(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】植物型家電
(51)【国際特許分類】
A41G 1/00 20060101AFI20220714BHJP
【FI】
A41G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021025444
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2021-02-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、総務省、独創的な人向け特別枠「異能(Inno)vation」プログラム委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】521074715
【氏名又は名称】花園 園恵
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】花園 園恵
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-226682(JP,A)
【文献】特開2012-256525(JP,A)
【文献】特開平02-041192(JP,A)
【文献】特開2004-068199(JP,A)
【文献】特開2004-009486(JP,A)
【文献】特開平04-241102(JP,A)
【文献】実開昭51-079490(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置される植物型家電であって、鉢部と、前記鉢部の上面から上方に向けて延びる茎部と、その茎部に取り付けられた葉部と花部を備え、
前記葉部は太陽電池モジュールを有し、
前記鉢部には、前記太陽電池モジュールで発電した電力を蓄える二次電池を有し、
前記花部は、前記二次電池に蓄えられた電力を用いて開閉する複数枚の花弁と、その花弁の内部に配置され前記二次電池に蓄えられた電力を用いて動作する出力手段を備え、
前記出力手段は、前記花弁が開いた状態で動作し、前記花弁が閉じた状態では前記出力手段が動作しないように
し、
前記花部を構成する複数枚の前記花弁は、隣接する前記花弁の側縁部位をらせん状に重なり合せるように配置し、前記二次電池で動作する駆動源に繋がる一つの前記花弁を開くと、前記側縁部位で重なる隣接する前記花弁が次々と開く方向に付勢し、前記一つの花弁を閉じると、前記側縁部位で重なっている隣接する前記花弁が次々と閉じる方向に付勢することで前記花弁を開閉するように構成した植物型家電。
【請求項2】
前記花弁の開き具合を調整する制御手段を備え、
前記制御手段は、充電量に応じて前記花弁の開き具合を変えるように制御する
請求項1に記載の植物型家電。
【請求項3】
前記出力手段は照明であり、
前記花弁の開き具合が大きいほど前記照明を明るくするように制御する請求項2に記載の植物型家電。
【請求項4】
前記花弁の開き具合を調整する制御手段を備え、
前記太陽電池モジュールは、照射される太陽光に基づいて発電するとともに、前記太陽光とは別の光照射手段による人工光が照射されることに基づいても発電するようにし、
前記光照射手段は、シャワーヘッドまたは水まきに使用する用具の外観を模した形態を有し、
前記調整は、前記光照射手段による前記人工光の照射に基づいて行う
請求項1から3のいずれか1項に記載の植物型家電。
【請求項5】
室内に設置される植物型家電であって、鉢部と、前記鉢部の上面から上方に向けて延びる茎部と、その茎部に取り付けられた葉部と花部を備え、
前記葉部は太陽電池モジュールを有し、
前記鉢部には、前記太陽電池モジュールで発電した電力を蓄える二次電池を有し、
前記花部は、前記二次電池に蓄えられた電力を用いて開閉する複数枚の花弁と、その花弁の内部に配置され前記二次電池に蓄えられた電力を用いて動作する出力手段を備え、
前記出力手段は、前記花弁が開いた状態で動作し、前記花弁が閉じた状態では前記出力手段が動作しないよう
にし、
前記花弁の開き具合を調整する制御手段を備え、
前記太陽電池モジュールは、照射される太陽光に基づいて発電するとともに、前記太陽光とは別の光照射手段による人工光が照射されることに基づいても発電するようにし、
前記調整は、前記光照射手段による前記人工光の照射が行われるほど、前記花部の開き具合が大きくなるが、設定した限度を超えて照射が行われた場合には前記花部の開き具合を小さくするようにした植物型家電。
【請求項6】
室内に設置される植物型家電であって、鉢部と、前記鉢部の上面から上方に向けて延びる茎部と、その茎部に取り付けられた葉部と花部を備え、
前記葉部は太陽電池モジュールを有し、
前記鉢部には、前記太陽電池モジュールで発電した電力を蓄える二次電池を有し、
前記花部は、前記二次電池に蓄えられた電力を用いて開閉する複数枚の花弁と、その花弁の内部に配置され前記二次電池に蓄えられた電力を用いて動作する出力手段を備え、
前記出力手段は、前記花弁が開いた状態で動作し、前記花弁が閉じた状態では前記出力手段が動作しないよ
うにし、
前記花部が取り付けられた前記茎部の上方側の部位が湾曲され、その湾曲される角度を変更する変更手段を備え、
前記花弁が閉じている状態では前記花部が下を向いた基準姿勢をとり、
前記出力手段を動作させる際には前記基準姿勢よりも前記花部が上方を向くように前記変更手段が前記角度を変える
ようにし、
前記太陽電池モジュールは、照射される太陽光に基づいて発電するとともに、前記太陽光とは別の光照射手段による人工光が照射されることに基づいても発電するようにし、
前記変更手段は、前記光照射手段による前記人工光の照射が設定した限度を超えた場合に、前記基準姿勢より更に前記花部が下を向くように前記角度を変えるようにした植物型家電。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観葉植物等の姿をした植物型家電に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスや居住空間等の室内に、インテリアの一つとして観葉植物が設置されることがある。係る観葉植物は、ストレスの軽減やリラックス効果が得られ、生活に潤いを与えることができるといわれている。また、プラスチックなどの素材で作られ、見た目は本物と変わらない観葉植物(「人工観葉植物」などとも称される)もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本物の観葉植物は、例えば設置している室内の気温等にあわせて適度な頻度で水やりや、追肥等の日常の世話を行う必要があり、例えば頻度が少ないと枯れてしまったり、状態が悪くなったりし、また、過剰に水やりをすると根腐れなど生じるおそれがある。また、管理を怠ってしまうと虫が発生してしまうおそれもある。また、水やりをしている最中に、その水が観葉植物の鉢の外にかかり、周囲の設置物その他の物体を濡らしてしまうおそれもある。
