(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】自転車用無段変速機
(51)【国際特許分類】
B62M 9/06 20060101AFI20220714BHJP
B62M 9/04 20060101ALI20220714BHJP
F16H 9/18 20060101ALI20220714BHJP
F16H 37/02 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B62M9/06
B62M9/04 Z
F16H9/18 A
F16H37/02 P
(21)【出願番号】P 2018530757
(86)(22)【出願日】2016-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2016081433
(87)【国際公開番号】W WO2017103110
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-12-16
(32)【優先日】2015-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518202286
【氏名又は名称】ファネコ,シモン ジェームス
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ファネコ,シモン ジェームス
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4036068(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0323065(US,A1)
【文献】特開平9-144824(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276027(US,A1)
【文献】米国特許第5121936(US,A)
【文献】特開2000-142539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 9/00
B62M 9/04
B62M 9/06
F16H 9/18
F16H 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用のVベルト型無段変速機であって:
入力手段(1100)であって、第1の入力フランジ(1120)と、第2の入力フランジ(1130)と、第1の入力軸(1110)と、を備え、
前記第1の入力フランジ(1120)は前記第1の入力軸(1110)上で軸線方向に可動であり、これにより前記第1の入力フランジ(1120)と第2の入力フランジ(1130)との間の距離を変更でき
、前記第1の入力フランジ(1120)と前記第2の入力フランジ(1130)が対向する面はそれぞれ縁部に向かうにつれて互いに離れるように形成されている、入力手段(1100)と、
出力手段(1300)であって、第1の出力フランジ(1320)と、第2の出力フランジ(1330)と、第1の出力軸(1310)と、を備え、
前記第1の出力フランジ(1320)は前記第1の出力軸(1310)上で軸線方向に可動であり、これにより前記第1の出力フランジ(1320)と第2の出力フランジ(1330)との間の距離を変更でき
、前記第1の出力フランジ(1320)と前記第2の出力フランジ(1330)が対向する面はそれぞれ縁部に向かうにつれて互いに離れるように形成されている、出力手段(1300)と、
前記入力手段(1100)を前記出力手段(1300)に接続するV字形状ベルトの形態の伝動手段と、を備え、
第2の入力軸(7520)及び第2の出力軸(7420)と、
前記第2の入力軸(7520)に対する前記入力手段(1100)の回転速度を増幅する入力増幅手段(7510、7511、7512、7513)と、
前記第2の出力軸(7420)に対する前記出力手段(1300)の回転速度を増幅する出力増幅手段(7410、7411、7412、7413)と、を備え、
前記出力手段(1300)は、前記無段変速機のギア比を制御するため、
前記第1の出力フランジ(1320)の位置を制御する出力制御手段(1340)を備え、
前記出力制御手段(1340)は、出力弾性手段(1342)と、前記第1の出力軸(1310)に対して固定された出力板(1341)と、出力駆動手段(1344)と
、前記第1の出力フランジ(1320)に対して固定されている収容部材(1343)と、を備え、
前記出力弾性手段(1342)は、前記出力板(1341)と
、前記第1の出力フランジ(1320)との間に配置され、
該出力弾性手段(1342)により前記第1の出力フランジ(1320)を第2の出力フランジ(1330)に近づく向きに付勢することにより、前記第1の出力フランジ(1320)をローギア位置に向けて付勢し、
前記出力駆動手段(1344)は、
前記出力板(1341)と前記収容部材(1343)の間に配置された重りを備え、前記出力手段(1300)の速度が上昇すると、遠心力により
前記重りが前記出力板(1341)と前記収容部材(1343)の間隔を広げるように移動し、これに伴い前記出力弾性手段(1342)に対抗して、前記収容部材(1343)に固定されている前記第1の出力フランジ(1320)が前記第2の出力フランジ(1330)から離れるように駆動することにより、前記第1の出力フランジ(1320)をハイギア位置に向かって駆動
し、
前記入力手段(1100)は、前記第1の入力フランジ(1120)の位置を制御する入力制御手段(1140)を備え、
前記入力制御手段(1140)は、入力弾性手段(1142)と、前記第1の入力軸(1110)に固定された入力板(1141)と、を備え、
前記入力弾性手段(1142)は、前記入力板(1141)と、前記第1の入力フランジ(1120)との間に配置され、前記第1の入力フランジ(1120)を前記第2の入力フランジ(1130)に近づく向きに付勢し、
前記出力弾性手段(1342)のばね定数は前記入力弾性手段(1142)のばね定数より大きい、無段変速機。
【請求項2】
請求項1に記載の無段変速機であって、
前記入力増幅手段(7510、7511、7512、7513)は、5~30の範囲の倍率を有する、無段変速機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の無段変速機であって、
前記出力増幅手段(7410、7411、7412、7413)は、2~10の範囲の倍率を有する、無段変速機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の無段変速機であって、
前記出力制御手段(1340)は、前記出力弾性手段(1342)にプリロードをかけるプリロード手段を備える、無段変速機。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の無段変速機であって、
前記出力制御手段(1340)は前記出力制御手段(1340)の位置を固定する固定手段を備える、無段変速機。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか一項に記載の無段変速機であって、
前記第2の入力軸(7520)及び前記第2の出力軸(7420)は同軸に設けられる、無段変速機。
【請求項7】
自転車であって:
クランク軸と、
後軸と、
請求項1~6のうちいずれか一項に記載の無段変速機と、を備え、
前記第2の入力軸(7520)は最終的には第1の変速機により前記クランク軸に接続され、
前記第2の出力軸(7420)は最終的には第2の変速機により前記後軸に接続される、自転車。
【請求項8】
請求項7に記載の自転車であって、
前記第1の変速機は前記入力手段(1100)又は前記第2の入力軸(7520)を前記クランク軸より高速で回転させる第1の変速比を有し、及び/又は
前記第2の変速機は前記出力手段(1300)又は前記第2の出力軸(7420)を前記後軸より高速で回転させる第2の変速比を有する、自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車用変速機の分野に関する。より詳細には、本発明は自転車用無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の自転車用変速機が公知である。例えば、今日の自転車の大部分は動力を伝動するための前方・後方スプロケットの周囲に巻回したチェーンを備えるギアシステムを有する。異なるギア比を得るため、前方スプロケット又は後方スプロケットが複数の異なる寸法を有し、変速機機構がチェーンをスプロケットの所定の位置から別の位置へ押出す。
【0003】
