(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】内視鏡システム及び内視鏡システムの作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20220714BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A61B1/045 616
A61B1/06 610
(21)【出願番号】P 2020516095
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2019010619
(87)【国際公開番号】W WO2019208011
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-09-10
(31)【優先権主張番号】P 2018083282
(32)【優先日】2018-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 健二
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000160(JP,A)
【文献】特開2012-213550(JP,A)
【文献】国際公開第2014/156937(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/085061(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/057392(WO,A1)
【文献】特開2015-204960(JP,A)
【文献】特開2016-059402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長帯域の光を発することができるように構成された光源部と、
被検体内に存在する生体組織を含む被写体を照明するための照明光として、前記複数の波長帯域の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせた第1の照明光と、前記複数の波長帯域の光の中から選択した前記第1の照明光とは異なる1つ以上の波長帯域の光を組み合わせた第2の照明光を設定できるように構成された照明光設定部と、
前記照明光設定部で設定された前記第1及び前記第2の照明光を前記光源部から交互に照射させるために前記光源部を制御するように構成された光源制御部と、
前記照明光が照射された前記被写体からの戻り光を撮像するように構成された撮像部と、
前記第1の照明光が照射された際の前記撮像部によって得られた第1の画像を解析することにより、異常所見の有無に係る解析結果を取得するように構成された画像解析部と、
を備え、
前記照明光設定部は、前記第1の照明光が照射された際に前記撮像部で取得された前記第1の画像に対する前記画像解析部の前記解析結果に基づいて、次に照射する前記第2の照明光に含まれる波長帯域の光の組み合わせを設定する、
ことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記照明光設定部は、前記複数の波長帯域の光の中から選択した緑色光及び赤色光を前記第1の照明光として設定し、
前記画像解析部は、前記第1の画像を解析することにより、前記第1の画像の色調が前記異常所見に相当する色調または正常所見に相当する色調のいずれに属するかに係る評価結果を前記解析結果として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記照明光設定部は、前記第1の画像の色調が退色した粘膜の色調に相当するとの第1の評価結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した紫色光、前記緑色光及び前記赤色光を前記第2の照明光として設定し、前記第1の画像の色調が発赤した粘膜の色調に相当するとの第2の評価結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した青色光、前記緑色光及び琥珀色光を前記第2の照明光として設定し、前記第1の画像の色調が通常の粘膜の色調に相当するとの第3の評価結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した前記青色光、前記緑色光及び前記赤色光を前記第2の照明光として設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記第1の評価結果が得られた場合に、前記第2の照明光の照射時に前記被写体を撮像して得られた第2の画像に含まれる紫色成分、緑色成分及び赤色成分を用いて観察画像を生成し、前記第2の評価結果が得られた場合に、前記第2の画像に含まれる青色成分、緑色成分及び琥珀色成分を用いて観察画像を生成し、前記第3の評価結果が得られた場合に、前記第2の画像に含まれる青色成分、緑色成分及び赤色成分を用いて観察画像を生成するように構成された観察画像生成部をさらに有する
ことを特徴とする請求項3に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記照明光設定部は、前記複数の波長帯域の光の中から選択した紫色光、緑色光及び赤色光を前記第1の照明光として設定し、
前記画像解析部は、前記第1の画像を解析することにより、前記第1の画像に所定の色調を有する異常所見領域が含まれているか否かに係る判定結果を前記解析結果として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記照明光設定部は、前記第1の画像に前記所定の色調を有する異常所見領域が含まれているとの第1の判定結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した前記紫色光及び琥珀色光を前記第2の照明光として設定し、前記第1の画像に前記所定の色調を有する異常所見領域が含まれていないとの第2の判定結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した青色光及び前記琥珀色光を前記第2の照明光として設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記第1の判定結果が得られた場合に、前記第1の画像に含まれる紫色成分及び緑色成分と、前記第2の照明光の照射時に前記被写体を撮像して得られた第2の画像に含まれる紫色成分及び琥珀色成分と、を用いて観察画像を生成し、前記第2の判定結果が得られた場合に、前記第1の画像に含まれる紫色成分、緑色成分及び赤色成分と、前記第2の画像に含まれる青色成分及び琥珀色成分と、を用いて観察画像を生成するように構成された観察画像生成部をさらに有する
ことを特徴とする請求項6に記載の内視鏡システム。
【請求項8】
前記照明光設定部は、前記第1の画像に前記異常所見に該当する生体組織が含まれているとの第1の判定結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した前記紫色光を前記第2の照明光として設定し、前記第1の画像に前記異常所見に該当する生体組織が含まれていないとの第2の判定結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した青色光及び琥珀色光を前記第2の照明光として設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の内視鏡システム。
【請求項9】
前記第1の判定結果が得られた場合に、前記第1の画像に含まれる紫色成分及び緑色成分と、前記第2の照明光の照射時に前記被写体を撮像して得られた第2の画像に含まれる紫色成分と、を用いて観察画像を生成し、前記第2の判定結果が得られた場合に、前記第1の画像に含まれる紫色成分、緑色成分及び赤色成分と、前記第2の画像に含まれる青色成分及び琥珀色成分と、を用いて観察画像を生成するように構成された観察画像生成部をさらに有する
ことを特徴とする請求項8に記載の内視鏡システム。
【請求項10】
前記照明光設定部は、前記複数の波長帯域の光の中から選択した紫色光、緑色光及び赤色光を前記第1の照明光として設定し、
前記画像解析部は、前記第1の画像を解析することにより、前記第1の画像に含まれる粘膜の萎縮度に係る評価結果を前記解析結果として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項11】
前記照明光設定部は、前記第1の画像に含まれる粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかであるとの第1の評価結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した前記紫色光、前記緑色光及び琥珀色光を前記第2の照明光として設定し、前記第1の画像に含まれる粘膜の萎縮度が高度であるとの第2の評価結果が得られた場合に、前記複数の波長帯域の光の中から選択した青色光、前記緑色光及び前記琥珀色光を前記第2の照明光として設定する
ことを特徴とする請求項10に記載の内視鏡システム。
【請求項12】
前記第1の評価結果が得られた場合に、前記第2の照明光の照射時に前記被写体を撮像して得られた第2の画像に含まれる紫色成分、緑色成分及び琥珀色成分を用いて観察画像を生成し、前記第2の評価結果が得られた場合に、前記第1の画像に含まれる紫色成分及び赤色成分と、前記第2の画像に含まれる青色成分、緑色成分及び琥珀色成分と、を用いて観察画像を生成するように構成された観察画像生成部をさらに有する
ことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡システム。
【請求項13】
前記照明光設定部は、前記画像解析部の処理により得られた最新の解析結果が前記第2の照明光を設定した際に参照した過去の解析結果と異なり、かつ、前記最新の解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上である場合に、前記第2の照明光の設定内容を前記最新の解析結果に応じた設定内容に変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項14】
複数の波長帯域の光を発することができるように構成された光源部と、
被検体内に存在する生体組織を含む被写体を照明するための照明光として、前記複数の波長帯域の光の中から1つ以上の波長帯域の光を選択し、その組み合わせの光の比率を異ならせてなる第1および第2の照明光を設定できるように構成された照明光設定部と、
前記照明光設定部で設定された前記第1及び前記第2の照明光を前記光源部から交互に照射させるために前記光源部を制御するように構成された光源制御部と、
前記照明光が照射された前記被写体からの戻り光を撮像するように構成された撮像部と、
前記第1の照明光が照射された際の前記撮像部によって得られた第1の画像を解析することにより、異常所見の有無に係る解析結果を取得するように構成された画像解析部と、
を備え、
前記照明光設定部は、前記第1の照明光が照射された際に前記撮像部で取得された前記第1の画像に対する前記画像解析部の前記解析結果に基づいて、次に照射される前記第2の照明光に含まれる前記複数の波長帯域の光の光量比を設定する、
ことを特徴とする内視鏡システム。
【請求項15】
前記照明光設定部は、前記第1の照明光に含まれる紫色光の比率を青色光の比率よりも小さくするとともに、前記第1の照明光に含まれる琥珀色光の比率を赤色光の比率よりも小さくするような光量比を第1の光量比として設定し、
前記画像解析部は、前記第1の画像を解析することにより、前記第1の画像に含まれる粘膜の萎縮度に係る評価結果を前記解析結果として取得する
ことを特徴とする請求項14に記載の内視鏡システム。
【請求項16】
前記照明光設定部は、前記第1の画像に含まれる粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかであるとの第1の評価結果が得られた場合に、前記第2の照明光に含まれる前記青色光の比率を前記紫色光の比率よりも小さくするとともに、前記第2の照明光に含まれる前記赤色光の比率を前記琥珀色光の比率よりも小さくするような光量比を第2の光量比として設定し、前記第1の画像に含まれる粘膜の萎縮度が高度であるとの第2の評価結果が得られた場合に、前記第2の光量比を前記第1の光量比と同じ光量比に設定する
ことを特徴とする請求項15に記載の内視鏡システム。
【請求項17】
複数の波長帯域の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせた第1の照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像し、
前記第1の照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像することで得られた第1の画像について、異常所見の有無に係る解析をし、
