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特許7105034データ送信処理プログラム、データ送信処理装置、及びデータ送信処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】データ送信処理プログラム、データ送信処理装置、及びデータ送信処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20220714BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20220714BHJP
   G08C 17/02 20060101ALI20220714BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20220714BHJP
【FI】
G06F21/62 354
G08C15/00 E ZIT
G08C17/02
H04L67/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017060077
(22)【出願日】2017-03-24
(65)【公開番号】P2018163506
(43)【公開日】2018-10-18
【審査請求日】2019-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】島田 孝司
(72)【発明者】
【氏名】太田 勉
(72)【発明者】
【氏名】津田 智之
(72)【発明者】
【氏名】星屋 正善
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】新田 亮
【審判官】山澤 宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/111213(WO,A1)
【文献】特開2010-195078(JP,A)
【文献】特開2002-328980(JP,A)
【文献】特開2016-038741(JP,A)
【文献】特開2016-143245(JP,A)
【文献】特開2017-033305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G08C 15/00
G08C 17/02
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車を特定できる第1のデータ項目と共に、目的をもってある出発地からある到着地へ移動する単位であるトリップを識別するためのトリップIDを含む移動履歴データ取得し、
前記第1のデータ項目に対応する、ドライバーの個人情報であるドライバーデータ、及び運送会社の営業秘密データの少なくともいずれかを有し、且つ前記商用車の特定を許容された第1のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、各々の前記移動履歴データに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、
前記商用車の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記商用車を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記商用車か否かを判定可能とした第2のデータ項目を各々の前記移動履歴データに付加し第2の情報を送信する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ送信処理プログラム。
【請求項2】
前記第2のサーバ装置が、前記商用車の特定を許容されていない第3のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記第2のデータ項目に対し、前記商用車を特定できない処理を更に行い、且つ、前記第3のサーバ装置において同一の前記商用車か否かを判定可能とした第3のデータ項目を各々の前記移動履歴データに付加し前記第3のサーバ装置が要求した第3の情報を送信する、
請求項1に記載のデータ送信処理プログラム。
【請求項3】
前記第1のサーバ装置において、前記移動履歴データに前記第1のデータ項目を付加する請求項1から2のいずれかに記載のデータ送信処理プログラム。
【請求項4】
商用車を特定できる第1のデータ項目と共に、目的をもってある出発地からある到着地へ移動する単位であるトリップを識別するためのトリップIDを含む移動履歴データ取得し、
前記第1のデータ項目に対応する、ドライバーの個人情報であるドライバーデータ、及び運送会社の営業秘密データの少なくともいずれかを有し、且つ前記商用車の特定を許容された第1のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、各々の前記移動履歴データに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、
前記商用車の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記商用車を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記商用車か否かを判定可能とした第2のデータ項目を各々の前記移動履歴データに付加し第2の情報を送信する、
処理を実行する制御部を有することを特徴とするデータ送信処理装置。
【請求項5】