【0004】
一方、人工観葉植物は、上述した本物の観葉植物で指摘した問題は生じないものの、世話の有無にかかわらず状態は変わらないため、見た目は本物の観葉植物らしくても無機質であり、例えば植物とのコミュニケーションを楽しむことができず、世話をしても反応がないことからそのまま放置されてしまうことが起こりえる。そして、人工観葉植物は、見た目は観葉植物と似ているものの、上述したストレスの軽減やリラックス効果などは生じにくい。また、人工観葉植物の中には、例えば葉の部分等を、光触媒の材料を用いて形成したものがある。係る光触媒を用いた人工観葉植物は、光触媒の効果により室内の空気をきれいにする効果が発揮するといわれているが、その効果は人間が目で見て確認できるものではない。その結果、上述した世話をしても反応がないことも相まって、そのまま放置され、例えば葉の部分に埃等が溜まり、光触媒の効果が低下するといった悪循環を生む場合がある。
【0005】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る植物型家電は、室内に設置される植物型家電であって、鉢部と、前記鉢部の上面から上方に向けて延びる茎部と、その茎部に取り付けられた葉部と花部を備え、前記葉部は太陽電池モジュールを有し、前記鉢部には、前記太陽電池モジュールで発電した電力を蓄える二次電池を有し、前記花部は、前記二次電池に蓄えられた電力を用いて開閉する複数枚の花弁と、その花弁の内部に配置され前記二次電池に蓄えられた電力を用いて動作する出力手段を備え、前記出力手段は、前記花弁が開いた状態で動作し、前記花弁が閉じた状態では前記出力手段が動作しないようにした。
【0007】
このようにすると、人工の植物であっても、出力手段の出力に対応して花が咲いたりつぼんだりして動きがあり、さらに光合成により花が咲いている感じが醸し出される。よって、単なる人工観葉植物のような置物とは相違し、親しみがわく。また、この植物型家電は室内に設置され、家電として使用する場合の適した設置位置があり、その室内の設置位置は葉部に設けた太陽電池モジュールの発電に適した位置とは限らない。そこで、ユーザは、例えば昼間は植物型家電を窓際やベランダ等の太陽光がよく当たる場所に移動し、夜間等の使用時には室内の所定の場所に戻す作業を行う。このように世話をすることで、出力手段が動作するので、そのまま放置されることはなく、コミュニケーションがとれる。また、太陽光発電を効率よく行うためには、太陽電池モジュールの表面をきれいにする必要もあることから、適宜のタイミングで葉部をきれいに拭くのが好ましく、例えば水拭きなどした場合には係る行為が植物に対する葉水に類する行為となり、植物を育てる感じが出るのでよい。特に観葉植物は、根よりも葉っぱから水分を吸収する能力が高いと言われており、葉部に設けた太陽電池モジュールで発電するように構成することで、観葉植物らしさが出る。
【0008】
(2)前記出力手段は、照明或いはスピーカーとするとよい。特に照明は、夜間に使用するものであるので、昼間充電した電力を用いて夜間照明として利用できる。さらに、花弁が開いた状態で点灯し、消灯時は花弁が閉じるので、単なる照明器具ではなく、生きた植物が照らしている感じが出るのでよい。スピーカーとして利用する場合も、花弁の開閉に同期して出力されることから、植物が生きている感じが生じる。
【0009】
(3)前記照明或いは前記スピーカーが動作しない待機状態では、前記照明或いは前記スピーカーは前記複数の花弁に囲まれて隠れており、前記花弁が開き始めた状態で、前記照明或いは前記スピーカーが動作を開始するように構成するとよい。このようにすると、動作しない状態では照明やスピーカーが隠れて見えないので、植物のオブジェとして室内に置かれた状態となり、花弁が開き始めた状態で照明やスピーカーが動作を開始するので、生命が宿った感じがでるのでよい。
【0010】
(4)前記花弁の開き具合を調整する制御手段を備え、前記太陽電池モジュールは、照射される太陽光に基づいて発電するとともに、前記太陽光とは別の光照射手段による人工光が照射されることに基づいても発電するようにし、前記調整は、前記光照射手段による前記人工光の照射に基づいて行うとよい。このようにすると、光照射手段により補助的に電力を蓄電でき、また光照射手段の光を葉部に設けた太陽電池モジュールに照射することが、葉水を行っている感じが醸し出るので、植物を育てている感じになるのでよい。
【0011】
(5)前記調整は、前記光照射手段による前記人工光の照射が行われるほど、前記花部の開き具合が大きくなるが、設定した限度を超えて照射が行われた場合には前記花部の開き具合を小さくするとよい。このようすると、水のやり過ぎ等で植物が弱る感じを再現できる。
【0012】
(6)前記花部が取り付けられた前記茎部の上方側の部位が湾曲され、その湾曲される角度を変更する変更手段を備え、前記花弁が閉じている状態では前記花部が下を向いた基準姿勢をとり、前記出力手段を動作させる際には前記基準姿勢よりも前記花部が上方を向くように前記変更手段が前記角度を変えるようにするとよい。このようにすると、より植物として生きている感じが出る。
【0013】
(7)前記太陽電池モジュールは、照射される太陽光に基づいて発電するとともに、前記太陽光とは別の光照射手段による人工光が照射されることに基づいても発電するようにし、前記変更手段は、前記光照射手段による前記人工光の照射が設定した限度を超えた場合に、前記基準姿勢より更に前記花部が下を向くように前記角度を変えるようにするとよい。このようすると、水のやり過ぎ等で植物が弱る感じを再現できる。
【0014】
(8)前記太陽電池モジュールで発電した電力を前記二次電池に充電するための配線並びに前記出力手段を動作させための配線は、前記茎部の内部を通過させるように構成するとよい。配線が外部に露出せず、植物らしさが出る。
【発明の効果】
【0015】
植物型家電は、人工の植物でありながら生きている感じや育てている感じを発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る植物型装置の好適な一実施形態を示す概略外観図である。