異常所見の有無に係る解析結果に基づいて、前記第1の照明光とは組み合わせが異なるように前記複数の波長帯域の光を選択的に組み合わせた第2の照明光を
設定する
ことを特徴とする内視鏡システムの
作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡システム及び内視鏡システムの作動方法に関し、特に、生体組織の観察に用いられる内視鏡システム及び内視鏡システムの作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療分野の内視鏡観察においては、被検体内に存在する発赤等の異常所見を含む被写体に対し、特定の波長の照明光を照射して観察を行うような技術が従来知られている。
【0003】
具体的には、例えば、日本国特許6247610号公報には、内視鏡システムにおいて、高画質モードに設定されている場合に、青色制限光及び赤色光が照射されている病変可能性部位を撮像して得られた画像信号と、紫色光及び緑色光が照射されている当該病変可能性部位を撮像して得られた画像信号と、を用いて表示用の画像を生成するような構成が開示されている。
【0004】
しかし、日本国特許6247610号公報に開示された構成によれば、高画質モード時に病変可能性部位に対して照射される光の種類が固定されていることに起因し、当該病変可能性部位の観察に適さない画像が表示されてしまうおそれがある、という問題点が生じている。
【0005】
そのため、日本国特許6247610号公報に開示された構成によれば、異常所見の診断に係る作業を行う術者に対して過度な負担を強いてしまう場合がある、という前述の問題点に応じた課題が生じている。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、異常所見の診断に係る作業を行う術者の負担を軽減可能な内視鏡システム及び内視鏡システムの作動方法を提供することを目的としている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の内視鏡システムは、複数の波長帯域の光を発することができるように構成された光源部と、被検体内に存在する生体組織を含む被写体を照明するための照明光として、前記複数の波長帯域の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせた第1の照明光と、前記複数の波長帯域の光の中から選択した前記第1の照明光とは異なる1つ以上の波長帯域の光を組み合わせた第2の照明光を設定できるように構成された照明光設定部と、前記照明光設定部で設定された前記第1及び前記第2の照明光を前記光源部から交互に照射させるために前記光源部を制御するように構成された光源制御部と、前記照明光が照射された前記被写体からの戻り光を撮像するように構成された撮像部と、前記第1の照明光が照射された際の前記撮像部によって得られた第1の画像を解析することにより、異常所見の有無に係る解析結果を取得するように構成された画像解析部と、を備え、前記照明光設定部は、前記第1の照明光が照射された際に前記撮像部で取得された前記第1の画像に対する前記画像解析部の前記解析結果に基づいて、次に照射する前記第2の照明光に含まれる波長帯域の光の組み合わせを設定する。
【0008】
本発明の一態様の内視鏡システムは、複数の波長帯域の光を発することができるように構成された光源部と、被検体内に存在する生体組織を含む被写体を照明するための照明光として、前記複数の波長帯域の光の中から1つ以上の波長帯域の光を選択し、その組み合わせの光の比率を異ならせてなる第1および第2の照明光を設定できるように構成された照明光設定部と、前記照明光設定部で設定された前記第1及び前記第2の照明光を前記光源部から交互に照射させるために前記光源部を制御するように構成された光源制御部と、前記照明光が照射された前記被写体からの戻り光を撮像するように構成された撮像部と、前記第1の照明光が照射された際の前記撮像部によって得られた第1の画像を解析することにより、異常所見の有無に係る解析結果を取得するように構成された画像解析部と、を備え、前記照明光設定部は、前記第1の照明光が照射された際に前記撮像部で取得された前記第1の画像に対する前記画像解析部の前記解析結果に基づいて、次に照射される前記第2の照明光に含まれる前記複数の波長帯域の光の光量比を設定する。
本発明の一態様の内視鏡システムの作動方法は、複数の波長帯域の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせた第1の照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像し、前記第1の照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像することで得られた第1の画像について、異常所見の有無に係る解析をし、異常所見の有無に係る解析結果に基づいて、前記第1の照明光とは組み合わせが異なるように前記複数の波長帯域の光を選択的に組み合わせた第2の照明光を設定する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図。
【
図2】実施形態に係る内視鏡システムの光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長帯域の一例を示す図。
【
図3】実施形態に係る内視鏡システムのプロセッサに設けられた制御部の構成の一例を説明するための図。
【
図4】実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる動作の概要を示すフローチャート。
【
図5】第1の実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる解析処理の具体例を説明するためのフローチャート。
【
図6】第2の実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる解析処理の具体例を説明するためのフローチャート。
【
図7】第3の実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる解析処理の具体例を説明するためのフローチャート。
【
図8】第3の実施形態の変形例に係る内視鏡システムの光源装置から発せられる照明光の一例を示す図。
【
図9】第3の実施形態の変形例に係る内視鏡システムの光源装置から発せられる照明光の一例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明を行う。
【0011】
(第1の実施形態)
図1から
図5は、本発明の第1の実施形態に係るものである。
【0012】
内視鏡システム1は、
図1に示すように、被検体内に挿入可能であるとともに、当該被検体内に存在する生体組織等の被写体を撮像して撮像信号を出力するように構成された内視鏡2と、内視鏡2の内部に挿通配置されたライトガイド7を介して当該被写体の観察に用いられる照明光を供給するように構成された光源装置3と、内視鏡2から出力される撮像信号に応じた観察画像等を生成して出力するように構成されたプロセッサ4と、プロセッサ4から出力される観察画像を画面上に表示するように構成された表示装置5と、を有している。
図1は、実施形態に係る内視鏡システムの要部の構成を示す図である。
【0013】
内視鏡2は、被検体内に挿入可能な細長形状に形成された挿入部2aと、挿入部2aの基端側に設けられた操作部2bと、を有している。また、内視鏡2は、例えば、撮像部21(後述)から出力される撮像信号等の種々の信号の伝送に用いられる信号線が内蔵されたユニバーサルケーブル(不図示)を介し、プロセッサ4に着脱可能に接続されるように構成されている。また、内視鏡2は、ライトガイド7の少なくとも一部が内蔵されたライトガイドケーブル(不図示)を介し、光源装置3に着脱可能に接続されるように構成されている。
【0014】
挿入部2aの先端部2cには、被検体内に存在する生体組織を含む被写体を撮像するための撮像部21と、ライトガイド7の出射端部と、ライトガイド7により伝送された照明光を被写体へ照射する照明光学系22と、が設けられている。
【0015】
撮像部21は、照明光学系22からの照明光が照射された被写体からの戻り光を撮像して撮像信号を出力するように構成されている。具体的には、撮像部21は、照明光学系22からの照明光が照射された被写体から発せられる戻り光を結像するように構成された対物光学系21aと、対物光学系21aにより結像された戻り光を撮像することにより撮像信号を生成し、当該生成した撮像信号をプロセッサ4へ出力するように構成された撮像素子21bと、を有している。
【0016】
撮像素子21bは、例えば、CCDまたはCMOSのようなイメージセンサを具備して構成されている。また、撮像素子21bの撮像面には、対物光学系21aから入射した戻り光を赤色、緑色及び青色の3色に分光するための原色ベイヤー配列のカラーフィルタと、当該カラーフィルタを通過した光を撮像するためにマトリクス状に配設された複数の画素と、が設けられている。また、撮像素子21bは、プロセッサ4から出力される制御信号に応じた動作を行うように構成されている。
【0017】
操作部2bは、ユーザが把持して操作することが可能な形状を具備して構成されている。また、操作部2bには、ユーザの入力操作に応じた指示をプロセッサ4に対して行うことが可能な1つ以上のスイッチを具備して構成されたスコープスイッチ23が設けられている。
【0018】
操作部2bの内部には、内視鏡2の機種等のような内視鏡2に固有の情報を含む内視鏡情報が格納されたスコープメモリ24が設けられている。なお、スコープメモリ24に格納された内視鏡情報は、内視鏡2とプロセッサ4とが電気的に接続され、かつ、プロセッサ4の電源がオンされた際に、プロセッサ4の制御部44(後述)により読み出される。
【0019】
光源装置3は、光源部としての機能を有し、互いに異なる複数の波長帯域の光を発生することができるとともに、被検体内に存在する生体組織を含む被写体を照明するための照明光として、照明光EL1及び照明光EL2(いずれも後述)を交互に発生することができるように構成されている。また、光源装置3は、発光部31と、合波器32と、集光レンズ33と、光源制御部34と、を有して構成されている。
【0020】
発光部31は、紫色LED31aと、青色LED31bと、緑色LED31cと、琥珀色LED31dと、赤色LED31eと、を有して構成されている。また、発光部31の各LEDは、光源制御部34の制御に応じて個別に発光または消光するように構成されている。また、発光部31の各LEDは、光源制御部34の制御に応じた発光光量で発光するように構成されている。
【0021】
紫色LED31aは、紫色域に中心波長を有する紫色光(以降、V光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、紫色LED31aは、例えば、
図2に示すような、中心波長が400nm~420nmのうちのいずれかの波長に設定された光をV光として発生するよう構成されている。なお、紫色LED31aの発光光量は、V光の波長帯域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
図2は、実施形態に係る内視鏡システムの光源装置に設けられた各LEDから発せられる光の波長帯域の一例を示す図である。
【0022】
青色LED31bは、V光よりも長波長側の青色域に中心波長を有する青色光(以降、B光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、青色LED31bは、例えば、
図2に示すような、中心波長が440nm~470nmのうちのいずれかの波長に設定された光をB光として発生するよう構成されている。なお、青色LED31bの発光光量は、B光の波長帯域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0023】
緑色LED31cは、B光よりも長波長側の緑色域に中心波長を有する緑色光(以降、G光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、緑色LED31cは、例えば、
図2に示すような、中心波長が510nm~580nmのうちのいずれかの波長に設定された光をG光として発生するよう構成されている。なお、緑色LED31cの発光光量は、G光の波長帯域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0024】
琥珀色LED31dは、G光よりも長波長側の琥珀色域に中心波長を有する琥珀色光(以降、A光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、琥珀色LED31dは、例えば、
