(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20220714BHJP
A01D 67/00 20060101ALI20220714BHJP
A01D 69/06 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
A01D67/00 D
A01D69/06
(21)【出願番号】P 2020127354
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2020-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
(72)【発明者】
【氏名】石賀 和平
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-067247(JP,A)
【文献】特開2013-128448(JP,A)
【文献】特開2014-193115(JP,A)
【文献】特開2010-239980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00-61/04
A01D 67/00
A01D 69/00-69/12
A01D 57/00-57/30
A01D 41/00-41/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した機体フレーム(1)の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後方左側に収穫された穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)は、穀稈を掻込んで後方に搬送する掻込装置(3A)と、搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置(3B)と、搬送された穀稈を一側に寄せ集めるオーガ装置(3C)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)を備え、
前記フィーダハウス(3D)の基部にエンジンの出力回転が伝動される左右方向に延在する第1回転軸(11)を設け、
前記フィーダハウス(3D)の先端部に第1回転軸(11)の回転が伝動される左右方向に延在する第2回転軸(13)を設け、
前記第2回転軸(13)の左側端部に、前記刈取前処理装置(3)の駆動方向を逆転させる工具(25)を取付ける装着部(13A)を形成し、
前記フィーダハウス(3D)のフィーダハウス枠体(10)の右壁の右面に、前記フィーダハウス枠体(10)の前後方向に対して、前記工具(25)の長手方向を交差させる姿勢で収納する収納部(30)を設け、
前記収納部(30)を、前記フィーダハウス枠体(10)の右壁に設けられる左板(31)と、該左板(31)の下部から右側に向かって延在する下板(32)と、前記左板(31)の前部から右側に向かって延在する前板(33)と、前記左板(31)の後部から右側に向かって延在する後板(
34)で形成し、
前記下板(32)の上面と、前記前板(33)の後面と、前記後板(
34)の前面に、前記工具(25)の収納時に、前記工具(25)の下部と、前部と、後部がそれぞれ挿入される溝を形成し、前記左板(31)の右面に、前記工具(25)を下板(32)と前板(33)と後板(
34)に押付ける付勢手段(35)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
側面視において、前記工具(25)の収納時に、前記工具(25)の掴み部(26)がフィーダハウス枠体(10)の上壁よりも上方に位置させる位置に、前記下板(32)を設けた請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈取前処理装置を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取前処理装置のフィーダハウスの基部に設けられたエンジンの出力回転が伝動される左右方向に延在する入力軸の操縦側端部に工具を取付けて、手動で工具を操作して刈取前処理装置の駆動方向を反転させて刈取前処理装置で詰まった穀稈を取除く技術が知られている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された技術では、コンバインの操縦部に搭乗した操縦者がフィーダハウスの入力軸の操縦側端部に工具を取付けて操作するために、操縦者が操縦部から落下する恐れがあった。
また、工具を操作して刈取前処理装置の駆動方向を反転させるために大きな力なために、作業効率が低いという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、刈取前処理装置で詰まった穀稈を安全に取除くことができ、穀稈を容易に取除くことができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジンを搭載した機体フレーム(1)の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置(3)を設け、該刈取前処理装置(3)の後方左側に収穫された穀稈の脱穀を行う脱穀装置(4)を設けたコンバインにおいて、
