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特許7105149電気加熱型触媒用担体及び排ガス浄化装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】電気加熱型触媒用担体及び排ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20220714BHJP
   B01J 32/00 20060101ALI20220714BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220714BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20220714BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B01J35/04 301F
B01J32/00 ZAB
B01J35/04 301C
B01D53/94 100
F01N3/20 K
F01N3/28 301Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018170023
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020040023
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 尚哉
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149311(JP,A)
【文献】特開2011-212577(JP,A)
【文献】特開2007-265896(JP,A)
【文献】特開2016-030237(JP,A)
【文献】特開2014-105694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/86
B01D 53/94
F01N 3/00 - 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の金属電極部と、を備える電気加熱型触媒用担体であって、
前記一対の金属電極部の一方又は両方が、前記ハニカム構造体側に突出して、前記ハニカム構造体に当接する少なくとも一つの突起部を有し、前記突起部が、前記金属電極部に対して弾性変形をした状態で、前記ハニカム構造体に当接している電気加熱型触媒用担体。
【請求項2】
前記電気加熱型触媒用担体は、さらに、前記ハニカム構造体の側面に一対の電極層を備え、
前記一対の電極層は前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設され、前記
金属電極部の前記突起部を受け入れる凹部を有する請求項1に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項3】
前記金属電極部は櫛歯状である請求項1又は2に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項4】
前記金属電極部は、板状の本体部分と、当該本体部分から突出する複数の舌片とを備えており、前記金属電極部の前記突起部は前記舌片に配置される請求項1又は2に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項5】
前記舌片の前記本体部分から突出する起点から、前記舌片が最も突出する箇所までの最短長さAと、前記舌片の表面において、前記本体部分から突出する方向と直交する方向の幅の最小値Bとが、1≦A/B≦10の関係を満たす請求項4に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項6】
前記舌片が首部と、前記首部の幅より広い幅を有する頭部を有し、前記首部の長さL1と、前記頭部の長さL2とが、1≦L1/L2≦10の関係を満たす請求項4又は5に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項7】
前記舌片が2つ以上の折曲部を有する請求項4~6のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項8】
前記本体部分が複数の孔を有する請求項4~7のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項9】
前記金属電極部が鉄合金、ニッケル合金又はコバルト合金である請求項1~8のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項10】
一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体と、
ハニカム構造体の側面に形成され、前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の電極層と、
前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の金属電極部と、
を備え、
前記一対の電極層の一方又は両方が、前記金属電極部側に突出して、前記金属電極部に当接する少なくとも一つの突起部を有し、前記突起部に当接する前記金属電極部の部分が弾性変形している電気加熱型触媒用担体。
【請求項11】
前記金属電極部は、前記電極層の前記突起部を受け入れる凹部を有する請求項10に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項12】
前記金属電極部は櫛歯状である請求項10又は11に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項13】
前記金属電極部は、板状の本体部分と、当該本体部分から突出する複数の舌片とを備えており、前記電極層の前記突起部は前記舌片に当接する請求項10又は11に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項14】
前記舌片の前記本体部分から突出する起点から、前記舌片が最も突出する箇所までの最短長さAと、前記舌片の表面において、前記本体部分から突出する方向と直交する方向の幅の最小値Bとが、1≦A/B≦10の関係を満たす請求項13に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項15】
前記舌片が首部と、前記首部の幅より広い幅を有する頭部を有し、前記首部の長さL1と、前記頭部の長さL2とが、1≦L1/L2≦10の関係を満たす請求項13又は14に記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項16】
前記舌片が2つ以上の折曲部を有する請求項13~15のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項17】
前記本体部分が複数の孔を有する請求項13~16のいずれかに記載の電気加熱型触媒
用担体。
【請求項18】
前記金属電極部が鉄合金、ニッケル合金又はコバルト合金である請求項10~17のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
【請求項19】
エンジンからの排ガスを流すための排ガス流路の途中に設置された請求項1~18のいずれか1項に記載の電気加熱型触媒用担体と、
前記電気加熱型触媒用担体を収容する筒状金属部材と、
