(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/00 20060101AFI20220714BHJP
【FI】
A47L9/00 Z
A47L9/00 H
(21)【出願番号】P 2018101776
(22)【出願日】2018-05-28
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000109325
【氏名又は名称】ツインバード工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】反町 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】青木 佳
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049141(JP,A)
【文献】実公昭44-012389(JP,Y1)
【文献】特開平10-080382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00~ 5/38
A47L 9/00~ 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻体と、この外殻体内に収容される電動送風機と、この電動送風機に給電するための電源コードとを有する電気掃除機において、
前記外殻体が、前記電動送風機の遠心ファンが収容される相対的に太いファン収容部と、前記電動送風機の電動機が収容される相対的に細い電動機収容部と、これらファン収容部と電動機収容部の間に形成される段差部とを有し、
前記電動機収容部の軸線方向端部に接地部が設けられ、前記電動機が、その回転軸からの距離が長い部分Aと回転軸からの距離が短い部分Bとを有すると共に、前記電源コードが、前記段差部
における前記部分Bと対向する部位から外部に引き出されることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記ファン収容部及び電動機収容部がそれぞれ筒状であると共に、前記電源コードが前記ファン収容部及び電動機収容部の軸線方向に引き出されることを特徴とする請求項
1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記電源コードの根元部にコードブッシュが設けられると共に、前記段差部から前記接地部先端までの距離が前記コードブッシュの前記外殻体からの突出長さよりも長く形成されることを特徴とする請求項2記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源に接続して使用される電気掃除機に関するものであり、特に、コードリールを有さない比較的小型の電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機としては、掃除機本体内に電動送風機が収容され、掃除機本体の後端から電源コードが引き出されたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような電気掃除機は、不使用時に掃除機本体の後端が下方となるようにして置かれることが開示されている。また、このような電気掃除機は、手持ち使用されるので、小型化のため、内部にコードリールが設けられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような電気掃除機においては、掃除機本体の後端が下方となるように置くと、電源コードが床等に接して急激に屈曲することになるため、この電源コードが破損してしまう恐れがあった。これを避けるためには、掃除機本体を横置きすることが考えられるが、この場合、不使用時の床等の占有面積が大きくなってしまうという別の問題が生じる。
【0005】