商用車を特定できない処理がなされた第2のデータ項目が付加された、目的をもってある出発地からある到着地へ移動する単位であるトリップを識別するためのトリップIDを含む移動履歴データ受信した後、前記商用車の特定を許容されていない他のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記第2のデータ項目に対し、前記商用車を特定できない処理を更に行い、且つ、前記他のサーバ装置において同一の前記商用車か否かを判定可能とした第3のデータ項目を各々の前記移動履歴データに付加し前記第3のサーバ装置が要求した第3の情報を送信する、
処理を実行する制御部を有することを特徴とするデータ送信処理装置。
【請求項6】
商用車を特定できる第1のデータ項目と共に、目的をもってある出発地からある到着地へ移動する単位であるトリップを識別するためのトリップIDを含む移動履歴データ取得し、
前記第1のデータ項目に対応する、ドライバーの個人情報であるドライバーデータ、及び運送会社の営業秘密データの少なくともいずれかを有し、且つ前記商用車の特定を許容された第1のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記移動履歴データに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、
前記商用車の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記商用車を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記商用車か否かを判定可能とした第2のデータ項目を各々の前記移動履歴データに付加し第2の情報を送信する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするデータ送信処理方法。
【請求項7】
商用車を特定できない処理がなされた第2のデータ項目が付加された、目的をもってある出発地からある到着地へ移動する単位であるトリップを識別するためのトリップIDを含む移動履歴データ受信した後、前記商用車の特定を許容されていない他のサーバ装置に前記移動履歴データを送信する場合、前記第2のデータ項目に対し、前記商用車を特定できない処理を更に行い、且つ、前記他のサーバ装置において同一の前記商用車か否かを判定可能とした第3のデータ項目を各々の前記移動履歴データに付加し前記第3のサーバ装置が要求した第3の情報を送信する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするデータ送信処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信処理プログラム、データ送信処理装置、及びデータ送信処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の発達により、様々な事象に対して、センサを用いて大量のデータが取得されつつある。
例えば、トラック等の商用車のドライバーから心拍や脈波を検出するセンサが取得した生体データ、いわゆるセンシングデータに車両IDを付加して管理装置へ送信し、管理装置が車両IDからドライバーを特定して、ドライバーの体調を管理する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-27961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両IDを付加した生体データ、及び管理装置が記憶している当該車両IDに対応するドライバーの個人名などを特定し得るドライバーデータが流出した場合、車両IDを付加した生体データとドライバーデータを照合させることにより、生体データを特定することができ、秘密にすべき個人情報の漏えいが発生するおそれがあるという問題がある。
【0005】
一つの側面では、本発明は秘密にすべき情報の漏えいを防止することが可能となるデータ送信処理プログラム、データ送信処理装置、及びデータ送信処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施態様では、データ送信処理プログラムは、計測対象を特定できる第1のデータ項目と共にセンシングデータを取得し、前記計測対象の特定を許容された第1のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記センシングデータに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、前記計測対象の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第2のデータ項目を前記センシングデータに付加した第2の情報を送信する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、秘密にすべき情報の漏えいを防止することが可能となるデータ送信処理プログラム、データ送信処理装置、及びデータ送信処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施例に係るデータ送信処理装置を含むシステムの構成を示す説明図である。
図2図2は、第1の車両IDが付加された走行履歴データのデータ構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の車両IDにドライバーデータを対応付けたデータのデータ構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の車両IDに営業秘密データを対応付けたデータのデータ構成の一例を示す図である。