を有する排ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱型触媒用担体及び排ガス浄化装置に関する。とりわけ、ハニカム構造体と、ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の金属電極部を備える電気加熱型触媒用担体において、ハニカム構造体と金属電極部との電気的接触のばらつきを低減し、通電性能を安定化させた電気加熱型触媒用担体、及び当該電気加熱型触媒用担体を用いた排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コージェライトや炭化珪素を材料とするハニカム構造体に触媒を担持したものが、自動車エンジンから排出された排ガス中の有害物質の処理に用いられている(特許文献1を参照)。このようなハニカム構造体は、排ガスの流路となり一方の底面から他方の底面まで延びる複数のセルを区画形成する隔壁を有する柱状のハニカム構造体を一般に有する。
【0003】
ハニカム構造体に担持した触媒によって排ガスを処理する場合、触媒を所定の温度まで昇温する必要があるが、エンジン始動時には、触媒温度が低いため、排ガスが十分に浄化されないという問題が従来生じていた。そこで、導電性セラミックスからなるハニカム構造体に電極を配設し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、ハニカム構造体に担持された触媒をエンジン始動前又はエンジン始動時に活性温度まで昇温する電気加熱触媒(EHC)と呼ばれるシステムが開発されてきた。
【0004】
EHCに電流を流すためには外部配線と電気的接続をする必要があるが、通電加熱時には、表面電極及び配線を構成する金属材料と、担体を構成するセラミックス材料との線膨張係数差による熱ひずみが発生する。そのため、線膨張係数差による熱ひずみをEHC担体に加えないように応力緩衝機能も持った部材が求められている。
【0005】
特許文献1では、その方策の一つとして、担体表面軸方向に延設された一対の表面電極へ外部から電力を供給する配線を櫛歯状にするとともに、同一櫛歯上に溶射にて複数点固定し間に屈曲部を設けることによって金属からなる配線とセラミックスからなる担体との線膨張係数差に基づく熱ひずみ(熱応力)を緩和することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5761161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ハニカム構造体の加工精度の制約によって、ハニカム構造体と金属電極部との電気的接触が不十分な場合がある。例えば、ハニカム構造体が円柱状である場合、加工精度の制約によってその真円度が不十分であれば、ハニカム構造体が真円であることを前提に造形された金属電極部との間に隙間ができてしまう。金属電極部をハニカム構造体に溶接しようとしても、この隙間の影響でハニカム構造体と金属電極部の接触面積が足りなかったり、局部の加熱でハニカム構造体の側面が損傷したりすることがある。そのため、ハニカム構造体と金属電極部の接触面積個体毎にばらつき、通電性能が安定しない可能性がある。
【0008】
本発明は、以上の問題を勘案してなされたものであり、電気加熱型触媒用担体において、ハニカム構造体と金属電極部との電気的接触のばらつきを低減し、通電性能を安定化させた電気加熱型触媒用担体、及び当該電気加熱型触媒用担体を用いた排ガス浄化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は鋭意検討の結果、ハニカム構造体又は金属電極部に突起部を設けて両者の接点を確保することで、電気的接触のばらつきを低減し、通電性能を安定化させ、上記課題を解決できることを見出した。そこで、本発明は以下のように特定される。
(1)一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体と、
前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の金属電極部と、を備える電気加熱型触媒用担体であって、
前記一対の金属電極部の一方又は両方が、前記ハニカム構造体側に突出して、前記ハニカム構造体に当接する少なくとも一つの突起部を有する電気加熱型触媒用担体。
(2)前記電気加熱型触媒用担体は、さらに、前記ハニカム構造体の側面に一対の電極層を備え、
前記一対の電極層は前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設され、前記金属電極部の前記突起部を受け入れる凹部を有する(1)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(3)前記金属電極部は櫛歯状である(1)又は(2)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(4)前記金属電極部は、板状の本体部分と、当該本体部分から突出する複数の舌片とを備えており、前記金属電極部の前記突起部は前記舌片に配置される(1)又は(2)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(5)前記舌片の前記本体部分から突出する起点から、前記舌片が最も突出する箇所までの最短長さAと、前記舌片の表面において、前記本体部分から突出する方向と直交する方向の幅の最小値Bとが、1≦A/B≦10の関係を満たす(4)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(6)前記舌片が首部と、前記首部の幅より広い幅を有する頭部を有し、前記首部の長さL1と、前記頭部の長さL2とが、1≦L1/L2≦10の関係を満たす(4)又は(5)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(7)前記舌片が2つ以上の折曲部を有する(4)~(6)のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
(8)前記本体部分が複数の孔を有する(4)~(7)のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
(9)前記金属電極部が鉄合金、ニッケル合金又はコバルト合金である(1)~(8)のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
(10)一方の底面から他方の底面まで流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム構造体と、
ハニカム構造体の側面に形成され、前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の電極層と、
前記ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配設される一対の金属電極部と、
を備え、
前記一対の電極層の一方又は両方が、前記金属電極部側に突出して、前記金属電極部に当接する少なくとも一つの突起部を有する電気加熱型触媒用担体。
