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  • 特許-マンモグラフィ検査のための改良装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】マンモグラフィ検査のための改良装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220714BHJP
   A61B 6/08 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A61B6/00 330Z
A61B6/08 310
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020108805
(22)【出願日】2020-06-24
(62)【分割の表示】P 2016535043の分割
【原出願日】2014-12-01
(65)【公開番号】P2020168408
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-06-24
(31)【優先権主張番号】20130361
(32)【優先日】2013-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(31)【優先権主張番号】20136259
(32)【優先日】2013-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】591261406
【氏名又は名称】プランメド オイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウッカネン タピオ
(72)【発明者】
【氏名】アスペルンド レオ
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-291336(JP,A)
【文献】特開2001-170048(JP,A)
【文献】特開2009-285345(JP,A)
【文献】特開2007-020839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0150034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32、5/055、6/00-6/14、
8/00-8/15
G01T 1/161-1/166
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 実質的に垂直に直立しているフレーム部(10)、または、壁もしくは天井に固定されることができるフレーム部(10)と、
- 前記フレーム部(10)に接続し、水平回転軸を中心にして回動可能なアーム構造部(11)であって、
- 前記アーム構造部(11)の両端部の実質的に第1の端部にX線源(12)が配置され、実質的に第2の端部に画像データ受信手段(18)が配置され、
- 前記画像データ受信手段(18)が内部または下方に配置された下側トレイ構造部(15)が追加的に前記アーム構造部(11)の前記第2の端部に接続配置されている、アーム構造部(11)と、
- 制御システムおよび前記制御システムに接続しているユーザインタフェースと、
- 前記ユーザインタフェースに含まれることができる少なくとも1つのスクリーン(17)と、を有するマンモグラフィ機器(1)を有する、マンモグラフィ撮像装置であって、
前記少なくとも1つのスクリーン(17)は、前記マンモグラフィ機器(1)の構造部に接続され、前記接続は、前記スクリーン(17)の向きが少なくとも部分的に前記下側トレイ構造部(15)方向に調整されているかまたは調整されることができるように実現され、前記スクリーン(17)を外部の情報システムに機能的に接続する手段が前記マンモグラフィ機器(1)に配置されていることにより、前記情報システム内に前もって記録されている患者の乳房の画像であって当該記録されている乳房の画像において以前検出された結果に関して前記画像に対してなされたマーキングを含むものが前記マンモグラフィ機器の前記構造部に接続されている前記スクリーン(17)上に表示されることができ、
前記少なくとも1つのスクリーン(17)は、前記フレーム部(10)にジョイント接合によって取り付けられており、前記少なくとも1つのスクリーン(17)上の表示画面の向きとして前記少なくとも1つのスクリーン(17)によって生成されたビューの向きは少なくとも、前記ビューの向きが、前記少なくとも1つのスクリーン(17)まで被験者の視線が達しないような第1のポジションに調整されている第1の方向、および、前記ビューの向きが、前記少なくとも1つのスクリーン(17)まで前記被験者の視線が達するような第2のポジションに調整されている第2の方向に調整されることができる、マンモグラフィ撮像装置。
【請求項2】
