(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 290/00 20060101AFI20220714BHJP
C09J 155/04 20060101ALI20220714BHJP
C09J 123/22 20060101ALI20220714BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20220714BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220714BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
C08F290/00
C09J155/04
C09J123/22
C09J4/02
C09J11/06
G02F1/1333
(21)【出願番号】P 2018556748
(86)(22)【出願日】2017-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2017044969
(87)【国際公開番号】W WO2018110666
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2016242373
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】高崎 一平
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中島 剛介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶次
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060912(JP,A)
【文献】特開2015-054938(JP,A)
【文献】特開2012-144634(JP,A)
【文献】特開2014-148606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F290、299、C09J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(
E)を含有する組成物。
(A)(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマー100質量部
(B)(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーが700質量部を超える量
(C)フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート
300質量部以上500質量部以下
(D)光重合開始剤
(E)同一分子内にフェノール基と硫黄を有する酸化防止剤であるか、又は、フェノール基を有する酸化防止剤と硫黄を有する酸化防止剤の組み合わせである、酸化防止剤
【請求項2】
(C)成分が、式(1)で示される化合物である請求項1に記載の組成物。
【化1】
【請求項3】
(A)成分のジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、及びポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上の骨格である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(B)成分のジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、及びポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上の骨格である請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
(A)成分の分子量が500~70000である請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
(B)成分の分子量が500~70000である請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
更に、(F)シランカップリング剤を含有する
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
硬化収縮率が2.0%以下である
請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物をダム剤とフィル剤として使用する場合、ダム剤とフィル剤の400nm透過率差が1%以下、屈折率差が0.01以下である
請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
1000mJ/cm
2以上の紫外線照射により、幅1mm以上の光非透過部を硬化できる
請求項1~9のうちのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~10のうちのいずれか1項に記載の組成物を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のうちのいずれか1項に記載の組成物を含有する接着剤組成物。
【請求項13】
用途がレンズ用接着剤である
請求項12に記載の接着剤組成物。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の接着剤組成物の硬化体。
【請求項15】
請求項14に記載の硬化体により被覆又は接合された被着体を含む複合体。
【請求項16】
請求項15に記載の被着体がトリアセチルセルロース、フッ素系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラス、金属からなる群から選ばれる1種以上である複合体。
【請求項17】
請求項12又は13に記載の接着剤組成物により接合された被着体を含むタッチパネル積層体。
【請求項18】
請求項12又は13に記載の接着剤組成物により接合された被着体を含む液晶パネル積層体。
【請求項19】
請求項17に記載のタッチパネル積層体を含むディスプレイ。
【請求項20】
請求項18に記載の液晶パネル積層体を含むディスプレイ。
【請求項21】
請求項12又は13に記載の接着剤組成物により接合されたレンズを含むレンズ積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡や光学カメラ、プロジェクタ等の光学機器のレンズは、複数の凹レンズ・凸レンズを組み合わせて構成されている。
【0003】
LCD(液晶ディスプレイ)等の表示体の上に搭載するタッチパネル(抵抗膜式、静電容量式、電磁誘導式、光学式等)では、表面に、見た目のデザイン性を良くする化粧板や、タッチする位置を指定するアイコンシートを貼り合わせることがある。静電容量式タッチパネルは、透明基板の上に透明電極を形成し、その上に透明板を貼り合わせた構造を有している。
【0004】
このような光学レンズ同士の貼り合わせ、化粧板とタッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせには、透明な接着剤が用いられている。
【0005】
