(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】超高濃度活性水素イオン水製造装置および超高濃度活性水素イオン水製造方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/34 20060101AFI20220714BHJP
C02F 1/20 20060101ALI20220714BHJP
C02F 1/32 20060101ALI20220714BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20220714BHJP
B01D 61/48 20060101ALI20220714BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220714BHJP
C02F 1/469 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
C02F1/34
C02F1/20 A
C02F1/32
B01D61/02
B01D61/48
C02F1/44 J
C02F1/469
(21)【出願番号】P 2020011169
(22)【出願日】2020-01-27
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】519438202
【氏名又は名称】深堀 貢
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】深堀 貢
【審査官】富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0164199(US,A1)
【文献】特開2016-182550(JP,A)
【文献】特開2019-205994(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155834(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 9/00
B01D 61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を
少なくとも200気圧以上に加圧して複数のノズルから噴出させると共に、前記各ノズルから噴出された水を衝突させる衝突処理を行なう加圧式分散装置と、
前記衝突処理された水を、逆浸透膜を用いてフィルタリング処理を行なうRO膜浄水装置と、
前記フィルタリング処理された水に対して、電気透析およびイオン交換による浄水処理を行なうEDI装置と、
前記浄水処理された水に対して、真空脱気処理を行なう真空脱気装置と、
前記真空脱気処理された水に対して、殺菌処理を行なう殺菌装置と、を備えることを特徴とする超高濃度活性水素イオン水製造装置。
【請求項2】
前記加圧式分散装置は、水に対して、少なくとも500気圧以上の圧力を与えることを特徴とする請求項1記載の超高濃度活性水素イオン水製造装置。
【請求項3】
加圧式分散装置において、水に対して、少なくとも
200気圧以上の圧力を与えて、複数のノズルから水を噴出させると共に、前記各ノズルから噴出された水を衝突させる衝突処理を行なう工程と、
前記衝突処理された水を、逆浸透膜を用いてフィルタリング処理を行なう工程と、
前記フィルタリング処理された水に対して、電気透析およびイオン交換による浄水処理を行なう工程と、
前記浄水処理された水に対して、真空脱気処理を行なう工程と、
前記真空脱気処理された水に対して、殺菌処理を行なう工程と、を少なくとも含むことを特徴とする超高濃度活性水素イオン水製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物やミネラルを含まず、また、水素イオンが安定して存在する超高濃度活性水素イオン水製造装置および超高濃度活性水素イオン水製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水の製造方法が提案されている。例えば、特許文献1記載の技術では、小クラスター水を製造する技術が開示されている。水は、通常、水分子(H2O)同士が水素結合によって集合し、クラスターという分子集合体で存在する。このクラスターとしては、直鎖状、分岐状、多角形状、その複合状態等があると言われており、通常、水は、それらの混合物で存在する。1個のクラスターを構成する水分子の数をクラスター数と言い、このクラスター数は、通常の水道水では100~140と言われている。このようなクラスター数の小さい水は、「小クラスター水」と呼ばれており、通常の水と異なって、表面張力が小さくなり、pHが低下し、密度が上昇し、鉄等の金属に接していても錆を発生させ難くなり、電導度や味が変化し、細胞膜に対する浸透性、保水性、洗浄性、殺菌性等が向上することが実証されている。
