(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】磁性体装具及びこれを有するバスバー組立体
(51)【国際特許分類】
H01F 17/06 20060101AFI20220714BHJP
H01F 5/00 20060101ALI20220714BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
H01F17/06 K
H01F17/06 D
H01F5/00 W
H01F37/00 G
H01F37/00 N
(21)【出願番号】P 2018076295
(22)【出願日】2018-04-11
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000195029
【氏名又は名称】星和電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104569
【氏名又は名称】大西 正夫
(72)【発明者】
【氏名】森 康夫
(72)【発明者】
【氏名】堀口 剛
【審査官】森岡 俊行
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-340429(JP,A)
【文献】国際公開第2017/064772(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/068630(WO,A1)
【文献】特開2016-092265(JP,A)
【文献】特開2016-096316(JP,A)
【文献】特開平11-307346(JP,A)
【文献】実開平03-083911(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/06
H01F 5/00
H01F 37/00
H05K 9/00
H01R 4/58
H02G 5/00
H01B 7/00
H03H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に形成された磁性材料を格納し、一対の平板状のバスバーに外嵌される磁性体装具において、
磁性材料を格納する格納部を有する装具本体と、磁性材料が格納された状態の格納部を閉塞する蓋体とを具備しており、前記装具本体は磁性材料の開口部に挿入される筒状の貫通部が形成されており、前記蓋体には装具本体に取り付けられた状態で前記貫通部と対応した貫通孔が開設されており、前記貫通部と貫通孔とで一対のバスバーが内挿される貫通口が形成され、前記貫通部の内側面には貫通口に挿入された一対のバスバーを表裏両面から挟み込む二対の板バネ部が形成されており、この板バネ部にはバスバーに突出形成された複数の突起が嵌まり込む孔部が形成されていることを特徴とする磁性体装具。
【請求項2】
前記板バネ部の孔部は、凹溝に形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁性体装具。
【請求項3】
前記孔部間の寸法は、板バネ部によって異なっていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁性体装具。
【請求項4】
前記
板バネ部に形成された凹溝は、突起の形成位置に応じて奥行き寸法が異なることを特徴とする請求項1、2又は3記載の磁性体装具。
【請求項5】
環状に形成された磁性材料
と、この磁性材料を格納する磁性体装具と、磁性材料を格納した磁性体装具の貫通部を貫通する一対の平板状のバスバーとを具備しており、前記磁性体装具は、磁性材料を格納する格納部を有する装具本体と、磁性材料が格納された状態の格納部を閉塞する蓋体とを有しており、前記装具本体は磁性材料の開口部に挿入される筒状の貫通部が形成されており、この貫通部の内側面には貫通部に挿入された一対のバスバーを表裏両面から挟み込む二対の板バネ部が形成されており、この板バネ部にはバスバーに突出形成された複数の突起が嵌まり込む孔部が形成されていることを特徴とするバスバー組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電気自動車やハイブリッド型自動車などのモータ駆動により走行する自動車のモータ電力制御用や回生電力制御用インバーターのノイズ対策に用いられる磁性体装具と、これを有するバスバー組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電気自動車やハイブリッド型自動車などのモータ駆動により走行する自動車のモータ電力制御用や回生電力制御用インバーターには、大電流の流れるバスバーが存在する。バスバーからのノイズを除去するためには、バスバーの周囲にフェライトコア等の磁性材料を設置している。
【0003】
この種のバスバーは、孔を開けると局所的な断面積の減少により、局所的な発熱を招くため好ましくない。特に、周囲のスペースが限られるため、通風も期待できない電気自動車やハイブリッド型自動車のシャーシでは、位置決めのためとはいえバスバーに孔を開けることは極力避けたい。
【0004】
また、電気自動車やハイブリッド型自動車への車載用インバーターは小型であり、設置された周囲のスペースも狭小である。このため、バスバーは、あまり余裕のないスペースに設置されるため、複雑な形状になりがちである。
【0005】
一方、バスバーに外装される開口部を持ったフェライトコアは焼成によって得られ脆性を持った材質であるため、単純な形状でしか製造ができない。また、フェライトコアは分割するとノイズ除去能力が低下するため、最初から環状に形成される必要がある。
【0006】
しかも、フェライトコアはその脆性のため、電気自動車等のシャーシに機械的に締結固定することがでない。このため、フェライトコアを装具で保持して、この装具をシャーシに取り付けるようになっている。
【0007】
そのような作業は大変煩雑なため、特許文献1に記載されたように、フェライトコアを二分割したタイプのものが多用されている。
【文献】特開2015-170747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、フェライトコアを装具に保持させる作業、フェライトコアを保持した装具をシャーシに取り付ける作業、シャーシに取り付けられた装具に一対のバスバーを挿通させる作業といった複数の手順の作業を狭い空間で行っていた。