【
図3】(a)は鉢部の平面図であり、(b)は茎部の横断面図である。
【
図5】花部を説明する図で、(a)は花部が閉じた状態における正面図、(b)は花冠と萼を離した状態を示す分解図、(c)は萼の平面な図、(d)は花部の平面図である。
【
図6】花部を説明する図で、(a)は花部が開いた状態における正面図、(b)は花冠と支持機構154を示す正面図、(c)は花弁の根元側を示す拡大図である。
【
図7】(a)は花弁を示す正面であり、(b)はB-B′線断面図であり、(c)はA-A′線断面図である。
【
図9】(a)は
図8中のX部を示す拡大図であり、(b)は(a)中のY部を示す拡大図である。
【
図10】(a)は支持機構に発光部が指示された状態を示す正面図であり(b)はそれを花部に取り付けた状態を示す平面図である。
【
図11】(a)は主に花部及びそれに接続される第1の茎部を示す図であり、(b)は花弁を開閉する機構の一部を示す図である。
【
図12】(a)は主に鉢部及びそれに接続される第1の茎部を示す図であり、(b)は花弁を開閉する機構の一部を示す図である。
【
図14】スピーカーを備えた植物型家電を示す図である。
【
図15】(a)はスピーカー及びそれを支持する支持機構を示す正面図であり、(b)はそれを花冠に装着した状態を示す平面図である。
【
図18】光照射手段の一例である発光部付のシャワーヘッド等を示す図である。
【
図19】更に別の実施形態を示す図(その1)である。
【
図20】更に別の実施形態を示す図(その2)である。
【
図21】更に別の実施形態を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0018】
図1は、本発明に係る植物型家電10の好適な一実施形態の概略外観図をしており、
図2はその断面図を示している。
図1に示すように、本実施形態の植物型家電10は、花が咲く観葉植物を模した形態からなり、鉢部11に植えられた態様で上に延びる茎部12と、その茎部12に取り付けられた葉部13や花部15等を備える。
【0019】
鉢部11は、矩形の箱状からなり、中空の内部には、後述する機器が収納される。
図3等に示すように、鉢部11の天板111の中央部位に、茎部12の下方部位が貫通するように装着される。茎部12は、中心に太径の第1の茎部121を配置し、その第1の茎部121の周囲に複数本(例えば5本)の細径の第2の茎部122と、第2の茎部122より太い第3の茎部123を配置して構成される茎の束となるように構成される。その茎の束を構成する第1の茎部121~第3の茎部123は、下端部位では接触或いは近接した状態となり、上端部位は外にそれぞれが離反するように湾曲した形態となる。そして、第1の茎部121~第3の茎部123は、その下端部位が、鉢部11の天板111に直交状態で貫通配置され、その状態で図示省略する固定部材で固定される。
【0020】
第1の茎部121~第3の茎部123は、本実施形態ではそれぞれの上端側に1つの葉部13或いは1つの花部15を取り付ける。具体的には、中央の第1の茎部121の上端部位に花部15が取り付けられ、第2の茎部122並びに第3の茎部123の上端部位に葉部13を取り付ける。また第1の茎部121~第3の茎部123は、その長さをそれぞれ異ならせ、第1の茎部121が最も長くした。これにより、花部15が最上方位置に位置する。第3の茎部123が2番の長さとし、複数の第2の茎部122は第3の茎部123の一方の隣から順に短くする。これにより、第2の茎部122並びに第3の茎部123の上端位置は、らせん状に位置し、第2の茎部122並びに第3の茎部123の各上端に取り付けた6枚の葉部13は、平面視で重ならないように配置される(
図4参照)。さらに第1の茎部121~第3の茎部123は、それぞれ上下貫通するパイプ状に形成される。
【0021】
各葉部13は、ベース板部材131の上面に、太陽電池モジュール(ソーラーパネルとも称する)132を貼り付けた構成を採る。上述したように各葉部13はらせん状に配置し平面視で重ならず、上下に高さを変えて配置されるとともに、向きも傾けて同じ方向を向かないようにしたため、効率よく受光し、発電することができる。
図4に示すように、太陽電池モジュール132は、複数のセルから構成される。また、この太陽電池モジュール132は、例えば一般的によく用いられるシリコーン型太陽電池モジュールを用いてもよいが、色素増感型ソーラーシート(色素増感太陽電池)を用いるとより好ましい。色素増感太陽電池は、屋内の蛍光灯照明等に対しても変換効率が良好な特性を有するため、室内に設置する植物型家電10において適する。さらに、色素増感太陽電池は、フレキシブルなプラスチックシートの形態に加工でき、平面の外形状を任意にできるとともに立体的に形成できるのでデザイン性雅量孔であり、しかもカラーバリエーションを有する。よって、
図4の例では、葉部13の外形状は、平面矩形状となり、
図1等からも平板状から構成されているが、例えば外形状を植物の葉っぱの形態を模した形状とし、さらに立体的に形成することで、より本物の観葉植物らしさが醸し出されるのでよい。さらに、色も緑色をベースにした葉っぱの色にするとより好ましい。
【0022】
太陽電池モジュール132の出力端子に一端が接続される電気コード16は、それぞれが取り付けられる第2の茎部122並びに第3の茎部123の内部に挿入され、電気コード16の他端は第2の茎部122並びに第3の茎部123の下端から外部に引き出される。そして、電気コード16の他端側が所定長さ引き出され、鉢部11内を引き回されることで、植物の根をイメージした感じが生じる。そして、その電気コード16の他端は、電源制御回路17に入力される。電源制御回路17は、鉢部11内に実装され、太陽電池モジュール132で発電された電力に基づき鉢部11内に実装される蓄電池18を充電する。
【0023】
さらに第3の茎部123の側面の所定位置には、スイッチ部26が設けられる。スイッチ部26は、例えばタッチセンサーから構成するとよい。そしてこのスイッチ部26の配線28は、第3の茎部123内を通って鉢部11内に至り、その先端は鉢部11内の制御装置27の入力部に接続される。このスイッチ部26は、センサー部をタッチする都度、ONとOFFが交互に入れ替わるものとするとよい。また、スイッチ部26は、その外形状が例えばテントウムシのように植物にとまる虫などを模した形態とするとよい。このようにすると、スイッチ部26が目立たず、仮に存在に気がついたとしても、自然界でも存在するため違和感なく構成できる。
