(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】火災受信機、住宅用火災警報器、及び火災報知システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/10 20060101AFI20220714BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G08B17/10 D
G08B17/00 C
(21)【出願番号】P 2018101542
(22)【出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 諭
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 竜一
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 諭
(72)【発明者】
【氏名】北川 永吾
(72)【発明者】
【氏名】森林 真介
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特公昭59-007999(JP,B2)
【文献】特開平05-054272(JP,A)
【文献】特開平04-117596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画を識別する区画識別情報に関連付けて、前記区画で喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する記憶部と、
前記区画識別情報に関連付けて、喫煙が行われたことを示す喫煙情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が複数の時間帯のそれぞれにおいて同一の前記区画識別情報に関連付けて前記喫煙情報を取得した回数に基づいて、それぞれの時間帯における当該区画識別情報に対応する前記蓋然性を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記蓋然性が閾値以上である時間帯を前記喫煙時間帯として前記区画識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
煙を感知する感知器から煙を感知したことを示す感知情報を受信した時刻が、前記感知器が設置された前記区画を示す前記区画識別情報に関連付けられた前記喫煙時間帯に含まれる場合、前記感知情報を受信した時刻が前記喫煙時間帯に含まれない場合よりも、前記感知情報を受信してから火災が発生したことを示す警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする蓄積時間制御部と、
を備える火災受信機。
【請求項2】
前記推定部は、所定の時間内に前記喫煙情報を取得した回数が所定の喫煙回数以上である場合に、前記蓋然性が前記閾値以上であると推定する、
請求項
1に記載の火災受信機。
【請求項3】
前記情報取得部は、加熱式喫煙具が送信した喫煙中であることを示す喫煙中情報を受信した中継装置を介して前記喫煙情報を取得する、
請求項
1又は
2に記載の火災受信機。
【請求項4】
前記情報取得部は、前記加熱式喫煙具を識別する喫煙具識別情報に関連付けて前記喫煙情報を取得し、
前記推定部は、前記情報取得部が同一の前記時間帯に同一の前記喫煙具識別情報に関連付けられた前記喫煙情報を複数回取得した場合に、取得した回数から減算した回数に基づいて前記蓋然性を推定する、
請求項
3に記載の火災受信機。
【請求項5】
前記蓄積時間制御部は、休日における前記喫煙時間帯における蓄積時間を、平日における前記喫煙時間帯における蓄積時間より短くする、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の火災受信機。
【請求項6】
前記喫煙時間帯において前記感知器が煙を感知する感度を、前記喫煙時間帯に含まれない時間帯において前記感知器が煙を感知する感度より鈍くする感度制御部をさらに備える、
請求項1から
5のいずれか一項に記載の火災受信機。
【請求項7】
設置された区画で発生した煙を感知する感知部と、
火災が発生したことを示す警報情報を出力する出力部と、
喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する記憶部と、
前記区画で喫煙が行われたことを示す喫煙情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が複数の時間帯のそれぞれにおいて前記喫煙情報を取得した回数に基づいて、それぞれの時間帯における喫煙される蓋然性を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記蓋然性が閾値以上である時間帯を前記喫煙時間帯として前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記感知部が煙を感知した時刻が前記喫煙時間帯に含まれる場合、前記感知部が煙を感知した時刻が前記喫煙時間帯に含まれない場合よりも、前記感知部が煙を感知してから前記警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする蓄積時間制御部と、
前記感知部が煙を感知してから前記蓄積時間が経過した後に、前記感知部が煙を感知した場合、前記警報情報を前記出力部に出力させる出力制御部と、
