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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】薬物注入装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20220714BHJP
   A61M 5/168 20060101ALI20220714BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A61M5/145 508
A61M5/168 516
A61M5/168 540
A61M5/172
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019564386
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 US2018018211
(87)【国際公開番号】W WO2018152225
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-10
(31)【優先権主張番号】15/433,252
(32)【優先日】2017-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521499701
【氏名又は名称】マイルストーン サイエンティフィック インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】ホックマン,マーク,エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】インクロート,ネイサン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ボイヤー,ロバート,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マリンズ,モーリーン,エイ.
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-502678(JP,A)
【文献】国際公開第2015/185895(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136363(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00 - 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射を提供するための装置であって、
一定量の希釈剤中に多数の薬剤単位を含む容器から提供される一定量の薬剤を保持する流体貯蔵部と、
前記流体貯蔵部から針への流体の流れを制御する流体制御部と、
前記流体貯蔵部から1用量の薬剤を供給するように前記流体制御部を選択的に作動させるアクチュエータと、
入力装置であって、
(1)前記容器内の希釈剤の量および前記容器内の薬剤の単位数に関するデータと、
(2)前記薬剤の1用量中における所望の単に関する情報
を入力するための入力装置と、
有し
前記流体制御部は、入力された前記データに基づいて単位体積を自動的に計算するように構成されており、前記単位体積は1単位の前記薬剤を分配するのに必要とされる、前記流体貯蔵部内の流体の体積であり、
前記流体制御部は、前記1用量中における前記薬剤の所望の単を提供するのに必要な前記流体貯蔵部内の流体の体積を計算するように構成されている ものであり、
当該注射を提供するための装置は、さらに、
前記針により一連の注射が提供される解剖学的構造の一部分を表示する視覚的表示部であって、
前記一連の注射のそれぞれが提供される解剖学的位置を示す記録保持インターフェースを提供するように構成されており、
前記記録保持インターフェースは、各解剖学的位置に注入された前記薬剤の単位数を示すように構成されているものである、
前記視覚的表示部を有し、
前記流体制御部は、前記アクチュエータが作動される回数と前記アクチュエータの各作動時に注入される単位数に関する情報とに基づいて、処置中に分配される単位数を追跡するように構成されているプロセッサを有し、
前記プロセッサは、前記一連の注射の注入中に注入された単位数を前記記録保持インターフェースに示された単位数と比較するように構成されているものである、
注射を提供するための装置。
【請求項2】
前記針内の前記流体の流体圧力を示す特性を検出するように構成された検出器を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記流体制御部は、前記流体貯蔵部に接続された駆動要素を駆動して流体を前記貯蔵部から排出するための電気モータを備えている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記流体貯蔵部は、バレルと、前記バレル内で摺動可能なプランジャとを有する注射器を備えている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記流体制御部は前記注射器の前記プランジャと係合している、請求項4に記載の装置
【請求項6】
前記アクチュエータは手動で作動可能なボタンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記針が取り付けられているハンドピースを備え、前記ハンドピースは前記流体制御部と電子的に接続されており、前記ハンドピースは流体ラインを介して前記流体貯蔵部と流体連通している、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ハンドピースは前記アクチュエータを含む、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記アクチュエータは作動ボタンを含む、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記針内の前記流体圧力を検出するための、前記針と一直線上にある流体圧力センサを備えている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
