IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 國立臺灣▲海▼洋大學の特許一覧

<>
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図1
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図2
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図3
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図4
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図5
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図6
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図7
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図8
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図9
  • 特許-自動ケージネット沈下システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】自動ケージネット沈下システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/60 20170101AFI20220714BHJP
【FI】
A01K61/60 321
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020202202
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2021087425
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】108144582
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】514075507
【氏名又は名称】國立臺灣▲海▼洋大學
【住所又は居所原語表記】No.2,Beining Rd.,Zhongzheng Dist.,Keelung City 202301,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100175617
【弁理士】
【氏名又は名称】三崎 正輝
(72)【発明者】
【氏名】張忠誠
(72)【発明者】
【氏名】林鎮洲
(72)【発明者】
【氏名】謝易錚
(72)【発明者】
【氏名】林昶達
(72)【発明者】
【氏名】陳振耀
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-017196(JP,A)
【文献】特開2011-092182(JP,A)
【文献】特開2014-113141(JP,A)
【文献】実開昭60-055363(JP,U)
【文献】実開平07-001757(JP,U)
【文献】特許第6588684(JP,B1)
【文献】中国実用新案第2768443(CN,Y)
【文献】中国実用新案第2582373(CN,Y)
【文献】特開昭63-309123(JP,A)
【文献】特開2008-234869(JP,A)
【文献】特開2018-109584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0288612(US,A1)
【文献】特開2019-097415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮きフレーム(1)及びネット本体(2)を含み、前記ネット本体(2)は前記浮きフレーム(1)の下端に周設し、且つ前記ネット本体(2)が囲むことにより養殖空間を形成しているケージネット本体(1000)と、
加速度計(31)と、第一処理モジュール(32)と、第一無線通信モジュール(33)とを含み、且つ前記浮きフレーム(1)の上端に設置し、前記加速度計(31)、前記第一処理モジュール(32)、及び前記第一無線通信モジュール(33)は互いに電気的に接続している作業プラットフォーム(3)と、
第一開口部(40)、ガスフローコントローラー(41)、水位センサー(42)、プログラム可能な制御モジュール(43)、第二処理モジュール(44)、第二無線通信モジュール(45)、及び第二開口部(47)を少なくとも設けている浮動バレル(4)であって、前記浮動バレル(4)は内部に収容空間を形成し、前記収容空間は前記第一開口部(40)及び前記第二開口部(47)に連通し、前記浮動バレル(4)は前記浮きフレーム(1)の下端に設置していると共に前記養殖空間外に位置し、前記第一開口部(40)は前記浮動バレル(4)の一側に設置し、前記第二開口部(47)は前記浮動バレル(4)の前記第一開口部(40)に対する他側に設置し、前記ガスフローコントローラー(41)、前記水位センサー(42)、前記プログラム可能な制御モジュール(43)、前記第二処理モジュール(44)、及び前記第二無線通信モジュール(45)は互いに電気的に接続している浮動バレル(4)と、
