(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】航海中船舶の分散人員点呼
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20220714BHJP
G09B 9/00 20060101ALI20220714BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20220714BHJP
【FI】
G06Q50/30
G09B9/00 Z
G06Q10/10
(21)【出願番号】P 2020172239
(22)【出願日】2020-10-12
(62)【分割の表示】P 2020036118の分割
【原出願日】2020-03-03
【審査請求日】2020-10-26
(32)【優先日】2019-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520075041
【氏名又は名称】ロイヤル カリビアン クルージズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Royal Caribbean Cruises Ltd.
【住所又は居所原語表記】1050 Caribbean Way,Suite 577,Miami,FL 33132,US
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェア、ニコラス、ウィリアム エミルトン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ハスティ、ジョーイ
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-247621(JP,A)
【文献】特開2003-109149(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0340220(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0282839(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G09B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航海中船舶のための分散人員点呼の方法であって、
コンピューティングシステムのメモリにおいて、異なるモバイル機器の各々を、複数の航海中船舶のうちの一隻の乗客の組の中で前記モバイル機器に対応する一人の乗客と、前記複数の航海中船舶のうちの一隻の複数の人員点呼位置の中の割り当てられた一つと、の両方に関係付けるステップと、
前記モバイル機器に対応する前記乗客の前記モバイル機器の各々のユーザインタフェース内に人員点呼訓練用ビデオを再生するステップと、
前記複数の航海中船舶のうちの一隻に対して前記乗客の組の中のすべての乗客が人員点呼訓練を完了しなければならない、前記コンピューティングシステムの前記メモリ内の期間を開始するステップと、
前記期間中に、前記モバイル機器の各々が、該モバイル機器に対応して割り当てられた人員点呼位置の個々の一つの地理的に定義された領域の中で検知されると、前記モバイル機器の一つに対応する乗客が前記人員点呼位置の割り当てられたそれぞれの一つの位置にいることを前記メモリに記録し、前記モバイル機器の各々のユーザインタフェース内に前記人員点呼訓練用ビデオに関する一連の質問の提示をするステップと、
該人員点呼訓練の終了を示す前記期間の終了に続いて、前記コンピューティングシステムのディスプレイに、前記乗客の組の中で、前記人員点呼位置の中で対応して割り当てられたそれぞれの位置に到着したことが前記メモリに記録されていないすべての乗客のリストを表示し、かつ、前記一連の質問に対して受信した前記乗客の各々からの回答を採点するステップと、を含むこと
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記モバイル機器の一つが、該モバイル機器の一つに対応する人員点呼位置の地理的に定義された領域の外にあるが、前記乗客の組の中の、該モバイル機器の一つに関係付けられた一人に割り当てられた前記人員点呼位置の一つに接近していることを検出するステップと、
前記乗客の組の中の前記一人の前記モバイル機器のユーザインタフェース内に、前記人員点呼位置のうち前記モバイル機器に対応する一つの領域に入るように促すステップと、をさらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイル機器の少なくとも一つはスキャン可能な識別カードを有すること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モバイル機器の少なくとも一つはスキャナブル、かつウェアラブルであること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記人員点呼訓練の期間中の前記モバイル機器の各々の位置を特定するステップと、
