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特許7105028乳幼児抱っこ用の引掛具、前記引掛具の掛止を可能とする装着具、前記装着具を備えた被服
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】乳幼児抱っこ用の引掛具、前記引掛具の掛止を可能とする装着具、前記装着具を備えた被服
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20220714BHJP
【FI】
A47D13/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022057751
(22)【出願日】2022-03-30
【審査請求日】2022-03-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520332313
【氏名又は名称】河野 陽光
(74)【代理人】
【識別番号】100137899
【弁理士】
【氏名又は名称】大矢 広文
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽光
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08418897(US,B1)
【文献】米国特許第04815639(US,A)
【文献】登録実用新案第3166309(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児抱っこ用の引掛具であって、
乳幼児を抱っこする使用者の手を挿通する環状本体と、
前記環状本体の外周面から突設する掛止片と、を備え、
前記掛止片を前記環状本体の円周方向に延在し、前記環状本体と前記掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具。
【請求項2】
乳幼児抱っこ用の引掛具であって、
乳幼児を抱っこする使用者の手を挿通する円筒状本体と、
前記円筒状本体の外周面から突設する掛止片と、を備え、
前記掛止片を前記円筒状本体の円周方向に対して垂直又は傾斜して延在し、前記円筒状本体と前記掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具。
【請求項3】
乳幼児抱っこ用の引掛具であって、
乳幼児を抱っこする使用者の手が挿通可能な被固着体 に固着される側面視円弧状又は平面状の固着部と、前記固着部の基端から連なる掛止片と、を備え、
前記固着部と前記掛止片とで略U字状をなし、前記固着部と前記掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具。
【請求項4】
前記掛止溝の基端には、起立溝を形成したことを特徴とした、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具。
【請求項5】
前記掛止片の自由端には、湾曲部を形成したことを特徴とした、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具。
【請求項6】
乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする装着具であって、
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の前記引掛具の掛止を可能とする、ループ状の装着具。
【請求項7】
請求項6の装着具には、少なくとも1以上の横掛紐と、をさらに備え、
前記横掛紐が前記装着具に掛渡されたことを特徴とした、請求項6に記載の装着具。
【請求項8】
請求項7の装着具には、少なくとも1以上の縦掛紐と、をさらに備え、
前記縦掛紐が前記横掛紐と前記装着具に掛渡されたことを特徴とした、請求項7に記載の装着具。
【請求項9】
乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする装着具であって、
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の前記引掛具の掛止を可能とする、一対の肩紐と連結掛紐とが連結されたことを特徴とした、装着具。
【請求項10】
請求項9の前記連結掛紐には、少なくとも1以上の横掛紐と、をさらに備え、
前記横掛紐が前記連結掛紐に掛渡されたことを特徴とした、請求項9に記載の装着具。
【請求項11】
請求項10の装着具には、少なくとも1以上の縦掛紐と、をさらに備え、
前記縦掛紐が前記横掛紐と前記連結掛紐に掛渡されたことを特徴とした、請求項10に記載の装着具。
【請求項12】
請求項6乃至請求項11のうちいずれか一に記載の装着具には、少なくとも1箇所以上の動止部を備えたことを特徴とした、請求項6乃至請求項11のうちいずれか一に記載の装着具。
【請求項13】
乳幼児を抱っこする使用者が着用する被服であって、
前記被服は、前記装着具が縫着された縫着部分と、前記装着具が縫着されない少なくとも一箇所以上の非縫着部分との組み合わせでなり、
前記非縫着部分に前記引掛具の掛止を可能とすることを特徴とする、請求項6乃至請求項12のうちいずれか一に記載の前記装着具を備えた被服。
【請求項14】
前記縫着部分を前記被服に縫着した筒状の紐通し部に変更し、
前記紐通し部に前記装着具を挿通したことを特徴とする、請求項13に記載の前記装着具を備えた被服。
【請求項15】
乳幼児を抱っこする使用者が着用する被服であって、
