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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】ガラス及びガラス加工方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/02 20060101AFI20220714BHJP
   B24B 9/00 20060101ALI20220714BHJP
   B24B 9/10 20060101ALI20220714BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20220714BHJP
   C03C 17/32 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
C03B33/02
B24B9/00 601B
B24B9/10 E
B32B17/10
C03C17/32 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020058451
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021127283
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】P 2020023808
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591243860
【氏名又は名称】日昌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】東田 隆亮
(72)【発明者】
【氏名】後藤 安延
(72)【発明者】
【氏名】園辺 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 清広
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 学
(72)【発明者】
【氏名】窪津 正次郎
(72)【発明者】
【氏名】清田 早智
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-165379(JP,A)
【文献】特開2012-111661(JP,A)
【文献】特開2014-221701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0354996(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B33/00-33/14
B24B9/00-9/20
B23K26/00-26/70
B32B17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
C面の面取りを施した端部を有するガラスであって、
前記ガラスは、
ガラス本体と、
前記ガラス本体の表面に形成された強化層と、
前記強化層の表面に貼合された保護フィルムと、を有し、
前記保護フィルムは、前記強化層のC面頂点を基点とした箇所が除去され、
前記強化層は、該強化層のC面頂点箇所が除去されてなるガラス。
【請求項2】
C面の面取りを施した端部を有するガラスであって、
前記ガラスは、
ガラス本体と、
前記ガラス本体の表面に形成された強化層と、
前記強化層の表面に貼合された保護フィルムと、を有し、
前記保護フィルムは、前記強化層のC面頂点を含む所定内側箇所が除去され、
前記強化層は、該強化層のC面頂点の基点より所定内側にある箇所が除去されてなるガラス。
【請求項3】
C面の面取りを施した端部を有するガラスであって、
前記ガラスは、
ガラス本体と、
前記ガラス本体の表面に貼合された保護フィルムと、を有し、
前記保護フィルムは、前記ガラス本体のC面頂点を基点とした箇所が除去され、
前記ガラス本体は、該ガラス本体のC面頂点箇所が除去されてなるガラス。
【請求項4】
C面の面取りを施した端部を有するガラスであって、
前記ガラスは、
ガラス本体と、
前記ガラス本体の表面に貼合された保護フィルムと、を有し、
前記保護フィルムは、前記ガラス本体のC面頂点を含む所定内側箇所が除去され、
前記ガラス本体は、該ガラス本体のC面頂点の基点より所定内側にある箇所が除去されてなるガラス。
【請求項5】
ガラス本体の表面に強化層を形成し、
前記強化層が形成されたガラス本体の端部にC面の面取りを施し、
前記C面の面取りを施した前記強化層の表面に保護フィルムを貼合した後、
前記強化層のC面頂点を基点とした前記保護フィルムの箇所を除去すると共に、前記強化層のC面頂点箇所にある該強化層を除去してなるガラス加工方法。
【請求項6】
ガラス本体の表面に強化層を形成し、
前記強化層が形成されたガラス本体の端部にC面の面取りを施し、
前記C面の面取りを施した前記強化層の表面に保護フィルムを貼合した後、
前記強化層のC面頂点を含む所定内側箇所にある前記保護フィルムを除去すると共に、前記強化層のC面頂点の基点より所定内側にある箇所の該強化層を除去してなるガラス加工方法。
【請求項7】
ガラス本体の端部にC面の面取りを施し、
前記C面の面取りを施した前記ガラス本体の表面に保護フィルムを貼合した後、
前記ガラス本体のC面頂点を基点とした前記保護フィルムの箇所を除去すると共に、前記ガラス本体のC面頂点箇所にある該ガラス本体を除去してなるガラス加工方法。
【請求項8】
ガラス本体の端部にC面の面取りを施し、
前記C面の面取りを施した前記ガラス本体の表面に保護フィルムを貼合した後、