ヒューマンマシンインターフェース(51)と、海洋環境監視モジュール(52)と、データ記憶モジュール(53)と、第三処理モジュール(54)と、第三無線通信モジュール(55)とを含み、前記ヒューマンマシンインターフェース(51)、前記海洋環境監視モジュール(52)、前記データ記憶モジュール(53)、前記第三処理モジュール(54)、及び前記第三無線通信モジュール(55)は互いに電気的に接続している海洋環境監視システム(5)と、を備え
前記第一無線通信モジュール(33)は、前記第三無線通信モジュール(55)と信号的に接続されており、前記第一無線通信モジュール(33)は、前記浮動バレル(4)の移動状態に基づいて生成された加速度信号を、前記第三無線通信モジュール(55)に伝送し、
前記第二無線通信モジュール(45)は、前記第三無線通信モジュール(55)と信号的に接続されており、前記第三無線通信モジュール(55)は、前記浮動バレル(4)の前記移動状態を制御する操作命令を、前記第二無線通信モジュール(45)に伝送し、
前記加速度計(31)は、前記浮きフレーム(1)の傾斜角度を検知し、
前記海洋環境監視システム(5)は、前記ケージネット本体(1000)が沈んだ時に前記浮きフレーム(1)の前記傾斜角度が所定の角度より大きくなることを避けるように、前記浮きフレーム(1)の前記傾斜角度を調整して縮小する、
自動ケージネット沈下システム。
【請求項2】
前記浮きフレーム(1)は浮きチューブ(11)をさらに周設し、複数の前記浮きチューブ(11)は環状構造体を互いに構成し、各前記浮きチューブ(11)は内部に中空収容空間を形成していることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項3】
前記浮きフレーム(1)の上端には肘掛けをさらに設置していることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項4】
前記浮動バレル(4)の外部にはプロペラ(46)をさらに設置していることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項5】
アンカー(61)と、接合部(62)と、フロート(63)と、を備えているアンカー装置(6)をさらに設置していることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項6】
前記接合部(62)はケーブルまたは鉄鎖であることを特徴とする請求項5に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項7】
前記ガスフローコントローラー(41)は熱気体マスフローコントローラであることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項8】
前記水位センサー(42)は圧力型水位センサーであることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項9】
前記海洋環境監視モジュール(52)は、波浪センサー、水温センサー、水質センサー、及び風速センサーで構成される群のうちの少なくとも1つをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項10】
前記ヒューマンマシンインターフェース(51)は、浮動バレル状態ユニット(511)と、オペレーションユニット(512)と、パラメータ設定ユニット(513)と、を備え
前記パラメータ設定ユニット(513)は、前記浮動バレル(4)の前記移動状態を制御する少なくとも1つのパラメータを設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項11】
クラウドサーバーをさらに備え
前記クラウドサーバーが、養殖エリアの少なくとも1つの監視データを保存することで、前記監視データは、電子設備を介してダウンロード又は閲覧できる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項12】
前記海洋環境監視システム(5)はデータ分析モジュール(56)をさらに備え、且つ前記ヒューマンマシンインターフェース(51)はデータ分析ユニット(514)を備え
前記データ分析モジュール(56)は、養殖エリアの少なくとも1つの監視データを分析し、分析データを生成するために用いられ、
前記データ分析ユニット(514)は、ユーザが前記分析データを閲覧するために備えられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項13】
前記浮動バレル(4)の外部にはカメラ装置(7)をさらに設置し、前記ヒューマンマシンインターフェース(51)はイメージユニット(515)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項14】
前記ネット本体(2)の前記浮きフレーム(1)に対する他側に設置しているカウンターウェイトシステム(8)をさらに設置していることを特徴とする請求項1に記載の自動ケージネット沈下システム。
【請求項15】