前記被服に布片又は紐体を固着することによって引掛部を形成し、
前記引掛部に請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の前記引掛具の掛止を可能とする、被服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児を抱っこしているときの使用者の手(手首、腕等)の負担を軽減し、かつ、乳幼児を抱っこしていないときには使用者の手と体の行動を制限されることなく、自由に行動できる乳幼児用抱っこ補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を抱っこする場合においては、乳幼児の全体重がかかることにより抱っこする人の手首、腕等に負担が掛るため、従来より、抱っこする人の負担を軽減する用具が開発されている。例えば、特許文献1、特許文献2がある。
【0003】
特許文献1に係る考案は、抱いた方の手をかける把っての部分(A)に、抱く人の首からかけるたすき状のベルト(B)を用いた乳幼児を抱いて歩く際の補助バンドである。特許文献2に係る考案は、第1の紐帯の両端を長さ調節機能付き留め具を介してループ状に連結してなる肩掛け紐体、及び第2の紐帯の一端を上記肩掛け紐体の上部に係止し、他端を上記紐帯の下端に係止し、その中間に長さ調節機能付き留め具を設けた幼児固定紐体とを備え、上記肩掛け紐体の下部に係止される吊り手を備えている幼児用だっこ紐である。
【0004】
【文献】実開昭57-88463号公報
【文献】実用新案登録第3162494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る考案は、手をかける輪(A)に、カード織のベルト(B)を2本通し、バックル(C)を用いて長さを調節するものであるため、カード織のベルト(B)から手をかける輪(A)を分離することができないため、嵩張り、カード織のベルト(B)を洗濯や保管等する際不便が生じるおそれがある。また、特許文献2に係る考案は、肩掛け紐体20を吊り手30のリング31中をくぐらせ、次に、肩掛け紐体20を筒状の肩当て40の穴に挿通して肩当て40を嵌めた後、その自由端を長さ調節機能付き留め具50で係止してループ状に構成するものであるため、肩掛け紐体20から吊り手30を分離することができないため、肩掛け紐体20を洗濯や保管等する際不便が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、乳幼児を抱っこしているときの使用者の手(手首、腕等)の負担を軽減し、かつ、乳幼児を抱っこしていないときには使用者の手と体の行動を制限されることなく、自由に行動できる乳幼児用抱っこ用の引掛具、前記引掛具の掛止を可能とする装着具、前記装着具を備えた被服を提供するものである。
【0007】
請求項1の発明は、乳幼児抱っこ用の引掛具であって、乳幼児を抱っこする使用者の手を挿通する環状本体と、環状本体の外周面から突設する掛止片と、を備え、掛止片を環状本体の円周方向に延在し、環状本体と掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具である。をぶら下がる玩具では
【0008】
請求項2の発明は、乳幼児抱っこ用の引掛具であって、乳幼児を抱っこする使用者の手を挿通する円筒状本体と、円筒状本体の外周面から突設する掛止片と、を備え、掛止片を円筒状本体の円周方向に対して垂直又は傾斜して延在し、円筒状本体と掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具である。
【0009】
請求項3の発明は、乳幼児抱っこ用の引掛具であって、乳幼児を抱っこする使用者の手が挿通可能な被固着体に固着される側面視円弧状又は平面状の固着部と、固着部の基端から連なる掛止片と、を備え、固着部と掛止片とで略U字状をなし、固着部と掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具である。

【0010】
請求項4の発明は、掛止溝の基端には、起立溝を形成したことを特徴とした、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具である。
【0011】
請求項5の発明は、掛止片の自由端には、湾曲部を形成したことを特徴とした、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具である。
【0012】
請求項6の発明は、乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする装着具であって、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする、ループ状の装着具である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の装着具には、少なくとも1以上の横掛紐と、をさらに備え、横掛紐が装着具に掛渡されたことを特徴とした、請求項6に記載の装着具である。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7の装着具には、少なくとも1以上の縦掛紐と、をさらに備え、縦掛紐が横掛紐と装着具に掛渡されたことを特徴とした、請求項7に記載の装着具である。
【0015】
請求項9の発明は、乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする装着具であって、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする、一対の肩紐と連結掛紐とが連結されたことを特徴とした、装着具である。
