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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】開閉シャッター付きコネクタ対
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20220714BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G02B6/36
H01R13/52 302A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020108144
(22)【出願日】2020-06-23
(62)【分割の表示】P 2017562444の分割
【原出願日】2016-11-02
(65)【公開番号】P2020170713
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2016009202
(32)【優先日】2016-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岸 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】林田 心
(72)【発明者】
【氏名】星野 晋平
【審査官】井部 紗代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-126262(JP,A)
【文献】特開2013-007841(JP,A)
【文献】特開平09-311245(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0330957(US,A1)
【文献】特開2004-240162(JP,A)
【文献】国際公開第2013/126068(WO,A1)
【文献】中国実用新案第204903805(CN,U)
【文献】特開2002-055261(JP,A)
【文献】特開2014-085378(JP,A)
【文献】特開平09-325237(JP,A)
【文献】特開平04-235508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口を有する第1ケース部材、および該第1開口内に配置された少なくとも1つの第1信号伝達部材を有する第1コネクタと、
第2開口を有する第2ケース部材、および該第2開口内に配置された少なくとも1つの第2信号伝達部材を有する第2コネクタと
を備え、前記第1および第2コネクタが互いに対して分離可能に接続される構成を有するコネクタ対であって、
前記第1ケース部材の第1開口内に前記第2ケース部材が挿入可能なように、前記第1ケース部材の内寸が前記第2ケース部材の外寸よりも大きく、
前記第1コネクタが、1対の第1板状部材で構成される観音開き式の第1シャッターを有し、該第1シャッターが、前記第1開口の先端部に位置し、前記第1ケース部材の内部に向かって内向きに回動して前記第1開口を開放するように構成され、
前記第2コネクタが、1対の第2板状部材で構成される観音開き式の第2シャッターを有し、該第2シャッターが、前記第2開口の先端部に位置し、前記第2ケース部材の外部に向かって外向きに回動して前記第2開口を開放するように構成され、
前記第1信号伝達部材を保持する第1保持部材が、第1弾性材を介して前記第1ケース部材に弾性的に連結されて前記第1ケース部材の内部空間において揺動可能なフローティング構造を有し
前記第2信号伝達部材を保持する第2保持部材が、第2弾性材を介して前記第2ケース部材に弾性的に連結されて前記第2ケース部材の内部空間において揺動可能なフローティング構造を有し、
前記第1保持部材のフローティング構造は、その第1保持部材の両側面に前記第1弾性材としての一対のバネ材を配置して、その第1保持部材が前記第1ケース部材の両側壁に対し接近・離間する方向に揺動するように構成されていることを特徴とする開閉シャッター付きコネクタ対。
【請求項2】
前記第1および第2シャッターの回動動作は、いずれも前記第1および第2コネクタを接続する際の挿入力を動力源として行なわれることを特徴とする請求項1に記載の開閉シャッター付きコネクタ対。
【請求項3】
前記1対の第1板状部材は、前記第1開口の閉鎖状態にて互いに重なり合う第1係合端部をもち、一方の第1板状部材の第1係合端部が、前記第1シャッターが閉じた状態で前記第1ケース部材の外部側向きの段差部であり、他方の第1板状部材の第1係合端部が、前記第1シャッターが閉じた状態で前記第1ケース部材の内部側向きの段差部であり、
前記1対の第2板状部材は、前記第2開口の閉鎖状態にて互いに重なり合う第2係合端部をもち、一方の第2板状部材の第2係合端部が、前記第2シャッターが閉じた状態で前記第2ケース部材の外部側向きの段差部であり、他方の第2板状部材の第2係合端部が、前記第2シャッターが閉じた状態で前記第2ケース部材の内部側向きの段差部であり、
前記第1および第2コネクタの接続は、前記第1および前記第2シャッターを、前記一方の第1板状部材が前記一方の第2板状部材に対向し、前記他方の第1板状部材が前記他方の第2板状部材に対向する配置状態で行なわれる請求項1または2に記載の開閉シャッター付きコネクタ対。
【請求項4】
前記一方の第1板状部材の外面または前記一方の第2板状部材の外面に、前記一方の第1板状部材の内向き回動を開始する時期を早める凸部を有する請求項3に記載の開閉シャッター付きコネクタ対。
【請求項5】
前記第1板状部材の外面に、前記第1シャッターの分割ラインに対して直交する方向に直線状に連続して延びる溝または突状部からなる第1位置決め部を有し、