前記モバイル機器の各々について、前記特定された位置から前記人員点呼位置の中の前記モバイル機器に対応して割り当てられた位置までのナビゲーションルートを計算するステップと、
前記モバイル機器の各々に対して、前記対応する乗客の該モバイル機器内のユーザインタフェースに前記ナビゲーションルートを表示するステップとを、さらに含むこと
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
航海中船舶の分散人員点呼用に構成されたデータ処理システムであって、
該データ処理システムは、
メモリおよび少なくとも一つのプロセッサを備えた一つまたは複数のコンピュータを有し、前記コンピュータの各々がコンピュータ通信ネットワークを介して複数の異なるモバイル機器に通信可能に結合されたホストコンピューティングシステムと、
前記ホストコンピューティングシステムに結合されたデータ記憶装置であって、レコードの各々が、特定の航海中船舶の乗客を、前記モバイル機器の中の該乗客に対応する一つと、前記特定の航海中船舶の上の複数の人員点呼位置のうちの一つと、に関係付ける一組の前記レコードをデータベース内に格納するデータ記憶装置と、
前記ホストコンピューティングシステムの前記メモリ内で実行されるコンピュータプログラム命令を含む分散人員点呼モジュールと、を含み、
前記コンピュータプログラム命令は、
コンピューティングシステムのメモリにおいて、異なるモバイル機器の各々を、複数の航海中船舶のうちの一隻の乗客の組の中で前記モバイル機器に対応する一人の乗客と、前記複数の航海中船舶のうちの一隻の複数の人員点呼位置の中の割り当てられた一つと、の両方に関係付けるステップと、
前記モバイル機器に対応する前記乗客の前記モバイル機器の各々のユーザインタフェース内に人員点呼訓練用ビデオを再生するステップと、
前記複数の航海中船舶のうちの一隻に対して前記乗客の組の中のすべての乗客が人員点呼訓練を完了しなければならない、前記コンピューティングシステムのメモリ内の期間を開始するステップと、
前記期間中に、前記モバイル機器の各々が、該モバイル機器に対応して割り当てられた人員点呼位置の個々の一つの地理的に定義された領域の中で検知されると、前記モバイル機器の一つに対応する乗客が前記人員点呼位置の割り当てられたそれぞれの一つの位置にいることを前記メモリに記録し、前記モバイル機器の各々のユーザインタフェース内に前記人員点呼訓練用ビデオに関する一連の質問の提示をするステップと、
該人員点呼訓練の終了を示す前記期間の終了に続いて、前記コンピューティングシステムのディスプレイに、前記乗客の組の中で、前記人員点呼位置の中で対応して割り当てられたそれぞれの位置に到着したことが前記メモリに記録されていないすべての乗客のリストを表示し、かつ、前記一連の質問に対して受信した前記乗客の各々からの回答を採点するステップと、を実行すること
を特徴とするデータ処理システム。
【請求項7】
前記コンピュータプログラム命令は、さらに、
前記モバイル機器の一つが、該モバイル機器の一つに対応する人員点呼位置の地理的に定義された領域の外にあるが、前記乗客の組の中の、該モバイル機器の一つに関係付けられた一人に割り当てられた前記人員点呼位置の一つに接近していることを検出するステップと、
前記乗客の組の中の前記一人の前記モバイル機器のユーザインタフェース内に、前記人員点呼位置の前記モバイル機器に対応する一つの領域に入るように促すステップと、をさらに実行すること
を特徴とする請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記モバイル機器の少なくとも一つはスキャン可能な識別カードを有すること
を特徴とする請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項9】
前記モバイル機器の少なくとも一つはスキャナブル、かつウェアラブルであること
を特徴とする請求項8に記載のデータ処理システム。
【請求項10】
前記コンピュータプログラム命令は、さらに、
前記人員点呼訓練
の前記期間中の前記モバイル機器の各々の位置を特定するステップと、
前記モバイル機器の各々について、前記特定された位置から前記人員点呼位置の中の前記モバイル機器に対応して割り当てられた位置までのナビゲーションルートを計算するステップと、
前記モバイル機器の各々に対して、前記対応する乗客の該モバイル機器内のユーザインタフェースに前記ナビゲーションルートを表示するステップとを、さらに実行すること
を特徴とする請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項11】
航海中船舶のための分散人員点呼のためのプログラム命令を実装したコンピュータ可読記憶媒体であって、該プログラム命令はデバイスによって実行され該デバイスに一つの方法を実行させることができ、
該方法は、
