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特許7104987流量制御弁およびこれを用いた流体制御装置
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  • 特許-流量制御弁およびこれを用いた流体制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】流量制御弁およびこれを用いた流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20220714BHJP
   F16K 37/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
F16K31/04 K
F16K37/00 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019514517
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2018016552
(87)【国際公開番号】W WO2018199064
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2017089828
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】小林 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】永尾 将和
(72)【発明者】
【氏名】薬師神 忠幸
(72)【発明者】
【氏名】土肥 亮介
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-168361(JP,A)
【文献】特開2001-208230(JP,A)
【文献】特開2012-176783(JP,A)
【文献】実開平02-078878(JP,U)
【文献】国際公開第2018/079586(WO,A1)
【文献】特開2017-194142(JP,A)
【文献】特公平7-58444(JP,B2)
【文献】特開2002-130531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/00-31/05
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディに設けられた流体流路を開閉する弁体と、
弁体を移動させるアクチュエータ部とを備える流量調整弁であって、
アクチュエータ部は、
駆動用モータと、
前記モータの回動により移動するスライダと、
前記スライダに取り付けられた筒状体と、
前記筒状体に連動し、先端に前記弁体が固定されているシャフトと、
前記スライダの下面に配設され、前記シャフトを下方に押圧するスプリングと、
を有し、
前記モータは、ステッピングサーボモータであり、
エンコーダの信号によるクローズドループによってトルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記弁体を閉鎖方向に移動させる押し当て制御機能を有しており、
閉鎖位置の検知は、前記押し当て制御機能によって行われることを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
スライダと筒状体が一体であることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
【請求項3】
前記モータは、さらにエンコーダの信号によるクローズドループによって位置を制御する位置制御機能および回転体の回転速度を制御する速度制御機能を有しており、
所定開度の設定は、前記位置制御機能および前記速度制御機能によって行われることを特徴とする請求項1または2に記載の流量調整弁。
【請求項4】
前記モータは、前記閉鎖位置の検知時には、前記押し当て制御機能によってトルク異常が判定される請求項1から3までのいずれかに記載の流量調整弁。
【請求項5】
前記モータは、前記所定開度の設定時には、前記押し当て制御機能によってトルク異常が判定される請求項3に記載の流量調整弁。
【請求項6】
開度が所定の値に設定される流量調整弁をそれぞれ有する複数のラインを備えた流体制御装置であって、複数のラインの各流量調整弁が請求項1からまでのいずれかに記載の流量調整弁とされるとともに、前記各流量調整弁の前記モータの動作量が通信手段で接続された監視装置によって監視されていることを特徴とする流体体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流量調整弁およびこれを用いた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明は、栓体と栓体を付勢するアクチュエータを備える流体圧力自動調節装置である。