【0016】
請求項10の発明は、請求項9の前記連結掛紐には、少なくとも1以上の横掛紐と、をさらに備え、横掛紐が連結掛紐に掛渡されたことを特徴とした、請求項9に記載の装着具である。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10の装着具には、少なくとも1以上の縦掛紐と、をさらに備え、縦掛紐が横掛紐と連結掛紐に掛渡されたことを特徴とした、請求項10に記載の装着具である。
【0018】
請求項12の発明は、請求項6乃至請求項11のうちいずれか一に記載の装着具には、少なくとも1箇所以上の動止部を備えたことを特徴とした、請求項6乃至請求項11のうちいずれか一に記載の装着具である。
【0019】
請求項13の発明は、乳幼児を抱っこする使用者が着用する被服であって、被服は、装着具が縫着された縫着部分と、装着具が縫着されない少なくとも一箇所以上の非縫着部分との組み合わせでなり、非縫着部分に引掛具の掛止を可能とすることを特徴とする、請求項6乃至請求項12のうちいずれか一に記載の装着具を備えた被服である。
【0020】
請求項14の発明は、縫着部分を被服に縫着した筒状の紐通し部に変更し、紐通し部に装着具を挿通したことを特徴とする、請求項13に記載の装着具を備えた被服である。
【0021】
請求項15の発明は、乳幼児を抱っこする使用者が着用する被服であって、被服に布片又は紐体を固着することによって引掛部を形成し、引掛部に請求項1乃至請求項5のうちいずれか一に記載の乳幼児抱っこ用の引掛具の掛止を可能とする、被服である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の乳幼児抱っこ用の引掛具によれば、乳幼児を抱っこする際、使用者の手(手首、腕)に掛る負担を分散することによって、手の負担を軽減できる。また、装着具から引掛具を簡単に外すことができるため、乳幼児を抱っこしていないときには手と体の行動を妨げることがなく、自由に行動することができる。本発明の前記引掛具の掛止を可能とする装着具によれば、安価でかつ簡易な構成によって、乳幼児を抱っこする際、使用者の手に掛る負担を分散することによって、手の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】乳幼児抱っこ用の引掛具(第1実施例)の側面図である。
図2図1の斜視図である。
図3図1の掛止片側から見た図である。
図4】乳幼児抱っこ用の引掛具(第2実施例・掛止片が垂直)の平面図である。
図5図4の側面図である。
図6図4の掛止片側から見た図である。
図7図4の斜視図である。
図8】乳幼児抱っこ用の引掛具(第2実施例・掛止片が傾斜)の平面図である。
図9図8の側面図である。
図10図8の掛止片側から見た図である。
図11図8の斜視図である。
図12】乳幼児抱っこ用の引掛具(第3実施例・円弧状)の側面図である。
図13図12の斜視図である。
図14図12の掛止片側から見た図である。
図15】乳幼児抱っこ用の引掛具(第3実施例・平面状)の側面図である。
図16図15の斜視図である。
図17図15の掛止片側から見た図である。
図18】首掛け型の装着具(首掛け紐)を着用した使用状態図である。
図19】首掛け紐を縫着した被服の正面図である。
図20】首掛け紐にさらに横掛紐を備えた被服の正面図である。
図21】首掛け紐にさらに縦掛紐を備えた被服の正面図である。
図22】首掛け紐に動止部を備えた被服の正面図である。
図23】肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具を着用した使用状態図である。
図24】肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具を縫着した被服の正面図である。
図25】肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具にさらに横掛紐を備えた被服の正面図である。
図26】肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具にさらに縦掛紐を備えた被服の正面図である。
図27】肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具に動止部を備えた被服の正面図である。
図28】一部を傾斜化した首掛け紐を縫着した被服の正面図である。
図29】縦掛紐を傾斜化した肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具を縫着した被服の正面図である。
図30】布片を固着することによって引掛部を形成した被服の正面図である。
図31】紐体を固着することによって引掛部を形成した被服の正面図である。
図32】既存の被固着体である腕時計のベルト部分に第3実施例の引掛具が固着された状態の側面図である。
図33】既存の被固着体であるリストバンドに第3実施例の引掛具が固着された状態の図である。
図34図33で図示した第3実施例の引掛具を手に挿通した状態を図示した図である。
図35】既存の被固着体である手首サポーターに第3実施例の引掛具が固着された状態の図である。
図36】既存の被固着体である手首サポーターに第3実施例の引掛具が2個固着された状態の図である。
図37】使用者が首掛紐を着用し、手を挿通した引掛具を首掛紐に掛止した使用状態図である。