【0009】
このため、組み立て作業が煩雑な上、バスバーの種類、挿入方向の誤りが発生しやすく、確認作業も必要となっていた。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもので、バスバーの位置決め用の孔を開けることを必要としない磁性体装具と、その磁性体装具を有するバスバー組立体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る磁性体装具は、環状に形成された磁性材料を格納し、一対の平板状のバスバーに外嵌される磁性体装具において、磁性材料を格納する格納部を有する装具本体と、磁性材料が格納された状態の格納部を閉塞する蓋体とを具備しており、前記装具本体は磁性材料の開口部に挿入される筒状の貫通部が形成されており、前記蓋体には装具本体に取り付けられた状態で前記貫通部と対応した貫通孔が開設されており、前記貫通部と貫通孔とで一対のバスバーが内挿される貫通口が形成され、前記貫通部の内側面には貫通口に挿入された一対のバスバーを表裏両面から挟み込む二対の板バネ部が形成されており、この板バネ部にはバスバーに突出形成された複数の突起が嵌まり込む孔部が形成されている。
【0012】
また、前記板バネ部の孔部は、凹溝に形成されている。
【0013】
さらに、前記孔部間の寸法は、板バネ部によって異なっている。
【0014】
前記板バネ部に形成された凹溝は、突起の形成位置に応じて奥行き寸法が異なっている。
【0015】
本発明に係るバスバー組立体は、環状に形成された磁性材料と、この磁性材料を格納する磁性体装具と、磁性材料を格納した磁性体装具の貫通部を貫通する一対の平板状のバスバーとを備えており、前記磁性体装具は、磁性材料を格納する格納部を有する装具本体と、磁性材料が格納された状態の格納部を閉塞する蓋体とを有しており、前記装具本体は磁性材料の開口部に挿入される筒状の貫通部が形成されており、この貫通部の内側面には貫通部に挿入された一対のバスバーを表裏両面から挟み込む二対の板バネ部が形成されており、この板バネ部にはバスバーに突出形成された複数の突起が嵌まり込む孔部が形成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る磁性体装具は、バスバーに位置決め用の孔を開ける必要がないので、局所的な断面積の減少と、それに伴う局所的な発熱といった問題を解決することができる。
【0017】
また、この磁性体装具は、フェライトコア等の磁性体を格納しており、一対のバスバーを予め組み込むことができ、しかもバスバー組立体として組み立てる際に、バスバーの種類や挿入方向を誤ることがないので、電気自動車等の組立工場でのバスバー回りの作業数を大幅に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体の概略的斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体の概略的平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体の概略的正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体を構成する磁性体装具の装具本体の概略的斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体を構成する磁性体装具の装具本体の板バネ部を示す概略的斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体を構成する磁性体装具の概略的断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体の概略的断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るバスバー組立体を構成するバスバーの概略的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態に係る磁性体装具100は、フェライトコアやナノ結晶軟磁性コア等の環状に形成された磁性材料200を格納し、一対の平板状のバスバー310、320に外挿される磁性体装具であって、磁性材料200を格納する格納部116を有する装具本体100と、磁性材料200が格納された状態の格納部116を閉塞する蓋体120とを備えており、前記装具本体110は磁性材料200の開口部210に挿入される筒状の貫通部115が形成されており、前記蓋体120には装具本体110に取り付けられた状態で前記貫通部115と対応した貫通孔121が開設されており、前記貫通部115と貫通孔121とで一対のバスバー310、320が内挿される貫通口130が構成され、前記貫通部121の内側面には貫通口130に挿入された一対のバスバー310、320を表裏両面から挟み込む二対合計4つの板バネ部117(117RU、117RD、117LU、117LD)が形成されており、この板バネ部117にはバスバー310、320に突出形成された2つずつ合計4つの突起311A、311B、321A、321Bが嵌まり込む孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2が形成されている。
【0020】
この磁性体装具100に格納される磁性材料200は、中心に開口部210が開設された直方体状であって、全体として環状に形成されている。この種の磁性材料200は、フェライトやナノ結晶軟磁性体から構成されることが多いが、これは一例であって、本願発明に係る磁性体装具100は磁性材料200の素材に左右されることはない。
【0021】
また、この磁性体装具100に内挿される一対の平板状のバスバー310、320は、
図8に示すように、それぞれ2つの突起311A、311B、321A、321Bが形成されている。これらの突起311A、311B、321A、321Bは、バスバー310、320をプレスすることで形成される。
【0022】
