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  • 特許-ヒートシール性バリアコーティング 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】ヒートシール性バリアコーティング
(51)【国際特許分類】
   D21H 19/20 20060101AFI20220714BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20220714BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220714BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20220714BHJP
   D21H 19/18 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
D21H19/20 A
C09D7/63
C09D7/65
C09D5/02
D21H19/18
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019557395
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018029528
(87)【国際公開番号】W WO2018200783
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】62/510,315
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/491,301
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024024
【氏名又は名称】サン・ケミカル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】トリコロット,マガリ
(72)【発明者】
【氏名】ル ライン,ピエリック
(72)【発明者】
【氏名】ベッヘ,ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】キャロン,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】トゥルギス,ジーン-ドミニク
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-119080(JP,A)
【文献】特開平10-226987(JP,A)
【文献】特開平06-200498(JP,A)
【文献】特開平08-260385(JP,A)
【文献】特開平07-033137(JP,A)
【文献】特開2015-077781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
D21H 19/20
D21H 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の表面および第2の表面を有する基材を提供することと、
b)i)5wt%~90wt%の1つまたは複数のアクリルポリマーもしくはコポリマーエマルジョンと、ii)2wt%~25wt%の1つまたは複数の溶融ワックスと、iii)5wt%~85wt%の水とを含む、ヒートシール性水系コーティング組成物を提供することと、
c)前記ヒートシール性コーティング組成物を、前記基材の前記第1の表面、または前記第2の表面、または前記第1の表面および前記第2の表面の両方に塗布することと、
d)前記コーティングを、前記コーティング中の前記ワックスを溶かすのに十分な温度で加熱することであって、前記溶けたワックスは紙繊維に浸透する、加熱することと、
e)圧力を印加することによって前記基材を封止することと
を含み、前記ヒートシール性バリアコーティングは堆肥化可能である、基材をコーティングする方法。
【請求項2】
前記基材はセルロース系基材である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒートシール性水系バリアコーティングの複数の層が前記基材に塗布される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは、グラビア印刷、フレキソコーティング、カーテンコーティング、フラッドコーティング、またはマイヤーバー塗布によって塗布される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングは2g/m~15g/mの乾燥コーティング重量で塗布される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング組成物は前記基材の前記第1の表面にフラッドコーティングとして塗布され、その後、前記コーティングは、前記第2の表面の封止端部をコーティングしないでおき、前記封止部中へのワックスの浸透を可能にするように位置合わせした前記第2の表面に塗布される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ワックス非含有の前記基材にコーティングを塗布することをさらに含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記溶融ワックスは40℃~100℃の融点を有する、請求項1から7のいずれかに記載の方法