コンピューティングシステムのメモリにおいて、異なるモバイル機器の各々を、複数の航海中船舶のうちの一隻の乗客の組の中の前記モバイル機器に対応する一人の乗客と、前記複数の航海中船舶のうちの一隻の複数の人員点呼位置の中の割り当てられた一つと、の両方に関係付けるステップと、
前記モバイル機器に対応する前記乗客の前記モバイル機器の各々のユーザインタフェース内に人員点呼訓練用ビデオを再生するステップと、
前記コンピューティングシステムのメモリ内にある、前記複数の航海中船舶のうちの一隻に対して前記乗客の組の中のすべての乗客が人員点呼訓練を完了しなければならない期間を開始するステップと、
前記期間中に、前記モバイル機器の各々が、該モバイル機器に対応して割り当てられた人員点呼位置の個々の一つの地理的に定義された領域の中で検知されると、前記モバイル機器の一つに対応する乗客が前記人員点呼位置の割り当てられたそれぞれの一つの位置にいることを前記メモリに記録し、前記モバイル機器の各々のユーザインタフェース内に前記人員点呼訓練用ビデオに関する一連の質問の提示をするステップと
該人員点呼訓練の終了を示す前記期間の終了に続いて、前記コンピューティングシステムのディスプレイに、前記乗客の組の中で、前記人員点呼位置の中で対応して割り当てられたそれぞれの領域にいることが前記メモリに記録されていないすべての乗客のリストを表示し、かつ、前記一連の質問に対して受信した前記乗客の各々からの回答を採点するステップと、を含むこと
を特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記方法が、
前記モバイル機器の一つが、該モバイル機器の一つに対応する人員点呼位置の地理的に定義された領域の外にあるが、前記乗客の組の中の、該モバイル機器の一つに関係付けられた一人に割り当てられた前記人員点呼位置の一つに近接していることを検出するステップと、
前記乗客の組の中の前記一人の前記モバイル機器のユーザインタフェース内に、前記人員点呼位置の中の前記モバイル機器に対応する一つの領域に入るように促すステップと、をさらに含むこと
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
前記モバイル機器の少なくとも一つはスキャン可能な識別カードを有すること
を特徴とする請求項11に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記モバイル機器の少なくとも一つはスキャナブル、かつウェアラブルであること
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記方法が、
前記人員点呼訓練の期間中の前記モバイル機器の各々の位置を特定するステップと、
前記モバイル機器の各々について、前記特定された位置から前記人員点呼位置の中の前記モバイル機器に対応して割り当てられた位置までのナビゲーションルートを計算するステップと、
前記モバイル機器の各々に対して、前記対応する乗客の該モバイル機器内のユーザインタフェースに前記ナビゲーションルートを表示するステップとを、さらに含むこと
を特徴とする請求項13に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航海中船舶における人員点呼訓練管理の技術に関し、より詳細には、クルーズ船内での乗客人員点呼の調整に関する。
【背景技術】
【0002】
人員点呼は、航海中船舶における緊急事態への対応の準備のために航海中船舶の異なる場所にいる異なる乗客を組織的に、事前計画にそって集合させることである。従来、旅客クルーズ船の場合、人員点呼訓練は、クルーズ船が出発する前、またはその直後に、クルーズの開始時に実行される。人員点呼訓練中、個々の乗客は割り当てられた人員点呼ステーション―船内の特定の場所―に集合する。次に、乗組員は、人員点呼訓練中に指定された場所にいると予想される各乗客の存在を確認する。これにより、実際の緊急事態およびその結果としての実際の人員点呼においてすべての乗客を確認することができるようになる。
【0003】
人員点呼訓練が特に重要である理由は、特定の事前に決められた位置に乗客の異なる集合を事前に配置することによって、必要に応じて船舶から整然と避難することを実行することができる、あるいは、船舶内の緊急事態のときに居る場所について、少なくともすべての乗客が説明をうけることができ、乗客の居場所を管理することができることである。人員点呼訓練が重要な別の理由は、実際の緊急事態が発生したときに乗客が集合するべき正確な場所を各乗客に周知すると共に、ライフジャケットや乗客が聞く可能性のある警告信号等の重要な安全関連情報を提示することができるからである。その結果、緊急時の実際の人員点呼の際に予想される錯乱的な行動にもかかわらず、乗客が船内を移動して割り当てられた人員点呼ステーションにたどり着くであろうことがある程度確実に期待できる。
【0004】