【0024】
花部15は、閉じた姿態(
図1(a)等参照)と、開いた姿態(
図1(b)等参照)の間を遷移する機能を備え、内部に家電の出力機能を備える。具体的な構成は、
図5、
図6に拡大して示すように、所定枚数、例えば5枚の花弁151を有する花冠152と、花冠152の下端側の外周囲に配置される萼153と、花弁151をその下端縁部位を中心に所定角度範囲内で正逆回転可能に支持する支持機構154と、家電の出力機構である発光部155等を備える。萼153を構成する萼片156は、花弁151にあわせて5枚配置する。そして、その萼片156の下端を第1の茎部121の上端部位に取り付け、それぞれの萼片156は外に開くように所定角度傾斜した姿勢で固定する。
【0025】
図7等に示すように、花弁151は、細長で先端が先細り状の花弁本体1511と、その花弁本体1511の根元側に設けた回転軸取付部位1512を備える。花弁本体1511は、短手方向(A-A′)並びに長手方向(B-B′)の両方に内側が窪んだ湾曲面となる。回転軸取付部位1512は、短手方向に延びる貫通孔が形成され、その貫通孔内に丸棒状の回転軸19が挿入され、回転軸19の両端が突出した状態で回転軸19が固定される。これにともない、花弁151は、回転軸19と一体になって回転する。更に5つの花弁151のうちの一つは、
図6(c)に拡大して示すように、回転軸取付部位1512の軸方向の中央部位に凹状切り欠き部1513を設け、その凹状切り欠き部1513の部分で回転軸19が露出するように構成する。そして、この露出する回転軸19の部分にグロメット20を装着し、グロメット20と回転軸19ひいては花弁151が回転軸19の軸周りに回転する。
【0026】
一方、支持機構154は、
図8,
図9等に示すように、一端が第1の茎部121の上端に取り付けられ、他端が上方に外側に向けて放射状に配置される5本の支柱部1541と、支柱部1541の他端に取り付けられる軸受け部材1542を備える。軸受け部材1542は、両端に回転軸19を挿入するための円柱状の凹部を備え、中央で折り曲げられたパイプ状からなり、その折り曲げられた中央部位で支柱部1541の他端に固定される。そして、各花弁151に取り付けた回転軸19の両端は、それぞれ隣接する軸受け部材1542の凹部に挿入され、回転自在に軸受け支持される。
【0027】
上述したように花弁151は、根元側に取り付けた回転軸19を中心に正逆回転する。そして各花弁151が起立した姿勢をとると花部15は閉じた姿態となり、各花弁151が起立した姿勢から先端が外に向けて倒れた姿勢をとると花部15は開いた姿態となる。そして、花弁151が倒れた際には、花弁151の外側面が対応する萼片156に接触し、それ以上に開くのを抑制する。
【0028】
また5枚の花弁151は、隣接する花弁151の側縁部位をらせん状に重なり合せるように配置する。すなわち、
図5等に示すように、花弁151の左右の側縁部位のうち、一方は隣接する花弁151の上側(花部15の内側)に位置し、他方は隣接する花弁151の下側(花部15の外側)に位置する。これにより、5枚の花弁151は、相互に連携し合い、例えば花部15が閉じている姿態で任意の一つの花弁151を開くように倒すと、その一つの花弁151が、側縁部位の外側で重なっている隣の花弁151を開く方向に付勢し、以下順に隣の花弁151を付勢する。これにより、一つの花弁151の開く動作に連動して他の4枚の花弁151も開く(
図13参照)。同様に、例えば花部15が開いている姿態で任意の一つの花弁151を閉じるように起立させると、その一つの花弁151が、側縁部位の内側で重なっている隣の花弁151を閉じる方向に付勢し、以下順に隣の花弁151を付勢する。これにより、一つの花弁151の閉じる動作に連動して他の4枚の花弁151も閉じる(
図13参照)。
【0029】
そして、本実施形態では、5枚の花弁151のうち、凹状切り欠き部1513を備えて回転軸19にグロメット20を取り付けた花弁151を、当該連動の起点となる一つの花弁151とした。すなわち、例えば
図6、
図11等に示すように、グロメット20には第1の紐21を掛け渡す。そして、その第1の紐21は、第1の茎部121内を貫通させ、その先端側を鉢部11内に引き出す。第1の茎部121内の例えば上端付近には、フリー状態で回転するローラ24を配置し、第1の紐21は、そのローラ24に案内されて第1の茎部121内に配置される。一方、
図12等に示すように、鉢部11内には、例えば正逆回転可能な第1駆動モータ22が配置され、その第1駆動モータ22に取り付けた第1駆動プーリ23に第1の紐21を掛け渡す。この第1駆動プーリ23は、第1駆動モータ22の回転に伴い正逆回転し、それに伴い第1の紐21も正逆回転し、その回転がグロメット20に伝わり、花弁151が回転軸19を回転中心として正逆回転する。
【0030】
例えば、第1駆動モータ22の回転に伴い第1の紐21を時計回りに引っ張ることによりグロメット20を備える花弁151が開く方向へ力が働き、他の4枚の花弁151もそれに連動して開花する。一方、逆に第1駆動モータ22で第1の紐21を反時計回りに引っ張ると、同じく花弁が連動して閉じる。このように第1駆動モータ22を正逆回転することで、花部15が開閉する。また、上述したように、花弁151は、所定角度開くと萼片156に接触し、それ以上開くのが抑止される。これにより、花弁151は、開き過ぎず、重なり合う部分が無くなることなく、花弁151を開閉することができる。なお、第1駆動プーリ23は、第1駆動モータ22の出力軸に直結してもよいが、適宜のギヤボックスその他の変速機構の出力に接続するとよい。
【0031】
図10等に示すように、発光部155は、本実施形態ではLED照明を用い、支持機構154の上面側の中央部位に起立設置する。LED照明に電気的に接続される電気コード25は、第1の茎部121内を通り、第1の茎部121の下端から外部に引き出される。そして、その電気コード25は、鉢部11内の制御装置27に接続される。
【0032】
上述したように、鉢部11内には、電源制御回路17と、蓄電池18と、第1駆動モータ22と、制御装置27等を備える(
図12等参照)。
図12では、電源制御回路17、蓄電池18並びに制御装置27を鉢部11の外に描画しているが、実際には、
図16等に示すように鉢部11内に配置される。
【0033】