処置中に流体の流れを制御するために後で使用される、単位当たりの溶媒の計算量に関するデータを記憶するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には薬物の投与に関し、特に皮下薬物注射のための規定単位の制御された計量および自動投与を提供する薬物投与のための皮下注射/吸引用システムに関する。特に、本発明は皮下注射針からの流体注入を計算し、制御しそして監視する手段と方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
注射装置およびシステムは、治療目的および美容目的で用いられる薬の投与または処方に用いられるものとして医療技術分野において公知である。そのような、美容的状態(すなわち、しわ、たるみ)、痛み(すなわち片頭痛)、神経障害(すなわち特発性ニューロパチー)、内分泌状態、代謝状態(すなわち糖尿病)、神経筋障害(すなわち、頸部ジストニア、眼瞼痙攣)、炎症(すなわち、関節炎、乾癬)、血管障害(すなわち、静脈瘤、酒さ)、癌、感染症などを含むがこれらに限定されないいくつかの症状のいずれかを治療するために使用される注射剤を投与するためのいくつかのシステムが開発されている。注射剤としては、神経毒、皮下容量増強剤(皮膚充填剤)、インスリン、抗生物質、ホルモン、化学療法剤、または生物学的薬剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。多くの場合、ある手順では、患者に注射するために様々な量の一連の注射が必要とされる。各注射の量を決定し、注射された流体の量を監視することは、医療専門家にとっては面倒であり得る。さらに、薬剤が高速で注射されると、患者に不快感を与える可能性がある。逆に、各注射の流量が低すぎると、全体的な処置が長くなり、患者に不快感を与え、医療専門家にとって時間の浪費を招きかねない。したがって、所望の数の薬剤単位を提供するために各注射について適切な容量を自動的に計算する能力と共に適切な速度で制御された一連の正確な注射を提供するためのシステムが必要とされている。さらに、注射の配置と共に、一連の注射の間に注射された薬剤の量を追跡するシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記に照らして、本発明は、施術者が正確に標準化された単位用量の薬物を投与することを可能にする装置および方法を提供する。本発明はまた、記録され、記憶され、そして印刷され得る解剖学的図記録上に注射の位置を記録するための方法および装置を提供する。本発明はさらに、再構成(または希釈)薬物から標準化された単位薬物用量を計算および生成するための方法および装置を提供し、これはその後、異なる薬物間の標準化された用量単位として使用することができ、解剖学的画像記録上の特定の単位用量に関連する注射記録手段を提供する。
【0004】
一態様によれば、本発明は、注射をするための装置を提供する。この装置は、一定量の希釈剤中に多数の薬剤単位を含む一定量の薬剤を保持するための流体貯蔵部と、この流体貯蔵部からの流体の流れを制御するための流体制御部とを含む。患者の皮下または筋肉内に薬剤を注入するために、流体貯蔵部に針が流体連通している。装置は、針内の流体の流体圧力を示す特性を検出するように構成された検出器を任意に含み得る。装置はまた、流体貯蔵部から1用量の薬剤を供給するように流体制御部を選択的に作動させるためのアクチュエータを含む。流体制御部は、注射のために所望の数の薬剤単位を有する1用量を提供するのに必要とされる流体貯蔵部内の流体の体積を計算するように構成され得る。さらに、装置は、1用量中における所望の数の単位に関する情報を入力するための入力装置を含み得る。
【0005】
別の態様によれば、本発明は、流体貯蔵部に接続された駆動要素を駆動して貯蔵部から流体を排出するための電気モータを提供する。任意選択で、流体貯蔵部は、バレルとバレル内でスライド可能なプランジャとを有する注射器を含む。流体制御部は、注射器のプランジャと係合するように構成されてもよい。
【0006】
別の態様によれば、本発明は、所望の数の薬剤単位を有する1用量の薬剤を提供するための流体制御部を含む注射を提供するための装置を含み、装置は流体制御部に制御信号を送るための手動作動ボタンの形態のアクチュエータを含む。
【0007】
さらなる態様によれば、本発明は、アクチュエータが作動された回数、およびアクチュエータの各作動時に注入されたユニットの数に関する情報に基づいて処置中に分配された薬剤の単位数を追跡するように動作可能なプロセッサを有する流体制御部を含む薬物投与システムを提供する。
【0008】
さらに別の態様によれば、本発明は、針が一連の注射薬を提供する解剖学的構造の一部を表示するための視覚的表示部を有する薬物投与システムを提供する。任意選択で、表示部は、一連の注射薬のそれぞれの解剖学的位置を示すための記録保持インターフェースを提供してもよい。さらに、記録保持インターフェースは、各解剖学的位置に注入された単位数を示してもよい。
【0009】
さらなる態様によれば、本発明は、一連の注射中に注射された単位数を記録保持インターフェース中に表示された単位数と比較するように構成された電子制御部を含む流体制御部を有する薬物投与システムを提供する。
【0010】
別の態様によれば、本発明は、針内の流体圧力を示す特性を検出するための、針と一直線上にある流体制御部および流体圧力センサを有する薬物投与システムを提供する。
【0011】
さらなる態様によれば、本発明は、一連の注射のために流体を中空針に自動的に分配するために流体制御システムを使用する方法を提供する。この方法は、いくつかの薬剤単位を有する容器内において、ある容量の希釈剤を混合すること、およびその容器からある容量の薬剤を有する流体貯蔵部を提供することによって、ある容量の薬剤を調製するステップを含む。容器内の希釈剤の量および容器内の薬剤の単位数に関するデータが流体制御システムに入力される。流体制御システムは、データを入力するステップに基づいて薬剤の単位を分配するのに必要とされる流体貯蔵部内の流体の体積である単位体積を自動的に計算する。注射中に分配されるべき単位の数が選択される。流体制御システムは、計算された単位体積に基づいて選択された数の単位を分配するのに必要な流体貯蔵部内の流体の量である注入量を自動的に計算する。アクチュエータが作動され、流体制御システムを作動させるステップに応答して、計算された注入量を流体貯蔵部から排出する。選択および作動のステップは、複数回繰り返されてもよい。方法はまた、処置中に分配された単位の総数を決定するために、選択および作動のステップ中に分配された単位の総数を追跡するステップを含み得る。