図2に示すような、中心波長が590nm~610nmのうちのいずれかの波長に設定された光をA光として発生するよう構成されている。なお、琥珀色LED31dの発光光量は、A光の波長帯域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0025】
赤色LED31eは、A光よりも長波長側の赤色域に中心波長を有する赤色光(以降、R光と称する)を発生するように構成されている。具体的には、赤色LED31eは、例えば、
図2に示すような、中心波長が620nm~660nmのうちのいずれかの波長に設定された光をR光として発生するよう構成されている。なお、赤色LED31eの発光光量は、R光の波長帯域に含まれる各波長の光の強度を積算して得られる総光量として規定される。
【0026】
合波器32は、発光部31から発せられた各光を合波して集光レンズ33に入射させることができるように構成されている。
【0027】
集光レンズ33は、合波器32を経て入射した光を集光してライトガイド7の入射端部へ出射するように構成されている。
【0028】
光源制御部34は、例えば、制御回路等を具備して構成されている。また、光源制御部34は、プロセッサ4から出力される制御信号に応じて発光部31の各LEDを駆動させるように構成されている。
【0029】
プロセッサ4は、信号処理部41と、画像処理部42と、観察画像生成部43と、制御部44と、を有して構成されている。
【0030】
信号処理部41は、例えば、信号処理回路等を具備して構成されている。また、信号処理部41は、内視鏡2から出力される撮像信号に対してA/D変換等の所定の信号処理を施すことにより画像データを生成し、当該生成した画像データを1フレームずつ画像処理部42及び制御部44へそれぞれ出力するように構成されている。
【0031】
画像処理部42は、例えば、画像処理回路等を具備して構成されている。また、画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データと、制御部44から出力される制御信号と、に基づき、被写体に対して照射された照明光の戻り光に含まれるV光に対応する紫色成分の画像データIDVと、当該戻り光に含まれるB光に対応する青色成分の画像データIDBと、当該戻り光に含まれるG光に対応する緑色成分の画像データIDGと、当該戻り光に含まれるA光に対応する琥珀色成分の画像データIDAと、当該戻り光に含まれるR光に対応する赤色成分の画像データIDRと、をそれぞれ生成するための処理を行うように構成されている。また、画像処理部42は、前述のように生成した各色成分の画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力するように構成されている。
【0032】
観察画像生成部43は、例えば、画像生成回路等を具備して構成されている。また、観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、画像処理部42から出力される画像データを用いて観察画像を生成し、当該生成した観察画像を1フレームずつ表示装置5へ出力するように構成されている。
【0033】
制御部44は、例えば、制御回路等を具備して構成されている。また、制御部44は、スコープスイッチ23からの指示に応じた動作を行わせるための制御信号を生成して出力するように構成されている。また、制御部44は、撮像素子21bの動作を制御するための制御信号を生成して出力するように構成されている。また、制御部44は、内視鏡2とプロセッサ4とが電気的に接続され、かつ、プロセッサ4の電源がオンされた際に、スコープメモリ24に格納された内視鏡情報を読み込むように構成されている。
【0034】
制御部44は、照明光EL1及び照明光EL2を交互に発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力するように構成されている。また、制御部44は、照明光EL1及びEL2に応じた動作を行わせるための制御信号を生成して画像処理部42及び観察画像生成部43へそれぞれ出力するように構成されている。また、制御部44は、例えば、
図3に示すように、画像解析部44aと、照明光設定部44bと、制御信号生成部44cと、を有して構成されている。
図3は、実施形態に係る内視鏡システムのプロセッサに設けられた制御部の構成の一例を説明するための図である。
【0035】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射に応じて信号処理部41から出力される画像データに対して解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報を照明光設定部44bへ出力するように構成されている。なお、画像解析部44aにおいて行われる動作の具体例については、後程説明する。
【0036】
照明光設定部44bは、発光部31の各LEDから発せられる5色の光(V光、B光、G光、A光及びR光)の中から選択した所定の1つ以上の色の光を照明光EL1として設定するように構成されている。また、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報に基づき、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から1つ以上の色の光を選択するとともに、当該選択した1つ以上の色の光を照明光EL2として設定するように構成されている。また、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される最新の解析結果情報により示される解析結果と、図示しないメモリ等に格納された過去の解析結果情報により示される解析結果と、を比較するための処理を行うことができるように構成されている。また、照明光設定部44bは、照明光EL1の設定内容を示す照明光設定情報と、照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報と、を交互に制御信号生成部44cへ出力するように構成されている。なお、照明光設定部44bにおいて行われる動作の具体例については、後程説明する。
【0037】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報に基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号と、後述の照明光EL2を発生させるための制御信号と、を交互に生成して光源制御部34へ出力するように構成されている。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報に基づき、照明光EL1及びEL2に応じた動作を行わせるための制御信号を生成して画像処理部42及び観察画像生成部43へそれぞれ出力するように構成されている。なお、制御信号生成部44cにおいて行われる動作の具体例については、後程説明する。
【0038】
本実施形態においては、制御信号生成部44cが、照明光EL1及びEL2を交互に発生させる際の切替速度を、表示装置5に観察画像を表示する際のフレームレートの設定値の2倍に設定するための制御信号を生成して光源制御部34、画像処理部42及び観察画像生成部43へそれぞれ出力するようにすればよい。具体的には、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報に基づき、例えば、照明光EL1及びEL2を1/60秒毎に切り替えつつ発生させるような制御信号を生成して光源制御部34へ出力するとともに、観察画像を30fpsで表示装置5へ出力させるような制御信号を生成して画像処理部42及び観察画像生成部43へ出力するようにすればよい。
【0039】
なお、本実施形態においては、例えば、プロセッサ4の各部が、個々の電子回路として構成されていてもよく、または、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路における回路ブロックとして構成されていてもよい。また、本実施形態においては、例えば、プロセッサ4が1つ以上のCPUを具備して構成されていてもよい。また、本実施形態に係る構成を適宜変形することにより、例えば、プロセッサ4が、信号処理部41、画像処理部42、観察画像生成部43及び制御部44の機能を実行させるためのプログラムをメモリ等の記憶媒体(不図示)から読み込むとともに、当該読み込んだプログラムに応じた動作を行うようにしてもよい。
【0040】
表示装置5は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)等を具備し、プロセッサ4から出力される観察画像等を表示することができるように構成されている。
【0041】
続いて、本実施形態の作用について、
図4及び
図5を参照しつつ説明する。
図4は、実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる動作の概要を示すフローチャートである。
図5は、第1の実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる解析処理の具体例を説明するためのフローチャートである。
【0042】
照明光設定部44bは、例えば、ユーザのスコープスイッチ23の操作に応じ、内視鏡2による観察を開始させる旨の指示が行われた際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したG光及びR光を照明光EL1として設定するとともに、当該照明光EL1の設定内容を示す照明光設定情報ESAを制御信号生成部44cへ出力する。なお、本実施形態においては、照明光設定部44bが、B光、G光及びR光を照明光EL1として設定するようにしてもよい。
【0043】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESAに基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESAに基づき、照明光EL1の戻り光に応じた各色成分の画像データの生成を停止させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESAに基づき、照明光EL1の照射期間において観察画像の生成を停止させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する。
【0044】
そして、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、G光及びR光を含む照明光EL1が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID1が信号処理部41から出力される。
【0045】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に取得された画像に相当する画像データID1に対して解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報ARAを照明光設定部44bへ出力する(
図4のステップS1)。
【0046】
ここで、本実施形態の画像解析部44aにより行われる解析処理の具体例について、
図5を参照しつつ以下に説明する。
【0047】
画像解析部44aは、信号処理部41から出力される画像データID1を複数の領域に分割するための処理を行う(
図5のステップS11)。そして、このような処理によれば、例えば、信号処理部41から出力される画像データID1がn(n≧2)個の領域Hi(1≦i≦n)に分割される。
【0048】
画像解析部44aは、
図5のステップS11の処理を経て得られた複数の領域Hi各々の平均色調を検出するための処理を行う(
図5のステップS12)。
【0049】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、1つの領域Hiに含まれる全画素の中からハレーションが発生している画素を除いたs個の画素各々において下記数式(1)の演算を行うことにより演算値CVAを算出するとともに、当該s個の画素各々において算出した演算値CVAの平均値AVAを当該1つの領域Hiの平均色調を示す値として検出するような処理を行う。そして、画像解析部44aは、前述の処理をn回繰り返して行うことにより得られた複数の領域Hi各々における平均値AVAの算出結果を、当該複数の領域Hi各々の平均色調の検出結果として取得する。
【0050】
CVA=32×log
2(Rp/Gp) …(1)
画像解析部44aは、
図5のステップS12の処理を経て得られた複数の領域Hi各々の平均色調の検出結果に基づき、当該複数の領域Hi各々の色調を判定するための処理を行う(
図5のステップS13)。