本発明は以上の問題点を解決し、不使用時の占有面積を小さく抑えながら、電源コードを保護することが可能な電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機は、外殻体と、この外殻体内に収容される電動送風機と、この電動送風機に給電するための電源コードとを有する電気掃除機において、前記外殻体が、前記電動送風機の遠心ファンが収容される相対的に太いファン収容部と、前記電動送風機の電動機が収容される相対的に細い電動機収容部と、これらファン収容部と電動機収容部の間に形成される段差部とを有し、前記電動機収容部の軸線方向端部に接地部が設けられ、前記電動機が、その回転軸からの距離が長い部分Aと回転軸からの距離が短い部分Bとを有すると共に、前記電源コードが、前記段差部における前記部分Bと対向する部位から外部に引き出されるものである。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の電気掃除機は、請求項1において、前記ファン収容部及び電動機収容部がそれぞれ筒状であると共に、前記電源コードが前記ファン収容部及び電動機収容部の軸線方向に引き出されるものである。
【0008】
更に、本発明の請求項3に記載の電気掃除機は、請求項2において、前記電源コードの根元部にコードブッシュが設けられると共に、前記段差部から前記接地部先端までの距離が前記コードブッシュの前記外殻体からの突出長さよりも長く形成されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1に記載の電気掃除機は、以上のように構成することにより、不使用時の占有面積を小さく抑えるように、前記外殻体におけるファン収容部が上方で電動機収容部が下方となるように床等に置いたとしても、前記電動機収容部の長さ分、前記電源コードが高い位置から引き出されることになるので、前記電源コードを急激に屈曲させることがなく、この電源コードを保護することができる。
【0010】
なお、前記電動機が、その回転軸からの距離が長い部分Aと回転軸からの距離が短い部分Bとを有すると共に、前記電源コードが、前記段差部における前記部分Bと対向する部位から引き出されることで、前記電源コードを内部構造と干渉させずに外殻体を小型化することができる。
【0011】
また、前記ファン収容部及び電動機収容部がそれぞれ筒状であると共に、前記電源コードが前記ファン収容部及び電動機収容部の軸線方向に引き出されることで、前記外殻体におけるファン収容部が上方で電動機収容部が下方となるように床等に置いた際に、重力による屈曲が前記電源コードの根元に生じず、前記電源コードをより確実に保護することができる。
【0012】
更に、前記電源コードの根元部にコードブッシュが設けられると共に、前記段差部から前記接地部先端までの距離が前記コードブッシュの前記外殻体からの突出長さよりも長く形成されることで、前記電源コードの根元の屈曲を十分になだらかにして、前記電源コードをより確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態を示す電気掃除機の側面図である。
【
図2】同、外殻体と電動送風機との位置関係を示す説明図である。
【
図4】同、不使用時の設置状態を示す側面図である。
【
図5】同、不使用時の他の設置状態を示す側面図である。
【
図6】同、中心軸線と直交する方向から見た電動送風機の外観図である。
【
図7】同、中心軸線と直交する他の方向から見た電動送風機の外観図である。
【
図8】同、電気掃除機にアダプタ及びアタッチメントを取り付けた電気掃除機システムの側面図である。
【
図9】同、電気掃除機システムの不使用時の設置状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、
図1乃至
図11に基づいて説明する。なお、本実施形態において、
図1及び
図2における左を前、右を後とする。また、
図1及び
図2における上下を以下の説明における上下とする。1は電気掃除機システムである。この電気掃除機システム1は、電気掃除機2と、排気利用アダプタ50と、排気アタッチメント60とを有する。
【0015】
前記電気掃除機2は、掃除機本体10と、集塵容器40とを有する。前記掃除機本体10は、胴部11と、把持部12とを有する。前記胴部11は、径の異なる部分を有する略円筒状の外殻体13を有する。そして、前記胴部11の前側には、前記集塵容器40が着脱可能に取り付けられる。また、前記胴部11の後側には、排気口部14が設けられる。更に、前記把持部12は、前記胴部11の上方に設けられる。そして、前記胴部11から電源コード15が引き出される。更に、前記胴部11の内部には、電動送風機30が収容される。
【0016】