前記第2板状部材の外面に、前記第2シャッターの分割ラインに対して直交する方向に直線状に連続して延び、前記第1位置決め部と係合する突状部または溝からなる第2位置決め部を有する請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の開閉シャッター付きコネクタ対。
【請求項6】
前記第1位置決め部は、前記接続の際に前記第2位置決め部の係合を維持した状態で、前記第2板状部材が前記第1板状部材の外面に沿った挿入方向に摺動させるためのガイド機能も有する請求項5に記載の開閉シャッター付きコネクタ対。
【請求項7】
前記第1開口の先端部に、前記第1板状部材を内向き回動可能に連結する1対の第1回動軸を有し、
前記第2開口の先端部に、前記第2板状部材を外向き回動可能に連結する1対の第2回動軸を有し、
前記1対の第2回動軸間の距離は、前記1対の第1回動軸間の距離よりも小さく、
前記第1および第2板状部材が、前記第1ケース部材内への前記第2ケース部材の挿入初期から接続完了にわたって前記第1および第2回動軸の間に位置し、
前記第2シャッターは、接続完了状態で、回動した第2板状部材が前記第1開口の内面に沿った方向に延在する位置で保持されるように構成される請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の開閉シャッター付きコネクタ対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合接続される第1コネクタと第2コネクタとを備え、両コネクタのそれぞれの先端開口に、外部からの塵芥等の侵入を防止するためのシャッターを装着し、両コネクタを嵌合接続する際の嵌合挿入力を利用してシャッターの開放動作を可能にした、開閉シャッター付きコネクタ対に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタは、コネクタ内部への塵芥等の異物の侵入を防止するための手段として、例えば特許文献1および特許文献2に記載されているように、先端開口にシャッターを設ける場合がある。特許文献1および2に記載されたコネクタ対はいずれも、コネクタ対を構成する2つのコネクタを嵌合接続する際の嵌合挿入力を利用してシャッターの開放を行なう構造を採用しているものの、シャッターを開放する構造を採用するコネクタは、一方のコネクタだけであり、他方のコネクタにはシャッターが設けられていないため、コネクタ対を分離した後の他方のコネクタは、先端開口が開放状態のままであり、コネクタ内部に塵芥等が侵入するのを防止できないという問題がある。
【0003】
上記のような防塵用コネクタは、嵌合接続する直前までは先端開口を閉鎖状態に維持してコネクタ内部を気密(密閉)構造とすることが望ましいとされる。このため、コネクタ対を構成する2つのコネクタはいずれも、先端開口の開閉が可能なシャッターを設けることが有用であり、さらに、シャッターの外面に付着した異物が、コネクタ内部に侵入するのを回避する観点から、シャッターは、コネクタの内部に収容される方向(内向き)に回動するように構成するよりも、コネクタの外部に向かって外向きに回動するように構成することがより望ましい。
【0004】
また、両コネクタにシャッターを設けた場合、両シャッターを開閉するには、開閉動作、あるいは開閉動作のタイミングの制御を行なうための独立した新たな動力源(例えばシリンダ、モータなど)を設けることが必要であるか、あるいはコネクタの構造を複雑にする必要があるなどの問題があると考えられる。加えて、このような動力源を設けることは、コネクタ全体の重量が増加することによって、慣性力が大きくなって、動作が緩慢になる恐れもある。このため、シャッターを開閉するための動力源を新たに設けることなく、両コネクタを嵌合接続する際の嵌合挿入力だけを動力源として、両シャッターを開く方向に回動させる構成を採用した公知技術は現状では見当たらない。
【0005】
さらに、シャッターの構成として、例えば1枚の板状部材を用いて内向き回動の片開き構造を採用した場合には、シャッターサイズが大きくなり、シャッター開放時にシャッターをコネクタ内部で回動および収納を可能にするための大きなスペースを形成する必要があるため、それに伴って、コネクタが大型化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-71400号公報
【文献】特開平6-54260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、開閉可能なシャッターを両コネクタに設けることができ、しかも、両コネクタを接続する際の挿入力を利用して、両シャッターの開閉動作を、簡易な構造でかつ確実に行なうことを可能にした、開閉シャッター付きコネクタ対を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対は、第1開口を有する第1ケース部材、および該第1開口内に配置された少なくとも1つの第1信号伝達部材を有する第1コネクタと、第2開口を有する第2ケース部材、および該第2開口内に配置された少なくとも1つの第2信号伝達部材を有する第2コネクタとを備え、前記第1および第2コネクタが互いに対して分離可能に接続される構成を有するコネクタ対であって、
前記第1ケース部材の第1開口内に前記第2ケース部材が挿入可能なように、前記第1ケース部材の内寸が前記第2ケース部材の外寸よりも大きく、前記第1コネクタが、1対の第1板状部材で構成される観音開き式の第1シャッターを有し、該第1シャッターが、前記第1開口の先端部に位置し、前記第1ケース部材の内部に向かって内向きに回動して前記第1開口を開放するように構成され、前記第2コネクタが、1対の第2板状部材で構成される観音開き式の第2シャッターを有し、該第2シャッターが、前記第2開口の先端部に位置し、前記第2ケース部材の外部に向かって外向きに回動して前記第2開口を開放するように構成され、