特許文献1は、(A)ポリイソプレン、ポリブタジエン又はポリウレタンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマー、(B)柔軟化成分、並びに(C1)フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO付加物(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートから選択した(メタ)アクリレートモノマーを含む光硬化型樹脂組成物が記載されている。
【0006】
光学顕微鏡や光学カメラ、プロジェクタ等の光学機器のレンズを貼り合わせる接着剤には、透明であり、硬化収縮率が低いこと、接着剤の剥がれ(キレとも呼ばれる)がないことが要求される。
【0007】
近年、LCD等の表示体のガラスが薄くなってきている。ガラスが薄くなると外部応力でLCDが変形しやすくなる。薄いガラスを用いたLCD等の表示体と、アクリル板やポリカーボネート板等の光学機能材料とを貼り合わせた場合、ガラスとアクリル等の線膨張の違いや、アクリル板やポリカーボネート等のプラスチック成型材の成型時の歪みにより、耐熱試験や耐湿試験において成型歪みの緩和や吸湿/乾燥が起こり、寸法変化や反り等の面精度変化が起きる。
【0008】
特許文献2は、ウレタン系(メタ)アクリレート、ポリブタジエン系(メタ)アクリレート、及びイソプレン系(メタ)アクリレートを成分とする硬化樹脂が記載されている。しかし、特許文献2の方法により変形を抑えようとした場合、接着面が剥がれたり、光学レンズにキレが発生したり、LCDが割れたり、LCDが表示ムラになったりするという課題があった。
【0009】
特許文献2の課題の解決策として、特許文献3のようなUV硬化型樹脂が記載されている。特許文献3はイソボルニル(メタ)アクリレートのような剛直な骨格モノマーをベースとした高弾性樹脂であるが故に、高温信頼性試験において被着体の膨張収縮に耐えることができず、剥がれを生じてしまう可能性があった。
【0010】
光学レンズ同士の貼り合わせ、化粧板とタッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせ等といった用途では、使用環境を想定した加温雰囲気での被着体の変形に追随できる程度の柔軟性を有することが望ましいとされている。
【0011】
一方、使用環境を想定した加温雰囲気での被着体の変形に追随できる程度の柔軟性を有するが故に、耐熱試験後の着色、変色、耐湿試験後の強度低下といった課題があることも明らかとなっている。上記課題の解決策として、特許文献4は、ポリイソプレン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選ばれた1種以上のオリゴマーとヒンダードアミンとを含有する光硬化型接着組成物が記載されている。
【0012】
特許文献5は、(A)(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマー100質量部、(B)400質量部を超える、(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマー、(C)100質量部を超える、芳香族環を有する(メタ)アクリレート、(D)光重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2010/027041号
【文献】特開2004-77887号公報
【文献】特開昭64-85209号公報
【文献】特開2012-46658号公報
【文献】国際公開第2013/136945号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述した特許文献のいずれに開示された組成物も、光学レンズの貼り合わせ、タッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせに対しては、好適であるとは言えない性能でしかなく、また組成物の硬化収縮率も小さいとは言えなかった。さらに従来技術に係る組成物では、イソボルニル(メタ)アクリレートのような剛直な骨格のモノマーを使用しないと、高温信頼性試験において被着体の膨張収縮に耐えることもできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
即ち、本発明は、以下の通りである。
<1>下記(A)~(D)を含有する組成物。
(A)(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマー100質量部
(B)(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーが700質量部を超える量
(C)フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート
(D)光重合開始剤
【0016】
<2>(C)成分が、式(1)で示される化合物である該組成物。
【化1】
【0017】
<3>(A)成分のジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、及びポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上の骨格である該組成物。
【0018】
<4>(B)成分のジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、及びポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上の骨格である該組成物。
【0019】
<5>(A)成分の分子量が500~70000である該組成物。
【0020】
<6>(B)成分の分子量が500~70000である該組成物。
【0021】
<7>更に、(E)酸化防止剤を含有する該組成物。
【0022】
<8>(E)成分が、同一分子内にフェノール基と硫黄を有する酸化防止剤である該組成物。
【0023】
<9>(E)成分が、フェノール基を有する酸化防止剤と硫黄を有する酸化防止剤を併用する該組成物。
【0024】
<10>更に、(F)シランカップリング剤を含有する該組成物。
【0025】
<11>硬化収縮率が2.0%以下である該組成物。
【0026】
<12>組成物をダム剤とフィル剤として使用する場合、ダム剤とフィル剤の400nm透過率差が1%以下、屈折率差が0.01以下である該組成物。
【0027】
<13>1000mJ/cm2以上の紫外線照射により、幅1mm以上の光非透過部を硬化できる該組成物。
【0028】
<14>該組成物を含有する硬化性樹脂組成物。
【0029】
<15>該組成物を含有する接着剤組成物。
【0030】
<16>用途がレンズ用接着剤である該接着剤組成物。
【0031】
<17>該接着剤組成物の硬化体。
【0032】
<18>該硬化体により被覆又は接合された被着体を含む複合体。
【0033】
<19>該被着体がトリアセチルセルロース、フッ素系ポリマー、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ガラス、金属からなる群から選ばれる1種以上である複合体。
【0034】
<20>該接着剤組成物により接合された被着体を含むタッチパネル積層体。
【0035】
<21>該接着剤組成物により接合された被着体を含む液晶パネル積層体。
【0036】
<22>該タッチパネル積層体を含むディスプレイ。
【0037】
<23>該液晶パネル積層体を含むディスプレイ。
【0038】
<24>該接着剤組成物により接合されたレンズを含むレンズ積層体。
【0039】