上述のシステムには複数の問題がある。計量化のためチェーン及びスプロケットが風雨に露出しており、清掃及び注油の観点から定期的なメンテナンスが必要となる。更に、前方・後方スプロケットの調整には使用者がギアシステムの知識を有している必要がある。一般的に、前方・後方スプロケットは、チェーンを前方・後方スプロケット間で略直線の配置に保持するよう使用しなければならない。更に、このシステムでは使用者は停止時にギアを変更することはできず、使用者がハイギアで漕いでいる際に急停止し、再度ハイギアを用いて漕ぎ始めなければならない場合、問題となる。更に、チェーンがスプロケットから外れることも頻繁に発生する。更に、チェーンは異なる寸法のスプロケットに適合するよう緩みを有していなければならないため張力部材が必要となり、コストが上昇し、構造もより複雑になる。通常、この張力部材は後方の変速機機構と結合されるため、後方変速機及び張力部材によりかなりの重量が後軸にかかることになる。これは、自転車の質量中心を後端に向かって移動させることになり、取扱いが不便になるためため不都合である。特に後方サスペンションを備える自転車の場合、特にサスペンションが起伏の多い地上で動作する場合に、後軸に更なる重量がかかることによりばね下重量が増加し、自転車の安定性が低下する。
【0004】
先行技術における別の公知な変速機の例として、複数の遊星ギアを備えるハブギアシステムが挙げられる。この変速機はチェーン・スプロケット型変速機における問題の一部を解消する。例えば、この変速機は封止できるためメンテナンスの必要性が減少する。しかしながら、通常この変速機はチェーン・スプロケット型変速機より重いため、重量の大部分が後軸にかかることになり、上述した取扱いに関する問題が悪化する。
【0005】
更に、ハブギア変速機及びチェーン・スプロケット型変速機はどちらもギア比の数が離散的である。その使用中に一般的に発生することとして、一般的に使用者はギア選択機構を常時動作することを望まないため、例えば距離が短い傾斜に遭遇した場合等、経験の浅い使用者が規則正しくギアを変更しなくなる問題がある。これは、使用者が非最適な回転数でペダルを漕ぐことになるため不都合である。
【0006】
後者の問題は無段変速機の一種であるNUVINCI(登録商標)変速機により解消できる。NUVINCI型は後方ハブに内装されているため、最新モデルにおける9倍までとギア比の範囲が大きいことを除けば、ハブギア機構と同一の利点及び欠点を有する。
【0007】
しかしながら、NUVINCIシステムも複数の問題を有する。NUVINCI機構は、入力駆動及び出力駆動からの接触面を有して連続中心的に装着される金属球を有することにより機能する。この入力接触面及び出力接触面が接触径を変更することにより、ギア比が変更される。この機構は球のうち1個が大き過ぎたり、入力接触面又は出力接触面が接触を失うと、滑りのリスクが高まるため非常に繊細で耐久性が低い。したがって、この機構を連続して製造するためには非常に厳密な管理が求められ、製造コストが上昇する。更に、NUVINCIはその構造により重量が重い。その他の市販品と比べて、NUVINCIは重量が最も重いギア変更システムの一種である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は改良型自転車用変速機を提供することである。
【0009】
詳細には、本発明の一部の実施形態の目的は、使用者が無限数の比率から最適なギア比を理想的に選択可能な無段変速機を提供することである。更に、本発明の一部の実施形態の目的は、使用者が変速機を操作する必要が無いようギア比を自動的に選択することである。更に、本発明の一部の実施形態の目的は、変速機の重量を自転車の中心に向かって配置し、及び/又はこれにより後方サスペンションを備える自転車においてばね下重量の原因とさせないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は独立請求項の教示により達成できる。
【0011】
詳細には、本発明の実施例は自転車用無段変速機であって:入力手段と、出力手段と、前記入力手段を前記出力手段に接続する伝動手段と、を備え、前記出力手段は前記出力手段のギア比を制御する出力制御手段を備え、前記無段変速機はVベルト型無段変速機である、自転車用無段変速機に関していてもよい。
【0012】
この構成により自転車用無段変速機が得られるため、ギア数が離散的な変速機に関する不都合を解消できる。
【0013】
実施形態によっては、前記出力制御手段は前記出力手段の速度が上昇すると前記出力手段の前記ギア比を上昇させてもよい。
【0014】
この構成により変速機のギアを自動的に制御可能であり、したがってぺダリング速度が自転車の速度と共に線形に上昇するのを防止できるため効果的である。実施形態によっては、これにより自転車の速度に関わらず略一定なぺダリング速度を保持可能である。
【0015】
実施形態によっては、前記出力制御手段は出力弾性手段及び出力駆動手段を備えていてもよく、前記出力弾性手段は前記出力手段をローギアに向けて付勢してもよく、前記出力駆動手段は前記出力手段をハイギアに向かって駆動してもよい。
【0016】
この構成により、単純で確実な様態で変速機を実施することが可能である。
【0017】
実施形態によっては、前記出力制御手段は前記出力弾性手段にプリロードをかけるプリロード手段を備えていてもよい。
【0018】
この構成により、使用者は自分の運転スタイルに適合する変速機を構成可能である。
【0019】
実施形態によっては、前記出力駆動手段は前記出力手段を遠心力により駆動する重りを備えていてもよい。
【0020】
この構成により、単純及び確実な様態で変速機を実施可能である。
【0021】
実施形態によっては、前記出力駆動手段及び/又は前記入力手段のギア比を制御する入力制御手段は間接制御可能であって、油圧ポンプ又は空気ポンプ又は電動機又はケーブルを備えていてもよい。
【0022】
この構成により、変速機の比率を間接的に制御可能である。
【0023】
実施形態によっては、前記入力手段は前記入力手段のギア比を制御する入力制御手段を備えていてもよく、前記入力制御手段は入力弾性手段を備えていてもよく、前記出力弾性手段のばね定数は前記入力弾性手段のばね定数より好ましくは少なくとも5%大きくてもよい。
【0024】
この構成により、変速機に作用するその他の力無しに確実に変速機をローギアに向けて付勢可能である。本様態において、自転車が停止する際等、確実にローギアを係合可能である。
【0025】
実施形態によっては、前記出力制御手段は前記出力制御手段の位置を固定する固定手段を備えていてもよい。
【0026】
この構成により、使用者が意図する長さの時間に渡って、変速機を所定の比率に固定可能である。
【0027】
実施形態によっては、前記出力制御手段は電動機又は変換器、又は電気的位置制御装置を備えていてもよい。
【0028】
この構成により、より柔軟性にギア比を制御可能である。詳細には、ギア比を自転車の速度又は変速機の回転速度から独立して制御可能である。
【0029】
実施形態によっては、前記無段変速機は速度、好ましくは前記出力手段の速度又は自転車の車輪の速度を検知し、前記出力制御手段を制御し、詳細にはこれにより、予め決定されるペダル比を自転車速度に関わらず維持する制御手段を更に備えていてもよい。
【0030】
この構成により、変速機の複数の異なる挙動を電子的方法で構成可能である。
【0031】
実施形態によっては、前記無段変速機は入力軸及び出力軸と、前記入力軸に対する前記入力手段の回転速度を増幅する入力増幅手段と、前記出力軸に対する前記出力手段の回転速度を増幅する出力増幅手段と、を備えていてもよい。
【0032】
この構成により、増幅効果により入力及び出力が受ける力が軽減するため、変速機の寸法を縮小可能である。
【0033】
実施形態によっては、前記入力軸及び前記出力軸は同軸に設けられてもよい。
【0034】
この構成により、変速機の寸法を縮小可能である。
【0035】
本発明の実施形態は更に、自転車であって:クランク軸と、後軸と、いずれかの実施形態の無段変速機と、を備え、前記入力軸は最終的には第1の変速機により前記クランク軸に接続され、前記出力軸は最終的には第2の変速機により前記後軸に接続される、自転車に関する。
【0036】
この構成により、変速機により得られる利点に加えて、重量が理想的に分散した自転車が得られる。
【0037】
本発明の実施形態は更に、自転車であって:クランク軸と、後軸と、いずれかの実施形態の無段変速機と、を備え、前記入力軸は最終的には第1の変速機により前記クランク軸に接続され、前記出力軸は最終的には第2の変速機により前記後軸に接続される、自転車に関する。
【0038】
この構成により、変速機により得られる利点に加えて、重量が理想的に分散した自転車が得られる。