【0012】
別の態様によれば、本発明は、針に流体を自動的に分配する方法を提供し、この方法は、一連の注入が行われる解剖学的構造の一部を表示するための視覚的表示を提供するとともに、各注射の位置と各位置に注射された単位の数を特定することによって注射マップを作成するステップを含む。単位の位置および数は、視覚的表示部上に表示されている解剖学的構造の部分上で識別することができる。
【0013】
さらなる態様によれば、本発明は、針に流体を自動的に分配するための方法を提供し、この方法は、処置中に分配された単位の総数と注射マップの作成中に識別された各注射について識別された単位の総数との間の差を計算するステップを含む。
【0014】
さらに別の態様によれば、本発明は、針に流体を自動的に分配するための方法を提供し、この方法は、流体貯蔵部内の薬剤の単位数を計算するとともに、アクチュエータを作動させて貯蔵部から流体を分配する各ステップの後に流体貯蔵部内に残っている薬剤の単位数を再計算するステップを含む。
【0015】
さらなる態様によれば、本発明は、流体貯蔵部から注射を提供するための装置を提供する。流体貯蔵部は、ある量の希釈剤中に多数の薬剤単位を含むある量の薬剤を含む。流体制御部は、流体貯蔵部からの流体の流れを制御する。患者に薬剤を注入するために、針が流体貯蔵部と流体連通している。流体貯蔵部から1用量の薬剤を供給するように流体制御部を選択的に作動させるためのアクチュエータが設けられている。流体制御部は、注射のために所望の数の薬剤単位を有する1用量を提供するのに必要とされる流体貯蔵部内の流体の体積を計算するように動作可能であり得る。装置はまた、1用量中における所望の数の単位に関する情報を入力するための入力装置を含み得る。加えて、入力装置は、一連の注射の各々の解剖学的位置を示すための記録保持インターフェースを表示するための視覚的表示画面を含み得る。
【0016】
さらに別の態様によれば、本発明は注入を提供するための装置を提供し、システムは一連の解剖学的位置の各々に注入された単位の数を示す記録保持インターフェースを提供する表示部を含み得る。
【0017】
さらなる態様によれば、本発明は、流体制御部を含む注射を提供するための装置を提供する。流体制御部は、アクチュエータが作動された回数およびアクチュエータの各作動時に注入された単位の数に関する情報に基づいて、処置中に分配された単位の数を追跡するように動作可能なプロセッサを含み得る。任意選択で、プロセッサは、一連の注射中に注射された単位の数を記録保持インターフェースに示された単位の数と比較するように構成されてもよい。
【0018】
本発明の好ましい実施形態の前述の概要および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めば最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】薬物注入装置の斜視図である。
【0020】
図2図1に示す薬物注入装置の背面図である。
【0021】
図3図1に示す薬物注入装置の平面図である。
【0022】
図4図1に示す薬物注入装置と共に使用するための注射アセンブリの斜視図である。
【0023】
図5図4に示す注射アセンブリのハンドピースの側面図である。
【0024】
図6図1に示す装置を使用する処置のためのセットアップ画面を示す、図1に示す装置のオペレータ表示部のスクリーンショットである。
【0025】
図7図1に示す装置を使用する処置中に使用するための制御画面を示す、図1に示す装置のオペレータ表示部のスクリーンショットである。
【0026】
図8図1に示す装置を使用する処置に関連して使用するための記録保持画面を示す、図1に示す装置のオペレータ表示部のスクリーンショットである。
【0027】
図9図1に示す装置を使用する処置に関連して使用するための第2の記録保持画面を示す、図1に示す装置のオペレータ表示部のスクリーンショットである。
【0028】
図10図1に示す装置を用いた処置に関連して作成された患者記録画面を示す、図1に示す装置のオペレータ表示部のスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで図面一般、特に図1~5を参照すると、薬物注入システムは一般的に5で示される。システム10は、駆動ユニットと呼ばれるコンピュータ制御薬物投与器具20を含む。駆動ユニット20は、流体貯蔵部から注射針120への流体の流れを制御する。システム10はまた、医療専門家が流体投与の制御をカスタマイズすること、ならびに医療処置を監査し、処置の詳細の記録を保存することを可能にするユーザインターフェース70を含む。
【0030】
自動輸液システム
システム10は、制御された薬剤の流れを注射針120に提供するための流体投与アセンブリ20を含む。流体投与システムは自動システムであり、この例では駆動ユニット20と呼ばれるコンピュータ制御の流体投与システムである。
【0031】
図1図5を参照すると、駆動ユニットは、流体貯蔵部90と関連して作動するように設計されている。例えば、流体貯蔵部は注射器90であり得る。したがって、駆動ユニット20は注射器を収容するように構成されてもよい。例えば、駆動ユニット20は、注射器のバレル92およびプランジャ94を受けるように構成されたクレードル30を含み得る。クレードル30は、注射器90のバレル92を受けるように構成された細長いスロット32を含み得る。スロット32は、図1図2に示されるように、開いた前方端を有してもよい。このようにして、注射器90の先端はスロット32の端部から突出することができる。クレードル30は、バレルスロット32と交差し、バレルスロットと軸方向に整列しているプランジャスロット34をさらに含む。プランジャスロット34は、注射器90のプランジャ94を受けるように構成されている。特に、プランジャスロット34は実質的に注射器プランジャ94の長さであるので、プランジャが注射器のバレルから延在するときにプランジャスロットがプランジャの長さを受け入れることができる。クレードル30はまた、注射器バレル94のフランジ96を受容するように構成された横方向スロット38を含み得る。横方向スロット38は、注射器のフィンガーフランジ96と係合して、プランジャ94に対する注射器バレル92の軸方向変位を妨げる。駆動ユニット20はまた、注射器90をクレードル30内に解放可能に保持するためのクランプ40を含み得る。例えば、クランプ40は、クレードル30からの注射器の排出を妨げるのに十分な摩擦を提供する1つ以上の弾性要素を含み得る。