電源制御回路17は、昇圧コンバータその他の充電回路を備え、太陽電池モジュール132で発電した電力に基づき蓄電池18を充電する。このようにして蓄電池18に充電された電力は、第1駆動モータ22や制御装置27等が動作するための電源電圧として供給される。例えば室内に設置する植物型家電10は、日中の窓から室内に入り込む太陽光を太陽電池モジュール132で受け、蓄電池18に充電する。よって、ユーザは、例えば日中は植物型家電10を日当たりのよい窓際やベランダ等に置くことにより、効率よく太陽電池モジュール132で太陽光発電し、その電力を鉢部11の中の蓄電池18に蓄えることができる。さらに、複数の葉部13をらせん配置することで、各葉部13に設けた太陽電池モジュール132は、より効率よく受光し、発電できる。本実施形態では、葉部13に太陽電池モジュール132を配置したことで、あたかも植物が光合成に栄養を得ている感じを醸し出すことができ、より観葉植物らしさがでて、ユーザの親近感が増す。
【0034】
なお、本実施形態では、電源制御回路17が蓄電池18に充電し、制御装置27が蓄電池18から直接電力供給を受けるようにしているが、例えば、電源制御回路17が充放電回路等を備え、蓄電池18に充電しつつ、蓄電池18に蓄えた電力や太陽電池モジュール132から受けた電力をそのまま制御装置27等に電源供給するように構成するなど、各種の構成をとれる。
【0035】
制御装置27は、例えばCPU,ROM,RAM、フラッシュメモリ、各種の周辺回路、インタフェース等を備えるマイコンを備える。制御装置27は、電源ONに伴い蓄電池18からの電源供給がなされ動作を開始する。制御装置27は、ROMに記録されたブートローダーによって、フラッシュメモリに記録されたOSとアプリケーションプログラムをRAM上に展開し、RAM上のOS及びアプリケーションプログラムを実行することで、以下に示す各種の処理を実行し、各種の機能を実現する。
【0036】
制御装置27は、スイッチ部26からの指示に従い、花部15の動作を制御する。具体的には、花弁151を開閉させたり、発光部155の発光/消灯させたりする。すなわち、スイッチ部26がOFFのときは例えば
図1(a)に示すように花部15は閉じた姿態となり、発光部155も消灯する。この状態からスイッチ部26がタッチされてONになると、そのON指令を受け付けた制御装置27は、第1駆動モータ22を制御し、所定方向に回転させて第1の紐21を時計回りに引っ張るように動作させる。これに伴い花弁151が徐々に開く。また、制御装置27は、第1駆動モータ22を回転動作させるとともに、発光部155を点灯する。これにより、発光部155から出謝される光は、徐々に開く花部15から外に漏れ、更に花弁151が全開すると、花部15の中央で発光部155が点灯した状態となり、夜間の照明器具として機能する。花弁151が開いている途中は、花部15の開口面積が徐々に広くなり、発光部155の光が漏れ出る量が徐々に増加し、明るさが増していく。
【0037】
一方、花部15が開き、発光部155が点灯している状態でスイッチ部26がタッチされてOFF指令を受け付けた制御装置27は、第1駆動モータ22を上記と逆方向に回転させ、第1の紐21を反時計回りに引っ張るように動作させる。これに伴い花弁151が徐々に閉じる。また、制御装置27は、花部15が閉じて第1駆動モータ22の回転動作を停止させるとともに、発光部155を消灯する。このようにすることで、花弁151が閉じている動作の途中は、花部15の開口面積が徐々に狭くなり、花部15からの光が徐々に暗くなり、花部15が閉じると照明も消える。
【0038】
本実施形態では、発光部155のLED照明は、ON/OFFの制御で点灯時の明るさは一定にしたが、花弁151の開度により調光と同様の効果が発揮する。そして、本実施形態では、花部15の開き具合により明るさが変化するので、その明るさが生命力、活力の程度とリンクし、閉じた状態から開いた状態に遷移する際には花部が徐々に力強さが増していき、逆に開いた状態から閉じた状態に遷移する際には花部の生命力が徐々に弱まっている感じを醸し出すことができ、ユーザに植物型家電10が生きている感じを与えることができる。
【0039】
また、本実施形態では、スイッチ部26は、ON/OFFの2値の切り替えを行うものとし、花弁151も全閉状態と全開状態の2つの姿勢の間を遷移し、点灯時のLED照明の明るさも一定としたが、本発明はこれに限ることはなく、例えばスイッチ部26に調光指示を与える機能を持たせ、点灯状態の花部15の明るさを調整可能とするとよい。係る調光は、例えばLED照明の明るさを変更するようにしてもよいが、上述した実施形態と同様にLED照明の明るさを一定にし、花弁151の開度すなわち花部15の開き具合を変更することで調光するとよい。例えば、花部15が、3分咲き、5分咲き、8分咲き等にすることで明るさが変わると、花部15の姿態と明るさの変化がリンクして風情、味わいがでるのでよい。また、そのように花弁151の開度にあわせてLED照明の明るさも変化させるようにすると、花部15の姿態の変化に対する明るさの変化を顕著に表現できるのでより好ましい。
【0040】
このように、本実施形態の植物型家電10は、日中に太陽光発電により蓄えた電力を用いて、夜間タッチセンサーからなるスイッチ部26に触れると電源がオンになり、花を咲かせて照明になる。そして再度タッチセンサーに触れると電源がオフになり、花を閉じ消灯する。このように照明機能が、花部15(花弁151)の開閉に連動して発光部155の点灯/消灯を制御するようにしたので、植物型家電10は、無機質な照明器具ではなく、趣、風情があり、生命感のある観葉植物らしさを生じるのでよい。特に、太陽光発電を行う太陽電池モジュール132を葉部13に設けたため、光合成をして活力が生じる植物らしさがより高まる。さらに、本実施形態では、葉部13以外に太陽電池モジュールを設けないため、上記の光合成の様子がより高まる。
【0041】
さらに本実施形態では、昼間に葉部13に取り付けた太陽電池モジュール132を用いて太陽光発電により得られた電力を蓄電池18に蓄電し、その蓄電した電力を用いてその日の夜間などにおいて照明機能を動作させる。よって、例えば昼間に太陽光発電を適切に行えないと、夜間に照明機能を発揮できないおそれがある。例えば、ユーザが、植物型家電10を窓際などに移動せず、植物型家電10を室内の奥など太陽光が充分に葉部13に照射されない場所等に置きっぱなしにするなど放置し、手入れをしない場合には、照明として使用できない事態を発生する。一方、ユーザが植物型家電10を昼間は窓際等に移動し、夜間は室内の適宜の位置に戻す作業を行うと、しっかり照明として機能する。このように実際の植物と同様に世話や手入れ等を手間暇かけると元気になり、放置すると枯れるなどして動作しなくなるので、本物の観葉植物を育てている感じがでるのでよい。