(11)前記金属電極部は、前記電極層の前記突起部を受け入れる凹部を有する(10)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(12)前記金属電極部は櫛歯状である(10)又は(11)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(13)前記金属電極部は、板状の本体部分と、当該本体部分から突出する複数の舌片とを備えており、前記電極層の前記突起部は前記舌片に当接する(10)又は(11)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(14)前記舌片の前記本体部分から突出する起点から、前記舌片が最も突出する箇所までの最短長さAと、前記舌片の表面において、前記本体部分から突出する方向と直交する方向の幅の最小値Bとが、1≦A/B≦10の関係を満たす(13)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(15)前記舌片が首部と、前記首部の幅より広い幅を有する頭部を有し、前記首部の長さL1と、前記頭部の長さL2とが、1≦L1/L2≦10の関係を満たす(13)又は(14)に記載の電気加熱型触媒用担体。
(16)前記舌片が2つ以上の折曲部を有する(13)~(15)のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
(17)前記本体部分が複数の孔を有する(13)~(16)のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
(18)前記金属電極部が鉄合金、ニッケル合金又はコバルト合金である(10)~(17)のいずれかに記載の電気加熱型触媒用担体。
(19)エンジンからの排ガスを流すための排ガス流路の途中に設置された(1)~(18)のいずれか1項に記載の電気加熱型触媒用担体と、
前記電気加熱型触媒用担体を収容する筒状金属部材と、
を有する排ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハニカム構造体と金属電極部との電気的接触のばらつきを低減し、通電性能を安定化させた電気加熱型触媒用担体、及び当該電気加熱型触媒用担体を用いた排ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明におけるハニカム構造体の一例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態におけるハニカム構造体の断面図である。
図3】本発明の一実施形態における電極層の中心角を示す図である。
図4】本発明の一実施形態における金属電極部の配置を示す図である。
図5】本発明の一実施形態による金属電極部1を示す斜視図である。
図6】本発明の他の実施形態による金属電極部1Aを示す斜視図である。
図7】本発明の更に他の実施形態に係る金属電極部1Bを示す斜視図である。
図8】本発明の更に他の実施形態に係る金属電極部1Cを示す斜視図である。
図9】(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ、各金属電極部7A、7B、7Cおよび7Dの平面的形態を示す図である。
図10】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、各金属電極部7E、7Fおよび7Gの平面的形態を示す図である。
図11】舌片の形状を示す図である。
図12】舌片の折曲部を示す図である。
図13】金属電極部1とハニカム構造体10との間の隙間を示す図である。
図14】金属電極部1に突起部4を設けた実施形態を示す図である。
図15】電極層101a(101b)に突起部4を設けた実施形態を示す図である。
図16】突起部4の形状の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の電気加熱型触媒用担体の実施の形態について説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0013】
(1.ハニカム構造体)
図1は本発明におけるハニカム構造体の一例を示すものである。ハニカム構造体10は、例えば、流体の流路となり流体の流入側の端面である流入端面から流体の流出側の端面である流出端面まで延びる複数のセル12を区画形成する多孔質の隔壁11と、最外周に位置する側面とを有する。セル12の数、配置、形状等及び隔壁11の厚み等は制限されず、必要に応じて適宜設計することができる。
【0014】
ハニカム構造体10は導電性を有する限り特に材質に制限はなく、金属やセラミックス等を使用可能である。特に、耐熱性と導電性の両立の観点から、ハニカム構造体10の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするものであることが好ましく、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素であることが更に好ましい。ハニカム構造体の電気抵抗率を下げるために、ケイ化タンタル(TaSi2)、ケイ化クロム(CrSi2)を配合することもできる。ハニカム構造体10が珪素-炭化珪素複合材を主成分とするというのは、ハニカム構造体10が珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、ハニカム構造体全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。また、ハニカム構造体10が炭化珪素を主成分とするというのは、ハニカム構造体10が炭化珪素(合計質量)を、ハニカム構造体全体の90質量%以上含有していることを意味する。
【0015】
ハニカム構造体10の電気抵抗率は、印加する電圧に応じて適宜設定すればよく、特段の制限はないが、例えば0.001~200Ω・cmとすることができる。64V以上の高電圧用には2~200Ω・cmとすることができ、典型的には5~100Ω・cmとすることができる。また、64V未満の低電圧用には0.001~2Ω・cmとすることができ、典型的には0.001~1Ω・cmとすることができ、より典型的には0.01~1Ω・cmとすることができる。
【0016】
ハニカム構造体10の隔壁11の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率が、35%以上であると、焼成時の変形が大きくなり過ぎずより好ましい。気孔率が60%以下であるとハニカム構造体の強度が維持される。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0017】
ハニカム構造体10の隔壁11の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径が2μm以上であると、電気抵抗率が大きくなりすぎずより好ましい。平均細孔径が15μm以下であると、電気抵抗率が小さくなりすぎずより好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
【0018】
セル12の流路方向に直交する断面におけるセル12の形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これ等のなかでも、正方形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造体10に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒の浄化性能が優れたものとなる。
【0019】
ハニカム構造体10の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造体10の大きさは、耐熱性を高める(外周側壁の周方向に入るクラックを防止する)という観点から、底面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、4000~10000mm2であることが更に好ましい。また、ハニカム構造体10の軸方向の長さは、耐熱性を高める(外周側壁において中心軸方向に平行に入るクラックを防止する)という観点から、50~200mmであることが好ましく、75~150mmであることが更に好ましい。