【0032】
図1に示すように、クレードル30は、プランジャがプランジャバレルの後方端部まで引き込まれたときに、注射器のバレル92およびプランジャ94を受けることができるように細長くなっている。より具体的には、クレードルは、プランジャがバレルからその最大長さまで引き出されるときに、プランジャと係合することなく注射器がクレードル内に位置することができるように、注射器の最大延長長さよりも長い。
【0033】
駆動ユニット20は、クレードル30内のプランジャ94をバレル92に対して変位させるための駆動要素を含む。駆動要素は、正確に制御することができる任意の様々な直線的に変位可能な要素とすることができる。例えば、駆動要素は駆動ねじを含むことができ、ねじの回転はプランジャを前方に駆動する。この例では、駆動ユニット20は、プランジャ94の後端部と係合する駆動ブロック50を含む。駆動ユニットは、注射器90から針120への流体の流れを制御するために駆動ブロック50の前進移動を制御する。特に、駆動ブロック50は、バレルに対してプランジャを駆動するべく、プランジャスロット34内で軸方向に変位可能である。具体的には、駆動ユニット50は、駆動ブロック20の前進を制御してプランジャを前進させて注射器バレル92から流体を噴射させる。同様に、駆動ユニットは、注射器を吸引するためにプランジャをバレルから引き出すために駆動ブロック50の後退(すなわち前進とは反対方向の軸方向変位)を制御する。駆動ユニット50は、プランジャ94と駆動ブロック50との間に解放可能な接続を提供するための保持要素をさらに含み得る。例えば、駆動ユニットは、プランジャの親指パッドと係合してプランジャを駆動ブロック50と接続する複数の弾性フィンガーを含み得る。
【0034】
駆動ユニット20は、ユーザから受信した信号に応答して駆動ユニットの動作を制御するための、マイクロプロセッサなどの電子制御部を含む。電子制御部は、注射を提供するために駆動ブロックを駆動する駆動機構を制御する。例えば、駆動機構は、駆動ブロック50に接続された電機子を含み得る。駆動部は、電機子を駆動する電気モータを制御して駆動ブロックを駆動してもよい。
【0035】
駆動ユニット20は、医療専門家が駆動ユニットの動作を制御するための入力信号を提供するための様々な入力機構を提供してもよい。例えば、駆動ユニットは、手動で作動可能なボタン、キーボード、マウス、フットペダル、またはタッチスクリーンを含むがこれらに限定されない1つまたは複数の様々な入力装置を含み得る。システムはまた、ユーザが医療処置の進行を監視し、処置に関する情報を確認することができるように表示部70を含む。この例では、表示部は、処置中に駆動ユニット20の動作を制御するためにユーザがデータおよび様々なパラメータを入力することを可能にするタッチスクリーン表示部70である。さらに、後述するように、駆動ユニット20は、駆動ユニット20に入力信号を供給する外部制御要素を接続するための入力ジャック75を含み得る。入力ジャック75は、以下でさらに説明されるように、駆動ユニットの電子制御部と外部制御要素との間に電気的接続を提供し得る。
【0036】
注入アセンブリ
図4を参照すると、システム10は、薬物注入処置中に駆動ユニット20と協働する注射アセンブリ80を含む。注射アセンブリは、注射器90、ハンドピース100、注射器をハンドピースと接続する流体ライン85、およびハンドピースと駆動ユニット20との間の電気的接続を提供するケーブルを含む。アセンブリは、ハンドピース100と解放可能に接続された針120をさらに含む。
【0037】
注射器80、流体ライン85、ハンドピース100および/または針120などの注射アセンブリの様々な要素は使い捨て可能であり得る。あるいは、上記要素は再利用可能であり得る。したがって、注射アセンブリの様々な要素は解放可能に接続可能である。例えば、流体ライン85は各端部に流体コネクタを含み得る。液密コネクタは、様々なコネクタのうちのいずれでもよい。1つの例示的なコネクタはルアーコネクタである。第1の端部では、流体コネクタは注射器と液密に接続し、第2の端部では流体ラインはハンドピース100と液密に接続している。あるいは、流体ライン85はハンドピース100の後端部に固定的に接続されてもよい。いずれの実施形態でも、ハンドピース100と注射器とは流体連通状態にあり、注射器からハンドピースへと流体の流れを提供する。
【0038】
注射器90は、様々な皮下注射器のうちのいずれであってもよく、そしてサイズは、意図される用途に応じて変わり得る。例えば、一用途では、駆動ユニット20を美容整形手術に使用して一連の顔面注射を行うことができる。そのような用途では、注射器は1cc容量の注射器であり得る。注射器90は、ある量の薬剤を保持するためのバレル92と、バレル内でスライド可能であり、バレル内に流体を引き込むかまたはバレルから流体を排出するためのプランジャ94を含む。注射器90はまた、バレルから外向きに突出するフランジ96を含むことが好ましい。フランジは、プランジャのバレル内への移動を容易にするためのフィンガーフランジとして機能する。
【0039】
図4図5を参照すると、ハンドピース100は、一連の注射を提供するように操作可能な手持ち式要素である。ハンドピース100は、ユーザによって握られるように構成されたハンドルを形成する細長いほぼ円筒形のハウジング105を備えている。ハウジング105の後端部107は、後端部で小径になるように内向きに先細になっていてもよい。ハウジング105の後端部に出力ケーブル82および流体ライン85用のコネクタを形成してもよい。針120は、ハウジング105の前端部から前方に突出している。図4に示すように、ハウジング105の前端部109は、ルアーハブに取り付けられた針120を接続するためのオス型ルアーフィッティングのような流体コネクタを含み得る。
【0040】
ハンドピース100は、注射を提供するために駆動ユニット20を作動させるためのアクチュエータを含み得る。例えば、ハンドピースはボタン110を含み得る。ボタン110は、駆動ユニットに入力信号を供給するための入力装置として構成される。特に、ボタン110をハウジング105内の回路と接続して、ボタンを作動させると(例えば、ボタンを押すことにより)、回路が駆動ユニットに信号を送信する。例えば、ボタンを作動させると、ハンドピース内の回路は駆動ユニットに注入信号を供給し得る。注入信号は、流体貯蔵部からハンドピースへの流体の流れを提供するために駆動ユニットが流体貯蔵部を制御すべきであることを示す。以下でさらに論じるように、駆動ユニットは、処置に応じて流体の流れを制御するように構成されてもよい。例えば、駆動ユニットは、アクチュエータボタンが作動される限り、流体の連続的な流れを提供してもよい。あるいは、駆動ユニットは、操作者がボタンを押している時間に関係なく、ボタンが作動されるたびに計量された量の流体を供給してもよい。