バスバー310、320に位置決め用の孔ではなく,突起311A、311B、321A、321Bを形成したので、孔開けに起因する局所的な断面積の減少と、それに伴う局所的な発熱といった問題は発生しない。
【0023】
また、これらの突起311A、311B、321A、321Bは、後述する右下板バネ部117RD、左下板バネ部117LDに形成された2つずつの孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2に対応して形成されている。
【0024】
一方、この磁性材料200を格納する磁性体装具100は、絶縁性を有する合成樹脂から形成された装具本体110と、同じく絶縁性を有する合成樹脂から形成された蓋体120とから構成されている。
【0025】
前記装具本体110は、
図4に示すように、中央に四角筒状の貫通部115が突設された長四角状の正面壁111と、この正面壁111の四辺から正面壁111に直交する方向に延設された4つの周壁112A、112B、112C、112Dと、短辺部である周壁112A、112Bから外側に向かって突出された舌片部113A、113Bとが一体に形成されている。
【0026】
前記貫通部115、正面壁111及び周壁112A、112B、112C、112Dに囲まれた部分が磁性材料200を格納する格納部116として機能する。
【0027】
前記貫通部115が正面壁111から突出した寸法と、4つの周壁112A、112B、112C、112Dが正面壁111から突出した寸法とはほぼ同一に設定されている。
【0028】
貫通部115の内面のうち、向かい合う長辺部分には板バネ部117が二対、合計4個形成されている。
図3において右側には右上板バネ部117RU、右下板バネ部117RDが形成され、左側には左上板バネ部117LU、左下板バネ部117LDが形成されている。
【0029】
この右上板バネ部117RU、右下板バネ部117RD、左上板バネ部117LU、左下板バネ部117LDは、格納部116の開口端側の貫通部115から片持ち状態で形成されている。
【0030】
また、前記右下板バネ部117RD、左下板バネ部117LDには、
図5に示すように、それぞれ2つずつの孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2が表裏方向に形成されている。これら孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2は貫通しており、それぞれバス310、320の突起311A、311B、321A、321Bに対応して形成されている。
【0031】
また、これら凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2は、バスバー320、310の突起321B、321A、311A、311Bに対応している。
【0032】
すなわち、突起321Bは凹溝118RD1を通過して孔部119RD1に、突起321Aは凹溝118RD2を通過して孔部119RD2に、突起311Aは凹溝118LD1を通過して孔部119LD1に、突起311Bは凹溝118LD2を通過して孔部119LD2にそれぞれ嵌まり込むようになっている。
【0033】
従って、各凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2の奥行き寸法は、各突起321B、321A、311A、311Bが形成された位置と対応している。
【0034】
具体的には、凹溝118RD2と凹溝118LD1との奥行き寸法が等しく、凹溝118RD1と凹溝118LD2との奥行き寸法が等しく設定されている。
【0035】
しかも、凹溝118RD2及び凹溝118LD1の奥行き寸法は、凹溝118RD1及び凹溝118LD2の奥行き寸法より大きく設定されている。
【0036】
このように、右下板バネ部117RDに形成される凹溝118RD1と凹溝118RD2との長さが異なるように設定されているので、バスバー310の挿入方向を間違えることはない。左下板バネ部117LDでも同様である。
【0037】
また、右下板バネ部117RDと左下板バネ部117LDでは、それぞれの凹溝118RD1、118RD2と、凹溝118LD1、118LD2の配置を左右で逆にしているので、バスバー310とバスバー320との挿入を間違えることはない。
【0038】
なお、右上板バネ部117RU、左上板バネ部117LUには、前記凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2に相当するものは形成されていない。
【0039】
前記凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2には、バスバー310、320に突出形成された突起321B、321A、311A、311Bが嵌まり込む孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2が形成されている。
【0040】
対向する2つの板バネ部の間の寸法、すなわち右上板バネ部117RUと右下板バネ部117RDとの間の隙間寸法、左上板バネ部117LUと左下板バネ部117LDとの間の隙間寸法は、挿入されるバスバー310、320の厚さ寸法より若干小さく設定される。これは、挿入されたバスバー310、320を対向する板バネ部117RU、117RD、117LU、117LDで確実に保持するためである。
【0041】
前記装具本体110の短辺部である周壁112A、112Bから外側に向かって突出された舌片部113A、113Bには、ネジ固定のための丸孔114A、114Bがそれぞれ開設されている。
【0042】
一方、前記蓋体120は、中央に装具本体110の貫通部115に対応した貫通孔121が開設された略長方形状の板体である。前記貫通孔121の周縁部には、蓋体120を装具本体110に接続した際に、貫通部115の周縁部に密着するための突出リブが突出形成されている。
【0043】
従って、この蓋体120を装具本体110に取り付けると、格納部116は完全に密閉され、装具本体110の貫通部115と、蓋体120の貫通孔121とが一体化して一対のバスバー310、320が挿入される貫通口130が形成される。