図38】使用者が肩掛け型(肩掛け半周型)の装着具を着用し、手を挿通した引掛具を装着具に掛止した使用状態図である。
図39】本発明を使用して乳幼児を抱っこした状態の図である。
図40図39で図示した本発明を一部透視した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、本発明を使用して乳幼児60を抱っこすると、乳幼児60を抱っこする使用者50(以下、単に「使用者50」とする)の手(手首、腕等)51の負担を軽減し、かつ、本発明を使用していない(引掛具1を装着具30に掛止していない)ときには使用者50の手51と体の可動を制限せず、手51や体を自由に可動することができる乳幼児60抱っこ用の引掛具1、当該引掛具1の掛止を可能とする装着具30、当該装着具30を備えた被服40、当該引掛具1の掛止を可能とする被服40を提供する。以下、各図を参照しながら、本発明の各実施例等について説明する。
【0025】
本発明の乳幼児60抱っこ用の引掛具1は、使用者50の手51を挿通して腕輪のようにして使用するタイプ(第1実施例、第2実施例)、既存の被固着体20に固着して使用するタイプ(第3実施例)に大別できる。これらの引掛具1は所謂掛止体であり、乳幼児60を抱っこする使用者50が装着する装着具30等に掛止して使用するものである。以下、それぞれの実施例について説明する。
【0026】
まず乳幼児60抱っこ用の引掛具1の第1実施例について説明する。この第1実施例の構成としては、乳幼児60を抱っこする使用者50の手51を挿通する環状本体3と、環状本体3の外周面3aから突設する(連なる)掛止片5と、を備える(図1等参照)。
【0027】
環状本体3の挿通穴4(内周)は、乳幼児60を抱っこする使用者50の手51を挿通することができれば円環状に限らず、例えば、楕円環状、三角環状、四角環状、六角環状、星環状等であってもよい。また、外周も同様に円環状に限定されないため、外周を楕円環状等としてもよい。内周を円環状とし外周を星環状とする等、内周と外周の形状が相違していてもよい。
【0028】
掛止片5は、装着具30に掛止するためのものである。図1で図示したように、掛止片5の自由端5dには、例えば、半径方向へ緩く湾曲した湾曲部6を形成する構成が望ましいが、掛止片5の自由端5dが起曲しないフラットな構成でもよい(不図示)。
【0029】
そして、環状本体3と掛止片5との間に掛止溝8を形成している。この掛止溝8は、環状本体3の外周面3aと掛止片5の内周面5aとの間に沿って形成しているため、円弧状となっている。
【0030】
図1で図示したように、掛止溝8の基端8aには、例えば、環状本体3の外周面3aから半径方向へ立ち上がる起立溝9を形成することが望ましい。この起立溝9は向きや角度等は特に限定されないため、環状本体3の外周面3aに対して垂直でも、傾斜していてもよいが、装着具30の各紐(連結掛紐31、横掛紐32、縦掛紐33、首掛紐37等)への固定や脱着等を考慮すると垂直であることが望ましい。なお、掛止溝8の基端8aに起立溝9を形成しない構成でもよい。
【0031】
使用者50が装着した装着具30に引掛具1を掛止する際は、引掛具1の掛止溝8の自由端8bから装着具30の各紐を挿入し、その各紐を掛止溝8の基端8aまで入れ込んで固定するが、掛止片5の自由端5dが半径方向へ湾曲した湾曲部6を形成した構成の場合は、装着具30の各紐を掛止溝8に挿入させやすくなる。また、掛止溝8の基端8aに起立溝9を形成した構成の場合は、この起立溝9によってさらにしっかりと固定される。すなわち、起立溝9に各紐が嵌り込むことによって装着具30に引掛具1がしっかりと固定することができる。また、装着具30から引掛具1を外す際も、引掛具1の向きを変えることによって各紐を起立溝9から簡単に外すことができる。
【0032】
環状本体3の外周縁部3b、掛止片5の外周縁部5b、挿通穴4の内周縁部4bを角丸にすることによって、人や物に当たった際の安全性をより確保することができ、また使用者50の手51の不快感も軽減することができる。
【0033】
また、環状本体3や掛止片5の幅、挿通穴4の内径、掛止片5の長さは適宜選択することができる。したがって、環状本体3の短手方向の幅と掛止片5の短手方向の幅は略同じでも異幅でもよい。また、挿通穴4の内径は、使用者50の手首等に合わせて選択可能である。掛止片5の長さも適宜選択することができるが、装着具30からの脱着を考慮すると、外周面3aに沿って湾曲した長さが外径の1/4径前後が望ましい。
【0034】
引掛具1の材質は、安価で、軽量且つ加工性に優れる点から各種樹脂等が挙げられるが、衝撃緩和性、安全性や耐久性が十分であればどのような素材であってもよいが、各種合成樹脂材料が使用可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂等の各種樹脂が使用できる。また、各種合成樹脂材料に、炭素繊維やガラス繊維等を混合して繊維強化プラスチックとしても良い。なお、成形方法としては特に限定されないが、インジェクション成形法が望ましい。
【0035】
また、複数の素材を組み合わせた構成であってもよい。例えば、ゴム等の弾性体を樹脂に覆設する構成が挙げられる。この構成によれば、人や物に当たっても怪我や傷付くことがなく、また、洗濯や洗浄等の際にも便利である。
【0036】
図示しないが、環状本体3及び掛止片5には、その形状に沿って芯材が内設されている構成であってもよい。特に、シリコン、ラバー、PVC(ポリ塩化ビニル)等柔軟性のある素材により形成されるような場合は芯材が内設されている構成が望ましい場合もある。この芯材によって環状本体3及び掛止片5の型崩れ、変形、変位が抑制され、強度的に耐性を持たせることができる。