【0041】
流体ライン85は、様々な医療用可撓性チューブのいずれでもよい。この例では、流体ラインは、0.25mm~2.5mmの間の内径を有する微小孔流体ラインである。好ましくは、微小孔チューブは、0.25mm~1.5mmの間の内径を有する。さらに、流体ライン85の長さは変化してもよいが、流体ラインの全体積(これは内径と長さの両方に関係する)は2.0mL未満であることが好ましい。微小孔流体ラインを使用することによって、システムはシステムの呼び水量を減少させる。
【0042】
システムはまた、針120を出る流体圧力を示す特性を検出する圧力感知要素を含み得る。注射中における流体圧力の増加は患者の不快感を招く可能性があるので、システムは、針から出る流体の流体圧力を低下させることによって患者の不快感を軽減することができる。例えば、流体圧力の増加に応答して、システムは流体の流れを制御して針への流体の流れを減少させてもよい。同様に、低下した流体圧力に応答して、システムは流体速度を増加させてもよく、それによって処置を完了するのに必要な時間を短縮する。あるいは、システムは、流体圧力が所定の圧力閾値を超えた場合に減衰または減少する概ね一定の流量を利用してもよい。圧力閾値は処置に応じて可変であり得る。
【0043】
上述のように、システムは、針の出口における流体圧力の特性を検出するための様々なセンサのうちのいずれかを含み得る。例えば、駆動ユニット20は、駆動ブロック50を駆動する電気モータに接続された力覚センサを含んでもよい。センサは、モータ出力に配置されてもよく、すなわちモータによって駆動ブロック50などの駆動機構に加えられる力を測定してもよい。次いでこの力を用いて、注入プロセス中に発生した力または内圧などの内部特性を特定することができる。次いで、この特性は、駆動機構に対する対応するコマンドを生成するために、マイクロプロセッサまたは制御部により制御パラメータとして使用され得る。例示的な実施形態では、この特性は、流体が装置によって細長い管を通って排出される出口圧力を計算するために使用される。次いで、患者が疼痛および/または組織損傷を被らないことを確実にするために出口圧力が所定のレベル以下に維持されるように電気モータが操作される。あるいは、注射アセンブリ80は、流体ライン内の流体圧力を検出するインライン流体圧力センサを組み込んでもよい。流体圧力センサは駆動ユニットの制御部と電気通信しているので、制御部は駆動ユニットの電気モータを制御して流路内の流体圧力を所定の圧力以下に維持して患者の快適さを保証することができる。具体的には、力覚センサまたはインライン流体センサのいずれかに応答して、制御部は、流体圧力が閾値を下回るまで流体の流量を自動的に減少させるように駆動ユニットを制御し得る。
【0044】
再び図4を参照すると、注射アセンブリ80は出力ケーブル82を含む。出力ケーブル82は、駆動ユニットが注射アセンブリから制御信号を受信することができるように、注射アセンブリ内の電気素子を駆動ユニット20に接続する。特に、出力ケーブル82の端部にあるプラグまたはジャック84は、駆動ユニットの入力ジャック75と嵌合して、注射アセンブリ80と駆動ユニットの制御部との間に電気的接続を提供する。例えば、注射アセンブリ80がインライン流体圧力センサを含む場合、センサからの信号が出力ケーブルに沿って駆動ユニットの制御部に送信され、それにより駆動ユニットは針への流体の流れを制御することができる。同様に、ハンドピース100がボタン110などのアクチュエータを含む場合、アクチュエータからの電気信号は、出力ケーブル84を介して駆動ユニットと通信して、アクチュエータに応答して針への流体の流れを制御することができる。
【0045】
操作方法
以下の説明は、神経毒注射処置を実行するために駆動ユニット20および注射アセンブリ80を利用する、上記のシステム10の例示的な動作方法を説明する。そのような処置は、美容目的および治療目的のために一般的に行われ、そしてしばしば敏感な領域への一連の注射を必要とする。
【0046】
方法論は、図6図10に示されるように、駆動ユニットの表示部70からの一連のスクリーンショットに関連して説明される。以下の説明では、表示部はタッチスクリーン表示部であるので、ユーザはタッチスクリーンを使用して情報を入力することができる。しかし、マウス、キーボード、および/またはスタイラスペンなどの他の入力機構を提供することができることを理解されたい。
セットアップ
【0047】
注射の前に、操作者は、処置を制御し、そして処置の記録を提供するために使用される様々なデータを入力する。システムは最初に表示部70上に患者データ画面を提供してもよく、ここでオペレータは、限定はしないが、患者名、生年月日、処置の日付、および処置を行う医療専門家の名前を含む様々な情報を入力し得る。
【0048】
図6を参照すると、患者データが入力された後、ユーザは処置中に使用されるべき薬物に関するデータを入力する。神経毒注射処置では、任意の様々な神経毒を使用することができ、そのうちの最も一般的なものはボツリヌス毒素の形態を使用する。A-G型を含む7つの血清型のボツリヌス毒素がある。ボツリヌス中毒は血清型A、B、E、Fおよび潜在的にはGによって引き起こされる。
【0049】
市販されているA型ボツリヌス毒素の3つの最も一般的なブランドは、ボトックス(登録商標)、ディスポート(登録商標)およびゼオミン(登録商標)である。これらは、他の複数の神経筋疾患に加えて、成人の頸部(頸部)ジストニアおよび眼部ジストニア(眼瞼痙攣)の治療に使用される。さらに、成人の頸部ジストニアを治療するためにB型ボツリヌス菌の商標の1つであるナーブロック(登録商標)も利用できる。患者が一方の型のボツリヌス菌(A型またはB型のいずれか)に対する免疫を発症した場合、ときには他の型のボツリヌス菌が有効な場合がある。
【0050】
薬はその量の薬の有効成分を表す測定値を有する。多くの薬は重さ(ミリグラム、グラムなど)で測定される。しかしながら、ボツリヌス毒素Aのような生物学的に由来する薬物は、所定の実験室試験における薬物の効果の量を表す単位で測定される。例えば、ボトックス(登録商標)としてアラガン社から市販されているボツリヌス毒素Aは、単位で測定される。