前記カウンターウェイトシステム(8)はヘビーハンマーカウンターウェイト構造(81)またはネットフレームカウンターウェイト構造(82)から選択していることを特徴とする請求項14に記載の自動ケージネット沈下システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ケージネット沈下システム(An automatically sinking cage net system)に関し、より詳しくは、ケージネット本体、作業プラットフォーム、浮動バレル、及び海洋環境監視システムにより、自動化方式でプラットフォームの沈下及び海洋環境の即時監視を操作し、ケージネット本体の沈下動作の実行に必要な労力、時間、及び人為的な操作が引き起こす問題を大幅に減少させる自動ケージネット沈下システムに関する。
【背景技術】
【0002】
世界の総人口が急激に増加しており、食用水産物の消費速度が人口の増加に従って加速している。さらに、近年水産資源の過剰な乱獲や、海洋環境の汚染、世界的な気候変動の影響等により、天然の漁業資源が年々減少している。食用水産物の莫大な需要を賄うため、世界的に養殖業が急成長している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
事実上、台湾の陸地面積は狭小であり、陸上での魚類養殖産業では国内需要を満たすだけの漁獲量を得ることは難しい。また、陸上で養魚場を発展させるには地下水を過剰に汲み上げる必要があり、地層の崩落が起こる等の多くの欠点が存在している。このため、開放水域のプラットフォームでの養殖産業が徐々に重視されるようになっており、台風が発生させる波浪がプラットフォームを破壊するのを防止するため、沈下式プラットフォームが登場した。図1は従来の沈下式プラットフォームを図示し、従来の沈下式プラットフォームはメッシュバッグ(A)、フレーム(B)、及び環状中空管(C)で構成している。前記メッシュバッグ(A)は完全密封のバッグ体であり、前記フレーム(B)は非浮体で製造し、且つ前記メッシュバッグ(A)は前記フレーム(B)に繋着し、前記環状中空管(C)は前記フレーム(B)に周設している(図2参照)。従来の沈下式プラットフォームは沈下動作を実行する際に大量の人員及び時間が必要である。また、前記沈下式プラットフォームを沈下する際に、前記沈下式プラットフォーム全体の沈下重力方向が一致しないと、前記フレーム(B)の傾斜角度が大きくなりすぎて前記メッシュバッグ(A)の容積が急速に減少し、魚群の活動空間が減少するため、魚群がぶつかって傷付きやすい。なお、従来の沈下式プラットフォームは監視システムを配備しておらず、一時的な潜在的な危険や、判断が難しい前記沈下式プラットフォームの上昇時期に対処するために、水域付近の関連情報を即時知ることができない。
【0004】
このため、革新的なハードウェア設計により従来の沈下式プラットフォームを沈下させるには人手や時間がかかる、前記フレーム(B)の傾斜角度が大きすぎて魚群が傷付く、及び監視システムがないために海洋環境の関連データを収集し分析することができず様々な状況に対処できない、等の問題を有効的に改善することが、関連産業のデベロッパー及び研究者が克服し解決すべく努力を続けている課題である。
【0005】
また、従来の沈下式プラットフォームには監視システムが配備されておらず、人為的な操作が必要であり、操作には時間と労力がかかるほか、沈下式プラットフォームの沈下動作を実行する際に、フレームの傾斜角度が大きすぎて魚群が衝突し傷付くことを鑑みると、従来の沈下式プラットフォームは実際の実施に関し、なお多くの革新及び改良の余地がある。よって、本発明者は豊富な専門知識及び実務経験を元に、改善を加え、本発明を創作するに至った。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものである。上記課題解決のため、本発明は、自動ケージネット沈下システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ケージネット沈下システムは、
浮きフレーム及びネット本体を含み、前記ネット本体は前記浮きフレームの下端に周設し、且つ前記ネット本体が囲むことにより養殖空間を形成しているケージネット本体と、
加速度計と、第一処理モジュールと、第一無線通信モジュールとを含み、且つ前記浮きフレームの上端に設置され、前記加速度計、前記第一処理モジュール、及び前記第一無線通信モジュールは互いに電気的に接続されている作業プラットフォームと、
第一開口部、ガスフローコントローラー、水位センサー、プログラム可能な制御モジュール、第二処理モジュール、第二無線通信モジュール、及び第二開口部を少なくとも設けている浮動バレルであって、前記浮動バレルは内部に収容空間を形成し、前記収容空間は前記第一開口部及び前記第二開口部に連通し、前記浮動バレルは前記浮きフレームの下端に設置されていると共に前記養殖空間外に位置し、前記第一開口部は前記浮動バレルの一側に設置され、前記第二開口部は前記浮動バレルの前記第一開口部に対する他側に設置され、前記ガスフローコントローラー、前記水位センサー、前記プログラム可能な制御モジュール、前記第二処理モジュール、及び前記第二無線通信モジュールは互いに電気的に接続されている浮動バレルと、
ヒューマンマシンインターフェースと、海洋環境監視モジュールと、データ記憶モジュールと、第三処理モジュールと、第三無線通信モジュールとを含み、前記ヒューマンマシンインターフェース、前記海洋環境監視モジュール、前記データ記憶モジュール、前記第三処理モジュール、及び前記第三無線通信モジュールは互いに電気的に接続され、前記第一無線通信モジュール、前記第二無線通信モジュール、及び前記第三無線通信モジュールは互いに信号を接続している海洋環境監視システムと、を備えている。
