IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許7105132レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム
<>
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図1
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図2
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図3
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図4
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図5
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図6
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図7
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図8
  • 特許-レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】レガシーシステムとの共存を実行するための通信装置、通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/20 20180101AFI20220714BHJP
   H04W 16/14 20090101ALI20220714BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220714BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20220714BHJP
【FI】
H04W76/20
H04W16/14
H04W72/04 131
H04W72/04 136
H04W92/20
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018147732
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2020025163
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2020-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100131886
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 隆志
(74)【代理人】
【識別番号】100170667
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 浩次
(72)【発明者】
【氏名】森脇 和也
(72)【発明者】
【氏名】柴山 昌也
(72)【発明者】
【氏名】末柄 恭宏
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/173133(WO,A1)
【文献】Ericsson, Nokia, Nokia Shanghai Bell, AT & T,LTE-NR resource allocation coordination over X2[online],3GPP TSG RAN WG3 #99 R3-181284,2018年02月17日
【文献】Huawei, HiSilicon,Coexistence of NR DL and LTE[online],3GPP TSG RAN WG1 #88 R1-1703559,2017年02月15日
【文献】Samsung,RRC signalling to support LTE+NR Co-existence[online],3GPP TSG RAN WG2 #99bis R2-1711819,2017年09月29日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定期的に参照信号を送信する第1の無線通信システムで使用される周波数帯域で、当該第1の無線通信システムと異なる第2の無線通信システムによる通信を行うことができる通信装置であって、
通信手段と、前記通信手段を制御する制御手段とを有し、
前記通信装置は、前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な前記第2の無線通信システムの基地局装置であり、
前記制御手段は、
前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して、前記参照信号の定期的な送信を所定期間の間だけ停止するモードで当該基地局装置を動作させるための情報を送信するように前記通信手段を制御し、
前記第1の無線通信システムの基地局装置が当該モードで動作している間に前記第2の無線通信システムの所定の信号を送信するように前記通信手段を制御