図5図5は、第2の車両IDが付加された走行履歴データのデータ構成の一例を示す図である。
図6図6は、データ送信処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、本発明の一実施例に係るデータ送信処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図8図8は、本発明のデータ送信処理装置が、第1のサーバ装置に第1の情報を送信し、第2のサーバ装置に第2の情報を送信する流れの一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第2のサーバ装置が、データ送信処理装置から第2の情報を受信し、第3のサーバ装置に第3の情報を送信する流れの一例を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の他の一実施例に係るデータ送信処理装置を含むシステムの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を説明するが、本発明は、この実施例に何ら限定されるものではない。
なお、本発明の「データ送信処理装置」における各手段が行う制御は、本発明の「データ送信処理方法」を実施することと同義であるので、本発明の「データ送信処理装置」の説明を通じて本発明の「データ送信処理方法」の詳細についても明らかにする。また、本発明の「データ送信処理プログラム」は、ハードウェア資源としてのコンピュータ等を用いることにより、本発明の「データ送信処理装置」として実現させることから、本発明の「データ送信処理装置」の説明を通じて本発明の「データ送信処理プログラム」の詳細についても明らかにする。
なお、「データ送信処理装置」は「情報処理装置」又は「サーバ装置」と称することもある。
【実施例
【0010】
図1は、本発明の一実施例に係るデータ送信処理装置10を含むシステム1の構成を示す説明図である。なお、データ送信処理装置10にはデータ送信処理プログラムが内蔵されており、データ送信処理装置10を実施するとデータ送信処理方法が実施される。
【0011】
図1に示すように、システム1は、第1のサーバ装置100と、第2のサーバ装置200と、第3のサーバ装置300と、データ管理端末装置400と、車両A、・・・に搭載されているデータ送信処理装置10a、・・・と、を有する。また、各装置は、ネットワーク500を介して通信可能に接続されている。
【0012】
車両A、・・・に搭載されているデータ送信処理装置10a、・・・は、各センサ等により得た車両A、・・・の位置、速度、加速度などのセンシングデータである走行履歴データを取得し、計測対象である車両A、・・・の特定を許容された第1のサーバ装置100に走行履歴データを送信する場合、走行履歴データに第1のデータ項目(以下、「第1の車両ID」と称することもある)を付加した第1の情報を送信する。また、データ送信処理装置10a、・・・は、車両A、・・・の特定を許容されていない第2のサーバ装置200に走行履歴データを送信する場合、第1の車両IDに対し、車両A、・・・を特定できない処理を行い、且つ、第2のサーバ装置200において同一の車両か否かを判定可能とした第2のデータ項目(以下、「第2の車両ID」と称することもある)を走行履歴データに付加した第2の情報を送信する。
なお、データ送信処理装置10a、・・・は、機能構成及びハードウェア構成についてそれぞれ同様であることから、以下では「データ送信処理装置10」と称してまとめて説明する。また、車両A、・・・についても、「データ送信処理装置10」と同様に、単に「車両」と称してまとめて説明する。
【0013】
走行履歴データと第1の車両IDを受信したデータ送信処理装置10は、車両の特定を許容された第1のサーバ装置100に走行履歴データを送信する場合、走行履歴データに第1の車両IDをそのまま付加した第1の情報(図2参照)を送信する。
第1の情報を送信された第1のサーバ装置100は、車両の運行を管理する運送会社のサーバ装置であり、第1の車両IDに対応するドライバーの個人情報であるドライバーデータ及び当該運送会社の営業秘密データなどを格納している。第1のサーバ装置100では、第1の車両IDを対応付けた走行履歴データである第1の情報を受信すると、図3及び図4に示すように、第1の車両IDに基づいて走行履歴データとドライバーデータ又は営業秘密データとを対応付け、ドライバーを特定した走行履歴データ、走行履歴データのトリップIDとドライバーを特定した営業秘密データを、データ管理端末装置400のディスプレイなどに表示することにより運行管理を適切に行うことができる。
【0014】
また、データ送信処理装置10は、車両の特定を許容されていない第2のサーバ装置200に走行履歴データを送信する場合、第1の車両IDに対し、車両を特定できない処理を行い、且つ、第2のサーバ装置200において同一の車両か否かを判定可能とした第2のデータ項目(以下、「第2の車両ID」と称することもある)を走行履歴データに付加した第2の情報(図5参照)を送信する。
第1の車両IDに対して行う車両を特定できない処理としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のスクランブル処理などを選択することができる。
【0015】