前記装置には、画像を前記スクリーン(17)上に、乳房が前記下側トレイ構造部(15)上に位置決めされている向きに対応する向きに表示する手段が含まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スクリーン(17)は、前記マンモグラフィ機器(1)に、前記下側トレイ構造部(15)から見て、前記マンモグラフィ機器(1)の両側面上の少なくとも一方に配置されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ジョイント接合は、動力化されて実現され、前記制御システムは、少なくとも1つのオペレーションモードを含むように実現されることができ、前記少なくとも1つのオペレーションモードに従って、前記スクリーンによって生成される前記ビューの向きは、前記オペレーションモードが関連するオペレーション、または、前記制御システムによる前記スクリーン(17)上への表示内容に応じて、前記オペレーションモードによってスクリーン(17)用に決定されたポジションに自動的に変わる、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ジョイント接合は、前記スクリーン(17)を、実質的に下側トレイ構造部(15)近傍に、特に腕の長さの範囲内に近づけることができるように実装されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記スクリーン(17)の向きが前記第2のポジションに変わる時に、1つ以上のビューが自動的に前記スクリーン(17)上に提示されるように前記制御システム内で定義されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記スクリーン(17)は、タッチスクリーン(17)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記スクリーン(17)上に表示される前記患者の画像は、X線画像である、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記下側トレイ構造部(15)方向に向きが調整されているカメラまたはビデオカメラ(19)が前記マンモグラフィ機器の前記アーム構造部(11)に接続配置されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンモグラフィ検査を容易にするための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳がんは、女性において最も一般的な種類のがんである。調査によれば、女性の10人に約1人が生涯の或る時点で乳がんに罹患する。乳がんが症状に基づき発見される時、病気は、回復に向けての予後が相対的に良くないステージまで既に進んでしまっていることが多い。40歳を超える女性のために多くの国で用意されているスクリーニングプログラムにおいて発見される事例もいくつかある。スクリーニングによって非常に早期のがんが見つかることも多く、それにより、見つかったがんの治療を手遅れにならないうちに開始することができるため、回復の見込みがより高くなる。
【0003】
マンモグラフィは、臨床的試験法としての乳がんスクリーニング、および、経過診断における乳がんスクリーニングの両方において広く使用されている方法である。マンモグラフィはX線撮像方法であり、この目的のために具体的に設計した機器が使用される。スクリーニングの研究において、マンモグラフィは、感度が90%~93%、特異度が90%~97%であることが報告されている。この報告は、スクリーニングの研究が有用であること、および、乳がんのスクリーニングによる早期の発見によって人命を救うことができることを示している。マンモグラフィによって、乳がんによる死亡率が50歳を超えた女性では35%、40歳~50歳の年齢の女性では25%~35%減少することが証明されている。
【0004】
マンモグラフィ画像は、石灰化、すなわち乳房の軟組織内のカルシウムの小さな沈着物等の乳房内の様々な異常を発見するために検査される。一般的に石灰化を、乳房の触診よって発見することはできないが、X線画像で視認することができる。大きな石灰化は一般的にはがんには関連せず、小さなカルシウム沈着の集積(すなわち、いわゆる微小石灰化)が乳がんに関連し得る余分な乳房細胞活性の兆候である。マンモグラフィによって発見されるべき他の特徴には嚢胞および繊維腺腫が含まれるが、これらは一般的にはがんとは関連しない。
【0005】
従来のスクリーニングマンモグラフィでは、通常、乳腺が2つの圧迫プレート間で圧迫され、また、上方からと斜め方向からとの少なくとも2回放射線で曝射される。必要に応じて、追加的な第3の画像が真横から撮影される。組織層が、そのような撮像の際のX線ビーム方向に互いに重なっているため、これら照射によって、2次元画像が形成されるが、この場合、高い吸収性の構造が当該構造の下にある構造の発見を阻害し得る。
【0006】
