(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】UNО用構造式カード
(51)【国際特許分類】
G09B 23/26 20060101AFI20220714BHJP
A63F 1/02 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G09B23/26
A63F1/02 B
(21)【出願番号】P 2018017969
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2021-02-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.平成29年8月10日に「第2回日本薬学教育学会大会 講演要旨集」にて発表 2.平成29年10月23日に「薬事日報 平成29年10月23日付第11937号、第3面」にて発表 3.平成29年12月25日に「広報 就実学園(第86号)」にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】509105857
【氏名又は名称】学校法人就実学園
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】特許業務法人森特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114535
【氏名又は名称】森 寿夫
(74)【代理人】
【識別番号】100075960
【氏名又は名称】森 廣三郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155103
【氏名又は名称】木村 厚
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194755
【氏名又は名称】田中 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山川 直樹
【審査官】前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-033401(JP,A)
【文献】実開平04-050088(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
A63F 1/00- 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能基の種類を形状及び色の組み合わせにより識別させる基本マークと、
前記官能基を有する化学構造式と、
前記化学構造式に含まれる炭素数とを、
表面に表示したUNО用構造式カード。
【請求項2】
基本マークは、炭化水素、アミン、アミド、ニトリル、カルボン酸、アルデヒド・ケトン、エステル、アルコール、フェノール、エーテルの10種類に対応して形状及び色の組み合わせとした請求項1記載のUNO用構造式カード。
【請求項3】
化学構造式に含まれる炭素及び水素とヘテロ原子とを異なる色で表示した請求項1又は2いずれか記載のUNО用構造式カード。
【請求項4】
化学構造式に含まれる複数種類のヘテロ原子を相互に異なる色で表示した請求項3記載のUNО用構造式カード。
【請求項5】
炭素数を化学構造式に隣接して黒色で表示した請求項1~4いずれか記載のUNО用構造式カード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種多様な化学構造式を学習するために利用されるUNО用構造式カードに関する。
【背景技術】
【0002】
生物学の根本原則を遊びながら学べるものとして、4種類のスーツがDNA又はRNAを構成する4種類のヌクレオチドの塩基であるアデニン、シトシン、グアニン、チミン若しくはウラシル又はそれらの組合せで、カード表面の左上部及び右下部にスーツを表す記号とランクを表す数字又は記号であるインデックスが表示され、前記カード表面に前記塩基の3つにより規定されるアミノ酸の中で当該カードのランクに対応付けたアミノ酸の名称、化学式及び分子モデルの少なくとも一つが表示されるトランプカードが提案されている(特許文献1・[請求項1])。
【0003】