第2の情報を送信された第2のサーバ装置200は、取得した走行履歴データに基づき交通道路状態を全国的に分析する分析会社のサーバ装置である。この分析会社では、ドライバーを特定する必要はないが、同一車両の1ヶ月にわたる走行距離などを算出するため、当該走行履歴データが同一の車両のデータか否かを判定する必要があることから、第2の車両IDは同一の車両か否かを判定可能としている。
このように、データ送信処理装置10が、第1の車両IDに対し、車両を特定できない処理を行った第2の車両IDを走行履歴データに付加して第2のサーバ装置200に送信することにより、第2のサーバ装置200に対し、秘密にすべき情報の漏えいを防止することが可能となる。
【0016】
なお、図2に示した第1の情報と図5に示した第2の情報との走行履歴データのデータ項目を比較すると、第2のサーバ装置200には、高速料金のデータ項目は不要であるため、第2の情報には送付されないようにしている。本実施例のように、一方のサーバ装置から他方のサーバ装置に走行履歴データを送信する場合、走行履歴データのデータ項目を減少させて送信するようにしてもよく、他のデータ項目を増加させるようにしてもよい。換言すると、一方のサーバ装置から他方のサーバ装置に走行履歴データを送信する場合、一方のサーバ装置が受信した走行履歴データのデータ項目のうち少なくともいずれかのデータ項目を含むようにしてもよい。
【0017】
更に、第2のサーバ装置200は、車両の特定を許容されていない第3のサーバ装置300に走行履歴データを送信する場合、データ送信処理装置10から送信された第2の車両IDに対し、車両を特定できない処理を更に行い、且つ、第3のサーバ装置300において同一の車両か否かを判定可能とした第3のデータ項目(以下、「第3の車両ID」と称することもある)を走行履歴データに付加した第3の情報を送信する。
第3の情報を送信された第3のサーバ装置300は、一地方の交通道路状態を分析する分析会社のサーバ装置である。一地方の交通道路状態を分析する他の分析会社は、交通道路状態を全国的に分析する分析会社に必要な分だけの走行履歴データの送信を要求し、第2のサーバ装置200から必要な分の走行履歴データを第3のサーバ装置300に受信する。
このように、第2のサーバ装置200が、データ送信処理装置10から受信した第2の車両IDに対し、車両を特定できない処理を更に行った第3の車両IDを走行履歴データに付加して第3のサーバ装置300に送信することにより、第3のサーバ装置300に対し、秘密にすべき情報の漏えいを更に防止することが可能となる。
【0018】
次に、データ送信処理装置10の機能構成及びハードウェア構成についてそれぞれ説明する。
【0019】
(データ送信処理装置)
<データ送信処理装置の機能構成>
図6は、データ送信処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、データ送信処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、入力部14と、出力部15と、データ取得部16と、を有する。
【0020】
通信部11は、制御部13の指示に基づき、第1の情報を第1のサーバ装置100に送信し、第2の情報を第2のサーバ装置200に送信する。
【0021】
記憶部12は、本実施例では、第1の車両IDをあらかじめ記憶し、データ取得部16により取得した走行履歴データを記憶する。
【0022】
図2に戻り、図2は、第1の車両IDが付加された走行履歴データ、すなわち、第1の情報のデータ構成の一例を示す説明図である。
図2に示すように、第1の情報は、「車両ID」と、走行履歴データである「トリップID、時刻、位置(経度、緯度)、速度、実車・空車、エンジン回転数、上下加速度、左右加速度、前後加速度、高速料金」のデータ項目を含む。なお、本実施例では、これらのデータ項目を1秒ごとに取得する。
【0023】
「車両ID」のデータは、データ送信処理装置10が搭載されている当該車両を識別するためのデータであり、予め設定される。
「トリップID」のデータは、目的をもってある出発地からある到着地へ移動する単位であるトリップを識別するためのデータであり、出発地と到着地が登録された際に設定される。
【0024】
「時刻」及び「位置(経度、緯度)」のデータは、データ送信処理装置10が有するGPS(Global Positioning System)ユニット16aにより取得されるデータである。
「速度」のデータは、GPSユニット16aと同期させ、データ送信処理装置10が有する速度センサ16bを用いて車両の車軸から取得されるデータである。
「実車・空車」のデータは、荷積み又は荷下しの作業が行われたとき、データ送信処理装置10に設けられた実車・空車ボタン16dが押下されることにより、「荷積み状態(実車)」及び「荷下ろし状態(空車)」のいずれかに変更されるデータである。
「エンジン回転数」のデータは、GPSユニット16aと同期させ、データ送信処理装置10が有するエンジン回転計16eにより取得されるデータである。
【0025】
「上下の加速度」のデータは、データ送信処理装置10が有する加速度センサ16cにより取得される、鉛直方向における加速度の測定値である。
「前後の加速度」のデータは、データ送信処理装置10が有する加速度センサ16cにより取得される、車両の進行方向における加速度の測定値である。
「左右の加速度」のデータは、データ送信処理装置10が有する加速度センサ16cにより取得される、車両の進行方向と直交する方向における加速度の測定値である。
「高速料金」のデータは、データ送信処理装置10が有するETC(Electronic Toll Collection System、電子料金収受システム)車載装置16fが処理した高速料金の額を示すデータである。