【0051】
投与されるボトックスの単位数は治療用量に対応し、そして患者によって、そして処置ごとに変わるであろう。例として、平均的な人は通常、眉間の線を処理するために約20単位のボトックスを入手する(この数は人によって必ず異なる)。
【0052】
ボトックスは100、300、および500単位を含むバイアルで利用可能であり、最も一般的に使用されるボトックスはバイアルあたり100単位を有する。筋肉運動の減少に対するボトックスの有効性は、希釈ではなく与えられた単位の用量に依存する。ボツリヌス毒素Aは、凍結乾燥粉末として提供されてもよい。注射用に調製するために、生理食塩水などの希釈剤を用いて粉末を再構成して溶液を作る。再構成プロセス中に添加される液体の量は、処置に応じてそして処置を実行する医療専門家の好みに応じて変わり得る。したがって、1単位のボトックスを表す溶液の容量は、バイアル中の単位数およびバイアルに添加される希釈剤の容量に応じて変わる。しかしながら、処置中、医師は治療的投薬の標準化において液量に頼らず、代わりに治療用量、最大用量および最小用量を決定するために投与された単位の数に頼る。例えば、100単位バイアルのボトックスを4mLの食塩水を用いて再構成する場合、各0.1mLの溶液は2.5単位のボトックスを提供する。同様に、1mLの生理食塩水を使用してバイアルを再構成した場合、0.1mLごとに10単位のボトックスが得られる。
【0053】
したがって、処置を準備するために、医療専門家は、薬剤をある量の希釈剤で再構成するステップを実施する。次に希釈剤の量および薬剤に関する情報をシステムに入力して、薬剤の単位当たりの溶液の量を計算する。特に、図6を参照すると、ユーザは薬剤のリストから選択する。列挙された各薬剤に関する情報は、駆動ユニットのメモリに格納されている。さらに、ユーザは選択された薬剤に対する希釈レベルを入力する。例えば、ユーザは添加される希釈剤の量を入力してもよい。あるいは、システムは、100単位バイアルあたり1mL、100単位バイアルあたり2mL、100単位バイアルあたり2.5mL、および100単位バイアルあたり4.0mLなどの一般的な希釈レベルのリストを記憶し得る。この例では、システムは、100単位バイアル当たり2.5mLなどのデフォルト希釈率を記憶し、ユーザが希釈レベルを増分(0.1mL増分または0.5mL増分など)で増減することを可能にする。ユーザはまた、ロット番号に関する情報を入力し、その情報は患者記録と共に記憶され得る。さらに、ユーザはバイアルの有効期限を入力してもよい。システムはまた、ユーザがバイアルの有効期限が切れたことを示す日付を入力した場合に警告を発するように構成されてもよい。例えば、ユーザによって入力された有効期限が現在の日付(すなわち、ユーザが情報を入力した日付)より前である場合である。
【0054】
使用者が薬剤および希釈量に関する情報を入力すると、システムは個々のユニットに対する溶媒の量を計算する。この計算は、希釈剤の量をバイアル内の単位数で割ることによって行われる。システムは、処置中の流体の流れを制御するために後で使用される、単位当たりの計算量に関するデータを記憶する。
【0055】
このシステムは、処置の異なる部分の間に流体の流れを制御するための回路を含む。例えば、ハンドピースは、ハンドピースのチューブと針への液体の注入、単位用量注射、および吸引を含む注射中の動作の基本機能を可能にする制御部回路基板を有していてもよい。ハンドピースは、異なる流量速度間の流量変化を含むがこれに限定されない追加の機能を提供するように動作可能な制御ボタン110などのアクチュエータを有することができる。
【0056】
処置を準備するために、ユーザは、上記のように調製されたバイアルから注射器90を薬剤で充填し、次に注射器を流体ライン85に取り付ける。次にユーザは注射アセンブリ80を駆動ユニットに取り付ける。特に、注射器90は、プランジャのプッシュパッドが駆動ブロック50と係合し、注射器の排出端がバレルスロット32の上端から突出するようにして、駆動ユニットの注射器クレードル30に挿入される。さらに、ユーザは、注入アセンブリからのプラグ84を駆動ユニット20のジャック75に挿入する。駆動ユニットは、注射器クレードル内の注射器の存在を検出するためのマイクロスイッチまたはセンサを含み得る。したがって、システムは、クレードル内の注射器の存在を示すメッセージをユーザに表示してもよい。さらに、システムは、センサが注射器クレードル内の注射器の存在を検出しない場合、処置を続行することを許可しなくてもよい。同様に、システムは、駆動ユニット内の回路とハンドピース100内の回路との間にフィードバックループを含んでいてもよく、プラグが駆動ユニットのジャック75に挿入された場合に、ハンドピースは、ハンドピースが駆動ユニットに取り付けられていることを示す信号を駆動ユニットに提供する。したがって、駆動ユニットは、出力ケーブルが駆動ユニットに接続されているかどうかを示す信号を提供することができ、システムは、プラグ84がジャック75に挿入されたことをシステムが検出しなければ処置を続行しなくてもよい。
【0057】
注射器が装填され、出力ケーブルが接続されたことをシステムが検出するまで、制御部は、駆動ユニットをロックアウトして駆動ブロック50を移動させることができないようにする。上記2つの条件が満たされると(すなわち、注射器クレードル30内で注射器90が検出され、ケーブル82が接続されると)、駆動ユニットはシステムをプライミングするために流体を放出することが可能になる。システムは、いくつかの方法のうちの1つでプライミングすることができる。例えば、システムをプライミングするのに必要なプライミング容積は、流体ラインの容積およびハンドピースを通る流路の容積などのいくつかの既知の詳細に基づいて知られているかまたは合理的に近似され得る。例えば、この例では、プライミング容量は約0.04mLである。そのような場合、駆動ユニットは注射器から適切な量の流体(例えば0.04mL)を自動的に放出して注射アセンブリ80を流体で満たし得る。あるいは、この例では、システムは、ハンドピース100上のボタン110などのアクチュエータを押し下げることによりユーザによってプライミングされる。ユーザがアクチュエータを作動させるのに応答して、駆動ユニット20は、ユーザがアクチュエータを作動させる限り駆動ブロック50を前進させる。具体的には、ユーザは、針120から出る流体を視覚的に確認するまでボタン110を押し続けてもよい。流体が針120から出ると、ユーザはアクチュエータを解放する。使用者がアクチュエータを解放すると、駆動ユニットは駆動ブロック50の前進を停止して流体貯蔵部からの流体解放を中断する。