特許文献1が開示するトランプカードは、従来のトランプカード同様に遊ぶことができる(特許文献1・[0039]~[0040])。また、特有のカード構成に基づいて、配られた3枚のトランプカードに山札から1枚のトランプカードを足した4枚のトランプカードのスーツを組み合わせてコモンを作り、前記コモンが手持ちのトランプカードに含まれていれば3枚のトランプカードが取得できるコモン合わせ(特許文献1・[0037])や、3枚ずつめくってスーツによるコモンの組み合わせにより3枚のトランプカードが取得できる神経衰弱(特許文献1・[0038])といった遊びを紹介している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、4種類のヌクレオチドの塩基を4種類のスーツに対応させることにより、基本マークトランプカードを利用している。しかし、一般的な化学構造式は、例えば官能基を基準に分類したとすると、とてもトランプカードのスーツに対応させて分類することができない。これは、化学構造式を覚える学習のために、トランプカードが利用できないことを意味する。ところが、特許文献1が開示するように、遊びに絡めて化学構造式を学習させることは好ましいと考えられる。そこで、化学構造式を学習するため、トランプカードに代えて利用できるものを検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
検討の結果開発したものが、官能基の種類を形状及び色の組み合わせにより識別させる基本マークと、前記官能基を有する化学構造式と、前記化学構造式に含まれる炭素数とを、表面に表示したUNО用構造式カードである。本発明のUNО用構造式カードは、山札から競技者に適当枚数配布し、基本マーク(官能基)又は炭素数を一致させて、前記競技者が手札を山札横の場札に捨てていくゲーム「UNО」に利用する。本発明のUNО用構造式カードは、ゲーム「UNО」に用いる基本的なカードであって、実際のゲームに当たって、基本マーク(官能基)の種類や炭素数の変更を宣言するUNО用変更カードを追加してもよい。
【0007】
本発明のUNО用構造式カードの表面は、多様に着色される基本マーク、化学構造式及び炭素数が映えるように、白色が好ましい。炭素数は、アラビア数字の表示が好ましいが、漢数字、ギリシャ数字での表示でも構わない。また、本発明のUNО用構造式カードの表面は、基本マーク、化学構造式及び炭素数以外の情報を表面に表示していてもよい。例えば、多数のUNО用構造式カードを管理する観点から、1組のUNО用構造式カードに通し番号を表面に表示してもよい。また、化学構造式を学習する観点から、例えば芳香族の化学構造式であることを示す識別マークを表面に表示してもよい。本発明のUNО用構造式カードの裏面は、官能基、化学構造式及び炭素数が推認されないように、全て同じデザイン及び色で統一しておくとよい。
【0008】
本発明のUNО用構造式カードの表面に表示される基本マークは、炭化水素、アミン、アミド、ニトリル、カルボン酸、アルデヒド・ケトン、エステル、アルコール、フェノール、エーテルの10種類に対応して形状及び色を組み合わせとすると、習得すべき基本的な化学構造式を大概網羅できる。この場合、炭化水素、アミン、アミド、ニトリル、カルボン酸、アルデヒド・ケトン、エステル、アルコール、フェノール、エーテルそれぞれの枚数は、UNО用構造式カード全数が合計で100枚前後となるように調整するとよい。
【0009】
化学構造式に含まれる炭素及び水素とヘテロ原子とを異なる色で表示した構成にするとよい。炭素及び水素とヘテロ原子とを異なる色で表示した本発明のUNО用構造式カードは、競技者が手札から山札横の場札に対して、ヘテロ原子の有無を一致させながら捨てていくルールのゲーム「UNО」に利用できる。この場合、化学構造式に含まれる複数種類のヘテロ原子を相互に異なる色で表示すると、例えばヘテロ原子である酸素及び窒素をそれぞれの色により区別でき、前記酸素又は窒素の有無や数を一致させながら捨てていくルールのゲーム「UNО」に利用できる。
【0010】
本発明のUNО用構造式カードは、表面に表示される炭素数を化学構造式に隣接して黒色で表示すると、視認しやすく、把握されやすい。炭素数は、オリジナルのUNО用構造式カード同様、対角の角部にそれぞれ天地を逆にして表示させてもよい。対角の角部に表示された炭素数が基本マークや後述する特殊マークと重なる場合、必ずしも黒色でなくてもよく、前記基本マークや特殊マークに対して視認しやすい色にしてもよい。この場合、化学構造式に隣接する炭素数は、黒色にしておくと、UNО用構造式カード全体の統一感が保たれる。
【0011】
このほか、本発明のUNО用構造式カードは、基本マークが識別させる官能基の種類の変更を宣言させる特殊マークを表面に表示してもよい。特殊マークは、場札と手札との基本マーク、炭素数、ヘテロ原子の種類又は数が不一致でも、手札を捨てることのできるルールのゲーム「UNО」に利用する。特殊マークは、基本マークと区別できれば、表面のどこに表示されてもよい。例えば基本マークと特殊マークとを対辺位置関係又は対角位置関係に配置するとわかりやすい。この場合、特殊マークのないUNО用構造式カードは、基本マークがいずれかの辺又は角に寄った位置にある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のUNО用構造式カードは、ゲーム「UNО」を遊ぶことにより、多種多様な化学構造式の官能基や炭素数の異同を競技者に理解させ、学習させることができる。