【0037】
衝撃緩和性、安全性を高めるためには、掛止片5の特に自由端5dの湾曲部6を例えばシリコン、ラバー、PVC(ポリ塩化ビニル)等柔軟性のある素材により形成するのが望ましい。
【0038】
環状本体3の挿通穴4の内周面4aや内周縁部4bにはゴムシート等の緩衝部材を被着するのが望ましい。直接環状本体3の挿通穴4に触れることなく、緩衝部材が接触することにより、擦れやケガを防止できるので、安全性を向上できる。
【0039】
既述した第1実施例については、図1図2で図示したように、掛止片5を環状本体3の円周方向に延在させている。次に説明する第2実施例については、乳幼児を抱っこする使用者50の手51を挿通する円筒状本体2と、円筒状本体2の外周面2aから突設する掛止片5と、を備えており、掛止片5を円筒状本体2の円周方向に対して垂直(図4図7等参照)又は傾斜(図8図11等参照)して延在している。
【0040】
第2実施例の引掛具1は、第1実施例でいう環状本体3の代わりに円筒状本体2を採用し、この円筒状本体2と掛止片5をその構成要素としている(図4図8等参照)。すなわち、円筒状本体2に対しての掛止片5の向きが異なるが、他の構成に関しては同様であるため、円筒状本体2(外周面2a)と掛止片5(内周面5a)との間に形成された掛止溝8、円筒状本体2の外周面2aから半径方向へ立ち上がる起立溝9の有無、掛止片5の自由端5dは半径方向へ緩く湾曲した湾曲部6の有無、円筒状本体2の外周縁部2bを角丸にする、材質等は、第1実施例に準ずる。
【0041】
次に引掛具1の第3実施例について説明する。この第3実施例としては、被固着体20の外周面20aに全体として側面視略U字状の乳幼児60抱っこ用の引掛具1を固着する構成である(図12図15等参照)。具体的な構成としては、既存の被固着体20に固着する固着部23と、固着部23の基端から連なる掛止片25と、を備え、固着部23と掛止片25との間に掛止溝28を形成している。固着部23は、被固着体20の外周面20aに沿うように側面視円弧状(図12図14等参照)又は平面状(図15図17等参照)で形成され、且つ、固着部23と、この固着部23の基端から連なる掛止片25で全体として側面視略U字状で形成されている。被固着体20は、使用者50の手51に挿通するものであることから環状であることが通常と考えられ、固着部23は被固着体20の形状に沿うように側面視円弧状であると考えられるが(図12等参照)、平面状の被固着体20に固着するような場合、固着部23は平面状となる(図15等参照)。
【0042】
この第3実施例では、既存の被固着体20が、乳幼児を抱っこする使用者50の手51が挿通可能な物であればよく、例えば、図32で図示したような腕時計(特にベルト部分)、図33等で図示したようなリストバンド、図35で図示したような手首サポーター、手袋、長袖の被服40等が挙げられ、これら被固着体20の外周面20aに固着部23を固着する。この第3実施例では、先の第1実施例や第2実施例のように環状本体3と掛止片5との間に掛止溝8を形成するものではなく、固着部23の外周面23aと掛止片25の内周面25aとの間に掛止溝28を形成している。
【0043】
第3実施例は、基本的には第1の実施例や第2実施例に準ずる。したがって、掛止溝28の基端の起立溝29の有無、掛止片25の自由端が半径方向へ緩く湾曲した湾曲部26の有無、材質等、第1の実施例や第2実施例と同様とする。
【0044】
一例である既存の腕時計のベルト部分、リストバンド、手首サポーター、手袋、長袖の被服等にフックタイプの引掛具1を固着することによって乳幼児60抱っこ用の引掛具1として形成できるため、使用者50が使い慣れ、そして、手51にフィットする物を利用して本発明を使用することができる。この第3実施例では、既存の腕時計のベルト部分等の被固着体20の外周面20aに引掛具1の固着部23を強固に固着する必要があるが、どのような固着方法であってもよい。例えば、熱圧着、熱溶着、熱融着、接着剤等による固着が考えられる。
【0045】
使用者50の手51への密着性、滑り止め性を考慮すると、リストバンドはゴム製のもの(ゴムリング)が望ましい(図34参照)。また同様に、固着手段を面ファスナーとして手首に装着されることによって、手首、親指の付け根をカバーすることができる手首サポーターは、糸状ゴム等を織り込んだ織布繊維を主な素材としており、手首等への密着性が高く望ましい(図35参照)。なお、手51、手首に装着が可能なものであれば腕時計、リストバンド、手首サポーター、手袋に限定されない。
【0046】
乳幼児抱っこ用の引掛具1の掛止を可能とする装着具30について説明する。この装着具30は、乳幼児60を抱っこする使用者50の体に装着(掛着等)されるものであり、第1実施例乃至第3実施例の引掛具1が引っ掛けられる所謂被掛止体であり、主に肩掛け型、首掛け型に大別できる。また、肩掛け型はさらに肩掛け半周型と肩掛け全周型に細分化できる。以下、それぞれの実施例について説明する。なお、図18図31の各図では、斜線部分を非縫着部分Nsとし、二重斜線部分を縫着部分Sw(又は紐通し部)としている。
【0047】