【0003】
また、水のクラスター(水分子集合体)の分解技術は、化学工学、環境工学、食品科学、医学等の分野で注目されている。水蒸気はクラスターを形成していないが、水蒸気が液化し、冷却して室温の水になると、水分子(H2O)同士が集合して通常のクラスターを形成し、クラスター数の小さい小クラスター水にはならないと言われている。
【0004】
特許文献1記載の技術では、槽内において低圧処理される水の温度T℃における水の蒸気圧以上の圧力で、かつ1気圧より低い圧力に保ちつつ、水の中に含有されている溶存空気を除去する低圧処理工程と、低圧処理工程を経て得られた槽内の低圧処理水の一部を、槽から連続的に採取して加圧機構で加圧し、得られた低圧処理水の加圧水を加圧水噴射部から槽内の低圧処理水に向けて噴射し、低圧処理水同士を衝突させる衝突処理工程と、衝突処理工程を連続的に繰り返すことによって、槽内の低圧処理水を循環させて低圧処理水同士の衝突機会を増加させ循環させる工程と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術で生成した水は、不純物やミネラルを含み、腐敗してしまい、また、水中の水素イオンが安定しておらず、水素水として十分に機能しない問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、不純物やミネラルを含まず、また、水素イオンが安定して存在する超高濃度活性水素イオン水製造装置および超高濃度活性水素イオン水製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の超高濃度活性水素イオン水製造装置は、水を加圧して複数のノズルから噴出させると共に、前記各ノズルから噴出された水を衝突させる衝突処理を行なう加圧式分散装置と、前記衝突処理された水を、逆浸透膜を用いてフィルタリング処理を行なうRO膜浄水装置と、前記フィルタリング処理された水に対して、電気透析およびイオン交換による浄水処理を行なうEDI装置と、前記浄水処理された水に対して、真空脱気処理を行なう真空脱気装置と、前記真空脱気処理された水に対して、殺菌処理を行なう殺菌装置と、を備えることを特徴とする。
【0009】
(2)また、本発明の超高濃度活性水素イオン水製造装置において、前記加圧式分散装置は、水に対して、少なくとも500気圧以上の圧力を与えることを特徴とする。
【0010】
(3)また、本発明の超高濃度活性水素イオン水製造方法は、加圧式分散装置において、水に対して、少なくとも500気圧以上の圧力を与えて、複数のノズルから水を噴出させると共に、前記各ノズルから噴出された水を衝突させる衝突処理を行なう工程と、前記衝突処理された水を、逆浸透膜を用いてフィルタリング処理を行なう工程と、前記フィルタリング処理された水に対して、電気透析およびイオン交換による浄水処理を行なう工程と、前記浄水処理された水に対して、真空脱気処理を行なう工程と、前記真空脱気処理された水に対して、殺菌処理を行なう工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不純物やミネラルを含まず、また、水素イオンが安定して存在する超高濃度活性水素イオン水を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水製造装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水製造装置の動作を示すフローチャートである。
【
図3A】水が6員環にイオン結合する様子を示す図である。
【
図3B】水が6員環にイオン結合する様子を示す図である。
【
図4】活性酸素に水素イオンが入り水に還元する様子を示す図である。
【
図5】ミトコンドリアが水素イオンを作り、核内へ入りDNAを修復する様子を示す図である。
【
図6】水圧を500気圧以上にして衝突させる超臨界処理の様子を示す図である。
【
図7】ピロリ菌がアンモニアによって胃の中で生きていけるメカニズムを示す図である。
【
図8】オキシドール(過酸化水素水)の殺菌効果のメカニズムを示す図である。
【