【0020】
また、ハニカム構造体10に触媒を担持することにより、ハニカム構造体10を触媒用担体として使用することが可能である。
【0021】
ハニカム構造体の作製は、公知のハニカム構造体の製造方法におけるハニカム構造体の作製方法に準じて行うことができる。例えば、まず、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して成形原料を作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素粉末の質量との合計に対して、金属珪素粉末の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素粉末における金属珪素粒子の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素粒子の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。尚、これは、ハニカム構造体の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、ハニカム構造体の材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
【0022】
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
【0023】
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
【0024】
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
【0025】
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。10μm以上であると、気孔を十分形成できるため好ましい。30μm以下であると、成形時に口金に詰まりにくくなり、より好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
【0026】
次に、得られた成形原料を混練して坏土を形成した後、坏土を押出成形してハニカム構造体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。次に、得られたハニカム構造体について、乾燥を行うことが好ましい。ハニカム構造体の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム構造体の両底部を切断して所望の長さとすることができる。
【0027】
次に、ハニカム乾燥体を焼成して、ハニカム構造体を作製する。焼成の前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成は大気雰囲気において、400~500℃で、0.5~20時間行うことが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。焼成条件は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸素化処理を行うことが好ましい。
【0028】
(2.電極層)
図1図2に示されるように、本実施形態の電気加熱型触媒用担体は、ハニカム構造体10の側面に一対の電極層101a、101bが配設され、各電極層101a、101bは、ハニカム構造体10のセル12の延びる方向に延びる帯状に形成される。また、セル12の延びる方向に直交するハニカム構造体10断面において、一対の電極層101a、101bはハニカム構造体10の中心を挟んで対向するように配設される。一対の電極層101a、101bは本発明において必須ではないが、当該構成により、ハニカム構造体10は、電圧を印加した時に、ハニカム構造体10内を流れる電流の偏りを抑制することができ、ハニカム構造体10内の温度分布の偏りを抑制することができるので好ましい。
【0029】
電極層101a、101bは導電性を有する材料で形成される。電極層101a、101bは、炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることが好ましく、通常含有される不純物以外は、炭化珪素粒子及び珪素を原料として形成されていることが更に好ましい。ここで、「炭化珪素粒子及び珪素を主成分とする」とは、炭化珪素粒子と珪素との合計質量が、電極層全体の質量の90質量%以上であることを意味する。このように、電極層101a、101bが炭化珪素粒子及び珪素を主成分とすることにより、電極層101a、101bの成分とハニカム構造体10の成分とが同じ成分又は近い成分(ハニカム構造体の材質が炭化珪素である場合)となる。そのため、電極層101a、101bとハニカム構造体の熱膨張係数が同じ値又は近い値になる。また、材質が同じもの又は近いものになるため、電極層101a、101bとハニカム構造体10との接合強度も高くなる。そのため、ハニカム構造体に熱応力がかかっても、電極層101a、101bがハニカム構造体10から剥れたり、電極層101a、101bとハニカム構造体10との接合部分が破損したりすることを防ぐことができる。
【0030】
そして、更に、セル12の延びる方向に直交する断面において、それぞれの電極層101a、101bの中心角αが、60~120°であることが好ましい。また、一方の電極層101a、101bの中心角αは、他方の電極層101a、101bの中心角αに対して、0.8~1.2倍の大きさであることが好ましく、1.0倍の大きさ(同じ大きさ)であることが更に好ましい。これにより、一対の電極層101a、101b間に電圧を印加した時に、ハニカム構造体の外周と中央領域のそれぞれを流れる電流の偏りを抑制することができる。そして、ハニカム構造体の外周と中央領域のそれぞれにおいて、発熱の偏りを抑制することができる。
ここで中心角αとは、セル12の延びる方向に直交する断面において、電極層101a、101bの両端部とハニカム構造体の中心Oを結ぶ直線がなす角度をいう(図3参照)。なお、図3では、一対の電極層101a、101bのそれぞれの中心角αが同じ大きさである。
【0031】
本実施形態のハニカム構造体10においては、電極層101a、101bの電気抵抗率は、ハニカム構造体10の側面の電気抵抗率より低いものであることが好ましい。更に、電極層101a、101bの電気抵抗率は、ハニカム構造体10の側面の電気抵抗率の、0.1~10%であることが更に好ましく、0.5~5%であることが特に好ましい。0.1%以上であると、電極層101a、101bに電圧を印加したときに、電極層101a、101b内を「金属電極部の端部」まで流れる電流の量が多くなり過ぎず、ハニカム構造体10に流れる電流に偏りを抑制しやすくなる。そして、ハニカム構造体10が均一に発熱し易くなる。10%以下であると、電極層101a、101bに電圧を印加したとき、電極層101a、101b内を広がる電流の量が少なくなり過ぎず、ハニカム構造体10に流れる電流に偏りを抑制しやすくなる。そして、ハニカム構造体10が均一に発熱し易くなる。
【0032】
電極層101a、101bの厚さは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより、ハニカム構造体の均一的な発熱に寄与することができる。電極層101a、101bの厚さが0.01mm以上であると、電気抵抗率が高くなり過ぎず、均一に発熱し易くなる。電極層101a、101bの厚さが5mm以下であると、キャニング時の破損が抑制される。