【0026】
<<制御部>>
制御部13は、第1の車両IDと共に走行履歴データを取得する。
具体的には、制御部13は、予め設定され、車両を特定できる第1の車両IDと共に走行履歴データを取得する(図8のS101参照)。
次に、制御部13は、取得した走行履歴データに含まれる送信先ビットを参照して送信先を判定する(図8のS102参照)。
【0027】
制御部13は、車両の特定を許容された第1のサーバ装置100に走行履歴データを送信する場合、走行履歴データに第1の車両IDをそのまま付加した第1の情報(図2参照)を送信する(図8のS103参照)。
また、制御部13は、車両の特定を許容されていない第2のサーバ装置200に走行履歴データを送信する場合、第1の車両IDに対し、車両を特定できない処理を行い、且つ、第2のサーバ装置200において同一の車両か否かを判定可能とした第2の車両IDを走行履歴データに付加した第2の情報(図5参照)を送信する(図8のS104参照)。
なお、制御部13は、記憶部12に記憶された各種プログラムを実行し、データ送信処理装置10全体を制御する。ソフトウェアを実行するプロセッサはハードウェアである。
【0028】
入力部14は、データ送信処理装置10に対する各種指示を受け付ける。
【0029】
出力部15は、制御部13の指示に基づき、データ送信処理装置10の内部状態の表示を行う。
【0030】
データ取得部16は、制御部13の指示に基づき、走行履歴データを取得する。
具体的には、データ取得部16は、本実施例では、各種センサなどを同期させて取得した位置、速度、加速度、「荷積み状態(実車)」及び「荷下ろし状態(空車)」のいずれかの状態、エンジン回転数、及び高速料金のデータを、同期させた時刻の情報と対応付けて走行履歴データとして取得する。
【0031】
<データ送信処理装置のハードウェア構成>
図7は、本発明の一実施例に係るデータ送信処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7に示すように、データ送信処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、入力部14と、ディスプレイ15と、データ取得部16と、ROM(Read Only Memory)17と、RAM(Random Access Memory)18と、を有する。なお、データ送信処理装置10の各部は、バス19を介してそれぞれ通信可能に接続されている。
【0032】
通信部11は、無線又は有線を用いたデバイスなどでよく、記憶媒体を介してでもよい。
【0033】
記憶部12は、各種情報を記憶できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブなどのほか、CD(Compact Disc)ドライブ、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブなどの可搬記憶装置であってもよく、ネットワーク上のコンピュータ群であるクラウドの一部であってもよい。
【0034】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などが挙げられる。
【0035】
入力部14は、データ送信処理装置10に対する各種要求を受け付けることができれば特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができ、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクなどが挙げられる。
【0036】
ディスプレイ15は、特に制限はなく、適宜公知のものを用いることができる。
【0037】
データ取得部16は、本実施例では、GPSユニット16aと、車両の車軸に搭載された速度センサ16bと、3軸の加速度センサ16cと、実車・空車ボタン16dと、エンジン回転計16eと、ETC車載装置16fと、を有する。
【0038】
ROM17は、記憶部12に記憶された各種プログラムを制御部13が実行するために必要な各種プログラム、データ等を記憶する。具体的には、ROM17は、BIOS(Basic Input/Output System)、EFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムなどを記憶する。
【0039】
RAM18は、主記憶装置であり、記憶部12に記憶された各種プログラムが制御部13により実行される際に展開される作業範囲として機能する。
RAM18としては、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などが挙げられる。
【0040】
次に、図1に戻り、第1のサーバ装置100、第2のサーバ装置200、第3のサーバ装置300、及びデータ管理端末装置400について説明する。
なお、第1のサーバ装置100、第2のサーバ装置200、第3のサーバ装置300、及びデータ管理端末装置400の機能構成及びハードウェア構成については、図6及び図7に示したようなデータ取得部16を有していない情報処理装置の構成であるため、これらの説明を省略する。
【0041】
データ送信処理装置10が搭載される車両としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乗用車、商用車などが挙げられる。
【0042】