図18で図示したように、首掛け型の装着具30は、使用者50の首や肩に掛着されるループ状の首掛紐37である。この実施例ではループ状で構成されており、使用者50の首や、肩にたすき掛け等して掛着し、この首掛紐37に引掛具1を掛止して使用するものである。なお、ループ状は、段差を備えた構成、横掛紐32、縦掛紐33を備えた構成等であってもよい。横掛紐32を備えた構成としては、具体的には、少なくとも1以上の横掛紐32が首掛紐37(装着具30)に掛渡、すなわち、首掛紐37のループ空間内に横掛紐32を掛け渡すように架設されている(図20参照)。これにより、使用者50の手51の上下方向の細かな位置決めが可能となる。また、縦掛紐33を備えた構成としては、具体的には、縦掛紐33が横掛紐32と首掛紐37(下方)との空間内に掛渡されている(図21参照)。これにより、使用者50の手51の左右方向の細かな位置決めが可能となる。さらに、図示しない他の例としては、首掛紐37の下方にも別途紐体を備え、縦掛紐33が首掛紐37(下方)と紐体との空間内に掛け渡すように架設された構成も考えられる。この縦掛紐33は、図21で図示したように垂直であっても、図示しないが傾斜していてもよい。なお、図20図22等に関しては、縫着された縫着部分Swと縫着されない少なくとも一箇所以上の非縫着部分Nsとを組み合わせた状態の被服40を図示しているが、図18にような首掛紐37が被服40に縫着されていない脱着自在の構成であってもよいことは勿論である。その他、図28で図示したように、首掛け紐37の一部を傾斜化し、傾斜した部分を非縫着部分Nsとし、それ以外の部分を縫着部分Swとする構成も考えられる。
【0048】
図23で図示したように、肩掛け半周型の装着具30は、使用者50の肩に掛着される一対の環状の肩紐35(右肩紐35a及び左肩紐35b)と、両肩紐35に架設される連結掛紐31と、を備えており、連結掛紐31が両肩紐35に掛渡されて構成される。一対の肩紐35(右肩紐35a及び左肩紐35b)と連結掛紐31との連結関係は、縫着によって一体化してもよいし、緊縛によって一体化してもよい。
【0049】
その他、図示しないが、連結掛紐31が使用者50の胸の全周に亘る領域内に装着される実施例も考えられる(肩掛け全周型)。この実施例では、使用者50の胸回りに装着される環状の連結掛紐31と、使用者50の肩に掛着される一対の肩紐35(右肩紐35a及び左肩紐35b)と、を備えており、両肩紐35が連結掛紐31に掛渡されて構成されている。換言すると、連結掛紐31を両肩紐35(右肩紐35a及び左肩紐35b)で吊設する構成である。この実施例においても、両肩紐35と連結掛紐31が、縫着によって連結して一体化してもよいし、緊縛によって一体化してもよい。
【0050】
肩掛け全周型の実施例の連結掛紐31は、使用者50の胸回りに装着されることから一連の環状であるが、連結掛紐31の長さ調節を容易にするため、その一部において、例えば、アジャスター、スライドストッパー等の長さ調整部(不図示)を設けてもよい。連結掛紐31は、使用者50の胸に対して回動しないように装着してもよいし、回動するように装着してもよい。
【0051】
また、連結掛紐31を分割し、分割した連結掛紐31の両端には、例えば、ワンタッチで接続や解除が可能な周知のワンタッチバックル(不図示)を設けてもよい。ワンタッチバックルは、一方がプラグで他方がソケットとなる一対で構成され、連結掛紐31の一端にはプラグを設け、他端にはソケット設ける。ワンタッチバックルは、プラグ側をソケット側に差し込むだけでプラグ側の上下2つの爪がソケットに係合して連結掛紐31の一端と他端を接続することができ、プラグ側の上下2つの爪を狭めて係合を外せば、連結掛紐31の接続を解除することができる。
【0052】
肩掛け全周型の肩紐35は、右肩紐35a及び左肩紐35bからなる左右一対の構成がバランスを取る関係で望ましいが、右肩紐35a又は左肩紐35bのどちらか一方の構成でもよい。
【0053】
肩紐35に関しても、連結掛紐31と同様に長さ調節を容易にするため、その一部において、例えば、アジャスター、スライドストッパー等の長さ調整部を設けてもよい。接続を容易とするため、例えば、ワンタッチで接続や解除が可能なワンタッチバックルを設けてもよい。
【0054】
肩掛け型の装着具30は、連結掛紐31に段差を備えた構成、横掛紐32、縦掛紐33を備えた構成等であってもよい。横掛紐32を備えた構成としては、具体的には、連結掛紐31には、少なくとも1以上の横掛紐32が掛渡されたことを特徴とする(図25参照)。これにより、使用者50の手51の上下方向の細かな位置決めが可能となる。また、縦掛紐33を備えた構成としては、具体的には、少なくとも1以上の縦掛紐33が横掛紐32と連結掛紐31(下方)との空間内に掛渡されている(図26参照)。これにより、使用者50の手51の左右方向の細かな位置決めが可能となる。さらに、図示しない他の例としては、連結掛紐31の下方にも別途紐体を備え、縦掛紐33が連結掛紐31(下方)と紐体に掛渡される構成も考えられる。この縦掛紐33は、図26で図示したように垂直であっても、図29で図示したように傾斜していてもよい。なお、図25図26等に関しては、縫着された縫着部分Swと縫着されない少なくとも一箇所以上の非縫着部分Nsとを組み合わせた状態の被服40を図示しているが、図23で図示したような肩掛け半周型の装着具30が被服40に縫着されていない脱着自在の構成であってもよいことは勿論である
【0055】
既述した第1実施例や第2実施例の引掛具1については、首掛紐37や連結掛紐31、横掛紐32等に引掛具1を掛止して使用するものであるが、第3実施例の引掛具1については、掛止片5が円筒状本体2の円周方向に対して垂直又は傾斜して延在している構成であるため、主に縦掛紐33に掛止して使用するものである。なお、第3実施例の引掛具1は、首掛け型の首掛紐37や肩掛け型の連結掛紐31等にも掛止して使用することができる。
【0056】
