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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】応札装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/02 20060101AFI20220714BHJP
【FI】
G06F3/02 460
G06F3/02 420
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019172060
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021051355
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】特許業務法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松沼 敬
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-273475(JP,A)
【文献】特開2007-128274(JP,A)
【文献】特開2015-008451(JP,A)
【文献】特開2001-188651(JP,A)
【文献】特開2017-111928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
せりの応札を受け付ける応札スイッチ部を有する応札グリップと、
側面にねじ穴を有する応札端末装置と、
ねじ止め用穴を有する固定台と、
を備え、
前記応札グリップは、前記ねじ穴を介して、前記固定台と共にねじで前記応札端末装置に螺入される、
応札装置。
【請求項2】
前記応札グリップは、前記ねじを中心に回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の応札装置。
【請求項3】
前記応札グリップは、前記応札端末装置の正面を基準に奥側で前記応札スイッチ部が位置する向きに配置されることを特徴とする請求項2に記載の応札装置。
【請求項4】
前記応札グリップは、前記応札スイッチ部が、前記応札端末装置の前面より奥に位置する態様で固定されていることを特徴とする請求項1に記載の応札装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せり会場に設置されているシステムにおいて、せり端末構成品で、応札スイッチ部を有する応札装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中古車等のせり会場に設置されているシステムにおいては、応札端末装置と、カールコードで接続されて応札を受け付ける応札グリップと、応札端末装置のホルダに保持されて応札グリップを着脱可能に保持する固定台とで構成された応札装置が使われている。応札装置は、応札スイッチへの応札を受け付けて、応札端末装置がサーバへ応札入力を送信する形で使用される。
【0003】
ここで従来の応札端末装置について、図5図6を参照して説明する。図5は、従来の応札装置の使用例を示した図で、(A)はせり端末を正面から見た図であり、(B)はせり端末を底面から見た図である。図6は、従来の応札装置の一構成例を示す外観斜視図である。
【0004】
例えば図5(A)に示すように、応札席100は、机101を利用して設けられ、せりにかけられる中古車等のデータが表示されるディスプレイ102、利用者の認証を行うIC(Integrated Circuit)カードリーダ103、AC(Alternating Current)用のコンセント104および机101の天板の下に設置された入札用の応札装置105を二組有する。応札装置105は、ICカードリーダ103により認証されることによりチェックインを受け付けて応札操作が可能となり、ディスプレイ102のせり情報の表示を確認しながら、応札を希望する場合に応札装置105へ応札することにより使用される。なお、応札装置105は、1度チェックインされると、チェックアウトされるまで、チェックインした応札者が応札操作をしているものとみなされる。但し、応札者は、離席する際に必ずしもチェックアウトする必要はない。
【0005】
一方、図5(B)に示すように、机101の天板の端部ぎりぎりに設置された応札装置105は、応札端末装置106と、応札端末装置106の側面に着脱可能に保持することができる応札グリップ107とを有している。応札グリップ107は、一方の先端に押下されることにより応札を受け付ける応札スイッチ部108を有している。応札スイッチ部108は、応札者に押下されることにより、現在せりにかけられている中古車へ応札する。