図8は、本発明のデータ送信処理装置10が、第1のサーバ装置100に第1の情報を送信し、第2のサーバ装置200に第2の情報を送信する流れの一例を示すフローチャートである。
本発明のデータ送信処理装置10が、車両を特定できる第1の車両IDと共に走行履歴データを取得し、第1のサーバ装置100に第1の情報を送信し、第2のサーバ装置200に第2の情報を送信するフローを、図1図6などを参照しながら図8に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0043】
ステップS101では、制御部13は、車両を特定できる第1の車両IDと共に走行履歴データを取得すると、処理をS102に移行させる。
【0044】
ステップS102では、制御部13は、取得した走行履歴データに含まれる送信先ビットを参照して送信先を判定する。制御部13は、送信先が第1のサーバ装置100であると判定すると処理をS103に移行させ、送信先が第2のサーバ装置200であると判定すると処理をS104に移行させる。
【0045】
ステップS103では、送信先が第1のサーバ装置100であると判定した制御部13は、走行履歴データに第1の車両IDをそのまま付加した第1の情報(図2参照)を第1のサーバ装置100に送信すると、本処理を終了させる。
【0046】
ステップS104では、送信先が第2のサーバ装置200であると判定した制御部13は、第1の車両IDに対し、第1の車両IDに対して車両を特定できない処理を行い、且つ、第2のサーバ装置200において同一の車両か否かを判定可能とした第2の車両IDを走行履歴データに付加した第2の情報(図5参照)を送信すると、本処理を終了させる。
これにより、車両の特定を許容されていない第2のサーバ装置200に対し、秘密にすべき情報の漏えいを防止することが可能となる。
【0047】
図9は、第2のサーバ装置200が、データ送信処理装置10から第2の情報を受信し、第3のサーバ装置300に第3の情報を送信する流れの一例を示すフローチャートである。
第2のサーバ装置200が、データ送信処理装置10から第2の情報を受信し、第3のサーバ装置300に第3の情報を送信するフローを、図1図6などを参照しながら図9に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0048】
ステップS201では、第2のサーバ装置200の通信部は、データ取得端末装置500から、車両を特定できる第2の車両IDと走行履歴データに付加した第2の情報を受信して取得すると、処理をS202に移行させる。
【0049】
ステップS202では、第2のサーバ装置200の制御部は、第2の車両IDに対して車両を特定できない処理を更に行い、且つ、第3のサーバ装置300において同一の車両か否かを判定可能とした第3の車両IDを走行履歴データに付加した第3の情報を送信すると、本処理を終了させる。
これにより、車両の特定を許容されていない第3のサーバ装置300に対し、秘密にすべき情報の漏えいを二重に防止することが可能となる。
【0050】
以上説明したように、本発明のデータ送信処理装置は、計測対象の特定を許容されていない第2のサーバ装置にセンシングデータを送信する場合、第1のデータ項目に対し、計測対象を特定できない処理を行い、且つ、第2のサーバ装置200において同一の車両か否かを判定可能とした第2の車両IDを走行履歴データに付加した第2の情報を送信する。これにより、車両の特定を許容されていない第2のサーバ装置200に対し、秘密にすべき情報の漏えいを防止することが可能となる。
また、第2のサーバ装置200は、車両の特定を許容されていない第3のサーバ装置300に走行履歴データを送信する場合、第2の車両IDに対し、車両を特定できない処理を更に行い、且つ、第3のサーバ装置300において同一の車両か否かを判定可能とした第3の車両IDを走行履歴データに付加した第3の情報を送信する。これにより、車両の特定を許容されていない第3のサーバ装置300に対し、秘密にすべき情報の漏えいを二重に防止することが可能となる。
【0051】
本実施例では、データ送信処理装置10が走行履歴データを受信した場合、受信した走行履歴データを第1のサーバ装置100及び第2のサーバ装置200のいずれかに送信するとしたが、これに限ることなく、第1のサーバ装置100及び第2のサーバ装置200の両方に受信した走行履歴データを送信するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施例では、図1に示すように、データ送信処理装置10が第1のサーバ装置100に第1の情報を送信する、又は、第2のサーバ装置200に第2の情報を送信するとしたが、これに限ることなく、図10に示すような態様としてもよい。
これは、本発明のデータ送信処理装置10からデータ取得部16の機能を分離させ、データ取得部16の機能を有するデータ取得端末装置600a、・・・をそれぞれ車両A、・・・に搭載し、データ取得部16の機能を分離させたデータ送信処理装置20をデータの中継装置として、データ取得端末装置600a、・・・から送信された第1の車両ID及び走行履歴データを第1のサーバ装置100に送信し、第2の車両ID及び走行履歴データを第2のサーバ装置200に送信するように振り分けるようにしてもよい。
【0053】
本実施例では、移動体を車両として説明したが、これに限ることなく、例えば、船舶、飛行体、及び人などとしてもよい。この場合、本実施例では、移動体を車両として説明したためデータ取得端末装置500から得られるセンシングデータを走行履歴データと称したが、移動体を船舶、飛行体、及び人などとした場合では移動履歴データと称するようにしてもよい。