装着具30は、引掛具1を掛止することが可能な要素であればよく、その素材は特に限定されるものではなく、例えば衣類で使用されている木綿や羊毛等の天然繊維の他、ナイロンやゴム紐等の化学繊維からも選択することができる。
【0057】
首掛け型の装着具30である首掛紐37、肩掛け型の装着具30を構成する連結掛紐31、肩紐35、そしてこれらに備わる横掛紐32、縦掛紐33等の各紐はどのような構成の物であってもよく、断面が円形、扁平、幅、長さ等も特に限定されない。断面が扁平の場合、3センチから8センチ程度が望ましい。また、使用者50の肩に当たる部分において肩当て等を介在させてもよい。また、各紐の素材は限定されないため、非伸縮性素材の他、ゴム等の伸縮性を有する素材で構成されてもよい。さらには、使用者50の手51以外の負担を軽減するため、緩衝材を備えてもよい。
【0058】
乳幼児60を抱っこする使用者50が静止している時より、歩いている時や揺れ動いている時の方が乳幼児60が落ち着き、泣き止むことが多いため、例えば、連結掛紐31や肩紐35等をゴム紐等の化学繊維とすることも望ましいといえる。
【0059】
ゴム紐を選択した場合は、ゴム素材の伸縮作用によって上下左右にゆらゆらと揺れて抱っこした状態のまま落ち着かせ入眠を促すことができ望ましいが、その際、安全面を考慮してゴム紐より長めの別途補助紐等で乳幼児60を抱っこする手51を補助しておくことが望ましい。
【0060】
図18図23で図示したように、使用者の体から脱着自在な装着具30単体の構成の他、図19図22図24図29で図示したように、装着具30をスモック、エプロン等の被服40に縫着して装着具30と被服40を一体化する構成も考えられる。保育士等の多岐に亘る業務の中において乳幼児60の抱っこは、乳幼児60の年齢が低いほど必要であり、また、長時間となり得る。一方で保育士は、園児等との遊び、食事介助、排泄介助、制作等を行うときの汚れ防止や衛生管理の一環として常にスモック、エプロン等を身につけているため、これらスモック、エプロン等の被服40に装着具30自体を縫着、具体的には、被服40に装着具30を縫着した縫着部分Swと被服40に装着具30を縫着しない一箇所以上の非縫着部分Nsを混在させる構成が望ましい(図19図22図24~29参照)。
【0061】
被服40としては、装着具30を縫着等する箇所(例えば、胸回り、肩回り、首後ろ等)があるスモック、エプロン等が考えられる。被服40において装着具30を縫着する箇所に関しては装着具30の型等によって種々考えられる。具体的には、装着具30が肩掛け半周型の場合は、肩紐35に関しては縫着された縫着部分Swとなり、連結掛紐31に関しては縫着部分Swと非縫着部分Nsが混在する構成が考えられる(図24参照)。また、装着具30が首掛け型の場合は、首後ろ、そこから前方へ垂下し、中央付近においては縫着されていない状態とする。したがって、首掛紐37の一部(前面中央付近)が縫着していない箇所、すなわち非縫着部分Nsとなる(図19参照)。両型共に被服40に縫着していない非縫着部分Nsに引掛具1を掛止することによって使用する。
【0062】
また、装着具30に少なくとも1箇所以上の動止部39を備える構成も挙げられる。この動止部39は、主に使用者50の手51を挿通した引掛具1の左右の可動を防止するためのものであり、これにより、使用者50の手51の左右方向の細かな位置決めが可能となる。この動止部39は、引掛具1が緩衝し、引掛具1の可動が止まればどのような構成のものでもよい。例えば、首掛紐37、連結掛紐31、横掛紐32等に段差を備えた構成してもよく、また、1箇所以上の凹部や凸部を形成してもよく、結び目を形成してもよい。縫着部分Swと非縫着部分Nsを交互に配置してもよい(図22図27参照)。これらによって、使用者50の手51の左右方向の細かな位置決めが可能となる。
【0063】
実施例1から実施例3の引掛具1を長袖の被服40の手首部分に熱圧着、熱溶着、熱融着、接着剤等による強固な固着により一体化させ、一方、被服40には、装着具30が縫着された縫着部分Swと、装着具30が縫着されない少なくとも一箇所以上の非縫着部分Nsとの組み合わせとする。このような構成によれば、手首部分に引掛具1が固着され、また、装着具30が縫着された被服40一つで、引掛具1と装着具30を備えることができ、その都度引掛具1や装着具30を装着等する必要がないため便利である。
【0064】
被服40の生地に関しては特に制限されないが、衝撃や摩擦、圧迫、引張力等に強い生地(厚手の布)を採用するのが望ましい。乳幼児60を抱っこする使用者50が着用する被服40を例えば厚手の布材とし、布片42も例えば厚手の布片42とし、被服40の任意の箇所に布片42を縫着、熱接合等により固着することによって引掛部45を形成する構成も考えられる(図30参照)。布片42の形状、構成としては、特に限定されないが、例えば、三角形、矩形、五角形、六角形、円形等が挙げられる。また、布片42の両端を連結して環状に形成し、この環状の布片42を被服に固着してもよい(不図示)。このように布片42を環状とすることによっても引掛部45が形成される。被服40と布片42によって形成された引掛部45、又は、布片42を環状とすることによって形成された引掛部45に乳幼児60抱っこ用の引掛具1の掛止が可能となる。すなわち、被服40に布片42を固着することによって引掛部45を形成し、この引掛部45に乳幼児60抱っこ用の引掛具1の掛止を可能とするものである。その他、被服40の任意の箇所に紐体43の両端を縫着、熱接合等により固着し、被服40に紐体43が縫着されていない箇所を引掛部45とし、この引掛部45に乳幼児60抱っこ用の引掛具1を掛止してもよい(図31参照)。