前記第1信号伝達部材を保持する第1保持部材が、第1弾性材を介して前記第1ケース部材に弾性的に連結されて前記第1ケース部材の内部空間において揺動可能なフローティング構造を有し、前記第2信号伝達部材を保持する第2保持部材が、第2弾性材を介して前記第2ケース部材に弾性的に連結されて前記第2ケース部材の内部空間において揺動可能なフローティング構造を有し、前記第1保持部材のフローティング構造は、その第1保持部材の両側面に前記第1弾性材としての一対のバネ材を配置して、その第1保持部材が前記第1ケース部材の両側壁に対し接近・離間する方向に揺動するように構成されているものである。
【0009】
なお、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対にあっては、第1および第2シャッターの回動動作は、いずれも第1および第2コネクタを接続する際の挿入力を動力源として行なわれることが好ましい。
【0010】
また、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対にあっては、1対の第1板状部材は、第1開口の閉鎖状態にて互いに重なり合う第1係合端部をもち、一方の第1板状部材の第1係合端部が、前記第1シャッターが閉じた状態で前記第1ケース部材の外部側向き段差部であり、他方の第1板状部材の第1係合端部が、前記第1シャッターが閉じた状態で前記第1ケース部材の内部側向き段差部であり、1対の第2板状部材は、第2開口の閉鎖状態にて互いに重なり合う第2係合端部をもち、一方の第2板状部材の第2係合端部が、前記第2シャッターが閉じた状態で前記第2ケース部材の外部側向き段差部であり、他方の第2板状部材の第2係合端部が、前記第2シャッターが閉じた状態で前記第2ケース部材の内部側向き段差部であり、第1および第2コネクタの接続は、第1および第2シャッターを、一方の第1板状部材が一方の第2板状部材に対向し、他方の第1板状部材が他方の第2板状部材に対向する配置状態で行なわれることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対にあっては、一方の第1板状部材の外面または一方の第2板状部材の外面に、一方の第1板状部材の内向き回動を開始する時期を早める凸部を有することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対にあっては、第1板状部材の外面に、第1シャッターの分割ラインに対して直交する方向に直線状に連続して延びる溝または突状部からなる第1位置決め部を有し、第2板状部材の外面に、第2シャッターの分割ラインに対して直交する方向に直線状に連続して延び、第1位置決め部と係合する突状部または溝からなる第2位置決め部を有することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対にあっては、第1位置決め部は、接続の際に第2位置決め部の係合を維持した状態で、第2板状部材が第1板状部材の外面に沿った挿入方向に摺動させるためのガイド機能も有することが好ましい。
【0014】
加えて、本発明の開閉シャッター付きコネクタ対にあっては、第1開口の先端部に、第1板状部材を内向き回動可能に連結する1対の第1回動軸を有し、第2開口の先端部に、第2板状部材を外向き回動可能に連結する1対の第2回動軸を有し、1対の第2回動軸間の距離は1対の第1回動軸間の距離よりも小さく、第1および第2板状部材が、第1ケース部材内への第2ケース部材の挿入初期から接続完了にわたって第1および第2回動軸の間に位置し、第2シャッターは、接続完了状態で、回動した第2板状部材が第1開口の内面に沿った方向に延在する位置で保持されるように構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1ケース部材の第1開口内に第2ケース部材が挿入可能なように第1ケース部材の内寸を第2ケース部材の外寸よりも大きくし、第1コネクタが、1対の第1板状部材で構成される観音開き式の第1シャッターを有し、該第1シャッターが、第1ケース部材の第1開口の先端部に位置し、第1ケース部材の内部に向かって内向きに回動して第1開口を開放するように構成され、第2コネクタが、1対の第2板状部材で構成される観音開き式の第2シャッターを有し、該第2シャッターが、第2ケース部材の第2開口の先端部に位置し、第2ケース部材の外部に向かって外向きに回動して第2開口を開放するように構成されることにより、開閉可能なシャッターを両コネクタに設けることができ、しかも、両コネクタを接続する際の挿入力を利用して、両シャッターの開閉動作を、簡易な構造でかつ確実に行なうことを可能にした、開閉シャッター付きコネクタ対を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に従う代表的な実施形態の開閉シャッター付きコネクタ対の断面図であって、コネクタ対を構成する第1および第2コネクタの嵌合接続が完了した状態(嵌合接続完了状態)で示す。
図2図2は、図1のコネクタ対を構成する第1コネクタの断面図である。
図3図3は、図1のコネクタ対を構成する第2コネクタの断面図である。
図4図4(a)~(d)は、図1に示すコネクタ対を構成する第1および第2コネクタを、嵌合前の分離状態から嵌合接続完了状態に達するまでの嵌合イメージを説明するための断面図であって、図4(a)が嵌合前の状態、図4(b)が両コネクタのシャッター同士が接触した状態(シャッター突き当て状態)、図4(c)が両シャッターを45度だけ回動したときの状態(シャッター回動状態)、および図4(d)が嵌合接続完了状態で示す。