基本マークは、形状及び色の組み合わせで多様な官能基を識別させる。炭素及び水素とヘテロ原子とを異なる色で表示することは、ヘテロ原子の存在や数の理解に役立つ。この場合、複数種類のヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄、リン、塩素、ヨウ素、臭素等)相互の色を異ならせると、ヘテロ原子の種類やそれぞれの数の理解に役立つ。そして、特殊マークは、マークや炭素数に偏りが生じやすい本発明のUNО用構造式カードを、ゲーム「UNО」のルールに準拠した手順で手札を捨てやすくすると共に、使用するタイミングを考えるには、残り手札の官能基を把握しておかなければならないことから、官能基の理解に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明を適用したUNО用構造式カードで、基本マークだけの表面の例を表す平面図である。
【
図2】本発明を適用したUNО用構造式カードで、特殊マークを加えた表面の例を表す平面図である。
【
図3】本発明を適用したUNО用構造式カードで、裏面の例を表す背面図である。
【
図4】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号1番~8番の表面の例を表す平面図である。
【
図5】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号9番~16番の表面の例を表す平面図である。
【
図6】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号17番~24番の表面の例を表す平面図である。
【
図7】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号25番~32番の表面の例を表す平面図である。
【
図8】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号33番~40番の表面の例を表す平面図である。
【
図9】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号41番~48番の表面の例を表す平面図である。
【
図10】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号49番~56番の表面の例を表す平面図である。
【
図11】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号57番~64番の表面の例を表す平面図である。
【
図12】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号65番~72番の表面の例を表す平面図である。
【
図13】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号73番~80番の表面の例を表す平面図である。
【
図14】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号81番~88番の表面の例を表す平面図である。
【
図15】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号89番~96番の表面の例を表す平面図である。
【
図16】本発明を適用したUNО用構造式カードの通し番号97番~100番の表面の例を表す平面図である。
【
図17】本発明を適用したUNО用構造式カードと共に利用するUNО用変更カードの例を表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明を適用したUNО用構造式カード1は、
図1~
図3に見られるように、紙製又は樹脂製のシートである長方形のカードとして構成される。本例のUNО用構造式カード1は、官能基の種類を表す基本マーク11のみを表示したもの(
図1参照)と、前記基本マーク11に加えて場札の官能基の種類の変更を宣言できる特殊マーク14を表示したもの(
図2参照)とがある。特殊マーク14を表示するUNО用構造式カード1は、任意に決定できるが、本例では炭素数13が7の倍数のものを選択している(後掲
図4及び
図5参照)。
【0015】
基本マーク11のみを表示するUNО用構造式カード1(
図1参照)は、短辺をそれぞれ上辺(
図1中上方の辺)、下辺(
図1中下方の辺)とした縦長の姿勢で、白色の表面の略中央に黒色の化学構造式12、前記化学構造式12の直下と左下り対角(左上角及び右下角)に、黒色のアラビア数字で炭素数13が表示される。基本マーク11は、上辺から着色された液体が垂れる形状である。後述するように、本例の基本マーク11は、同じ形状でも色を変えることにより、10種類の官能基を識別する。対角の炭素数131は、基本マーク11を黒色とした官能基が炭化水素のUNО用構造式カード1では、白抜きのアラビア数字としている。