【0033】
図1に示されるように、本実施形態のハニカム構造体10は、電極層101a、101bのそれぞれが、ハニカム構造体10のセル12の延びる方向に延びると共に「両端部間(両端面間)に亘る」帯状に形成されている。このように、本実施形態のハニカム構造体10は、一対の電極層101a、101bが、ハニカム構造体10の両端部間に亘るように配設されている。これにより、一対の電極層101a、101b間に電圧を印加した時に、ハニカム構造体の軸方向(すなわち、セル12が延びる方向)における電流の偏りを、より効果的に抑制することができる。ここで、「電極層101a、101bが、ハニカム構造体10の両端部間に亘るように形成(配設)されている」というときは、以下のことを意味する。つまり、電極層101a、101bの一方の端部がハニカム構造体10の一方の端部(一方の端面)に接し、電極層101a、101bの他方の端部がハニカム構造体10の他方の端部(他方の端面)に接していることを意味する。
【0034】
一方、電極層101a、101bの「ハニカム構造体10のセル12の延びる方向」における少なくとも一方の端部が、ハニカム構造体10の端部(端面)に接していない(到達していない)状態も好ましい態様である。これにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0035】
本実施形態のハニカム構造体10においては、例えば、図1図2に示されるように、電極層101a、101bは、平面状の長方形の部材を、円柱形状の外周に沿って湾曲させたような形状となっている。ここで、湾曲した電極層101a、101bを、湾曲していない平面状の部材に変形したときの形状を、電極層101a、101bの「平面形状」と称することにする。上記、図1図3に示される電極層101a、101bの「平面形状」は、長方形になる。そして、「金属電極部の外周形状」というときは、「金属電極部の平面形状における外周形状」を意味する。
【0036】
本実施形態のハニカム構造体10においては、帯状の金属電極部の外周形状が、長方形の角部が曲線状に形成された形状であってもよい。このような形状にすることにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。また、帯状の金属電極部の外周形状が、長方形の角部が直線状に面取りされた形状であることも好ましい態様である。このような形状にすることにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0037】
本実施形態のハニカム構造体10においては、セルの延びる方向に直交する断面において、電流経路の長さが、ハニカム構造体の直径の1.6倍以下であることが好ましい。1.6倍以下であると、エネルギーの過剰な消費を抑制することができる。ここで、「電流経路」とは、電流が流れる経路のことである。また、「電流経路の長さ」とは、ハニカム構造体の「セルの延びる方向に直交する断面」における、電流が流れる「外周」の長さの0.5倍の長さのことである。これは、ハニカム構造体の「セルの延びる方向に直交する断面」における「電流の流れる経路」の中の、最大の長さであることを意味する。「電流経路の長さ」は、外周に凹凸が形成されたり、ハニカム構造体に、外周に開口するスリットが形成されていたりしたときには、当該凹凸やスリット内の表面に沿って測定した値である。そのため、例えば、ハニカム構造体に、外周に開口するスリットが形成されている場合には、スリットの深さの略2倍の長さ分だけ、「電流経路の長さ」は長くなる。
【0038】
電極層101a、101bの電気抵抗率は、0.1~100Ωcmであることが好ましく、0.1~50Ωcmであることが、更に好ましい。電極層101a、101bの電気抵抗率をこのような範囲にすることにより、一対の電極層101a、101bが、高温の排ガスが流れる配管内において、効果的に電極の役割を果たす。電極層101a、101bの電気抵抗率が0.1Ωcm以上であると、セルの延びる方向に直交する断面において、電極層101a、101bの両端付近のハニカム部の温度の上昇を抑制することができる。電極層101a、101bの電気抵抗率が100Ωcm以下であると、電流が流れ難くなることが抑制される。電極層101a、101bの電気抵抗率は、400℃における値である。
【0039】
電極層101a、101bは、気孔率が30~60%であることが好ましく、30~55%であることが更に好ましい。電極層101a、101bの気孔率がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極層101a、101bの気孔率が、30%以上であると、製造時の変形を抑制し易くなる。電極層101a、101bの気孔率が、60%以下であると、電気抵抗率が高くなりすぎることが抑制される。気孔率は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0040】
電極層101a、101bは、平均細孔径が5~45μmであることが好ましく、7~40μmであることが更に好ましい。電極層101a、101bの平均細孔径がこのような範囲であることにより、好適な電気抵抗率が得られる。電極層101a、101bの平均細孔径が、5μm以上であると、電気抵抗率が高くなりすぎることが抑制される。電極層101a、101bの平均細孔径が、45μm以下であると、電極層101a、101bの強度が十分に確保され、破損が抑制される。平均細孔径は、水銀ポロシメータで測定した値である。
【0041】
電極層101a、101bの主成分が「珪素-炭化珪素複合材料」である場合に、電極層101a、101bに含有される炭化珪素粒子の平均粒子径が10~60μmであることが好ましく、20~60μmであることが更に好ましい。電極層101a、101bに含有される炭化珪素粒子の平均粒子径がこのような範囲であることにより、電極層101a、101bの電気抵抗率を0.1~100Ωcmの範囲で制御することができる。電極層101a、101bに含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、10μm以上であると、電極層101a、101bの電気抵抗率を上記範囲に制御し易くなる。電極層101a、101bに含有される炭化珪素粒子の平均細孔径が、60μm以下であると、電極層101a、101bの強度が十分に確保され、破損が抑制される。電極層101a、101bに含有される炭化珪素粒子の平均粒子径は、レーザー回折法で測定した値である。
【0042】
電極層101a、101bの主成分が「珪素-炭化珪素複合材料」である場合に、電極層101a、101bに含有される「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する、電極層101a、101bに含有される珪素の質量の比率が、20~40質量%であることが好ましい。更に好ましくは、25~35質量%である。電極層101a、101bに含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、このような範囲であることにより、電極層101a、101bの電気抵抗率を0.1~100Ωcmの範囲にすることができる。電極層101a、101bに含有される、「炭化珪素粒子と珪素のそれぞれの質量の合計」に対する珪素の質量の比率が、20質量%以上であると、電気抵抗率を上記範囲に制御し易くなり、40質量%以下であると、製造時の変形を抑制し易くなる。
【0043】