図5図5は、図4(a)~(d)に示されている第1および第2コネクタのうち、第1および第2シャッターだけを抜き出し、両シャッターの回動動作を説明するための図である。
図6図6(a)は、図5(b)の第1および第2シャッター同士が接触した状態を、第1シャッターの内面側から眺めた斜視図であって、第2シャッターの外面が見えるように第1シャッターを仮想線で示したものであり、また、図6(b)は、第2シャッターの斜視図である。
図7図7は、第1および第2位置決め部に凸部を設けた他の実施形態を示す概念図である。
図8図8(a)は、第1コネクタの他の実施形態を示す概略斜視図であり、図8(b)は、第2コネクタの他の実施形態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら以下で説明する。
【0018】
図1は、本発明に従う第1実施形態の開閉シャッター付きコネクタ対の断面図であって、コネクタ対を構成する第1および第2コネクタの嵌合接続が完了した状態(嵌合接続完了状態)で示したものであり、図2は、図1のコネクタ対を構成する第1コネクタの断面図であり、図3は、図1のコネクタ対を構成する第2コネクタの断面図であり、図4(a)~(d)は、図1に示すコネクタ対を構成する第1および第2コネクタを、嵌合前の分離状態から嵌合接続完了状態に達するまでの嵌合イメージを説明するための断面図であって、図4(a)が嵌合前の状態、図4(b)が両コネクタのシャッター同士が接触した状態(シャッター突き当て状態)、図4(c)が両シャッターを45度だけ回動したときの状態(シャッター回動状態)、および図4(d)が嵌合接続完了状態で示したものであり、図5は、図4(a)~(d)に示されている第1および第2コネクタのうち、第1および第2シャッターだけを抜き出し、両シャッターの回動動作を説明するための図であり、そして、図6(a)は、図5(b)の第1および第2シャッター同士が接触した状態を、第1シャッターの内面側から眺めた斜視図であって、第2シャッターの外面が見えるように第1シャッターを仮想線で示したものであり、また、図6(b)は、第2シャッターの斜視図である。
【0019】
図1に示す開閉シャッター付きコネクタ対1は、第1コネクタ10と第2コネクタ40とを備え、これら第1および第2コネクタ10および40が互いに対して分離可能に嵌合接続される構成を有している。
【0020】
(第1コネクタ)
第1コネクタ10は、図2に示すように、少なくとも1つ、図示例では複数の第1信号伝達部材12と、第1保持部材14と、第1ケース部材16と、第1シャッター18とで主に構成されている。
【0021】
第1信号伝達部材12は、光ファイバ(図示せず)と、この光ファイバを内挿固定したセラミックス製のフェルールとで主に構成され、フェルールの先端に、第2コネクタ40の後述する第2信号伝達部材42と接触する第1接触部を有する。
【0022】
第1保持部材14は、複数の第1信号伝達部材12を所定の配列状態保持するために設けられ、例えば金属製のブロックとして構成することができる。
【0023】
第1ケース部材16は、挿入方向に延在する第1開口を有するとともに、第1保持部材14の周りを包囲し、両コネクタ10、40の嵌合接続時に、第2コネクタ40の後述する第2ケース部材46と嵌合連結される金属製等のシェル部分であって、第1保持部材14とは、例えばバネ材のような第1弾性材(図示せず)を介して弾性的に連結されていて、第1信号伝達部材12が保持されている第1保持部材14が、第1ケース部材16の内部空間S1において揺動可能な構造、いわゆるフローティング構造を採用することができ、これによって、両コネクタ10、40の嵌合接続時に、第1信号伝達部材12が、破損することなく第2コネクタ40の第2信号伝達部材42との正確な位置決め接触をすることが可能になる構成としている。なお、第1保持部材14のフローティング構造は、第1保持部材14の両側狭幅面のみに1対のバネ材(図示せず)を配置して、第1ケース部材16の両側壁に対して接近・離隔する方向にだけ揺動するように構成しているが、さらに、第1保持部材14の両側広幅面にも1対の他のバネ材を配置して、第1ケース部材16の両側壁に対して接近・離隔する方向だけではなく、この方向に直交する方向にも揺動するように構成することもできる。
【0024】
第1シャッター18は、1対の第1板状部材20a、20bで構成され、この第1シャッター18が、第1ケース部材16の第1開口の先端部22に位置し、第1ケース部材1
6の内部に向かって内向きに回動して第1開口の先端部22を開放する、いわゆる観音開き式のシャッターとして構成されている。また、図2に示す第1コネクタ10では、第1ケース部材16は、その先端部に、第1板状部材20a、20bを内向きに回動可能に連結する1対の第1回動軸24を有し、また、第1回動軸24には、コネクタ対1から第1コネクタ10を分離する際に、第1先端開口22を閉鎖する定常位置へ戻る方向に向かって第1板状部材20a、20bを付勢するコイルばね等の弾性材料(図示せず)が設けられていて、第1板状部材20a、20bは、第1シャッター18の外面側から外力が作用しない状態では、前記定常位置で保持されるように構成されている。
【0025】
第1シャッター18の回動動作は、第1コネクタ10を嵌合接続する際の挿入力を動力源して行なわれることが、コネクタを簡易な構造にできるとともに、製造コストが安くできる点で好ましい。
【0026】