【0008】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記浮きフレームには浮きチューブをさらに周設し、複数の前記浮きチューブは環状構造体を互いに構成し、各前記浮きチューブは内部に中空収容空間を形成している。
【0009】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記浮動フレームの上端に肘掛けをさらに設置している。
【0010】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記浮動バレルの外部にプロペラをさらに設置している。
【0011】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、アンカーと、接合部と、フロートとを備えているアンカー装置をさらに設置している。
【0012】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記接合部はケーブルまたは鉄鎖である。
【0013】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記ガスフローコントローラーは熱気体マスフローコントローラである。
【0014】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記水位センサーは圧力型水位センサーである。
【0015】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記海洋環境監視モジュールは、波浪センサー、水温センサー、水質センサー、及び風速センサーで構成する群のうちの少なくとも1つを備えている。
【0016】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記ヒューマンマシンインターフェースは浮動バレル状態ユニットと、オペレーションユニットと、パラメータ設定ユニットと、を備えている。
【0017】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、クラウドサーバーをさらに備えている。
【0018】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記海洋環境監視システムはデータ分析モジュールをさらに備え、前記ヒューマンマシンインターフェースはデータ分析ユニットを備えている。
【0019】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記浮動バレルの外部にカメラ装置をさらに設置し、前記ヒューマンマシンインターフェースはイメージユニットを備えている。
【0020】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記ネット本体の前記浮動フレームに対する他側にカウンターウェイトシステムさらに設置している。
【0021】
また、本発明に係る自動ケージネット沈下システムにおいて、前記カウンターウェイトシステムはヘビーハンマーカウンターウェイト構造またはネットフレームカウンターウェイト構造から選択されている。
【0022】
これにより、本発明に係る自動ケージネット沈下システムは、ケージネット本体と、作業プラットフォームと、浮動バレルと、海洋環境監視システムと、カウンターウェイトシステムと、を備え、ケージネット本体の沈下動作に必要な人員及び時間を大幅に削減し、人為的な操作に起因する人員の安全問題を軽減する。また、加速度計によりケージネット本体の平衡を調整し、ケージネット本体の傾斜角度範囲を縮小し、ネット本体の容積が急減する問題を緩和する。なお、海洋環境監視システムを提供し、各センサーにより海洋環境を監視すると共に関連する監視データをフィードバックし、養殖業者が突発的な天災や事故に見舞われた際に、このデータに基づいてケージネット本体の沈下または上昇の時期を判断できるように補助し、養殖業者の損失を大幅に減らす。
【0023】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】従来の沈下式ケージネットを示す概略図である。
図2】従来の沈下式ケージネットの使用状態を示す図である。
図3】本発明の自動ケージネット沈下システムの構成を示す分解図である。
図4】本発明の自動ケージネット沈下システムの組み合わせを示す構成図である。
図5】本発明の自動ケージネット沈下システムを示すブロック図である。
図6】本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムを示す概略図(一)である。
図7】本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムを示す概略図(二)である。
図8】本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムのヒューマンマシンインターフェースを示す概略図である。
図9】本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムのヘビーハンマーカウンターウェイト構造を示す概略図である。