前記ガラス本体のC面頂点を含む所定内側箇所にある前記保護フィルムを除去すると共に、前記ガラス本体のC面頂点の基点より所定内側にある箇所の該ガラス本体を除去してなるガラス加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C面の面取りを施した端部を有するガラス及びガラス加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用表示パネル等に、例えば、特許文献1に記載のようなガラスが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2009/025289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図6(a)に示すように、従来のガラス100Aは、表面に強化層3が形成されたガラス本体2に対して、C面の面取りが施されると、クラックやチッピング等の脆弱部分Zが生じることとなる。この際、プレスで打ち抜き加工された保護フィルム4が強化層3の表面に貼合されることとなるが、加工精度の観点から、図6(a)に示すように、強化層3の端部3aよりも若干内側部分までしか貼合することができず、もって、脆弱部分Zのガラスの飛散を防止できないという問題があった。
【0005】
さらに、図6(b)に示す従来のガラス100Bに示すように、強化層3の端部3aまで、プレスで打ち抜き加工された保護フィルム4を強化層3の表面に貼合できたとしても、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走ると、そのクラックが原因で、保護フィルム4の端部(強化層3の端部3a側)が捲れ上がってしまうこととなる。しかして、このような事態となると、外観上重大な欠陥となるばかりか、ガラスの飛散を防止できないという問題があった。なお、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、従来のガラス100Aにおいても、保護フィルム4の端部(強化層3の端部3a側)が捲れ上がってしまうこととなるから同様の問題が生じることとなる。
【0006】
一方、図7(a)に示すように、従来のガラス100Cは、表面に強化層3が形成されていないガラス本体2に対して、C面の面取りが施されると、クラックやチッピング等の脆弱部分Zが生じることとなる。この際、プレスで打ち抜き加工された保護フィルム4がガラス本体2の表面に貼合されることとなるが、加工精度の観点から、図7(a)に示すように、ガラス本体2の端部2aよりも若干内側部分までしか貼合することができず、もって、脆弱部分Zのガラスの飛散を防止できないという問題があった。
【0007】
さらに、図7(b)に示す従来のガラス100Dに示すように、ガラス本体2の端部2aまで、プレスで打ち抜き加工された保護フィルム4をガラス本体2の表面に貼合できたとしても、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走ると、そのクラックが原因で、保護フィルム4の端部(ガラス本体2の端部2a側)が捲れ上がってしまうこととなる。しかして、このような事態となると、外観上重大な欠陥となるばかりか、ガラスの飛散を防止できないという問題があった。なお、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、従来のガラス100Cにおいても、保護フィルム4の端部(ガラス本体2の端部2a側)が捲れ上がってしまうこととなるから同様の問題が生じることとなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、ガラス飛散のリスクを低減させることができるガラス及びガラスの加工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1のガラスによれば、C面の面取りを施した端部を有するガラス(1)であって、
前記ガラス(1)は、
ガラス本体(2)と、
前記ガラス本体(2)の表面に形成された強化層(3)と、
前記強化層(3)の表面に貼合された保護フィルム(4)と、を有し、
前記保護フィルム(4)は、前記強化層(3)のC面頂点(O)を基点とした箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)が除去され、
前記強化層(3)は、該強化層(3)のC面頂点(O)箇所(3a1)が除去されてなることを特徴としている。
【0011】
請求項2のガラスによれば、C面の面取りを施した端部を有するガラス(1A)であって、
前記ガラス(1A)は、
ガラス本体(2)と、
前記ガラス本体(2)の表面に形成された強化層(3)と、
前記強化層(3)の表面に貼合された保護フィルム(4)と、を有し、
前記保護フィルム(4)は、前記強化層(3)のC面頂点(O)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)が除去され、
前記強化層(3)は、該強化層(3)のC面頂点(O)の基点より所定内側にある箇所(3a1A)が除去されてなることを特徴としている。
【0012】
請求項3のガラスによれば、C面の面取りを施した端部を有するガラス(1B)であって、
前記ガラス(1B)は、
ガラス本体(2)と、
前記ガラス本体(2)の表面に貼合された保護フィルム(4)と、を有し、
前記保護フィルム(4)は、前記ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を基点とした箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)が除去され、
前記ガラス本体(2)は、該ガラス本体(2)のC面頂点(O1)箇所(2a1)が除去されてなることを特徴としている。
【0013】
請求項4のガラスによれば、C面の面取りを施した端部を有するガラス(1C)であって、