また、1対の第1板状部材20a、20bは、それぞれ第1先端開口22の閉鎖状態にて互いに重なり合う第1係合端部26a、26bをもち、一方の第1板状部材20aの第1係合端部26aが外向き段差部であり、他方の第1板状部材20bの第1係合端部26bが内向き段差部であることが好ましい。これにより、第1シャッター18の閉鎖時に、一方の第1板状部材20aの第1係合端部26aに形成した外向き段差部と、他方の第1板状部材20bの第1係合端部26bに形成した内向き段差部とが噛合い係合し、第1シャッター18の分割ラインL1の位置に隙間が生じにくくなる結果、第1シャッター18の閉鎖時に第1コネクタ10の内部を気密(密閉)構造にすることができ、これによって、防塵機能が得られるとともに、第1シャッター18が第1信号伝達部材(例えば端子)12あるいは光ファイバに接触することはないため、絶縁、切傷などの安全性を確保することができる。
【0027】
第1シャッター18を構成する第1板状部材20a、20bの材質は、強度剛性を重視する場合には、金属材料(必要に応じて絶縁コート)を用いることが好ましく、また、軽量化、絶縁性および摺動性を重視する場合には、樹脂材料(好適には難燃性を有する樹脂材料)を用いることが好ましい。
【0028】
(第2コネクタ)
第2コネクタ40は、図3に示すように、少なくとも1つ、図示例では複数の第2信号伝達部材42と、第2保持部材44と、第2ケース部材46と、第2シャッター48とで主に構成されている。
【0029】
第2信号伝達部材42は、光ファイバ(図示せず)と、この光ファイバを内挿固定したセラミックス製のフェルールとで構成され、フェルールの先端に、第1コネクタ20の第1信号伝達部材22の第1接触部と接触する第2接触部を有する。なお、図1および図3では、第2信号伝達部材42の周りを覆う金属(例えばステンレス鋼、真鍮、アルミニウム、亜鉛など)製の筒状部材49をさらに形成した場合を示しており、この構成によって、両コネクタ10、40の嵌合接続時に、第1コネクタ10の第1信号伝達部材12は、第2信号伝達部材42の第2接触部に接触する位置に達するまで、筒状部材49内に嵌入されるように構成されている。
【0030】
第2保持部材44は、複数の第2信号伝達部材42を所定の配列状態保持するために設けられ、金属製のブロックとして構成することができる。
【0031】
第2ケース部材46は、挿入方向に延在する第2開口を有するとともに、第2保持部材44の周りを包囲し、両コネクタ10、40の嵌合接続時に、第1コネクタ10の第1ケース部材16と嵌合連結される金属製等のシェル部分であって、第2保持部材44とは、例えばばね材のような第2弾性材(図示せず)を介して弾性的に連結されていて、第2信号伝達部材42が保持されている第2保持部材44が、第2ケース部材46の内部空間S2において揺動可能な構造、いわゆるフローティング構造を採用することができ、これによって、両コネクタ10、40の嵌合接続時に、第2信号伝達部材42が、破損することなく第1コネクタ20の第1信号伝達部材12との正確な位置決め接触をすることが可能になる構成としている。
【0032】
なお、第2信号伝達部材42と、第1コネクタ10の第1信号伝達部材12との正確な位置決め接触をより確実に行なう必要がある場合には、第1保持部材14および第1ケース部材16のいずれかに、ピン等の凸部または穴などの凹部で構成した第1位置決め手段(図示せず)を一体的に形成するとともに、第2保持部材44および第2ケース部材46のいずれかに、穴などの凹部またはピン等の凸部で構成した第2位置決め手段(図示せず)を一体的に形成することが好ましい。両コネクタ10、40の嵌合接続時に、第1コネクタ10の第1位置決め手段を、第2コネクタ40の第2位置決め手段に最初に嵌合させることによって、第1コネクタ10の第1信号伝達部材12と、第2コネクタ40の第2信号伝達部材42との正確な位置決め接触することが可能になる。
【0033】
第2シャッター48は、1対の第2板状部材50a、50bで構成され、この第2シャッター48が、第2ケース部材46の第2先端開口52に位置し、第2ケース部材46の外部に向かって外向きに回動して第2先端開口52を開放する、いわゆる観音開き式のシャッターとして構成されている。
【0034】
また、図3に示す第2コネクタ40では、第2ケース部材46は、その先端部に、第2板状部材50a、50bを外向きに回動可能に連結する1対の第2回動軸54を有し、また、第2回動軸54には、コネクタ対1から第2コネクタ40を分離する際に、第2先端開口52が閉鎖される定常位置へ戻る方向に向かって第2板状部材50a、50bを付勢するためのコイルばね等の弾性材料(図示せず)が設けられていて、第2板状部材50a、50bは、第2シャッター48の外面側から外力が作用しない状態では、前記定常位置で保持されるように構成されている。
【0035】
第2シャッター48の回動動作は、第2コネクタ40を嵌合接続する際の挿入力を動力源して行なわれることが、コネクタを簡易な構造にするとともに製造コストが安くできる点で好ましい。
【0036】
また、1対の第2板状部材50a、50bは、それぞれ第2先端開口52の閉鎖状態にて互いに重なり合う第2係合端部56a、56bをもち、一方の第2板状部材50aの第2係合端部56aが外向き段差部であり、他方の第2板状部材50bの第2係合端部26bが内向き段差部であることが好ましい。これにより、第2シャッター48の閉鎖時に、一方の第2板状部材50aの第2係合端部56aに形成した外向き段差部と、他方の第2板状部材50bの第2係合端部56bに形成した内向き段差部とが噛合い係合し、第2シャッター48の分割ラインL2の位置に隙間が生じにくくなる結果、第2シャッター48の閉鎖時に第2コネクタ40の内部を気密(密閉)構造にすることができ、これによって、防塵機能が得られるとともに、第2シャッター48が第2信号伝達部材(例えば端子)42あるいは光ファイバへ接触することがないため、絶縁、切傷などの安全性が確保することができる。