を備える住宅用火災警報器。
【請求項8】
設置された区画で発生した煙を感知する複数の感知器と、火災が発生したことを示す警報情報を出力する火災受信機とを備え、
前記複数の感知器それぞれは、煙の発生を感知すると、煙を感知したことを示す感知情報を前記火災受信機に送信し、
前記火災受信機は、
前記区画を識別する区画識別情報に関連付けて、前記区画で喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する記憶部と、
前記区画識別情報に関連付けて、喫煙が行われたことを示す喫煙情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が複数の時間帯のそれぞれにおいて同一の前記区画識別情報に関連付けて前記喫煙情報を取得した回数に基づいて、それぞれの時間帯における当該区画識別情報に対応する前記蓋然性を推定する推定部と、
前記推定部が推定した前記蓋然性が閾値以上である時間帯を前記喫煙時間帯として前記区画識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、
前記感知器から感知情報を受信した時刻が、前記感知器が設置された前記区画を示す前記区画識別情報に関連付けられた前記喫煙時間帯に含まれる場合、前記感知情報を受信した時刻が前記喫煙時間帯に含まれない場合よりも、前記感知情報を受信してから前記警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする蓄積時間制御部と、
を有する火災報知システム。
【請求項9】
喫煙が行われていることを示す喫煙中情報を加熱式喫煙具から受信したことに応じて前記喫煙中情報を前記火災受信機に送信する中継装置をさらに備える、
請求項
8に記載の火災報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災受信機、住宅用火災警報器、及び火災報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
煙濃度や温度レベルが火災判断レベルを超えたときに火災感知器が火災信号とともに蓄積時間信号を火災受信機に送信し、蓄積時間の経過後に、火災受信機が火災確認信号を火災感知器に送信する火災検知システムが開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非喫煙者への受動喫煙防止の観点から、分煙を目的として喫煙時間又は喫煙場所が指定されている。喫煙時間又は喫煙場所においては、多数の喫煙者が同時に喫煙することにより、煙草の煙が多量に発生する。煙の発生により火災を感知する煙感知器は、多量に発生した煙草の煙により、火災が発生したと誤検知してしまうことがあった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、火災が発生したと誤検知してしまうことを抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、区画を識別する区画識別情報に関連付けて、前記区画で喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する記憶部と、煙を感知する感知器から煙を感知したことを示す感知情報を受信した時刻が、前記感知器が設置された前記区画を示す前記区画識別情報に関連付けられた前記喫煙時間帯に含まれる場合、前記感知情報を受信した時刻が前記喫煙時間帯に含まれない場合よりも、前記感知情報を受信してから火災が発生したことを示す警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする蓄積時間制御部と、を備える火災受信機を提供する。
【0007】
前記区画識別情報に関連付けて、喫煙が行われたことを示す喫煙情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部が複数の時間帯のそれぞれにおいて同一の前記区画識別情報に関連付けて前記喫煙情報を取得した回数に基づいて、それぞれの時間帯における当該区画識別情報に対応する前記蓋然性を推定する推定部と、前記推定部が推定した前記蓋然性が閾値以上である時間帯を前記喫煙時間帯として前記区画識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶させる記憶制御部と、をさらに備えてもよい。
【0008】
例えば、前記推定部は、所定の時間内に前記喫煙情報を取得した回数が所定の喫煙回数以上である場合に、前記蓋然性が前記閾値以上であると推定する。
【0009】
例えば、前記情報取得部は、加熱式喫煙具が送信した喫煙中であることを示す喫煙中情報を受信した中継装置を介して前記喫煙情報を取得する。
【0010】
前記情報取得部は、前記加熱式喫煙具を識別する喫煙具識別情報に関連付けて前記喫煙情報を取得し、前記推定部は、前記情報取得部が同一の前記時間帯に同一の前記喫煙具識別情報に関連付けられた前記喫煙情報を複数回取得した場合に、取得した回数から減算した回数に基づいて前記蓋然性を推定してもよい。
【0011】
前記蓄積時間制御部は、休日における前記喫煙時間帯における蓄積時間を、平日における前記喫煙時間帯における蓄積時間より短くしてもよい。
【0012】
前記火災受信機は、前記喫煙時間帯において前記感知器が煙を感知する感度を、前記喫煙時間帯に含まれない時間帯において前記感知器が煙を感知する感度より鈍くする感度制御部をさらに備えてもよい。