【0065】
装着具30をスモック、エプロン等の被服40に縫着する構成の他、装着具30を被服40に縫着せず、例えば、被服40の体回り、肩後ろ、首回り等に筒状の紐通し部(不図示)を形成し、この紐通し部に連結掛紐31、横掛紐32、肩紐35、首掛紐37等を通して、各紐の両端が前面側から引き出して結べるように配置される構成としてもよい。すなわち、図19図22図24図29で図示した縫着部分Swを筒状の紐通し部に変更し、紐通し部に装着具30の各紐を挿通して使用するものである。被服40に対する装着具30の位置決めも容易となり、かつ、被服40と装着具30を分離させることができるため、洗濯や保管の際に便利である。
【0066】
本発明である乳幼児抱っこ用の引掛具1、引掛具1の掛止を可能とする装着具30又は装着具30を備えた被服40の使用方法の一例について説明する。
【0067】
使用者50が引掛具1の掛止を可能とする装着具30を装着する。または、装着具30を備えた被服40を着る。そして、引掛具1の環状本体3等に使用者50の手51を挿通する。乳幼児60の抱っこは、主に乳幼児60が立ったような状態で抱っこする所謂縦抱っこ、乳幼児60を寝かせた状態で抱っこする所謂横抱っこに大別できるが、共に乳幼児60を抱っこする使用者50の手51や手51が当たる利き手側に挿通するのが望ましい。また、引掛具1は手51に挿通して手首に配置して使用するのが一般的であるが、その他、手の平等どの位置に配置して使用してもよい。
【0068】
次に、乳幼児60を抱っこする。乳幼児60を抱っこしたら、装着具30の各紐を掛止溝8の自由端8bから挿入し、引掛具1を装着具30に掛止する。具体的には、掛止溝8の基端8a(起立溝9等)に掛止する。
【0069】
なお、引掛具1の外周に膨出部10を形成した構成の場合は、乳幼児60を抱っこする使用者50の手51を挿通した状態でこの膨出部10を押して回転させることによって、簡単に引掛具1の向きを変えることができるため、装着具30の各紐を挿入しやすくなる。
【0070】
連結掛紐31、横掛紐32等の中間箇所に引掛具1を掛止するのがバランス上望ましいが、連結掛紐31、横掛紐32等に2箇所の動止部39を備え、動止部39、39の間に引掛具1を掛止すると安定して使用することができる(図37図38参照)。
【0071】
以上のような手順により、本発明を介して乳幼児60を抱っこすることができるが、手順はこれに限らず、それぞれの手順が前後してもよい。
【0072】
引掛具1は、主に装着具30に掛止するが、耐久性が十分であればリュックの肩ストラップ間を架設するチェストベルトに掛止して使用してもよい。また、被服40のポケット(ペン入れのような筒状の入れ物を含む)、被服40の生地に設けたリング状の部材に掛止して使用してもよい。
【0073】
なお、各図において各々の実施例を示したが、図を分かり易くする等の目的で、一部構成を省略、簡略化、透視化した部分を含んでいる。勿論、本発明は、ここに図示した実施例のみに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施例に記載の技術、または、その他の公知や周知の技術を組み合わせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1:引掛具
2:円筒状本体
2a:外周面
2b:外周縁部
3:環状本体
3a:外周面
3b:外周縁部
4:挿通穴
4a:内周面
4b:内周縁部
5:掛止片
5a:内周面
5b:外周縁部
5d:自由端
6:湾曲部
8:掛止溝
8a:基端
8b:自由端
9:起立溝
10:膨出部
20:被固着体
20a:外周面
23:固着部
23a:外周面
23b:内周面
23b:内周面
25:掛止片
25a:内周面
26:湾曲部
28:掛止溝
28a:基端
28b:自由端
29:起立溝
30:装着具
31:連結掛紐
32:横掛紐
33:縦掛紐
35:肩紐
35a:右肩紐
35b:左肩紐
37:首掛紐
39:動止部
40:被服
42:布片
43:紐体
45:引掛部
50:使用者
51:手
60:乳幼児
Sw:縫着部分
Ns:非縫着部分

【要約】
【課題】 従来、乳幼児を抱っこする人の負担を軽減する用具は、手をかける輪等とベルト等が一体のものが多く、不便であった。
【構成】 本発明は、乳幼児を抱っこする使用者の手を挿通する環状本体と、環状本体の外周面から突設する掛止片と、を備え、掛止片を環状本体の円周方向に延在し、環状本体と掛止片との間に掛止溝を形成したことを特徴とした、乳幼児抱っこ用の引掛具で、引掛具が掛止体から脱着自在とする。乳幼児を抱っこしているときの使用者の手(手首、腕等)の負担を軽減し、かつ、乳幼児を抱っこしていないときには使用者の手と体の行動を制限されることなく、自由に行動できる。
【選択図】図1


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図11
図12
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図15
図16
図17
図18
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図20
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図26
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図28
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