(3.金属電極部)
図4に示されるように、ハニカム構造体10は、電極層101a、101bを介して一対の金属電極部1、1と接触する。金属電極部1、1は、ハニカム構造体10の中心を挟んで対向するように配設される。ここで、各金属電極部1、1は、櫛歯状でもよく(図4(a)、(b))、板状の本体部分2と、当該本体部分から突出する複数の舌片3(図示では2つ)とを備えてもよい(図4(c)、(d))。
【0044】
金属電極部1が櫛歯状である場合、図4(a)に示されるように、櫛歯状の分岐はハニカム構造体の外周形状に沿う形で延伸することが好ましい。図示では、金属電極部1は電極層101a、101bを介してハニカム構造体10と電気的に接触する。電極層101aが配置される側の上面図(図4(b))では、櫛歯状の分岐は3つあるが、金属電極部1とハニカム構造体10の通電性能の要求に応じて適宜にその数を変更し得る。また、各分岐の長さや幅も適宜に変更し得る。
【0045】
金属電極部1が本体部分2と舌片3を備える場合、舌片3の一部がハニカム構造体10と接触する(図示では電極層101a、101bを介してハニカム構造体10と電気的に接触する)。これにより、金属電極部1は、電極層101a、101bを介して電圧を印加すると通電してジュール熱によりハニカム構造体10に発熱させることが可能である。
【0046】
金属電極部1とハニカム構造体10の電気的接触によって、ハニカム構造体10はヒーターとして好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、64~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態に係る金属電極部1を示す斜視図である。金属電極部1は、平板形状の本体部分2を備えている。本体部分2から図面において上方に向かって、複数の舌片3が規則的に配列されている。各舌片3は、本体部分2からの立ち上がり部分3aと、立ち上がり部分3aから横方向に突出する平坦部分3bとを備えている。各舌片3は、その付け根にある一片20で本体部分2に連結されている。
【0048】
本例では、舌片3は、本体部分2の切断加工によって形成しているので、舌片3とほぼ同じ形状および寸法の貫通孔が形成されている。平坦部分3bが上方の電気化学セルに向かって接触する。
【0049】
図6は、本発明の他の実施形態に係る金属電極部1Aを示す斜視図である。金属電極部1Aは、平板形状の本体部分2を備えている。本体部分2から図面において上方に向かって、複数の舌片13が規則的に配列されている。各舌片13は、本体部分2からの立ち上がり部分13aと、立ち上がり部分13aから横方向に突出する平坦部分13bと、平坦部分13bから貫通孔側へと向かって延びる下降部13cとを備えている。平坦部分13bがハニカム構造体の電極層101a、101bに向かって接触する。各舌片13は、その付け根にある一片20で本体部分2に連結されている。
【0050】
図7は、本発明の更に他の実施形態に係る金属電極部1Bを示す斜視図である。金属電極部1Bは、平板形状の本体部分2を備えている。本体部分2から図面において上方に向かって、複数の舌片23が規則的に配列されている。各舌片23は、本体部分2からの立ち上がり部分23aと、これに連続する複数の折れ曲がり部分23b、23c、23d、23eおよび平坦部分23fを備えている。平坦部分23fがハニカム構造体の電極層101a、101bに向かって接触する。各舌片23は、その付け根にある一片20で本体部分2に連結されている。
【0051】
図8は、本発明の更に他の実施形態に係る金属電極部1Cを示す斜視図である。金属電極部1Cは、平板形状の本体部分2を備えている。本体部分2から図面において上方に向かって、複数の舌片33が規則的に配列されている。各舌片33は、本体部分2からの立ち上がり部分33aと、これに連続する湾曲部分33b、湾曲部分33bに連続する平坦部分33cとを備えている。平坦部分33cがハニカム構造体の電極層101a、101bに向かって接触する。各舌片33は、その付け根にある一片20で本体部分2に連結されている。
【0052】
また、本体部分2は、板状であれば特に形状が限定されず、平板状でもよく、曲面板状であってもよい(図4(d)参照)。また、本体部分2が曲面板状である場合、当該曲面形状はハニカム構造体10の側面に合致することが好ましい。すなわち、本体部分2とハニカム構造体10との距離が一定であることが好ましい。
【0053】
舌片の平面的形状は特に限定されない。例えば、図9(a)、図9(b)に示すように、舌片7A、7Bは矩形であってよい。また、図9(c)に示すように、舌片7Cは円弧状を呈していてよい。図9(d)に示すように、舌片7Dは長円形状を呈していてよい。
【0054】
また、図10(a)に示すように、舌片7Eは多角形形状をしていてよい。また、図10(b)に示すように、舌片7Fは台形形状をていしていてよい。更に、図10(c)に示すように、舌片7Gは星型を呈していてよい。舌片は、その他の種々の異形形状を呈していてよい。
【0055】
舌片の寸法は特に限定されない。通気性および変形の余地を大きくするためには、舌片の高さは0.3mm以上が好ましく、1.0mm以上が更に好ましい。一方、舌片が高すぎると、ガスの利用効率が低下するので、舌片の高さは5.0mm以下であることが好ましい。舌片の高さとは、舌片の各部分から本体部分までの垂直距離のうち最大のものをいう。
【0056】
舌片3の一部は、ハニカム構造体10と接触している(図4参照)。なお、ハニカム構造体の表面に電極層が設けられている場合、舌片3の一部は、当該電極層を介してハニカム構造体10と接触することになる。これにより、金属電極部1とハニカム構造体10は電気的に接続される。舌片3の一部とハニカム構造体10の接触は、金属電極部1とハニカム構造体10との電気的接続を確保できればよく、舌片3とハニカム構造体10との間に更に別の導電性を有する層を設けることを妨げない。そして、舌片3を有する金属電極層に限らず、およそ金属電極部に設けられた突起部とハニカム構造体10との間に更に別の導電性を有する層を設けることを妨げない。また、舌片3の固定方法も特に限定されない。例えば、舌片3の弾性変形を利用してハニカム構造体10との接触を維持してもよく、舌片3をハニカム構造体10の側面(又は側面上に設けられた電極層)に溶接してもよく、導電性を有する金属材料(例えば、NiCr系材料やCoNiCr系材料)を舌片3の上方から溶射することにより固定層を形成し、舌片3をハニカム構造体10の側面(又は側面上に設けられた電極層)に固定してもよい。
【0057】
このように、金属電極部を、板状の本体部分と、当該本体部分から突出する複数の舌片とし、さらに当該舌片の一部がハニカム構造体と接触するように構成することで、本体部分から突出した複数の舌片が、ハニカム構造体の側面に沿ってそれぞれ独立に変形し得るため、ハニカム構造体の形状制度が悪くても電気的な接続を良好に保つことができる。また、各舌片が別々に変形することによって熱膨張差などによる応力を各舌片が吸収するため、接点及びハニカム構造体に過度な応力を加えるのを防ぐことが出来る。
【0058】
また、舌片3の本体部分2から突出する起点から、舌片3が最も突出する箇所までの最短長さAと、舌片3の表面において、本体部分2から突出する方向と直交する方向の幅の最小値Bとが、1≦A/B≦10の関係を満たすことが好ましい(図11)。
【0059】