前記刈取前処理装置(3)は、穀稈を掻込んで後方に搬送する掻込装置(3A)と、搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置(3B)と、搬送された穀稈を一側に寄せ集めるオーガ装置(3C)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)を備え、前記フィーダハウス(3D)の基部にエンジンの出力回転が伝動される左右方向に延在する第1回転軸(11)を設け、前記フィーダハウス(3D)の先端部に第1回転軸(11)の回転が伝動される左右方向に延在する第2回転軸(13)を設け、 前記第2回転軸(13)の左側端部に、前記刈取前処理装置(3)の駆動方向を逆転させる工具(25)を取付ける装着部(13A)を形成し、前記フィーダハウス(3D)のフィーダハウス枠体(10)の右壁の右面に、前記フィーダハウス枠体(10)の前後方向に対して、前記工具(25)の長手方向を交差させる姿勢で収納する収納部(30)を設け、前記収納部(30)を、前記フィーダハウス枠体(10)の右壁に設けられる左板(31)と、該左板(31)の下部から右側に向かって延在する下板(32)と、前記左板(31)の前部から右側に向かって延在する前板(33)と、前記左板(31)の後部から右側に向かって延在する後板(34)で形成し、前記下板(32)の上面と、前記前板(33)の後面と、前記後板(34)の前面に、前記工具(25)の収納時に、前記工具(25)の下部と、前部と、後部がそれぞれ挿入される溝を形成し、前記左板(31)の右面に、前記工具(25)を下板(32)と前板(33)と後板(34)に押付ける付勢手段(35)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
請求項2記載の発明は、側面視において、前記工具(25)の収納時に、前記工具(25)の掴み部(26)がフィーダハウス枠体(10)の上壁よりも上方に位置させる位置に、前記下板(32)を設けた請求項1記載のコンバイン
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、刈取前処理装置(3)は、穀稈を掻込んで後方に搬送する掻込装置(3A)と、搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置(3B)と、搬送された穀稈を一側に寄せ集めるオーガ装置(3C)と、寄せ集められた穀稈を脱穀装置(4)に搬送するフィーダハウス(3D)を備え、フィーダハウス(3D)の基部にエンジンの出力回転が伝動される左右方向に延在する第1回転軸(11)を設け、フィーダハウス(3D)の先端部に第1回転軸(11)の回転が伝動される左右方向に延在する第2回転軸(13)を設け、第2回転軸(13)の左側端部に、刈取前処理装置(3)の駆動方向を逆転させる工具(25)を取付ける装着部(13A)を形成し、フィーダハウス(3D)のフィーダハウス枠体(10)の右壁の右面に、フィーダハウス枠体(10)の前後方向に対して、工具(25)の長手方向を交差させる姿勢で収納する収納部(30)を設け、収納部(30)を、フィーダハウス枠体(10)の右壁に設けられる左板(31)と、左板(31)の下部から右側に向かって延在する下板(32)と、左板(31)の前部から右側に向かって延在する前板(33)と、左板(31)の後部から右側に向かって延在する後板(34)で形成し、下板(32)の上面と、前板(33)の後面と、後板(34)の前面に、工具(25)の収納時に、工具(25)の下部と、前部と、後部がそれぞれ挿入される溝を形成し、左板(31)の右面に、工具(25)を下板(32)と前板(33)と後板(34)に押付ける付勢手段(35)を設けたので、作業者は、第2回転軸(13)の装着部(13A)に工具(25)を圃場に立って取付けて操作でき、刈取前処理装置で詰まった穀稈を安全に取除くことができる。また、掻込装置(3A)、刈刃装置(3B)、オーガ装置(3C)に近い位置に設けられているので第2回転軸(13)を逆転させる負荷を小さくでき、工具(25)を小さな力で操作でき、刈取前処理装置で詰まった穀稈を容易に取除くことができる。
また、工具(25)は、下板(32)と、前板(33)と、後板(34)と付勢手段(35)で挟持されて作業中に収納部(30)から圃場に落下するのを防止できる。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、側面視において、前記工具(25)の収納時に、前記工具(25)の掴み部(26)がフィーダハウス枠体(10)の上壁よりも上方に位置させる位置に、前記下板(32)を設けたので、工具(25)の収納位置を視認でき、刈取前処理装置(3)を下降させて工具(25)をより容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図5】工具の第1実施形態の収納方法の説明図である。
【
図6】工具の第2実施形態の収納方法の説明する左側面図である。
【
図7】工具の第2実施形態の収納方法の説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~3に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。なお、排出オーガ8は、グレンタンク7の後側に設けられた上下方向に延在する縦排出筒8Aと、縦排出筒8Aの上部から前後方向に延在する横排出筒8Bから形成されている。
【0023】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する掻込装置3Aと、掻込装置3Aの後側下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、掻込装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0024】
