は、例えば、80mm以上120mm以下が挙げられる。リアクトル1Cの奥行き(短辺部521に沿った長さ)は、例えば、40mm以上80mm以下が挙げられる。本例では、「(リアクトル1Cの奥行き)<(リアクトル1Cの高さ)<(リアクトル1Cの幅)」を満たす。即ち、「(上記奥行き方向に沿った組合体10の長さ)<(上記高さ方向に沿った組合体10の長さ)<(上記幅方向に沿った組合体10の長さ)」を満たす。
【0098】
〔作用効果〕
実施形態3に係るリアクトル1Cは、実施形態1に係るリアクトル1Aと同様の効果を奏することができる。その上、実施形態1に係るリアクトル1Aに比較して、以下の効果を奏することができる。
【0099】
(1)リアクトル1Cの高さを低くできる。上記幅方向に沿った組合体10の長さが、上記高さ方向に沿った組合体10の長さよりも長いからである。
【0100】
(2)騒音を抑制し易い。組合体10は、コイル2の軸方向に振動し易い。一対の巻回部21,22を直立型としていることで、支持部7をコイル2の軸方向と直交するように配置できる。そのため、支持部7は組合体10を組合体10の振幅を押さえる方向から支持できる。よって、支持部7により組合体10の振動を吸収し易いからである。
【0101】
(3)放熱性に優れる。一対の巻回部21,22の外周面におけるケース5との対向面が多いからである。直立型の一対の巻回部21,22において、一対の巻回部21,22の外周面におけるケース5との対向面は、上述したように合計6面である。これに対して、実施形態1に係るリアクトル1Aのように一対の巻回部21,22が縦積み型の場合(図1)、一対の巻回部21,22の外周面におけるケース5との対向面は、上述したように合計5面である。
【0102】
《実施形態4》
〔リアクトル〕
図6を参照して、実施形態4に係るリアクトル1Dを説明する。実施形態4に係るリアクトル1Dは、一対の巻回部21,22の配置形態が直立型である点と、組合体10をケース5の底板部51に固定する接着層9を有する点とが、実施形態1に係るリアクトル1Aと相違する。即ち、実施形態4に係るリアクトル1Dは、接着層9を有する点が、実施形態3に係るリアクトル1Cと相違する。以下、実施形態3との相違点を中心に説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0103】
(接着層)
接着層9は、下方側の外側コア部33と底板部51との間に介在されている。接着層9の形成領域は、本例では、下方側の外側コア部33と底板部51との間の全域に亘る領域としている。この接着層9により、本例ではモールド樹脂部8と底板部51とを接着することで、下方側の外側コア部33とケース5の底板部51とが固定される。接着層9の材質は、実施形態3で上述した通りである。
【0104】
〔作用効果〕
実施形態4に係るリアクトル1Dは、実施形態3に係るリアクトル1Cと同様の効果を奏することができる。その上、実施形態3に係るリアクトル1Cに比較して、組合体10のケース5からの脱落をより一層抑制し易い。接着層9を有することで、下方側の外側コア部33をケース5に強固に固定できるからである。
【0105】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0106】
1A,1B,1C,1D リアクトル
10 組合体
2 コイル
21,22 巻回部
23 接続部
3 磁性コア
31,32 内側コア部
33 外側コア部
4 保持部材
41 第一端面部材
42 第二端面部材
43 貫通孔
44 凹部
45 収納部
5 ケース
51 底板部
52 側壁部
521 短辺部
522 長辺部
55 開口部
6 封止樹脂部
7 支持部
70 ボルト
71 固定端
72 重複領域
73 自由端
8 モールド樹脂部
9 接着層
図1
図2
図3
図4
図5
図6