多くのクルーズの乗客にとって、人員点呼訓練は必要悪とみなされる。さらに、人員点呼訓練によって混乱する人もいる、特に、高齢者や子供は、両者とも、割り当てられた点呼ステーションの位置を特定し、その方向へ移動するための補助的支援を必要とする人が複数人になるであろう。乗組員は通常、そのような支援を提供するように訓練されているが、間違える可能性もある。人員点呼訓練の目標で、割り当てられた人員点呼ステーションを各乗客に認識させることを重視する程度が低い場合、何千人もの乗客に対して一斉に人員点呼訓練を実行すると、最終的な目標に照らして不必要な混乱を招き教育や情報提供の機会が失われる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、人員点呼における前記従来技術の欠陥を解決して、海洋航海中船舶のための分散的な人員点呼のための新規かつ進歩性のある方法、システム、及びコンピュータプログラム製品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態では、複数の異なるモバイル機器のそれぞれに対して、航海中船舶の各モバイル機器に対応して割り当てられた人員点呼位置の識別符号を、コンピュータ通信ネットワークを介してモバイル機器に配布する。これに関して、異なるモバイル機器の各々は、コンピューティングシステムのメモリ内で、航海中船舶の乗客の一組の中の一人の乗客、及び、複数の人員点呼位置の中の割り当てられた一つの位置の両方に関係付けられる。その後に、タイマが始動される。このタイマは、前記一組内のすべての乗客が人員点呼訓練を完了しなければならない時間を指定している。前記タイマに応答して、人員点呼訓練が開始された旨のメッセージが各モバイル機器に送信される。
【0007】
タイマによって決められた時間の間に、モバイル機器の各々が、各モバイル機器に対応して割り当てられたそれぞれの人員点呼位置の地理的に定義された領域内で検知されると、該モバイル機器のうちの一つに対応する乗客が人員点呼訓練を完了したことがメモリに記録される。また、人員点呼訓練の終了を示すタイマの終了に続いて、人員点呼訓練を完了したことがメモリに記録されていない乗客の組のすべての人員が、コンピューティングシステムのディスプレイに表示される。このようにして、人員点呼訓練の実行が、一定期間にわたって分散的環境で行われ、不要な混乱を避け、人員点呼訓練が行われる特定の時間において、乗客全員に過度の負担をかけないようにすることができる。
【0008】
実施形態の第一の態様では、前記方法はさらに、人員点呼位置のうち、モバイル機器の一つに対応する一つの人員点呼位置の地理的に定義された領域の外側にいたとしても、乗客の一組のうちの該モバイル機器に関係付けられている一人に割り当てられた前記人員点呼位置のうちの対応する一つに該モバイル機器が接近していることを検出するステップを含む。これに応答して、前記モバイル機器のユーザインタフェースに、プロンプトを表示して、前記モバイル機器に対応する乗客に前記人員点呼位置のうちの対応する一つの地理的に定義された領域に入って該人員点呼訓練の終了条件を満たすように促すことができる。実施形態の第2の態様では、人員点呼訓練用ビデオの再生を前記タイマの始動の前に、各々のモバイル機器のユーザインタフェースに表示することができる。その後、前記モバイル機器の各々が前記対応する一つの人員点呼位置の地理的に定義された領域内で検知されると、前記ユーザインタフェース内に、該ユーザインタフェース内にある前記人員点呼訓練用ビデオに関連する一組の質問が提示される。最後に、前記地理的に定義された領域内で検知されたモバイル機器の各々に対して、前記一組の質問に対して受信された回答が採点される。オプションであるが、前記モバイル機器の一つに対する回答の採点が所定の閾値を超えているか判定して、その結果、表彰のための証書を前記モバイル機器の前記一つに送ることができる。
【0009】
実施形態の第3の態様では、人員点呼訓練用のタイマによって規定される時間中、各モバイル機器の位置を特定することができる。このようにして、各モバイル機器に対して、前記特定された位置から、各モバイル機器に対応して割り当てられた人員点呼位置までのナビゲーションルートを計算することができる。最終的に、各モバイル機器に対して、その機器内のユーザインタフェースに、ナビゲーションルートが表示される。
【0010】
最後に、実施形態の第4の態様では、タイマによって規定された時間中、コントロールボタンがモバイル機器のそれぞれのユーザインタフェース内に表示される。コントロールボタンを用いて人員点呼訓練中に支援を要請するメッセージを送信することができる。これにより、人員点呼訓練時、前記モバイル機器の一台からのメッセージを受信し、該モバイル機器の位置を特定し、そして、該特定された位置に最も近い乗員のモバイル機器を特定することができる。最終的に、前記モバイル機器に対応する乗客の前記特定された位置及び識別符号を前記乗員のモバイル機器に送信することができる。
【0011】