前記ガラス(1C)は、
ガラス本体(2)と、
前記ガラス本体(2)の表面に貼合された保護フィルム(4)と、を有し、
前記保護フィルム(4)は、前記ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)が除去され、
前記ガラス本体(2)は、該ガラス本体(2)のC面頂点(O1)の基点より所定内側にある箇所(2a1C)が除去されてなることを特徴としている。
【0014】
請求項5のガラス加工方法によれば、
ガラス本体(2)の表面に強化層(3)を形成し(図2(a)参照)、
前記強化層(3)が形成されたガラス本体(2)の端部にC面の面取りを施し(図2(b)参照)、
前記C面の面取りを施した前記強化層(3)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後(図2(c)参照)、
前記強化層(3)のC面頂点(O)を基点とした前記保護フィルム(4)の箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)を除去すると共に、前記強化層(3)のC面頂点(O)箇所(3a1)にある該強化層(3)を除去してなることを特徴としている。
【0015】
請求項6のガラス加工方法によれば、
ガラス本体(2)の表面に強化層(3)を形成し(図2(a)参照)、
前記強化層(3)が形成されたガラス本体(2)の端部にC面の面取りを施し(図2(b)参照)、
前記C面の面取りを施した前記強化層(3)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後(図2(c)参照)、
前記強化層(3)のC面頂点(O)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)にある前記保護フィルム(4)を除去すると共に、前記強化層(3)のC面頂点(O)の基点より所定内側にある箇所(3a1A)の該強化層(3)を除去してなることを特徴としている。
【0016】
請求項7のガラス加工方法によれば、
ガラス本体(2)の端部(2a)にC面の面取りを施し、
前記C面の面取りを施した前記ガラス本体(2)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後、
前記ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を基点とした前記保護フィルム(4)の箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)を除去すると共に、前記ガラス本体(2)のC面頂点(O1)箇所にある該ガラス本体(2)を除去してなることを特徴としている。
【0017】
請求項8のガラス加工方法によれば、
ガラス本体(2)の端部(2a)にC面の面取りを施し、
前記C面の面取りを施した前記ガラス本体(2)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後、
前記ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)にある前記保護フィルム(4)を除去すると共に、前記ガラス本体(2)のC面頂点(O1)の基点より所定内側にある箇所(2a1C)の該ガラス本体(2)を除去してなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
請求項1の発明によれば、保護フィルム(4)は、強化層(3)のC面頂点(O)を基点とした箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)が除去され、強化層(3)は、該強化層(3)のC面頂点(O)箇所(3a1)が除去されているから、強化層(3)のC面頂点(O)側の脆弱部分(Z)が除去されることとなる。これにより、強化層(3)の端部(3a)側まで保護フィルム(4)を貼合することが可能となるから、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、保護フィルム(4)は、強化層(3)のC面頂点(O)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)が除去され、強化層(3)は、該強化層(3)のC面頂点(O)の基点より所定内側にある箇所(3a1A)が除去されているから、脆弱部分(Z)が起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、強化層(3)のC面頂点(O)の基点より所定内側にある箇所(3a1A)の除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、強化層(3)の端部(3a)側の保護フィルム(4)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、保護フィルム(4)は、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を基点とした箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)が除去され、ガラス本体(2)は、該ガラス本体(2)のC面頂点(O1)箇所(2a1)が除去されているから、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)側の脆弱部分(Z)が除去されることとなる。