マンモグラフィの継続的な改良によって、患者の乳房の断層画像を生成する新たなタイプのマンモグラフィ方法およびマンモグラフィデバイスが得られた。これら新たなタイプのマンモグラフィ方法およびマンモグラフィデバイスの解決策では、様々な角度で乳房の投影が数回行われ、適用可能な再構成アルゴリズムを使用することによって画像が生成される。画像情報から、すなわち個別の画像から、通常はいくつかの画像が構成され、これら画像は、乳房のX線検出器の表面と平行な層を表す。それにより、互いに重なる組織構造を検出することができるようになる。
【0007】
典型的なデジタルマンモグラフィ機器は、フレーム部と、Cアームまたは、フレーム部に回転可能に接続された対応する構造部と、を備える。Cアームの第1の端部にX線源が、第2の端部に放射線検出器が配置されている。「撮像手段」という用語が、多くの場合これらデバイスに対して使用される。実質的に上記のX線源と検出器との間の領域内に、通常は検出器に近接して、圧迫構造部が配置されており、この圧迫構造部は、曝射時間中、乳房を圧迫して位置決めするように設計されている。
【0008】
マンモグラフィを受ける患者は、程度の差はあるが心配を感じることが多く、この心配は、検査によって発見され得る疾患に関する漠然とした不安のみならず、撮像プロセスのために乳房を圧迫することまたは乳房組織内に生検針を刺すことによって引き起こされ得る身体的苦痛の不安等にも関し得る。患者の心配が患者の行動に影響し得、ひいては撮像または試料採取の成功に影響し得るため、患者の不安を緩和することができるあらゆる手段が歓迎される。
【0009】
マンモグラフィ機器のユーザインタフェースは旧来、固定された構造部であり、名称が示唆するように、マンモグラフィ機器のユーザによって使用されるように具体的に設計されている。旧来、マンモグラフィ機器には、患者に情報を提示する手段が配置されていなかった。
【0010】
マンモグラフィにおいて、以前にまたは進行中のオペレーションの間に撮影された患者の画像を、新たな画像を撮影するための、または、生検のための情報源として使用することが知られている。同一の対象が新たに撮像されている時、または、生検が開始されようとしている時もしくは生検中に患者の位置決めを容易にするために、そのような画像から得られる情報を使用することが知られている。従来技術によれば、以前に撮影されたそのような画像は、ワークステーションで調べられており、ワークステーションは通常、マンモグラフィ機器に直接隣接して配置されてはいなかった。すなわち、ワークステーションで明らかにされた位置決めに関連する情報を、ワークステーションからマンモグラフィ機器に戻った後、正確に思い出し、理解しなければならないことを意味している。
【発明の概要】
【0011】
新たな種類のマンモグラフィ機器であって、かかるマンモグラフィ機器では、解決策が統合され、この解決策によって、生検オペレーションまたは乳房の撮像のための位置決めが容易になり得る、マンモグラフィ機器を実現することが本発明の目的でありかつ本発明の好ましい実施形態である。さらに、本発明の好ましい実施形態では、患者の、来たるオペレーションに関する不安またはオペレーション中の不安を緩和することができる。
【0012】
本発明の上記目的は、添付の独立請求項の解決策によって達成される。本発明のいくつかの好ましい実施形態を、添付の従属請求項において提示する。マンモグラフィ機器に統合された構成であって、撮影された患者の画像を、撮像ステーションの近傍でマンモグラフィ機器に配置されているスクリーン上に提示することができる、構成を実装することが本発明に不可欠である。
【0013】
したがって、本発明に係わるマンモグラフィ機器には、撮影された患者の画像が記録されている情報システムに機能的に接続されたスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースが配置されている。かかる情報システムのメモリには、本マンモグラフィ機器に接続配置されたメモリ、本マンモグラフィ機器とは離隔したメモリ、または、それら両方が含まれることができる。以前に撮影された患者の画像が調べられる場合、従来技術では或る離隔したワークステーションで調べられるが、本発明では、そのような画像を、位置決めを容易にするために以前の画像から得られる情報を直接利用することができる場所の近傍に近づけることができる。好ましくは、上記構成には、以前に撮影された患者の画像を、乳房が撮像機器に位置決めされている向きと同一の向きに提示する可能性が含まれる。
【0014】
一方、本発明の好ましい実施形態では、撮像前もしくは撮像中または生検処置中に患者を案内しかつ落ち着かせる新たな種類の方法、および、患者に情報を提供する新たな種類の方法が提供される。一例を挙げると、本発明の実施形態によって、正確にいつ曝射が開始され、患者が静止したままでいるべきか、または、当該オペレーションがさらにどれだけ継続するかについての情報が患者に提供されることができる。
【0015】
以下、本発明のいくつかの実施形態およびそれら実施形態の利点を、添付の図面も利用して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係わる1つのマンモグラフィ機器の基本構造を示す図である。
図2】患者の位置決めを容易にする情報がマンモグラフィ機器に接続されたスクリーン上に提示されている状況の解決策を示す図である。