本発明の別の実施形態では、データ処理システムが航海中船舶の分散人員点呼のために構成される。本システムは、それぞれがメモリと少なくとも一つのプロセッサを備えた一つまたは複数のコンピュータを有するホストコンピューティングシステムを含む。該ホストコンピューティングシステムは、コンピュータ通信ネットワークを介して、複数の異なるモバイル機器に通信可能に結合されている。該システムは、さらに、前記ホストコンピューティングシステムに接続されたデータ記憶装置を含んでいる。該データ記憶装置はデータベース内に複数のレコードの組を格納しており、各レコードは、航海中の特定の船舶の乗客一人をモバイル機器の対応する一台、及び、前記航海中の特定の船舶の中の複数の場所の特定の一つに関係付ける。
【0012】
詳細には、前記システムは、また、分散人員点呼モジュールを含む。該モジュールは、前記ホストコンピューティングシステムのメモリで実行されるコンピュータプログラム命令を含む。該コンピュータプログラム命令は、前記ホストコンピューティングシステムのメモリ内での稼働中に順次実行可能にされ、前記コンピュータ通信ネットワークを介して、複数のモバイル機器の各々に、複数の人員点呼位置のうちの割り当てられた一つの位置の識別符号を配布し、次に、前記特定の航海中船舶に乗船している乗客の各々が人員点呼訓練を完了しなければならない時間を規定する、メモリ内のタイマを始動する。前記プログラム命令は、さらに、前記タイマに応答して人員点呼訓練が開始されたというメッセージを各モバイル機器に送信することを実行可能にされる。次に、前記タイマによって指定された期間中に、前記モバイル機器の各々が、各モバイル機器に対応して割り当てられた人員点呼位置の各々が地理的に定義された領域内で検知されると、前記プログラム命令は、前記モバイル機器のうちの一つに対応する乗客によって人員点呼が完了したことをメモリに記録する。最後に、人員点呼訓練の終了を示すタイマの終了に続いて、前記プログラム命令は、前記コンピューティングシステムのディスプレイに、乗客の組の中で、人員点呼訓練の完了が前記メモリに記録されていないすべての人のリストを表示する。また、人員点呼訓練の終了後に、所望の指示を特定の乗客に送信することができる。
【0013】
本発明のさらに別の態様のうち、一部は以下の記載で説明され、一部は以下の記載から明らかであり、または本発明の実施によって知ることができる。本発明の複数の態様は、添付の特許請求の範囲に特記されている構成要素およびその組み合わせによって実現され達成される。前述の概略的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、単なる代表例および説明であり、特許請求範囲に記載された本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成するが、本発明の実施形態を例示し、明細書と合わせて本発明の原理を説明する働きをする。本明細書で図説される実施形態は、現在においては好ましい実施形態である。しかし、本発明は、図示される詳細な構成および手段に限定されないことを理解されたい。
【
図1】
図1は、航海中船舶用の分散人員点呼の処理の説明図である。
【
図2】
図2は、航海中船舶用の分散人員点呼のために構成されたデータ処理システムの概略図である。
【
図3】
図3は、航海中船舶用の分散人員点呼の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、航海中船舶のための分散人員点呼を開示する。本発明の実施形態によれば、航海中船舶の個々の乗客にそれぞれの人員点呼位置が割り当てられ、割り当てられた人員点呼位置の識別符号が、対応する乗客各々のモバイル機器に配布される。次に、すべての乗客が人員点呼訓練を完了する必要のある時間を設定したタイマが始動される。これに応答して、人員点呼訓練が開始したことを示すメッセージが各モバイル機器に送信される。前記時間の間に、各モバイル装置に対応して割り当てられた人員点呼位置の地理的に定義された領域内で個々のモバイル装置が感知されると、感知されたモバイル装置に関係づけられた乗客によって人員点呼訓練が完了したという記録がメモリに書き込まれる。タイマに指定された時間が経過すると、人員点呼訓練を完了したことが記録されていない乗客のリストが表示される。このように、人員点呼訓練を実行する処理は、訓練期間全体に亘って分散され、従来の人員点呼訓練で行われていた集中的な作業による負担を軽減する。
【0016】
さらに説明をすると、
図1は、海洋航行中船舶のための分散人員点呼の処理を図示したものである。
図1に示すように、航海中船舶150の異なる乗客はそれぞれ、各乗客に対応するモバイル機器110のデバイス識別子、および割り当てられた人員点呼ステーション140に関係づけられて人員点呼訓練テーブル160に登録される。次に、ホストコンピューティングシステム100は、データ通信ネットワーク120を介してモバイル機器110の各々に、各モバイル機器に対応して割り当てられた船舶150上の複数の人員点呼ステーション140のうちの一つを連絡する。続いて、ホストコンピューティングシステム100は、各乗客が、その時間中に人員点呼ステーション140のうちの各乗客に対応して割り当てられた一つにチェックインしなければならない人員点呼訓練時間を規定したタイマ130を始動する。こうして、ホストコンピューティングシステム100は、モバイル機器110のそれぞれに対して、人員点呼ステーション140のうちの割り当てられた一つの表示185及びタイマ130によって指定された前記訓練期間の残り時間のカウントダウン表示180の両方を、ユーザインタフェースに表示するように指示する。