前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行っていない状態で、当該周波数帯域での前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な端末装置と、当該周波数帯域と異なる第2の周波数帯域で接続したことに応じて、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して前記情報を送信するように前記通信手段を制御する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記第1の無線通信システムは、ロングタームエボリューション(LTE)規格に準拠する通信システムであり、前記第2の無線通信システムは、New Radio Access Technology(NR)規格に準拠する通信システムである、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記モードは、Multimedia Broadcast Single Frequency Network(MBSFN)サブフレームをオンとするモードであり、
前記所定期間はMBSFNサブフレームがオンとされる期間に対応する期間である、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記情報は、前記第1の無線通信システムの基地局装置に、前記MBSFNサブフレームにおいてデータを送信させないための指示をさらに含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記情報は、前記第1の無線通信システムの基地局装置を前記モードに移行させるべきタイミングを示す情報をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、さらに、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して、前記第1の無線通信システムの基地局装置を前記モードに移行させるべき周期と頻度との少なくともいずれかを示す情報を送信するように前記通信手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記頻度は、前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な端末装置の数に基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記頻度は、前記通信装置が前記周波数帯域において通信に使用するビームの数に基づいて設定される、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な端末装置との接続が全て切断されたことに応じて、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して、前記モードでの動作を停止させるための情報を送信するように前記通信手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
定期的に参照信号を送信する第1の無線通信システムで使用される周波数帯域で、当該第1の無線通信システムと異なる第2の無線通信システムによる通信を行うことができる通信装置であって、前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な前記第2の無線通信システムの基地局装置である前記通信装置によって実行される通信方法であって、
前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して、前記参照信号の定期的な送信を所定期間の間だけ停止するモードで当該基地局装置を動作させるための情報を送信する工程と、
前記第1の無線通信システムの基地局装置が当該モードで動作している間に前記第2の無線通信システムの所定の信号を送信する工程と、
を有し、
前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行っていない状態で、当該周波数帯域での前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な端末装置と、当該周波数帯域と異なる第2の周波数帯域で接続したことに応じて、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して前記情報を送信する、ことを特徴とする通信方法。
【請求項11】
定期的に参照信号を送信する第1の無線通信システムで使用される周波数帯域で、当該第1の無線通信システムと異なる第2の無線通信システムによる通信を行うことができる通信装置であって、前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な前記第2の無線通信システムの基地局装置である前記通信装置に備えられたコンピュータに、
前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して、前記参照信号の定期的な送信を所定期間の間だけ停止するモードで当該基地局装置を動作させるための情報を送信させ、
前記第1の無線通信システムの基地局装置が当該モードで動作している間に前記第2の無線通信システムの所定の信号を送信させる、
ためのプログラムであって、