【0003】
本願図5に示すような特許文献1の電動式流量圧力自動調節装置の全閉作動検出機構における栓体8や栓座9の磨耗量に応じての再調整や装置の保守に手数がかかり過ぎること、制御精度が低下して全閉時に流体の漏れを生じ易いこと等の問題を解決することを目的とし、特許文献1に記載の発明は、栓体8や栓座9の磨耗が進行しても、その都度制御設定値等の再調整を必要とすることなく、正確な全閉作動状態の検出が行なえ、全閉時に於ける流体の漏れや栓体8の過度の押し下げによるシャフト7や栓体8、栓座9等の破損を皆無とする流量圧力自動調節装置を提供するものである。
【0004】
この課題を解決するために、特許文献1の図1(本願図5-A)及び図2(本願図5-B)に示すように、特許文献1に記載の発明では、以下の作用機序によって、課題の解決を図っている。
【0005】
まず、モータ1の回動により、ボールねじ3を介してスライダ4が下方向へ移動し、スプリング5により一定の押圧力で下方向へ押圧された状態で、シャフト押え6も下降する。次いで、シャフト7先端の栓体8が栓座9へ当座すると、シャフト押え6の下降は停止するが、スライダ4の方は引き続き下降するため、ストツパー16とシャフト押え6間の接点(又は、シャフト押え6と接触片24間の接点)が切れ、制御電流や制御回路の電気定数が変化する。そして、制御電流や電気定数の変化により、モータの駆動制御回路が作動され、モータが停止されると共に、流体流路が閉路状態に保守される。
【0006】
したがって、特許文献1に記載の発明は、ストツパー16の挿通路内周面18aとシャフト押え6の係止面6a間を流路全閉時の検出用接点とし、該接点の開放により駆動用モータ1を停止するようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特公平07-058444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の発明では、流路全閉時の状態を検出するために、絶縁リング筒状体15、絶縁皮膜20、21、22、リード線23および制御電流や制御回路の電気定数の変化をとらえる検出器を別途準備しなければならず、コスト高となる。また、検出器へ電力を供給するための電源や電源からの電力を検出器へ送る配線、それに検出器から検出結果を取り出すためのリード線が必要となる。これらの配線は、バルブの内部と外部とを繋ぐことになるが、その分バルブに配線を設置しておくためのスペースを必要とした。また、バルブに複数の配線が取り付けられていると、例えばバルブの設置時や点検時などに配線を誤って断線してしまわないように配線の位置等に注意する必要があるため、取扱いに手間が生じていた。
【0009】
この発明の目的は、流路全閉時の状態を検出するために特許文献1に記載の発明で必要とされるリード線などの部品等がなくても流路全閉時の状態を検出することができる流量調整弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(1)は、ボディに設けられた流体流路を開閉する弁体と、弁体を移動させるアクチュエータ部とを備える流量調整弁であって、アクチュエータ部は、駆動用モータと、前記モータの回動により移動するスライダと、前記スライダに取り付けられた筒状体と、前記筒状体に連動し、先端に前記弁体が固定されているシャフトと、を有し、前記モータは、ステッピングサーボモータであり、エンコーダの信号によるクローズドループによってトルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記弁体を閉鎖方向に移動させる押し当て制御機能を有しており、閉鎖位置の検知は、前記押し当て制御機能によって行われることを特徴とする流量調整弁である。
【0011】
ステッピングサーボモータは、エンコーダを搭載したステッピングモータで、コントローラから発信されるパルス信号に応じて、モータコイルに流す電流を切り替えることによって、一定角度ごとにモータの回転軸を回転させるとともに、エンコーダから現在位置・速度をフィードバックし、動作指令パルスとの誤差を修正しながらのクローズドループ制御を行うことができる。
【0012】
したがって、本発明(1)では、モータとしてステッピングサーボモータを使用し、エンコーダの信号によるクローズドループによってトルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記弁体を開度0%(閉鎖位置)方向に移動させる押し当て制御機能を有しているために、閉鎖位置の検知を前記押し当て制御機能ででき、特許文献1で必要とされる絶縁リング筒状体15、絶縁皮膜20、21、22、リード線23および制御電流や制御回路の電気定数の変化をとらえる検出器などの部品が必要でなくなる。