前記胴部11の外殻体13について詳述する。前記外殻体13は、前述した通り、径の異なる部分を有する略円筒状に形成される。具体的には、後述する遠心ファン32が収容されるファン収容部16と、後述する電動機31が収容される電動機収容部17と、これらの間に設けられた段差部18とを有する。なお、前記ファン収容部16は、電動機収容部17に比べ相対的に太い。即ち、前記電動機収容部17は、ファン収容部16に比べ相対的に細い。そして、前記電動機収容部17は、前記ファン収容部16の後方に設けられる。また、前記ファン収容部16と電動機収容部17と段差部18は、中心軸線Xbを基準として略同軸状に設けられる。なお、前記中心軸線Xbは、前記電動送風機30の中心軸線Xmと一致する。また、前記ファン収容部16の前方には、前記集塵容器40を受ける受部19が設けられる。また、前記把持部12の後端部は、前記電動機収容部17と一体に連結する。更に、前記把持部12の前端部は、連結部20によって前記受部19と連結する。そして、前記段差部18の下部18Dには脚部21が設けられると共に、この脚部21に取付孔部22が形成される。更に、この取付孔部22には、前記電源コード15のコードブッシュ23が取り付けられる。このコードブッシュ23は、自然状態、即ち外力が加わらない状態において、前記中心軸線Xb及び中心軸線Xmと平行である。
【0017】
前記排気口部14は、円形の排気口24と、この排気口24を囲むように設けられた複数(本実施形態では三つ)の接地部としての脚部25とを有する。なお、これらの脚部25は、一つの短筒状の脚部としても良い。これらの脚部25は、全体として前記中心軸線Xbと同軸状に設けられる。そして、これらの脚部25の外周面には、それぞれ係合凸部26が前記中心軸線Xbと直交する方向に突出して設けられる。なお、前記各係合凸部26は、異なる角度間隔で設けられる。第一係合凸部261と第二係合凸部262の角度間隔はθ1であり、約127度である。第二係合凸部262と第三係合凸部263の角度間隔はθ2であり、約102度である。第三係合凸部263と第一係合凸部261の角度間隔はθ3であり、約131度である。(θ1≠θ2,θ2≠θ3,θ3≠θ1,θ1+θ2+θ3=2π)更に、前記取付孔部22から前記脚部25の後端までの中心軸線Xb方向の距離L1は、前記コードブッシュ23の前記取付孔部22からの突出部分の長さL2よりも長い。また、前記脚部25の突出寸法L3は、前記電源コード15の太さL4よりも長い。
【0018】
前記電動送風機30について詳述する。この電動送風機30は、電動機31と遠心ファン32とを有して構成される。前記電動機31は、固定子33と回転子34と整流子35とブラシ36とを有する。なお、前記電動機31の固定子33には、回転軸の中心軸線Xmからの距離が長い部分Aと、中心軸線Xmからの距離が短い部分Bが存在する。例えば、前記固定子33の中心軸線Xmからの寸法は、
図6においてW1であり、
図7においてW2である。そして、W1はW2よりも短い。一方、前記遠心ファン32は、中心軸線Xmと直交するあらゆる方向から見て半径Rが同じである。そして、前記電動送風機30は、その遠心ファン32が前記外殻体13のファン収容部16の内側に配置される。また、前記電動送風機30は、その電動機31が前記外殻体13の段差部18から電動機収容部17にかけての内側に配置される。なお、前記電動送風機30は、前記部分Bが上下で且つ前記部分Aが左右となるように、前記外殻体13内に収容される。従って、前記電動機31の固定子33の下部となる前記部分Bから前記段差部18の下部18Dの内面までの距離は、前記固定子33の右部又は左部となる前記部分Aから前記段差部18の右部又は左部の内面までの距離よりも長い。即ち、前記段差部18の下部18Dの内側には空間的な余裕がある。このため、前記段差部18の下部18Dの脚部21に前記取付孔部22が設けられ、この取付孔部22に前記電源コード15のコードブッシュ23が固定される。このように、前記段差部18の下部18Dから前記電源コード15を引き出すことで、前記掃除機本体10の内部における配線が前記電動送風機30と干渉しないので、製造が容易である。また、前記外殻体13を小型化することができる。更に、前記掃除機本体10の内部における配線に無理がないので、前記掃除機本体10内で断線が生じる虞を減ずることができる。
【0019】