【0039】
実施形態によっては、前記第1の変速機は前記入力手段又は前記入力軸を前記クランク軸より高速で回転させる第1の変速比を有していてもよく、及び/又は前記第2の変速機は前記出力手段又は前記出力軸を前記後軸より高速で回転させる第2の変速比を有していてもよい。
【0040】
この構成により、少なくとも1個の変速機により増幅効果の少なくとも一部を実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】本発明の実施形態による無段変速機の部材の概略平面図である。
【
図1B】
図1Aの実施形態の面A-Aに沿った概略断面図である。
【
図2A】本発明の実施形態による無段変速機の部材のローギアにおける概略図である。
【
図2B】本発明の実施形態による無段変速機の部材のハイギアにおける概略図である。
【
図3A】本発明の実施形態による無段変速機の入力部材のローギアにおける概略断面図である。
【
図3B】本発明の実施形態による無段変速機の入力部材のハイギアにおける概略断面図である。
【
図4A】本発明の実施形態による無段変速機の出力部材のローギアにおける概略断面図である。
【
図4B】本発明の実施形態による無段変速機の出力部材のハイギアにおける概略断面図である。
【
図5A】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な入力部材のローギア及び高プリロードにおける概略断面図である。
【
図5B】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な入力部材のローギア及び低プリロードにおける概略断面図である。
【
図6A】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な出力部材のローギア及び低プリロードにおける概略断面図である。
【
図6B】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な出力部材のローギア及び高プリロードにおける概略断面図である。
【
図7A】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な入力部材のローギア及び高プリロードにおける概略断面図である。
【
図7B】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な入力部材のローギア及び低プリロードにおける概略断面図である。
【
図8A】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な出力部材のローギア及び低プリロードにける概略断面図である。
【
図8B】本発明の実施形態による無段変速機のプリロード可能な出力部材のローギア及び高プリロードにおける概略断面図である。
【
図9A】本発明の実施形態による無段変速機の出力部材のローギアにおける概略断面図である。
【
図9B】本発明の実施形態による無段変速機の出力部材のハイギアにおける概略断面図である。
【
図10A】本発明の実施形態による無段変速機の出力部材のローギアにおける概略断面図である。
【
図10B】本発明の実施形態による無段変速機の出力部材のハイギアにおける概略断面図である。
【
図11A】本発明の実施形態による無段変速機の固定可能な出力部材の未固定状態における概略断面図である。
【
図11B】本発明の実施形態による無段変速機の固定可能な出力部材の固定状態における概略断面図である。
【
図12A】本発明の実施形態による無段変速機の部材の概略側面図である。
【
図13A】本発明の実施形態による無段変速機の部材の概略側面図である。
【
図14】本発明の実施形態による自転車の部材の概略側面図である。
【
図15】本発明の実施形態による自転車の部材の概略側面図である。
【
図16】本発明の実施形態による無段変速機の部材の概略平面図である。
【
図17】本発明の実施形態による自転車の部材の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して詳述する。以下の実施形態は、当業者が本発明を十分に理解するための例示のみを目的として開示する。したがって、特許請求の範囲により定める通り、本発明は以下の実施形態に限定されず、その他形態でも実施可能である。
【0043】
図面及び明細書において、同一の参照番号は同一の部材を指す。図面において、一部部材の幅、長さ及び厚さは図示上の便宜及び理解の容易さを目的として誇張されている場合があるものとする。
【0044】
図1Aは、本発明の実施形態による無段変速機の部材の概略平面図である。
図1Bは、
図1Aの実施形態における矢印Aで示す第1の面XYに沿った概略断面図である。
図1Cは、
図1Aの実施形態における矢印Bで示す
図1Bの面に垂直な面XZに沿った概略断面図である。
【0045】
無段変速機1000は自転車のクランク軸から後軸に動力を伝動するために用いられてもよく、入力手段1100と、出力手段1300と、前記前記入力手段1100を前記出力手段1300に接続する伝動手段1200と、を備える。
【0046】
前記無段変速機1000はVベルト型であってもよい。したがって、前記入力手段1100は第1の入力フランジ1120と、第2の入力フランジ1130と、入力軸1110と、を備える。前記第1の入力フランジ1120及び第2の入力フランジ1130のうち少なくとも一方は前記入力軸1110上でZ方向に沿って可動であり、これにより前記第1の入力フランジ1120と第2の入力フランジ1130との間の距離を変更できる。類似の様態において、前記出力手段1300は第1の出力フランジ1220と、第2の出力フランジ1330と、出力軸1310と、を備える。前記第1の出力フランジ1320及び第2の出力フランジ1330のうち少なくとも一方は前記出力軸1310上でZ方向に沿って可動であり、これにより前記第1の出力フランジ1320と第2の出力フランジ1330との間の距離を変更できる。
【0047】
前記第1の入力フランジ1120及び第2の入力フランジ1130、前記第1の出力フランジ1320及び第2の出力フランジ1330は各々の中心に向かって半径方向内向きのテーパーを有するディスクに略形成される。本様態において、前記第1の入力フランジ1120及び第2の入力フランジ1130、前記第1の出力フランジ1320及び第2の出力フランジ1330は、それぞれ入力V形部及び出力V形部を形成する。前記入力V形部及び前記出力V形部に適合するV字形状ベルト等のV字形状の伝動手段1200を用いることにより、前記入力手段1100から前記出力手段1300に動力を伝動可能である。
【0048】
更に、前記第1の入力フランジ1120及び第2の入力フランジ1130、前記第1の出力フランジ1320及び第2の出力フランジ1330は可動であるため、前記入力軸1110に対する前記入力V形部の位置、及び前記出力軸1310に対する前記出力V形部の位置は変更可能であり、その結果、前記変速機のギア比が変化する。
【0049】
詳細には、
図1Bに図示する位置において、前記伝動手段1200は前記入力軸1110に対してより近い位置に位置し、前記出力軸1310に対してより遠い位置に位置する。本位置において、前記無段変速機1000のギア比はより低い値となる。すなわち、前記出力手段1300を1回転させるためには前記入力手段1100を1回転より多く回転させる必要がある。逆に、前記第1の入力フランジ1120及び第2の入力フランジ1130を相互により近く配置し、前記第1の出力フランジ1320及び第2の出力フランジ1330を相互により離して配置すると、前記無段変速機1000のギア比はより高い値となる。即ち、前記出力手段1300を1回転させるために必要な前記入力手段1100の回転数は1回転未満である。
【0050】
この挙動のお陰で、広範囲のギア比を連続的な様態で得ることが可能となり、チェーン・スプロケット型変速機のギア比数が限定的で離散的であるという問題を改善できる。
【0051】
ギア比を変更するため、前記無段変速機1000は少なくとも出力制御手段1340を備え、前記出力制御手段1340は
図2A及び
図2Bを参照して説明される。
【0052】
図2Aは、本発明の実施形態による無段変速機1000がローギアとなる場合の部材の概略図である。
図2Bは、本発明の実施形態による無段変速機1000がハイギアとなる場合の部材の概略図である。
【0053】
詳細には、前記入力手段1100は入力制御手段1140を更に備え、前記出力手段1300は出力制御手段1340を更に備える。前記入力制御手段1140は前記第1のフランジ1120と第2の入力フランジ1130との間の距離に作用可能であればいずれの手段で実施してもよい。同様に、前記出力制御手段1340は前記第1のフランジ1320と第2の出力フランジ1330の間の距離に作用可能であればいずれの手段で実施してもよい。以下に、機械式、空気式、油圧式、又は電気式部材で前記入力制御手段1140及び/又は前記出力制御手段1340を実施した実施例を複数説明する。