図9】pHと水素イオンの数との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者は、普通の水とは異なった特性を持つ超臨界水が、エマルジョン燃料、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、有害物質の分解などの環境問題への活用、エネルギー分野などの様々な分野で可能性が注目されており、各研究機関で研究の対象となっているものの、超高温かつ超高圧状態を作り出すという製法上の難しさから、大量生産が実現されておらず、また、高純度ガスで高圧環境を作り出すことから飲める水ではないことに着目し、逆浸透膜を用いて純粋化し、水中から酸素などの気体を除去し、臨界点の圧力を大きく上回る圧力を水に与えることによって、超高濃度活性水素イオン水を製造することができることを見出し、本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明の超高濃度活性水素イオン水製造装置は、水を加圧して複数のノズルから噴出させると共に、前記各ノズルから噴出された水を衝突させる衝突処理を行なう加圧式分散装置と、前記衝突処理された水を、逆浸透膜を用いてフィルタリング処理を行なうRO膜浄水装置と、前記フィルタリング処理された水に対して、電気透析およびイオン交換による浄水処理を行なうEDI装置と、前記浄水処理された水に対して、真空脱気処理を行なう真空脱気装置と、前記真空脱気処理された水に対して、殺菌処理を行なう殺菌装置と、を備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明者は、ミネラル不純物および溶存酸素が極限まで取り除かれ、活性水素イオンが安定して存在し、クラスターが極限まで小さいことから浸透性が高く、有機溶媒の代替物として使用できる超高濃度活性水素イオン水を製造することを可能とした。以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水製造装置の概略構成を示す図である。この超高濃度活性水素イオン水製造装置1は、加圧式分散装置3と、超純水システム5と、最終殺菌システム7と、から構成されている。加圧式分散装置3は、200気圧以上(本明細書では、500気圧以上)で、2つのノズルから水を噴射し、水流同士を衝突させることにより、クラスターの最小化、および、水の中の重水素を軽減する装置である。この処理により発生する高熱(200気圧以上での衝突により気化熱は非常に高い高熱)を水の中で連続的に行なうことにより、水温が100度以内で処理することができる。
【0017】
すなわち、加圧式分散装置3では、水道水が、タンク3aに供給され、ポンプ3bから冷却水の供給を受けながら、微粒化装置3cが、例えば、500気圧程度の圧力で水流を衝突させる(超高圧処理)。これにより、水道水が微粒化されると共に、水に含まれていたミネラルの一部が消滅し、また、水に一定量含まれている重水素の中性子が破壊され、軽水素(水素イオン)化する。このような加圧式分散処理がされた水は、第1のストレージタンク4に一旦貯蔵される。
【0018】
次に、第1のストレージタンク4で貯蔵された水が、超純水システム5に供給される。超純水システム5では、まず、ROシステム4aにおいて、RO(Reverse Osmosis)膜、すなわち、逆浸透膜によるフィルタリング処理がなされる。RO膜は、1~2ナノメートルの超微細孔のフィルターであり、例えば、金属イオン、マグネシウム、ナトリウム等の不純物やミネラルを濾過する。ROシステム4aで濾過された水は、RO水として、純水に限りなく近くなっている。このRO水は、ROタンク4bに一旦貯蔵され、EDI装置4cに供給される。
【0019】
EDI装置4cでは、電気透析およびイオン交換による浄水が行なわれる。EDI装置4cにおいて、イオン交換樹脂は、陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との間に充填され、EDIユニット(淡水室)が形成される。そして、特定の電圧と電流の下で、イオンが淡水室、濃縮水室を経由して、浄水が行なわれる。これにより、超純水が生成され、超純水タンク4dに貯蔵される。次に、超純水タンク4dから超純水がTOC装置4eに供給される。
【0020】
TOC装置4eは、紫外線殺菌機能、TOC分解機能、イオン交換機能、MFやUF膜処理機能を組み合せて構成され、水の中の酸素、水酸基イオン、微粒子や生菌、TOC(全有機炭素)、シリカなどを除去する。特にTOCについては限りなくゼロに近い状態まで除去する。このようなTOC処理された超純水は、最終殺菌システム7に供給され、第2のストレージタンク7aに一旦貯蔵される。最終殺菌システム7では、RO・UVシステム7bが、第2のストレージタンク7aに貯蔵されている超純水に対して、RO膜処理および紫外線殺菌処理を行なって、第2のストレージタンク7aに戻す。RO・UVシステムにおける殺菌は、紫外線を放射する殺菌ランプを利用した紫外線殺菌システムを適用する。この処理を繰り返し行なった後で、超高濃度活性水素イオン水が生成され、吐水することが可能となる。