前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行っていない状態で、当該周波数帯域での前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な端末装置と、当該周波数帯域と異なる第2の周波数帯域で接続したことに応じて、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して前記情報を送信させる、ことを特徴とするプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム間における干渉低減技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、第5世代のセルラ通信技術として、New Radio Access Technology(NR)が検討されている。この検討では、ロングタームエボリューション(LTE)で使用されている既存の周波数帯域で、NRを動作させることについても検討されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP、RP-172115、2017年9月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LTEとNRとを共存させる環境では、旧世代の通信システムであるLTEの通信をNRが妨害しないことが重要となる。一方で、LTEでは、その仕様上、システム帯域の全体に参照信号が分散して配置されており、NRのための同期信号等の所定の信号を仕様通りの形式で送信すると、LTEの参照信号に干渉してしまう。
【0005】
また、そのような所定の信号は、LTEの参照信号に干渉しないように、時間方向に短くした形式(周波数方向には広くなる形式)で、参照信号の送信タイミングとずらしたタイミングで送信することが許容されている。しかしながら、このような形式の信号は、同じタイミングで送信されているLTEのデータ送信のためのOFDM(直交周波数分割多重)信号との間で直交性を担保することができないため、その信号に対する干渉源となりうる。このように、新世代の無線通信システムにおける通信の際には、旧世代の無線通信システムにおける参照信号などの定期的に送出される信号への影響を考慮する必要がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、新世代の第2の無線通信システムにおける信号の伝送が旧世代の第1の無線通信システムに与える影響を低減する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る通信装置は、定期的に参照信号を送信する第1の無線通信システムで使用される周波数帯域で、当該第1の無線通信システムと異なる第2の無線通信システムによる通信を行うことができる通信装置であって、通信手段と、前記通信手段を制御する制御手段とを有し、前記通信装置は、前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な前記第2の無線通信システムの基地局装置であり、前記制御手段は、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して、前記参照信号の定期的な送信を所定期間の間だけ停止するモードで当該基地局装置を動作させるための情報を送信するように前記通信手段を制御し、前記第1の無線通信システムの基地局装置が当該モードで動作している間に前記第2の無線通信システムの所定の信号を送信するように前記通信手段を制御前記周波数帯域で前記第2の無線通信システムによる通信を行っていない状態で、当該周波数帯域での前記第2の無線通信システムによる通信を行うことが可能な端末装置と、当該周波数帯域と異なる第2の周波数帯域で接続したことに応じて、前記第1の無線通信システムの基地局装置に対して前記情報を送信するように前記通信手段を制御する、ことを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、新世代の第2の無線通信システムにおける信号の伝送が旧世代の第1の無線通信システムに与える影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】無線通信システムの構成例を示す図。
図2】LTEとNRとの共存環境の概要を説明するための図。
図3】本実施形態にかかる手順を適用した場合のLTEとNRとの共存環境の概要を説明するための図。
図4】通信装置のハードウェア構成例を示す図。
図5】第1の基地局装置の機能構成例を示す図。
図6】第2の基地局装置の機能構成例を示す図。
図7】端末装置の機能構成例を示す図。
図8】無線通信システムで実行される処理の流れの第1の例を示す図。
図9】無線通信システムで実行される処理の流れの第2の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(システム構成)
本実施形態に係る通信システムの構成例を図1に示す。図1は、第1の無線通信システムのための第1の基地局装置101と、第2の無線通信システムのための第2の基地局装置102及び端末装置103を示している。なお、第1の無線通信システムは、第1の周波数帯域を使用する無線通信システムである。本実施形態では、第1の無線通信システムが、第4世代(4G)のセルラ通信規格であるロングタームエボリューション(LTE)規格に準拠する無線通信システムであるものとする。また、第2の無線通信システムは、第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を使用しながら、第1の周波数帯域をも使用可能な無線通信システムである。本実施形態では、第2の無線通信システムが、第5世代(5G)のセルラ通信規格であるNew Radio Access Technology(NR)規格に準拠する無線通信システムであるものとする。すなわち、第1の周波数帯域では、LTE規格に準拠した通信が行われながら、NR規格に準拠した通信も行われるような、共存環境が提供される。なお、以下では、端末装置103がNR規格に従って通信を行うものとするが、端末装置103は、第2の基地局装置102との接続に加え又はこれに代えて、LTE規格に従って第1の基地局装置101と接続して通信してもよい。
【0012】