【0017】
このとき、タイマ130によって指定された期間中に、各モバイル機器110が人員点呼ステーション140の割り当てられた一つに対応する地理的領域内で検知されると、対応する乗客の1人が人員点呼を完了したことを示すエントリが人員点呼訓練テーブル160内に設けられる。例えば、モバイル機器110は、前記地理的領域内に配置された受信機と通信するように構成された短距離無線通信機能を備え、人員点呼ステーション140のうちの割り当てられた一つの位置にモバイル機器110が存在することを示すことができる。別の方法としては、ユーザインタフェースに表示されたバーコードを人員点呼ステーション140の前記割り当てられた一つの中にあるキオスクでスキャンすることができる。さらに別の代替方法として、識別カードまたは識別ブレスレットを人員点呼ステーション140の前記割り当てられた一つの中にあるキオスクでスキャンすることができる。これによって、タイマ130によって指定された人員点呼訓練期間の終了時には、人員点呼を完了していない乗客のリスト170をホストコンピューティングシステム100に表示することができる。
【0018】
オプションで、人員点呼訓練用のタイマ130によって指定された時間中、各モバイル機器110の現在位置と人員点呼ステーション140の前記割り当てられた位置との間のナビゲーション経路195を、各乗客について計算することができる。次に、このナビゲーション経路195が、対応するナビゲーション命令に伴って、モバイル機器110のそれぞれのユーザインタフェースに表示される。別のオプションとして、ボタン175を、モバイル機器110のそれぞれのユーザインタフェース内に配置することができる。ボタン175は、支援要請をするメッセージをホストコンピューティングシステム100に送るように構成することができる。該支援要請に応答して、ホストコンピューティングシステム100は、対応するモバイル機器110の位置を探し、該当モバイル機器100の位置に最も近いと判断された乗務員用機器(図示せず)に、モバイル機器110と紐づけられた乗客の識別情報および対応するモバイル機器100の位置とをメッセージで送る。
【0019】
最後に、更に別のオプションとして、タイマ130によって指定された期間中、モバイル機器110の一つが割り当てられた人員点呼ステーション140の近傍内にあることが検出されるたびに、プロンプト185をユーザインタフェースに生成して、前記割り当てられた人員点呼ステーション140に対応する地理的領域に入るように、乗客に促すことができる。より特別な代替としては、各乗客が人員点呼訓練中に船舶150の一部を横断するとき、モバイル機器110のうちの対応する一つが割り当てられた人員点呼ステーション140の近傍に入ると判断することができる。モバイル機器110が割り当てられた人員点呼ステーション140の近傍にあるが、割り当てられた人員点呼ステーション140を規定する地理的領域の外にあることが判明した場合、プロンプト185が表示され、関連する乗客の便宜を図って、近傍にいることを利用して人員点呼を行うように促すことができる。
【0020】
図1に関連して説明した処理は、コンピュータデータ処理システムに実装することができる。さらに詳細な説明をすると、
図2は、航海中船舶の分散人員点呼用に構成されたデータ処理システムを概略的に示している。該システムは、各々がメモリおよび少なくとも一つのプロセッサを有する一つまたは複数のコンピュータを有するホストコンピューティングシステム210を含む。ホストコンピューティングシステム210は、さまざまなデータレコードをその中に格納するように構成されたデータ記憶装置220をさらに含む。また、ホストコンピューティングシステム210は、コンピュータ通信ネットワーク230を介して異なるモバイル機器240に通信可能に結合されている。
【0021】
ホストコンピューティングシステム210は、分散人員点呼訓練モジュール300のメモリ内での実行を支援する。モジュール300は、ホストコンピューティングシステム210をメモリ内で実行中に実行され、各モバイル機器240の人員点呼クライアント250と通信するコンピュータプログラム命令を含む。各人員点呼クライアント250は、分散人員点呼訓練モジュール300の前記プログラム命令から指示を受信し、モバイル機器240内にユーザインタフェースを描画するように動作するコンピュータプログラムである。前記プログラム命令は、さらに、モジュール300の実行中に実行され、各人員点呼クライアント250に、割り当てられた人員点呼ステーションの識別符号を送信し、対応する各モバイル機器240に関するレコード、モバイル機器240の対応する一つおよび割り当てられた人員点呼ステーションと、乗客とを関係付けるレコードを記録する。