【0013】
本発明の第2の態様においては、設置された区画で発生した煙を感知する感知部と、火災が発生したことを示す警報情報を出力する出力部と、喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する記憶部と、前記感知部が煙を感知した時刻が前記喫煙時間帯に含まれる場合、前記感知部が煙を感知した時刻が前記喫煙時間帯に含まれない場合よりも、前記感知部が煙を感知してから前記警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする蓄積時間制御部と、前記感知部が煙を感知してから前記蓄積時間が経過した後に、前記感知部が煙を感知した場合、前記警報情報を前記出力部に出力させる出力制御部と、を備える住宅用火災警報器を提供する。
【0014】
本発明の第3の態様においては、設置された区画で発生した煙を感知する複数の感知器と、火災が発生したことを示す警報情報を出力する火災受信機とを備え、前記複数の感知器それぞれは、煙の発生を感知すると、煙を感知したことを示す感知情報を前記火災受信機に送信し、前記火災受信機は、前記区画を識別する区画識別情報に関連付けて、前記区画で喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する記憶部と、前記感知器から感知情報を受信した時刻が、前記感知器が設置された前記区画を示す前記区画識別情報に関連付けられた前記喫煙時間帯に含まれる場合、前記感知情報を受信した時刻が前記喫煙時間帯に含まれない場合よりも、前記感知情報を受信してから前記警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする蓄積時間制御部と、を有する火災報知システムを提供する。
【0015】
喫煙が行われていることを示す喫煙中情報を加熱式喫煙具から受信したことに応じて前記喫煙中情報を前記火災受信機に送信する中継装置をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、火災が発生したと誤検知してしまうことを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】火災報知システムの構成を説明するための図である。
【
図2】加熱式喫煙具及び中継装置の構成を示す図である。
【
図4】区画識別情報に関連付けられた喫煙時間帯を示すデータテーブルを模式的に示す図である。
【
図5】喫煙時間帯を記憶させる処理のフローチャートである。
【
図6】警報情報を出力する処理のフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態に係る住宅用火災警報器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態に係る火災受信機の概要]
非喫煙者への受動喫煙防止の観点から、分煙を目的として設定された喫煙時間又は喫煙場所においては、多数の喫煙者が同時に喫煙することにより、煙草の煙が多量に発生する。煙草の煙の発生量が多い場合、煙草の煙が空気中に拡散して、空気中の煙の濃度が減少するまでに必要な時間が長くなる。そのため、従来の火災受信機は、煙を感知する感知器が煙を感知してから蓄積時間が経過した後に、空気中の煙草の煙の濃度が、火災の煙であると判定するための濃度上限値未満に下がっていない場合、煙草の煙を火災の煙と誤検知してしまうことがあった。
【0019】
そこで、実施形態に係る火災受信機は、区画を識別する区画識別情報に関連付けて、区画で喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する。そして、火災受信機は、感知器から感知情報を受信した時刻が、感知器が設置された区画を示す区画識別情報に関連付けられた喫煙時間帯に含まれる場合、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれない場合よりも、蓄積時間を長くする。
【0020】
このようにすることで、火災受信機は、多数の喫煙者が同時に喫煙することにより煙草の煙が多量に発生した場合であっても、多量に発生した煙草の煙が空気中に拡散して、煙の濃度が濃度上限値未満に減少するまでに必要な時間を確保することができる。そのため、火災受信機は、煙草の煙を火災の煙であると誤検知することを抑制できる。
【0021】
<第1の実施形態>
[火災報知システムSの構成]
以下、
図1、
図2、及び
図3を用いて第1の実施形態に係る火災報知システムSについて説明する。
図1は、火災報知システムSの構成を説明するための図である。火災報知システムSは、火災が発生したことを示す警報情報を出力する火災受信機1と、設置された区画Rで発生した煙を感知する感知器2と、中継装置4とを備える。本実施の形態においては、区画Rにおいて、ユーザが加熱式喫煙具3により喫煙する場合を例に説明するが、ユーザが加熱式喫煙具3以外の煙草を吸う場合にも火災報知システムSの機能を適用することができる。
【0022】
(喫煙時間帯を推定する処理)
火災報知システムSは、複数の時間帯(例えば5分間ごとに分けられた時間帯)のそれぞれに対応する蓄積時間の初期値を記憶している。火災報知システムSは、複数の時間帯のそれぞれにおいて、区画Rで喫煙される蓋然性を推定する。火災報知システムSは、区画Rで喫煙される蓋然性が閾値以上の時間帯を喫煙時間帯であると推定する。そして、火災報知システムSは、推定した喫煙時間帯における蓄積時間を、蓄積時間の初期値から喫煙時間帯以外の時間帯における蓄積時間よりも長くした新たな蓄積時間に更新する。火災報知システムSは、区画Rで喫煙される蓋然性を更新する度に、各時間帯の蓄積時間を更新する。