なお、図1では、LTE規格に準拠する第1の基地局装置101と、NR規格に準拠する第2の基地局装置102及び端末装置103が1台ずつ存在する場合を図解しているが、これらの装置は当然に多数存在しうる。また、図1では、第1の基地局装置101が展開するセルに、第2の基地局装置102が展開するセルが含まれるような場合を示しているが、これに限られず、これらのセルの一部のみが重畳するような構成が取られてもよい。さらに、図1では、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102とが別の場所に存在する別個の設備として表現されているが、これらの装置は同じ位置に存在してもよい。例えば、1つの敷地内に、LTEの基地局装置とNRの基地局装置とが併設されていてもよい。また、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102は、2つ以上のビームを形成し、そのビームによって展開されるセル(セクタ)内の端末装置と通信しうる。
【0013】
ここで、LTE規格とNR規格との共存環境について図2を用いて説明する。この共存環境では、レガシーシステムであるLTEの通信が優先的に行われ、LTEで使用されていない無線リソースを用いてNRの通信が行われる。図2は、説明のために、周波数方向に2リソースブロック、時間方向に6リソースブロック分のリソースを示している。図2における1つの矩形領域は、LTEにおける1サブキャリア×1OFDMシンボルを示しており、この単位をリソースエレメントと呼ぶ。1リソースブロックは12サブキャリア×7OFDMシンボルからなり、各リソースブロックにおいて、所定の周波数位置において定期的に、所定数のリソースエレメントが参照信号の送信のために割り当てられる。また、端末装置へのリソースの割り当ては、時間方向に2つのリソースブロックをまとめた単位で行われ、この単位ごとに、1~3OFDMシンボル分の制御信号が割り当てられる。さらに、一定周期で同期信号が割り当てられる。
【0014】
LTEでは、ユーザデータが送信されないリソースブロックであっても、同期信号、参照信号、及び制御信号が送信される。特に、参照信号は、システム周波数帯域の全体にわたって周波数軸上で細かく配置され、かつ、短い時間間隔で定期的に送信される。このため、この状態でNR用の同期信号が送信されると、参照信号に干渉してしまう。一方、NR用の同期信号の時間を短くする(周波数方向には拡大する)ことで、参照信号が送信されないタイミングでNR用の同期信号を送信することが可能となる。しかしながら、この場合、同期信号がLTEのデータ信号との周波数軸上における直交性を担保することができないため、LTEのデータ信号への干渉が問題となりうる。
【0015】
そこで、本実施形態では、NRの通信装置(第2の基地局装置102又は端末装置103又は他のネットワークノード)が、LTEの基地局装置(第1の基地局装置101)へ、参照信号の定期的な送信を所定期間の間だけ停止させるような信号を送信する。例えば、第2の基地局装置102は、第2の周波数帯域で、第1の周波数帯域でもNRで通信可能な端末装置103と接続した場合に、その端末装置103と第1の周波数帯域で同期を確立するために、このような信号を第1の基地局装置101へ送信する。この信号は、例えば、第1の基地局装置101に対して、Multimedia Broadcast Single Frequency Network(MBSFN)サブフレームをオンとするモードへの移行を指示する情報を含みうる。MBSFNサブフレームがオンとされる場合、そのMBSFNサブフレーム内の制御領域では制御情報と共に参照信号が送信されるが、その後は参照信号が送信されなくなる。また、端末装置103は、第2の周波数帯域で第2の基地局装置102と接続を確立したことに応じて(例えば第1の周波数帯域においてLTE規格に準拠した信号を送信することにより)、第1の基地局装置101に、自装置の情報を送信する。この情報は、例えば、第1の周波数帯域(LTEが使用する周波数帯域)でのNR規格による通信が可能であることを示す情報や、使用可能な周波数帯域及び使用可能な通信規格の情報の組み合わせ等の情報でありうる。この情報は、第1の基地局装置101の展開するエリア内で第1の周波数帯域におけるNRとの共存が行われるべき状態にあることを第1の基地局装置101が認識することを可能とするための任意の情報でありうる。第1の基地局装置101は、これにより、NRの同期信号の送信が必要となることを認識し、参照信号の定期的な送信を所定期間の間だけ停止するように動作すべきことを認識することができる。そして、第1の基地局装置101は、例えば、MBSFNサブフレームをオンとするモードへ移行することにより、参照信号の送信を1サブフレーム分の期間だけ停止するように動作しうる。
【0016】
なお、このとき、第1の基地局装置101は、参照信号の定期的な送信を停止する場合、その参照信号の定期的な送信を停止している所定期間の間、データ信号の送信を行わないようにしうる。なお、データ信号の送信の停止がNRの通信装置から明示的に指示されてもよいし、第1の基地局装置101は、参照信号の定期的な送信の停止の指示によって、黙示的にデータ信号の送信の停止が指示されていると判断するようにしてもよい。
【0017】