【0016】
化学構造式12は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色で、同じくヘテロ原子である窒素原子122を青色で表示している。これにより、本例のUNО用構造式カード1は、基本マーク(官能基)11の一致、炭素数12の一致、ヘテロ原子である酸素原子121又は窒素原子122の種類の一致若しくは数の一致により、競技者が手札を山札横の場札に捨てていくことができる。ヘテロ原子である酸素原子121又は窒素原子122は、種類の一致で良いか、数まで一致させるかは、競技時間や競技者の学習程度に応じて選択できる。
【0017】
特殊マーク14を表示するUNО用構造式カード1(
図2参照)は、基本的な構成が基本マーク12のみを表示するUNО用構造式カード1(
図1参照)と同じである。特殊マーク14は、基本マーク12が表示された上辺の対辺である下辺から、多色にグラデーションで着色された液体が盛り上がる形状である。既述したように、特殊マーク14は、炭素数13が7の倍数のUNО用構造式カード1に表示される。これらの特殊マーク14のすべて同じ形状かつ同じグラデーションを採用している。しかし、特殊マーク14であることがわかればよいので、すべて同じ形状かつ同じ着色(グラデーション含む)にする必要はない。
【0018】
本例のUNО用構造式カード1は、左から順に通し番号15及び識別マークを表面の左下角に表示する。通し番号15は、同じ炭素数12が複数存在する本発明のUNО用構造式カード1を、数字で区別する管理用の番号である。本例では、UNО用構造式カード1が合計100枚あるため、1番~100番まである。識別マーク16は、表示された化学構造式12が芳香族であるか否かを表すものである。化学構造式12が芳香族である場合、花柄の識別マーク16が表示される。本例の通し番号15や識別マーク16は、ゲーム「UNО」に利用されず、管理用(通し番号15)又は学習用(識別マーク16)であるが、UNО用構造式カード1を識別されないように、裏面ではなく、表面に表示する。
【0019】
本例のUNО用構造式カード1は、
図3に見られるように、裏面に何も表示せず、単調なテクスチャの繰り返しで統一している。これにより、山札として裏返しに積み上げられたUNО用構造式カード1や他の競技者の持つ手札のUNО用構造式カード1を見ても、基本マーク(官能基)11の種類、化学構造式12又は炭素数13が推認しづらく、ゲーム「UNО」としての楽しさを高めると共に、即時に捨てる手札を判断できるように、官能基、化学構造式、炭素数の理解が重要であることを競技者に認識させ、学習効果を得る。
【0020】
本例のUNО用構造式カード1は、
図4~
図16に見られるように、官能基が炭化水素、アミン、アミド、ニトリル、カルボン酸、アルデヒド・ケトン、エステル、アルコール、フェノール、エーテルの10種類に分類され、合計100枚が用意される。UNО用構造式カード1は、枚数に限定はない。しかし、オリジナルのUNО用構造式カードが100枚の色カードを基本とすることから、本例のUNО用構造式カード1も100枚としている。
【0021】
官能基が炭化水素であるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が黒色の液体が太い幅で垂れた形状で、通し番号15が1番~12番の12枚ある。具体的には、1番が「ベンゼン」、2番が「トルエン」、3番が「スチレン」、4番が「キシレン」(以上、
図4中上段左端から順)、5番が「クメン」、6番が「メシチレン」、7番が「シメン」、8番が「ナフタレン」(以上、
図4中下段左端から順)、9番が「アズレン」、10番が「ビフェニル」、11番が「アントラセン」、12番が「フェナントレン」(以上、
図5中上段左端から順)である。
【0022】
官能基が炭化水素であるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121及び窒素原子122(
図1参照)を含まない。官能基が炭化水素であるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である2番の「トルエン」と、炭素数13が「14」である11番の「アントラセン」及び12番の「フェナントレン」とに、特殊マーク14を表示している。官能基が炭化水素であるUNО用構造式カード1は、すべてが芳香族で、すべてに識別マーク16を表示している。
【0023】
官能基がアミンであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が緑色の液体が垂れた形状で、通し番号15が13番~31番の19枚ある。具体的には、13番が「アジリジン」、14番が「アゼチジン」、15番が「イミダゾール」、16番が「ピラゾール」(以上、