前記集塵容器40は、前述したように、前記掃除機本体10の受部19に対し着脱可能に取り付けられる。そして、前記集塵容器40は、容器本体41と、この容器本体41に接続される導入路42と、前記容器本体41内に収容される図示しないフィルタ体とを有する。なお、前記導入路42の下部には、脚部43が設けられる。そして、前記電気掃除機2の下部が下方となるように、床面F等に置いた際に、前記脚部43と脚部21とが前記床面Fに接する。この際、前記排気口部14から床面Fまでの距離L5は、前記電源コード15の太さL4よりも長い。即ち、前記電気掃除機2の下部が下方となるように、床面F等に置く際に、前記電源コード15が邪魔になることはない。
【0020】
前記アダプタ50は、前記排気口部14に対し着脱可能に取り付けられる。そして、前記アダプタ50は、流通面積が相対的に大きい入口部としての取付部51と、流通面積が相対的に小さい出口部としての受筒部52と、ロックボタン53とを有する。前記取付部51の第一中心軸線X1は、前記アダプタ50を前記排気口部14に取り付けた際に、前記外殻体13の中心軸線Xbと同軸となる。一方、前記受筒部52の第二中心軸線X2は、前記第一中心軸線X1に対し偏心している。なお、第一中心軸線X1と第二中心軸線X2は平行である。前記取付部51の内周面には、複数の係合凹部54が設けられる。これらの係合凹部54は、前記排気口部14の係合凸部26に対応して設けられる。即ち、前記各係合凹部54は、異なる角度間隔で設けられる。例えば、第一係合凹部541と第二係合凹部542の角度間隔はθ1であり、約127度である。第二係合凹部542と第三係合凹部543の角度間隔はθ2であり、約102度である。第三係合凹部543と第一係合凹部541の角度間隔はθ3であり、約131度である。従って、前記第一係合凸部261が第一係合凹部541に、第二係合凸部262が第二係合凹部542に、第三係合凸部263が第三係合凹部543係合した状態でのみ、前記アダプタ50が前記排気口部14に取り付けられる。この結合状態において、前記受筒部52の第二中心軸線X2は、前記取付部51の第一中心軸線X1及び前記外殻体13の中心軸線Xbに対し、前記把持部12側である上側に偏る。即ち、前記受筒部52の第二中心軸線X2は、前記取付部51の第一中心軸線X1及び前記外殻体13の中心軸線Xbに対し、前記電源コード15が設けられた下側の反対側である上側に偏る。なお、図示しないが、前記各係合凹部54はL字状の溝である。従って、前記アダプタ50は、前記排気口部14に対しバヨネット結合される。
【0021】
前記アタッチメント60は、前記受筒部52に対し着脱可能に接続される。詳述すると、前記アタッチメント60には、図示しない係合凹部が設けられ、この係合凹部に対し前記ロックボタン53に設けられた係合爪55が係合することで、前記アタッチメント60が前記受筒部52に接続される。なお、前記アタッチメント60は、
図8に示すような、全体が筒状の延長パイプ61や、
図9に示すような、ホース状の部分を有する延長ホース62が使用可能である。
【0022】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、前記電気掃除機システム1の電気掃除機2のみを使用する場合、使用者は予め前記掃除機本体10の受部19に前記集塵容器40を取り付けておく。そして、前記電源コード15を図示しない交流電源に接続し、前記把持部12を把持して前記電動送風機30を作動させることで、吸引掃除を行う。なお、吸引掃除は、前記導入路42から直接塵埃を吸引するように行ってもよく、また、前記導入路42に図示しない吸引掃除用アタッチメントを装着した状態で行ってもよい。そして、前記導入路42から吸引された気流に含まれる塵埃は、前記集塵容器40内で気流から分離されてこの集塵容器40内に貯められる。塵埃が分離された気流は、前記電動送風機30を経て前記排気口24から前記電気掃除機2の外部に排出される。そして、吸引掃除を行う際、使用者は前記電気掃除機2の上部に設けられた前記把持部12を把持するので、前記電気掃除機2の下部に設けられた前記電源コード15が邪魔になることがない。
【0023】
不使用時に、又は一時的に吸引掃除を停止して前記電気掃除機2を置く場合、幾つかの置き方がある。代表的な例として、
図4に示すような、前記掃除機本体10の脚部21と前記集塵容器40の脚部43とが床面F等に接する置き方と、