【請求項9】
前記1つまたは複数の溶融ワックスは、パラフィンワックス、アクリルグラフトパラフィンワックス、結晶性ワックス、ポリエチレンワックス、高密度ポリエチレンワックス、ポリエチレン/ポリテトラフルオロエチレンワックス、カルナバワックス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、ならびに/または、前記1つまたは複数のアクリルポリマーもしくはコポリマーエマルジョンは、純アクリルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ビニルアクリル酸コポリマー、スチレン-アクリルコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法
【請求項10】
前記ヒートシール性水系コーティング組成物は接着促進剤、光安定剤、脱気添加剤、流動促進剤、消泡剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、界面活性剤、クレー、フィラー、分散剤、可塑剤、レオロジー添加剤、他のワックス、シリコーン、着色剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つまたは複数の添加剤をさらに含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法
【請求項11】
前記ヒートシール性水系コーティング組成物はバリアコーティング組成物であり、液体および蒸気の浸透に耐性がある、請求項1から10のいずれかに記載の方法
【請求項12】
前記ヒートシール性水系コーティング組成物はリサイクル可能であり、生分解性であり、堆肥化可能である、請求項1から11のいずれかに記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年4月28日に出願された米国仮特許出願第62/491,301号、および2017年5月24日に出願された米国仮特許出願第62/510,315号の優先権を主張し、その各々はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、紙または板紙基材をコーティングするのに適したコーティング組成物に関する。具体的には、本発明は、基板に塗布されると水、脂および油に耐性があるバリアコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
紙および板紙などのセルロース系材料に基づく包装製品および容器は、油、脂、水、および他の液体を通す。ワックス、ポリマー、フッ化炭素等のようなコーティングで紙および板紙をコーティングまたは処理するのが通例である。コーティングは、食品または保護を必要とする他の製品を包装するために不可欠なバリア性を与える。いくつかの用途では、コーティングはヒートシール性である必要がある。
【0004】
このタイプの包装の進化は、包装の堆肥化性(compostability)および再パルプ化性(repulpability)を確保するために、ワックスまたはラミネートを、紙または板紙上にコーティングされたポリエチレンフィルムで置き換えることであった。ワックスおよびポリエチレンフィルムは優れたバリア性を与えるが、紙または板紙のリサイクル時の再パルプ化プロセス中に問題になる。
【0005】
堆肥化性は3つの要素:生分解性、崩壊性、および生態毒性を包含する。生分解性は、微生物によって消費される材料の固有の性質を定量的に示す。生分解性は、材料の蓄積を防ぐことによって環境を保護する。崩壊性は、材料が壊れて崩れ、それにより堆肥工場のオペレータを保護するかどうかを測定する。材料は生分解性であってよく、または生分解性でなくてよい。生態毒性試験は、材料が、堆肥化後、植物の成長、または土壌動物相もしくは水生動物相の生存に任意の阻害を示すかどうかを決定する。再パルプ化可能(repulpable)とは、標準的なプロセスを使用して、試験材料が、それに続くシート形成のために再湿潤および繊維化の操作を経ることを指す。
【0006】
揮発性有機化合物(VOC)の使用は、一般に嫌われてきている。食品または飲料容器での使用に、VOC非含有水系コーティングの使用が近年注目されている。そのような容器としては、紙包み、プレート、ボウル、カップ、箱等が挙げられる。コーティングは、従来の印刷またはコーティング技術を使用して、オンラインおよびオフラインの両方で塗布され得る。印刷およびコーティング方法としては、フレキソ印刷、輪転グラビア印刷、ブレードコーティング、カーテンコーティング、ロッド(バー)コーティング、または他のそのような好適な塗布手段が挙げられる。したがって、水系コーティングは、耐久性、品質および生産性に加え、印刷機での良好な印刷適正の特性を有する必要がある。
【0007】
現在、好適なコーティングでコーティングされた紙包装の工業的なヒートシール、例えばカップ作製プロセスのカップ壁は、典型的には2ステッププロセスである。第1のステップはブランクの両端を加熱することからなり、第2のステップは、圧力下で2つの加熱された領域を接触させるようにブランクを好適な形状(例えば、円錐状の筒)に成形することからなる。この成形プロセスでは、ヒートシール性コーティング層、通常はポリエチレンは、それらを軟化させるまたは部分的に溶かすのに適した温度(一般に正確には規定されない)にされる。その後、溶けたコーティングを有する2つの包装ピースまたは同一ピースの先端が互いに押し付けられると、溶けた材料は融合し、2つの表面間の緊密な結合が得られる。