【0023】
火災受信機1と感知器2とは、専用の信号線で接続されている。専用の信号線は、例えば、耐熱性を有する消防用耐熱電線であり、火災警報回線である。火災受信機1と中継装置4とは、例えば、専用の信号線とは異なる通信回線で接続されている。火災受信機1と中継装置4とは、無線通信回線で接続されてもよい。なお、中継装置4は、感知器2の機能を有していてもよい。中継装置4が感知器2の機能を有する場合、火災受信機1と中継装置4とは、専用の信号線である火災警報回線で接続される。
【0024】
加熱式喫煙具3と中継装置4とは、無線通信回線で接続される。無線通信回線の規格は、例えばBluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)であるが、これに限定されない。加熱式喫煙具3は、ユーザが喫煙するために加熱式喫煙具3の電源をオンにすると、喫煙中であることを示す喫煙中情報を含むビーコン信号(例えばBluetoothにおけるアドバタイジング・パケット)を中継装置4に送信する。中継装置4は、加熱式喫煙具3からビーコン信号を受信すると、ビーコン信号に喫煙中情報が含まれているか否かを確認し、喫煙中情報が含まれている場合に、ユーザが加熱式喫煙具3により喫煙中であると判定する。
【0025】
図2は、加熱式喫煙具3及び中継装置4の構成を示す図である。加熱式喫煙具3は、電源部31と、加熱部32と、信号送信部33と、喫煙具制御部34とを備える。電源部31は、加熱式喫煙具3の各機能構成部に電力を供給する電源であり、例えばリチウムイオン二次電池であるが、これに限定されない。加熱部32は、タバコ葉を加熱するためのヒーターである。
【0026】
信号送信部33は、例えばBluetoothモジュールである。信号送信部33は、加熱式喫煙具3の電源がオンした場合に、喫煙中であることを示す喫煙中情報を含むビーコン信号を送信する。信号送信部33は、ユーザが加熱式喫煙具3を用いて喫煙している間、定期的に喫煙中情報を含むビーコン信号を送信してもよい。
【0027】
喫煙具制御部34は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。喫煙具制御部34は、図示しない記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより加熱式喫煙具3の各機能構成部を制御する。喫煙具制御部34は、例えば、加熱式喫煙具3に設けられた図示しない電源ボタンが押されたと判定すると、加熱部32を加熱するとともに、喫煙中情報を含むビーコン信号を信号送信部33に送信させる。
【0028】
中継装置4は、電源部41と、信号受信部42と、記憶部43と、計時部44と、中継装置制御部45と、情報送信部46とを備える。電源部41は、中継装置4の各機能構成部に電力を供給する電源であり、例えばリチウムイオン二次電池であるが、これに限定されない。
【0029】
信号受信部42は、例えばBluetoothモジュールである。信号受信部42は、加熱式喫煙具3から受信したビーコン信号を中継装置制御部45に通知する。
【0030】
記憶部43は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部43は、中継装置制御部45が実行するプログラムを記憶する。記憶部43は、中継装置4が設置された区画Rを識別する区画識別情報を記憶する。計時部44は、現在時刻を示す時刻情報を中継装置制御部45に出力する。
【0031】
情報送信部46は、例えばLAN(Local Area Network)モジュールである。情報送信部46は、ユーザが喫煙したことを示す喫煙情報を火災受信機1に送信する。喫煙情報の詳細については後述する。
【0032】
中継装置制御部45は、例えば、CPUである。中継装置制御部45は、記憶部43に記憶されたプログラムを実行することにより中継装置4の各機能構成部を制御する。中継装置制御部45は、信号受信部42が加熱式喫煙具3から喫煙中情報を受信すると、加熱式喫煙具3において喫煙中であることを特定する。中継装置制御部45は、加熱式喫煙具3において喫煙がされていない状況で信号受信部42が加熱式喫煙具3から喫煙開始情報を受信した場合、喫煙が開始されたことを特定する。加熱式喫煙具3が、喫煙中に継続的に喫煙中情報を送信する場合、中継装置制御部45は、喫煙中情報を送信した加熱式喫煙具3から喫煙中情報が送信されなくなるまでの間を、喫煙が継続した期間であると特定してもよい。
【0033】
中継装置制御部45は、加熱式喫煙具3から受信した喫煙中情報に基づいて喫煙が開始されたことを特定し、情報送信部46に喫煙情報を送信させる。例えば、中継装置制御部45は、記憶部43に記憶された区画識別情報と喫煙が開始された時刻とを含む喫煙情報を火災受信機1に送信するように情報送信部46に指示する。中継装置制御部45は、区画識別情報と喫煙が行われた期間とを含む喫煙情報を情報送信部46に送信させてもよい。なお、中継装置4と火災受信機1とが一対一で接続されている場合、中継装置制御部45は区画識別情報を情報送信部46に送信させなくてもよい。
【0034】