図3a】上方から見た斜めの撮像位置における図1に係わるマンモグラフィ機器を示す図である。
図3b】上方から見た斜めの撮像位置における図1に係わるマンモグラフィ機器を示す図である。
図3c】上方から見た斜めの撮像位置における図1に係わるマンモグラフィ機器を示す図である。
図4】マンモグラフィ撮像機器に関連する、情報を提示するための構成を示すダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に提示されたマンモグラフィ装置(1)は、実質的に垂直に直立しているフレーム部(10)およびフレーム部(10)に接続されたアーム構造部(11)からなる。X線源(12)がアーム構造部(11)の上部に、アーム構造部(11)のカバー内に配置され、X線源(12)は、検出器ハウジング(13)内に配置された検出器(18)方向に、マンモグラフィ機器の上側圧迫プレート(14)を(そのような上側圧迫プレートが本機器に取り付けられている場合に)貫通して通過するビームを発生させるために配置されている。検出器ハウジング(13)または対応する構造部は通常、下側トレイ構造部(15)内に配置されている。下側トレイ構造部(15)を、マンモグラフィ機器内に固定された構造部とすることも、着脱可能に接続配置することもできる。下側トレイ構造部(15)の上面が典型的に、乳房が撮像のために位置決めされるプラットフォームとして機能する場合、かかる構造部はまた、下側圧迫プレートと呼ばれることも多い。また、アーム構造部(11)に接続して、例えば放射線源(12)の近傍に、下側トレイ構造部(15)に向けて方向が調整されたカメラまたはビデオカメラを、患者の位置決めに利用するために配置してもよい。図1に係わる解決策では、取付け手段(16)が下側トレイ構造部(15)に配置され、それにより下側トレイ構造部(15)はマンモグラフィ機器(1)に着脱可能に接続されることができる。また、以下にさらに詳細に説明する、スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースが図1に係わるマンモグラフィ機器に配置されている。
【0018】
図3a~図3cは、上方から見た斜めの撮像位置における図1に係わるマンモグラフィ機器を示す。タッチスクリーンであり得る2つのスクリーン(17)が本マンモグラフィ機器のフレーム部(10)の両側面上に配置されている。スクリーン(17)の本機器のフレーム部(10)への取付けはジョイント接合である。その結果、スクリーン(17)の向きを第1のポジションおよび第2のポジションの両方に変えることができる。第1のポジションでは、スクリーン(17)の向きは、患者が撮像または各オペレーションのために位置決めされる本機器の下側トレイ構造部(15)とは反対方向に調整され(図3a)、第2のポジションでは、スクリーン(17)の向きは、少なくとも部分的に下側トレイ構造部(15)方向に調整されている(すなわち、スクリーン(17)のポジションは、患者の視線がスクリーン(17)まで達するようなポジションである)(図3b)。
【0019】
上記ポジションの中間のポジションであって、診察のために適用されることができ、例えばスクリーン(17)がマンモグラフィ機器の操作者および患者の両者によって良好に視認されるポジションを図3に提示する。
【0020】
スクリーン(17)を単なるスクリーンとしてもよいが、好ましくは、典型的な旧来のタッチスクリーンであり、また、スクリーンを備える他のユーザインタフェースとしてもよい。この場合、図3aに係わるタッチスクリーン(17)の第1のポジションは、マンモグラフィ機器のオペレーションの制御時、または、患者に見られたくないかもしくは患者が見る必要がない情報をタッチスクリーン上に提示する時に使用されることができる。また、図3bに係わるポジションおよび特に図3cに係わるポジションも、マンモグラフィ機器のオペレーションの制御時に使用されることができるが、スクリーン(17)のこれらのポジションは特に、患者に情報を送達するために使用されるように設計されている。
【0021】
図4に関し、本発明の好ましい一実施形態によれば、タッチスクリーン(17)は、撮像パラメータ値等または撮像プロセスの残り時間を表示するために、マンモグラフィ機器の制御システムに機能的に接続配置されている。しかしながら、好ましくは、このような機能的接続を、患者データベース等とも行うことができることにより、本発明に係わる好ましい一実施形態には、以前に撮影された患者の画像が記録されている情報システムに、タッチスクリーン(17)が機能的に接続配置される解決策が含まれる。そのように、同一の対象が再撮像される時、または、生検が開始されるかもしくは進行中である時に患者の位置決めを容易にするために、そのような画像から得られる情報を使用することが既知である。かかる情報には、検出結果に関して画像に対してなされる測定マーキング(measurement markings)等が含まれ得る。しかしながら従来技術によれば、そのような以前に撮影された画像は或る離隔したワークステーションで調べられるが、本発明では、情報が必要とされる場所の近傍まで画像を近づけることができる。この場合、上記構成には好ましくは、以前に撮影された患者の乳房の画像であって、特に乳房が撮像装置に位置決めされている向きと同一の向きの患者の乳房の画像を提示することができる可能性が含まれる。かかる画像においては、前述のように、検出結果に関する測定マーキング等がなされていてもよい。図2は、そのような状況を示す。