本発明の実施形態においては、(B)(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーが、(A)(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマー100質量部に対して、700質量部を超えることにより、光学レンズの貼り合わせ、タッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせに対して、好適であることを見出した。この使用量は、特許文献1の実施例と異なるものであり、特許文献1に記載がない。
【0040】
また特許文献4は、(B)(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーについて、700質量部を超えて使用していない。
【0041】
また特許文献5は、(B)(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーについて、700質量部を超えて使用していない。
【発明の効果】
【0042】
本発明の実施形態により、硬化収縮率が小さい組成物が提供される。当該組成物は例えば、光学レンズの貼り合わせ、タッチパネルとの貼り合わせ、アイコンシートとタッチパネルとの貼り合わせ、透明基板と透明板の貼り合わせに対して好適な性能を呈することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(A)成分は、(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーである。
【0044】
本発明の実施形態における該オリゴマーの主鎖骨格は、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格である。ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、及びポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上の骨格が好ましい。これらの中では、接着耐久性が大きい点で、ポリブタジエン及びポリイソプレンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリイソプレンがより好ましい。
【0045】
該オリゴマーは、上記主鎖骨格の末端又は側鎖に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。これらの中では、主鎖骨格の両末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが好ましい。
【0046】
該オリゴマーの分子量は500~70000が好ましく、1000~60000がより好ましく、1000~55000が最も好ましい。分子量がこの範囲であれば、本発明の硬化体の硬度が高いので接着層を形成しやすくなり、硬化性樹脂組成物の粘度が小さいので製造過程での混合等における作業性や実用用途において作業性が良好になる。
【0047】
本明細書において分子量は、分子1個あたりの平均分子量として算出される数平均分子量を指す。本発明の実験例では、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した、ポリスチレン換算の数平均分子量を使用した。具体的には、数平均分子量は、下記の条件にて、溶剤としてテトラヒドロフランを用い、GPCシステム(東ソー社製SC-8010)を使用し、市販の標準ポリスチレンで検量線を作成して求めた。
【0048】
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃
カラム構成:東ソー社製「TSKguardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、及び東ソー社製「TSK-GELMULTIPOREHXL-M」
7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)
サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm2
検出器:RI検出器
【0049】
(A)成分のオリゴマーとしては、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル化物オリゴマー(構造は下記式(2)参照、クラレ社製「UC-203」等)、日本曹達社製「TEAI-1000」(末端アクリル変性した水素添加1,2-ポリブタジエンオリゴマー)、日本曹達社製「TE-2000」(末端アクリル変性した1,2-ポリブタジエンオリゴマー)等が挙げられる。これらの中では、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル化物オリゴマーが好ましい。
【0050】
【0051】
Yとしては、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。Yとしては、直鎖状のアルキレン基が好ましい。Yの中では、炭素数1~8のアルキレン基が好ましく、炭素数2~3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のエチレン基が最も好ましい。Yは、非置換の炭化水素基が好ましい。(メタ)アクリロイル基の数は1~10が好ましい。
【0052】
(B)成分は、(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーである。
【0053】
本発明の実施形態における該オリゴマーの主鎖骨格は、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格である。ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエンの水素添加物、及びポリイソプレンの水素添加物からなる群から選ばれる1種以上の骨格が好ましい。これらの中では、接着耐久性が大きい点で、ポリブタジエン及びポリイソプレンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリブタジエンがより好ましい。
【0054】
該オリゴマーの分子量は500~70000が好ましく、1000~60000がより好ましく、1000~55000が最も好ましい。分子量がこの範囲であれば、硬化体の硬度が高いので接着層を形成しやすくなり、硬化性樹脂組成物の粘度が小さいので製造過程での混合等における作業性や実用用途において作業性が良好になる。
【0055】
本明細書において分子量は、分子1個あたりの平均の分子量として算出される数平均分子量を指す。測定方法等の詳細は(A)成分のオリゴマーの場合と同じである。
【0056】
(B)成分のオリゴマーとしては、クラレ社製「LIR-50」(イソプレンオリゴマー)、クラレ社製「LBR-307」「LBR-305」(ポリブタジエンオリゴマー)、東洋紡社製「バイロン」(非晶質ポリエステル樹脂)、クレイバレー社製「Ricon-130」等が挙げられる。これらの中では、イソプレンオリゴマー、ポリブタジエンオリゴマーからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリブタジエンオリゴマーがより好ましい。ポリブタジエンオリゴマーとしては、1,2-ポリブタジエンオリゴマーと1,4-ポリブタジエンオリゴマーからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0057】