【0054】
図において、前記入力制御手段1140及び前記出力制御手段1340は前記入力手段1100及び前記出力手段1300の2つの対向する側に配置されているが、本発明はこれに限定されず、前記入力制御手段1140及び前記出力制御手段1340は前記入力手段1100及び前記出力手段1300の同一側にて実施してもよい。前記入力制御手段1140及び前記出力制御手段1340を前記前記入力手段1100及び出力手段1300の2つの対向する側に配置すると、前記伝動手段1200が前記入力手段1110及び前記出力手段1310間で略直線で駆動可能となり、効果的である。詳細には、前記入力フランジ1130を固定したまま、前記入力制御手段1140を操作することにより前記入力フランジ1120を矢印Cで概略図示する通り移動させることが可能である。同様に、前記出力フランジ1330を固定したまま、前記出力制御手段1340を操作することにより前記出力フランジ1320を矢印C’で概略図示する通り移動させることが可能である。
【0055】
図3Aは、本発明の実施形態による無段変速機1000がローギアとなる場合の入力部材の概略断面図である。
図3Bはハイギアとなる場合の同一入力部材の概略図である。
【0056】
詳細には、前記入力手段1100の一部である入力制御手段1140は入力弾性手段1142と、入力板1141と、を備える。実施形態によっては、前記入力弾性手段1142は図示の通りコイルばねであってもよい。しかしながら本発明はこれに限定されず、空気ばね等、弾性特性を備えるものであればいずれの手段を用いてもよい。
【0057】
更に、前記入力弾性手段1142の負のZ方向に沿った移動を制限することにより前記入力制御手段1140が動作可能となる仕組みを明確に説明するために前記入力板1141を図示したが、本発明はこれに限定されず、前記入力弾性手段1142の移動を制限可能であればいずれの手段を用いてもよい。例えば、前記入力軸1110から伸長するピンを用いてもよい。このようなピンは、前記伝動手段1200が比率を平滑に変更するのを補助するために摺動する際にフランジ1120を微小回転させるために用いてもよい。
【0058】
前記入力板1141は前記入力軸1110に対して固定される。この固定は、前記入力板1141を入力軸1110にねじ留めして行ってもよく、前記2個の部材を圧着、接着、溶接、又は図示しないナットにより固定することにより行ってもよい。一般的に、前記入力板1141の位置を少なくともZ方向において前記入力軸1110に対して固定する方法であればいずれの様態で実施してもよい。
【0059】
前記入力板1141の位置はZ方向において固定されるため、前記入力弾性手段1142は前記第1の入力フランジ1120を正のZ方向に向けて付勢する。即ち、前記無段変速機1000のハイギアに向けて付勢する。前記伝動手段1200を
図3Aに図示する位置に向けて付勢するその他の力が無いため、前記入力制御手段1140により前記入力フランジ1120が前記入力フランジ1130へ向けて移動し、前記伝動手段1200は
図3Bに図示するハイギアに対応する位置に向けて付勢される。
【0060】
図4A及び4Bに概略図示する通り、前記出力制御手段1300を類似に実施してもよい。詳細には、
図4Aは本発明の実施形態による無段変速機1000がローギアとなる場合の出力部材の概略断面図である。
図4Bはハイギアの場合の同出力部材の概略図である。
【0061】
出力手段1300は、出力弾性手段1342と出力駆動手段1344とを備える出力制御手段1340を備える。ここで、前記出力弾性手段1342は前記出力手段1300をローギアに向けて付勢し、前記出力駆動手段1344は前記出力手段1300をハイギアに向かって駆動する。
【0062】
詳細には、前記出力弾性手段1342は前記出力板1341と連動して前記入力弾性手段1142と略類似の様態で動作する。したがって、前記入力弾性手段1142及び前記入力板1141に対して成された考察は同様に前記出力弾性手段1342及び出力板1341にも適用される。
【0063】
前記入力弾性手段1142及び前記出力弾性手段1342を備えることにより、前記入力手段1100及び前記出力手段1300との十分な摩擦を保証するため、前記伝動手段1200が確実に所定の伸長度を常時有する。しかしながら、前記入力弾性手段1142及び前記出力弾性手段1342自体は前記無段変速機1100のギア比を変更することはできない。この変更は前記出力駆動手段1344により行われる。
【0064】
前記出力制御手段1340において前記出力駆動手段1344は重り(Weight)であって、当該重りを出力板1341に沿って移動させる球又はローラ又はその他形状であってもよい。前記出力手段1300が回転すると、前記出力駆動手段1344は遠心力により前記出力軸1310から離れる方向に移動し、その結果、
図4Bに図示する配置となる。前記出力板1341は前記出力軸1310に対して固定されるため、前記出力駆動手段1344の移動により、前記出力軸1310に沿って正のZ方向に移動可能な収容部材1343が移動する。前記収容部材1343は前記出力フランジ1320に接続されており、前記出力フランジ1320も同様に移動する。
【0065】
前記収容部材1343及び前記出力フランジ1320の正のZ方向に沿った移動と対照的に、前記出力弾性手段1342は前記出力フランジ1320を負のZ方向に向けて付勢する。本様態において、前記出力手段1300が回転していない場合、前記出力手段は
図4Aに図示の通りに配置される。前記出力手段1300が回転し始めると、遠心力が前記出力手段1300を
図4Bに図示する位置に向かって移動させるため前記出力駆動手段1344は外側に向かって移動する。すなわち、前記出力制御手段1340は前記出力手段1300の速度が上昇すると前記出力手段1300のギア比を上昇させる。
【0066】
これにより、前記無段変速機1000は、前記出力手段1300が最終的には以下で説明する通り変速機と共にその後軸に接続されている自転車と組合せて用いると非常に効果的である。詳細には、自転車が移動中ではない場合、前記出力制御手段1340は
図4Aに図示の通り前記出力手段1300をローギアに配置し、したがって使用者はより容易に自転車を漕ぎだすことが可能となる。自転車が移動し始めて後軸が回転し始めると、前記出力駆動手段1344は遠心力により外側に向かって移動し、これにより前記出力制御手段1340が前記出力手段1300を
図4Bに図示するようにハイギアに配置可能となる。この挙動により、異なる速度における使用者のぺダリング回転数が使用者からの入力無しに略安定する。
【0067】
実施形態によっては、出力弾性手段1342が前記出力フランジ1320、1330に加える負荷より小さい負荷で、入力弾性手段1142により前記入力フランジ1120、1130にプリロードをかけていてもよい。これにより、出力駆動手段1344からの作用無しに、前記後方摺動フランジ1320は内向きに付勢され、前記前方摺動フランジ1120は外向きに付勢される。
【0068】
実施形態によっては、前記出力フランジ1320が外向きに移動する際に前記伝動手段1200上の張力を維持するのに十分でさえあれば、前記入力フランジ1120、1130のプリロードは小さくともよい。
【0069】
実施形態によっては、前記出力弾性手段1342のばね定数は、前記入力弾性手段1142のばね定数より好ましくは少なくとも5%以上大きくてもよい。この差により、前記出力制御手段1340が前記出力手段1300に力を加えなければ、
図4A等に図示の通り前記出力手段1300はローギアに向けて付勢される。すなわち、前記出力弾性手段1342により加えられる力が前記入力弾性手段1142により加えられる力より大きい場合、前記出力駆動手段1344により力が加えられること無く、無段変速機はローギアに向けて付勢される。
【0070】
同時に、本発明の実施形態により、使用者は前記出力制御手段1340による制御に代えて又は加えて、ぺダリング回転数をより高い値又はより低い値に制御可能となる。これは、以下で説明する通り、例えば前記入力手段1100及び/又は前記出力手段1300のプリロードを制御することにより実施可能である。若しくは又は更に、上記は以下で詳述する通り手動又は電子的に駆動される駆動手段を設けることにより実施可能である。若しくは又は更に、出力駆動手段1344の質量を調節することによってもぺダリング回転数を調節できる。
【0071】
図5A及び
図5Bは、本発明の実施形態による無段変速機1000のプリロード可能な入力部材の概略断面図である。詳細には、