【0008】
CA3,323,341は、裸の紙または板紙基材(すなわちクレーコートのない紙または板紙)をコーティングするために使用される、スチレンブタジエンゴムを含むラテックスコーティングを開示する。CA3,323,341のコーティングは、コート紙で通常見られるクレーコートを置き換えるために設計されている。コーティングは、クレーまたはワックスのいずれも含有しない。
【0009】
US6,071,617は、卵白粉末、可塑剤、乳化剤、および水を含むコーティングを開示する
【0010】
US6,307,192は、ケイ素系コーティング層を記載する。コーティングは、交互にケイ素および酸素原子を含有する無機鎖状または架橋ポリマー骨格を含むポリマーコーティングである。ポリマー骨格は、有機基または有機鎖によって形成された側鎖および/または架橋も含む。コーティングはワックスを含有しない。
【0011】
US7,019,054は、脂肪酸メラミン、パラフィンワックスエマルジョン、およびポリビニルアルコールを含むコーティング配合物を開示する。あるいは、コーティング配合物は、脂肪酸メラミンワックスおよびポリビニルアルコールを含んでよい。
【0012】
US7,282,273は、ワックスおよびポリビニルアルコールを含むコーティング組成物を開示する。コーティングはポリアミンをさらに含んでよい。
【0013】
US5,763,100は、アクリル-スチレンコポリマーおよびワックスを含むバリアコーティング組成物を開示する。
【0014】
US7,320,825は、ベースコートおよびトップコートでコーティングされた、紙または板紙基材を含む油および脂に耐性がある多層複合材を開示する。ベースコートは、フィルム形成天然または合成ポリマーを含む。トップコートは、分散された少なくとも1つの板状鉱物顔料および少なくとも1つの非板状結晶性鉱物顔料を有する連続ポリマー層を含む。
【0015】
US7,427,444は、乳化重合エチレン酢酸ビニルポリマーであるコーティングを有するセルロース系製品(例えば、紙または板紙)を記載する。コーティングはワックスを含有しない。
【0016】
US7,737,200は、プロラミン、冷水不溶性ポリマー、水、水溶性共溶媒、および安定剤を含む水性バリアコーティング組成物を記載する。コーティングはワックスを含有しない。
【0017】
US8,440,262は、水系ワックス非含有コーティングを開示する。
【0018】
US8,734,895は、フィラー、バインダ、および炭酸カルシウムを含むコーティング組成物を開示する。コーティングはワックス非含有である。
【0019】
US8,771,812は、1つまたは複数の(メタ)アクリル酸、1つまたは複数の酸モノマー、および任意選択でアクリロニトリル、および1つまたは複数のさらなるモノマーの乳化重合によって調製されるバリア層を有する紙またはボール紙包装を記載する。バリア層はワックスを含有しない。
【0020】
US8,771,835は、ナノ顔料および1つまたは複数のバインダを有するコーティング、金属化フィルム層、ならびに接着層を含む生分解性高バリア包装を開示する。コーティングはどれもワックスを含有しない。
【0021】
US2009/0252980は、アクリル系ポリマー、およびポリオールまたはポリオキサゾリンのような相補成分を含むコーティングを有する耐脂紙製品を開示する。コーティングはワックス非含有である。
【0022】
US2010/0136355は、バインダおよびタルカムを含む紙用水蒸気バリアコーティングを記載する。ワックスを含有するコーティングは問題になると考えられるため、コーティングは好ましくはワックス非含有であり、ワックスが含まれる場合、5wt%を超えることはできない。
【0023】
US2011/0262745は、水系ポリマーエマルジョンおよび顔料を含むコーティング組成物を開示する。コーティングはワックスを含有しない。
【0024】
US2013/0004748は、繊維系基材の表面にバリア層を設ける方法を開示する。バリア層は、電界紡糸または溶融紡糸により表面上にナノファイバを堆積させることによって形成される。
【0025】
US2013/0323368は、デンプン、海藻抽出物、および紙繊維の組み合わせを含むバリアコーティングを記載する。コーティングはワックスを含有してよいが、アクリルエマルジョンを含有しない。
【0026】
WO2007/050964は、コーティング組成物で処理することによって材料に脂および/または水への耐性を付与する方法を記載する。コーティング組成物は、ワックスおよびポリビニルアルコール、ならびに任意選択でポリアミンを含む。
【0027】
WO2011/110498は、アクリルイミドを含むヒートシール性コーティング組成物を開示する。コーティングは少量のワックスを含有してよい。
【0028】
WO2014/028203は、放射線硬化性バリアコーティング組成物を記載する。放射線硬化性コーティング組成物は、アクリラートモノマー、アクリラートオリゴマー、微粒子化ワックス、および任意選択で光開始剤を含む。
【0029】