(C)成分はフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートである。フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートのフェノキシ基は、アルキルフェノキシ基であってもよい。フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、下記式(1)で示されるフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0058】
【0059】
R2としては、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。R2としては、直鎖状のアルキレン基が好ましい。R2の中では、炭素数1~8のアルキレン基が好ましく、炭素数2~3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のエチレン基が最も好ましい。R3はアルキル基が好ましい。R3がアルキル基である場合、炭素数1以上のアルキル基が好ましく、炭素数3以上のアルキル基がより好ましく、炭素数4以上のアルキル基が最も好ましい。R3がアルキル基である場合、炭素数12以下のアルキル基が好ましく、炭素数10以下のアルキル基がより好ましく、炭素数9のアルキル基が最も好ましい。nは任意の正の整数であり、1~30の整数が好ましい。nは1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が最も好ましく、4以上が尚更好ましい。nは20以下が好ましく、10以下がより好ましく、8以下が最も好ましく、4が尚更好ましい。R1、R2、R3は、非置換の炭化水素基が好ましい。
【0060】
(C)成分は、EO(エチレンオキシド)鎖-(CH2CH2O)n-を有するフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。ここで、n=1以上が好ましく、n=2以上がより好ましく、n=4以上が最も好ましい。フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの中では、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。(C)成分のエチレンオキシド鎖-(CH2CH2O)n-は、n=10以下が好ましく、n=8以下がより好ましい。n=4が最も好ましい。これらの(メタ)アクリレートは1種以上が使用できる。
【0061】
(D)成分は、光重合開始剤である。光重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤及びアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群のうちの1種以上が好ましい。アルキルフェノン系光重合開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン等が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド系光開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの1種以上が使用できる。
【0062】
(E)成分は、酸化防止剤である。酸化防止剤の中では、耐熱試験後の着色や変色が起こらず、耐湿試験後の強度低下が起こらない点で、フェノール系/硫黄系酸化防止剤が好ましい。フェノール系/硫黄系酸化防止剤は、フェノール基と硫黄を有する酸化防止剤である。フェノール系/硫黄系酸化防止剤としては、同一分子内にフェノール基及び硫黄を有する酸化防止剤が挙げられる。またフェノール系/硫黄系酸化防止剤としては、フェノール基を有する酸化防止剤(以下フェノール系酸化防止剤ということもある)と硫黄を有する酸化防止剤(以下硫黄系酸化防止剤ということもある)を併用するものも挙げられる。
【0063】
同一分子内にフェノール基及び硫黄を有する酸化防止剤としては、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-O-クレゾール、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-O-クレゾール、4,6-ビス(アルキルチオメチル)-O-クレゾール、2,6-ジ-t-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、ジオクタデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0064】
フェノール基を有する酸化防止剤と硫黄を有する酸化防止剤を併用する場合、フェノール系酸化防止剤としては、分子内にフェノール基を有する酸化防止剤であれば特に限定はなく、下記式(3)の構造を有する酸化防止剤が好ましい。
【0065】
【0066】
R5は酸化防止機能を有する骨格が好ましい。酸化防止機能を有する骨格としては、炭化水素基を有する骨格、カルボニル基を有する骨格、ケトン基を有する骨格、エーテル基を有する骨格等が挙げられる。これらの中では、アルキルプロピオネート基が好ましい。
【0067】
フェノール基を有する酸化防止剤と硫黄を有する酸化防止剤を併用する場合、フェノール系酸化防止剤としては、ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-,C7-C9側鎖アルキルエステル、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、3,3’,3”,5,5’,5” -ヘキサ-t-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト等が挙げられる。
【0068】
フェノール基を有する酸化防止剤と硫黄を有する酸化防止剤を併用する場合、硫黄系酸化防止剤としては、分子内に硫黄を有す酸化防止剤であれば特に限定は無く、下記式(4)の構造を有する酸化防止剤が好ましい。
【0069】
式(4)
R6-S-R7
(式(4)中、R6、R7は任意の置換基を示す。)
【0070】
R6、R7は酸化防止機能を有する骨格が好ましい。酸化防止機能を有する骨格としては、炭化水素基を有する骨格、カルボニル基を有する骨格、ケトン基を有する骨格、エーテル基を有する骨格等が挙げられる。これらの中では、アルキルプロピオネート基が好ましい。
【0071】
硫黄系酸化防止剤としては、ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジテトラデシル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ジオクチル3,3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。
【0072】
本発明の実施形態では、ガラスへの密着力を向上させる目的で、(F)成分として、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤としては、アルコキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ユレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中では、ガラス等への接着性の点で、アルコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランからなる群のうちの1種以上が好ましく、アルコキシシランがより好ましい。アルコキシシランの中では、デシルトリメトキシシランが好ましい。