【0013】
本発明(2)は、スライダと筒状体が一体であることを特徴とする本発明(1)に記載の流量調整弁である。スライダと筒状体を一体とすることで部品点数を減らすことができる。
【0014】
本発明(3)は、前記モータが、さらにエンコーダの信号によるクローズドループによって位置を制御する位置制御およびモータ回転軸の回転速度を制御する速度制御機能を有しており、所定開度の設定は、前記位置制御機能および前記速度制御機能によって行われることを特徴とする本発明(1)または(2)に記載の流量調整弁である。
【0015】
本発明(4)は、前記モータが、前記閉鎖位置の検知時および前記所定開度の設定時には、前記トルク制御機能によってトルク異常が判定される本発明(1)から(3)までのいずれかに記載の流量調整弁である。
【0016】
モータは、エンコーダの信号によるクローズドループによって位置を制御する位置制御、モータ回転軸の回転速度を制御する速度制御、トルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記弁体を閉鎖位置方向に移動させる押し当て制御およびトルクを制御するトルク制御の4つの機能を有しており、閉鎖位置の検知は、前記押し当て制御機能によって行われ、所定開度の設定は、前記位置制御機能および前記速度制御機能によって行われ、前記閉鎖位置の検知時および前記所定開度の設定時には、前記トルク制御機能によってトルク異常が判定されることが好ましい。
【0017】
トルク制御機能によると、流量調整弁が完全に故障して操作できなくなる前に、トルク異常を検知しアラーム警報を発することで、未然にメンテナンスを行うことが可能となり、プロセス中に突然、流量調整弁が破損することを防止することができ、プロセスに甚大な被害を与えることが防止される。こうして、手動のものを電動にすることで懸念される過負荷による流量調整弁の損傷を未然に防止することができる。
【0018】
本発明(5)は、開度が所定の値に設定される流量調整弁をそれぞれ有する複数のラインを備えた流体制御装置であって、複数のラインの各流量調整弁が本発明(1)から(4)までのいずれかに記載の流量調整弁とされるとともに、前記各流量調整弁の前記モータの動作量が通信手段で接続された監視装置によって監視されていることを特徴とする流体制御装置である。
【0019】
この流体制御装置によると、従来、手動で開度が設定されていた流量調整弁を、モータを使用して開度を設定できるとともに、監視装置によって全ての流量調整弁の開度を監視できるので、流体制御装置の流量制御機能を高めることができる。
【0020】
監視装置としては、パソコン、タブレット、スマートフォンなどが使用される。通信手段は、無線であってもよく、有線であってもよく、インターネットを使用してもよい。
【0021】
流量調整弁には、トルク(回転、電流、電圧)のほか、画像(動画)、温度、湿度、加速度(振動)、音などの信号を発信する測定機器が適宜追加され、監視装置から操作指示を出した後、実際に操作した通りに動作しているかを確認することができる。測定機器は、種々の測定機器のほか、MEMSセンサ、小型CCDカメラなどを用いることもできる。また、監視装置や測定装置内に制御機能を持たせることにより、目標とする流量への調整を、自動で行うようにしても良い。
【発明の効果】
【0022】
この発明の流量調整弁によると、流路全閉時の状態を検出するために特許文献1に記載の発明で必要とされる部品や配線等がなくても流路全閉時の状態を検出することができる流量調整弁を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、この発明による流量調整弁の1実施形態を示す縦断面図である。
図2図2は、図1のA部分の拡大図である。
図3図3は、図1のB部分の拡大図である。
図4図4は、この発明による流量調整弁が適用された流体制御装置の1例を示す図である。
図5図5中の図5-Aは特許文献1に記載の図1であり、図5-Bは特許文献1に記載の図2である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等および各種製造条件は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、便宜的に図面上での方向によって部材等の方向を上下左右と指称することがあるが、これらは本発明の実施あるいは使用の際の部材等の方向を限定するものではない。