図5に示すような、前記電気掃除機2の排気口部14の脚部25が床面Fに接する置き方がある。前者の置き方では、前述した通り、前記排気口部14から床面Fまでの距離L5が前記電源コード15の太さL4よりも大きいので、前記電源コード15が邪魔になることがない。また、前記電源コード15が前記中心軸線Xbと平行に引き出されることで、重力による僅かな屈曲があったとしても、前記コードブッシュ23部分で前記電源コード15が床面Fに当たって急激に屈曲することがない。このため、前記電源コード15に大きなストレスが加わらない。後者の置き方では、前述した通り、前記取付孔部22から前記脚部25後端までの距離L1が、前記コードブッシュ23の突出部分の長さL2よりも長いので、前記電源コード15が床面Fに当たって屈曲しても、前記コードブッシュ23部分が急激に屈曲することがない。このため、前記電源コード15に大きなストレスが加わらない。なお、前記電源コード15が前記排気口部14の下方に入り込むことも起こり得る。しかしながら、前述した通り、前記脚部25の突出寸法L3が前記電源コード15の太さL4よりも長いので、この電源コード15が前記排気口部14と床面Fとで挟まれる虞を減ずることができる。即ち、前記電源コード15が前記排気口部14の下方に入り込んだとしても、前記電源コード15が前記脚部25同士の間の切欠部を通ることになる。特に、
図10に示すように、前記排気口部14の下部に、前記脚部25同士の間の切欠部が位置するので、前記電源コード15が、その近くにある前記脚部25同士の間の切欠部を通り易い。このように、前記電気掃除機2を置く際に、前記電源コード15が破損しにくいようにすることができる。
【0024】
次に、前記電気掃除機システム1の電気掃除機2の排気口部14に前記アダプタ50及びアタッチメント60を取り付けて使用する場合について説明する。なお、前述した通り、前記アダプタ50は、前記排気口部14に対しバヨネット結合される。そして、前述した通り、前記第一係合凸部261が第一係合凹部541に、第二係合凸部262が第二係合凹部542に、第三係合凸部263が第三係合凹部543係合した状態でのみ、前記アダプタ50が前記排気口部14に取り付けられる。この際、前記アダプタ50は、その受筒部52の中心軸線X2が前記外殻体13の中心軸線Xbに対し前記把持部12側である上方に偏った状態でしか取り付けられない。換言すると、前記アダプタ50は、その受筒部52の中心軸線X2が前記外殻体13の中心軸線Xbに対し、反電源コード15側である上側に偏った状態でしか取り付けられない。
【0025】
前記アダプタ50の受筒部52に前記延長パイプ61を接続して使用する場合、使用者は、吸引掃除を行う場合とは前後逆に前記把持部12を把持する。即ち、使用者は、前記排気口部14が前となるように把持する。この状態で前記電動送風機30を作動させると、前記導入路42から吸引された気流は、前記電動送風機30を経て前記排気口24から前記電気掃除機2の外部に排出される。そして、前記電気掃除機2の外部に排出された気流は、前記アダプタ50の取付部51から受筒部52を経て前記延長パイプ61から噴出する。この噴出気流を用いて、使用者は地面等に散乱している落ち葉等の塵埃を吹き飛ばすことができる。
【0026】
この際、噴出気流により、使用者の手に反動が生じる。しかしながら、前記アダプタ50の受筒部52の中心軸線X2が前記外殻体13の中心軸線Xbよりも前記把持部12側、即ち使用者の手の側に偏っていることで、噴出気流の反動を使用者の手の近くで受けることになる。このため、噴出気流の反動を抑えて、安定して前記電気掃除機システム1を操作することができる。なお、前記受筒部52に前記延長ホース62を接続する場合、一方の手で前記把持部12を、他方の手で前記延長ホース62の先端を把持することになる。この場合、噴出気流による反動は、他方の手が受けることになる。また、前記受筒部52に前記延長ホース62を接続する場合、使用者は前記把持部12をどのように把持してもよい。
【0027】
また、前述した通り、前記アダプタ50の受筒部52の中心軸線X2が前記外殻体13の中心軸線Xbよりも反電源コード15側に偏っていると共に、この電源コード15が前記アダプタ50よりも下方に位置するので、前記電源コード15が前記アダプタ50やアタッチメント60に絡んでしまうことがない。従って、噴出気流を用いる掃除を良好に行うことができる。
【0028】
不使用時に、又は一時的に噴出気流を用いる掃除を停止して、前記アダプタ50やアタッチメント60を取り付けたまま前記電気掃除機システム1を置く場合、