【0073】
本発明の実施形態に係る組成物は前記(A)~(D)成分を含有することにより、硬化収縮率が小さくなる。本組成物は、例えば、硬化収縮率が2.0%以下を示す。硬化収縮率は体積比重法より算出する。小さい硬化収縮率により、例えば、光学レンズ同士を貼り合わせる場合や、タッチパネル等の表示体に使用される化粧板やアイコンシートを貼り合わせる場合に、応力、熱、湿度等の外的因子による剥がれを抑制することが可能となる。
【0074】
本発明の実施形態によれば、前記(A)~(D)成分を含有することにより、組成物を光や紫外線で硬化させることが可能になる。本組成物は、前記(A)~(D)成分を含有することにより、例えば、光学レンズ同士を貼り合わせる場合や、タッチパネル等の表示体に使用される化粧板やアイコンシートを貼り合わせる場合に、紫外線等の光が直接当たらない部分(印刷加工された下地部分等)を硬化させることができる。本組成物では、例えば、1000mJ/cm2以上の紫外線により、印刷加工された下地部分を幅1mm以上硬化させることができる。本組成物では、例えば、4000mJ/cm2以下の紫外線により、印刷加工された下地部分を幅1mm以上硬化させることができる。
【0075】
(B)成分の使用量は、組成物の被着体に対する接着性が特段に高くなり、且つ、硬化性が良好となる点で、以下の値にすることが好ましい。(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、700質量部を超えることが好ましく、701質量部以上がより好ましく、800質量部以上が最も好ましい。(B)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1100質量部以下が好ましく、1000質量部以下がより好ましく、900質量部以下が最も好ましい。
【0076】
(C)成分の使用量は、組成物の被着体に対する接着性が特段に高くなり、且つ、硬化性が良好となる点で、(A)成分100質量部に対して、90~500質量部が好ましく、91~400質量部がより好ましく、95~350質量部が最も好ましい。
【0077】
(C)成分の含有量は、組成物100質量部中、10~45質量部が好ましく、11~40質量部がより好ましく、15~35質量部が最も好ましく、20~32質量部が尚更好ましい。
【0078】
(D)成分の使用量は、組成物の被着体に対する接着性が特段に高くなり、且つ、硬化性が良好となる点で、以下の値にすることが好ましい。(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1質量部以上が最も好ましく、5質量部以上が更に好ましく、10質量部以上が一層好ましく、10質量部を超えることが尚更好ましく、15質量部以上が特に好ましい。(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。
【0079】
(E)成分の使用量は、硬化性樹脂組成物の熱による着色や変色が小さく、耐湿試験後の強度低下が小さい点で、以下の値にすることが好ましい。(E)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1質量部以上が最も好ましく、5質量部以上が更に好ましく、10質量部以上が一層好ましく、10質量部を超えることが尚更好ましく、15質量部以上が特に好ましく、20質量部以上がもっと好ましい。(E)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、45質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下が最も好ましい。
【0080】
(F)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、1~20質量部が好ましく、5~15質量部がより好ましい。
【0081】
(A)~(C)成分の合計の使用量は、組成物100質量部中、80質量部以上が好ましく、85質量部以上がより好ましく、90質量部以上が最も好ましい。(A)~(C)成分の合計の使用量は、組成物100質量部中、99質量部以下が好ましく、98質量部以下がより好ましく、97質量部以下が最も好ましい。
【0082】
本発明の実施形態に係る組成物は、特に各被着体に対する接着性を一層向上させることを目的に、(A)成分以外や(C)成分以外の(メタ)アクリレートを含有することができる。
【0083】
これらの他にも所望により、エラストマー、各種パラフィン類、可塑剤、充填剤、着色剤、防錆剤等を使用できる。
【0084】
本組成物は、硬化性樹脂組成物として使用できる。本組成物は、接着剤組成物として使用できる。本発明のある実施形態では、接着剤組成物の硬化体によって、被着体を接合又は被覆して複合体を作製することができる。被着体の各種材料は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、シクロオレフィンポリマー等のポリオレフィン、トリアセチルセルロース、フッ素系ポリマー、ポリカーボネート、ガラス、及び金属からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ポリエステル、ポリオレフィン、及びガラスからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
【0085】
更に本組成物を接着剤組成物として使用し、被着体を接合又は被覆して複合体を作製する場合には、接着剤組成物のはみ出し防止を目的として、本組成物をさらに、ダム剤としての役割も担わせることができる。ダム剤とは、例えば、被着体の周辺部において、被着体同士を接着する接着剤組成物をいう。本組成物は、被着体の面内を充填するフィル剤としての役割も担うことができる。フィル剤とは、例えば、ダム剤の内側において、被着体同士を接着する接着剤組成物をいう。本組成物は、ダム剤及びフィル剤として使用することができる。本組成物に係るダム剤とフィル剤の400nm透過率差を1%以下、且つ、屈折率差を0.01以下にすることにより、ダム剤とフィル剤との境界線を無くすことができる。
【0086】
本組成物をダム剤及びフィル剤として使用する場合には、例えば、被着体の周辺部にダム剤を枠状に塗工する工程と、塗工したダム剤の枠内にフィル剤を塗工する工程と、ダム剤及びフィル剤を介して、被着体同士とを貼り合わせて、光を照射することにより、ダム剤及びフィル剤を硬化させる工程とを有する方法によって、被着体を貼り合わせることができる。
【0087】
本発明の実施形態に係る硬化性樹脂組成物にて接着した硬化体は、完全硬化させた後にリワーク(再利用)することが可能である。リワークの方法としては特に制限は無いが、貼り合わされた1種又は2種の被着体間に0.01~100Nの荷重を負荷することにより被着体同士を解体し、解体後の被着体を再利用することが可能となる。
【実施例】
【0088】
以下に、実験例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特記しない限り、23℃で、実験した。
【0089】
(実験例1)
表1に示す組成の硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表1に示した。
【0090】
(実験例2)