図3は、火災受信機1の構成を示す図である。火災受信機1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、警報出力部14とを備える。通信部11は、感知情報受信部111と、喫煙情報受信部112とを有する。感知情報受信部111は、感知器2から専用の信号線を介して感知情報を受信する通信インターフェースである。喫煙情報受信部112は、例えばLANモジュールである。喫煙情報受信部112は、中継装置4から喫煙情報を受信する。喫煙情報受信部112は、喫煙情報に関連付けられた区画識別情報、又は喫煙情報に関連付けられた時刻情報をさらに受信してもよい。警報出力部14は、警報情報を主音響(ブザー)として出力する。
【0035】
記憶部12は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、区画Rを識別する区画識別情報に関連付けて、区画Rで喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する。
図4は、区画識別情報に関連付けられた喫煙時間帯を示すデータテーブルを模式的に示す図である。例えば、
図4に示すように、区画識別情報である区画名「2F 喫煙室」と、喫煙時間帯を示す「8:30~9:00」及び「12:30~13:00」とが関連づけられている。
【0036】
制御部13は、例えばCPUである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、情報取得部131、推定部132、記憶制御部133、蓄積時間制御部134及び出力制御部135として機能する。
【0037】
情報取得部131は、区画識別情報に関連付けて、喫煙が行われたことを示す喫煙情報を取得する。例えば、情報取得部131は、加熱式喫煙具3が送信した喫煙中情報を受信した中継装置4を介して喫煙情報を取得する。また、情報取得部131は、加熱式喫煙具3が送信した喫煙開始情報を受信した中継装置4を介して喫煙情報を取得してもよい。
【0038】
推定部132は、区画Rで喫煙される蓋然性を複数の時間帯のそれぞれにおいて推定する。例えば、推定部132は、情報取得部131が複数の時間帯のそれぞれにおいて同一の区画識別情報に関連付けて喫煙情報を取得した回数に基づいて、それぞれの時間帯における当該区画識別情報に対応する蓋然性を推定する。具体的には、推定部132は、各時間帯の長さに対応する所定の時間内に、同一の区画識別情報に関連付けて喫煙情報を取得した回数が所定の喫煙回数以上である場合に、蓋然性が閾値以上であると推定する。
【0039】
複数の時間帯それぞれの長さは、喫煙時間帯の推定に要求される精度に基づいて定められ、例えば5分である。所定の喫煙回数は、火災報知システムSを運用する事業者が適宜定めればよいが、推定部132が定めてもよい。例えば、推定部132は、複数の時間帯の各時間帯において取得された喫煙情報の数の平均値を所定の喫煙回数として定める。また、推定部132は、煙草1本あたりに発生する煙の量と、感知器2が煙を感知する感度とに基づいて所定の喫煙回数を定めてもよい。例えば、推定部132は、火災受信機1が火災の煙であると検知する煙の濃度以上の煙が発生する煙草の本数に基づいて所定の喫煙回数を定める。
【0040】
推定部132は、複数の時間帯に対応する所定の時間内に同一の区画識別情報に関連付けて喫煙情報を取得した回数の変化に基づいて、区画で喫煙される蓋然性を推定してもよい。例えば、推定部132は、直前の時間帯に比べて喫煙情報を取得した回数が所定数以上増加した場合に、喫煙情報を取得した回数が増加した後の時間帯において喫煙される蓋然性が閾値以上であると推定する。喫煙情報を取得した回数が増加した場合、複数の喫煙者が同時に喫煙を開始したと考えられるので、推定部132は、喫煙時間帯が開始したと推定することができる。
【0041】
記憶制御部133は、推定部132が推定した蓋然性が閾値以上である時間帯を喫煙時間帯として区画識別情報に関連付けて記憶部12に記憶させる。以下、制御部13が実行する喫煙時間帯を記憶部12に記憶させる処理について説明する。
図5は、喫煙時間帯を記憶させる処理のフローチャートである。
【0042】
まず、情報取得部131は、加熱式喫煙具3が送信した喫煙中情報を受信した中継装置4から、区画識別情報に関連付けられた喫煙情報を取得する(ステップS1)。続いて、推定部132は、所定の時間内に同一の区画識別情報に関連付けられた喫煙情報を取得した回数が所定の喫煙回数以上であるか否かを判定する(ステップS2)。推定部132は、喫煙情報を取得した回数が所定の喫煙回数未満であると判定すると(ステップS2でNo)、処理を終了する。
【0043】
推定部132は、喫煙情報を取得した回数が所定の喫煙回数以上であると判定すると(ステップS2でYes)、区画識別情報が示す区画Rで喫煙される蓋然性が閾値以上であると推定する(ステップS3)。そして、記憶制御部133は、推定部132が区画Rで喫煙される蓋然性が閾値以上であると推定した時間帯を喫煙時間帯として記憶部12に記憶させる(ステップS4)。なお、制御部13は、複数の時間帯のそれぞれにおいてステップS2からS4の処理を実行する。
【0044】
(蓄積時間を決定する処理)
続いて、以上のようにして推定部132が推定した喫煙時間帯に基づいて、蓄積時間を制御する処理について説明する。蓄積時間制御部134は、記憶部12に記憶された喫煙時間帯に基づいて、感知器2が煙を感知してから火災が発生したことを示す警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を決定する。蓄積時間制御部134は、感知器2から感知情報を受信した時刻が、感知器2が設置された区画Rを示す区画識別情報に関連付けられた喫煙時間帯に含まれるか否かを判定し、判定した結果に基づいて蓄積時間を決定する。