【0022】
前記プログラム命令は、さらにまた、実行時に、人員点呼訓練が行われるべき期間を設定したタイマを始動すること、および、割り当てられた一つの人員点呼ステーションの表示と一緒にカウントダウンタイマを表示するように人員点呼クライアント250の各々に指示することを実行可能にされる。前記タイマによって規定された期間中、前記プログラム命令はさらに、前記割り当てられた人員点呼ステーションのうちの一つを定義する地理的位置に近づいているそれぞれのモバイル機器240に関する識別情報を受信することを実行可能にされる。これに応じて、前記プログラム命令は、モバイル機器240に関係付けられた対応する各乗客がその人員点呼訓練に対応する人員点呼を完了したとい標識をデータ記憶装置に記録することを実行可能にされる。最後に、タイマによって指定された期間の終了時に、前記プログラム命令は、対応して割り当てられた人員点呼ステーションの一つを定義する地理的位置内に来たと判定されなかったモバイル機器240の一つ一つをデータ記憶装置220内で識別して、該モバイル機器240に対応する乗客の一人一人を人員点呼訓練中に人員点呼を完了しなかったとして表示することを実行可能にされる。
【0023】
図3は、分散人員点呼訓練モジュール300の動作に関するさらに詳細な説明において、海洋航海中船舶のための分散人員点呼のための処理を説明するフローチャートである。始めのブロック310では、選択された航海中船舶の乗客リストが前記ホストコンピューティングシステムのメモリにロードされ、ブロック320で、テーブル内の各乗客が、前記海洋航海中船舶の中の複数の異なる人員点呼ステーションの一つに割り当てられる。また、ブロック330では、各乗客と対応するモバイル機器の識別子が、各乗客と関係づけてテーブルに記録される。その後、ブロック340で、人員点呼訓練の時間を規定するカウントダウンタイマが始動される。
【0024】
ブロック350において、モバイル機器のいずれかが、該モバイル機器に関係付けられた人員点呼ステーションを定義する地理的領域内に入ったかどうかが判定される。そうである場合、ブロック360において、前記モバイル機器を、前記テーブルを参照して乗客の中の特定の1人に関係付け、ブロック370において、正しい人員点呼ステーションに乗客がいることがテーブルに記録される。その後、判定ブロック380において、タイマによって指定された期間がまだ満了していないと判定される場合、処理は判定ブロック350に戻る。しかし、判定ブロック380において、前記タイマによって指定された期間が満了したと判定された場合、ブロック390において、人員点呼が完了したと記録されていない前記テーブル内の乗客のリストが前記ホストコンピューティングシステムに表示される。
【0025】
本発明は、システム、方法、コンピュータプログラム製品、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実現することができる。前記コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の複数の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を記憶した一つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。前記コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保持および格納することができる有形のデバイスとすることができる。前記コンピュータ可読記憶媒体は、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、またはこれらの任意の適切な組み合わせにすることができるが、これは例でありこれらに限定されない。
【0026】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から、各コンピューティング/処理デバイスに、あるいはネットワークを介して外部コンピュータや外部記憶装置にダウンロードすることができる。前記コンピュータ可読プログラム命令は、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、全体をユーザのコンピュータで、或いは一部をユーザのコンピュータかつ一部をリモートコンピュータで、又は完全にリモートコンピュータまたはサーバーで実行することができる。本発明の複数の態様は、本発明の複数の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図、および/またはブロック図を参照して本明細書で説明されている。前記フローチャート図および/またはブロック図内の各ブロック、及び前記フローチャート図および/またはブロック図内の複数のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることは明らかである。