図5Aはローギア及び高プリロードの概略図であって、
図5Bはローギア及び低プリロードの概略図である。
【0072】
プリロード可能な入力手段2100は前記入力手段1100と異なり、前記入力制御手段1140がプリロード可能な入力制御手段2140に置換されている。詳細には、前記プリロード可能な入力制御手段2140により、プリロード手段2145により制御される前記入力軸1110に沿ってプリロード可能な入力板2141を配置可能となる。
図5A及び
図5Bに図示する実施形態において、前記プリロード手段2145は入力軸1110のねじ部上にねじ込まれるナットとして記載されている。前記ナットをねじ込む又は外すことにより、矢印D及び矢印D’により概略図示する通り前記プリロード可能な入力板2141と前記第2の入力フランジ1130との間の距離を変更できる。これにより、使用者は前記入力弾性手段1142により加えられる弾性の付勢力を変更することが可能となる。その結果、前記無段変速機の特性を変更できる。詳細には、
図5A等に図示するようにプリロードが大きい場合、前記無段変速機により使用者は自転車の速度がどの位であってもハイギアを使用することが可能となり、その結果、ぺダリング回転数が減少する。
【0073】
前記プリロード可能な入力板2141の配置及び固定機構をプリロード手段2145としてのナットを参照して説明したが、本発明はこれに限定されないものとする。若しくは又は更に、前記入力弾性手段1142をより大きく又はより小さく圧縮可能なシステムは全て、本発明により実施可能であるものとする。
【0074】
若しくは又は更に、前記入力弾性手段1142が異なる力を前記第1の入力フランジ1120に加えるよう、使用者は前記入力弾性手段1142をより大きい又はより小さい弾性定数を有する別の入力弾性手段1142に手動で置換してもよい。
【0075】
若しくは又は更に、
図6A及び
図6Bを参照して説明する通り、前記プリロード可能な入力手段2100を参照して上述したプリロードは前記出力手段1300において実施してもよい。
【0076】
詳細には、
図6A及び
図6Bは本発明の実施形態による無段変速機1000のプリロード可能な出力部材の概略断面図である。詳細には、
図6Aはローギア及び低プリロードの概略図であり、
図6Bはローギア及び高プリロードの概略図である。
【0077】
プリロード可能な出力手段2300の動作は前記プリロード可能な入力手段2100の動作と略類似である。詳細には、前記プリロード可能な出力手段2300はプリロード可能な入力板2341を備え、前記プリロード可能な入力板2341の配置はプリロード手段2345により制御可能である。プリロードを変更することにより、即ち、前記プリロード手段2345と前記固定出力フランジ1330との間の前記距離D、D’を変更することにより、使用者は前記プリロード可能な出力手段2300のプリロードを制御可能である。この場合、前記出力弾性手段1342を置換することによってもプリロードを変更可能である。
【0078】
上述した前記プリロード可能な入力手段2100及び前記プリロード可能な出力手段2300はどちらも、プリロードを変更するためには前記入力手段又は出力手段が移動中ではないことが求められる。即ち、前記プリロード可能な入力手段はどちらも自転車が移動中の使用には不都合である。使用者が自転車でのツーリングの最中にぺダリング回転数又はぺダリング力を変更したい場合、自転車を停止させてプリロードを変更する必要がある。これはレースにおいて等、不都合となる場合がある。
【0079】
この問題を解消するため、本発明は、
図7A、
図7B、
図8A及び
図8Bを参照して説明する通りプリロードを間接的に変更可能な実施形態を備える。
【0080】
図7A及び
図7Bは、本発明の実施形態による無段変速機1000のプリロード可能な入力部材の概略断面図である。詳細には、
図7Aはローギア及び高プリロードの概略図である、
図7Bはローギア及び低プリロードの概略図である。
【0081】
プリロード可能な入力手段3100は前記入力手段1100と異なり、前記入力制御手段1140がプリロード可能な入力制御手段3140に置換されている。詳細には、前記プリロード可能な入力制御手段3140により、プリロード手段3145により制御される前記入力軸1110に沿ってプリロード可能な入力板3141を配置することが可能となる。
【0082】
図7A及び
図7Bに図示する実施形態において、前記プリロード手段3145は、最終的には前記プリロード手段3145と前記プリロード可能な入力板3141との間に車輪又は軸受等の回転手段3146を配置することにより前記プリロード可能な入力板3141を押圧する油圧ポンプとして概略図示する。
【0083】
本様態において、前記プリロード可能な入力板3141と前記固定入力フランジ1130との間の前記距離Dは、前記プリロード可能な入力制御手段2140を参照して説明した通り変更可能である。しかしながら、前記プリロード手段3145は油圧又は空気ポンプ、又はケーブルにより実施可能であるため、プリロードを間接的に行うことが可能である。図示しないが、前記プリロード手段3145への油圧又は空気的接続は対応する油圧又は空気システムに接続可能であるものとする。例えば、前記プリロード手段3145は、自転車上において使用者から届く位置に配置されるため効果的な図示しない主動シリンダにより制御される、従動シリンダとして動作してもよい。図示しないが、前記プリロード手段3145の配置は使用者が所定のプリロードを設定した後、固定してもよいことは当業者には自明である。例えば、前記プリロード手段3145の実施例である油圧又は空気ポンプ内の場合、使用者は逆止弁を操作することにより前記プリロード手段3145を所定の位置に固定可能である。
【0084】
図8A及び
図8Bは、本発明の実施形態による無段変速機1000のプリロード可能な出力部材の概略断面図である。詳細には、
図8Aはローギア及び低プリロードの概略図であり、
図8Bはローギア及び高プリロードの概略図である。
【0085】
プリロード可能な出力手段3300は出力手段1300と異なり、前記出力制御手段1340が前記プリロード可能な出力制御手段3340に置換されている。詳細には、前記プリロード可能な出力制御手段3340により、プリロード手段3345により制御される前記出力軸1310に沿って、最終的には回転手段3346を介してプリロード可能な出力板3341を配置することが可能となる。
【0086】
前記プリロード手段3345及び回転手段3346の動作は前記プリロード手段3145及び回転手段3146の動作と類似であって、前記手段に対して成された考察はここでも同様に適用される。
【0087】
上述の実施形態により、使用者が前記無段変速機1000のプリロードを変更することが可能となり、その結果、ぺダリング回転数を制御できる。プリロードを間接的に制御可能であることにより、使用者にとって更なる柔軟性が提供される。
【0088】
しかしながらプリロードを変更することにより、前記無段変速機1000は、プリロードが設定されると前記出力駆動手段1344の動作によりギア比が前記出力手段の速度により常時決定される自動変速機として機能し続ける。最終的には、実施形態によっては、出力駆動手段1344及び入力弾性手段1142及び出力弾性手段1342の適切な組合せにより、ぺダリング回転数を所定範囲の自転車速度に対して略一定に保持可能となる。
【0089】
しかしながら、使用者が前記無段変速機1000のギア比を決定する際に、より能動的な制御を希望する場合も考えられる。以下に、この更なる柔軟性を可能とする実施形態を説明する。
【0090】
図9A及び
図9Bは、使用者がギア比を制御可能な本発明の実施形態による無段変速機1000の出力部材の概略断面図である。詳細には、
図9Aはローギアにある前記無段変速機1000の概略図であって、
図9Bはハイギアにある前記無段変速機1000の概略図である。
【0091】
無段変速機1000の出力手段4300は出力手段1300と異なり、出力間接制御可能な駆動手段を含み、出力駆動手段1344を置換する出力制御手段4340を備える。詳細には、図示の実施形態において出力間接制御可能な駆動手段4344は油圧又は空気ポンプとして図示する。しかしながら、前記駆動手段4344は電動機、又はケーブル及びレバー又はカム、又は前記出力弾性手段1342の付勢力に対向して前記板1341を移動させることにより前記出力手段4300を駆動可能ないずれの手段により実施してもよい。図示の通り、油圧又は空気ポンプの場合には、油圧又は空気的接続は前記出力軸1310を介して実施してもよく、これにより前記出力手段4300への油圧又は空気的接続は、図示しない油圧又は空気的供給ラインを前記出力軸1310に接続する図示しない適切な回転可能な接続手段を設けることにより実施可能である。機械的ケーブル操作のために、出力軸を介して類似の接続を行ってもよい。