図5中下段左端から順)、17番が「ピロリジン」、18番が「ピロール」、19番が「ピラジン」、20番が「ピリミジン」(以上、
図6中上段左端から順)、21番が「ピリダジン」、22番が「ピペリジン」、23番が「ピリジン」、24番が「プリン」(以上、
図6中下段左端から順)、25番が「アニリン」、26番が「プテリジン」、27番が「キヌクリジン」、28番が「トロパン」(
図7中上段左端から順)、29番が「インドール」、30番が「キノリン」、31番が「アクリジン」(以上、
図7中下段左端から順)である。
【0024】
官能基がアミンであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である窒素原子122を青色に着色している。官能基がアミンであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である27番の「キヌクリジン」に、特殊マーク14を表示している。官能基がアミンであるUNО用構造式カード1は、15番の「イミダゾール」、16番の「ピラゾール」、18番の「ピロール」、19番の「ピラジン」、20番の「ピリミジン」、21番の「ピリダジン」、23番の「ピリジン」、24番の「プリン」、25番の「アニリン」、26番の「プテリジン」、29番の「インドール」、30番の「キノリン」、31番の「アクリジン」が芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。このほか、27番が「キヌクリジン」及び28番が「トロパン」は、基本的な化学構造式12の横に別表現の化学構造式(立体化学構造式)を表示している。
【0025】
官能基がアミドであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が緑色の液体がまとまって垂れた形状で、通し番号15が32番~37番の6枚ある。具体的には、32番が「ホルムアミド」(
図7中下段右端)、33番が「尿素」、34番が「アセトアミド」、35番が「β-ラクタム」、36番が「ベンズアミド」(以上、
図8中上段左端から順)、37番が「アセトアニリド」(
図8中下段左端)である。
【0026】
官能基がアミドであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に、窒素原子122を青色に着色している。官能基がアミドであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である36番の「ベンズアミド」に、特殊マーク14を表示している。官能基がアミドであるUNО用構造式カード1は、36番の「ベンズアミド」、37番の「アセトアニリド」が芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。
【0027】
官能基がニトリルであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が濃い緑色の液体が細かく垂れた形状で、通し番号15が38番~40番の3枚ある。具体的には、38番が「アセトニトリル」、39番が「アクリロニトリル」、40番が「ベンゾニトリル」(以上、
図8中下段左2番目から順)である。
【0028】
官能基がニトリルであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である窒素原子122を青色に着色している。官能基がニトリルであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である40番の「ベンゾニトリル」に、特殊マーク14を表示している。官能基がニトリルであるUNО用構造式カード1は、40番の「ベンゾニトリル」が芳香族で、識別マーク16を表示している。
【0029】
官能基がカルボン酸であるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が赤色の液体が太く垂れた形状で、通し番号15が41番~57番の17枚ある。具体的には、41番が「ギ酸」、42番が「酢酸」、43番が「シュウ酸」、44番が「プロピオン酸」(以上、
図9中上段左端から順)、45番が「マロン酸」、46番が「酪酸」、47番が「コハク酸」、48番が「マレイン酸」(以上、
図9中下段左端から順)、49番が「フマル酸」、50番が「酒石酸」、51番が「吉草酸」、52番が「グルタル酸」(以上、
図10中上段左端から順)、53番が「アジピン酸」、54番が「安息香酸」、55番が「サリチル酸」、56番が「フタル酸」(以上、
図9中下段左端から順)、57番が「アセチルサリチル酸」(
図11中上段左端)である。
【0030】