また、NRの通信装置は、第1の基地局装置101へ、どのタイミングで(どのサブフレームにおいて)参照信号の送信を停止するべきかの指示を送信してもよい。この場合、第1の基地局装置101は、例えば、指定されたサブフレームにおいてMBSFNサブフレームを送信するモードへ移行しうる。なお、どのタイミングで参照信号の送信を停止するかを第1の基地局装置101が決定し、第2の基地局装置102へ通知するようにしてもよい。この通知は、NRの通信装置からの指示がなかった場合に、第1の基地局装置101が参照信号の送信を停止するタイミングを自律的に決定した結果の通知であってもよいし、NRの通信装置からのタイミングの指示を承認するか否かの通知であってもよい。この通知により、第2の基地局装置102は、同期信号等の所定の信号を送信するタイミングを決定することができる。なお、第1の基地局装置101は、例えばNRでの同期信号の送信周期に応じて、LTEの参照信号の送信を停止するモード(例えばMBSFNサブフレームを送信するモード)へと移行しうる。この場合、第2の基地局装置102は、どのタイミングで参照信号の送信を停止するかの情報として、参照信号の送信停止を開始するタイミング(例えば1つのサブフレームの番号)と、その後に参照信号の送信を停止する周期の情報とを第1の基地局装置101へ指示しうる。また、第1の基地局装置101は、第2の基地局装置102から周期の情報を取得することなく、例えばNRの仕様に基づいて、周期を特定してもよい。
【0018】
このようにして、NRの通信装置からの信号によってLTEの参照信号が送信されない時間区間が発生するため、第2の基地局装置102は、その時間区間内に同期信号等の所定の信号を送信することができる。この様子を図3に示す。第1の基地局装置101が、例えばMBSFNサブフレームをオンとするモードに移行することで、1サブフレーム分(時間方向に14リソースエレメント分)の無線リソースのうち、制御信号が送信される時間帯においては参照信号も送信されるが、その後の時間区間では参照信号が送信されなくなる。このため、第2の基地局装置102がNRの同期信号等の所定の信号を送信しても、LTEの参照信号に干渉することがなくなる。なお、ここでの所定の信号は、一例において同期信号であるが、LTEの参照信号が送信されている状況において、その参照信号に干渉しうる又は参照信号への干渉を回避した場合に他のLTEの信号に干渉しうる任意の信号でありうる。
【0019】
なお、第2の基地局装置102は、同期信号を送信する無線リソース以外の無線リソースを、NRのユーザデータの送信に割り当てうる。この場合、LTEの参照信号が送信されないため、その参照信号のための無線リソースをも、NRの通信に利用することができる。これにより、NRのために利用可能な無線リソースを多く確保することができる。なお、第2の基地局装置102は、例えば、第1の周波数帯域で動作可能なNRの端末装置が増加した場合、第1の基地局装置101が参照信号を送信しなくなる期間を発生させる頻度を高くするようにしてもよい。また、NRでは、第2の基地局装置102が複数のビームを形成する場合、1サブフレームで2つのビームに関する同期信号を送信可能である。このため、第2の基地局装置102は、第1の周波数帯域で通信可能な端末装置が使用している(使用する可能性のある)ビームの総数に応じて、第1の基地局装置101が参照信号を送信しなくなる期間を発生させる頻度を決定してもよい。第2の基地局装置102は、第1の周波数帯域で動作可能な接続中のNRの端末装置の数や、ビーム数に基づいて、第1の基地局装置101が参照信号の送信を停止するモードとなるべき頻度(例えばMBSFNサブフレームをオンとすべき頻度)を示す情報を、第1の基地局装置101へ送信しうる。そして、第1の基地局装置101は、例えばLTEの接続中の端末装置の数等に応じて、この情報で示される頻度での参照信号の停止を受け付け又は拒否しうる。第1の基地局装置101は、この頻度の設定を受け付けるか否かを示す情報を第2の基地局装置102へ通知しうる。これにより、第1の基地局装置101は、LTE側の状況を考慮して、高頻度な参照信号の送信停止を受け付けるか否かを決定することができ、第2の基地局装置102は、LTEの通信への影響を抑えながら、NRの信号送信機会を確保することができる。
【0020】
また、第2の基地局装置102は、第1の周波数帯域で動作可能なNRの端末装置の接続台数がゼロとなった場合、すなわち、第1の周波数帯域でNRの通信を行うことがない状態となった場合には、同期信号等の所定の信号を送信する必要がなくなる。このため、例えば第1の基地局装置101が周期的に参照信号の送信を行わないように設定されている場合、第2の基地局装置102は、第1の周波数帯域で動作可能なNRの端末装置との接続がすべて切断された状態となった場合に、第1の基地局装置101へ、それ以降は参照信号の送信停止を行うモードへ移行しないように指示を送信しうる。これにより、第1の周波数帯域で動作可能な端末装置が存在しない領域において、第1の基地局装置101がLTEの参照信号の送信を停止する状態に不必要に移行することを防ぐことができる。
【0021】
なお、第1の基地局装置101と第2の基地局装置102との間の通信は、例えば、Xnインタフェースを用いて行われる。また、端末装置103から第1の基地局装置101への情報の伝送は、LTE規格に従って、第1の周波数帯域を用いて行われうる。ただし、これらは一例に過ぎず、上述のような情報の送受信が行われる限り、任意のインタフェースや回線が用いられうる。
【0022】
以下では、上述のような処理を実行する基地局装置及び端末装置の構成例と、実行される処理の流れの例について説明する。
【0023】
(ハードウェア構成例)