ここで、「舌片が最も突出する箇所」とは、本体部分2までの垂直距離Lが最も長い箇所をいう(図11(a)、(b)参照)。また、「舌片が最も突出する箇所までの最短長さA」とは、本体部分2までの垂直距離が最も長い箇所のうち、舌片3が舌片3の本体部分2から突出する起点からの距離が最も短い箇所までの直線距離をいう(図11(a)、(b)参照)。図11(a)は本体部分2の厚み方向の断面において、舌片3の先端が本体部分2に平行する平板形状の場合のA、図11(b)は本体部分2の厚み方向の断面において、舌片3の先端が曲面形状の場合のAを示すものである。
【0060】
舌片3が「本体部分2から突出する方向」とは、舌片3の本体部分2から突出する起点から、舌片3の表面に沿って、ハニカム構造体のセル12の流路方向に直交する方向Xをいい(図11(c)、(d)参照)、「本体部分2から突出する方向と直交する方向の幅の最小値B」とは、舌片3の表面において、方向Xに垂直する方向における舌片3の幅が最小となる箇所の幅をいう(図11(c)、(d)参照)。
【0061】
図11(c)は図11(a)、(b)の金属電極部1の上面図であり、図11(d)は図11(c)の舌片3を平面に伸ばした場合の上面図である。図示の実施形態では舌片3は首部と、当該首部の幅より広い幅を有する頭部を有し、首部の幅は一定であるので、当該首部の幅はBとなる。
【0062】
A/Bを1以上とすることにより、本体部分から突出した複数の舌片は、ハニカム構造体の側面に沿って変形しやすくなり、舌片に加わるねじりの応力を緩和することができる。また、A/Bを10以内とすることにより、舌片の強度を一定程度保つことができ、舌片の疲労破断を抑制することができるほか、大電流を流すために必要な幅を確保できる。
【0063】
また、舌片3の首部の長さL1と、頭部の長さL2とが、1≦L1/L2≦10の関係を満たすことが好ましい(図11(d)参照)。L1/L2を1以上とすることにより、本体部分から突出した複数の舌片は、ハニカム構造体の側面に沿って変形しやすくなり、舌片に加わるねじりの応力を緩和することができる。また、L1/L2を10以内とすることにより、舌片の強度を一定程度保つことができ、舌片の疲労破断を抑制することができるほか、大電流を流すために必要な幅を確保できる。
【0064】
なお、首部と頭部の形状は限定されず、幅が比較的に狭い部分と、幅が比較的に広い部分として外見上区別することができれば、それぞれ首部及び頭部と称することができる。
【0065】
さらに、舌片3が2つ以上の折曲部を有することが好ましい(図12参照)。舌片3が2つ以上の折曲部を有することにより、舌片3の弾性変形を利用して、ハニカム構造体との接触性向上、及びハニカム構造体に加わる応力を調整することができる。
【0066】
また、金属電極部1の本体部分は複数の孔を有することが好ましい(図11(c)参照)。これにより、ハニカム構造体が発熱した際に導電性接続部材自体での断熱効果を防ぎ、金属電極部1の表裏温度が一定となることで金属電極部1内に加わる応力を緩和し本体部分2の変形を防ぐことができる。複数の孔は、1枚の金属板から舌片を切り出すことによって形成される貫通孔でもよく、例えばメッシュ材、通気孔の形成された板材、エキスパンドメタルなどの通気性材料を本体部分として使用することで備える孔でもよい。
【0067】
金属電極部1を構成する金属としては、限定的ではないが、入手のし易さから鉄、銀、銅、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、ケイ素等が代表的である。好ましくは、金属電極部1は鉄合金、ニッケル合金、又はコバルト合金である。金属電極部の代わりに炭素又はセラミックスを用いることも可能である。セラミックスとしては、限定的ではないが、Si、Cr、B、Fe、Co、Ni、Ti、Taの少なくとも一種を含むセラミックス、例示的には炭化珪素、ケイ化クロム、炭化ホウ素、ホウ化クロム、ケイ化タンタルが挙げられる。金属とセラミックスを組み合わせて複合材としてもよい。これらの材料は、金属電極部1の形状にかかわらず、適宜に適用し得る。
【0068】
前述のように、ハニカム構造体の加工精度の制約によって、ハニカム構造体と金属電極部との電気的接触が不十分な場合がある。図13に例示されるように、ハニカム構造体10が円柱状である場合、加工精度の制約によってその真円度が不十分であれば、ハニカム構造体10が真円であることを前提に造形された金属電極部1との間に隙間ができてしまう(図示では舌片3と電極層101aとの間に隙間ができている)。このような隙間が存在すると金属電極部1とハニカム構造体10との電気的接触が不十分になる場合があり、通電性能の安定性が低下する恐れがある。
【0069】
そこで、金属電極部1の一方又は両方に、ハニカム構造体側に突出して、ハニカム構造体10に当接する少なくとも一つの突起部を設けることにより、上記問題点を解決し得る。
【0070】
図14(a)に示されるように、金属電極部1は、ハニカム構造体側に突出する突起部4を有する。図示では、突起部は、舌片3に設けられている。なお、図示では、便宜上複数の舌片3が一直線上に配置される態様で示されるが、例えば円柱状のハニカム構造体10の外形に沿うように曲線状に配置することも当然できる。
【0071】
金属電極部1は、突起部4を有することによって、ハニカム構造体10の形状に多少の不規則があっても、金属電極部1とハニカム構造体10とが確実に接触することができる(図14(c)参照)。そのため、金属電極部1を溶接や溶射などの方法でハニカム構造体10に固定することが容易となり、所要の通電性能を達成することができ、品質が安定する。
【0072】
また、金属電極部1とハニカム構造体10との接触をより確実にするために、ハニカム構造体10の側面にある電極層101a(又は101b)に、突起部4を受け入れる凹部5を設けてもよい(図14(b)参照)。凹部5を設けることにより、金属電極部1(図示では舌片3)は電極層101a(又は101b)と勘合するように接触し、より大きな接触面積を実現することができる。これにより、金属電極部1とハニカム構造体10との電気的接触はより確実に確保できる。
【0073】
別の実施形態では、電極層101a(又は101b)の一方又は両方に、金属電極部側に突出して、金属電極部1に当接する少なくとも一つの突起部を設けることにより、前述の問題点を解決し得る。
【0074】
図15(a)に示されるように、電極層101a(又は101b)には、金属電極部側に突出する突起部4を有する。なお、図示では、便宜上複数の舌片3が一直線上に配置される態様で示されるが、例えば円柱状のハニカム構造体10の外形に沿うように曲線状に配置することも当然できる。
【0075】
金属電極部1は、突起部4を有することによって、ハニカム構造体10の形状に多少の不規則があっても、金属電極部1とハニカム構造体10とが確実に接触することができる(図15(c)参照)。そのため、金属電極部1を溶接や溶射などの方法でハニカム構造体10に固定すること容易となり、所要の通電性能を達成することができる。
【0076】
また、金属電極部1とハニカム構造体10との接触をより確実にするために、金属電極部1に、突起部4を受け入れる凹部5を設けてもよい(図15(b)参照)。凹部5を設けることにより、金属電極部1(図示では舌片3)は電極層101a(又は101b)と勘合するように接触し、より大きな接触面積を実現することができる。これにより、金属電極部1とハニカム構造体10との電気的接触はより確実に確保できる。
【0077】
なお、図14図15に示される実施態様では、金属電極部1は舌片3を有するが、本発明は特定の形状の金属電極部1に限定されない。金属電極部1とハニカム構造体10との間に隙間が生じ得る任意の形状(例えば櫛歯状)は本発明の範囲に含まれる。
【0078】