機体フレーム1に搭載されたエンジンの出力回転は、フィーダハウス3Dのフィーダハウス枠体10の後部に設けられた左右方向に延在する回転軸(請求項の「第1回転軸」)11に伝動され、回転軸11に伝動された出力回転は、チェン12を介してフィーダハウス枠体10の前部に設けられた左右方向に延在する回転軸(請求項の「第2回転軸」)13に伝動される。また、エンジンと回転軸11の伝動経路の間には、操縦部5のスイッチで操作される刈取クラッチが設けられている。
【0025】
図6に示すように、回転軸13に伝動された出力回転は、チェン14を介してオーガ装置3Cのオーガ枠体20の中間部に設けられた左右方向に延在する回転軸15に伝動される。これにより、エンジンの出力回転をオーガ装置3Cに伝動してオーガ装置3Cを駆動することができる。
【0026】
また、回転軸13に伝動された出力回転は、ベルト16を介してオーガ装置3Cのオーガ枠体20の前部に設けられた左右方向に延在する回転軸17に伝動される。これにより、エンジンの出力回転を刈刃装置3Bに伝動して刈刃装置3Bを駆動することができる。
【0027】
さらに、回転軸13に伝動された出力回転は、チェン18を介してオーガ装置3Cのオーガ枠体20の後部の上方に設けられた左右方向に延在する回転軸19に伝動される。これにより、エンジンの出力回転を掻込装置3Aに伝動して掻込装置3Aを駆動することができる。
【0028】
<絡付いた穀稈の除去方法>
刈取脱穀作業中に、オーガ装置3Cの掻込みオーガドラム(図示省略)やフィーダハウス3Dの回転軸13の周辺に絡付いた穀稈を除去する方法について説明する。
【0029】
先ず、操縦者は、操縦部5のスイッチを操作して刈取クラッチの接続を解除する。これにより、エンジンの出力回転が回転軸11に伝動されなくなり回転軸11の回転が停止する。
【0030】
回転軸11の回転の停止によって、回転軸13の回転が停止してフィーダハウス3Dの駆動が停止し、回転軸15の回転が停止してオーガ装置3Cの駆動が停止し、回転軸17の回転が停止して刈刃装置3Bの駆動が停止し、回転軸19の回転が停止して掻込装置3Aの駆動が停止する。
【0031】
次に、操縦部5から圃場に降りた操縦者又は補助作業者(以下、作業者という)は、フィーダハウス3Dの前部の左方に移動してフィーダハウス枠体10等に収納された工具25を取り出す。
【0032】
次に、
図4に示すように、作業者は、フィーダハウス3Dのフィーダハウス枠体10の前部に設けられた回転軸13の左端部、すなわち、フィーダハウス枠体10の左壁よりも左側に延出している回転軸13の左端部に、工具25の先端部を係合させて、工具25を下方に押し上げる。
【0033】
回転軸13の軸心視において、刈取脱穀作業時には回転軸13が反時計方向に回転している。また、回転軸13の左端部は、工具25の先端部と係合を高めるために6角形状の装着部13Aが形成されている。なお、装着部13Aの形状は、4角形、5角形等の多角形状に形成することができる。
【0034】
これにより、回転軸13の軸心視において、回転軸13が時計方向に回転して、掻込装置3A、刈刃装置3B、オーガ装置3C、フィーダハウス3Dの駆動方向が刈取脱穀作業時とは逆方向に駆動して、オーガ装置3Cの掻込みオーガドラムやフィーダハウス3Dの回転軸13の周辺に絡付いた穀稈を除去することができる。
【0035】
また、作業者は、機体から落下する恐れもなく圃場に立って安全に、且つ、簡易に工具25を回転軸13の装着部13Aに係合して絡付いた穀稈を除去することができる。
【0036】
<工具の収納方法>
図5に示すように、工具25は、フィーダハウス3Dのフィーダハウス枠体10の右壁に設けられた収納部(請求項の「第2収納部」)30に工具25の長手方向が上下方向になる姿勢で収納されている。また、工具25の掴み部26は、
図1、5に示すように、フィーダハウス枠体10の上壁よりも上方に延出している。これにより、圃場に降りた作業者が工具25を容易に視認して迅速に工具25を取り出すことができる。
【0037】
収納部30は、フィーダハウス枠体10の右壁における前側部と中間部に設けられている。収納部30は、左板31と、左板31の下部から右方向に延在する下板32と、左板31の前部から右方向に延在する前板33と、左板31の後部から右方向に延在する後板34から形成されている。
【0038】
下板32の上面、前板33の後面、後板34の前面には、それぞれ工具25が挿入される溝が形成されている。また、左板31には、工具25を右方向に押す付勢手段35が設けられている。これにより、工具25は、下板32と、前板33と、後板34と、付勢手段35で挟持されて、刈取脱穀作業中に落下するのを防止することができる。
【0039】
次に、工具25の他の収納方法について説明する。
図6,7に示すように、工具25は、オーガ装置3Cのオーガ枠体20の左壁に設けられた収納部30に工具25の長手方向が前後方向になる姿勢で収納されている。また、工具25は、伝動部材でありチェン14、ベルト16、チェン18を覆うカバー40で覆われている。これにより、刈取脱穀作業中に工具25が畦等に衝突して落下するのを防止することができる。
【0040】
収納部30は、オーガ枠体20の左壁における中間部の上方に設けられている。収納部30は、オーガ枠体20の左壁から左方に延在する略U字形状のステー41と、ステー41の上面に設けられた前後方向に延在する収納部(請求項の「第1収納部」)42と、収納部42の前後方向と幅方向の中間に設けられた固定用ボルト43と、固定用ボルト43に装着されたノブ44から形成されている。