官能基がカルボン酸であるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に着色している。官能基がカルボン酸であるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である54番の「安息香酸」、55番の「サリチル酸」に、特殊マーク14を表示している。官能基がカルボン酸であるUNО用構造式カード1は、54番の「安息香酸」、55番の「サリチル酸」、56番の「フタル酸」、57番の「アセチルサリチル酸」が芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。
【0031】
官能基がアルデヒド・ケトンであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が紫色の液体が中央に寄って垂れた形状で、通し番号15が58番~67番の10枚ある。具体的には、58番が「ホルムアルデヒド」、59番が「アセトアルデヒド」、60番が「アクロレイン」(以上、
図11中上段左2番目から順)、61番が「アセトン」、62番が「シクロペンタノン」、63番が「シクロヘキサノン」、64番が「ベンゾキノン」(以上、
図11中下段左端から順)、65番が「ベンズアルデヒド」、66番が「アセトフェノン」、67番が「ベンゾフェノン」(以上、
図12中上段左端から順)である。
【0032】
官能基がアルデヒド・ケトンであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に着色している。官能基がアルデヒド・ケトンであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である65番の「ベンズアルデヒド」に、特殊マーク14を表示している。官能基がアルデヒド・ケトンであるUNО用構造式カード1は、65番の「ベンズアルデヒド」、66番の「アセトフェノン」、67番の「ベンゾフェノン」が芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。
【0033】
官能基がエステルであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が青色の液体が中央に寄って垂れた形状で、通し番号15が68番~72番の5枚ある。具体的には、68番が「酢酸エチル」(
図12中上段右端)、69番が「γ-ラクトン」、70番が「サリチル酸メチル」、71番が「クマリン」、72番が「安息香酸フェニル」(以上、
図12中下段左端から順)である。
【0034】
官能基がエステルであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に着色している。官能基がエステルであるUNО用構造式カード1は、炭素数13に7の倍数がないため、特殊マーク14(
図2参照)を表示したものがない。官能基がエステルであるUNО用構造式カード1は、70番の「サリチル酸メチル」、71番の「クマリン」、72番の「安息香酸フェニル」が芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。
【0035】
官能基がアルコールであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が黄色の液体が太く垂れた形状で、通し番号15が73番~78番の6枚ある。具体的には、73番が「メタノール」、74番が「エタノール」、75番が「ビニルアルコール」、76番が「シクロペンタノール」(以上、
図13中上段左端から順)、77番が「シクロヘキサノール」、78番が「ベンジルアルコール」(以上、
図13中下段左端から順)である。
【0036】
官能基がアルコールであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に着色している。官能基がアルコールであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である78番の「ベンジルアルコール」に、特殊マーク14を表示している。官能基がアルコールであるUNО用構造式カード1は、78番の「ベンジルアルコール」が芳香族で、識別マーク16を表示している。
【0037】
官能基がフェノールであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が黄色の液体がまとまって垂れた形状で、通し番号15が79番~86番の8枚ある。具体的には、79番が「フェノール」、80番が「カテコール」(以上、
図13中下段左3番目から順、81番が「レゾルシノール」、82番が「ヒドロキノン」、83番が「クレゾール」、84番が「ナフトール」(以上、
図14中上段左端から順)、85番が「チモール」、86番が「カルバクロール」(以上、
図14中下段左端から順)である。
【0038】