【0022】
特に、タッチスクリーンをマンモグラフィ機器の撮像ステーションに接続することによって、以前の乳房の画像の特徴を変更することだけでなく、上述の測定マーキングを再位置決めに関する画像上に書き入れる(putting down)ことができる。
【0023】
上記の、マンモグラフィ機器に接続されたスクリーンまたはスクリーンを有するユーザインタフェースはまた、マンモグラフィ機器の撮像ステーションに向けて方向が調整されたカメラまたはビデオカメラ(19)がマンモグラフィ機器に具備されている場合に、患者の位置決めにおいても利用されることができる。以前の撮像イベントに関し、そのようなカメラ(19)(カメラは原理的には他の対応する機器に位置していてもよい)によって、撮像のために位置決めされた乳房の写真が撮影されていてもよく、次いで、かかる写真は新たな位置決めに関し、マンモグラフィ機器の撮像ステーションの近傍においてリアルタイムで表示されることができる。一方、マンモグラフィ機器の操作者が、位置決めの状況を検討するためにスクリーンを見ることができる場合、マンモグラフィ機器と患者とによって画成されている、窮屈であり得る空間内の状況を注視するのではなく、撮像エリアのリアルタイムの写真を撮影することもまた有用であり得る。
【0024】
以前の画像から検出可能な結果の位置情報等の、以前に撮影された患者の画像から得られる情報を、患者の位置決めに関連して、直接的に入手することができる場合、本発明によって、再撮像または生検のための円滑かつ精確な位置決めが可能になる。さらに、撮像イベントまたは生検イベントの様々な段階の患者を案内すること、および、そのような患者に情報を伝達することは、例えば、かなりの時間を要し得るオペレーション中、患者が静止することを助けることによって処置の成功に役立つことができる。
【0025】
本発明はまた、患者の乳房が撮像のために圧迫されている場合に、撮像ステーションに接続されたユーザインタフェースから患者自身がマンモグラフィ機器のオペレーションを制御することによって実現されることもできる。患者が圧迫プロセスを患者自身で制御できる時、患者はマンモグラフィ装置がよりいっそう乳房を圧迫するようにさえし得るという研究を考慮すると、そのような解決策には乳房を圧迫することに関する患者の不安を軽減する傾向がある。したがって本発明に係わる上記解決策によって、マンモグラフィ機器のオペレーションを制御するために配置されたタッチスクリーン(17)をマンモグラフィ機器の下側トレイ構造部(15)の非常に近くに近づけることができることにより、患者がタッチスクリーン(17)を介して図1に係わる機器の上側圧迫プレート(14)の移動等を患者自身で制御することができる。
【0026】
本発明の一実施形態では、スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースのジョイント接合は、動力化されて実現されている。この場合、少なくとも1つのオペレーションモードをマンモグラフィ機器の制御システムに設定することができ、当該少なくとも1つのオペレーションモードに従って、スクリーン(17)の向きは、当該オペレーションモードにおいてスクリーン(17)用に指定されたポジションに自動的に変わる。このようにスクリーン(17)のポジションは、オペレーションモードがいずれの処置に関するかに応じて、または、制御システムによるスクリーン上への表示内容に応じて変化するように設定されることができる。スクリーン(17)の向きは、例えば撮像プロセスの残り時間がスクリーン上に表示される時、患者方向に変わるように配置されることができる。一方、ジョイント接合の向きが手動で変えられるように実装される場合も、1つ以上のビューが制御システムにおいて定義され得る。これらビューは、スクリーンの向きが患者の視界に入るポジション(すなわち、下側トレイ構造部(15)方向に調整されたポジション)に変わる時に自動的にスクリーン上に表示される。
【0027】