図4に、本実施形態に係る第1の基地局装置101、第2の基地局装置102、及び端末装置103(ここでは、これらの装置をまとめて「通信装置」と呼ぶ。)の構成例を示す。通信装置は、一例において、プロセッサ401、ROM402、RAM403、記憶装置404、及び通信回路405を含む。プロセッサ401は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM402や記憶装置404に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、通信装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM402は、通信装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM403は、プロセッサ401がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置404は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路405は、例えば、有線通信又は無線通信用の回路によって構成される。端末装置103の通信回路405は、例えば、NR用のベースバンド回路及びRF回路等とアンテナとを含んで構成され、LTE用の第1の周波数帯域及びNR用の第2の周波数帯域の両方に対応可能なように構成される。端末装置103は、LTE用のベースバンド回路及びRF回路等を有してもよい。第1の基地局装置101の通信回路405は、例えば、第2の基地局装置102との(有線または無線)通信を行うためのインタフェースと、LTE用の無線通信インタフェースとを実現する。また、第2の基地局装置102は、例えば、第1の基地局装置101との(有線または無線)通信を行うためのインタフェースと、NR用の無線通信インタフェースとを実現する。なお、図4では、1つの通信回路405が図示されているが、通信装置は、複数の通信回路を有しうる。
【0024】
(機能構成例)
図5に、第1の基地局装置101の機能構成例を示す。第1の基地局装置101は、例えば、情報取得部501及び通信制御部502を有する。なお、第1の基地局装置101は、一般的なLTEの基地局装置としての機能を当然に有するが、ここでは、説明を簡単にするために、それらの機能については説明を省略する。
【0025】
情報取得部501は、例えば、第2の基地局装置102からXnインタフェースを用いて、又はLTEで使用する第1の周波数帯域でNRの通信を実行可能な端末装置103からその第1の周波数帯域によって、所定の情報を取得する。
【0026】
通信制御部502は、この所定の情報を取得したことに応じて、所定期間の間、参照信号の定期的な送信を停止するモードで通信を行うような通信制御を実行する。第1の基地局装置101は、例えば、第2の基地局装置102からMBSFNサブフレームをオンとすべきことを示す情報を受信したことに応じて、MBSFNサブフレームをオンとするモードとなることにより、参照信号の送信を停止する。なお、第1の基地局装置101は、このときに、そのMBSFNサブフレーム内の制御領域では制御情報と参照信号とを送信するが、それ以降の領域では参照信号とユーザデータとを送信しない無信号状態としうる。
【0027】
また、第1の基地局装置101は、端末装置103から、第2の基地局装置102と接続を確立した端末装置103が第1の周波数帯域でのNR通信に対応可能であることを示す情報を受信したことに応じて、参照信号の送信を停止しうる。なお、第1の基地局装置101は、端末装置103からMBSFNサブフレームをオンとすべきことを示す情報等の、参照信号の送信停止を指示する情報を受信してもよい。第1の基地局装置101は、参照信号を停止すべき状態となったことを認識すると、それに応じて、参照信号の送信を停止するタイミングや周期等の情報を第2の基地局装置102と共有する。これにより、第2の基地局装置102は、参照信号の送信が停止されている間にNRの同期信号等の所定の信号を送信することができるようになる。
【0028】
なお、第1の基地局装置101は、例えば、参照信号の送信を停止するタイミング、頻度、周期等に関する要求情報を、第2の基地局装置102から受信しうる。この場合、第1の基地局装置101は、この要求を承認するか否かを判定し、その判定結果の情報を第2の基地局装置102へ通知しうる。また、第1の基地局装置101は、第2の基地局装置102から、参照信号の送信の停止を終了すべきことを示す情報を受信したことに応じて、例えばMBSFNサブフレームをオフとする。このように、第1の基地局装置101は、LTEで用いられる第1の周波数帯域においてNRの通信を実行可能な通信装置からの所定の情報に基づいて、NRの同期信号等の所定の信号送信のために、参照信号の定期的な送信を停止するような制御を行う。
【0029】
図6に、第2の基地局装置102の機能構成例を示す。第2の基地局装置102は、例えば、接続検出部601、状態監視部602、指示送信部603、及び同期信号送出部604を有する。なお、第2の基地局装置101は、一般的なNRの基地局装置としての機能を当然に有するが、ここでは、説明を簡単にするために、それらの機能については説明を省略する。
【0030】
接続検出部601は、第2の基地局装置102に、LTEで使用される第1の周波数帯域でのNRの通信を実行可能な特定の端末装置が第2の周波数帯域で接続したことを検出する。また、接続検出部601は、上述の特定の端末装置との間の接続が切断された場合に、その切断を検出し、特定の端末装置の全てとの接続が切断されたか否かを判定しうる。指示送信部603は、上述の特定の端末装置が第2の周波数帯域で接続したことを接続検出部601が検出した場合に、所定の期間の間だけ参照信号の送信を停止するように第1の基地局装置101を動作させるための指示を含んだ所定の情報を、第1の基地局装置101へ送信する。この指示は、例えば、第2の基地局装置102が第1の周波数帯域で同期信号等の所定の信号を送信する周期に対応する、参照信号の送信停止周期を指示する情報を含みうる。第1の基地局装置101は、この指示に応じて、例えば指定された周期で、参照信号の送信を停止する。また、指示送信部603は、第2の基地局装置102と上述の特定の端末装置の全てとの接続が切断されたことを接続検出部601が検出した場合に、参照信号の送信停止を終了するように、第1の基地局装置101へ、指示信号を送信する。
【0031】