【0025】
図1~3に示すように、この発明による流量調整弁(1)は、流体流路(61)(62)が設けられたボディ(60)と前記流体流路(61)(62)を開閉する弁体(49)を有する弁部(2)と、前記弁体を移動させるアクチュエータ部(3)とを備える流量調整弁(1)であって、前記アクチュエータ部(3)は、駆動用モータ(10)と、モータ回転軸(11)の回動により移動するスライダ(30)と、前記スライダ(30)より下方へ突設する有底の筒状体(40)と、前記筒状体(40)に連動し、先端に前記弁体(49)が固定されているシャフト(47)と、前記筒状体(40)の底板(40a)上面と前記スライダ(30)の下面の間に配設され、前記弁体(49)を閉鎖位置方向に付勢するスプリング(43)とを有し、前記モータ(10)は、ステッピングサーボモータであり、エンコーダの信号によるクローズドループによってトルク値が設定値以上になるまで連続定格トルク以下で前記弁体を閉鎖位置方向に移動させる押し当て制御機能を有しており、閉鎖位置の検知は、前記押し当て制御機能によって行われる。
【0026】
モータ(10)は、この流量調整弁(1)の上部にあるモータベース(15)にボルト(14)によって固定され、モータ(10)は、モータカバー(17)によって覆われ、モータカバー(17)は、ボルト(16)によってモータベース(15)に固定されている。
【0027】
モータ(10)の上部には、モータ回転軸(11)に固定されたハンドル(12)が取り付けられ、ハンドル(12)はハンドルカバー(13)で覆われている。このハンドル(12)は、メンテナンス時に無通電で開閉操作するためのものである。モータやバルブの構造等によっては、ハンドル(12)及びハンドルカバー(13)が無い場合もある。
【0028】
モータカバー(17)の右側面には、モータ(10)を制御するためのケーブル(70)がケーブルプラグ(71)およびアングルプラグ(72)を経由して取り付けられている。
【0029】
モータ回転軸(11)とカップリング(20)とは、止めねじ(21)により固定され、モータベース(15)とカップリング(20)とは、止めねじ(22)によって固定され得る。この止めねじ(22)は、内部に水分や埃等異物が入らないようにするためのものである。
【0030】
モータベース(15)の下面には、ベアリングリテーナ(25)がボルト(26)によって取り付けられ、モータ回転軸(11)の回転のためのベアリング(24)は、下面がベアリングリテーナ(25)に接し、上面がナット(23)によって固定されている。
【0031】
モータベース(15)の下方には、モータ回転軸(11)の延長にボールねじ(32)が備えられ、このボールねじ(32)によって、モータ回転軸(11)の回転運動が軸方向運動に変換される。
【0032】
ボールネジ(32)の上方に、ストップリング(33)がボルト(34)によって固定され、このストップリング(33)によって、スライダ(30)の上方への移動が規制されている。
【0033】
モータベース(15)の下部にスライダ(30)をカバーする円筒状の上部カバー(38)がボルト(27)によって固定され、上部カバー(38)の内面には、スライダ(30)の上下移動を案内する円筒状のガイド(31)が設けられている。
【0034】
スライダ(30)より下方へ突設し、底面中央に貫通孔(40b)を有する筒状体(40)が形成され、貫通孔(40b)に挿通され、先端に弁体(49)を有するシャフト(47)を固定するシャフト支持体(44)が有底の筒状体(40)の底板(40a)に固定されている。
【0035】
筒状体(40)とスライダ(30)とは、ボルト(45)により固定されており、シャフト支持体(44)の上面には、ばね座(42)が設けられ、このばね座(42)とスライダ(30)の下面に設けられた凹所(41)の間には、スプリング(43)が備えられており、このスプリング(43)があることによって、弁体(49)が弁座(63)に接した後、モータトルクが一定値になるまでの間、つまり、モータ(10)の回転が停止するまでの間、シャフト(47)は下降せず、スライダ(30)が下降するだけなので、弁体(49)と弁座(63)の界面に過負荷がかかることが防止されている。なお、界面にかかる過負荷がある程度許容される場合や、モータトルクが一定値になると即座に停止が出来ること等によって、界面に過負荷がかからないようにする事が出来る場合には、スプリン(43)を設けず、筒状体(40)またはスライダ(30)にシャフト(47)またはシャフト支持体(44)を直接固定することも可能である。
【0036】