【0051】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、1つの領域Hiにおいて算出された平均値AVAが閾値THA未満である場合に、当該1つの領域Hiの色調が低彩度の赤色調であるとの判定結果を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、1つの領域Hiにおいて算出された平均値AVAが閾値THB(>THA)より大きい場合に、当該1つの領域Hiの色調が高彩度の赤色調であるとの判定結果を取得する。また、また、画像解析部44aは、例えば、1つの領域Hiにおいて算出された平均値AVAが閾値THA以上かつ閾値THB以下の範囲内に属している場合に、当該1つの領域Hiの色調が中彩度の赤色調であるとの判定結果を取得する。
【0052】
画像解析部44aは、
図5のステップS13の処理を経て得られた複数の領域Hi各々の色調の判定結果に基づき、
図5のステップS11の処理対象となった画像データID1の色調を評価するための処理を行う(
図5のステップS14)。
【0053】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、画像データID1を分割して得られたn個の領域Hiのうち、低彩度の赤色調と判定された領域Hiの個数がn/2個より多い(過半数を占める)場合に、当該画像データID1の色調が退色した粘膜の色調に相当するとの評価結果を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、画像データID1を分割して得られたn個の領域Hiのうち、高彩度の赤色調と判定された領域Hiの個数がn/2個より多い(過半数を占める)場合に、当該画像データID1の色調が発赤した粘膜の色調に相当するとの評価結果を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、画像データID1を分割して得られたn個の領域Hiのうち、中彩度の赤色調と判定された領域Hiの個数がn/2個より多い(過半数を占める)場合に、当該画像データID1の色調が通常の粘膜の色調に相当するとの評価結果を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、画像データID1を分割して得られたn個の領域Hiにおいて、低彩度の赤色調と判定された領域Hiの個数、高彩度の赤色調と判定された領域Hiの個数、及び、中彩度の赤色調と判定された領域Hiの個数がいずれもn/2個以下である(過半数に満たない)場合に、当該画像データID1の色調が通常の粘膜の色調に相当するとの評価結果を取得する。
【0054】
すなわち、本実施形態の画像解析部44aは、信号処理部41から出力される画像データID1に対して
図5のフローチャートに示したような解析処理を施し、当該画像データID1の色調に係る評価結果を当該解析処理の解析結果として取得するとともに、当該取得した解析結果を示す解析結果情報ARAを照明光設定部44bへ出力する。また、本実施形態の画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に生体組織を含む被写体を撮像して得られた画像データID1を解析することにより、当該画像データID1の色調が異常所見に相当する色調または正常所見に相当する色調のいずれに属するかに係る評価結果を、当該画像データID1における異常所見の有無に係る解析結果として取得する。
【0055】
照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARAに基づき、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択した1つ以上の色の光を照明光EL2として設定する(
図4のステップS2)とともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力する。
【0056】
具体的には、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARAに基づき、例えば、画像データID1の色調が退色した粘膜の色調に相当することを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したV光、G光及びR光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力する。また、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARAに基づき、例えば、画像データID1の色調が発赤した粘膜の色調に相当することを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したB光、G光及びA光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力する。また、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARAに基づき、例えば、画像データID1の色調が通常の粘膜の色調に相当することを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したB光、G光及びR光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力する。
【0057】
すなわち、本実施形態の照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARAにより示される解析結果に応じて異なる波長帯域を有するように、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせて照明光EL2として設定する。
【0058】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESBに基づき、照明光EL2を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する(
図4のステップS3)。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESBに基づき、照明光EL2の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する(
図4のステップS3)。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESBに基づき、照明光EL2の照射時に画像処理部42から出力される各色成分の画像データを用いて観察画像を生成させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する(
図4のステップS3)。
【0059】
そして、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID1の色調が退色した粘膜の色調に相当する場合に、V光、G光及びR光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID2が信号処理部41から出力される。また、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID1の色調が発赤した粘膜の色調に相当する場合に、B光、G光及びA光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID2が信号処理部41から出力される。また、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID1の色調が通常の粘膜の色調に相当する場合に、B光、G光及びR光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID2が信号処理部41から出力される。
【0060】
画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID2と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID1の色調が退色した粘膜の色調に相当する場合に、当該画像データID2に含まれる紫色成分の画像データIDV2と、当該画像データID2に含まれる緑色成分の画像データIDG2と、当該画像データID2に含まれる赤色成分の画像データIDR2と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。また、画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID2と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID1の色調が発赤した粘膜の色調に相当する場合に、当該画像データID2に含まれる青色成分の画像データIDB2と、当該画像データID2に含まれる緑色成分の画像データIDG2と、当該画像データID2に含まれる琥珀色成分の画像データIDA2と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。また、画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID2と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID1の色調が通常の粘膜の色調に相当する場合に、当該画像データID2に含まれる青色成分の画像データIDB2と、当該画像データID2に含まれる緑色成分の画像データIDG2と、当該画像データID2に含まれる赤色成分の画像データIDR2と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。
【0061】
観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID1の色調が退色した粘膜の色調に相当する場合に、画像データIDV2を表示装置5のB(青色)チャンネルに割り当て、画像データIDG2を表示装置5のG(緑色)チャンネルに割り当てるとともに、画像データIDR2を表示装置5のR(赤色)チャンネルに割り当てることにより観察画像KGAを生成し、当該生成した観察画像KGAを表示装置5へ出力する。また、観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID1の色調が発赤した粘膜の色調に相当する場合に、画像データIDB2を表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像データIDG2を表示装置5のGチャンネルに割り当てるとともに、画像データIDA2を表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより観察画像KGBを生成し、当該生成した観察画像KGBを表示装置5へ出力する。また、観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID1の色調が通常の粘膜の色調に相当する場合に、画像データIDB2を表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像データIDG2を表示装置5のGチャンネルに割り当てるとともに、画像データIDR2を表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより観察画像KGCを生成し、当該生成した観察画像KGCを表示装置5へ出力する。
【0062】
照明光設定部44bは、
図4のステップS2の処理を経て得られた照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力した後、照明光設定情報ESAを制御信号生成部44cへ再度出力する。
【0063】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESAに基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESAに基づき、照明光EL1の戻り光に応じた各色成分の画像の生成を停止させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESAに基づき、照明光EL1の照射期間において観察画像の生成を停止させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する。
【0064】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に取得された画像に相当する画像データID1に対して
図4のステップS1と同様の方法による解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報ARBを照明光設定部44bへ出力する(