官能基がフェノールであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に着色している。官能基がフェノールであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である83番の「クレゾール」に、特殊マーク14を表示している。官能基がフェノールであるUNО用構造式カード1は、すべてが芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。
【0039】
官能基がエーテルであるUNО用構造式カード1は、基本マーク11が青い液体が垂れた形状で、通し番号15が87番~100番の14枚ある。具体的には、87番が「ジメチルエーテル」、88番が「オキシラン」(以上、
図14中下段左3番目から順)、89番が「オキセタン」、90番が「ジエチルエーテル」、91番が「テトラヒドロフラン」、92番が「フラン」(以上、
図15中上段左端から順)、93番が「テトラヒドロピラン」、94番が「ピラン」、95番が「アニソール」、96番が「ベンゾフラン」(以上、
図15中下段左端から順)、97番が「クロマン」、98番が「ジフェニルエーテル」、99番が「ジベンゾフラン」、100番が「キサンテン」(以上、
図16中上段左端から順)である。
【0040】
官能基がエーテルであるUNО用構造式カード1は、ヘテロ原子である酸素原子121を赤色に着色している。官能基がエーテルであるUNО用構造式カード1は、炭素数13が「7」である95番の「アニソール」に、特殊マーク14を表示している。官能基がエーテルであるUNО用構造式カード1は、92番の「フラン」、95番の「アニソール」、96番の「ベンゾフラン」、97番の「クロマン」、98番の「ジフェニルエーテル」、99番の「ジベンゾフラン」、100番の「キサンテン」が芳香族で、それぞれ識別マーク16を表示している。
【0041】
このほか、本例では、
図17に見られるように、基本マーク(官能基)11の種類、炭素数13、ヘテロ原子である酸素原子121又は窒素原子122の種類の変更を宣言するUNО用構造式カード2を12枚用いる。UNО用変更カード2は、特殊性を表すデザインの表面中央に変更宣言文字21である「CHANGE」を、前記変更宣言文字21を上下に挟んで、基本マーク11の種類を変更する変更可能対象文字22である「Group」、ヘテロ原子である窒素原子122を変更する変更可能対象文字22である「Nitrogen」、ヘテロ原子である酸素原子121を変更する変更可能対象文字22である「Oxygen」、そして炭素数13を変更する変更可能対象文字22である「Number」を表示する。また、変更可能対象文字22である「Nitrogen」は頭文字「N」を青色に、「Oxygen」の頭文字「O」を赤色にしている。UNО用変更カード2は、裏面は基本カードであるUNО用構造式カード1と同じ単調なテクスチャの繰り返し(
図17参照)であり、裏面を上向きにして山札に積まれた場合、基本カードであるUNО用構造式カード1と区別がつかなくなっている。
【0042】
本発明を適用したUNО用構造式カード1及びUNО用変更カード2を利用したゲーム「UNО」の一例を説明する。本例は、
図4~
図16に表される100枚のUNО用構造式カード1と、
図17に表される12枚のUNО変更カード2とを用いる。準備段階として、参加する複数の競技者は、じゃんけん等により開始競技者を決定する。決定された開始競技者は、合計112枚のUNО用構造式カード1及びUNО用変更カード2をよくきり、裏面を上向きにして、各競技者に手札として5枚ずつ配布する。配布枚数は、参加する競技者の数に応じて、増減してもよい。残るUNО用構造式カード1及びUNО用変更カード2は、裏面を上向きにして、山札として場に伏せて積む。そして、山札の一番上をめくって前記山札の横に場札として表面を上向きにして置き、準備段階を終える。
【0043】
まず、基本的なカードであるUNО用構造式カード1のみに着目してゲームの流れを説明する。ゲームが開始すると、開始競技者から、手札のUNО用構造式カード1を、表面を上向きにして場札のUNО用構造式カード1に重ねるように捨てていく。この場合、オリジナルのゲーム「UNО」に似せて、
条件(1)場札のマーク(官能基)と同じ
条件(2)場札の炭素数と同じ
条件(3)場札のヘテロ原子(窒素又は酸素)の数と同じ
であるUNО用構造式カード1のみを捨てることができるとする。
【0044】
手札中に場札と同じUNО用構造式カード1がなければ、競技者は山札から1枚のUNО用構造式カード1を引いて手札に加える。こうして引かれたUNО用構造式カード1が上記条件(1)~(3)いずれかの条件に合致すれば、場札に重ねて捨てることができる。しかし、元々持っている手札のUNО用構造式カード1と、新たに山札から引いたUNО用構造式カード1とが、いずれも場札のUNО用構造式カード1と上記条件(1)~(3)いずれの条件にも合致しなければ、競技者の手札を1枚増やした状態で、順番が次の競技者に移る。