【0006】
なお、応札装置105の外観上は、左右対称の構成をしており、左右両側で同じ構成については、基本的に応札端末装置106の正面側から見て右側を例にとり、向きを説明する際は、応札装置105の設置された際の正面を基準にして説明する。
【0007】
せりは、複数の応札者が応札した場合に、対象の中古車への応札価格が上昇し、再度応札を受け付けることにより、最終的に応札者が一人になって落札されるまで繰り返される。
【0008】
このため、応札スイッチ部108が、机101の天板の上部より、応札端末装置106の正面方向にはみ出して固定された場合は、応札スイッチ部108に腕や足が触れることにより、意図しない応札である誤応札が発生する可能性がある。
【0009】
例えば図6に示すように、応札スイッチ部108は、保持位置が移動可能な応札グリップ107により、応札端末装置106の正面を基準に奥にあるほど、着席している応札者以外に押下することが困難になる。
【0010】
また、特定の応札者が離席した際には、他の応札者の悪戯により応札スイッチ部108が押下され、応札されるような場合もある。仮に誤応札や、悪戯による応札であっても、落札された場合には、買取義務が発生する可能性があるため、応札の信頼性を確保することは非常に重要である。
【0011】
また応札装置105は、応札グリップ107が応札端末装置106から取り外された状態でも、応札端末装置106に固定された状態でも応札を受け付ける。まず、応札グリップ107を取り外した場合では、手で机101の天板の下面等で把持され、応札スイッチ部108が親指で押下されることにより応札される。
【0012】
一方、応札グリップ107を応札端末装置106に固定した場合では、机101の天板の下面側で、応札スイッチ部108が正面方向から指109,110,111のように押下される態様で使用される。
【0013】
さらに、応札端末装置106は、応札グリップ107を、図5(B)の態様から、応札端末装置106の正面を基準に、応札スイッチ部108が奥側に来る向きで保持し、裏側方向から押下される態様でも使用される。このような使用態様は、応札を他の応札者に知られない目的がある。また、この応札グリップ107による応札方法は、従来からの業界慣例であり、応札グリップ107自体の変更は、応札者に戸惑いを与えるために好ましくない。
【0014】
このような点において、せり応札用の応札ユニットに接続され、応札を行う応札者が把持するグリップ部と、応札を行う際に押下するスイッチと、応札ユニットへのスイッチの押下を伝達する押下伝達機構を有する応札ボタンであって、グリップ部に備えられ、応札者によるグリップ部の把持を検出する検出部と、押下伝達機構の伝達の有効状態と無効状態を切替える切替部材と、把持の検出に基づいて、切替部材を伝達の無効状態から有効状態に切替駆動させるよう駆動部に指示する制御部とを備えることにより、誤応札を防止する応札ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開2017-111928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1に記載の応札装置は、応札スイッチの機構が複雑になるのでコストが上昇する。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、応札グリップを有する応札装置において、コストをかけずに誤応札や悪戯による応札を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一観点によれば、以下に示すような応札装置が提供される。応札装置は、せりの応札を受け付ける応札スイッチ部を有する応札グリップと、側面にねじ穴を有する応札端末装置と、ねじ止め用穴を有する固定台と、を備え、応札グリップは、ねじ穴を介して、固定台と共にねじで応札端末装置に螺入される。
【発明の効果】
【0018】
応札グリップを有する応札装置において、コストをかけずに誤応札や悪戯による応札を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す外観斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す断面側面図である。
図3】第2の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す外観斜視図である。
図4】第2の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す断面側面図である。
図5】従来の応札装置の使用例を示した図で、(A)はせり端末を正面から見た図であり、(B)はせり端末を底面から見た図である。