WO2014/130311は、1つまたは複数の疎水性脂環式モノマー、1つまたは複数のアルコール官能性ワックスまたはステロール、および1つまたは複数の疎水性ワックス材料を含む、印刷可能な放射線硬化性バリアコーティング組成物を開示する。
【0030】
WO2015/040134(US9,840,811)は、少なくとも1つのデンプン系バリア層を有する基材を含む多層包装材料を記載する。
【0031】
包装向け基材のコーティングに使用され得るバリアコーティング組成物であって、水、油、脂、および他の液体に耐性があるコーティング組成物に対するニーズが依然として存在する。具体的には、十分なバリア性を達成するために現在必要とされる追加の材料および/またはステップの1つまたは複数を排除するであろうヒートシール性コーティング組成物に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0032】
本発明は、紙または板紙などのセルロース系基材用の水系コーティングを提供する。コーティングは、水、油、脂、および他の液体に耐性がある。本発明のコーティングでコーティングされた紙または板紙基材は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、およびポリラクチド/ポリ乳酸(PLA)との共押出などの他の方法によってコーティングされた紙または板紙を置き換え得る。
【0033】
特定の態様では、本発明は、
a)5wt%~90wt%の1つまたは複数のアクリルポリマーもしくはコポリマーエマルジョンと、
b)2wt%~25wt%の1つまたは複数の溶融ワックスと、
c)5wt%~85wt%の水と
を含み、堆肥化可能である、ヒートシール性水系コーティング組成物を提供する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、本発明のコーティング組成物でコーティングされた基材を提供する。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、本発明のコーティング組成物でコーティングされた基材を含む物品、具体的には、包装物品を提供する。
【0036】
特定の態様では、本発明は、
a)第1の表面および第2の表面を有する基材を提供することと、
b)本発明のヒートシール性コーティング組成物を提供することと、
c)ヒートシール性コーティング組成物を、基材の第1の表面、または第2の表面、または第1の表面および第2の表面の両方に塗布することと、
d)コーティングを、コーティング中のワックスを溶かすのに十分な温度で加熱することであって、溶けたワックスは紙繊維に浸透する、加熱することと、
e)圧力を印加することによって基材を封止することと
を含み、ヒートシール性バリアコーティングは堆肥化可能である、基材をコーティングする方法を提供する。
【0037】
一実施形態では、本発明は、本発明のヒートシール性水系コーティング組成物で基材をコーティングする方法によって調製された基材を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明のコーティング組成物でコーティングされたカップ対ポリエチレンでコーティングされた標準的なカップのバリア性を説明する。図1(a)は、カップ中に1時間放置後の濃染色染料の浸透を示す。図1(b)は、カップ中に3時間放置後の濃染色染料の浸透を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な説明
前述の概要および以下の詳細な説明は例示的および説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載されたいかなる対象も限定するものではないことを理解すべきである。
【0040】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書の開示全体を通して参照されるすべての特許、特許出願、公開された出願および公報、ウェブサイトならびに他の出版物は、別段の記載がない限り、目的に応じてその全体が参照により組み込まれる。
【0041】
本発明は、食品、化粧品等の接触を伴う目的に使用されることになるセルロース系基材のコーティングに適した水系コーティング組成物を提供する。本発明のコーティング組成物の利点は、本発明のコーティングでコーティングされた基材が、ポリエチレン等のようなポリマーでコーティングされた基材の置き換えに使用され得ることである。
【0042】
本発明のコーティングは改善された生態学的影響を示す。コーティングは堆肥化可能である。本発明のコーティングで調製された基材および物品も堆肥化可能である。コーティングは、紙または板紙などのセルロース系基材への塗布に特に適する。本発明の紙および板紙物品は堆肥化可能であり、良好な生分解性および崩壊性を示し、生態毒性を示さないことを意味する。
【0043】
本発明のコーティング組成物は、遺伝子組換え体(GMO)を含まない。すなわち、コーティングは、その遺伝物質が遺伝子工学技術を使用して改変されたいかなる生物も含まない。
【0044】
本発明のコーティングは、揮発性有機化合物(VOC)を本質的に含まない。ある実施形態では、少量のVOCがコーティング組成物中に存在する場合がある。
【0045】
本発明のコーティングは、高いヒートシール性を示す。コーティングはまた、基材のすべての表面および端部上でより良好な被覆を提供し、脂、液体等への良好なバリア性を確保する。