図4のステップS4)。
【0065】
照明光設定部44bは、
図4のステップS4の処理を経て得られた解析結果情報ARBに相当する最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果が、現在の照明光EL2を設定した際に参照した解析結果情報ARAまたはARBに相当する過去の解析結果情報ARBPにより示される解析結果と同じであるか否かを判定するための処理を行う(
図4のステップS5)。
【0066】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果が、過去の解析結果情報ARBPにより示される解析結果と同じであるとの判定結果を取得した場合(S5:YES)に、後述の
図4のステップS6の処理を続けて行う。また、照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果が、過去の解析結果情報ARBPにより示される解析結果とは異なるとの判定結果を取得した場合(S5:NO)に、後述の
図4のステップS7の処理を続けて行う。
【0067】
照明光設定部44bは、照明光EL2の現在の設定内容を維持するために、当該現在の設定内容と同じ設定内容を示す照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力する(
図4のステップS6)。
【0068】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上であるか否かを判定するための処理を行う(
図4のステップS7)。
【0069】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数未満であるとの判定結果を取得した場合(S7:NO)に、前述の
図4のステップS6の処理を続けて行う。また、照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上であるとの判定結果を取得した場合(S7:YES)に、照明光EL2の設定内容を当該最新の解析結果情報ARBNにより示される解析結果に応じた設定内容に変更するとともに、変更後の照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESBを制御信号生成部44cへ出力する(
図4のステップS8)。
【0070】
制御信号生成部44cは、
図4のステップS6またはステップS8のいずれかの処理を経て得られた照明光設定情報ESBに基づき、当該照明光設定情報ESBに応じた照明光EL2を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する(
図4のステップS9)。また、
図4のステップS6またはステップS8のいずれかの処理を経て得られた照明光設定情報ESBに基づき、当該照明光設定情報ESBに応じた(観察画像の生成に係る)動作を行わせるための制御信号を生成して画像処理部42及び観察画像生成部43へそれぞれ出力する(
図4のステップS9)。
【0071】
本実施形態によれば、例えば、ユーザのスコープスイッチ23の操作に応じ、内視鏡2による観察を終了させる旨の指示が行われるまでの間、
図4のステップS4~ステップS9の処理が繰り返し行われる。また、本実施形態によれば、所定のスペクトルに設定された照明光EL1を被写体に照射した際に得られた画像データID1の色調に応じて照明光EL2のスペクトルが設定されるとともに、当該照明光EL2に応じた観察画像が表示装置5に表示される。また、本実施形態によれば、例えば、萎縮が生じている粘膜に相当する異常所見領域ABFが画像データID1に含まれている場合に、粘膜の表面で強く散乱されるV光の戻り光に応じた画像データIDV2を用いて生成された観察画像KGAが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABFの視認性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、例えば、びまん性発赤が生じている粘膜に相当する異常所見領域ABRが画像データID1に含まれている場合に、ヘモグロビンに対する吸光係数がR光よりも高いA光の戻り光に応じた画像データIDA2を用いて生成された観察画像KGBが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABRの視認性を向上させることができる。従って、本実施形態によれば、異常所見の診断に係る作業を行う術者の負担を軽減することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るものである。
【0073】
なお、本実施形態においては、制御部44の動作の概要が
図4のフローチャートと同じである一方で、制御部44の動作の詳細が第1の実施形態とは一部異なっている。そのため、以下においては、制御部44の動作の概要を
図4のフローチャートを援用しながら説明するとともに、制御部44の動作の詳細のうちの第1の実施形態とは異なる部分を重点的に説明するものとする。
【0074】
照明光設定部44bは、例えば、ユーザのスコープスイッチ23の操作に応じ、内視鏡2による観察を開始させる旨の指示が行われた際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したV光、G光及びR光を照明光EL1として設定するとともに、当該照明光EL1の設定内容を示す照明光設定情報ESCを制御信号生成部44cへ出力する。
【0075】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESCに基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESCに基づき、照明光EL1の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESCに基づき、照明光EL1の照射期間において、観察画像の生成を停止させるとともに、画像処理部42から出力される各色成分の画像データを保持させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する。
【0076】
そして、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、V光、G光及びR光を含む照明光EL1が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID3が信号処理部41から出力される。
【0077】
画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID3と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、照明光EL1の照射期間において、当該画像データID3に含まれる紫色成分の画像データIDV3と、当該画像データID3に含まれる緑色成分の画像データIDG3と、当該画像データID3に含まれる赤色成分の画像データIDR3と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。
【0078】
観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、照明光EL1の照射期間において、画像処理部42から出力される各色成分の画像データ(画像データIDV3、画像データIDG3及び画像データIDR3)を保持する。
【0079】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に取得された画像に相当する画像データID3に対して解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報ARCを照明光設定部44bへ出力する(
図4のステップS1)。
【0080】
ここで、本実施形態の画像解析部44aにより行われる解析処理の具体例について、
図6を参照しつつ以下に説明する。
図6は、第2の実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる解析処理の具体例を説明するためのフローチャートである。
【0081】
画像解析部44aは、信号処理部41から出力される画像データID3に含まれる各画素のRGBの画素値をL*a*b*色空間の座標値に変換するための処理を行う(
図6のステップS21)。
【0082】
画像解析部44aは、
図6のステップS21の処理を経て得られた各座標値に基づき、画像データID3に含まれる各画素の中から所定の条件を満たす画素を抽出するための処理を行う(
図6のステップS22)。
【0083】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、画像データID3に含まれる各画素の中から、当該画像データID3に含まれる各画素のa*値の平均値よりも小さなa*値を有し、かつ、当該画像データID3に含まれる各画素のb*値の平均値よりも大きなb*値を有する画素を抽出するための処理を行う。
【0084】
または、画像解析部44aは、例えば、画像データID3に含まれる各画素における座標値(a*,b*)を極座標形式の座標値(r,θ)で表すとともに、当該画像データID3に含まれる各画素のa*値の平均値及びb*値の平均値に基づいて得られる極座標形式の座標値を(rt,θt)で表した場合に、動径rt以上のr値を有し、かつ、角度θt以上90度以下のθ値を有する画素を抽出するための処理を行う。
【0085】
画像解析部44aは、
図6のステップS22の処理により抽出した各抽出画素の隣接状態の指標を示す値に相当する、当該各抽出画素の隣接度ADを取得するための処理を行う(
図6のステップS23)。
【0086】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、各抽出画素の中から選択した1つの注目画素の8近傍に1つ以上の抽出画素が存在する場合に、当該一の抽出画素に対応するカウント値として1を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、各抽出画素の中から選択した1つの注目画素の8近傍に他の抽出画素が存在しない場合に、当該一の抽出画素に対応するカウント値として0を取得する。そして、画像解析部44aは、各注目画素において取得したカウント値の合計を隣接度ADとして取得する。
【0087】
画像解析部44aは、
図6のステップS23の処理を経て得られた隣接度ADに基づき、
図6のステップS21の処理対象となった画像データID3における異常所見領域の有無を判定するための処理を行う(
図6のステップS24)。
【0088】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、隣接度ADが閾値THC以上である場合に、画像データID3に異常所見領域が含まれているとの判定結果を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、隣接度ADが閾値THC未満である場合に、画像データID3に異常所見領域が含まれていないとの判定結果を取得する。
【0089】
すなわち、本実施形態の画像解析部44aは、信号処理部41から出力される画像データID3に対して
図6のフローチャートに示したような解析処理を施し、当該画像データID3における異常所見領域の有無に係る判定結果を当該解析処理の解析結果として取得するとともに、当該取得した解析結果を示す解析結果情報ARCを照明光設定部44bへ出力する。また、本実施形態の画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に生体組織を含む被写体を撮像して得られた画像データID3を解析することにより、当該画像データID3に所定の色調(黄色調)を有する異常所見領域が含まれているか否かに係る判定結果を、当該画像データID3における異常所見の有無に係る解析結果として取得する。
【0090】
なお、本実施形態の画像解析部44aは、
図6のステップS23及びステップS24の処理を行う代わりに、以下に述べるような処理を行うことにより、画像データID3における異常所見領域の有無に係る判定結果を取得するものであってもよい。
【0091】
画像解析部44aは、各抽出画素の中から選択した1つの注目画素と、当該1つの注目画素の8近傍の画素と、を連結することにより連結領域を生成する。さらに、画像解析部44aは、互いに接触または重複する複数の連結領域に対して同じラベルを付与することにより、当該複数の連結領域を1つのラベル領域として統合する。そして、画像解析部44aは、所定の画素数以上の画素数を有するラベル領域の個数が所定の個数以上である場合に、画像データID3に異常所見領域が含まれているとの判定結果を取得する。また、画像解析部44aは、所定の画素数以上の画素数を有するラベル領域の個数が所定の個数未満である場合に、画像データID3に異常所見領域が含まれていないとの判定結果を取得する。