【0021】
以上のように、加圧式分散装置3を最初に配置しているため、耐用年数を伸ばすことが可能となる。すなわち、純水に近い状態で、超高圧をかけると、反発力が強くなり、加圧ピストンの摩耗量が増幅してしまう。このため、本明細書では、最初に水道水を加圧分散処理し、その後に純水化することで、機械の対応年数を伸ばすことを可能とした。なお、材料にタングステンを使用しているため、金属イオンが水に混入するが、後段でRO、EDI、TOCによってイオン除去するため、金属イオンの混入は問題とならない。これにより、水の能力を最大限に発揮することが可能となる。
【0022】
図2は、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水製造装置の動作を示すフローチャートである。まず、加圧式分散処理が行われる。すなわち、加圧式分散装置3のタンク3aに水道水が供給される(ステップS1)。そして、ポンプ3bから冷却水の供給を受けながら、微粒化装置3cが、例えば、500気圧程度の圧力で水流を衝突させる微粒化処理(超高圧処理)を行なう(ステップS2)。次に、加圧式分散処理がされた水は、第1のストレージタンク4に一旦貯蔵される。次に、加圧式分散処理がされた水は、超純水システム5に供給される。
【0023】
超純水システム5では、まず、ROシステム4aにおいて、RO膜によるフィルタリング処理が行われる(ステップS3)。この処理により生成されたRO水は、ROタンク4bに一旦貯蔵され、EDI装置4cに供給される。次に、EDI装置4cにおいて、電気透析およびイオン交換による浄水、すなわち、EDI処理が行なわれる(ステップS4)。超純水が生成され、超純水タンク4dに貯蔵される。次に、超純水タンク4dから超純水がTOC装置4eに供給される。
【0024】
TOC装置4eは、紫外線殺菌機能、TOC分解機能、イオン交換機能、MFやUF膜処理機能を組み合せて構成され、微粒子や生菌、TOC(全有機炭素)、シリカなどを除去するTOC処理を行なう(ステップS5)。これにより、超純水が生成され、最終殺菌システム7に供給される。最終殺菌システム7では、RO・UVシステム7bによって、RO膜処理および紫外線殺菌処理が行われ(ステップS6)、終了する。これにより、超高濃度活性水素イオン水を製造することが可能となる。
【0025】
[超高濃度活性水素イオン水について]
自然水の中には、150ppm程度の重水素(2H)が含まれると言われている。本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、ナノテクノロジーにより水分子に超高圧をかけ、臨界点以上で衝突させることにより、水分子や重水素を崩壊させ、水素(軽水素 1H)ができる。超純水の中では、酸素が少ないため、軽水素が奪われず水の中に混在する。軽水素(活性水素)は、フリーラジカルなので何かと結合しようとする。水素電子は、電子が一つで奪われやすく、特に酸素電子と結びつきやすく水になる(この時、熱と電気イオンを生ずる)。
図3Aおよび
図3Bに示すように、超純水の中では、水が6員環にイオン結合するため、軽水素(活性水素)が6員環の中に入り、軽いイオン結合により、水の中で存在する。
【0026】
上述したように、超純水のなかでは、酸素量が極端に少ないため、水分子6員環の中で軽水素(活性水素)が存続する。また、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、圧力を水の限界点(373.95℃:220.64bar)以上で衝突させることにより、電子振動(波動)が極端に高い状態を維持しているため、水の中で軽水素(活性水素)が抜けにくい状態であると予測される。以上の現象から、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、重水素軽減水であると共に、軽水(活性水素)を多く含む水であると推測できる。
【0027】
[活性酸素と軽水素(活性水素)について]
人体に対し、活性酸素による悪影響として、(a)細胞を酸化させ、動脈硬化、癌、老化の原因となること、(b)肌ではしわ、シミ、たるみ等の原因となり、老化を促進すること、(c)髪の毛の抜け毛や白髪化の原因となることが知られている。金属の場合は、錆の原因となる。ここで、
図4に示すように、活性酸素に水素イオンが入ると水に還元する。すなわち、「酸化と還元」とは、物質に酸素が入って酸化され、酸素を奪われて還元されることを言う。また、物質に水素電子が入って還元され、水素電子が奪われて酸化される。
【0028】