【0046】
本発明のコーティングは、例えば、文字および画像を重ねて印刷され得る。
【0047】
本発明のコーティングは、直接食品と接触することになる基材のコーティングへの使用に適する。例えば、コーヒーまたはソーダなどの、熱い液体および冷たい液体と直接接触することになる基材のコーティングに使用され得る。
【0048】
定義
本出願では、単数の使用は、具体的に別段の定めがない限り、複数を含む。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他を示さない限り、複数形を同様に含むことが意図される。
【0049】
本出願では、別段の定めがない限り、「or」の使用は「and/or」を意味する。
【0050】
本明細書で使用される場合、「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しない。さらに、用語「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、「構成される(composed)」、「構成される(comprised)」またはそれらの変形が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様の方法で含めることが意図される。
【0051】
本明細書で使用される場合、範囲および量は「約(about)」特定の値または範囲として表され得る。「約」は正確な量も含むことが意図される。ゆえに、「約5パーセント」は、「約5パーセント」および「5パーセント」も意味する。「約」は、意図された用途または目的の典型的な実験誤差以内を意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、別段の指定がない限り、すべての部およびパーセンテージは重量による(組成物の全重量に基づいたwt%または質量%)。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」および「ポリマーまたはコポリマー」は同じ意味で使用され、両方の用語は、別段の指定がない限り、ポリマーおよびコポリマーの両方を指す。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「インクおよびコーティング組成物」、「コーティング組成物」、「インクおよびコーティング」、「インク」、「コーティング」および「組成物」、「ヒートシール性水系コーティング組成物(複数可)」「ヒートシール性バリアコーティング」等は同じ意味で使用され、すべて本発明のインクおよびコーティング組成物を指す。
【0055】
ヒートシール性バリアコーティング組成物
本発明のコーティング組成物は、1つまたは複数のアクリルポリマーもしくはコポリマーエマルジョンを含む。溶融ワックスとアクリルポリマーエマルジョンの混合は、環境に配慮したコーティングのヒートシール性、オーバープリント性、およびバリア性を改善する。
【0056】
好適なアクリルポリマーまたはコポリマーエマルジョンとしては、純アクリルポリマー、エチレンアクリル酸コポリマー、ビニルアクリル酸コポリマー、スチレン-アクリルコポリマー、それらの組み合わせ等が挙げられるが、それらに限定されない。アクリルポリマーエマルジョンの一部のリストには、Carboset GAW7448、SYNTHRO(登録商標)-PEL CWO、EUROCRYL 4174XP、EUROCRYL 4184XP、JONCRYL 8052、JONCRYL ECO 2124、JONCRYL 8050、Carboset(登録商標)GA-7428、Carboset(登録商標)GA-7424、Induprint SE 245、Induprint SE 375、NEOCRYL A2092、NEOCRYL A2099、Induprint SE 288、Texicryl 13813が含まれが、それらに限定されない。
【0057】
好ましい実施形態では、アクリルポリマーエマルジョンは、コーティング組成物の全重量に基づいて20wt%以上の量で存在するであろう。好ましくは、アクリルポリマーエマルジョンは、30wt%以上、より好ましくは40wt%以上、より好ましくは50wt%以上、または最も好ましくは60wt%以上の量で存在するであろう。本発明のコーティング組成物中に存在するアクリルポリマーエマルジョンの量は、コーティング組成物の全重量に基づいて、典型的には約5wt%~約90wtである。例えば、アクリルポリマーエマルジョンは、約5wt%~約80wt%、または約5wt%~約75wt%、または約5wt%~約70wt%、または約5wt%~約65wt%、または約5wt%~約60wt%、または約5wt%~約55wt%、または約5wt%~約50wt%、または約5wt%~約45wt%、または約5wt%~約40wt%、または約5wt%~約35wt%、または約5wt%~約30wt%、または約5wt%~約25wt%、または約5wt%~約20wt%、または約5wt%~約15wt%、または約5wt%~約10wt%、または約10wt%~約10wt%~約90wt%、または約10wt%~約80wt%、または約10wt%~約70wt%、または約10wt%~約60wt%、または約10wt%~約50wt%、または約10wt%~約40wt%、または約10wt%~約30wt%、または約10wt%~約20wt%、または約20