【0058】
プライミングが完了した後にユーザがアクチュエータ110を解放すると、アクチュエータの解放は制御信号として作用し得る。したがって、アクチュエータの解放は、プライミング処置が完了したことをシステムに知らせ得る。あるいは、この例では、ユーザがシステムをプライミングした後、注入アセンブリがプライミングされたことを確認するためにユーザがシステムに入力信号を提供してもよい。例えば、駆動ユニット20は、タッチスクリーン70上にアイコンまたは他のプロンプトを表示してもよく、そしてユーザは、アイコンまたは他のプロンプトを押して、プライミングされているシステムを示す信号を提供してもよい。注射アセンブリがプライミングされていることを示す信号をシステムが受信すると、システムは注入モードに移行して、以下でさらに説明するように1つまたは複数の注入を提供する。
【0059】
システムは、セットアップ手順の進行を示すセットアップ画面をタッチスクリーン70に表示し得ることに留意されたい。セットアップ画面は、注射器クレードルへの注射器の装着を示すアイコンまたはイラストと、ケーブル82のジャック75への接続を示す別のアイコンまたはイラストとを含み得る。そのようなプロンプトを表示するか、またはそのようなプロンプトと同時に表示する前に、システムは、システムをプライミングするために使用される追加の流体を注射器に含めるようにユーザに指示するプロンプトを含むことができる。例えば、システムは、注射アセンブリをプライミングするために注射器に追加されるべき流体の量を示すアイコンまたは他のイラストを表示部上に提供することができる。プライミングに使用される追加の容量がなければ、システムがプライミングされた後の注射器内の単位数は、最初の注射が行われる前の注射器内の予想単位数と一致しないだろう。
【0060】
注射手順
上記のようにシステムが処置のために設定されると、医療専門家は医療処置を進めることができる。図7を参照すると、処置中に各注射を制御するために使用することができる注射画面が示されている。ユーザは、注射中に注入されるべき単位数および注射中に使用されるべき流量を選択する。ユーザが注入のための単位数および流量を選択すると、これらの値は制御部のメモリに格納され、ユーザが異なる値を入力するまで各注入に使用され得る。あるいは、システムが注射を許可する前に、ユーザが各注射についての情報を入力するようにシステムを構成してもよい。
【0061】
例えば、システムは、1~5単位などの中からユーザが選択するための投与量レベルのメニューを提供してもよい。投与量レベルに応じて、駆動ユニットは、所望の数の単位を提供するために注射されるべき溶液の容量を計算する。加えて、システムは、ユーザが注射のための流量を選択することを可能にし得る。システムは、利用可能な流量のリストを含んでいてもよい。あるいは、図6に示されるように、システムは、2つの選択肢、快適または高速、を含み得る。この構成では、「快適」オプションは0.005mL/秒などの遅い流速に対応し、「高速」オプションは0.03mL/秒などの速い流速に対応する。これらの流速は例示的な速度としてのみ提供されており、速度は変動し得ることを理解されたい。しかしながら、この例では、より遅い流体速度は0.001から0.01mL/秒の間であり、より速い流体速度は0.01より大きく0.1mL/秒未満であることが好ましい。
【0062】
前述のように、システムは、針から出る流体圧力に対応する特性を感知する動的圧力感知能力も含み得る。図7に示されるように、システムは、検出された特性の相対的なレベルを示して相対的な流体圧力を示すグラフィック表示部を含み得る。このようにして、システムは、針の位置、針が塞がれているかどうか、注射が行われる組織の種類の特定を含むがこれらに限定されない様々な状態の指示をユーザに提供することができる。筋肉、脂肪組織、靭帯または血管などの特定の組織タイプの圧力感知は、特定の位置を選択するため、痛みを軽減するため、および/または組織損傷を排除するために注射を行うときに重要な情報を提供し得る。特に、システムは注射中にリアルタイムで圧力センサから信号を受信する。検出された圧力が第1の圧力を超えると、第1の信号が照射される。これは、次により高い閾値を超えると異なるまたは追加の信号を照射しながら、一連の漸進的により高い閾値に対して段階的に継続する。このようにして、システムは注射中の吐出圧力に関してユーザにフィードバックを提供することができる。
【0063】
あるいは、システムは、注射中に検出された流体圧力に応じて、注射のための流体流量を制御してもよい。特に、流体圧力閾値を駆動ユニットのメモリに記憶することができ、システムは、所定の流量に応じて、または上述のようにユーザによって選択された流量に応じて流体を駆動する。注射中に圧力センサから受信した信号に応答して、圧力が閾値を超える場合、駆動ユニットは注射のための流量を減衰させることができる。例えば、駆動ユニットは、流体流量をより低い一定流量に減少させることができる。あるいは、圧力が増加するにつれて流量は減少し得る。可変流量と圧力との間の相関は、線形でもそうでなくてもよい。
【0064】
したがって、ユーザが注射すべき単位の数を選択しそして流量を選択すると、ユーザは皮下注射または筋肉内注射のために、患者に針120を挿入する。針120が配置されると、ユーザはハンドピース上のボタン110などのアクチュエータを作動させる。アクチュエータの作動に応答して、駆動ユニット20は、流体貯蔵部92から針を通って一定量の流体を自動的に放出する。流体の体積は、ユーザによって選択された所望の数の単位を提供するように計算される。さらに、駆動ユニット20は流体の流れを制御して上述のように所望の流量を提供する。特に、駆動ユニットは、駆動ブロック50が前進する速度を制御してプランジャ94を駆動する。さらに、駆動ユニット20は、注射中に放出されるべき流体の計算量に基づいて、駆動ブロック50が前進する距離を制御する。具体的には、駆動ユニット20は、駆動ブロック50を駆動する電気モータに制御信号を供給して、モータ速度およびモータが作動される期間を制御し、それによって注射器から吐出される流体の量および流量を制御する。
【0065】