【0092】
前記出力間接制御可能な駆動手段4344を設けることにより、前記出力手段4300のギア比、したがって前記無段変速機1000のギア比は使用者により間接的に制御可能である。本様態において、使用者はスプロケット式変速機のような有限離散的な比率数に制限されることなく、無限連続的なギア比数から任意のギア比をいつでも選択可能である。
【0093】
前記出力制御手段4340を参照して上述したが、前記間接制御可能な駆動手段4344を前記入力制御手段1140において用いてもよいことは自明である。例えば、前記出力制御手段1340は前記出力弾性手段1342のみを備えていてもよく、前記変速機1000のギアの制御は、前記入力制御手段1140において実施される間接制御可能な駆動手段4344に類似の間接制御可能な駆動手段により実施してもよい。
【0094】
上述の前記無段変速機1000においては、前記出力間接制御可能な駆動手段4344が前記出力弾性手段1342により加えられる力に対抗可能であることが求められる。そのため、出力弾性手段1342が非常に強力な場合、前記供給ラインに接続される主動シリンダ等の前記制御手段に加えられる力の強度を軽減するためにレバー等の増幅手段を設ける必要がある場合がある。これは特に、前記出力間接制御可能な駆動手段4344が油圧又は空気ポンプにより実施されている場合である。
【0095】
電動機の場合、この要件は前記出力弾性手段1342の付勢に反作用するのに十分な強度の電動機を設けることにより解消してもよい。実施形態によっては、前記出力弾性手段1342を取外すことにより必要な動力を減少させて前記電動機を小型化することが可能である。これを
図10A及び
図10Bに図示する。
【0096】
詳細には、
図10A及び10Bは本発明の実施形態による無段変速機1000の出力部材の概略断面図であって、この場合、出力制御手段5340は電動機又は変換器、又はその他の電気的位置制御装置により実施される。
【0097】
より詳細には、
図10Aはローギアにある前記無段変速機1000を示し、
図10Bはハイギアにある前記無段変速機1000の概略図である。
【0098】
出力手段5300は出力手段1300と異なり、前記出力制御手段5340が
図4A及び
図4Bの実施形態のような機械的制御ではなく電気的制御を行う。これにより前記出力弾性手段1342、前記出力フランジ1341、及び前記収容部材1343が不要となり、前記出力軸1310に固定接続される電動機等の前記出力制御手段5340に置換可能という効果が得られる。
【0099】
出力制御手段5340としての前記電動機は前記出力フランジ1320を正確に配置して任意のギア比を得ることが可能である。前記電動機の制御は制御手段5350により実施可能である。
【0100】
実施形態によっては、制御手段5350はポテンショメータ又はPWM(pulse width modulation:パルス幅変調)制御器又はトランジスタ、又は前記出力制御手段5340を操作することにより前記出力フランジ1320の位置を制御可能ないずれかの手段等の、使用者が操作可能な制御手段であってもよい。これにより、使用者は任意のギア比を選択する柔軟性が得られる。
【0101】
その他実施形態においては、前記制御手段5350は速度を検知し前記出力制御手段5340を制御をするセンサであってもよい。検知される速度は例えば自転車の後軸、又は前輪又は後輪、又は前記出力軸1310の速度であってもよい。本様態において、前記制御手段5350は検知される速度が上昇すると前記無段変速機1000のギア比を上昇させるようプログラム制御してもよい。これにより、前記出力手段1300の挙動に類似の挙動を実施する自動変速機が得られる。更に、前記制御手段5350、即ち前記出力制御手段5340の配置と検知される速度との関係のプログラム制御は電子的に行ってもよく、これにより前記無段変速機において複数の異なる挙動が可能となる。例えば、自転車がどの速度であってもぺダリング回転数が一定に保持される無段変速機が得られる。その他の場合においては、検知される速度とぺダリング回転数との関係は予め決定される曲線に従ってもよい。例えば高速では、運転者がより容易に高速を維持できるようぺダリング回転数は高いことが好ましい。
【0102】
又、検知される速度と前記出力制御手段5340の配置との関係は図示しない更なる電子的制御で制御してもよい。使用者のために制御器を設けることにより使用者は任意のぺダリング回転数を設定でき、前記速度センサにより得られる速度情報を考慮することにより前記ぺダリング回転数を速度に関わらず維持可能である。更に、心拍監視装置に接続してもよく、この場合、心拍が所定の閾値又は後続する複数閾値を超えるとギア比を最終的には複数回減少させる。後者の場合、使用者はトレーニング目的で閾値を選択可能である。
【0103】
又、実施形態によっては、使用者が電子的又は空気的実施例に戻ることなく単純な機械的方法で一時的にギア比を固定することを希望する場合がある。これは
図11A及び
図11Bに図示する実施形態により可能となる。
【0104】
詳細には、
図11Aは本発明の実施形態による無段変速機1000の固定可能な出力部材の未固定状態の概略断面図である。
図11Bは、前記無段変速機1000の固定状態の概略図である。
【0105】
より詳細には、出力制御手段6340は出力制御手段1340と異なり、前記出力制御手段6340の位置を固定する固定手段6348を備える。
【0106】
前記固定手段6348は、前記出力軸1310に沿って前記出力フランジ1320の位置を固定可能であればいずれの手段であってもよい。これは例えば、図示の実施形態において、可動式で、出力軸1310内から前記フランジ1320に接触可能な、出力軸1310の一部位内に設けられるカム等の固定手段6348により実施される。本様態において、前記カムが前記フランジ1320に接触すると、
図11Bに図示の通り前記フランジ1320の出力軸1310に沿った移動が阻害される。一方、前記カムと前記フランジ1320が接触していない場合、前記フランジ1320は前記出力弾性手段1342及び前記出力駆動手段1344の作用下で出力軸1310に沿って移動可能である。図示の実施形態において、前記カムはばね等の付勢手段6348Aにより未固定位置に向けて付勢され、ケーブル又は空気式又は油圧式アクチュエータ等の駆動手段6347により駆動される。最後に、駆動枢軸6348Bにより前記駆動手段6347が前記固定手段6348に機械的に接続可能となり、回転枢軸6348Cにより前記固定手段6348が固定位置と未固定位置との間で回転可能となる。
【0107】
上述の実施例によれば、使用者はハンドルバーに設けられるレバー等により前記駆動手段6347を間接的に操作することにより、前記無段変速機を所定のギア比に一時的に固定できる。
【0108】
上述の無段変速機は全て、前記入力軸1110を自転車のクランクに、軸前記出力軸1310を自転車の後軸に接続することにより使用可能である。この場合、前記前記入力手段1100及び出力手段1300の回転速度はそれぞれクランク軸及び後軸の回転速度に相当する。
【0109】
実施形態によっては、高速で回転する前記入力手段1100及び/又は前記出力手段1300を備えることが望ましい場合がある。これは例えば
図4A及び
図4Bの実施形態において図示する通り、前記出力手段1300が機械的方法で制御される場合に特に効果的にとなり得る。詳細には、前記出力制御手段1340の回転速度を高くすることにより、前記出力駆動手段1344の重量及び寸法が軽減されて効果的である。
【0110】
前記入力手段1100及び/又は前記出力手段1300を速回転させるため、前記入力手段1100及び/又は前記出力手段1300において増幅変速機を設けてもよい。そのような実施形態を
図12A、
図12B、
図13A及び
図13Bを参照して以下に説明する。
【0111】
図12Aは、本発明の実施形態による無段変速機7000の部材の概略側面図である。
図12Bは
図12Aの実施形態の概略平面図である。
【0112】
前記無段変速機7000は無段変速機1000と異なり、入力増幅手段7500及び/又は出力増幅手段7400を備える。一般的に、増幅手段は前記入力手段1100又は出力手段1300をそれぞれクランク軸及び後軸より高速で回転可能であればいずれの手段で実施してもよい。したがって、増幅手段はプーリ、ギア、カルダン軸又は類似の部材により実施してもよい。図示する実施形態において、図示を容易にする目的でギアを記載しているが、本発明はこれに限定されない。
【0113】