wt%~約90wt%、または約20wt%~約80wt%、または約20wt%~約70wt%、または約20wt%~約60wt%、または約20wt%~約50wt%、または約20wt%~約40wt%、または約20wt%~約30wt%、または約30wt%~約90wt%、または約30wt%~約80wt%、または約30wt%~約70wt%、または約30wt%~約60wt%、または約30wt%~約50wt%、または約30wt%~約40wt%、または約40wt%~約90wt%、または約40wt%~約80wt%、または約40wt%~約70wt%、または約40wt%~約60wt%、または約40wt%~約50wt%、または約50wt%~約90wt%、または約50wt%~約80wt%、または約50wt%~約70wt%、または約50wt%~約60wt%、または約60wt%~約90wt%、または約60wt%~約80wt%、または約60wt%~約70wt%、または約70wt%~約90wt%、または約70wt%~約80wt%、または約80wt%~約90wt%の量で存在してよい。
【0058】
本発明のコーティング組成物は、1つまたは複数の溶融ワックスを含む。ヒートシール時、溶融ワックスは、紙繊維に浸透して基材(典型的には紙または板紙基材)の表面および端部の全てを保護する。好適な溶融ワックスとしては、パラフィンワックス、アクリルグラフトパラフィンワックス、結晶性ワックス、ポリエチレンワックス、高密度ポリエチレンワックス、ポリエチレン/ポリテトラフルオロエチレンワックス、カルナバワックス、それらの組み合わせ等が挙げられるが、それらに限定されない。ワックスは、加熱ステップ中、樹脂を軟化させている最中に溶けるのに十分な量で加えられる。いかなる特定の理論にも縛られないが、温度が十分に高い、好ましくは100℃~220℃であり、滞留時間が十分、加熱と封止との間で好ましくは0.5~5秒であるならば、ワックスは実際はコーティングからしみ出て表面で液体層を形成すると考えられる。この液体表面がコーティングされていない板に対してさらに押し付けられると、液体ワックスは曝露された板繊維に容易に浸透し(ウィッキング)、脂および水に対する基材の有効な保護をもたらすと考えられ、一方、圧力は、樹脂部分も繊維に有効に浸透して、冷却時に繊維引裂結合(fiber-tear bond)をもたらすことを確実にする。繊維引裂結合は、コーティングが基材への接着力を失う前に基材が裂けることになる場合である。繊維引裂結合は、本発明の水系コーティングが、基材が裂ける点までその接着力を維持するであろうことを示す。したがって、コーティングは、基材自身の強度より強い基材への結合を有する。紙カップの場合のように、コーティングされたブランクの端部でまたはそのごく近くで封止が実施される場合、このワックスウィッキング機構による端部の有効な保護が達成される。ポリエチレンはそのような端部保護を達成しないことが実証されており、したがって、ポリエチレンコーティングで調製された容器は漏れに弱い。図1はこれを説明する。本発明のコーティング組成物は端部の封止および保護のみならず、基材の表面全体にわたって水、脂および油への耐性を提供する。本発明のコーティング組成物で片側または両側をコーティングされた紙および板紙は、露出した内側シームを有する、水分の多いおよび/または脂分の多い食品用の包装の設計に、容易にかつコスト効率よく使用され得る。片側に塗布されたコーティング組成物を有する包装の例は、片面ポリ紙カップまたは食品トレーと等価であり、封止時にin-situで構築された端部保護という追加の利益がある。
【0059】
典型的には、溶融ワックスは、約40℃~約100℃の融点を有する。好ましくは、ワックスは、約50℃~約90℃の融点を有する。例えば、ワックスは、約40℃~約80℃、または約40℃~約70℃、または約40℃~約60℃、または約40℃~約50℃、または約50℃~約100℃、または約50℃~約90℃、または約50℃~約80℃、または約50℃~約70℃、または約50℃~約60℃、または約60℃~約100℃、または約60℃~約90℃、または約60℃~約80℃、または約60℃~約70℃、または約70℃~約100℃、または約70℃~約90℃、または約70℃~約80℃、または約80℃~約100℃、または約80℃~約90℃、または約90℃~約100℃の融点を有してよい。
【0060】
溶融ワックスは、典型的には、インクまたはコーティング組成物の全重量に基づいて、約2wt%~約25wt%の量で本発明のコーティング組成物中に存在する。例えば、溶融ワックスは、約2wt%~約20wt%、または約2wt%~約15wt%、または約2wt%~約10wt%、または約2wt%~約5wt%、または約5wt%~約25wt%、または約5wt%~約20wt%、または約5wt%~約15wt%、または約5wt%~約10wt%、または約10wt%~約25wt%、または約10wt%~約20wt%、または約10wt%~約15wt%、または約15wt%~約25wt%、または約15wt%~約20wt%、または約20wt%~約25wt%の量で存在してよい。
【0061】