【0037】
さらに、第2シャッター48を構成する第2板状部材50a、50bの材質は、強度剛性を重視する場合には、金属材料(必要に応じて絶縁コート)を用いることが好ましく、また、軽量化、絶縁性および摺動性を重視する場合には、樹脂材料(好適には難燃性を有する樹脂材料)を用いることが好ましい。
【0038】
<コネクタ対>
図1に示す実施形態では、第1コネクタ10が、4段×5列の合計20芯からなる複数の第1信号伝達部材12を露出した状態で配列したプラグ光コネクタとして構成し、第2コネクタ40が、第1コネクタ10の第1信号伝達部材12に対応する位置に配列された複数の第2信号伝達部材42を有し、各第2信号伝達部材42が筒状部材49で覆われた状態で存在するレセプタクル光コネクタとして構成した場合を示す。なお、本実施形態の変形例では、第1コネクタ10をレセプタクル光コネクタとして構成し、第2コネクタ40をプラグ光コネクタとして構成することも可能である。
【0039】
また、本実施形態のコネクタ対1は、第1ケース部材16の第1開口内に第2ケース部材46を挿入可能なように、第1ケース部材16の内寸が第2ケース部材46の外寸よりも大きくされるとともに1対の第2回転軸54間の距離が1対の第1回転軸24間の距離よりも小さく、第1コネクタ10の第1シャッター18を構成する1対の第1板状部材20a、20bが、第1ケース部材16の第1開口の先端部22に位置し、第1ケース部材16の内部に向かって内向きに回動して第1開口の先端部22を開放するように構成され、第2コネクタ40の第2シャッター48を構成する第2板状部材50a、50bが、第2ケース部材46の第2開口の先端部52に位置し、第2ケース部材46の外部に向かって外向きに回動して第2開口の先端部52を開放するように構成されている。この構成を採用することにより、シャッターを開閉するための動力源として、両コネクタを嵌合接続する際の挿入力を有効利用することができるとともに、第1および第2コネクタ10、40のそれぞれに、第1および第2シャッター18、48を設け、これら第1および第2シャッター18、48の開閉タイミングを嵌合動作に同期させることが可能となり、電気的に動力源を制御する方法と比べて、簡易な構造で、しかも安価かつ確実にシャッターの開閉動作を行うことが可能になる。加えて、第2コネクタ40は、第2シャッター48が外向き開閉式なので、外部からの塵芥等の異物の侵入をより確実に防止することができる。さらに、第2コネクタ40の第2シャッター48を外向き開閉式にすることにより、第2コネクタ40の内部に第2シャッター48を収納するためのスペースを設ける必要がないため、第2コネクタ40の内部空間S2、特に内部空間を区画する、第2シャッター48と、第2信号伝達部材42または筒状部材49(図3では筒状部材49)との間の距離を短く設定することが可能になるため、第2コネクタ48の長さ寸法を小さくすることができ、この結果として、第1コネクタ10に第2コネクタ40を嵌合接続したときのコネクタ対1の嵌合長を短くすることも可能になる。
【0040】
なお、本実施形態のコネクタ対を構成する第1および第2コネクタ10、40は、第1コネクタ10の内部に、第2コネクタ40が挿入されて嵌合接続する構造を有するとともに、嵌合接続時には、第1コネクタ10の第1シャッター18と第2コネクタ40の第2シャッター48が、第1コネクタ10の内部で回動するとともに第1コネクタ10の内部に収納される構成を採用しているため、かかる構成を満たすように、第1ケース部材16の内寸を、第2ケース部材46の外寸よりも大きくすることが必要である。例えば、第1ケース部材16の内寸は、第2ケース部材46の外寸に加えて、第1回動軸24と第2回動軸54の位置間隔や、第1および第2板状部材20a、50aまたは20b、50bの外面同士が接触したときの合計厚み等を考慮して設定することができる。
【0041】
さらに、上述した好適な実施形態のように、第1シャッター18を構成する、一方の第1板状部材20aの第1係合端部26aを外向き段差部、他方の第1板状部材20bの第1係合端部26bを内向き段差部とし、第2シャッター48を構成する、一方の第2板状部材50aの第2係合端部56aを外向き段差部とし、他方の第2板状部材50bの第2係合端部26bを内向き段差部とする構成を採用した場合、第1係合端部26a、26b同士、および第2係合端部56a、56b同士に形成した段差部の向きによっては、両シャッター18および48の開放時に、両シャッター18および48の係合端部26a、26bおよび56a、56bが相互に緩衝(接触)しあって、スムーズな開閉動作が行えない場合がある。
【0042】
このため、かかる構成を採用する場合には、第1および第2シャッター18および48を、一方の第1板状部材20aが一方の第2板状部材50aに対向し、他方の第1板状部材20bが他方の第2板状部材50bに対向するような配置状態で、第1および第2コネクタ10、40の嵌合接続を行なえば、両シャッター18および48が、一方の第1板状部材20a、他方の第1板状部材20b、他方の第2板状部材50bおよび一方の第2板状部材50aの順で、係合端部同士が相互に緩衝することなくスムーズな開閉動作を行うことが可能になる。
【0043】