【0054】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
計測対象を特定できる第1のデータ項目と共にセンシングデータを取得し、
前記計測対象の特定を許容された第1のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記センシングデータに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、
前記計測対象の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第2のデータ項目を前記センシングデータに付加した第2の情報を送信する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ送信処理プログラム。
(付記2)
前記第2のサーバ装置が、前記計測対象の特定を許容されていない第3のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第2のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を更に行い、且つ、前記第3のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第3のデータ項目を前記センシングデータに付加した第3の情報を送信する、
付記1に記載のデータ送信処理プログラム。
(付記3)
前記第1のサーバ装置において、前記センシングデータに前記第1のデータ項目を付加する付記1から2のいずれかに記載のデータ送信処理プログラム。
(付記4)
前記計測対象が、移動体であり、
前記センシングデータが、前記移動体の移動履歴データである付記1から3のいずれかに記載のデータ送信処理プログラム。
(付記5)
前記移動体が、車両、船舶、飛行体、及び人のいずれかである付記4に記載のデータ送信処理プログラム。
(付記6)
計測対象を特定できる第1のデータ項目と共にセンシングデータを取得し、
前記計測対象の特定を許容された第1のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記センシングデータに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、
前記計測対象の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第2のデータ項目を前記センシングデータに付加した第2の情報を送信する、
処理を実行する制御部を有することを特徴とするデータ送信処理装置。
(付記7)
計測対象を特定できない処理がなされた第2のデータ項目が付加されたセンシングデータを受信した後、前記計測対象の特定を許容されていない他のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第2のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を更に行い、且つ、前記他のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第3のデータ項目を前記センシングデータに付加した第3の情報を送信する、
処理を実行する制御部を有することを特徴とするデータ送信処理装置。
(付記8)
計測対象を特定できる第1のデータ項目と共にセンシングデータを取得し、
前記計測対象の特定を許容された第1のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記センシングデータに前記第1のデータ項目を付加した第1の情報を送信し、
前記計測対象の特定を許容されていない第2のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第1のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を行い、且つ、前記第2のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第2のデータ項目を前記センシングデータに付加した第2の情報を送信する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするデータ送信処理方法。
(付記9)
計測対象を特定できない処理がなされた第2のデータ項目が付加されたセンシングデータを受信した後、前記計測対象の特定を許容されていない他のサーバ装置に前記センシングデータを送信する場合、前記第2のデータ項目に対し、前記計測対象を特定できない処理を更に行い、且つ、前記他のサーバ装置において同一の前記計測対象か否かを判定可能とした第3のデータ項目を前記センシングデータに付加した第3の情報を送信する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とするデータ送信処理方法。
【符号の説明】
【0055】
1 システム
10 データ送信処理装置(情報処理装置)
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
14 入力部
15 出力部(ディスプレイ)
16 データ取得部
100 第1のサーバ装置
200 第2のサーバ装置
300 第3のサーバ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10