【0045】
蓄積時間制御部134は、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれる場合、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれない場合よりも、蓄積時間を長くする。例えば、蓄積時間制御部134は、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれない場合の蓄積時間を基準として、推定部132が喫煙時間帯であると推定した時間帯において情報取得部131が喫煙情報を取得した回数が多いほど蓄積時間を長くする。具体的には、蓄積時間制御部134は、喫煙時間帯であると推定された時間帯において喫煙情報を取得した回数と、所定の喫煙回数との比に応じて蓄積時間を長くする。このようにすることで、火災報知システムSは、区画Rで喫煙される煙草の本数が多く、区画Rで煙草の煙が大量に発生した場合であっても、煙草の煙が空気中に拡散して、煙の濃度が濃度上限値未満に下がるまでに必要な時間を確保することができる。
【0046】
蓄積時間制御部134は、例えば、基準となる蓄積時間に、喫煙により発生する煙の量に基づいて定められる延長時間を加えることにより蓄積時間を決定する。喫煙により発生する煙の濃度が濃度上限値未満に下がるまでに要する時間は、情報取得部131が喫煙時間帯に喫煙情報を取得した回数との間に相関がある。そこで、蓄積時間制御部134は、例えば、情報取得部131が喫煙時間帯において喫煙情報を取得した回数に基づいて延長時間を決定する。基準となる蓄積時間の具体的な値は例えば40秒であり、延長時間の具体的な値は例えば、10秒、20秒又は30秒である。
【0047】
出力制御部135は、感知情報受信部111が感知器2から感知情報を受信してから蓄積時間が経過した後に、感知器2からさらに感知情報を受信した場合、警報情報を出力する。出力制御部135は、感知器2から感知情報を受信してから蓄積時間が経過する前に、感知器2から感知情報を受信しなくなった場合、警報情報を出力しない。出力制御部135は、蓄積時間が経過する前に感知情報を受信しなくなった後に新たに感知情報を受信した場合、新たに感知情報を受信した時点を蓄積時間の開始時点としてもよい。このようにすることで、火災報知システムSは、蓄積時間が経過するまでの間に新たな喫煙が開始されたことにより感知器2から感知情報を受信した場合に、煙草の煙を火災の煙と誤検知してしまうことを抑制できる。
【0048】
出力制御部135は、警報出力部14に警報情報を出力する。また、出力制御部135は、区画Rに設置された警報装置6に警報情報を出力する。警報装置6は、例えばスピーカーである。また、警報装置6は、発光部を点滅させることにより警報情報を出力する光警報装置であってもよい。以下、制御部13が実行する、警報情報を出力する処理について説明する。
図6は、警報情報を出力する処理のフローチャートである。
【0049】
(警報情報を出力する処理)
まず、感知情報受信部111は、感知器2から感知情報を受信する(ステップS11)。蓄積時間制御部134は、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれるか否かを判定する(ステップS12)。蓄積時間制御部134は、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれると判定すると(ステップS12でYes)、ステップS13に移行する。蓄積時間制御部134は、喫煙時間帯における蓄積時間を、喫煙時間帯に含まれない時間帯の蓄積時間よりも長くした延長蓄積時間に決定する(ステップS13)。蓄積時間制御部134は、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれないと判定すると(ステップS12でNo)、ステップS14に移行する。
【0050】
出力制御部135は、感知情報を受信してから蓄積時間が経過したか否かを判定する(ステップS14)。出力制御部135は、感知情報を受信してから蓄積時間が経過していないと判定すると(ステップS14でNo)、蓄積時間が経過するまで待機する。出力制御部135は、感知情報を受信してから蓄積時間が経過したと判定すると(ステップS14でYes)、感知情報受信部111が感知情報を受信しているか否かを判定する(ステップS15)。
【0051】
出力制御部135は、感知情報受信部111が感知器2から感知情報を受信していると判定すると(ステップS15でYes)、警報情報を出力する(ステップS16)。出力制御部135は、感知情報受信部111が感知情報を受信していないと判定すると(ステップS15でNo)、警報情報を出力せずに、警報情報を出力する処理を終了する。
【0052】
(変形例1)
以上の説明においては、所定の時間内に、多数の喫煙者が同時に喫煙することを想定したが、所定の時間内に一人の喫煙者のみが複数回喫煙する場合がある。この場合、同一の喫煙者による複数回の喫煙は、喫煙場所又は喫煙時間において喫煙されたものではないと推定される。そこで、火災報知システムSは、同一の喫煙者による喫煙情報が複数回取得された場合、取得された回数から減算した回数に基づいて、喫煙される蓋然性を推定する。この場合、情報取得部131は、加熱式喫煙具3を識別する喫煙具識別情報に関連付けて喫煙情報を取得する。