また、第1シャッター18と第2シャッター48を、係合端部26a、26bおよび56a、56bが相互に緩衝することなく、より一層円滑に開閉する必要がある場合には、図3および図6に示すように、一方の第1板状部材20aの外面または一方の第2板状部材50aの外面に、一方の第1板状部材20aの内向き回動を開始する時期を早める凸部60を設けることが好ましい。凸部60は、嵌合接続時に第1シャッター18と第2シャッター48とが最初に接触する部分であって、凸部60の形状は、嵌合接続時に一方の第1板状部材20aを他方の第1板状部材20bよりも先行して第1コネクタ10の内部に向かって押圧でき、また、コネクタ対1の分離時には、他方の第1板状部材20bよりも遅れて、一方の第1板状部材20aを第1シャッター18が閉鎖する定常位置に戻るように構成されていればよく、特に限定はしない。なお、図6(b)では、後述するように、嵌合接続および分離時に、第1シャッター18および第2シャッター48の外面同士が接触摺動する構成を採用しているため、接触抵抗を低減する観点から、凸部60の頂部をR状(かまぼこ状)に加工して形成した場合を示す。
【0044】
さらに、他の実施形態としては、第1板状部材20a、20bは、外面に、第1シャッター18の分割ラインL1に対して直交する方向に直線状に連続して延びる溝または突状部(図6では台形状の溝)からなる第1位置決め部28を有し、第2板状部材50a、50bの外面に、第2シャッター48の分割ラインL2に対して直交する方向に直線状に連続して延び、第1位置決め部28と係合する突状部または溝(図6では台形状の突状部)からなる第2位置決め部58を有することが好ましい。これによって、嵌合接続時の際における、第1コネクタ10の第1シャッター18の外面と、第2コネクタ40の第2シャッター48の外面が接触する正規の相対位置、特に分割ラインL1,L2に沿う方向の位置決めが可能になり、第1コネクタ10と第2コネクタ40の正確な位置関係の状態で嵌合接続することができる。
【0045】
加えて、第1位置決め部28は、嵌合接続の際に第2位置決め部58の係合を維持した状態で、第2板状部材50a、50bが、それぞれ対向する第1板状部材20a、20bの外面に沿った嵌合挿入方向に摺動させるためのガイド機能も有することが好ましい。これによって、第1シャッター18と第2シャッター48の外面同士が突き当たって接触した時点から、第1コネクタ10と第2コネクタ40の相対的な位置決めは開始され、嵌合動作が進行し、第1および第2シャッター18、48が徐々に開きながら、第1板状部材20a、20bの第1位置決め部28内に案内されて、第2板状部材50a、50bの第2位置決め部58が接触・摺動し、第1板状部材20a、20bの斜面(外面)に沿って、第2板状部材50a、50bが第1コネクタ10の内部に向かって移動して、円滑かつ確実に嵌合接続完了状態を達成することができる(図5(a)~(d)参照)。
【0046】
なお、図6の実施形態では、第1位置決め部28を溝(特にガイド溝)として形成し、第2位置決め部58を突状部として形成した場合を示したが、反対に、第1位置決め部28を突状部として形成し、第2位置決め部58を溝(特にガイド溝)として形成してもよい。
【0047】
また、第1位置決め部28に対し、第2位置決め部58が180°回転した向きで誤挿入されるのを防止する必要がある場合には、溝の横断面形状を非対称に形成することが好ましい。
【0048】
さらに、溝およびと突状部の断面形状は、特に限定はしないが、第1および第2シャッター18、48同士の位置決めを容易にするため、溝の両溝壁面および突状部の両側壁を斜面(傾斜角度が好ましくは5~45度、より好ましくは10~30度)とする略台形状に形成することが好ましい。
【0049】
さらにまた、第1および第2板状部材20aおよび50a、または20bおよび50bが、嵌合接続の初期状態から完了状態にわたって第1回動軸24および第2回動軸54の間に位置し、第2シャッター48は、嵌合接続完了状態で、回動した第2板状部材50a、50bが、第2開口の先端部52に対して直交する方向、かつ第1ケース部材16の内面に沿った方向に延在する位置で保持されるように構成されることが好ましい。これによって、第1コネクタ10の第1信号伝達部材12と、第2コネクタ40の第2信号伝達部材42とを、正規の嵌合位置に位置決め接触させることができる。
【0050】
加えて、凸部60の形成位置は、図6では、一方の第2板状部材50aの外面に設けた場合を示しているが、一方の第1板状部材20aの外面に設けてもよい。また、凸部60は、図7に示すように、第2板状部材50aの外面に形成した第2位置決め部58の頂面に設けてもよい。
【0051】
<第1および第2コネクタ(コネクタ対)の嵌合接続方法>
次に、上述した実施形態のコネクタ対1の接続方法の一例について図4および図5を参照しながら説明する。
【0052】
コネクタ対1を嵌合接続する方法は、まず、第1コネクタ10と第2コネクタ40とを、第1シャッター18と第2シャッター48との外面同士が向かい合うように対向配置する(図4(a)および図5(a)(嵌合接続開始直前状態))。
【0053】
次に、第1コネクタ10に対して第2コネクタ40を一軸方向に接近移動させて、両シャッター18、48の外面同士が接触する位置まで接近させる(図4(b)および図5(b)(シャッター突当て状態))。このとき、第1シャッター18を構成する1対の第1板状部材20a、20bに設けた第1位置決め部(溝)28に、第2シャッター48を構成する1対の第2状部材50a、50bに設けた第2位置決め部(突状部)58が嵌り込んで位置決め係合されるとともに、第1シャッター18は、一方の第2板状部材50aの外面に設けた凸部60が、一方の第1板状部材20aの外面を凸部60の高さ寸法だけ押圧(図4(c)では押し上げ)した状態となり、その結果、一方の第1板状部材20aの第1係合端部26aは、他方の第1板状部材20bの係合端部26bよりも先に、第1コネクタ10の内部に向う内向きの回動を開始することができる。