本発明のインクおよびコーティング組成物は水系であり、水を含有する。好ましい実施形態では、本発明のインクおよびコーティング組成物は、組成物の全重量に基づいて約5wt%以上の水を含む。好ましくは、水は、約10wt%以上、または約15wt%以上、または約20wt%以上の量で存在する。典型的には、水は、組成物の全重量に基づいて、約5wt%~約85wt%の量でコーティング組成物中に存在する。例えば、水は、約5wt%~約80wt%、または約5wt%~約70wt%、または約5wt%~約60wt%、または約5wt%~約50wt%、または約5wt%~約40wt%、または約5wt%~約30wt%、または約5wt%~約20wt%、または約5wt%~約15wt%、または約5wt%~約10wt%、または約10wt%~約85wt%、または約10wt%~約80wt%、または約10wt%~約70wt%、または約10wt%~約60wt%、または約10wt%~約50wt%、または約10wt%~約40wt%、または約10wt%~約30wt%、または約10wt%~約20wt%、または約20wt%~約85wt%、または約20wt%~約80wt%、または約20wt%~約70wt%、または約20wt%~約60wt%、または約20wt%~約50wt%、または約20wt%~約40wt%、または約20wt%~約30wt%、または約30wt%~約85wt%、または約30wt%~約80wt%、または約30wt%~約70wt%、または約30wt%~約60wt%、または約30wt%~約50wt%、または約30wt%~約40wt%、または約40wt%~約85wt%、または約40wt%~約80wt%、または約40wt%~約70wt%、または約40wt%~約60wt%、または約40wt%~約50wt%、または約50wt%~約85wt%、または約50wt%~約80wt%、または約50wt%~約70wt%、または約50wt%~約60wt%、または約60wt%~約85wt%、または約60wt%~約80wt%、または約60wt%~約70wt%、または約70wt%~約85wt%、または約70wt%~約80wt%、または約80wt%~約85wt%の量で存在してよい。特定の実施形態では、本発明のインクおよびコーティング組成物は、約10wt%~約70wt%、より好ましくは約20wt%~約60wt%の水を含むであろう。
【0062】
本発明のインクおよびコーティング組成物は、任意選択で、インクおよびコーティング組成物で典型的に使用される1つまたは複数の添加剤をさらに含んでよい。そのような添加剤の例としては、接着促進剤、光安定剤、脱気添加剤、流動促進剤、消泡剤、酸化防止剤、安定剤、湿潤剤、界面活性剤、クレー、フィラー、分散剤、可塑剤、レオロジー添加剤、他のワックス、シリコーン、着色剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。存在する場合、各添加剤は、典型的には、組成物の全重量に基づいて約0.01wt%~約20wt%の量で存在する。例えば、添加剤は、約0.01wt%~約10wt%、または約0.01wt%~約5wt%、または約0.01wt%~約1wt%、または約0.1wt%~約20wt%、または約0.1wt%~約10wt%、または約0.1wt%~約5wt%、または約0.1wt%~約1wt%、または約1wt%~約20wt%、または約1wt%~約10wt%、または約1wt%~約5wt%、または約5wt%~約20wt%、または約5wt%~約10wt%、または約10wt%~約20wt%の量で存在してよい。
【0063】
着色剤がコーティング組成物中に組み込まれてもよい。好適な着色剤としては、有機または無機顔料および染料が挙げられるが、それらに限定されない。染料としては、アゾ染料、アントラキノン染料、キサンテン染料、アジン染料、それらの組み合わせ等が挙げられるが、それらに限定されない。有機顔料は、例えば、ピグメントイエロー番号12、13、14、17、74、83、114、126、127、174、188、ピグメントレッド番号2、22、23、48:1、48:2、52、52:1、53、57:1、112、122、166、170、184、202、266、269、ピグメントオレンジ番号5、16、34、36、ピグメントブルー番号15、15:3、15:4、ピグメントバイオレット番号3、23、27、および/またはピグメントグリーン番号7などの、1つの顔料または顔料の組み合わせであってよい。無機顔料は、以下の非限定的な顔料の1つであってよい:酸化鉄、二酸化チタン、酸化クロム、フェロシアン化第二鉄アンモニウム、酸化鉄ブラック、ピグメントブラック番号7、および/またはピグメントホワイト番号6および7。他の有機および無機顔料および染料、ならびに所望の色を達成する組み合わせも採用され得る。
【0064】
本発明のコーティング組成物は、好ましくはVOCを含まない。しかしながら、少量の溶媒(好ましくはアルコール)が使用されてよい。存在する場合、溶媒は、好ましくは、組成物の全重量に基づいて10wt%未満の量で存在する。より好ましくは、溶媒は5wt%未満または2wt%未満の量で存在する。
【0065】
本発明の組成物は、好ましくは良好なオーバープリント性も付与する。これは、コーティングされた基材上への文字または画像の印刷を可能にする。
【0066】
本発明のコーティングは、プラスチック包装から紙包装への転換を可能にするであろう紙および板紙包装の改善を提供し、したがってより環境に優しい材料を利用し、より容易にリサイクルされ得る。加えて、本発明の組成物は、例えばPE、PP、PLA等で押出コーティングされた紙基材の置き換えを可能にする
【0067】