図10】本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムのネットフレームカウンターウェイト構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0026】
本発明に記載の内容の記述をより詳細且つ完全なものにするため、以下、本発明の実施態様及び具体的な実施例を提供して説明する。但し、本発明の具体的な実施例を唯一の形式として実施または運用するわけではない。
【0027】
図3は本発明の自動ケージネット沈下システムの構成を示す分解図である。図4は本発明の自動ケージネット沈下システムの組み合わせを示す構成図である。図5は本発明の自動ケージネット沈下システムを示すブロック図である。図6は本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムを示す概略図(一)である。図7は本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムを示す概略図(二)である。本発明の自動ケージネット沈下システムは、ケージネット本体(1000)と、作業プラットフォーム(3)と、浮動バレル(4)と、海洋環境監視システム(5)と、を少なくとも備えている。
【0028】
また、前記ケージネット本体(1000)は、浮動フレーム(1)及びネット本体(2)を備え、前記ネット本体(2)は前記浮動フレーム(1)の下端に周設し、且つ前記ネット本体(2)が囲むことにより養殖空間を形成している。実施において、前記ネット本体(2)は前記養殖空間内の魚群が逃げ出すのを防止している。本実施例では、前記浮動フレーム(1)には浮動チューブ(11)をさらに周設し、複数の前記浮動チューブ(11)は環状構造体を互いに構成し、各前記浮動チューブ(11)は内部に中空収容空間を形成している。各前記浮動チューブ(11)は前記浮動フレーム(1)が水面上に浮遊するように水上での浮力を提供し、養殖業者が前記浮動フレーム(1)上に立って作業することを可能にしている。他の実施例では、前記浮動フレーム(1)の上端には肘掛けをさらに設置し、前記ケージネット本体(1000)が波浪や海流の影響を受けて揺れた場合、養殖業者が前記肘掛けを使用して前記浮動フレーム(1)上に立って作業可能にし、重心が不安定になっても養殖業者が転倒しないようにしている。
【0029】
前記作業プラットフォーム(3)は、加速度計(31)と、第一処理モジュール(32)と、第一無線通信モジュール(33)と、を備えている。前記作業プラットフォーム(3)は前記浮動フレーム(1)の上端に設置され、前記加速度計(31)、前記第一処理モジュール(32)、及び前記第一無線通信モジュール(33)は互いに電気的に接続されている。実施において、前記加速度計(31)は浮動バレル(4)の移動状態に基づいて加速度信号を発生させ、前記加速度信号は前記第一処理モジュール(32)及び前記第一無線通信モジュール(33)により海洋環境監視システム(5)に伝送され、養殖業者が前記加速度信号に基づいて前記ケージネット本体(1000)の運動状態を判断するのを補助する。
【0030】
また、前記浮動バレル(4)は第一開口部(40)、ガスフローコントローラー(41)、水位センサー(42)、プログラム可能な制御モジュール(43)、第二処理モジュール(44)、第二無線通信モジュール(45)、及び第二開口部(47)を少なくとも設けている。前記浮動バレル(4)は内部に収容空間を形成し、前記収容空間は前記第一開口部(40)及び前記第二開口部(47)に連通し、前記浮動バレル(4)は前記浮動フレーム(1)の下端に設置されていると共に前記養殖空間外に位置している。前記第一開口部(40)は前記浮動バレル(4)の一側に設置され、前記第二開口部(47)は前記浮動バレル(4)の前記第一開口部(40)に対する他側に設置され、前記ガスフローコントローラー(41)、前記水位センサー(42)、前記プログラム可能な制御モジュール(43)、前記第二処理モジュール(44)、及び前記第二無線通信モジュール(45)は互いに電気的に接続されている。さらに他の実施例では、前記浮動バレル(4)は正三角形方式で前記浮動フレーム(1)の下端にそれぞれ設置されている。なお他の実施例では、前記浮動バレル(4)の外部にプロペラ(46)をさらに設置し、前記プロペラ(46)は前記ケージネット本体(1000)の沈下または上昇速度を制御するために用いられ、様々な突発的状況に随時対処する。さらなる実施例では、前記ガスフローコントローラー(41)は熱気体マスフローコントローラであり、気体の流量を制御することで前記浮動バレル(4)の上昇または沈下速度を調整している。前記水位センサー(42)は圧力型水位センサーであり、前記浮動バレル(4)が上昇または沈下する際に前記圧力型水位センサーが海水面に対する深度距離を検出し、前記浮動バレル(4)の沈下位置が指定の位置範囲内にあるか否かを把握する。或いは、寄生虫が魚群に吸着した際に、海水面に対する前記浮動バレル(4)の深度距離を検出することで沈下深度を再度判断し、物理的方法によって寄生虫の成長を効果的に抑制し、投薬によって寄生虫を殺虫する頻度を減らす。
【0031】