したがって、本発明に係わる解決策および本発明のマンモグラフィ機器の好ましい実施形態には、実質的に垂直に直立しているフレーム部(10)、または、壁もしくは天井に取付け可能なフレーム部(10)と、かかるフレーム部(10)に接続し、水平回転軸を中心にして回動可能なアーム構造部(11)であって、アーム構造部(11)の両端部の実質的に第1の端部にX線源(12)が配置され、実質的に第2の端部に画像データ受信手段(18)が配置され、実質的に画像データ受信手段(18)の上に位置している下側トレイ構造部(15)が追加的にアーム構造部(11)の第2の端部に接続配置されている、アーム構造部(11)と、制御システムおよび制御システムに接続されたユーザインタフェース構成と、少なくとも1つのスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースと、を有するマンモグラフィ機器が含まれ得る。上記スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースは、マンモグラフィ機器(1)に接続され、かかる接続は、スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースの向きが少なくとも部分的に下側トレイ構造部(15)方向に調整されているかまたは調整されることができるように実現されている。さらに、上記スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースを外部の情報システムに機能的に接続する手段が本マンモグラフィ機器(1)に配置されていることにより、かかる情報システム内に記録されている以前の患者の画像が、マンモグラフィ機器の構造部に接続されているスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェース上に表示されることができる。好ましくは、本装置には、乳房が下側トレイ構造部(15)上に位置決めされている向きに対応する向きに、画像をスクリーン(17)上に表示する手段が含まれる。
【0028】
マンモグラフィにおける患者の位置決めが通常、下側トレイ構造部(15)上の両側で行われる処置を含むため、スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースがマンモグラフィ機器(1)に、下側トレイ構造部(15)から見て、マンモグラフィ機器(1)の両側面上の少なくとも一方に配置されている場合に、本発明は有効に利用される。ユーザインタフェース構成は、少なくとも1つのスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースを含んでいてもよく、少なくとも1つのスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースは、
- フレーム部(10)にジョイント接合によって取り付けられているか、または、
- スクリーン上の情報を視認することができる方向が調節される技術を用いて実装されているため、
上記少なくとも1つのディスプレイ(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースによって生成されるビューの向きは少なくとも、上記ビューの向きが下側トレイ構造部(15)とは反対方向に調整されている第1の方向、および、上記ビューの向きが少なくとも部分的に下側トレイ構造部(15)方向に調整されている第2の方向に調整されることができる。
【0029】
少なくとも1つのスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースは、ジョイント接合によってフレーム部(10)に取り付けられている。ジョイント接合は動力化されて実現されることができ、制御システムは、少なくとも1つのオペレーションモードを含むように実現されることができる。かかる少なくとも1つのオペレーションモードに従って、スクリーンによって生成されるビューの向きは、オペレーションモードが関連するオペレーション、または、制御システムによるスクリーン(17)上への表示内容に応じて、当該オペレーションモードによってスクリーン(17)用に決定されたポジションに自動的に変わる。ジョイント接合はまた、スクリーン(17)またはスクリーンを有するユーザインタフェースを、実質的に下側トレイ構造部(15)近傍に、特に腕の長さの範囲内に近づけることを可能にする構造を有することもできる。
【0030】
スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェースの向きが上記第2のポジションに変わる時に、1つ以上のビューが、スクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェース上に自動的に提示されるように制御システム内で定義されることができる。
【0031】
本発明はまた、マンモグラフィ機器内に乳房を位置決めするための方法に関する。本方法では、撮影された乳房の画像が乳房を位置決めするための補助として使用される。かかる画像は、マンモグラフィ機器の外部の情報システム内に以前に記録された患者の画像であり、当該画像は、マンモグラフィ機器の構造部に取り付けられたスクリーン(17)またはスクリーン(17)を有するユーザインタフェース上に提示される。かかる画像は、マンモグラフィ機器の撮像ステーションから視認される方向に、特にマンモグラフィ機器の撮像ステーションに対して、乳房がマンモグラフィの撮像または生検のために位置決めされている向きに対応する向きに提示されることができる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4