表2に示す組成の硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表2に示した。
【0091】
(実験例3)
表3に示す組成の硬化性樹脂組成物をダム剤やフィル剤として使用し、評価した。結果を表3に示した。
【0092】
実験例に記載の硬化性樹脂組成物中の各成分としては、以下の化合物を選択した。
【0093】
(A)成分の、(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーとして、以下の化合物を選択した。
(A-1)1,2-ポリブタジエンオリゴマー(日本曹達社製「TE-2000」、構造は下記式(5)参照)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量2000)
【化5】
式(5)
(なお式(5)中、nは正の整数である。)
(A-2)イソプレンオリゴマー(クラレ社製「UC-102」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量19000、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物オリゴマー、式(2)にてYはエチレン基、R
4はメチル基)
【0094】
(B)成分の、(メタ)アクリロイル基を有さず、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有するオリゴマーとして、以下の化合物を選択した。
(B-1)イソプレンオリゴマー(クラレ社製「LIR-30」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量28000)
(B-2)ブタジエンオリゴマー(クラレ社製「LBR-307」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量8000)
(B-3)ブタジエンオリゴマー(クラレ社製「LBR-305」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量30000)
(B-4)ブタジエンオリゴマー(クレイバレー社製「Ricon-130」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量2500)
【0095】
(C)成分の、フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(C-1)ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=4)アクリレート(東亞合成社製「M-113」) (式(1)にてn=4、R3はノニル基)
(C-2)ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8)アクリレート(日立化成工業社製「FA-318A」) (式(1)にてn=8、R3はノニル基)
(C-3)ノニルフェノキシポリエチレン(n=1)グリコールアクリレート(東亞合成社製「M-111」) (式(1)にてn=1、R3はノニル基)
【0096】
(D)成分の光重合開始剤として、以下の化合物を選択した。
(D-1)1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバスペシャリティケミカル社製「Irgacure184」)
(D-2)2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(チバスペシャリティケミカル社製「DarocurTPO」)
【0097】
(E)成分のフェノール系/硫黄系酸化防止剤として、以下の化合物を選択した。
同一分子内にフェノール基及び硫黄を有する酸化防止剤として、以下の化合物を選択した。
(E-1)4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-О-クレゾール(BASF社製「Irganox1726」)
フェノール系酸化防止剤として、以下の化合物を選択した。
(E-2)ベンゼンプロパン酸、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-、C7-C9側鎖アルキルエステル(BASF社製「Irganox1135」)
硫黄系酸化防止剤として、以下の化合物を選択した。
(E-3)ジドデシル3,3’-チオジプロピオネート(BASF社製「IrganoxPS800FD」)
【0098】
(F)成分のシランカップリング剤として、以下の化合物を選択した。
(F-1)γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製「KBM-503」)
(F-2)デシルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製「KBM-3103C」)
【0099】
各種物性は、次のように測定した。
【0100】
〔ガラス接着性評価(引張接着強さ)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2.0mm)同士を、厚み80μm×幅12.5mm×長さ25mmのテフロン(登録商標)テープをスペーサーとして用い、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着面積が3cm2になるように貼り合わせた。その後、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置を用い、波長365nmのUV光を積算光量2000mJ/cm2の条件にて照射し、硬化させた。更に、試験片の両面にデンカ株式会社製接着剤組成物「G-55」を使用し、亜鉛メッキ鋼板(幅100mm×長さ25mm×厚さ2.0mm、エンジニアリングテストサービス社製)を接着させた。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を用いて、亜鉛メッキ鋼板をチャックして、初期の引張剪断接着強さを測定した。引張剪断接着強さ(単位:MPa)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度10mm/分で測定した。
【0101】
〔ポリエチレンテレフタレート(PET)接着性評価(剥離接着強さ)〕2軸延伸PETフィルム(ルミラーT60、平均厚さ190μm、東レ社製)の試験片(幅50mm×長さ10mm×厚さ0.05mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み30μmで接着面積を縦40mm×横10mmとして接着させた。光照射による硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片の、密着されていない2箇所のフィルム端部を引っ張ることで、フィルム同士が密着された部分を剥離させて、初期の180°剥離接着強さを測定した。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。剥離接着強さ(単位:N/cm)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度50mm/分で測定した。
【0102】