【0092】
照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARCに基づき、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択した1つ以上の色の光を照明光EL2として設定する(
図4のステップS2)とともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力する。
【0093】
具体的には、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARCに基づき、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれていることを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したV光及びA光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力する。また、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARCに基づき、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれていないことを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したB光及びA光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力する。
【0094】
すなわち、本実施形態の照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARCにより示される解析結果に応じて異なる波長帯域を有するように、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせて照明光EL2として設定する。
【0095】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESDに基づき、照明光EL2を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する(
図4のステップS3)。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESDに基づき、照明光EL2の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する(
図4のステップS3)。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESDに基づき、照明光EL1の照射時に画像処理部42から出力された各色成分の画像データのうちの1つ以上の色成分の画像データと、照明光EL2の照射時に画像処理部42から出力される各色成分の画像データのうちの1つ以上の色成分の画像データと、を用いて観察画像を生成させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する(
図4のステップS3)。
【0096】
そして、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれている場合に、V光及びA光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID4が信号処理部41から出力される。また、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれていない場合に、B光及びA光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID2が信号処理部41から出力される。
【0097】
画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID4と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれている場合に、当該画像データID4に含まれる紫色成分の画像データIDV4と、当該画像データID4に含まれる琥珀色成分の画像データIDA4と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。また、画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID4と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれていない場合に、当該画像データID4に含まれる青色成分の画像データIDB4と、当該画像データID4に含まれる琥珀色成分の画像データIDA4と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。
【0098】
観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれている場合に、互いに位置合わせされた画像データIDV3及びIDV4を画素毎に加算して得られる画像データを表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像データIDG3を表示装置5のGチャンネルに割り当てるとともに、画像データIDA4を表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより観察画像KGDを生成し、当該生成した観察画像KGDを表示装置5へ出力する。また、観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID3に異常所見領域が含まれていない場合に、互いに位置合わせされた画像データIDV3及びIDB4を画素毎に加算して得られる画像データを表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像データIDG3を表示装置5のGチャンネルに割り当てるとともに、互いに位置合わせされた画像データIDR3及びIDA4を画素毎に加算して得られる画像データを表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより観察画像KGEを生成し、当該生成した観察画像KGEを表示装置5へ出力する。
【0099】
照明光設定部44bは、
図4のステップS2の処理を経て得られた照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力した後、照明光設定情報ESCを制御信号生成部44cへ再度出力する。
【0100】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESCに基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESCに基づき、照明光EL1の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESCに基づき、照明光EL1の照射期間において、観察画像の生成を停止させるとともに、画像処理部42から出力される各色成分の画像データを保持させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する。
【0101】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に取得された画像に相当する画像データID3に対して
図4のステップS1と同様の方法による解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報ARDを照明光設定部44bへ出力する(
図4のステップS4)。
【0102】
照明光設定部44bは、
図4のステップS4の処理を経て得られた解析結果情報ARDに相当する最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果が、現在の照明光EL2を設定した際に参照した解析結果情報ARCまたはARDに相当する過去の解析結果情報ARDPにより示される解析結果と同じであるか否かを判定するための処理を行う(
図4のステップS5)。
【0103】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果が、過去の解析結果情報ARDPにより示される解析結果と同じであるとの判定結果を取得した場合(S5:YES)に、後述の
図4のステップS6の処理を続けて行う。また、照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果が、過去の解析結果情報ARDPにより示される解析結果とは異なるとの判定結果を取得した場合(S5:NO)に、後述の
図4のステップS7の処理を続けて行う。
【0104】
照明光設定部44bは、照明光EL2の現在の設定内容を維持するために、当該現在の設定内容と同じ設定内容を示す照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力する(
図4のステップS6)。
【0105】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上であるか否かを判定するための処理を行う(
図4のステップS7)。
【0106】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数未満であるとの判定結果を取得した場合(S7:NO)に、前述の
図4のステップS6の処理を続けて行う。また、照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上であるとの判定結果を取得した場合(S7:YES)に、照明光EL2の設定内容を当該最新の解析結果情報ARDNにより示される解析結果に応じた設定内容に変更するとともに、変更後の照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力する(
図4のステップS8)。
【0107】
制御信号生成部44cは、
図4のステップS6またはステップS8のいずれかの処理を経て得られた照明光設定情報ESDに基づき、当該照明光設定情報ESDに応じた照明光EL2を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する(
図4のステップS9)。また、
図4のステップS6またはステップS8のいずれかの処理を経て得られた照明光設定情報ESDに基づき、当該照明光設定情報ESDに応じた(観察画像の生成に係る)動作を行わせるための制御信号を生成して画像処理部42及び観察画像生成部43へそれぞれ出力する(
図4のステップS9)。
【0108】
本実施形態によれば、例えば、ユーザのスコープスイッチ23の操作に応じ、内視鏡2による観察を終了させる旨の指示が行われるまでの間、
図4のステップS4~ステップS9の処理が繰り返し行われる。また、本実施形態によれば、所定のスペクトルに設定された照明光EL1を被写体に照射した際に得られた画像データID3における異常所見領域の有無に応じて照明光EL2のスペクトルが設定されるとともに、当該照明光EL2に応じた観察画像が表示装置5に表示される。また、本実施形態によれば、例えば、白色光観察時に発赤領域として可視化されるとともに狭帯域光観察時にBrownish Areaとして可視化される異常所見領域ABBが画像データID3に含まれている場合に、当該異常所見領域ABBが黄色で強調された観察画像KGDが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABBの視認性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、例えば、異常所見領域ABBが画像データID3に含まれている場合に、A光を含む照明光EL2が当該異常所見領域ABBに対して照射されることに伴い、当該異常所見領域ABBにおける粘膜深層の状態を視認可能な観察画像KGDが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABBの表層から深層に至るまでの粘膜の状態の変化を一度に確認することができる。従って、本実施形態によれば、異常所見の診断に係る作業を行う術者の負担を軽減することができる。
【0109】