詳細には、入力増幅手段7500はギア7510~7513と入力軸7520とを備える。前記入力軸7520は小ギア7511を駆動する大ギア7513に固定接続される。小ギア7511は、前記入力手段1100の前記入力軸1110に固定接続される小ギア7510を駆動する大ギア7512に固定接続される。本様態において、前記入力手段1100の前記入力軸1110は前記入力増幅手段7500の入力軸7520より高速で回転する。出力増幅手段7400はギア7410~7413及び出力軸7420により類似の様態で動作する。
【0114】
実施形態によっては、前記入力増幅手段7500は5~30の範囲、好ましくは10~15の範囲の倍率を有していてもよい。実施形態によっては、前記出力増幅手段7400の倍率は前記入力増幅手段7500の倍率より低くてもよい。詳細には、前記出力増幅手段7400は2~10の範囲、好ましくは3~6の範囲の倍率を有していてもよい。
【0115】
上述の値により、前記無段変速機は、前記入力増幅手段7500の倍率の前記出力増幅手段7400の倍率に対する比率により決定されるプリセット増倍係数を有することができ効果的である。これにより、前記無段変速機7000の比率を前記プリセット増倍係数により効果的に増幅可能なため、前記無段変速機7000をより効率的に使用することができ効果的である。
【0116】
実施形態によっては、出力駆動手段1344としてとして作用する重りの総質量は100~500グラム、好ましくは140~300グラムの範囲で選択してもよい。これは上述の増倍係数と組合せると、前記出力手段1300が300~4,000rpmの範囲、好ましくは400~2000rpmの範囲の回転速度で動作可能となるため非常に効果的である。
【0117】
実施形態によっては、前記入力手段1100及び前記出力手段1300のプーリの直径は20mm~120mmの範囲であってもよい。この寸法により、上述の重りの総質量及び増倍係数を効果的に組合せることができ、効果的な無段変速機7000が得られる。更に、この寸法により前記無段変速機7000の小型化が可能となる。
【0118】
更に、前記入力手段1100及び1300のプーリから前記伝動手段1200に伝わるトルクが前記増幅手段7400及び7500の存在により軽減される。これは、同一のペダル力に対して、前記伝動手段1200の前記入力手段1100及び/又は出力手段1300周囲での最小巻回直径も小さくなることを意味するため、無段変速機が小型化でき、これにより総質量も減少するため効果的である。
【0119】
4個のギア7410~7413及び7510~7513を図示したが、増幅効果が得られれば用いるギアの数は問わないことは当業者には自明である。更に、出力ギア7410~7413及び入力ギア7510~7513は略左右対称に図示しているが、本発明はこれに限定されず、前記入力増幅手段7500及び前記出力増幅手段7400は相互に異なる形で実施してもよい。
【0120】
前記入力増幅手段7500及び/又は前記出力増幅手段7400の増幅効果により、出力駆動手段1344として動作する重りを小型化でき、及び/又は前記入力弾性手段1142及び/又は前記出力弾性手段1342を小型化できる。更に、前記無段変速機7000に作用する力が軽減されるため、前記伝動手段1200の寸法、より一般的には前記無段変速機7000の全構成要素の寸法も小型化できる。したがって、前記無段変速機1000に対して、前記無段変速機7000に増幅手段が追加されても、前記無段変速機7000を前記無段変速機1000より小型化及び/又は軽量化できる。更に、増幅効果によりフランジ1120及び1330間で伝動手段1200に伝わるトルクが軽減される。
【0121】
図13Aは、本発明の実施形態による無段変速機8000の部材の概略側面図である。
図13Bは、
図12Aの実施形態の概略平面図である。
【0122】
無段変速機8000は無段変速機7000と異なり、前記入力増幅手段7500及び前記出力増幅手段7400が前記入力手段1100及び前記出力手段1300の対向する側に配置される。若しくは又は更に、無段変速機8000は無段変速機7000と異なり、前記ギア7413及び7513が同軸に設けられる。若しくは又は更に、無段変速機8000は無段変速機7000と異なり、前記ギア7413及び7513はクランク軸と同軸に設けられる。
【0123】
前記入力増幅手段7500及び前記出力増幅手段7400を前記入力手段1100及び前記出力手段1300の対向する側に配置することにより、
図13Aに図示の通り前記ギアがZY面において少なくとも部分的に重複可能なため、前記無段変速機8000をより小型化することが可能となる。前記ギア7413及び7513を同軸に配置することにより、前記無段変速機8000の寸法を更に抑えることが可能となり、前記ギア7413、7513の軸が自転車のクランク軸の軸に対応している場合は更に小型化でき、前記クランク軸8600の前記入力軸7520への接続が簡素化される。
【0124】
この後者の例の場合、図示を容易にするため図示しないが、前記出力軸7420は前記クランク軸8600上で自由に回転可能な一方、前記入力軸7520は前記クランク軸8600に固定接続されていてもよいことは当業者には自明である。前記出力軸7420はベルト、チェーン、カルダン軸、又は類似の部材等、いずれの変速機により自転車の後軸へ接続されていてもよい。
【0125】
図13Bから分かる通り、前記無段変速機8000は前記クランク軸8600に対応する底頂部を有する略三角形形状を有しており効果的である。これは、自転車フレームの底部ブラケットの略三角形形状に合致するため、最終的にはフレームの一部を前記無段変速機8000の部材の一部に対する支点として用いることにより、前記無段変速機8000を自転車フレーム内に理想的な形で統合可能となるため非常に効果的である。
【0126】
無段変速機7000及び8000を入力手段1100及び出力手段1300を参照して説明したが、本発明はこれに限定されないことは当業者には自明である。又、上述した入力手段はいずれも、上述した出力手段のいずれと組合せてもよく、当該組合せは無段変速機1000、7000又は8000のいずれにも実装可能である。
【0127】
本発明の実施形態の一部は、上述の無段変速機1000、7000、8000のいずれかを備える自転車に関する。自転車における前記無段変速機の配置は、前記変速機が最終的にはチェーン又はベルト等のその他の伝動手段によりクランク軸及び後軸に接続可能であれば制限されない。
【0128】
以下において、前記無段変速機を非常に効果的に配置した実施形態を説明する。
【0129】
詳細には、
図14は本発明の実施形態による自転車の部材の概略側面図である。より詳細には、自転車9000はクランク軸8600と、後軸9800と、上述の無段変速機のいずれか、とを備える。図示の実施例において、図示を明確にする目的のみで前記無段変速機1000を参照する。
【0130】
前記無段変速機は前記後軸9800と前記クランク軸8600との略間に配置される。これにより、前記無段変速機の重量を自転車の中心に向かって移動させることが可能となり、取扱いが容易になり、自転車が後方サスペンションを備えている場合に後軸にかかるばね下重量の上昇を防止できる。
【0131】
前記無段変速機1000の前記入力手段1100は最終的には第1の変速機9710によりクランク軸に接続される。同様に、前記出力手段1200は最終的には第2の変速機9720により後軸に接続される。前記第1の変速機9710及び/又は第2の変速機9720のいずれかはチェーン、ギア、伝動軸、ベルト等のいずれかであってもよい。若しくは又は更に、前記第1の変速機9710及び/又は第2の変速機9720のいずれかは増幅効果を提供してもよく、即ち上述の前記入力増幅手段7500及び出力増幅手段7400を実施してもよい。即ち、第1の変速機9710は前記入力手段1100又は前記入力軸1110、7520を前記クランク軸8600より高速で回転させる第1の変速比を有していてもよく、及び/又は前記第2の変速機9720は有する前記出力手段1300又は前記出力軸1310、7420を前記後軸9800より高速で回転させる第2の変速比を有していてもよい。
【0132】
詳細には、前記増幅手段は
図12A~
図13Bを参照して上述した前記増幅手段、前記第1の変速機9710及び/又は前記第2の変速機のいずれの組合せで実施してもよい。
【0133】
例えば、
図15は本発明の実施形態による自転車の部材の概略側面図である。詳細には、自転車10000はクランク軸8600と、後軸9800と、無段変速機1000、7000、8000のいずれか、とを備える。図示の自転車はシティ用であるが、前記自転車10000は例えばレース用自転車、マウンテンバイク、又はサイクリングマシン等の運動用自転車等、いずれの種類の自転車であってもよいことは自明である。