図9に示すように、前記掃除機本体10の脚部21と前記集塵容器40の脚部43とが床面F等に接するように置く。なお、前記延長パイプ61が前記受筒部52に接続された状態では、前記延長パイプ61が床面F等に接し、前記脚部21が床面Fに接しない。従って、この場合、前記電気掃除機システム1を安定して置くことができないので、前記延長パイプ61、又は前記アダプタ50と延長パイプ61の両方を前記排気口部14から取り外す。一方、前記延長ホース62が前記受筒部52に接続されている場合、
図9に示すように、ホース状の部分62Hが屈曲するので、前記延長ホース62を取り付けた状態のまま前記電気掃除機システム1を床面F等に置くことができる。そして、前記アダプタ50の受筒部52の中心軸線X2が前記外殻体13の中心軸線Xbよりも反上方に偏っているので、前記延長ホース62の接続筒部62Tが床面F等に接するのを防止することができる。これによって、前記アダプタ50及び延長ホース62を接続したまま、前記電気掃除機システム1を床面F等に安定して置くことができる。
【0029】
以上のように、本発明の電気掃除機2は、外殻体13と、この外殻体13内に収容される電動送風機30と、この電動送風機30に給電するための電源コード15とを有する電気掃除機2において、前記外殻体13が、前記電動送風機30の遠心ファン32が収容される相対的に太いファン収容部16と、前記電動送風機30の電動機31が収容される相対的に細い電動機収容部17と、これらファン収容部16と電動機収容部17の間に形成される段差部18とを有し、前記電動機収容部17の中心軸線Xb方向端部に接地部としての脚部25が設けられ、前記電源コード15が、前記段差部18から外部に引き出されるものであり、不使用時の占有面積を小さく抑えるように、前記外殻体におけるファン収容部16が上方で電動機収容部17が下方となるように床面F等に置いたとしても、前記電動機収容部17の長さ分、前記電源コード15が高い位置から引き出されることになるので、前記電源コード15を急激に屈曲させることがなく、この電源コード15を保護することができるものである。
【0030】
また、前記電動機30が、その回転軸の中心軸線Xmからの距離が長い部分Aと回転軸からの距離が短い部分Bとを有すると共に、前記電源コード15が、前記段差部18における前記部分Bと対向する部位から引き出されることで、前記電源コード15を前記電動機30等の内部構造と干渉させずに、前記外殻体13を小型化することができるものである。
【0031】
また、前記ファン収容部16及び電動機収容部17がそれぞれ筒状であると共に、前記電源コード15が前記ファン収容部16及び電動機収容部17の中心軸線Xb方向に引き出されることで、前記外殻体13におけるファン収容部16が上方で電動機収容部17が下方となるように床面F等に置いた際に、重力による屈曲が前記電源コード15の根元に生じず、前記電源コード15をより確実に保護することができるものである。
【0032】
更に、前記電源コード15の根元部にコードブッシュ23が設けられると共に、前記段差部18から前記脚部25の先端までの距離L1が前記コードブッシュ23の前記外殻体13からの突出長さL2よりも長く形成されることで、前記電源コード15の根元の屈曲を十分になだらかにして、前記電源コード15をより確実に保護することができるものである。
【0033】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、段差部に脚部を設け、この脚部に取付孔部を設け、この取付孔部に電源コードのコードブッシュを設けたが、脚部を大径部に設け、段差部に直接取付孔部を設け、この取付孔部に電源コードのコードブッシュを設けてもよい。また、上記実施形態では、段差部を、径が連続的且つなだらかに変化する錘面状に構成したが、径が不連続に且つ急激に変化する段状に構成してもよい。更に、上記実施形態では、外殻体を径の異なる部分を有する略円筒状としたが、円筒状以外の筒状、例えば四角筒状や八角筒状等としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
2 電気掃除機
13 外殻体
15 電源コード
16 ファン収容部
17 電動機収容部
18 段差部
23 コードブッシュ
25 脚部(接地部)
30 電動送風機
31 電動機
32 遠心ファン
A 中心軸線Xmからの距離が長い部分
B 中心軸線Xmからの距離が短い部分
L1 電源コード15の根元から脚部25の先端までの距離
L2 コードブッシュ23の突出長さ
Xb 中心軸線
Xm 中心軸線