【0042】
上述した実施形態では、第1駆動モータ22を鉢部11内に配置したが、本発明はそれに限ることはなく、例えば小型のモータを花部15の例えば萼153内に配置し、蓄電池18及びまたは制御装置27等と接続する電源供給用並びに制御用のコードを第1の茎部121内に介して配線するとよい。このようにすると、時計回り並びに反時計回りに移動する第1の紐21を第1の茎部121内に挿入配置しなくてもよく、例えば、第1の紐21が第1の茎部121内でこすれて摩耗したり、絡まったりするおそれがなくなるのでよい。
【0043】
また、花弁151の枚数は、本実施形態では5枚にしたが、その枚数は任意であり、多くてもよいし少なくてもよい。但し、少なすぎると、花の開きが少なくなり、多すぎると開くために必要な力が大きくなり、モータに負担がかかり消費電力も多くかかるので、実施形態のように5枚が最も好ましい。
【0044】
家電の出力機能として、上述した実施形態では、LED照明を用いた発光部155としたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば
図14,
図15に示すように、スピーカー157などを用いるとよい。スピーカー157は、支持機構154の上面側の中央部位に設置する。スピーカー157に電気的に接続される電気コード25は、第1の茎部121内を通り、第1の茎部121の下端から外部に引き出される。そして、その電気コード25は、鉢部11内の制御装置27に接続される。
【0045】
一方、鉢部11には、USBジャック29を配置する(
図16参照)。このUSBジャック29は、制御装置27に接続されており、このUSBジャック29に、音源を保存したUSBメモリを装着することで、制御装置27がその音源を取り込み、スピーカー157から出力する機能を備える。またUSBジャック29は、鉢部11の1つの側壁112に露出しており、ユーザは、植物型家電10の外から、音源が入ったUSBメモリ50をUSBジャック29に着脱できる。
【0046】
係る構成のスピーカー157を備えた植物型家電10は、上述した発光部155を備えたものと同様にスイッチ部26のON操作に伴い、制御装置27は、第1駆動モータ22を動作させて花部15を開く動作を開始するとともに、USBメモリ50に保存された音源をスピーカー157に出力する。このように、制御装置27は、花部15が開き始めたら音を再生する。一方、音の再生中にスイッチ部26が押されてOFF指令を受けると、制御装置27は第1駆動モータ22を動作させて花部15を閉じる動作を開始し、花部15が完全に閉じたら消音する。
【0047】
音のボリュームは、花弁151の開閉動作にあわせてスピーカー157~出力される音量事態を変更してもよいが、例えば音量を一定にし、花弁151の開き加減(3分咲き、5分咲き、8分咲き等)で花部15の外に伝わる音量が変化するようにするとよい。すなわち、花弁151の開き具合が小さい場合、音が花部15の内部にこもり、外に伝わる量が制限されることでユーザは小さく聞こえ、花弁151の開き具合が大きくなると、花部15の外に伝わる量も大きくなり、ユーザは大きく聞こえるようにするとよい。
【0048】
また、音源は、USBメモリに限ることはなく、例えば、スマートフォンの端子を、USBケーブルを介してUSBジャック29に接続し、スマートフォンから出力される音をスピーカー157から流すようにしてもよく、音源は各種のものを用いることができる。
【0049】
更に本実施形態では、USBジャック29は3個備え、そのうちの1個は上述した音源用としている。それ以外のUSBジャックは、出力端子として使用し、接続した外部機器(携帯端末やラジオなどUSBケーブルで繋がるもの)へ充電する機能を備えるとよい。係る機能を備えるためには、例えば、制御装置27に放電回路を備え、その放電回路を出力端子としてのUSBジャック29に接続する。そして、制御装置27は、係るUSBジャック29に外部機器が接続されたことを検知すると、蓄電池18に蓄電された電力に基づき、外部機器に対して電力供給をする。これにより、例えば、非常時の充電用として使用できる。
【0050】
本実施形態では、鉢部11の側面に扉部113を設け、扉部113を開くことで、鉢部11内に実装した機器類が露出する。これにより、機器類の点検や調整並びに修理等が行えるようにしている。さらに、本実施形態では、USBジャック29は、鉢部11の側壁112に露出させるようにしたが、鉢部11の内部に配置し、鉢部11の側面に設けた扉部113を開けるとUSBジャック29が露出し、USBメモリ50や外部機器を装着できるようにしてもよい。このようにすると、使用中においてUSBメモリ50が鉢部11の外に突出していないため、誤ってUSBメモリ50に触れて損傷等するおそれがないのでよい。
【0051】
また昨今、コミュニケーションをとれる人型ロボットや動物型ロボットが家庭内に提供され、癒やし効果を発揮することが行われているが、動物が苦手で、どちらかというと植物のほうが好きな人もいる。例えば毎日植物に水をやり、話しかけ、植物とのコミュニケーションを楽しむ人にとって、例えば配置をこまめに移動するなど世話が必要な植物型家電10は好ましい。
【0052】
さらに、単に場所の移動だけではなく、手間暇をかけて世話をするコミュニケーションをとるための機能として、水やり行為に近似させた光シャワーをかける機能を備えるとよい。すなわち、この実施形態では、人が世話をすることにより、より発電力をアップできる仕組みを構築している。
【0053】
すなわち、
図17に示すように、例えばシャワーヘッド30に発光部31を実装する。シャワーヘッド30の根元側には、ホースに見立てた電源ケーブル33の一端を接続し、その一端は発光部31に接続され、導通する。一方、電源ケーブル33の他端にはプラグ34を取り付ける。このプラグ34をコンセントに挿入することで、発光部31に通電可能な状態となり、シャワーヘッド30に設けたスイッチ(図示省略)を操作して電源をONにすることで、発光部31は点灯する。
【0054】