また、前記海洋環境監視システム(5)は、ヒューマンマシンインターフェース(51)と、海洋環境監視モジュール(52)と、データ記憶モジュール(53)と、第三処理モジュール(54)と、第三無線通信モジュール(55)と、を備えている。前記ヒューマンマシンインターフェース(51)、前記海洋環境監視モジュール(52)、前記データ記憶モジュール(53)、前記第三処理モジュール(54)、及び前記第三無線通信モジュール(55)は互いに電気的に接続されている。前記第一無線通信モジュール(33)、前記第二無線通信モジュール(45)、及び前記第三無線通信モジュール(55)は互いに信号を接続している。実施において、前記海洋環境監視モジュール(52)により養殖エリア内の前記浮動バレル(4)及び前記作業プラットフォーム(3)が生成する監視データを収集し、前記監視データは前記第三処理モジュール(54)により前記データ記憶モジュール(53)に保存し、または前記ヒューマンマシンインターフェース(51)により前記監視データを閲覧及び分析し、養殖業者が前記ヒューマンマシンインターフェース(51)を操作して操作命令を生成する。前記第三処理モジュール(54)及び前記第三無線通信モジュール(55)は前記操作命令を前記第二無線通信モジュール(45)により前記浮動バレル(4)に伝送し、且つ前記第二処理モジュール(44)及び前記プログラム可能な制御モジュール(43)は前記操作命令に基づいて、前記第二開口部(47)により前記ガスフローコントローラー(41)の気体の流量を制御し、または海水が前記第一開口部(40)から前記浮動バレル(4)の前記収容空間に流入及び流出する海水量を制御し、前記浮動バレル(4)の上昇または沈下速度を調整する。前記海洋環境監視システム(5)は前記第三無線通信モジュール(55)により前記作業プラットフォーム(3)の前記加速度計(31)が前記浮動バレル(4)の移動状態に基づいて生成した加速度信号を受信し、養殖業者は前記海洋環境監視システム(5)により前記浮動バレル(4)の前記加速度信号を監視し、且つ前記ヒューマンマシンインターフェース(51)を操作することで前記浮動バレル(4)の移動状態を制御し、前記ケージネット本体(1000)の傾斜角度を平衡がとれるように調整する。ある実施例では、前記海洋環境監視モジュール(52)は、波浪センサー、水温センサー、水質センサー、及び風速センサーで構成する群のうちの少なくとも1つを備えている。実施において、各センサーにより養殖エリア内の波浪、水温、水質、及び風速等を監視し、各センサーが監視データを生成し、前記第三処理モジュール(54)により収集した各前記センサー監視データは前記データ記憶モジュール(53)に保存し、或いは前記ヒューマンマシンインターフェース(51)により養殖エリア内の波浪、水温、水質、及び風速等の各前記センサーの監視データを閲覧或いは分析する。他の実施例では、クラウドサーバーをさらに備え、前記クラウドサーバー、前記第一無線通信モジュール(33)、前記第二無線通信モジュール(45)、及び前記第三無線通信モジュール(55)は互いに信号を接続している。実施において、各センサーにより養殖エリア内の波浪、水温、水質、及び風速等を監視し、各センサーが監視データを生成し、前記第三処理モジュール(54)により収集した各前記センサーの監視データは前記第三無線通信モジュール(55)により前記クラウドサーバーに保存している。前記クラウドサーバーは養殖業者が電子設備を使用して各前記センサーが監視した養殖エリア内の波浪、水温、水質、及び風速等の監視データをダウンロードし閲覧することができる。他の実施例では、前記海洋環境監視システム(5)はデータ分析モジュール(56)をさらに備え、前記ヒューマンマシンインターフェース(51)はデータ分析ユニット(514)を備えている。実施において、前記海洋環境監視モジュール(52)により収集した養殖エリア内の前記浮動バレル(4)及び前記作業プラットフォーム(3)が生成した監視データは、前記第三処理モジュール(54)及び前記データ分析モジュール(56)により前記監視データに対する計算及び分析を行って情報分析データを成生し、且つ前記ヒューマンマシンインターフェース(51)の前記データ分析ユニット(514)により前記情報分析データを閲覧する。
【0032】
図6は本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムを示す概略図(一)である。前記自動ケージネット沈下システムはアンカー(61)と、接合部(62)と、フロート(63)と、を備えているアンカー装置(6)をさらに設置している。前記アンカー(61)は限定しないが、例えばコンクリートブロック、鉄錨、ケージバッグであり、前記アンカー装置(6)は、実施において、主な作用は前記ケージネット本体(1000)を養殖業者が規定する水域範囲内に固定し、前記ケージネット本体(1000)が波浪及び海流の影響を受けて規定の水域範囲から逸脱するのを防止することである。ある実施例では、前記接合部(62)はケーブルまたは鉄鎖であり、実施において、主に波浪や海流が前記アンカー装置(6)を引っ張る作用を低減し、前記フロート(63)は浮力によって上下に振動し、波浪及び水流が前記ケージネット本体(1000)を引っ張る作用を低減する。
【0033】