【0053】
推定部132は、同一の喫煙具識別情報が示す加熱式喫煙具3を用いて喫煙されたことを示す喫煙情報を複数回取得した場合、区画Rで喫煙された回数が、取得した回数より少ない回数であると仮定して区画Rで喫煙される蓋然性を推定する。例えば、推定部132は、情報取得部131が同一の時間帯に同一の喫煙具識別情報に関連付けられた喫煙情報を複数回取得した場合に、取得した回数から所定の減算回数を減算した回数に基づいて蓋然性を推定する。また、推定部132は、同一の喫煙具識別情報に関連付けられた喫煙情報を複数回取得した場合、同一の時間帯において同一の喫煙具識別情報に関連付けられた喫煙情報を1回取得したものとして、蓋然性を推定してもよい。
【0054】
このようにすることで、火災報知システムSは、喫煙された場所が、多数の人が喫煙する場所でない場合、又は喫煙された時間が、多数の人が同時に喫煙する時間帯ではない場合に、喫煙時間帯として記憶しない。そのため、火災報知システムSは、喫煙場所以外の場所又は喫煙時間以外の時間帯に、火災による煙を煙草の煙だと誤検知せず、早期に火災の発生を報知できる。
【0055】
(変形例2)
火災報知システムSが設置された建物内に存在する人の数は、曜日に応じて増減することがある。例えば、一般的な会社が入居する建物において、平日に勤務する人数に比べて、休日に勤務する人数は少なくなる。勤務する人数が少ない場合、喫煙場所で同時に喫煙する喫煙者の数は少なくなると考えられる。同時に喫煙する喫煙者の数が少ないと、発生する煙草の煙も少なくなるので、煙草の煙が空気中に拡散して煙の濃度が所定の濃度以下になるまでの時間も短くなると推定される。
【0056】
そこで、蓄積時間制御部134は、複数の曜日のそれぞれにおける喫煙時間帯における蓄積時間を変更してもよい。例えば、蓄積時間制御部134は、複数の曜日それぞれにおける所定の時間内に喫煙情報を取得した回数の比率に応じて、複数の曜日それぞれの喫煙時間帯における蓄積時間を決定する。具体的には、蓄積時間制御部134は、休日における喫煙時間帯における蓄積時間を、平日における喫煙時間帯における蓄積時間よりも短くする。例えば、蓄積時間制御部134は、休日において所定の時間内に喫煙情報を取得した回数と、平日において所定の時間内に喫煙情報を取得した回数との比に基づいて、蓄積時間を短くする。
【0057】
このようにすることで、火災報知システムSは、感知器2が煙を感知してから煙の濃度が濃度上限値以下になるまでの時間が短くなると推定される休日において、喫煙時間帯における蓄積時間を短くする。そのため、火災報知システムSは、休日においても煙草の煙を火災の煙と誤検知することを抑制するとともに、火災を早期に発見することができる。
【0058】
(変形例3)
同時に多数の喫煙者が喫煙した場合、発生する煙草の煙が多くなるので、空気中に含まれる煙の濃度も高くなると推定される。そこで、火災受信機1は、喫煙時間帯における感知器2が煙を感知する感度を鈍くする。例えば、制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、喫煙時間帯において感知器2が煙を感知する感度を、喫煙時間帯に含まれない時間帯において感知器2が煙を感知する感度より鈍くする感度制御部として機能する。
【0059】
感度制御部は、例えば、感知器2に設定された火災の煙であると判定するための濃度上限値を上げる。具体的には、感度制御部は、喫煙時間帯に含まれない時間帯における濃度上限値を基準として、喫煙時間帯に含まれる時間帯における濃度上限値を大きくする。より具体的には、感度制御部は、推定部132が喫煙時間帯において取得された喫煙情報の回数に基づいて推定した煙の濃度に基づいて、濃度上限値を大きくする。感度制御部は、喫煙時間帯において喫煙されると推定された煙草の本数に基づく煙草の煙の濃度以上になるように濃度上限値を大きくする。
【0060】
このようにすることで、感知器2は、喫煙時間帯においては、空気中に含まれる煙草の煙の濃度が高くなっても感知情報を送信しない。そのため、火災報知システムSは、煙草の煙を火災の煙であると誤検知することを抑制できる。
【0061】
(変形例4)
火災報知システムSは、感知器2が中継装置4の機能を備えることにより、中継装置4を備えなくてもよい。このようにすることで、火災報知システムSを運用する事業者は、火災報知システムSを設置する場合に、構成点数を少なくし、設置に係る工数を削減できるので、火災報知システムSの設置コストを低減できる。
【0062】
(変形例5)
火災報知システムSは、区画Rを撮像するカメラを備え、火災受信機1は、カメラが撮像した撮像画像を解析した解析結果に基づいて区画Rで喫煙される蓋然性を推定してもよい。具体的には、まず、火災受信機1は、解析結果に基づいて区画Rに存在する人が喫煙行為を行ったか否かを判定する。火災受信機1は、区画Rに存在する人が喫煙行為を行ったと判定すると、喫煙行為を行ったと判定した撮像画像が撮像された時刻を、区画Rで喫煙される蓋然性が閾値以上であると推定する。
【0063】
また、火災報知システムSは、区画Rに人が存在するか否かを感知する人感センサを備えていてもよい。火災受信機1は、人感センサが区画Rに人が存在することを感知すると、人が存在することを感知した時刻を、喫煙される蓋然性が閾値以上であると推定する。なお、火災報知システムSは、火災報知システムSを運用する事業者から、喫煙情報又は喫煙時間帯の入力を受けてもよい。
【0064】
[第1の実施形態に係る火災報知システムSの効果]