〔シクロオレフィンポリマー(COP)接着性評価(剥離接着強さ)〕COPフィルム(ZEONOR、平均厚さ40μm、日本ゼオン社製)の試験片(幅50mm×長さ10mm×厚さ0.05mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み10μmで接着面積を縦40mm×横10mmとして接着させた。光照射による硬化後、接着剤で接着した該試験片の、密着されていない2箇所のフィルム端部を引っ張ることで、フィルム同士が密着された部分を剥離させて、初期の180°剥離接着強さを測定した。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。剥離接着強さ(単位:N/cm)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度50mm/分で測定した。
【0103】
〔トリアセチルセルロース接着性評価(剥離接着強さ)〕トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(平均厚さ40μm、富士フィルム社製)の試験片(幅50mm×長さ10mm×厚さ0.04mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み10μmで接着面積を縦40mm×横10mmとして接着させた。光照射による硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片の、密着されていない2箇所のフィルム端部を引っ張ることで、フィルム同士が密着された部分を剥離させて、初期の180°剥離接着強さを測定した。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。剥離接着強さ(単位:N/cm)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度50mm/分で測定した。
【0104】
〔フッ素系ポリマー接着性評価(剥離接着強さ)〕PVDF(Polyvinylidene fluoride)フィルム(平均厚さ40μm、デンカ社製「DXフィルム」)の試験片(幅50mm×長さ10mm×厚さ0.04mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み10μmで接着面積を縦40mm×横10mmとして接着させた。光照射による硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片の、密着されていない2箇所のフィルム端部を引っ張ることで、フィルム同士が密着された部分を剥離させて、初期の180°剥離接着強さを測定した。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。剥離接着強さ(単位:N/cm)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度50mm/分で測定した。
【0105】
〔ポリカーボネート接着性評価(引張接着強さ)〕ポリカーボネート(帝人社製「パンライト」)試験片(幅25mm×長さ25mm×厚さ2.0mm)同士を、厚み80μm×幅12.5mm×長さ25mmのテフロン(登録商標)テープをスペーサーとして用い、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて接着させ、光照射により硬化した(接着面積3cm2)。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。引張剪断接着強さ(単位:MPa)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度10mm/分で測定した。
【0106】
〔硬化収縮率〕比重瓶に硬化性樹脂組成物を充填し、大気中での質量及び純水中での質量を計測し、液比重を算出した。更に硬化性樹脂組成物を〔ガラス接着性評価〕に記載の方法で光照射により硬化し、幅25mm×長さ25mm×厚さ2mmの硬化物を作製し、大気中での質量及び純水中での質量を計測し、硬化物比重を算出した。液比重及び硬化物比重の比率より硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率=((硬化物比重-液比重)/硬化物比重)×100(%)
【0107】
〔光非透過部硬化性〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)の中央部分表面に幅1~5mmの黒色印刷を施し、光非透過部付き試験片を作製した。該試験片の黒色印刷側とPETフィルムとを接着層の厚み200μmで接着させ、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片よりPETフィルムを剥離し、黒色印刷下の硬化性をFT-IRを用いて、硬化率として算出した。炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルは、1600cm-1付近のピークを用いた。
(硬化率)=[100-((硬化後の、炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルの強度)/(硬化前の、炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルの強度))]×100(%)
【0108】
〔耐湿熱性評価(高温高湿暴露後の引張接着強さ)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み80μmで接着面積を3cm2として接着させ、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を、恒温恒湿槽を用いて、温度85℃、相対湿度85%の環境下に1000時間暴露した。暴露後の試験片を用いて、引張剪断接着強さを測定した。引張剪断接着強さ(単位:MPa)は、引張試験機を用いて温度23℃、湿度50%の環境下で引張速度10mm/分で測定した。
【0109】
〔耐湿熱性評価(黄変度)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み100μmで接着させ、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を、恒温恒湿槽を用いて、温度85℃、相対湿度85%の環境下に1000時間暴露した。暴露後、接着剤組成物で接着した該試験片のΔb値を、カラー測定装置(SHIMADZU社製「UV-VISIBLESPECTROPHOTOMETER」)にて測定し、黄変度とした。
【0110】
〔耐湿熱性評価(透過率)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み100μmで接着させ、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、初期の透過率(透過率 初期)を測定した。具体的には、ヘーズメーター(スガ試験機社製)を使用し、JIS K7361:1997に準拠して透過率(透過率 初期)を測定した。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を、恒温恒湿槽を用いて、温度60℃、相対湿度95%の環境下に1000時間暴露した。暴露後、ヘーズメーター(スガ試験機社製)を使用し、JIS K7361:1997に準拠して透過率(透過率 60℃1000時間後)を測定した。
【0111】