ただし、金属電極部1が複数の舌片3を有する場合、各舌片3とハニカム構造体10との電気的接触を確実にするために、各舌片3がそれぞれ一つ以上の突起部4を有することが好ましい。
【0079】
突起部4は、ハニカム構造体側又は金属電極部側に突出して前述の機能を果たす限り、その形状、材料を問わない。また、突起部4の形成方法は、プレス加工、溶射形成、溶接形成などが考えられるが、特定の形成方法に限定されない。さらに、平板状の頭部を有する舌片にディンプル状の突起部を別途形成してもよく(図16(a))、舌片自体を折り曲げてV字状にするなどして突起部を形成してもよい(図16(b))。なお、図16ではティンプル状の突起部とV字状の突起部は金属電極部1の舌片3に設けられているが、ハニカム構造体10の電極層101a、101bにおいて、金属電極部1と接触すべき箇所にディンプル状の突起部又はV字状の突起部を設けても良い。
【0080】
金属電極部1又はハニカム構造体10の電極層101a、101bにディンプル状の突起部を設ける場合、ディンプルの直径は電気加熱型触媒用担体の寸法、所要の通電性能などに応じて適宜設定できるが、典型的には2~10mmの直径が好ましい。ディンプルの直径を2mm以上とすることで金属電極部1とハニカム構造体10との電気的接触はより確実になり、10mm以下とすることで突起部のサイズが適度な大きさとなる。また、ディンプル状の突起部を受け入れる凹部を金属電極部1又はハニカム構造体10の電極層101a、101bに設ける場合、凹部の直径も突起部に適合するように適宜設定し得るが、典型的には受け入れるべき突起部の直径より0.2~1.0mm大きいことが好ましい。
【0081】
金属電極部1又はハニカム構造体10の電極層101a、101bにV字状の突起部を設ける場合、当該V字形状の角度θ(図16(b)参照)は90~170°であることが好ましい。上記範囲とすることで金属電極部1とハニカム構造体10との電気的接触はより確実になる。
【0082】
本発明の電気加熱型触媒用担体は、排ガス浄化装置に用いることができる。すなわち、本発明の別の側面は、エンジンからの排ガスを流すための排ガス流路の途中に設置された本発明に係る電気加熱型触媒用担体と、当該電気加熱型触媒用担体を収容する筒状金属部材とを有する排ガス浄化装置である。これまでの説明から理解できるように、このような排ガス浄化装置は、所要の通電性能を達成することができるので、より安定した排ガス浄化機能を実現することができる。
【実施例
【0083】
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0084】
(電気加熱型触媒用担体の製造)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを60:40の質量割合で混合してセラミック原料を調製した。そして、セラミック原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
【0085】
得られた円柱状の坏土を押出成形機を用いて成形し、各セルの断面形状が正方形の柱状のハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、両底面を所定量切断し、ハニカム乾燥体とした。ハニカム乾燥体を、脱脂(仮焼)した後、焼成した。
【0086】
次に、金属珪素(Si)粉末に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、保湿剤としてグリセリン、分散剤として界面活性剤を添加すると共に、水を添加して、混合した。混合物を混練して金属電極部形成原料とした。この金属電極部形成原料を、ハニカム焼成体の側面に、厚さが1.5mmになるようにして、ハニカム焼成体の両端面間に亘るように帯状に塗布した。金属電極部形成原料は、ハニカム焼成体の側面に、2箇所塗布した。そして、セルの延びる方向に直交する断面において、2箇所の金属電極部形成原料を塗布した部分の中の一方が、他方に対して、ハニカム焼成体の中心を挟んで対向するように配置されるようにした。
【0087】
次に、ハニカム焼成体に塗布した金属電極部形成原料を乾燥させて、未焼成電極付きハニカム焼成体を得た。乾燥温度は、70℃とした。
【0088】
その後、未焼成電極付きハニカム焼成体を、脱脂(仮焼)し、焼成し、更に酸化処理してハニカム構造体を得た。脱脂の条件は、550℃で3時間とした。焼成の条件は、アルゴン雰囲気下で、1450℃、2時間とした。酸化処理の条件は、1300℃で1時間とした。得られたハニカム構造体の底面は直径120mmの円形であり、ハニカム構造体のセルの延びる方向における長さは50mmであった。また、ハニカム構造体の電気抵抗は約1Ωであった。
【0089】
次に、ハニカム構造体の側面に合致する曲面板状の本体部分(ステンレス素材)と、図11に示される形状の舌片(ステンレス素材)を有する金属電極部をハニカム構造体の電極層外周面に、ハニカム構造体の中心を挟んで対向するように配置し、舌片の上方から溶接の方法で舌片の先端を電極層に固定した。金属電極部とハニカム構造体との接点数は40であり、すなわち、一つの金属電極部につき、舌片を40個設けた。
【0090】
(比較例、実施例)
金属電極部と電極層のいずれにも突起部を設けないものを比較例とし、金属電極部又は電極層に表1に示される突起部を設けたものを実施例とし、48Vの電圧を印加、許容電流を評価した。許容電流の評価方法の詳細は以下である。
【0091】
(許容電流の評価方法)
ハニカム構造体に10Vの電圧を印加し、この電圧を100Vまで順次に高めていき、金属電極部の舌片に溶断が発生する際の電流を測定した。なお、溶断の判断は電流値を測定し、電流が急峻に変化した点とする。それぞれの比較例、実施例については5つの電気加熱型触媒用担体を作製して評価した。評価結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
(考察)
比較例では、ハニカム構造体の形状の不規則によって、金属電極部とハニカム構造体との電気的接触は十分ではなく、接点が毎回安定せず、大電流を流す場合でも電流がうまく流れないサンプルが発生した。
実施例1及び2については、金属電極部にディンプル状の突起部を設けることで確実に接点が確保でき許容電流が拡大した。さらにディンプル径を大きくすると接触面積が増え、大電流を流すことができた。
実施例3及び4については、金属電極にV字加工による突起部を設けることで確実に接点が確保でき許容電流が安定した。ただし、実施例3及び4は、実施例1及び2と比較して、接点における接触面積が小さいので、実施例1及び2より許容電流が低かった。
実施例5及び6については、電極層に突起部を設けることで確実に接点が確保でき許容電流が安定する。ただし、実施例1及び2は金属電極部が変形してハニカム構造体に追従しやすく接点がより確保できるのに対して、実施例5及び6では電極層はセラミックスで金属電極部に追従しにくいため、実施例1、2より許容電流が低かった。
実施例7及び8については、電極層と金属電極部が嵌合するような形状とすることで、より大きな接触面積が実現された。その結果、実施例7及び8では、実施例1及び2よりも許容電流が高かった。
【符号の説明】
【0094】
10…ハニカム構造体
11…隔壁
12…セル
1、1A、1B、1C、7A、7B、7C、7D、7E、7F、7G…金属電極部(舌片)
101a、101b…電極層
2…本体部分
3、13、23、33…舌片
3a、13a、23a、33a…立ち上がり部分
3b、13b、23f、33c…平坦部分
20…一片
4…突起部
5…凹部
図1
図2
図3
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