また、図8は本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムのヒューマンマシンインターフェースを示す概略図である。本発明の自動ケージネット沈下システムは、前記海洋環境監視システム(5)が、ヒューマンマシンインターフェース(51)と、海洋環境監視モジュール(52)と、データ記憶モジュール(53)と、第三処理モジュール(54)と、第三無線通信モジュール(55)と、を備えている。ある実施例では、前記ヒューマンマシンインターフェース(51)は、浮動バレル状態ユニット(511)と、オペレーションユニット(512)と、パラメータ設定ユニット(513)と、を含む。養殖業者は前記浮動バレル状態ユニット(511)を観察することで、前記浮動バレル(4)の現在の運用状態を知ることができる。或いは、前記オペレーションユニット(512)により前記浮動バレル(4)の上昇、沈下、または運用の保持継続を制御する。もしくは、設定前記パラメータ設定ユニット(513)により前記浮動バレル(4)の運用状況を監視し、または前記浮動バレル(4)の運用状況を自動的に調整する。
【0034】
ある実施例では、前記浮動バレル(4)の外部にカメラ装置(7)をさらに設置し、且つ前記ヒューマンマシンインターフェース(51)はイメージユニット(515)と、前記カメラ装置(7)と、前記ガスフローコントローラー(41)と、を備えている。前記水位センサー(42)、前記プログラム可能な制御モジュール(43)、前記第二処理モジュール(44)、及び前記第二無線通信モジュール(45)は互いに電気的に接続している。実施において、前記カメラ装置(7)は水中の魚群画像を撮影し、前記魚群画像は画像信号に変換し、前記第二処理モジュール(44)及び前記第二無線通信モジュール(45)により前記海洋環境監視システム(5)に送信し、魚群の活動状況を遠隔からの観察可能にする。
【0035】
また、図9は本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムのヘビーハンマーカウンターウェイト構造を示す概略図である。図10は本発明の好ましい実施形態に係る自動ケージネット沈下システムのネットフレームカウンターウェイト構造を示す概略図である。本発明の自動ケージネット沈下システムは、前記カウンターウェイトシステム(8)は前記ネット本体(2)の前記浮動フレーム(1)に対する他側に設置され、前記カウンターウェイトシステム(8)はヘビーハンマーカウンターウェイト構造(81)またはネットフレームカウンターウェイト構造(82)から選択されている。実施において、前記カウンターウェイトシステム(8)は主に前記ネット本体(2)の容積率を維持するために用い、設定した養殖密度を保持する。前記ネット本体(2)の変形率が過大である場合、魚群が驚いて互いに衝突したり、メッシュバッグに擦れたりして傷付き、死亡することがある。
【0036】
以上を総合すると、本発明は従来の技術及び製品と比較すると、以下の利点の1つを有する。
(1)本発明の目的の1つは、自動ケージネット沈下システムにより、ケージネット本体の沈下動作に必要な人員及び時間を大幅に減らし、人為的な操作に起因する人員の安全問題を軽減する。
(2)本発明の目的の1つは、加速度計により浮動フレームの傾斜角度を検出し、浮動フレームの傾斜角度範囲を調整すると共に縮小することで、ケージネット本体の沈下時に浮動フレームの傾斜角度が大きすぎ、ネット本体の容積が急減し、養殖魚群が傷付き、死亡する事態を回避する。
(3)本発明の目的の1つは、養殖業者が突発的な天災や事故に遭遇した際に、海洋環境監視システムが提供する水温、波浪、水質、及び風速等の各センサーの監視データに基づいてケージネット本体の沈下または上昇の時期を判断し、養殖業者の損失を大幅に減らす。
(4)本発明の目的の1つは、海洋環境監視システムのヒューマンマシンインターフェースにより、簡単で明確な浮動バレル状態ユニット、オペレーションユニット、及びパラメータ設定ユニットを利用し、操作インターフェースを簡略化し、養殖業者がシステム命令をより早く理解可能にし、浮動バレルを操作することでケージネット本体の上昇や沈下を連動させる。
(5)本発明の目的の1つは、浮動バレルにプロペラをさらに設置することで、ケージネット本体の沈下または上昇速度を制御し、様々な突発的状況に随時対処する。
【0037】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0038】
(従来技術)
(A) メッシュバッグ
(B) フレーム
(C) 環状中空管
(本発明)
(1000) ケージネット本体
(1) 浮きフレーム
(11) 浮きチューブ
(2) ネット本体
(3) 作業プラットフォーム
(31) 加速度計
(32) 第一処理モジュール
(33) 第一無線通信モジュール
(4) 浮動バレル
(40) 第一開口部
(41) ガスフローコントローラー
(42) 水位センサー
(43) プログラム可能な制御モジュール
(44) 第二処理モジュール
(45) 第二無線通信モジュール
(46) プロペラ
(47) 第二開口部
(5) 海洋環境監視システム
(51) ヒューマンマシンインターフェース
(511) 浮動バレル状態ユニット
(512) オペレーションユニット
(513) パラメータ設定ユニット
(514) データ分析ユニット
(515) イメージユニット
(52) 海洋環境監視システム
(53) データ記憶モジュール
(54) 第三処理モジュール
(55) 第三無線通信モジュール
(56) データ分析モジュール
(6) アンカー装置
(61) アンカー
(62) 接合部
(63) フロート
(7) カメラ装置
(8) カウンターウェイトシステム
(81) ヘビーハンマーカウンターウェイト構造
(82) ネットフレームカウンターウェイト構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10