【0054】
その後、第1コネクタ10に対しさらに第2コネクタ40を嵌合挿入方向にさらに少しだけ移動させると、第2コネクタ40の第1コネクタ10の内部への移動に伴う挿入力によって、第1板状部材20a、20bが内向きに回動して、第1シャッター18が幾分開くと同時に、第2板状部材50a、50bの(第2ケース部材46よりも外側に位置する)外端部が、第1ケース部材16に連結されている第1板状部材20a、20bの外端部を押圧(図4(c)では押し下げ)する結果、第2板状部材50a、50bが外向きに回動して、第2シャッター48もまたわずかに開くようになる(図4(c)および図5(c)(シャッター可動状態))。
【0055】
また、第1コネクタ10に対しさらに第2コネクタ40を嵌合挿入方向にさらに移動させていくと、第2コネクタ40は、第2シャッター48が、第1シャッター18の外面上を、第1位置決め部28と第2位置決め部58の係合状態を維持しつつ摺動しながら、第1コネクタ10との嵌合接続完了位置まで接近移動することができる。このとき、第1および第2シャッター18、48に塵芥等の異物が付着していた場合、嵌合接続の際に、両シャッター18、48の外面側にあった異物が、第1コネクタ10の内部に取り込まれるおそれがあるが、第1コネクタ10の内部において、第1および第2シャッター18、48の外面が第1コネクタ10の内部を移動する範囲は、第1保持部材14と第1ケース部材16の間に位置する空間領域P(図4(c)中に矩形の破線で囲んだ領域)であるため、第1信号伝達部材12に異物が接触する可能性は少ない。
【0056】
その後、第1コネクタ10の内部に第2コネクタ40が突き当たるまでさらに嵌合挿入することにより、嵌合接続が完了する(図4(d)および図5(d)(嵌合接続完了状態))。このとき、第2シャッター48は、嵌合接続完了状態で、回動した第2板状部材50a、50bが、第2開口の先端部52に対して直交する方向、かつ第1ケース部材16の内面に沿った方向に延在する位置で保持されることで、第1コネクタ10の第1信号伝達部材12と第2コネクタ40の第2信号伝達部材42とを、正確に位置決め接触させることができる。
【0057】
また、第1コネクタ10と第2コネクタ40の分離方法は、上述したコネクタ対1の嵌合接続方法とは反対の手順で行なえばよい。この場合、第1シャッター18を構成する1対の第1板状部材20a、20bは、第1回動軸24に設けられているコイルばね等の弾性材料によって、常に第1開口の先端部22を閉鎖する定常位置へ戻る方向に向かって付勢されているとともに、第2シャッター48を構成する1対の第2板状部材50a、50bは、第2回動軸54に設けられているコイルばね等の弾性材料によって、常に第2開口の先端部52を閉鎖する定常位置へ戻る方向に向かって付勢されている構成を採用しているため、第1コネクタ10に対して第2コネクタ40を分離する方向、換言すれば、嵌合挿入方向とは反対の方向に移動させると、第1および第2板状部材20a、20bおよび50a、50bは、いずれもそれぞれの前記閉鎖位置に戻ることができる。また、一方の第2板状部材50aに凸部60を設けていることによって、第1シャッター18と第2シャッター48とが閉鎖する定常位置に戻る順番が、一方の第2板状部材50a、他方の第2板状部材50b、他方の第1板状部材20b、そして、一方の第1板状部材20aとなり、これにより、第1および第2シャッター18、48の閉鎖も係合端部26a、26b、56a、56b同士の緩衝がなくスムーズに行うことができる。
【0058】
上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、特許請求の範囲において種々の変更を加えることができる。例えば、上述した実施形態では、第1および第2コネクタ10、40を角型コネクタとして構成した場合を説明したが、図8(a)および(b)に示すように、丸型コネクタ、つまり、第1コネクタを外形が円形の第1ケース部材16Aとその開口先端部に内向きに開閉自在に設けられた第1シャッター18Aとを備える第1コネクタ10Aとし、第2コネクタを外形が円形の第2ケース部材46Aとその開口先端部に外向きに開閉自在に設けられた第2シャッター48Aとを備える第2コネクタ40Aとして構成してもよい。また、第1および第2コネクタ10、40は、光コネクタとして構成した場合だけには限定されず、電気コネクタ等の他の構成を有するコネクタとして構成することもまた可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、開閉可能なシャッターを両コネクタに設けることができ、しかも、両コネクタを嵌合接続する際の嵌合挿入力を利用して両シャッターの開閉動作を、簡易な構造でかつ確実に行なうことを可能にした、開閉シャッター付きコネクタ対を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 開閉シャッター付きコネクタ対
10、10A 第1コネクタ
12 第1信号伝達部材
14 第1保持部材
16、16A 第1ケース部材
18、18A 第1シャッター
20a、20b 第1板状部材
22 第1開口の先端部
24 第1回動軸
26a、26b 第1係合端部
28 第1位置決め部
40、40A 第2コネクタ
42 第2信号伝達部材
44 第2保持部材
46、46A 第2ケース部材
48、48A 第2シャッター
49 筒状部材
50a、50b 第2板状部材
52 第2開口の先端部
54 第2回動軸
56a、56b 第2係合端部
58 第2位置決め部
60 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8