【0045】
手札又はめくった山札が特殊マーク14のあるUNО用構造式カード1であれば、上記条件(1)にかかわらず、異なる官能基を表す基本マーク11を有するUNО用構造式カード1を場札に捨てることができる。すなわち、特殊マーク14を表示したUNО用構造式カード1は、場札のUNО用構造式カード1の基本マーク11を変更する「ワイルドカード」として機能する。官能基が炭化水素である基本マーク11を表示したUNО用構造式カード1は、化学構造式12にヘテロ原子を含まない。このため、炭化水素の基本マーク11を表示したUNО用構造式カード1が場札に捨てられると、条件(3)の一致が不可能となり、手札のUNО用構造式カード1を捨てにくくなる。特殊マーク14は、場札に炭化水素の基本マーク11を表示したUNО用構造式カード1がある場合でも、ゲームを進行しやすくする働きがある。
【0046】
競技者は、残り2枚となった手札のUNО用構造式カード1から1枚のUNО用構造式カード1を場札に捨てる際、残り1枚であることを宣言しなければならない。これにより、残りの競技者に、ゲーム終了が近いことを周知させる。宣言文句は自由で、例えば「ストラクチャー」と宣言させる。残り1枚であることの宣言がなく、次の競技者に順番が移った場合、他の競技者が宣言のないことを指摘すれば、ペナルティとして宣言を忘れた競技者が山札から2枚のUNО用構造式カード1を引かせる。しかし、前記場合でも指摘されることなく次の競技者が手札のUNО用構造式カード1を場札に捨てた場合、ペナルティを課されない。残り1枚であることの宣言やペナルティの可否については、オリジナルのゲーム「UNО」同様である。
【0047】
こうして、手札のUNО用構造式カード1を、最初にすべて捨てることのできた競技者が勝者となる。ここで、本発明のUNО用構造式カード1は、化学構造式を学習させることを目的としていることから、オリジナルのゲーム「UNО」と異なり、最後の手札のUNО用構造式カード1を捨てる際、競技者に前記UNО用構造式カード1に表示されている化学構造式12の名称を宣言させる。この場合、化学構造式12の名称を間違えれば、ペナルティとして山札から2枚のUNО用構造式カード1を引かせる。最後の手札のUNО用構造式カード1を捨てる際のペナルティは、オリジナルのゲーム「UNО」にない独自のルールであり、本発明が目的とする化学構造式の学習を意図したルールである。
【0048】
本発明のUNО用構造式カード1は、場札に対して手札を捨てることのできる上記条件(1)~(3)が厳しく、また炭素数13によって枚数の多少に差があるため、複数の競技者が全員手札をなくすまでゲームを進行させることが難しい。もちろん、オリジナルのゲーム「UNО」同様、参加した競技者が全員手札をなくすまで進行しても構わない。しかし、化学構造式の学習を目的とした場合、ゲーム途中の駆け引きで十分に目的を達成できるため、ゲームの時間を長引かせない観点から、勝者となった競技者決定した時点で、ゲームを終了させる方が好ましい。
【0049】
本例は、ゲームの時間を長引かせない工夫として、UNО用変更カード2を用いる。UNО用変更カード2は、手札のUNО用構造式カード1に対して、(a)官能基の種類、(b)炭素数、又は(c)ヘテロ原子の種類のいずれか1つだけが異なる手札のUNО用構造式カード1を捨てられるようにする役割を持たせており、捨てるUNО用構造式カード1の下に重ねて場札に捨てる。これにより、手札から捨てることのできるUNО用構造式カード1が増えてゲームの進行が助けられると共に、場札のUNО用構造式カード1に対して捨てる手札のUNО用構造式カード1が(a)官能基の種類、(b)炭素数、又は(c)ヘテロ原子の種類のいずれか1つだけが異なり、他が同じであることの認識から、化学構造式がよりよく学習される。
【0050】
オリジナルのゲーム「UNО」では、ゲームを楽しくさせる観点から、多様な効果を有する記号カード(ドロー2カード、リバースカード、スキップカード)が利用される。本発明のUNО用構造式カード1を用いたゲームにおいて、前記記号カードの利用は妨げるものではない。しかし、本発明のUNО用構造式カード1は、化学構造式の学習を目的としたものであり、ゲームそのものの娯楽性を高めることが本旨ではない。本発明のUNО用構造式カード1を用いたゲームに記号カードを利用すると、ゲームの進行を複雑にし、ゲームを長引かせるだけで化学構造式の学習効果を高めることがほとんどない。このため、記号カードは、本発明のUNО用構造式カード1を用いたゲームに用いないことが望ましい。
【符号の説明】
【0051】
1 UNО用構造式カード
11 基本マーク
12 化学構造式
121 酸素原子
122 窒素原子
13 炭素数
131 炭素数
14 特殊マーク
15 通し番号
16 識別マーク
2 UNО用変更カード
21 変更宣言文字
22 変更可能対象文字