状態監視部602は、例えば、第2の基地局装置102と接続中の、第1の周波数帯域でNR通信を実行可能な端末装置の数や、NRのスループットの要求量、第2の基地局装置102が使用中のビーム数等の、接続の状態を監視する。指示送信部603は、この監視の結果に応じて、例えば接続中の端末装置の数が所定数より多い場合、NRのスループットの要求が所定値を超えた場合、使用中のビーム数が多くなった場合などに、第1の基地局装置101へ、参照信号の送信停止頻度を上げるように指示する信号を送信する。また、指示送信部603は、例えば接続中の端末装置の数が所定数以下となった場合や使用中のビーム数が減少した場合に、第1の基地局装置101へ、参照信号の送信停止頻度を下げるように指示する信号を送信する。このように、第2の基地局装置102は、状態監視部602においてその時点での接続状態を監視して、適切な頻度で第1の基地局装置101が参照信号の送信を停止するような制御を行いうる。
【0032】
同期信号送出部604は、第1の基地局装置101が参照信号の送信を停止している間に、第1の周波数帯域でNRのための同期信号を送出する。なお、ここでは第2の基地局装置102が同期信号を送出して、端末装置103がその同期信号により同期を確立する例について説明するが、これ以外の所定の信号が送信されてもよい。また、第1の基地局装置101が参照信号やデータ信号を送信しない期間においては、NRの通信をLTEへ与える干渉を考慮せずに実行することができるため、NRのデータ信号の送信が行われてもよい。このため、第2の基地局装置102は、NRのデータ送信のためのリソース割り当てを行うようにしてもよい。
【0033】
図7に、端末装置103の機能構成例を示す。端末装置103は、例えば、接続確立部701、情報通知部702及び同期確立部703を含む。なお、端末装置103は、NRに割り当てられている第2の周波数帯域のみならず、LTEで使用される第1の周波数帯域でNRの通信を実行可能な端末装置としての機能を有する。また、端末装置103は、これ以外の一般的な端末としての機能を有するが、ここでは、説明を簡単にするために、それらの機能については説明を省略する。接続確立部701は、第2の基地局装置102との接続を確立するための処理を実行する。接続確立部701は、初期的に、NR用の第2の周波数帯域で、第2の基地局装置102との接続を確立し、その後に、第1の周波数帯域において第2の基地局装置102との同期を確立した場合には、第1の周波数帯域でもNRでの通信を行うための処理を実行しうる。
【0034】
情報通知部702は、第2の周波数帯域で第2の基地局装置102との接続を確立したことに応じて、第1の基地局装置101に対して、端末装置103が第1の周波数帯域でのNRの通信に対応可能であることを通知する。なお、情報通知部702は、第1の基地局装置101に対して、定期的な参照信号の停止を指示する情報を通知してもよい。また、情報通知部702は、第2の基地局装置102及び端末装置103の両方が第1の周波数帯域でのNRの通信を実行可能である場合に、この通知を行ってもよい。なお、第2の基地局装置102が、第1の基地局装置101に対して、定期的な参照信号の停止を指示する情報を送信する場合は、端末装置103はこのような情報通知を行わなくてもよく、その場合、端末装置103は、情報通知部702を有しなくてもよい。また、情報通知部702は、例えば、他の端末装置の情報通知部702の働きによって、第1の周波数帯域の参照信号の送信が停止される期間が存在し、その期間に第2の基地局装置102から同期信号が送信されている場合、自装置からの情報通知を行わないようにしてもよい。すなわち、端末装置103は、第2の基地局装置102との間で、第2の周波数帯域での接続を確立した後に、第1の周波数帯域において第1の基地局装置101が参照信号の送信を停止していると共に第2の基地局装置102が同期信号を送出している期間が存在するかを観測し、その結果に応じて、上述の情報通知部702による情報通知を行うか否かを判定してもよい。
【0035】
同期確立部703は、例えば情報通知部702や第2の基地局装置102の指示送信部603が送信した情報によって第1の基地局装置101が参照信号の送信を停止している間に、第2の基地局装置102の同期信号送出部604によって送信された同期信号によって、第1の周波数帯域における第2の基地局装置102との同期を確立する。これにより、端末装置103は、第2の基地局装置102と、LTEで使用される第1の周波数帯域でのNRの通信を行うことができるようになる。
【0036】
(処理の流れ)
続いて、通信システムで実行される処理の流れについて説明する。なお、以下の処理例では、第1の基地局装置101が、LTEの基地局装置であり、参照信号を停止する処理としてMBSFNサブフレームをオンとするモードに移行する処理を実行するものとする。ただし、これは一例に過ぎず、参照信号の定期的かつ周波数軸上で分散した送信を停止することが可能な限り、任意の処理が実行されうる。
【0037】