本発明のコーティング組成物は任意の好適な手段によって基材に塗布され得る。好適な塗布方法としては、グラビア印刷、フレキソコーティング、カーテンコーティング、フラッドコーティング、またはマイヤーバー塗布が挙げられるが、それらに限定されない。コーティング組成物は、典型的には、2~15g/mの乾燥重量のコーティングを与えるのに十分な量で塗布される。例えば、コーティングは、4~15g/mの乾燥重量、または2~12g/mの乾燥重量の量で塗布されてよい。
【0068】
本発明のコーティング組成物は、紙もしくは板紙基材の片側(片面)に、または紙もしくは板紙基材の両側(両面)に塗布されてよい。好ましくは、本発明のコーティング組成物は、少なくとも容器または包装の内側を形成し、したがってその内容物と接触することになる側に塗布される。1つまたは複数のコーティング層が、任意の構成で、基材のいずれかの側または両側に塗布されてよい。基材の各側に塗布された本発明のコーティング組成物は、同一の配合、または異なる配合であってよい。本発明のコーティング組成物は、意図された用途に応じて、基材の各側に、同一の、または異なるフィルム重量で塗布され得る。ある実施形態では、最終的に容器の内部表面になる基材の表面に塗布されるコーティングは、容器内の物質と直接接触することになるため、製品の耐性という点でよりロバストなようになり、一方、容器の外部表面になる基材の表面上に使用されるコーティングは、凝縮によって形成される水にのみ耐性を有する必要がある。
【0069】
本発明のコーティングが多種多様な状況(片面もしくは両面コーティング、遅いもしくは速い成形ライン、異なる封止温度等)で機能するために、コーティング組成物の異なるバリエーションが基材の各側で使用されること、または可変の厚さを有する層、または基材の一方の側が他方の前にコーティングされること(前印刷もしくは後印刷)、または基材の各側が他方と異なるプロセスでコーティングされること(例えば、一方は2回のグラビア印刷、他方はフレキソ印刷等)が必要とされる場合がある。いずれの場合でも、成形時に(脂、油、および水等に対する)端部保護効果を達成するために追加の材料またはプロセスステップは必要とされず、これは溶融ワックスを通してin-situで得られるためである。本発明のコーティング組成物の使用が排除し得る追加の材料またはプロセスステップの例は、封止促進剤、コーキング、ワックス噴霧、保護ストリップの並置、カップ形成前の壁の端部の噴霧または後コーティング、カップ壁の内側の重なりの端部の、壁の外側の重なりにプレコーティングされた接着剤の層への埋め込み等の使用である。これらのすべての例で、目標を達成するための追加の材料および/またはプロセスステップの使用を通してバリア性が得られ、これは追加の故障モード、より長いプロセス時間、複雑性の増加、および最終的により高いコストを常にもたらす。これらの欠点は、本発明のコーティング組成物を使用することによって排除される。
【0070】
実施例
以下の実施例は、本発明の特定の態様を説明し、いかなる点においてもその範囲を限定することを意図せず、そのように解釈されるべきではない。
【0071】
実施例1~5。ヒートシール性水系コーティング組成物。
ヒートシール性水系コーティング組成物を調製した。配合を表1~5に示す。
【表1】
【表2】
【表3】

【表4】
【表5】
【0072】
実施例6。板紙基材上への片側コーティング
コーティング組成物を、12g/mの乾燥重量のコーティング重量で板紙基材の片側(内側)に塗布した。基材をカップに成形した。
【0073】
印刷された板紙を、約1~2秒間、600℃の熱源から約2インチに配置した。板紙を、当該技術分野で既知の技術を使用してカップに成形した。
【0074】
本発明のコーティング組成物でコーティングされたカップの性能を、ポリエチレンでコーティングされた標準的な紙カップ(比較)と比較した。着色液体(濃染色インク)を各カップに入れ、一定時間放置した。端部を通って基材中へ、最終的にはカップの外部への液体のウィッキングが、カップの外側の濃染色として示された。図1(a)(1時間後)および図1(b)(3時間後)に示すように、著しく多くの液体が比較カップのシームを通してしみ出た。本発明のコーティング組成物でコーティングされたカップは、1時間または3時間のいずれにおいてもそのようなウィッキングまたは漏出を示さなかった。すなわち、本発明のコーティング組成物でコーティングされたカップは、カップのシームを通した液体の浸透にはるかに耐性があった。
【0075】
実施例7。本発明のコーティング組成物の両側塗布。
コーティング組成物を使用して、カップの内部および外部の両方に本発明のコーティング組成物を有するカップを作製した。コーティング組成物を、12g/mの乾燥重量のフィルム重量でクレーコート板紙基材の内部表面に塗布した。印刷された板紙を、約1~2秒間、600℃の熱源から約2インチに配置した。板紙を、当該技術分野で既知の技術を使用してカップに成形した。それに続くコーティング操作で、コーティング組成物を、4g/mの乾燥重量のフィルム重量で基材の外部表面に塗布した。実施例7のコーティングされたカップは、大量包装ラインの高い速度および低い温度特性で封止した。初期の端部保護結果は実施例6と同様であった。
【0076】
本発明を、その好ましい実施形態を含めて詳細に記載した。しかしながら、当業者は、本開示を検討するに際し、本発明の範囲および趣旨に収まる変更および/または改善を本発明に行ってよいことが理解されよう。
図1