これにより、ガラス本体(2)の端部(2a)側まで保護フィルム(4)を貼合することが可能となるから、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、保護フィルム(4)は、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)が除去され、ガラス本体(2)は、該ガラス本体(2)のC面頂点(O1)の基点より所定内側にある箇所(2a1C)が除去されているから、脆弱部分(Z)が起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)の基点より所定内側にある箇所(2a1C)の除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、ガラス本体(2)の端部(2a)側の保護フィルム(4)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、C面の面取りを施した強化層(3)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後(図2(c)参照)、強化層(3)のC面頂点(O)を基点とした保護フィルム(4)の箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)を除去すると共に、強化層(3)のC面頂点(O)箇所(3a1)も除去しているから、強化層(3)の端部(3a)側まで保護フィルム(4)を貼合することが可能となり、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0024】
請求項6の発明によれば、C面の面取りを施した強化層(3)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後(図2(c)参照)、強化層(3)のC面頂点(O)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)の保護フィルム(4)を除去すると共に、強化層(3)のC面頂点(O)の基点より所定内側にある箇所(3a1A)も除去しているから、脆弱部分(Z)が起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、強化層(3)のC面頂点(O)の基点より所定内側にある箇所(3a1A)の除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、強化層(3)の端部(3a)側の保護フィルム(4)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、C面の面取りを施したガラス本体(2)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を基点とした保護フィルム(4)の箇所(フィルム支持体4aの端部4a1、粘着層4bの端部4b1)を除去すると共に、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)箇所(2a1)も除去しているから、ガラス本体(2)の端部(2a)側まで保護フィルム(4)を貼合することが可能となり、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、C面の面取りを施したガラス本体(2)の表面に保護フィルム(4)を貼合した後、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)を含む所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、粘着層4bの端部4b1A)の保護フィルム(4)を除去すると共に、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)の基点より所定内側にある箇所(2a1C)も除去しているから、脆弱部分(Z)が起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、ガラス本体(2)のC面頂点(O1)の基点より所定内側にある箇所(2a1C)の除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、ガラス本体(2)の端部(2a)側の保護フィルム(4)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係るガラスの一部を示す断面図、(b)は、(a)の円部分の拡大断面図である。
図2】(a)~(d)は、同実施形態に係るガラスの加工工程を示す説明図である。
図3】他の実施形態に係るガラスの一部を示す断面図である。
図4】(a)は本発明の他実施形態に係るガラスの一部を示す断面図、(b)は、(a)の円部分の拡大断面図である。
図5】他の実施形態に係るガラスの一部を示す断面図である。
図6】従来のガラスの一部を示す断面図を示し、(a)は、保護フィルムを強化層の端部よりも若干内側部分まで貼合した状態を示し、(b)は、保護フィルムを強化層の端部まで貼合した状態を示す図である。
図7】他の従来のガラスの一部を示す断面図を示し、(a)は、保護フィルムをガラス本体の端部よりも若干内側部分まで貼合した状態を示し、(b)は、保護フィルムをガラス本体の端部まで貼合した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るガラスの一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0029】
図1(a)に示すように、ガラス1は、ガラス本体2と、強化層3と、保護フィルム4とで構成されている。このガラス本体2は、長尺状に形成されており、C面の面取りが端部2aに施されている。
【0030】