なお、本実施形態においては、例えば、照明光設定部44bが、画像データID3に異常所見領域が含まれている場合に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したV光を照明光EL2として設定するようにしてもよい。また、このような場合において、例えば、観察画像生成部43が、互いに位置合わせされた画像データIDV3及びIDV4を画素毎に加算して得られる画像データを表示装置5のBチャンネル及びGチャンネルにそれぞれ割り当てるとともに、画像データIDG3を表示装置5のRチャンネルにそれぞれ割り当てることにより観察画像KGFを生成するようにしてもよい。そして、このような構成によれば、異常所見領域ABBが画像データID3に含まれている場合に、当該異常所見領域ABBが前述の画像データの割り当てに応じて茶褐色で強調されるとともに、当該異常所見領域ABBを含む画像全域の明るさが画像データIDV3及びIDV4の加算に応じて向上した観察画像KGFが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABBの視認性を向上させることができる。
【0110】
(第3の実施形態)
図7から
図9は、本発明の第3の実施形態に係るものである。
【0111】
なお、本実施形態においては、制御部44の動作の概要が
図4のフローチャートと同じである一方で、制御部44の動作の詳細が第1の実施形態とは一部異なっている。そのため、以下においては、制御部44の動作の概要を
図4のフローチャートを援用しながら説明するとともに、制御部44の動作の詳細のうちの第1の実施形態及び第2の実施形態のいずれとも異なる部分を重点的に説明するものとする。また、本実施形態においては、例えば、スコープメモリ24に格納された内視鏡情報に基づき、内視鏡2が胃等の上部消化管用の機種に該当することが制御部44により検出されたことを前提として説明を行う。また、本実施形態においては、胃の内部に存在する被写体を撮像及び観察する場合を例に挙げて説明を行う。
【0112】
照明光設定部44bは、例えば、ユーザのスコープスイッチ23の操作に応じ、内視鏡2による観察を開始させる旨の指示が行われた際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したV光、G光及びR光を照明光EL1として設定するとともに、当該照明光EL1の設定内容を示す照明光設定情報ESEを制御信号生成部44cへ出力する。
【0113】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESEに基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESEに基づき、照明光EL1の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESEに基づき、照明光EL1の照射期間において、観察画像の生成を停止させるとともに、画像処理部42から出力される各色成分の画像データを保持させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する。
【0114】
そして、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、V光、G光及びR光を含む照明光EL1が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID5が信号処理部41から出力される。
【0115】
画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID5と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、照明光EL1の照射期間において、当該画像データID5に含まれる紫色成分の画像データIDV5と、当該画像データID5に含まれる緑色成分の画像データIDG5と、当該画像データID5に含まれる赤色成分の画像データIDR5と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。
【0116】
観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、照明光EL1の照射期間において、画像処理部42から出力される各色成分の画像データ(画像データIDV5、画像データIDG5及び画像データIDR5)を保持する。
【0117】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に取得された画像に相当する画像データID5に対して解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報AREを照明光設定部44bへ出力する(
図4のステップS1)。
【0118】
ここで、本実施形態の画像解析部44aにより行われる解析処理の具体例について、
図7を参照しつつ以下に説明する。
図7は、第3の実施形態に係る内視鏡システムにおいて行われる解析処理の具体例を説明するためのフローチャートである。
【0119】
画像解析部44aは、信号処理部41から出力される画像データID5に含まれる各画素のRGBの画素値をL*a*b*色空間の座標値に変換するための処理を行う(
図7のステップS31)。
【0120】
画像解析部44aは、
図7のステップS31の処理を経て得られた各座標値に基づき、画像データID5の各画素のa*値のみを抽出した画像データID5aを生成するとともに、当該生成した画像データID5aに対して所定のバンドパス特性を有する空間フィルタSFAを適用するための処理を行う(
図7のステップS32)。
【0121】
画像解析部44aは、
図7のステップS31の処理を経て得られた各座標値に基づき、画像データID5に含まれる各画素の中から処理対象外の画素を除外するための処理を行う(
図7のステップS33)。
【0122】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、画像データID5に含まれる各画素の中から、
図7のステップS31の処理により得られたL*値が閾値THD以上であり、かつ、
図7のステップS31の処理により得られたa*値の絶対値及びb*値の絶対値がいずれも所定の範囲に属するという条件を満たす画素に相当するハレーションが発生している画素を抽出するとともに、当該抽出した画素を処理対象外の画素として除外する。
【0123】
画像解析部44aは、
図7のステップS32の処理を経て得られた処理結果に相当する画像データID5bに含まれる各画素のうち、
図7のステップS33の処理により処理対象外として除外されなかった画素におけるa*値に基づき、画像データID5における樹枝状血管の有無を判定するための処理を行う(
図7のステップS34)。
【0124】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、0より大きなa*値を有する画素の個数が閾値THE以上である場合に、画像データID5に樹枝状血管が含まれているとの判定結果を取得する。また、画像解析部44aは、例えば、0より大きなa*値を有する画素の個数が閾値THE未満である場合に、画像データID5に樹枝状血管が含まれていないとの判定結果を取得する。
【0125】
画像解析部44aは、
図7のステップS33の処理を経て得られた樹枝状血管の有無に係る判定結果に基づき、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度を評価するための処理を行う(
図7のステップS35)。
【0126】
具体的には、画像解析部44aは、例えば、画像データID5に樹枝状血管が含まれていないとの判定結果が得られた場合に、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかであるとの評価結果を得る。また、画像解析部44aは、例えば、画像データID5に樹枝状血管が含まれているとの判定結果が得られた場合に、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が高度であるとの評価結果を得る。
【0127】
すなわち、本実施形態の画像解析部44aは、信号処理部41から出力される画像データID5に対して
図7のフローチャートに示したような解析処理を施し、当該画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度に係る評価結果を当該解析処理の解析結果として取得するとともに、当該取得した解析結果を示す解析結果情報AREを照明光設定部44bへ出力する。また、本実施形態の画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に生体組織を含む被写体を撮像して得られた画像データID5を解析することにより、当該画像データID5に含まれる粘膜の萎縮度に係る評価結果を、当該画像データID5における異常所見の有無に係る解析結果として取得する。
【0128】
なお、本実施形態の画像解析部44aは、例えば、
図7のステップS34において、
図5のステップS11~ステップS14の処理と同様の処理を行うことにより得られる画像データID5の色調の評価結果と、
図7のステップS33の処理を経て得られた判定結果と、に基づき、当該画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度を評価するような処理を行うものであってもよい。そして、このような場合においては、例えば、画像データID5の色調が退色した粘膜の色調に相当し、かつ、当該画像データID5に樹枝状血管が含まれている場合に、当該画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が高度であるとの評価結果を得ることができる。
【0129】
また、本実施形態の画像解析部44aは、例えば、
図7のステップS34において、電子カルテ等が格納されたデータベースから過去の内視鏡検査の検査情報を読み込むとともに、当該読み込んだ検査情報に含まれる胃炎に関する情報と、
図7のステップS33の処理を経て得られた判定結果と、に基づき、当該画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度を評価するような処理を行うものであってもよい。なお、前述の胃炎に関する情報としては、例えば、胃粘膜の萎縮度を示す情報、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染の有無を示す情報、及び、ピロリ菌の除菌の有無を示す情報等を用いることができる。
【0130】
照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報AREに基づき、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択した1つ以上の色の光を照明光EL2として設定する(
図4のステップS2)とともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESFを制御信号生成部44cへ出力する。
【0131】
具体的には、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報AREに基づき、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかであることを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したV光、G光及びA光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESFを制御信号生成部44cへ出力する。また、照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報ARCに基づき、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が高度であることを検出した際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択したB光、G光及びA光を照明光EL2として設定するとともに、当該照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESDを制御信号生成部44cへ出力する。
【0132】
すなわち、本実施形態の照明光設定部44bは、画像解析部44aから出力される解析結果情報AREにより示される解析結果に応じて異なる波長帯域を有するように、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から選択した1つ以上の波長帯域の光を組み合わせて照明光EL2として設定する。
【0133】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESFに基づき、照明光EL2を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する(