発光部31は、例えば蛍光灯や白熱灯などの光量が大きい照明や、紫外線ランプなどを用いるとよい。光量が大きいとは、例えば太陽電池モジュール132による発電が行える光量とするとよい。さらに発光部31は、例えば、ユーザが視認可能な所定の色を発するようにするとよい。このように所定の色を発することで、ユーザは、葉部13が、光のシャワーを浴びていることが直感的に理解できるのでよい。所定の色の光は、シャワーヘッド30の発光部31から出射させる全ての光が色を有している必要はなく、例えば、一本或いは複数本のレーザー光等をあわせて出力し、所定本数の光線が葉部13に照射されるようにすることで、その他の無色透明の発電用の光が太陽電池モジュール132に照射されていることを体感できる。
【0055】
そして、
図17(a)に示すように、ユーザ60は、シャワーヘッド30の発光部31を点灯させた状態で、発光部31からの光を太陽電池モジュール132に照射する。このように発光部31を備えたシャワーヘッド30を用いて光のシャワーを太陽電池モジュール132に浴びせることにより、発電量がアップし、蓄えられる電力が増える。よって、例えば照明やスピーカーの稼働時間を増すことができる。また、
図17に示すように複数の花部15を備え、その複数の花部15に実装した照明やスピーカーを同時に稼働させることができる。
【0056】
また、制御装置27は、植物型家電10に対するユーザの世話のかけ方に応じて、電源ON時の動作を変える機能を備えるとよく、世話を掛けるほど、例えば観葉植物が元気になる状態を表すようにするとよい。元気になる状態は、例えば花部15の開き具合を変えるとよい。例えば、光シャワーによる世話を行わない場合、花部15の開き具合を例えば3分咲きや5分咲きなどにし、光シャワーによる世話を適度に行っている場合、8分咲きや満開等にするとよい。光シャワーによる世話を行っているか否かや、世話を行っている程度は、例えば蓄電池18の充電容量や容量の変移に基づいて簡易的に推定し判断してもよい。例えば、充電容量が大きい場合には、光シャワーを併用してしっかり世話を行っていると判断する。また、例えば、個々の葉部13に設けた太陽電池モジュール132の発電量を記録し、特定の太陽電池モジュールの発電量が大きい場合には、光シャワーによる世話を行っていると判断し、係る状態の継続時間の累積に基づき、世話の程度を判断するとよい。太陽光は各葉部13の太陽電池モジュール132に比較的均等に照射されるため、個々の太陽電池モジュール132の発電量のばらつきも小さい。一方、光シャワーは、一部の太陽電池モジュール132に照射されるため、照射されている太陽電池モジュールの発電量は、太陽光に基づくベース部分に光シャワーによる発電量が加算されたものとなる。よって、全ての太陽電池モジュール132の発電量が一定の範囲内にある場合には光シャワーによる世話が行われていないと判断する。一方、一部の太陽電池モジュールの発電量が大きい場合、制御装置27は、光シャワーによる世話による発電が行われていると判断する。そして、制御装置27は、世話が行われている時間を積算し、世話の程度を求めるとよい。
【0057】
また、本実施形態では、
図17(a)に示すように基本はユーザ60が光シャワーのシャワーヘッド30を手に持って使うが、例えば
図18に示すように、室内の壁37に設置したフック38にシャワーヘッド30を取り付け、壁掛けの態様で光シャワーを植物型家電10の葉部13の太陽電池モジュール132に浴びさせるようにしてもよい。このようにすると、手が使えない時も世話が可能となる。
【0058】
この実施形態では、咲く花の数や開き具合(5分咲き・8分咲き)が変わることにより、世話をした時間分が反映され、コミュニケーションが取れていることを実感できる。一方、実際の植物では、水やりをしすぎるなど世話をしすぎると、植物が弱ることがある。そこで、係る状況を植物型家電10でも再現し、例えば所定期間中における光シャワーによる発電が行われている時間や、光シャワーによる発電量に基づき、例えばしきい値処理を行い、しきい値を超えた場合には、制御装置27は、スイッチ部26によりON操作されて照明を付けたり音を流したりするための制御を行う際に、観葉植物が元気がなくなる姿態になるように制御するとよい。この元気がなくなる姿態は、例えば、花の開き具合を調整し、例えば、通常は満開(充電状況に応じて5分咲き・8分咲きを採用してもよい)とした場合には、通常よりも開き具合を小さくする(例えば3分咲き)とよい。この場合に、全く開かないと、故障したのかとの疑義を生じさせるおそれがあるので、少し開くようにするとよい。
【0059】
また、
図17に示すように、花部15を複数備えた植物型家電10では、世話のしすぎに伴う姿態の変化は、咲く花の数を少なくしてもよいが、複数の花は、開き具合は同じの方がよいので、花部15を複数備える場合には、開き具合を同じにして適宜調整するとよい。
【0060】
世話のしすぎの判断は、上述した例では、光シャワーに基づく充電の状況(充電時間や、発電量等)に基づいて行うようにしたが、例えば蓄電池18の状況から過充電状態か否かにより判断するようにしてもよい。このように蓄電池18の残容量に基づいて判断すると、判断制御が簡易に行える。また、実際の水やりのしすぎによる枯れは、鉢の中の水分量が多いことに伴う根腐れ等に起因することから、この水分量が多いことが過充電とマッチするのでよい。
【0061】
また、上述したように光シャワーにより世話をしすぎた場合に、例えば図示省略するリセットボタンを設け、そのリセットボタンを押すことで次回から通常の動作を行えるようにしてもよいが、例えば所定期間(例えば一日)は光シャワーによる水やり行為を停止するなど、世話をしないことで、正常な動作を行うようにするとよい。
【0062】
また上述した実施形態では、光照射手段としてシャワーヘッドの形態を模した光シャワーを用いて構成したが、じょうろその他の水まきに使用する器具、機材の外観を模したものを適用するとよい。
【0063】
図19から
図21はさらに別の実施形態を示している。本実施形態では、花部15を取り付ける第1の茎部121の上方区間側の湾曲の程度を調整可能にし、花首の角度を変えることで花部15の角度を変更可能にした。例えば植物がしおれると、花首が垂れて花部が下を向くことがあり、一方、植物に水をしっかりあげて元気になると花首が立ち、花部も上を向く現象が生じる。本実施形態では、係る現象を再現し、植物型家電10が生きている感じを醸し出し、さらに、ユーザの世話の程度に応じてその姿態を変化させることで、コミュニケーションを取っている感じを与えることができるようにした。
【0064】