上部カバー(38)の下方左側には、ローラアダプタ(35)とカムフォロアー(36)が取り付けられ、ローラアダプタ(35)とカムフォロアー(36)は、カバー(37)によって覆われている。このローラアダプタ(35)とカムフォロアー(36)は、スライダ(30)の回り止めをして、モータ軸の回転を正確にバルブの開閉動作へ変換させるためのものである。
【0037】
シャフト(47)の先端には弁棒(48)が接続され、弁棒(48)の先に弁体(49)が形成されている。
【0038】
ボディ (60)は、内部に流体流入通路(61)、流体流出通路(62)および弁座(49)を備え、ボディ(60)の上部には、弁棒(48)が収まるボンネット(65)が固定ボルト(64)によって固定されている。
【0039】
有底円筒状の下部カバー(57)は、上部カバー(38)の下端に接続され、下部カバー(57)の下面中央にはボンネット(65)の上部が固定される貫通孔があけられ、ボンネット(65)の最上部にはシャフト(47)が挿通する貫通孔があいた固定ボルト(56)が、ボンネット(65)の最上部のめねじとねじあわされている。
【0040】
図4は、流量調整弁(1)を備えた流体制御装置(80)の一例を示す。
【0041】
この流体制御装置(80)は、流量調整弁(1)およびこの上流側に設けられたマスフローメータ(81)を8ライン分備えており、流体制御装置(80)の下流側に配置されたエピタキシャル装置などの半導体製造装置に各流量調整弁(1)を介して所定の流量とされた流体を供給する。
【0042】
流体制御装置(80)は、さらに、流量調整弁(1)およびマスフローメータ(81)の8ライン分に接続されるコントロールボックス(82)と、パソコン(監視装置)(83)と、警報出力手段としてのパトライト(登録商標)(84)とを備えている。
【0043】
コントロールボックス(82)には、各流量調整弁(1)および各マスフローメータに接続されるPLC(Programmable Logic Controller)、電源、無線送受信器、モータ駆動基板などが搭載されている。
【0044】
パトライト(登録商標)(84)は、正常動作時に、緑ランプを点灯させ、各流量調整弁(1)に搭載されたモータ(10)のどれかが異常になったときには、緑と赤の両方を点灯させ、PLC故障および電源オフ時には、緑と赤の両方ともを消灯させる。
【0045】
コントロールボックス(82)と各流量調整弁(1)とは、計8本のバルブケーブル(85)によって接続され、コントロールボックス(82)と各マスフローメータ(81)とは、計8本のL型コネクタ(86a)付きMFMケーブル(86)によって接続され、コントロールボックス(82)とパソコン(83)とは、LANケーブル(87)で接続され、コントロールボックス(82)とパトライト(登録商標)(84)とは、警報用ケーブル(88)で接続される。各ケーブル(85)(86)(87)(88)の長さは、例えば5m程度とされる。
【0046】
パソコン(83)からは、全ての流量調整弁(1)について、開度の設定と流量のモニタリングとを行うことができる。
【0047】
この流体制御装置(80)によると、各流量調整弁(1)の開度を一括で管理することができる。また、トルクなどのデータをパソコン(83)に保存しておくことで、初期データと現在データとの比較が可能となり、流量調整弁(1)の劣化状態を評価することができる。また、保存した開度値などの再利用が可能となり、開度の設定が容易になる。
【0048】
上記において、パソコン(83)は、タブレットやスマートフォンなどの適宜な端末(監視装置)に置き換えることも可能であり、これらの監視装置は、流体制御装置(80)の設置場所から離れた遠隔からの操作が可能なものとすることもできる。
【0049】
各流量調整弁(1)には、トルクを測定する機能に加えて、種々のセンサを組み込んでもよい。例えば、MEMSマイクロフォンを組み込むことにより、流量調整弁(1)の駆動動作を遠隔で把握し、トルク信号とともに、流量調整弁(1)の駆動の異常を判断することができる。また、MEMS湿度センサを組み込むことにより、モータ(11)の周辺の湿度が正常かを判断することができる。また、MEMS温度センサを組み込むことにより、モータ(11)の周辺の温度が正常かを判断することができる。また、MEMS加速度センサを組み込むことにより、モータ(11)自体の振動が正常かを判断することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 :流量調整弁
2 :弁部
3 :アクチュエータ部
10:モータ
11:モータ回転軸
30:スライダ
40:筒状体
40a:底板
47:シャフト
49;弁体
60:ボディ
61:流体流入通路(流体流路)
62:流体流出通路(流体流路)
80:流体制御装置
83:監視装置(パソコン)
図1
図2
図3
図4
図5