強化層3は、図1(a)に示すように、ガラス本体2の表面に形成されているもので、ガラス本体2に強化処理を施すことによって形成されており、C面の面取りが端部3aに施されている。そして、図1(b)に示すように、C面の面取りが施されている端部3aは、強化層3のC面頂点Oの箇所3a1が、除去されている。なお、強化処理としては、例えばイオン交換処理が挙げられる。
【0031】
保護フィルム4は、図1(a)に示すように、フィルム支持体4aの裏面に粘着層4b が一体に形成されたフィルムである。このフィルム支持体4aは、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等で形成されている。また、粘着層4bは、ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂等で形成されている。
【0032】
ところで、このように形成されている保護フィルム4は、図1(b)に示すように、強化層のC面頂点Oを基点としたフィルム支持体4aの端部4a1が除去され、さらに、強化層のC面頂点Oを基点とした粘着層4bの端部4b1が除去されている。
【0033】
かくして、上記のように構成されるガラス1は、以下のように加工することによって、生成される。
【0034】
すなわち、まず、図2(a)に示すように、ガラス本体2に強化処理を施すことによって、ガラス本体2の表面に強化層3を形成する。次いで、ガラス本体2の端部2a、及び、強化層3の端部3aに、C面加工を施す。これにより、図2(b)に示すように、ガラス本体2は、C面の面取りが端部2aに施され、強化層3は、C面の面取りが端部3aに施されることとなる。なお、この際、図2(b)に示すように、強化層3のC面頂点O側に、クラックやチッピング等の脆弱部分Zが生じることとなる。
【0035】
次いで、図2(c)に示すように、強化層3の表面に、保護フィルム4を貼合する。この際、保護フィルム4は、強化層3の端部3aより突出して貼合される。
【0036】
次いで、図2(c)に示す強化層3のC面頂点Oを基点として、レーザー加工や、機械加工等により、強化層3の端部3aに沿うように、保護フィルム4を除去すると共に、強化層3の一部を除去する。これにより、図1に示すように、強化層3のC面頂点Oの箇所3a1が除去され、さらに、強化層3のC面頂点Oを基点としたフィルム支持体4aの端部4a1が除去され、そしてさらに、強化層3のC面頂点Oを基点とした粘着層4bの端部4b1が除去されることとなる。しかして、図2(d)に示すように、強化層3のC面頂点O側の脆弱部分Zが除去されることとなる。
【0037】
かくして、上記のような加工を経て、ガラス1は、生成されることとなる。
【0038】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、強化層3のC面頂点Oを基点とした保護フィルム4の部分が除去され、さらに、強化層3のC面頂点Oの箇所3a1が除去されているから、強化層3のC面頂点O側の脆弱部分Zが除去されることとなる。これにより、保護フィルム4の端部(強化層3の端部3a側)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、強化層3の端部3a側まで保護フィルム4を貼合することが可能となるから、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。また、強化層3のC面頂点O側の脆弱部分Zを除去することにより、ガラス1の端面強度を回復させることもできる。
【0039】
一方、本実施形態によれば、強化層3の表面に保護フィルム4を貼合した後、強化層3のC面頂点Oを基点とした保護フィルム4の部分を除去すると共に、強化層3のC面頂点Oの箇所3a1も除去するようにしているから、強化層3の端部3a側まで保護フィルム4を貼合することが可能となり、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。また、強化層3のC面頂点O側の脆弱部分Zを除去することにより、ガラス1の端面強度を回復させることもできる。
【0040】
なお、本実施形態にて例示したガラスは、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、レーザー加工や、機械加工等を例示したが、レーザー加工が好ましい。レーザー加工すると、強化層3が溶かされて微小なクラックやチッピングが埋まるため、ガラス1の端面補強になるためである。
【0041】
また、本実施形態においては、レーザー加工や、機械加工等を行う際、強化層3のC面頂点Oを基点とする例を示したが、それに限らず、強化層3のC面頂点Oを基点として所定範囲、内側に入ったところを基点として、レーザー加工や、機械加工等を行うようにし、図3に示すようなガラス1Aを生成するようにしても良い。なお、図1及び図2と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0042】
図3に示すように、ガラス1Aは、図1(a)に比べ、より内側部分まで、強化層3のC面頂点Oを含む保護フィルム4の所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、及び、粘着層4bの端部4b1A)が除去される。そして、強化層3のC面頂点Oの基点より所定内側にある箇所3a1Aが除去されることとなる。
【0043】
しかして、この際、図3に示すように、脆弱部分Zが除去されないものの、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、強化層3のC面頂点Oの基点より所定内側にある箇所3a1Aの除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、保護フィルム4の端部(強化層3の端部3a側)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができることとなる。