例えば、第1の茎部121を、下端側から大部分を構成する本体部分となる第1チューブ1211と、その第1チューブ1211の上端に連結する可撓性を有する第2チューブ1212と、その第2チューブ1212の上端に連結する直管状の第3チューブ1213を有するように構成する。第1チューブ1211と第3チューブ1213は、相対的に剛性を有し、その形状を維持する。第1チューブ1211と第2チューブ1212と第3チューブ1213は、それぞれ両端開口しており、全体で一本のつながった管状となり、花弁151を開閉するための第1の紐21は、内部を通り、その先端が第1駆動モータ22側の第1駆動プーリ23に連携され、第1駆動モータ22の回転に伴い花弁151は開閉する。
【0065】
本実施形態では、第2チューブ1212が可撓性を有している。図示の例ではアルミニウム製の蛇腹状のチューブとし、形状から可撓するようにしたが、例えばゴムや樹脂など材質の性能により可撓するようにしてもよい。このように第2チューブ1212の湾曲する角度等を変更可能としているため、当該角度等を変えることで、第3チューブ1213ひいてはその第3チューブ1213に取り付けられた花部15の角度を変更可能にする。
【0066】
花首の上下、つまり第2チューブ1212の角度を変える機構は、第1の茎部121の中の第2の紐41で制御するようにした。すなわち、第2の紐41の一端を紐止めにより第3チューブ1213に固定し、第2の紐41の他端を第1の茎部121から外部に引き出し、鉢部11内の第2駆動モータ42により回転する第2駆動プーリ43に取り付ける。そして、可撓性を有する第2チューブ1212は、花部15の自重により、第3チューブ1213が下降移動する方向に付勢されており、常時その上端側が垂れる方向に付勢される。そして、その第2チューブ1212の湾曲の程度すなわち花首(例えば第2チューブ1212の部分)ひいては花部15の角度は、第2の紐41によりつながる第2駆動プーリ43の回転角度位置とのバランスにより決まる。よって、例えば
図21(b)に示すように、花首が下向き30度が基準姿勢になるように第2の紐41の長さが調整されている状態において、第2駆動モータ42を所定方向に回転させると、それに伴い第2駆動プーリ43も回転し、第2駆動プーリ43に巻き取られていた第2の紐41が繰り出され、第2チューブ1212の湾曲の程度が大きくなり花首が例えば下向き60度に遷移する(
図21(a)参照)。一方、基準姿勢から第2駆動モータ42が上記と逆方向に回転すると、第2の紐41を巻き取り、例えば基本姿勢から75度持ち上がると花首は上向き45度に遷移する(
図21(c)参照)。
【0067】
このように、第2駆動モータ42により第2の紐41の先端を引っ張ると花首が上がり、第2の紐41を緩めると花首が下がる構成を備えたため、制御装置27は、花部15に実装した出力機能(照明、スピーカー等)のON/OFF、花部15の開閉動作に加え、花首の上下の制御を行う機能を備える。すなわち、例えばスイッチ部26のタッチセンサーに触れて電源がオンになると、制御装置27は、第2駆動モータ42を動作させ、30度下向きの基準姿勢の花首が75度上がって花部15を上向きの姿勢にし、次いで、第1駆動モータ22の動作を制御し、花弁151を開くとともに発光部155を点灯する。これにより、照明として機能する。そして、このように発光部155が点灯している状態でスイッチ部26が再度タッチされると、電源をオフにする処理を行う。すなわち、制御装置27は、第1駆動モータ22を上記と逆方向に回転させて花弁151を閉じ、完全に閉じた状態になると発光部155を消灯する。その後、第2駆動モータ42を上記と逆方向に回転させて花首を垂れさせて元通りの30度下に向ける。
【0068】
さらにこのように花首の上下を行う機構を、人が世話をしすぎた場合の観葉植物が元気がなくなる姿態に利用するとよい。すなわち、電源がOFFで
図21(b)に示す基本姿勢にあるとき、スイッチ部26がタッチされて電源ON指令を受け付けると、制御装置27は、蓄電池18の充電状態及びまたは光シャワーの使用実績等に基づきユーザが世話をしすぎていないかを判断し、例えば世話をしすぎの場合には、第2駆動モータ42を動作させ、30度下向きの花首がさらに60度まで下向きになる制御を行う一方、花弁151は動かずに花は咲かないとともに発光部155の点灯も行わない制御にするとよい。このようにすると、世話をしすぎて枯れたり弱ったりしている感じを適切に表すことができ、ユーザも親近感を覚える。また、
図21(a)の状態では、発光部155は動作しないようにするとよい。世話をしすぎた場合、花部15が閉じて消灯したままだと、故障と誤判定してしま可能性があるが、本実施形態では、花首が動くのでかかる問題はない。
【0069】
上述した説明では、発光部155に適用した例を示したが、発光部155に換えてスピーカーに適用した場合も同様に行える。なおその他の構成並びに作用効果は上述した各実施形態と同様のため、対応する部材に同一符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0070】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0071】
10 :植物型家電
11 :鉢部
12 :茎部
121 :第1の茎部
1211 :第1チューブ
1212 :第2チューブ
1213 :第3チューブ
122 :第2の茎部
123 :第3の茎部
13 :葉部
132 :太陽電池モジュール
15 :花部
151 :花弁
152 :花冠
153 :萼
154 :支持機構
155 :発光部
156 :萼片
157 :スピーカー
16 :電気コード
17 :電源制御回路
18 :蓄電池
19 :回転軸
20 :グロメット
21 :第1の紐
22 :第1駆動モータ
23 :第1駆動プーリ
26 :スイッチ部
27 :制御装置
29 :USBジャック
30 :シャワーヘッド
31 :発光部
33 :電源ケーブル
41 :第2の紐
42 :第2駆動モータ
43 :第2駆動プーリ
【要約】 (修正有)
【課題】人工の植物でありながら、生きている感じを発揮することができる植物型家電を提供する。
【解決手段】室内に設置される植物型家電であって、鉢部11と、鉢部の上面から上方に向けて延びる茎部12と、その茎部に取り付けられた葉部13と花部15を備える。葉部は太陽電池モジュール132を有する。鉢部には、太陽電池モジュールで発電した電力を蓄える蓄電池18を有し、花部は、蓄電池に蓄えられた電力を用いて開閉する複数枚の花弁151と、その花弁の内部に配置され蓄電池に蓄えられた電力を用いて発光する発光部155を備える。制御装置は、花弁の開閉を制御するとともに、花弁が開いた状態で発光部が点灯し、花弁が閉じた状態で消灯するように制御する。
【選択図】
図2