図6】従来の応札装置の一構成例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、第1の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す外観斜視図であり、図2は、第1の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す断面側面図である。
【0021】
応札装置1は、外観が略円筒状に形成され左右対称に1ずつの応札グリップ2と、外観が直方体に形成された応札端末装置3と、略円柱状に形成され応札グリップ2を応札端末装置3の側面に固定する固定台4とを有する。応札グリップ2と応札端末装置3とは、固定台4の内部で信号的に接続されている。なお、応札装置1の外観上は、左右対称の構成をしており、左右両側で同じ構成については、基本的に応札端末装置3の正面側から見て右側を例にとり、向きを説明する際は、応札装置1の設置された際の正面を基準にして説明する。
【0022】
応札グリップ2は、一方の端部に押下されることにより応札を受け付ける応札スイッチ部21と、スイッチガード22とを有する。応札スイッチ部21は、クリック感のあるスイッチであり、押下された際に機械音を鳴らす。
【0023】
スイッチガード22は、応札スイッチ部21を中心にした円周状に立設され、応札スイッチ部21の外周を高さのある板で囲う。
応札端末装置3は、正面に応札後の確定をする際に押下される確認ボタン31と、ICカードの認証状況を表示する認証ランプ32と、ICカードの登録状況を表示する登録状況ランプ33とを有する。また応札端末装置3は、応札グリップ2と、確認ボタン31とからの入力を受け付けて、応札の管理をするセンタへ送信する機能を有する。
【0024】
確認ボタン31は、応札グリップ2より応札したせりについて、せり落とした場合に、押下されることによりせり落としを確定させる。また、確認ボタン31は、せり落としを確定した際は、確認ボタン31の脇のランプを点灯させる。なお、確認ボタン31は、応札グリップ2と同様に応札端末装置3の前面に左右対称に2つ備えられており、それぞれ別のせりに対応させることができる。ただし、せりの運営上では、確認ボタン31が押下されなくても、応札後の確定がされる場合がある。
【0025】
固定台4は、応札グリップ2を応札端末装置3に固定し、第1のコネジ固定台41と、第2のコネジ固定台42と、ケーブル導入孔43とを有する。
第1のコネジ固定台41は、応札グリップ2の内側から挿入されたねじに貫通され、ねじが応札端末装置3のねじ穴へねじ止めされる。また、図2のうちの応札グリップ2の断面部分が示すように、第1のコネジ固定台41は、応札スイッチ部21の入力信号を、応札端末装置3へ伝達する導線を通す空隙を有する。
【0026】
第2のコネジ固定台42は、応札グリップ2の内側から、応札端末装置3のねじ穴へ挿入されたねじにより貫通され、応札グリップ2をねじ止めする。なお、第2のコネジ固定台42は、第1のコネジ固定台41と共に2点で応札グリップ2を固定する。
【0027】
ケーブル導入孔43は、従来の応札端末装置で使用されていたカールコードの導入孔である。
次に応札グリップ2の使用態様を説明する。応札グリップ2は、応札端末装置3へ固定した状態でのみ応札を受け付けることができ、応札端末装置3から取り外すことができない。
【0028】
応札スイッチ部21は、応札者に正面から指で押下されることにより、開催中のせりに対して応札される。また、応札スイッチ部21は、腕や足の意図しない衝突があっても、スイッチガード22に衝突するために押下されない。さらに、応札グリップ2は、従来の応札端末装置の応札スイッチの標準的な固定位置より、応札端末装置3の正面を基準に奥側で固定されており、悪戯等で応札スイッチ部21を押下することが困難になっている。
【0029】
上記のように、このような応札グリップ2を有する応札装置1は、応札端末装置3が元より有するねじ穴で、固定台4と、応札グリップ2とを固定することにより、コストをかけずに腕や足による誤応札を防止することができるという効果がある。また、応札装置1は、応札グリップ2と、応札端末装置3とを接続していたカールコード及び、応札グリップ2を固定していたホルダが不要になるため、コストを削減することができる。さらに、応札装置1は、応札グリップ2による応札方法を維持するため、従来からの業界慣例のままであり、応札者に戸惑いを与えない。
【0030】
[第2の実施の形態]
図3は、第2の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す外観斜視図であり、図4は、第2の実施の形態に係る応札装置の一構成例を示す断面側面図である。