図8に、第1の処理例の流れを示す。本処理では、第2の基地局装置102が、第1の周波数帯域でのNRの通信に対応可能な端末装置103とNRのための接続を第2の周波数帯域で確立したことを検出すると(S801、S802)、その端末装置103と第1の周波数帯域で同期を確立するために、第1の基地局装置101に参照信号の送信を停止させるようにする。ここでは、第2の基地局装置102は、第1の基地局装置101に対して、MBSFNサブフレームをオンとするモードに移行させるためのメッセージを、例えばXnインタフェースを用いて送信する(S803)。このメッセージには、例えば、MBSFNサブフレームをオンとすべきタイミング(サブフレーム番号など)を指定する情報が含まれてもよい。なお、ここでの「MBSFNサブフレームをオンとする」とは、MBSFNサブフレーム内の制御領域以外では参照信号の送信も行われない無信号状態とすることを指す。第1の基地局装置101は、このメッセージを受信すると、MBSFNサブフレームを(例えばS803のメッセージで指定されたタイミング又は第1の基地局装置101が自律的に決定したタイミングで)オンとするモードへ移行し、例えばXnインタフェースを用いて、モードを変更したことを第2の基地局装置102へ通知する(S804)。なお、第1の基地局装置101は、このときに、どのタイミングでMBSFNサブフレームをオンとするかを示す情報を第2の基地局装置102へ通知しうる。また、第1の基地局装置101は、例えばLTEで通信中の端末装置の数が多い状態などにおいて、MBSFNサブフレームをオンとするモードへの移行を拒否するメッセージを送信してもよい。これによれば、LTEで使用可能な無線リソースが減るのを防ぐことができる。
【0038】
その後、第2の基地局装置102は、MBSFNサブフレームのタイミングにおいて、NRの同期信号の送信や、NRの他の通信を実行する(S805)。周期的にMBSFNサブフレームがオンとなることにより、第2の基地局装置102は、そのタイミングで、第1の周波数帯域でのNRの通信に対応可能な端末装置103との間でNRの同期を確立することができる。なお、このような端末装置103の数が所定数を超えた場合や、NRのスループットの要求が所定値を超えた場合や、第1の周波数帯域で使用中のビームの数が増加した場合に、MBSFNサブフレームがオンとなる頻度を上げることが有用である。このため、第2の基地局装置102は、MBSFNサブフレームをオンとする頻度を上げるための要求を、例えばXnインタフェースを用いて、第1の基地局装置101へ送信しうる(S806)。第1の基地局装置101は、この要求を受け入れると判断した場合には、MBSFNサブフレームをオンとする頻度を変更したこと(及び、必要に応じて、MBSFNサブフレームをオンとするタイミング)を、例えばXnインタフェースを用いて、第2の基地局装置102へ通知する(S807)。これにより、MBSFNサブフレームの頻度を変更することができ、端末装置103の数の増加や、要求スループットの増大、使用ビーム数の増加などに応じた適切な頻度で、NRの通信を行うことができるようになる。
【0039】
その後、第2の基地局装置102は、第1の周波数帯域でのNRの通信を実行可能な端末装置103のすべてとの接続を切断した場合(S808)は、第1の周波数帯域での同期信号の送信が不要となると判断し、MBSFNサブフレームをオフとするように、例えばXnインタフェースを用いて、第1の基地局装置101へ指示メッセージを送信する(S809)。第1の基地局装置101は、このメッセージを受信したことに応じて、MBSFNサブフレームをオフとし、NRの通信のために参照信号を送信しない時間区間を設定するのを終了し、その旨を通知するメッセージを、例えばXnインタフェースを用いて、第2の基地局装置102へ送信する(S810)。
【0040】
なお、上述の処理では、第2の基地局装置102が、端末装置103との接続を確立した場合に、第1の基地局装置101へ、MBSFNサブフレームをオンにする指示を送信する例を示したが、これに限られない。例えば、第1の基地局装置101は、LTEとNRとの両方に対応可能な端末装置103がNRでの接続を確立したことに応じて通知する情報に基づいて、MBSFNサブフレームをオンとする(すなわち、参照信号の送信を所定期間の間停止する)ように動作しうる。図9にこの場合の処理の流れの例を示す。図9では、第1の周波数帯域でのNRの通信に対応可能な端末装置103が、第2の基地局装置102とNRのための接続を第2の周波数帯域で確立した場合に(S801)、自装置が、第1の周波数帯域でのNRの通信を実行可能な端末装置であることの通知を、LTE回線を用いて第1の基地局装置101へ通知する(S901)。これにより、第1の基地局装置101は、第1の周波数帯域でNRの通信が行われる状況となりうることを認識することができる。そして、第1の基地局装置101は、例えばLTEでの通信による無線リソースの使用率が所定値以下であるなど、第1の周波数帯域でのNRの通信が許容される条件において、MBSFNサブフレームをオンとする(所定期間の間、参照信号の送信を停止する)。そして、このMBSFNサブフレームのタイミングや周期等の情報を第2の基地局装置102へ通知する(S804)。それ以降の処理は、図8の場合と同様である。これにより、第2の基地局装置102は、第1の周波数帯域でNRの通信を実行可能な端末装置103と接続を確立したことに応じて、同期信号等のNRの通信を、LTEへの干渉を抑えながら行うことができるようになる。なお、S901での通知は、例えば、NRでの接続を確立した端末装置の対応周波数帯域の情報の通知でありうる。この場合、第1の基地局装置101は、端末装置の対応周波数帯域(例えば第1の周波数帯域)でNRの通信が行われうることを認識し、必要に応じて、MBSFNサブフレームをオンとするなどの制御を行うことができる。
【0041】
以上のように、LTEで使用される第1の周波数帯域でのNRの通信に対応可能な端末装置がNRの基地局装置と接続したことに応じて、LTEの基地局装置は、第1の周波数帯域でのNRの同期信号等の通信を可能とするために、参照信号の送信を所定期間の間停止する。これにより、その所定期間の間にNRの信号が送受信されることにより、その信号がLTEの参照信号に干渉することを防ぐことが可能となる。この結果、LTEの通信に対してNRの干渉による影響を十分に低く抑えることが可能となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9