【0027】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供され、一台のマシンを生成することができる。該マシンでは、前記命令が、コンピュータまたは、プログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行され、前記フローチャートおよび/またはブロック図の一つ又は複数のブロックによって規定された機能/動作を実装するための手段が生成される。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、および/または他のデバイスが特定の方法で機能するように命令することができるコンピュータ可読記憶媒体に格納されて、内部に命令を格納する前記コンピュータ可読記憶媒体が、前記フローチャート及び/又はブロック図の一つまたは複数のブロックで指定される機能/動作の態様を実装する命令を含む製品を含むようにすることができる。
【0028】
前記コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他のデバイスにロードされ、一連の実行可能ステップを、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他のデバイス上で実行させることができ、その結果、前記コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイスで実行される命令が、前記フローチャートおよび/または前記ブロック図の一つまたは複数のブロックで指定された機能/動作を実行するようにすることができる。
【0029】
前記複数の図の中のフローチャートおよびブロック図には、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品で実装可能なアーキテクチャ、機能、及び動作が図示されている。これに関して、前記フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための一つまたは複数の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部を表すことができる。一部の代替の実装では、前記ブロックに記載された機能が、前記の図に記載されている順序とは異なる順序で発生する場合がある。たとえば、連続して図示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行される場合がある。または、前記複数のブロックは、そのブロックに含まれる機能に応じて、逆の順序で実行される場合がある。また、前記ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、および前記ブロック図および/またはフローチャート図の複数のブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行する特定目的ハードウェア又は複数の特定目的ハードウェアとコンピュータ命令とをベースにして構築されたシステムによって実装することができる。
【0030】
最後に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形は、前後の文脈でそうでないことが明示されない限り、複数形も含むように意図されている。「含む」および/または「含んでいる」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、数で表現されるもの、ステップ、操作、要素、および/または部品の存在を指定するが、一つ又は複数の他の機能、数で表現されるもの、ステップ、操作、要素、部品、および/またはそれらの集まりの存在または追加を排除するものではない。
【0031】
以下の特許請求の範囲におけるすべての手段またはステッププラスファンクションの対応する構造、材料、作用、および等価物は、他の請求範囲の構成要素と組み合わせて明記された特許請求範囲の前記機能を実行するための任意の構造、材料、または作用を含むように意図されている。本発明の記載は、例示および説明の目的で開示されているが、発明のすべてを網羅的に含むこと、または本発明の開示された形態に限定することを意図したものではない。本発明の特許請求範囲および本発明の趣旨から逸脱することなく、多くの変形および変更を当業者は想到できることは自明であろう。本発明の実施形態は、本発明の原理および実際の応用を最もよく説明し、当業者が、本発明を理解して、目的とする特定の用途に適したさまざまな変形を加えたさまざまな実施形態を実行できるようにするために選択され、説明されている。
【0032】
本出願の発明を、本発明の実施形態を参照することにより詳細に説明したが、以下に示す特許請求の範囲で指定した本発明の範囲から逸脱することなく、変形および変更が可能であることは明らかであろう。