〔レンズ評価(キレの発生)〕2枚の球面平凸レンズ(BK7製、φ(外径)25mm)同士を、硬化性樹脂組成物を接着剤組成物として用いて、接着層の厚み200μmで接着させ、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を、恒温恒湿槽を用いて、温度60℃、相対湿度95%の環境下に1000時間暴露した。暴露後、目視及び光学顕微鏡観察にて、レンズの剥がれ(「キレ」)の発生の有無を観察した。
【0112】
〔境界観察(目視)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)上に、表3に示す硬化性樹脂組成物をダム剤として用いて、枠状にライン塗布した。具体的には、塗布層の厚み100μm、枠の幅1mm×枠の長さ15mmとなるように、ライン塗布した。次いで、ダム剤の枠内に、表3に示す硬化性樹脂組成物をフィル剤として用いて、塗布した。具体的には、塗布層の厚み200μm、塗布面積1.0cm2として塗布した。ダム剤とフィル剤を塗布した後、ダム剤とフィル剤を光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、ダム剤のラインとフィル剤が交差する部分を境界として、目視にて蛍光灯下での境界の有無を判定した。境界がない場合を○、境界がある場合を×とした。
【0113】
〔境界観察(透過率差)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)上に、表3に示す硬化性樹脂組成物(ダム剤)を接着剤組成物として用いて、塗布層の厚み200μm、塗布面積10.0mm2として、枠状に塗布した。次いで、ダム剤の枠内に、表3に示す硬化性樹脂組成物(フィル剤)を接着剤組成物として用いて、塗布した。具体的には、塗布層の厚み200μm、塗布面積1.0cm2として塗布した。ダム剤及びフィル剤を塗布したガラスに、もう一枚のテンパックス(登録商標)ガラスを貼り合わせ、接着し、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を瞬間マルチ測光システム(大塚電子社製「瞬間マルチ測光システム」)を用いて、2点の厚み方向(50μm位置、150μm位置)にて400nmの透過率を測定した。2点の透過率の差を透過率差とした。
【0114】
〔境界観察(屈折率差)〕テンパックス(登録商標)ガラス(幅25mm×長さ25mm×厚さ2mm)上に、表3に示す硬化性樹脂組成物(ダム剤)を接着剤組成物として用いて、塗布層の厚み200μm、塗布面積10.0mm2として、枠状に塗布した。次いで、ダム剤の枠内に、表3に示す硬化性樹脂組成物(フィル剤)を接着剤組成物として用いて、塗布した。具体的には、塗布層の厚み200μm、塗布面積1.0cm2として塗布した。ダム剤及びフィル剤を塗布したガラスに、もう一枚のテンパックス(登録商標)ガラスを貼り合わせ、接着し、光照射により硬化させた。光照射条件は〔ガラス接着性評価〕に記載の方法に従った。硬化後、接着剤組成物で接着した該試験片を、カルニュー精密屈折計(島津デバイス製造社製「KPR-2000」)を用いて、2点の厚み方向(50μm位置、150μm位置)にて屈折率を測定した。2点の屈折率の差を屈折率差とした。
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
実験例から以下が認められる。本発明の実施形態に係る組成物は、硬化収縮率が小さい。本組成物は、光非透過部の硬化性が大きいので、光が直接当たらない部分を硬化できる。本組成物は、耐湿熱試験後の強度低下が小さい(表1~2)。
【0119】
本組成物を用いると、ダム剤とフィル剤の境界が見えにくく、ダム剤とフィル剤の透過率差が小さく、ダム剤とフィル剤の屈折率差が小さいので、表示体の光学ムラを抑制できる(表3)。
【0120】
本組成物では、酸化防止剤を使用することにより、黄変度を小さくできるので、熱による着色や変色をなくし、耐湿熱試験後の強度低下を更に小さくできる(実験例2-1と実験例2-10の対比)。
【0121】
本組成物では、シランカップリング剤を使用することにより、接着性を向上し、耐湿熱試験後の強度低下を更に小さくできる(表2)。
【0122】
一方、比較例に相当する硬化性樹脂組成物の場合、上述したような本発明の効果を有しない。比較例は、硬化収縮率が大きく、光非透過部の硬化性が小さく、耐湿熱試験後の強度低下が大きい。加えて、(B)成分の使用量が700質量部であると、硬化収縮率が大きく、高温高湿試験後の接着性や透過性が小さく、キレが発生し、ダム剤とフィル剤の境界が観察され、ダム剤とフィル剤の透過率差が大きく、ダム剤とフィル剤の屈折率差が大きい(実験例1-12、実験例2-11、実験例3-4、実験例3-5)。加えて、(A)成分を使用しないと、硬化不良となり、接着性が小さく、黄変度が大きく、キレが発生する(実験例1-13、実験例2-12)。加えて、(C)成分を使用しないと、硬化不良となり、接着性が小さく、黄変度が大きく、キレが発生する(実験例1-14、実験例2-13)。
【0123】
本組成物では、イソボルニル(メタ)アクリレートのような剛直な骨格のモノマーを使用しなくても、効果を奏することができる。
【0124】
本発明の実施形態によれば、例えば、柔軟性を保持しながら、熱による着色や変色が小さくなり、耐湿熱試験後の強度低下が小さくなる組成物を提供できる。本組成物を用いて貼り合わせた場合、光学表示体又はタッチセンサーを提供できる。本組成物は、ダム剤やフィル剤として使用できる。本組成物では、光非透過部を硬化できる。
【0125】
本組成物は、光学レンズ積層体用やタッチパネル積層体用や液晶パネル積層体用の接着剤組成物として使用できる。本発明の実施形態に係る光学レンズ積層体は、光学顕微鏡やカメラ、プロジェクタ等の光学機器として使用できる。本発明の実施形態に係るタッチパネル積層体や液晶パネル積層体は、ディスプレイとして使用できる。本発明の実施形態に係る組成物は、透明な部分や半透明な部分を貼り合わせる場合にも、硬化性を向上できる。
【0126】
本発明の実施形態によれば、例えば、光学顕微鏡や光学カメラ、プロジェクタ等の光学機器のレンズを貼り合わせる場合に、硬化収縮率が低いこと、接着剤の剥がれ(キレとも呼ばれる)がないことを解決する、硬化性樹脂組成物を提供できる。
【0127】
本発明の実施形態によれば、例えば、レンズを貼り合わせる場合、タッチパネル等の表示体に使用される化粧板やアイコンシートを貼り合わせる場合、透明基板と透明板とを貼り合わせる場合、印刷加工された部分を貼り合わせる場合に、十分な接着性を付与できる。本発明の実施形態によれば、表示体と光学機能材料とを貼り合わせる場合に、接着面が剥がれず、表示体のガラスが割れない。本組成物は、耐熱試験後や耐湿試験後に変色しない。本組成物は、耐熱試験後や耐湿試験後に強度低下しない。
【0128】
本組成物は、例えば、紫外線等の光が直接当たらない部分(例えば、印刷加工された下地部分)を硬化できる。
【0129】
本発明の実施形態によれば、例えば、タッチパネル等の表示体に使用される化粧板やアイコンシートを貼り合わせる場合、透明基板と透明板とを貼り合わせる場合、印刷加工された部分を貼り合わせる場合に、組成物のはみ出し防止を目的としたダム剤としての役割も、本組成物が担うことができる。本発明の実施形態によれば、ダム剤と、接着面内を充填するフィル剤との、境界が見えないという効果を有することもできる。このようにダム剤とフィル剤の間で境界を無くすことにより、表示体の光学ムラを抑制できる。
【0130】
本組成物によって貼り合わせたレンズ積層体は、光学顕微鏡、光学カメラ、プロジェクタ等の光学機器として使用できる。本組成物はレンズ用接着剤として使用できる。