例えば、皮膚にとってシミについては、紫外線が皮膚に侵入すると、メラノサイトからメラニンが放出される。メラニンは活性酸素を出し続け、紫外線の侵入を防止する体内防衛免疫反応である。本来なら、必須の機能であるが、いったん放出されたメラニンは、活性酸素が消えない限り放出され続ける。活性酸素を除去するには、水素イオンで還元することが望ましいが、水素量の多いビタミンCや、クエン酸などの食品で摂取するしかない。還元サイクルは人によって違い、特に、年齢により新陳代謝は衰えるため、シミが自然に消えることはほとんどないとされている。
【0029】
皮膚から水が入ることはないが、水素イオンの電子は入ることができる。すると、水素イオンの電子は、酸素分子に2個奪われて水になって還元する。これにより、メラノサイトからのメラニンの放出がなくなり、シミのもとが消え、だんだん薄くなる。この効果は、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水の「水素イオン」が行なっていると考えられる。
【0030】
[ミトコンドリアの活性化と水素について]
「内部呼吸」の仕組み
人体の内部に活性酸素が多くなると、ミトコンドリア膜の電位を上昇させ、細胞エネルギーであるATP活性を上昇させる。電位上昇時に水素イオンが放出され、酸素と結合し、水になり、活性酸素を取り除く。本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、水の中に多量の水素イオンを含んでいるため、活性酸素を取り除く手助けをする。また、多量の水素イオンは、DNAの修復にも関与していることが、学会でも発表されている。
【0031】
図5に示すように、本来、ミトコンドリアが水素イオンを作り、核内へ入りDNAを修復する機能を果たす。そして、ミトコンドリアの活性を促し、さらに、直接軽水素(活性水素)がDNAの修復をしていると考えると、軽水素(活性水素)を多く含まれる本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、人体にとって良いものであると考えられる。
【0032】
[超高濃度活性水素イオン水の実験について]
水道水を前処理(イオン交換およびRO浄水システム)すると、不純物(金属イオンや有機物)は限りなく無くなり、また、脱酸素装置により、酸素や炭酸ガス水、水素ガスも含まない超純水となった。また、本来、超純水は、ほとんど水(H
2O)、重水素(2H)だけで電気抵抗値が大きくなり、ほとんど電気を通さない。しかし、その超純水に対し、
図6に示すように、超臨界処理を行なうと、水の中から、ミネラル(金属イオン等)がないにもかかわらず、電気イオンが存在し、電気を通すこととなる。以上のことから、超高圧で水を衝突させることにより、水の中の重水素が破壊し、水素が単水素(活性水素)化し電気イオンを持ったのではないかと推測される。データー上でも重水素が軽減されていることから、活性水素が豊富な水になっているのではないかと推測される。
【0033】
本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、活性水素の能力から、UV殺菌等が無くても、長期に渡って菌の発生が無く、活性水素による、安全な殺菌効果(還元殺菌)を奏する。以上により、超高濃度活性水素イオン水の浸透力、安全性、活性水素能力により、長期保存水や、薬の抽出水、化粧品の浸透性の向上、電子部品洗浄、無害な除菌滅菌水等、用途を選ばない機能性水のマスター水として、大きな産業上の利用可能性が期待される。
【0034】
[超高濃度活性水素イオン水の用途について]
本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、水分子を超高圧で衝突させる方法により、クラスターが極限まで小さくなっているため、浸透性が良く、重水素が極端に低く、また、電気分解等の処理を一切していないにもかかわらず、自然の水素イオンが豊富に混在する「奇跡の水」と言える。人が飲用すると、水に含まれる水素電子が体内の活性酸素に奪われ水になる。このため、スポーツ等で乳酸がたまっていれば、水素イオンがそれを還元し水となって排泄され、疲れを取り、体温の上昇も抑えることが可能となる。
【0035】
また、胃がんの原因と云われる「ピロリ菌」は、ウレアーゼという酵素によりアンモニアを体の周りに放出し、活性酸素により胃酸(pH1~2)の中で中和させて生存している。
図7は、ピロリ菌がアンモニアによって胃の中で生きていけるメカニズムを示す図である。その結果、胃の粘膜を傷つけ胃潰瘍や胃がんを引き起こすこととなる。しかし、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、水素イオンを多量に含むため、活性酸素が水素イオンによって水に還元され、ピロリ菌を保護する活性酸素によるバリアに穴が開き、胃酸よってピロリ菌は死滅する。水素イオンを多量に含む超高濃度活性水素イオン水によって、還元殺菌効果が発揮され、ピロリ菌が消滅すれば、胃がんの原因が減少し、健康が維持されることが期待される。