【0044】
なお、図3に示すガラス1Aを生成する場合も、強化層3の表面に保護フィルム4を貼合した後(図2(c)参照)、レーザー加工や、機械加工等を行うこととなる。それゆえ、強化層3の表面に保護フィルム4を貼合した後、強化層3のC面頂点Oを含む所定内側箇所にある保護フィルム4を除去すると共に、強化層3のC面頂点Oの基点より所定内側にある箇所3a1Aの該強化層3を除去することとなるから、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走ったとしても、強化層3のC面頂点Oの基点より所定内側にある箇所3a1Aの除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、保護フィルム4の端部(強化層3の端部3a側)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【0045】
他方、本実施形態においては、ガラス本体2の表面に強化層3を形成する例を示したが、それに限らず、図4に示す強化層3を形成しないガラス本体2にも適用可能である。なお、図1及び図2と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0046】
すなわち、図4(a)に示すガラス1Bは、ガラス本体2の端部2aにC面加工が施されているものである。これにより、図7に示す従来と同様、ガラス本体2のC面頂点O1(図4(b)参照)側に、クラックやチッピング等の脆弱部分Zが生じることとなる。
【0047】
そして、このようなガラス本体2の表面に、図4(a)に示すように、保護フィルム4が貼合される。この際、図2(c)と同様、保護フィルム4は、ガラス本体2の端部2aより突出して貼合される。
【0048】
そしてさらに、図4(b)に示すガラス本体2のC面頂点O1を基点として、レーザー加工や、機械加工等により、ガラス本体2の端部2aに沿うように、保護フィルム4を除去すると共に、ガラス本体2の一部を除去する。これにより、図4(b)に示すように、ガラス本体2のC面頂点O1の箇所2a1が除去され、さらに、ガラス本体2のC面頂点O1を基点としたフィルム支持体4aの端部4a1が除去され、そしてさらに、ガラス本体2のC面頂点O1を基点とした粘着層4bの端部4b1が除去されることとなる。かくして、ガラス本体2のC面頂点O1側の脆弱部分Zが除去されることとなる。
【0049】
しかして、強化層3を形成しないガラス1Bであっても、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。そしてさらに、ガラス本体2のC面頂点O1側の脆弱部分Zを除去することにより、ガラス1の端面強度を回復させることもできる。
【0050】
一方、ガラス本体2のC面頂点O1を基点として所定範囲、内側に入ったところを基点として、レーザー加工や、機械加工等を行うようにし、図5に示すようなガラス1Cを生成することもできる。なお、図1図4と同一の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略することとする。
【0051】
図5に示すように、ガラス1Cは、図4(a)に比べ、より内側部分まで、ガラス本体2のC面頂点O1を含む保護フィルム4の所定内側箇所(フィルム支持体4aの端部4a1A、及び、粘着層4bの端部4b1A)が除去される。そして、ガラス本体2のC面頂点O1の基点より所定内側にある箇所2a1Cが除去されることとなる。
【0052】
しかして、この際、図5に示すように、脆弱部分Zが除去されないものの、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走った際、ガラス本体2のC面頂点O1の基点より所定内側にある箇所2a1Cの除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、保護フィルム4の端部(ガラス本体2の端部2a側)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができることとなる。
【0053】
なお、図5に示すガラス1Cを生成する場合も、ガラス本体2の表面に保護フィルム4を貼合した後、レーザー加工や、機械加工等を行うこととなる。それゆえ、ガラス本体2の表面に保護フィルム4を貼合した後、ガラス本体2のC面頂点O1を含む所定内側箇所にある保護フィルム4を除去すると共に、ガラス本体2のC面頂点O1の基点より所定内側にある箇所2a1Cの該ガラス本体2を除去することとなるから、脆弱部分Zが起点となって、ガラス表面にクラックが走ったとしても、ガラス本体2のC面頂点O1の基点より所定内側にある箇所2a1Cの除去部分によって、ガラス表面のクラックが収束することとなる。これにより、保護フィルム4の端部(ガラス本体2の端部2a側)が捲れ上がってしまうという事態を低減させることができ、もって、ガラス飛散のリスクを低減させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B,1C ガラス
2 ガラス本体
2a 端部
2a1 ガラス本体のC面頂点箇所
2a1C ガラス本体のC面頂点の基点より所定内側にある箇所
3 強化層
3a 端部
3a1 強化層のC面頂点箇所
3a1A 強化層のC面頂点の基点より所定内側にある箇所
4 保護フィルム
4a フィルム支持体
4a1,4a1A 端部
4b 粘着層
4b1,4b1A 端部
O,O1 C面頂点
Z 脆弱部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7