【0031】
第2の実施の形態に係る応札装置1aでは、固定台4aが第1のコネジ固定台41aのみを有し、応札グリップ2が、第1のコネジ固定台41aをネジ止めするねじを基準に、最大180度回動した向きで使用可能な点が異なる。応札グリップ2は、第1のコネジ固定台41aをネジ止めするねじを基準に、矢印5aと矢印5bとの方向へ回動して使用可能である。ただし、矢印5aの方向には、応札装置1aの設置状態で机の天板の下面側があるため、応札グリップ2は、矢印5bの方に回動される。
【0032】
固定台4aは、第1のコネジ固定台41aを有する。第1のコネジ固定台41aは、応札グリップ2の内側から挿入されたねじに貫通され、ねじが応札端末装置3のねじ穴へねじ止めされることにより、応札グリップ2を回動可能に保持する。また、図4のうちの応札グリップ2の断面部分が示すように、第1のコネジ固定台41aは、応札スイッチ部21の入力信号を、応札端末装置3へ伝達する導線を通す空隙を有する。
【0033】
次に応札グリップ2の使用態様を説明する。応札端末装置3の正面を基準に、手前に応札スイッチ部21が位置している場合の使用態様については、第1の実施の形態の応札装置1と同様であるため、応札端末装置3の正面側を基準に奥側に応札スイッチ部21が位置している場合の使用態様について説明する。
【0034】
応札グリップ2は、第1のコネジ固定台41aをねじ止めするねじを基準に、下方向へ180度回動された向きで使用される。回動後の応札グリップ2は、応札スイッチ部21が、奥側を向いた態様であり、奥側から応札スイッチ部21を指で押下されることにより応札される。応札スイッチ部21は、応札端末装置3の正面側から腕や足の意図しない衝突があっても、奥側からしか押下できないため、押下されない。
【0035】
応札グリップ2は、第1の実施の形態の応札装置1の応札スイッチ部21の固定位置より、応札端末装置3の正面を基準にさらに奥側で固定されており、使用中の応札者は、前かがみになり、机の天板の下面側で手を伸ばすことで対応できる。一方で、応札装置1aは、応札スイッチ部21の位置と方向により、悪戯により応札スイッチ部21を押下することがより困難になっている。なお、この応札態様は、従来の応札端末装置で応札者に利用されていた応札方法の一態様で従来からの業界慣例に対応するものである。
【0036】
このような応札グリップ2を有する応札装置1aは、応札装置1aが元より有するねじ穴で、固定台4と、応札グリップ2とを固定することにより、コストをかけずに腕や足による誤応札を防止することができるという効果がある。また、応札装置1aは、応札グリップ2と、応札端末装置3とを接続していたカールコード及び、応札グリップ2を保持していたホルダが不要になるため、コストを削減することができる。
【0037】
さらに、応札装置1aは、応札グリップ2による応札方法を維持するため、従来からの業界慣例のままであり、応札者に戸惑いを与えない。加えて、応札装置1aは、応札グリップ2を180度回動させて、応札スイッチ部21を奥側で奥向きに固定させることにより、さらに強固に誤応札や、悪戯による応札を防止することができる。
【0038】
なお、上記の第1の実施の形態と、第2の実施の形態とでは、スイッチガード22は、応札スイッチ部21を中心にした円周状に立設され、応札スイッチ部21の外周を高さのある板で囲う構成としているが、開閉可能な蓋を有する構成であってもよい。また、スイッチガード22は、応札スイッチ部21を覆う形状で、押下の際に鉛直方向下側からのみ指が挿入可能に構成されていてもよい。
【0039】
上記第1の実施の形態では、応札グリップ2を応札端末装置3の側面に固定する構成としているが、応札端末装置3の側面に埋め込む構成であってもよい。また、ケーブル導入孔43は、従来の応札端末装置106で使用されていたカールコードの導入孔であるが、応札グリップ2を応札端末装置3へ固定する態様で使用されていてもよい。
【0040】
上記の第2の実施の形態では、第1のコネジ固定台41aは、応札グリップ2とねじでねじ止めされた状態で、応札グリップ2を最大180度回動可能に保持する構成としているが、180度未満で回動する態様であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1,1a 応札装置
2 応札グリップ
3 応札端末装置
4,4a 固定台
5a,5b 矢印
21 応札スイッチ部
22 スイッチガード
31 確認ボタン
32 認証ランプ
33 登録状況ランプ
41,41a 第1のコネジ固定台
42 第2のコネジ固定台
43 ケーブル導入孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6