【0036】
図8は、オキシドール(過酸化水素水)の殺菌効果のメカニズムを示す図である。オキシドールは、酸素イオンが余分にイオン結合をしているため、酸素イオンにより酸化され、殺菌効果を奏する。酸素殺菌は、酸化力を用いる為、細胞膜を壊し殺菌するが、正常な細胞やたんぱく質も酸化させ、いつまでも殺菌能力が維持される。これに対し水素殺菌効果は還元力である。水素殺菌は、旧来から、有効であることが知られていた。しかし、従来は、水素イオンは不安定で高い能力を維持した状態で水の中で維持させることができなかった。また、水素イオンは酸素等と結合しやすいため、商品化が困難であった。
【0037】
本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、非常に多くの水素イオンを純水の中で維持できており、従来には存在しなかった活性水素イオン水である。例えば、トカゲは外敵から身を守るため、自分のしっぽを切って逃走するが、しっぽは、自然にまた生えてくる。「トカゲのしっぽは、切れてもなぜ再生するか?」について、そのメカニズムは、切れた傷口に活性水素イオンが多量に放出され、再生されることが分かっている。
【0038】
ここで、酸とアルカリと酸性とアルカリ性は異なることを説明する。
図9は、pHと水素イオンの数との関係を示す図である。すなわち、酸性とアルカリ性はpH(ペイハー)として、水素イオン濃度に基づいて定められている。中性7を1とすると、pHが6になれば、水素イオンは10倍増える。このため、pHが6から5、4、…と下がるにつれて、水素イオンは10倍ずつ増えていく。逆に、pHが8になれば、水素イオンは1/10となり、さらにpHが大きくなって、13~14で水素イオンはゼロになる。酸性になれば、水素イオンの量が増え、アルカリになれば減る。水素イオンが重なって、重水素になり、酸となる。このため、酸であっても酸性ではなく、逆にアルカリであっても、アルカリ性ではないと言えます。
【0039】
例えば、梅や酢は酸性であるが、アルカリ性食品と言われている。梅や酢は体内に入って酸を分解し、水素イオンとなり、活性酸素などと結合還元し、アルカリになることからアルカリ還元食品となる。これによって、超高濃度活性水素イオン水は、酸性を示すが、酸ではないことがわかる。水の中の重水素がなくなることは、水素がイオン化し酸でなくなることである。恐竜時代では、雨も水も現在よりも酸性であったと言われているが、これは、重水素が少ない酸性(水素イオンの多い)の水であったと考えられる。このため、現在の水よりも、本来の還元力が強い超高濃度活性水素イオン水のような水ではないかと予測される。
【0040】
[超高濃度活性水素イオン水の可能性について]
本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、飲用水として期待される。体内の悪性菌に対する還元殺菌力により、ピロリ菌や、アクネ菌活性酸素を持っている菌に特に有効である。マイナスに帯電している菌には効果ないが、プラスに帯電している菌に対しては、これを瞬殺し、水に変化するという還元殺菌能力である。また、老化や若返り効果が期待される。老化の原因は活性酸素であるが、人間の細胞は、酸素をエネルギーとしている。このため、老化は仕方ないと言えるが、しかし、水素イオンで還元していくことによって、トカゲのしっぽのように再生が期待される。少なくとも、水素イオンによって、老化を遅らせることは可能であると考えられる。また、超高濃度活性水素イオン水の用途として、飲用水、化粧品、医薬品の抽出水、培養液、染料促進液、洗浄液、殺菌液等、多くの分野において適用可能であると考えられる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る超高濃度活性水素イオン水は、安定した水素イオンを有し、pH7の水道水より水素イオンの濃度が10倍から20倍多く含まれ、活性酸素の還元力が極めて優れている。さらに、時間が経過しても、pH値が安定していることから、水素イオン濃度が安定していることを裏付けている。
【符号の説明】
【0042】
1 超高濃度活性水素イオン水製造装置
3 加圧式分散装置
3a タンク
3b ポンプ
3c 微粒化装置
4 第1のストレージタンク
4a ROシステム
4b ROタンク
4c EDI装置
4d 超純水タンク
4e TOC装置
5 超純水システム
6 水分子
7 最終殺菌システム
7a 第2のストレージタンク
7b RO・UVシステム