【0041】
工具25は、工具25の長手方向と幅方向の略中間に形成された固定用孔27に固定用ボルト43した状態で、収納部42の上面に置かれた後に、ノブ44によって収納部42に向かって押される。これにより、工具25は、固定用ボルト43を介して収納部42とノブ44で挟持されて、刈取脱穀作業中に落下するのを防止することができる。
【0042】
<工具>
図7に示すように、工具25は、左右方向に所定の幅を有して前後方向に延在する略矩形状に形成されている。
【0043】
工具25の先端部、すなわち、
図7に図示された工具25における前端部には、回転軸13の装着部13Aを挿入する六角形状の挿入孔28が形成されている。なお、挿入孔28の形状は、装着部13Aの形状に合わせて4角形、5角形等の多角形状に形成することができる。これにより、係合孔の先端部が開放されている工具に比較して、回転軸13の装着部13Aと工具25の先端部の係合を強固に行え、工具25を下方に向けて押下げ作業中に、回転軸13の装着部13Aと工具25の先端部の係合が外れるのを防止することができる。
【0044】
工具25の掴み部26、すなわち、
図7に図示された工具25における後部の左右方向の幅は、
図5に示すように、工具25の前部よりも狭く形成するのが好ましい。これにより、作業者が工具25の掴み部26を確実に掴むことができる。また、
図6に示すように、工具25の掴み部26を、前部に対して所定の角度折り曲げて形成するのが好ましい。これにより、作業者が工具25の先端部を回転軸13の装着部13Aに係合して工具25を時計方向に容易の回すことができる。
【0045】
<梯子等>
図2、3に示すように、グレンタンク7の後部に設けられた縦排出筒8Aを支持するフレームには、グレンタンク7の上壁への昇降用の梯子60が設けられている。これにより、作業者が、グレンタンク7の上壁への昇降が容易に行え、脱穀装置4の開閉カバー61を開放して脱穀装置4の上部に詰まった穀稈を容易に取り除くことができる。なお、梯子60は、縦排出筒8Aと同様に後側カバー62で覆われている。
【0046】
縦排出筒8Aの上部には、作業ハンドル63が設けられている。これにより、作業者がグレンタンク7の上壁に昇降時や脱穀装置4の上部に詰まった穀稈の取り除き作業時に一方の手で作業ハンドル63を掴み安全に穀稈の取り除き作業等を行うことができる。なお、作業ハンドル63は、縦排出筒8Aの上部に設けられた横排出筒8Bの後部を回転させる回転軸(図示省略)を延在させて形成されている。
【0047】
<搬送装置>
図1に示すように、掻込装置3Aは、掻込みリール70と、掻込みリール70を上下方向に移動させる左右一対のリールアーム71から形成されている。
【0048】
図8,9に示すように、リールアーム71の前後方向に延在するアーム72の前部には、掻込みリール50の左右方向に延在する回転軸73が支持され、アーム72の後部には、エンジンの出力回転が伝動される左右方向に延在する回転軸19が支持され、アーム72の後側に偏移した中間部には、左右方向に延在する支軸74が設けられている。
【0049】
支軸74の左部には、後方上側に向かって延在するテンションアーム75の基部が揺動可能に支持され、支軸74の右部には、前後揺動アーム76が揺動可能に支持されている。
【0050】
回転軸19に伝動されたエンジンの出力回転は、チェン77を介して回転軸73に伝動されている。これにより、エンジンの出力回転が掻込みリール70に伝動されて掻込みリール70を駆動することができる。
【0051】
回転軸73は、リールアーム71の前部の上面を前後方向に移動可能に固定された移動支持部材80に支持されている。移動支持部材80の後部と前後揺動アーム76の上部は前後方向に延在するロッド81で連結され、前後揺動アーム76の上部とリールアーム71の後部は油圧シリンダ82で連結されている。
【0052】
油圧シリンダ82のロッドを引き出した場合には、支軸74の軸心視において、前後揺動アーム76が反時計方向に回転して、ロッド81等を介してリールアーム71を前方に移動させることができる。一方、油圧シリンダ82のロッドを引き戻した場合には、支軸74の軸心視において、前後揺動アーム76が時計方向に回転して、ロッド81等を介してリールアーム71を後方に移動させることができる。これにより、圃場の穀稈の状態に応じて、リールアーム71を上下、前後方向に移動させて、穀稈を効率良く掻込むことができる。
【0053】
テンションアーム75の基部から前側上方に延在するステー83と前後揺動アーム76の上部は、スプリング等の付勢手段84で連結されている。これにより、圃場の穀稈からリールアーム71に加わる負荷によってリールアーム71が過度に前後方向に移動するのを抑制することができる。
【0054】
また、付勢手段84の内部には、付勢手段84の所定以上の変形を防止するために規制部材85が設けられている。これにより、付勢手段84の過度の変形による故障を抑制することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 機体フレーム
3 刈取前処理装置
3A 掻込装置
3B 刈刃装置
3C オーガ装置
3D フィーダハウス
4 脱穀装置
11 回転軸(第1回転軸)
13 回転軸(第2回転軸)
13A 装着部
25 工具
26 掴み部
28 挿入孔
30 収納部(第2収納部)
40 カバー
42 収納部(第1収納部)