注入が完了すると、システムは、注入が完了したことを示す信号をオペレータに提供することができる。例えば、システムは、注射が完了したときに可聴音を提供してもよいし、あるいは注射プロセス全体の間に可聴音が発せられ、注射が完了すると可聴音が止まるようにしてもよい。あるいは、システムは、針120内の流体圧力の指標を提供してもよい。したがって、インジケータは、圧力レベルが、流体圧力がごくわずかまたは全くないことに対応する閾値を下回っていることを示す信号であって、注射が完了したことを示す信号を提供する。
【0066】
図7に示すように、システムはまた、流体貯蔵部94内に残っている単位の数を示す表示を提供し得る。システムは、上述のように、セットアップ中にユーザからのデータ入力から流体貯蔵部内の単位数を計算してもよい。その後、ユーザが注射のためにアクチュエータを作動させるたびに、システムは注射で提供された単位の数だけ「単位数」用のカウンタを減らす。例えば、図7に示すように、セットアップ中に入力されたユーザデータに基づいて、システムは流体貯蔵部が20単位を含むと計算することができる。ユーザが注射のための単位数として1単位を選択した場合、ユーザがボタン110を作動させた後、システムは、「注射された単位」変数を1に増分し、「残りの単位」変数を19に増分する。このようにして、ユーザは一連の注入を続けて注入ごとの単位数を指定することができ、システムは注入された単位数と残りの単位数とを自動的に追跡し、その結果ユーザは、流体貯蔵部をいつ補充または交換する必要があるかがわかる。
【0067】
システムは、LEDスクリーン上に視覚的に提供される情報もまた可聴音、聴覚音または話された言葉でユーザに伝達され得るように構成され得ることが理解されるべきである。同様に、ハンドピースは、振動フィードバックを介してユーザにデータを提供するための振動チップまたは回路を含んでいてもよく、この場合はハンドピース内に振動電子チップが埋め込まれている。このようにして、システムは、一例として、そして限定されるものではないが、単位用量の投与、流量、動的圧力感知、閉塞または空注射器のような情報に関する信号をユーザに提供し得る。触覚振動通信は、例として、振動運動の速度、脈動、または振動の頻度の増減を含んでいてもよく、さらにこれらの例に限定されない。
【0068】
振動信号に加えて、または振動信号の代わりに、駆動ユニットは、可聴信号をユーザに提供するための1つまたは複数の要素を含むかまたは1つまたは複数の要素と接続されてもよい。頻度またはピッチが変化する可聴トーンを使用して、注射のパラメータ、すなわち選択単位、注射速度、圧力感知データ、吸引、空の注射器状態、針の閉塞、および画面に伝達されるその他すべての情報を伝達することができる。
記録の保存
【0069】
1回以上の注射が完了した後、ユーザは、注射回数、注射の位置および各注射の間に注射された単位の数ならびに全体的な処置を説明するために処置を監査する記録保持処置に進むことができる。ユーザは、個々の注射の完了後に各注射を記録することができることを理解されたい。しかしながら、以下の説明では、ユーザはすべての注射が完了した後に一連の注射からのすべての注射を記録する。
【0070】
図8図9を参照すると、記録保持インターフェースが示されている。記録保持段階中に、システムは注射が完了した領域の図を提供する。例えば、表示部70は、人間の頭の挿し絵を表示してもよい。次いで、ユーザは、注射のために注入された単位の数を選択し、そして挿し絵上で注射の位置を示す。例えば、ユーザは注射が行われた頭の部分に触れてもよい。それに応答して、システムは選択された位置にドットのようなマークを表示する。システムはまた、ドットの隣に注入された単位の数の指標を表示してもよい。システムはまた、記録された各注入の単位数に基づいて注入された単位の総数を追跡する。次いで、この数を、注射処置の間に上記のように「注射された単位」変数について計算された注射の数と比較することができる。特に、記録管理ページに残りの単位数を表示してもよい。記録プロセスにおけるこの「残りの単位」変数は、最初に、注射処置からの「注入された単位」変数と等しくなるように設定される。ユーザが注射を記録する(例えば、表示部上にドットをマークする)たびに、システムは、注射中に注入された単位の数だけ、残りの単位変数を減らす。このように、記録保持手順における「残りの単位」変数は、記録された注射を監査するための方法を提供し、それによってユーザは、注射の数および提供された単位が一連の注射の間に提供された単位の数に等しいことを確認することができる。
【0071】
注入は小さな領域に提供され得るので、システムはまた、異なる注入の記録を容易にするために解剖学的部位の拡大を提供し得る。例えば、図8に示すように、解剖学的領域は複数の小区分に分割されてもよい。ユーザは小区分をクリックすることによって所望の小区分を選択することができる。次にシステムは、ユーザが異なる注射の位置をより容易かつ正確に示すことができるように、図9に示すように選択された領域の拡大図を提供する。
【0072】
ユーザが各注射を記録した後、システムは、患者データ、処置データ(すなわち、希釈レベル、薬剤、ロット番号、有効期限、注入されたユニットの総数、処置の日時)だけでなく、各注射の位置および各注射で注射された単位の数のグラフィカル表現を含む、処置のためのすべてのデータを表示する患者記録を提供し得る。患者記録は、駆動ユニット内のハードドライブまたはフラッシュドライブなどの不揮発性記憶装置に記憶することができる。代替として、駆動ユニットを、ファイルサーバまたは他の記憶装置、CD、DVD、磁気ドライブ、ハードドライブまたはソリッドステートメモリ、フラッシュメモリなどの外部記憶装置と接続するために、有線またはWi-Fiまたはブルートゥース(登録商標)などの無線のデータ接続を提供してもよい。追加的または代替的に、駆動ユニットはプリンタと接続されてもよく、患者記録のためのデータは図10に示されるように記録を印刷するためにプリンタにエクスポートされてもよい。
【0073】
当業者であれば、本発明の広い発明概念から逸脱することなく、上述の実施形態に対して変更または修正を加えることができることを理解するであろう。したがって、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲および精神の範囲内にあるすべての変更および修正を含むことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10