【0044】
このように構成された磁性体装具100の組み立て手順について説明する。
【0045】
磁性材料200の開口部210に装具本体110の貫通部115を貫通させた状態で、装具本体110の格納部116に磁性材料200を格納する。
【0046】
この状態では、磁性材料200は、蓋体120の深さ寸法分だけ、格納部116から突出している。
【0047】
蓋体120を装具本体110に接着で取り付け、装具本体110の格納部116を格納された磁性材料200とともに閉塞する。これで、
図6に示すように、磁性材料200は完全に磁性体装具100に格納されたことになる。
【0048】
しかも、蓋体120の貫通孔121と装具本体110の開通部115とで、貫通口130が形成される。
【0049】
一対のバスバー310、320を前記貫通口130に挿入する。なお、
図7では、一方ョのバスバー310のみがあらわれている。
【0050】
バスバー310は左上板バネ部117LUと左下板バネ部117LDとの間に、バスバー320は右上板バネ部117RUと右下板バネ部117RDとの間に、それぞれ挿入する。
【0051】
その際、バスバー310、320にそれぞれ形成された突起311A、311B、321B、321Aが左下板バネ部117LD、右下板バネ部117RDの方を向くようにする。
【0052】
すると、バスバー310の突起311A、311Bは、右下板バネ部117RDの凹溝118RD1、118RD2にそれぞれ嵌まり込む。
【0053】
また、バスバー320の突起321A、321Bは、左下板バネ部117LDの凹溝118LD2、118LD1にそれぞれ嵌まり込む。
【0054】
すなわち、バスバー310とバスバー320とを取り違えると、挿入できないことになるので、バスバー310、320の挿入間違いは未然に防がれる。
【0055】
バスバー310を十分に挿入すると、突起311A、311Bは、孔部119LD1、119LD2にそれぞれ嵌まり込む。
【0056】
また、バスバー320を十分に挿入すると、突起321A、321Bは、孔部119RD2、119RD1にそれぞれ嵌まり込む。
【0057】
各突起311A、311B、311A、311Bが、各孔部119LD1、119LD2、119RD2、119RD1に嵌まり込むので、バスバー310、320の挿入具合が不足したり過度になったりといった問題は生ぜず、バスバー310、320は確実に所定の位置にまで挿入される。
【0058】
このようにして磁性体装具100に一対のバスバー310、320が挿入されたバスバー組立体が完成する。
【0059】
このバスバー組立体は、舌片部113A、113Bの丸孔114A、114Bを用いて固定用のネジによって所定の位置に固定される。
【0060】
なお、バスバー組立体は、磁性材料200を格納した磁性体装具100にバスバー310、320を挿入して組み立てる作業では、バスバー3310、320の取り違えや、挿入具合の不具合も発生しないので、組立作業が容易化される。
【0061】
組立工場では、組み立てたバスバー組立体を電気自動車等のシャーシの所定の位置に固定するだけでよいので、従来のように、組立工場での煩雑な組立作業を必要とせず、バスバーの種類や挿入方向の誤りが発生しないようにできる。
【0062】
なお、バスバー310、320が最初から磁性体装具100に組み込まれたバスバー組立体であれば、組立工場では確認作業も不要となる。
【0063】
なお、上述した実施の形態では、各孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2の奥行き、すなわち凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2の奥行き寸法を変えることで、バスバー310、320の挿入間違いを防ぐようにしたが、凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2の奥行き寸法は同じで、かつ各孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2の間の寸法を変えることで、バスバー310、320の挿入間違いを防ぐことも可能である。
【0064】
凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2の奥行き寸法を変える手法では、バスバー310、320が挿入されて最終段階で初めて挿入間違いを発見することができるが、この各孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2の間の寸法を変える手法であると、間違ったバスバーは挿入できないため、挿入の初期段階で挿入間違いを発見することができるので、作業の効率性をより向上させることが可能になる。
【0065】
また、上述した実施の形態では、各孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2は貫通しているとしたが、各突起311A、311B、321A、321Bが嵌まり込むことができる凹みであってもよい。
【0066】
また、上述した実施の形態では、各孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2は、各凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2に形成されているとしたが、凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2に相当するものを形成せず、単に孔部119RD1、119RD2、119LD1、119LD2を形成するだけでもよい。
【0067】
ただし、凹溝118RD1、118RD2、118LD1、118LD2が形成されていると、バスバー310、320の挿入がよりスムーズになるというメリットがある。
【符号の説明】
【0068】
100 磁性体装具
110 装具本体
115 貫通部
116 格納部
117 板バネ部
118 凹溝
119 孔部
120 蓋体
121 貫通孔
130 貫通口
200 磁性材料
310、320 バスバー