【0134】
前記無段変速機1000、7000又は8000を前記クランク軸8600に略対応させて配置することにより、前記クランク軸8600を前記入力軸1100又は前記入力軸7520に図示の通り直接又は第1の変速機9710等の第1の変速機により接続できる。同様に、前記出力軸1300又は7420は最終的には第2の変速機9700により前記後軸9800に接続される。
【0135】
図示の実施例において、前記入力軸1110又は7520は前記クランク軸に直接接続してもよい。前記入力増幅手段は
図12A~
図13Bを参照して説明した通り実施してもよい。前記出力増幅手段は最終的には前記第2の変速機9720の特性により得られる増幅効果と組合せて、
図12A~
図13Bを参照して説明した通り実施してもよい。
【0136】
又、上述の無段変速機はいずれも前記後軸9800に略配置してもよい。例えば、前記後軸9800は前記出力軸7420又は1310に接続してもよい。
【0137】
図16は本発明の実施形態による無段変速機11000の部材の概略平面図である。
【0138】
図16から分かる通り、前記無段変速機11000は前記入力手段1100と出力手段1300とを備える。前記入力手段1100は前記クランク軸8600と略同軸であるが、直接接続されてはいない。代わりに、前記クランク軸8600は最終的には一部に小径部分を備え、当該小径部分に前記入力手段1100が配置されて、前記入力手段1100が軸受等によりその上で自由に回転する支持を効果的に提供する。この点において、前記クランク軸8600の大径の部分は2本の半クランク軸11601及び11602に特定してもよい。図面において、半クランク軸11601及び11602間の小径と思われる前記クランク軸8600の残りの部分は前記無段変速機11000の存在により視認できない。しかしながら、2本の前記半クランク軸11601及び11602は相互に接続されるものとする。
【0139】
本実施形態において、前記無段変速機7000及び8000と同様に、入力増幅手段7500はこの場合は前記クランク軸8600である入力軸と前記入力手段1100との間に設けられる。より詳細には、図示の実施形態において、前記半クランク軸11602は固定部11603により前記入力増幅手段7500に接続される。詳細には、前記固定部11603は前記入力増幅手段7500の前記第1のギアを前記半クランク軸11602に固定し、これにより前記クランク軸8600からのトルクを前記入力増幅手段7500に伝動する。この点において、前記半クランク軸11602は入力軸7520として効果的に機能し、これにより構成要素の数を抑制し、小型で軽量な無段変速機11000を提供する。
【0140】
前記入力増幅手段7500は、前記固定部11603と前記入力手段1100との間でZ方向に効果的に配置される複数のギアを備える。ギアの所定の相対的配置は様々に実施可能であることは自明である。前記入力増幅手段7500を本位置に配置することにより、前記クランク軸8600の標準幅を効果的に利用して前記入力増幅手段7500及び前記入力手段1100を配置することが可能となり、これにより非常に小型の無段変速機11000が得られる。
【0141】
上述の通り、前記入力手段1100からのトルクは前記伝動手段1200を介して前記出力手段1300に伝動される。前記出力手段1300は一般的に、Z方向において前記入力手段1100より厚みがある。図示の通り前記入力増幅手段7500を前記入力手段1100側に配置することにより、前記出力手段1300、及び前記入力増幅手段7500及び前記入力手段1100の組合せのZ方向における寸法が略類似となり、したがって構成要素を最適に分散させることより非常に小型の無段変速機11000が得られる。
【0142】
本実施形態における前記出力手段1300は、上述した前記出力手段6300として略動作する。更に、出力増幅手段7400が設けられ、これにより上述した各利点が得られる。図示の実施形態において、前記出力増幅手段7400は、前記クランク軸8600と略同軸であり、前記クランク軸8600上で図示しない軸受等の手段により自由に回転する出力軸7420を備える。この構成の利点は、好ましくは通常の自転車寸法を有する出力スプロケット11421を前記出力軸7420に装着でき、これによりスプロケットを後輪に接続するための従来チェーンが取付可能となる点である。更に、前記出力軸7420を前記クランク軸8600に装着することにより、既存の前記クランク軸8600以外の支持部材無しに前記出力軸7420が安定するため、前記無段変速機11000の重量及び寸法を抑えることができる。しかしながら、前記出力軸7420を前記無段変速機11000のその他の位置に実施してもよいことは自明である。
【0143】
図示の実施形態はZ方向において、入力増幅手段7500、前記入力手段1100及び出力軸7420の組合せからなる寸法を有するが、これは通常の自転車ペダル間の距離の範囲内となるため、標準的な自転車のペダル用ハブの厚さ内に効果的に嵌合可能な非常に小型の無段変速機11000が得られる。
【0144】
更に、前記無段変速機の二車軸システムは特にZ方向において小型なため、高速運転時の自転車にかかる空力抵抗を軽減できる。更に、例えば前記無段変速機8000のように3本ではなく2本の車軸のみを用いることにより、構成要素の数を抑制することができ、これによりコスト、重量及び寸法を抑制できる。
【0145】
図17は本発明の実施形態による自転車12000の部材の概略側面図である。より詳細には、自転車1200は前記無段変速機11000を備える。図から分かる通り、前記無段変速機11000は前記入力軸及び出力軸が前記クランク軸8600と略同軸であるという効果的な形態でなされているため、前記無段変速機11000をペダルハブに装着し、ハンドルバーに向かってフレームの方向に延伸させることが可能となる。これは、フレームのこの部分はサスペンションを備える自転車であっても通常空いているため、これにより前記無段変速機11000を様々な自転車に嵌合させることが可能となり非常に効果的である。
【0146】
運動用自転車の場合も、使用者が略一定な労力で運動できるため本発明は非常に効果的である。標準的な運動用自転車においては、使用者が自分が使っている力の大きさを正確に判断するのは難しい場合があり、誤って力が強くなり過ぎたり、弱く過ぎたりする可能性がある。事故後等のトレーニング又は回復に使用した場合、使用者がペダルにかける力を正確に制御できることは、使用者が使うべき又は使ってもよい労力を指導者又は医師が正確に制御可能となるため非常に有益である。
【0147】
上記において、説明を明確にするため複数の実施形態を個別に説明したが、上述の実施形態の特徴はいずれも、特許請求の範囲に定める本発明の範囲内において、上述のその他実施形態のいずれの特徴のいずれと組合せて用いてもよいことは当業者には自明である。
【符号の説明】
【0148】
1000:無段変速機
1100:入力手段
1110:入力軸
1120:第1の入力フランジ
1130:第2の入力フランジ
1140:入力制御手段
1141:入力板
1142:入力弾性手段
1200:伝動手段
1300:出力手段
1310:出力軸
1320:第1の出力フランジ
1330:第2の出力フランジ
1340:出力制御手段
1341:出力板
1342:出力弾性手段
1343:収容部材
1344:出力駆動手段
2100:プリロード可能な入力手段
2140:プリロード可能な入力制御手段
2141:プリロード可能な入力板
2145:プリロード手段
2300:プリロード可能な出力手段
2341:プリロード可能な入力板
2345:プリロード手段
3100:プリロード可能な入力手段
3140:プリロード可能な入力制御手段
3141:プリロード可能な入力板
3145:プリロード手段
3146:回転手段
3300:プリロード可能な出力手段
3340:プリロード可能な出力制御手段
3345:プリロード手段
3346:回転手段
4300:出力手段
4340:出力制御手段
4344:出力間接制御可能な駆動手段
5300:出力手段
5340:出力制御手段
5350:制御手段
6300:固定可能な出力手段
6347:駆動手段
6348:固定手段
6348A:付勢手段
6348B:駆動枢軸
6348C:回転枢軸
7000:無段変速機
7400:出力増幅手段
7410~7413:ギア
7420:出力軸
7500:入力増幅手段
7510~7513:ギア
7520:入力軸
8000:無段変速機
8600:クランク軸
9000:自転車
8600:クランク軸
9710:変速機
9720:変速機
9800:後軸
10000:自転車
11000:無段変速機
11421:出力スプロケット
11601、11602:半クランク軸
11603;固定部
12000:自転車