このように、火災報知システムSは、区画Rで喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する。そして、火災報知システムSは、煙を感知する感知器2から感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれる場合、感知情報を受信した時刻が喫煙時間帯に含まれない場合よりも、蓄積時間を長くする。このようにすることで、火災報知システムSは、煙草の煙が多量に発生した場合でも、煙草の煙が空気中に拡散して煙草の煙の濃度が減少するまでに必要な時間を確保することができるので、喫煙場所又は喫煙時間において煙草の煙を火災の煙と誤検知することを抑制できる。
【0065】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、煙を感知すると警報情報を出力する住宅用火災警報器5である。住宅用火災警報器5は、複数の時間帯のそれぞれに対応する蓄積時間の初期値を記憶する。住宅用火災警報器5は、電源がオンになると、加熱式喫煙具3から喫煙中情報を含むビーコン信号を受信可能な状態で待機する。住宅用火災警報器5は、加熱式喫煙具3からビーコン信号を受信すると、ビーコン信号に含まれる喫煙中情報に基づいて複数の時間帯のそれぞれにおける喫煙される蓋然性を推定する。住宅用火災警報器5は、喫煙される蓋然性が閾値以上であると推定した時間帯において、喫煙される蓋然性が閾値未満である時間帯より長くした新たな蓄積時間を記憶する。
【0066】
図7は、第2の実施形態に係る住宅用火災警報器5の構成を示す図である。住宅用火災警報器5は、信号受信部50と、感知部51と、出力部52と、記憶部53と、制御部54とを備える。信号受信部50は、例えばBluetoothモジュールである。信号受信部50は、加熱式喫煙具3から受信したビーコン信号を制御部54に通知する。
【0067】
感知部51は、設置された区画で発生した煙を感知する。感知部51は、煙を感知すると、煙を感知したことを示す感知情報を制御部54に送信する。出力部52は、例えばスピーカーである。出力部52は、火災が発生したことを示す警報情報を出力する。具体的には、出力部52は、警報情報を「火事です」という音声メッセージとして出力する。また、出力部52は、警報情報をブザー音として出力してもよい。なお、出力部52は、光を発する発光部であってもよい。出力部52が発光部である場合、出力部52は、光を点滅させることにより、警報情報を出力する。
【0068】
記憶部53は、ROM、RAM及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部53は、制御部54が実行するプログラムを記憶する。記憶部53は、喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯を記憶する。
【0069】
制御部54は、例えばCPUである。制御部54は、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することによって、推定部540、蓄積時間制御部541及び出力制御部542として機能する。推定部540は、第1の実施形態における推定部132と同等の機能を有しており、信号受信部50が加熱式喫煙具3から喫煙中情報を含むビーコン信号を受信した回数に基づいて、喫煙される蓋然性を推定する。
【0070】
蓄積時間制御部541は、第1の実施形態における蓄積時間制御部134と同等の機能を有しており、感知部51が煙を感知した時刻が喫煙時間帯に含まれるか否かを判定した結果に基づいて、蓄積時間を制御する。蓄積時間制御部541は、感知部51が煙を感知した時刻が喫煙時間帯に含まれると判定した場合、感知部51が煙を感知した時刻が喫煙時間帯に含まれない場合よりも、感知部51が煙を感知してから警報情報を出力するまでの時間である蓄積時間を長くする。出力制御部542は、第1の実施形態における出力制御部135と同等の機能を有しており、感知部51が煙を感知してから蓄積時間が経過した後に、感知部51が煙を感知した場合、警報情報を出力する。
【0071】
[第2の実施形態に係る住宅用火災警報器5の効果]
このように、住宅用火災警報器5は、住宅用火災警報器5が設置された区画における喫煙される蓋然性が閾値以上である喫煙時間帯において、蓄積時間を長くする。このようにすることで、住宅用火災警報器5は、煙草の煙が空気中に拡散して濃度が減少するまでに必要な時間を確保することができるので、煙草の煙を火災の煙と誤検知することを抑制できる。
【0072】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。
【符号の説明】
【0073】
1 火災受信機
2 感知器
3 加熱式喫煙具
4 中継装置
5 住宅用火災警報器
6 警報装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
14 警報出力部
31 電源部
32 加熱部
33 信号送信部
34 喫煙具制御部
41 電源部
42 信号受信部
43 記憶部
44 計時部
45 中継装置制御部
46 情報送信部
50 信号受信部
51 感知部
52 出力部
53 記憶部
54 制御部
111 感知情報受信部
112 喫煙情報受信部
131 情報取得部
132 推定部
133 記憶制御部
134 蓄積時間制御部
135 出力制御部
540 推定部
541 蓄積時間制御部
542 出力制御部
S 火災報知システム