図4のステップS3)。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESFに基づき、照明光EL2の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する(
図4のステップS3)。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESFに基づき、照明光EL2の照射時に画像処理部42から出力される各色成分の画像データを少なくとも用いて観察画像を生成させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する(
図4のステップS3)。
【0134】
そして、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかである場合に、V光、G光及びA光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID6が信号処理部41から出力される。また、以上に述べたような照明光設定部44b及び制御信号生成部44cの動作によれば、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が高度である場合に、B光、G光及びA光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射され、当該被写体からの戻り光を撮像して得られた撮像信号が撮像部21から出力され、当該撮像信号に応じて生成された画像データID6が信号処理部41から出力される。
【0135】
画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID6と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかである場合に、当該画像データID6に含まれる紫色成分の画像データIDV6と、当該画像データID6に含まれる緑色成分の画像データIDG6と、当該画像データID6に含まれる琥珀色成分の画像データIDA6と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。また、画像処理部42は、信号処理部41から出力される画像データID6と、制御信号生成部44cから出力される制御信号と、に基づき、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が高度である場合に、当該画像データID6に含まれる青色成分の画像データIDB6と、当該画像データID6に含まれる緑色成分の画像データIDG6と、当該画像データID6に含まれる琥珀色成分の画像データIDA6と、をそれぞれ生成するとともに、当該生成した各画像データに対して所定の画像処理を施して観察画像生成部43へ出力する。
【0136】
なお、本実施形態においては、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかである場合に、画像処理部42が、画像データIDV6、IDG6及びIDA6のうちの少なくとも1つの画像データに対し、当該胃粘膜の凹凸を明瞭化するための構造強調処理または階調変換処理を施すようにしてもよい。
【0137】
観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかである場合に、画像データIDV6を表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像データIDG6を表示装置5のGチャンネルに割り当てるとともに、画像データIDA6を表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより観察画像KGGを生成し、当該生成した観察画像KGGを表示装置5へ出力する。また、観察画像生成部43は、制御部44から出力される制御信号に基づき、例えば、画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度が高度である場合に、互いに位置合わせされた画像データIDV5及びIDB6を画素毎に加算して得られる画像データを表示装置5のBチャンネルに割り当て、画像データIDG6を表示装置5のGチャンネルに割り当てるとともに、互いに位置合わせされた画像データIDR5及びIDA6を画素毎に加算して得られる画像データを表示装置5のRチャンネルに割り当てることにより観察画像KGHを生成し、当該生成した観察画像KGHを表示装置5へ出力する。
【0138】
照明光設定部44bは、
図4のステップS2の処理を経て得られた照明光設定情報ESFを制御信号生成部44cへ出力した後、照明光設定情報ESEを制御信号生成部44cへ再度出力する。
【0139】
制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESEに基づき、照明光EL1を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESEに基づき、照明光EL1の戻り光に応じた各色成分の画像データを生成させるための制御信号を生成して画像処理部42へ出力する。また、制御信号生成部44cは、照明光設定部44bから出力される照明光設定情報ESEに基づき、照明光EL1の照射期間において、観察画像の生成を停止させるとともに、画像処理部42から出力される各色成分の画像データを保持させるための制御信号を生成して観察画像生成部43へ出力する。
【0140】
画像解析部44aは、照明光EL1の照射時に取得された画像に相当する画像データID5に対して
図4のステップS1と同様の方法による解析処理を施すとともに、当該解析処理により得られた解析結果を示す解析結果情報ARFを照明光設定部44bへ出力する(
図4のステップS4)。
【0141】
照明光設定部44bは、
図4のステップS4の処理を経て得られた解析結果情報ARFに相当する最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果が、現在の照明光EL2を設定した際に参照した解析結果情報AREまたはARFに相当する過去の解析結果情報ARFPにより示される解析結果と同じであるか否かを判定するための処理を行う(
図4のステップS5)。
【0142】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果が、過去の解析結果情報ARFPにより示される解析結果と同じであるとの判定結果を取得した場合(S5:YES)に、後述の
図4のステップS6の処理を続けて行う。また、照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果が、過去の解析結果情報ARFPにより示される解析結果とは異なるとの判定結果を取得した場合(S5:NO)に、後述の
図4のステップS7の処理を続けて行う。
【0143】
照明光設定部44bは、照明光EL2の現在の設定内容を維持するために、当該現在の設定内容と同じ設定内容を示す照明光設定情報ESFを制御信号生成部44cへ出力する(
図4のステップS6)。
【0144】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上であるか否かを判定するための処理を行う(
図4のステップS7)。
【0145】
照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数未満であるとの判定結果を取得した場合(S7:NO)に、前述の
図4のステップS6の処理を続けて行う。また、照明光設定部44bは、最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果と同じ解析結果を連続して取得した回数が所定の回数以上であるとの判定結果を取得した場合(S7:YES)に、照明光EL2の設定内容を当該最新の解析結果情報ARFNにより示される解析結果に応じた設定内容に変更するとともに、変更後の照明光EL2の設定内容を示す照明光設定情報ESFを制御信号生成部44cへ出力する(
図4のステップS8)。
【0146】
制御信号生成部44cは、
図4のステップS6またはステップS8のいずれかの処理を経て得られた照明光設定情報ESFに基づき、当該照明光設定情報ESFに応じた照明光EL2を発生させるための制御信号を生成して光源制御部34へ出力する(
図4のステップS9)。また、
図4のステップS6またはステップS8のいずれかの処理を経て得られた照明光設定情報ESFに基づき、当該照明光設定情報ESFに応じた動作を行わせるための制御信号を生成して画像処理部42及び観察画像生成部43へそれぞれ出力する(
図4のステップS9)。
【0147】
本実施形態によれば、例えば、ユーザのスコープスイッチ23の操作に応じ、内視鏡2による観察を終了させる旨の指示が行われるまでの間、
図4のステップS4~ステップS9の処理が繰り返し行われる。また、本実施形態によれば、所定のスペクトルに設定された照明光EL1を被写体に照射した際に得られた画像データID5に含まれる胃粘膜の萎縮度に応じて照明光EL2のスペクトルが設定されるとともに、当該照明光EL2に応じた観察画像が表示装置5に表示される。また、本実施形態によれば、例えば、軽度または中等度の萎縮が生じている胃粘膜に相当する異常所見領域ABTが画像データID5に含まれている場合に、ヘモグロビンに対する吸光係数がR光よりも高いA光の戻り光に応じた画像データIDA6を用いて生成された観察画像KGGが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABTにおいて高い頻度で発生する胃炎類似型の病変を示す発赤の視認性を向上させることができる。また、本実施形態によれば、例えば、異常所見領域ABTが画像データID5に含まれている場合に、A光の戻り光に応じた画像データIDA6を用いて生成された観察画像KGGが(照明光EL2に応じた観察画像として)表示装置5に表示されるため、当該異常所見領域ABTにおける粘膜深層の組織学的変化を確認することができる。従って、本実施形態によれば、異常所見の診断に係る作業を行う術者の負担を軽減することができる。
【0148】
なお、本実施形態においては、例えば、緑色LED31cの代わりに、緑色域の短波長側に中心波長が設定されたGS光を発生するLED31ga(不図示)と、緑色域の長波長側に中心波長が設定されたGL光を発生するLED31gb(不図示)と、が発光部31に設けられていてもよい。そして、このような構成においては、V光、GS光、GL光及びR光を含む照明光EL1が生体組織を含む被写体に照射されるようにすればよい。また、前述のような構成においては、胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかである場合に、G光の代わりにGL光を含む光が照明光EL2として被写体に照射されるとともに、当該照明光EL2の戻り光に含まれる当該GL光に対応する緑色成分の画像データIDGLを表示装置5のGチャンネルに割り当てた観察画像が表示装置5に表示されるようにすればよい。また、前述のような構成においては、胃粘膜の萎縮度が高度である場合に、G光の代わりにGS光及びGL光を含む照明光EL2が生体組織を含む被写体に照射されるとともに、当該照明光EL2の戻り光に含まれる当該GS光に対応する緑色成分の画像データIDGSと、当該照明光EL2の戻り光に含まれる当該GL光に対応する緑色成分の画像データIDGLと、を表示装置5のGチャンネルに割り当てた観察画像が表示装置5に表示されるようにすればよい。そして、前述のような構成によれば、G光よりも帯域幅が狭くかつ緑色域の長波長側に中心波長が設定されたGL光が生体組織を含む被写体に照射されるため、例えば、当該G光を当該被写体に照射した際に表示装置5に表示される観察画像に比べて粘膜深層の視認性が向上した観察画像を表示装置5に表示させることができる。
【0149】
また、本実施形態によれば、照明光設定部44bが、照明光の設定を行う際に、発光部31の各LEDから発せられる5色の光の中から1つ以上の色の光を選択するものに限らず、例えば、当該5色の光を選択した状態で光量比を変更するものであってもよい。
【0150】
具体的には、照明光設定部44bは、例えば、
図8に示すように、V光、B光、G光、A光及びR光を照明光EL1として選択した状態で、当該照明光EL1に含まれるV光の比率をB光の比率よりも小さくするとともに、当該照明光EL1に含まれるA光の比率をR光の比率よりも小さくするような光量比ERGの設定内容を示す照明光設定情報ESGを出力するようにしてもよい。また、照明光設定部44bは、例えば、胃粘膜の萎縮度が軽度または中等度のいずれかである場合に、
図9に示すように、V光、B光、G光、A光及びR光を照明光EL2として選択した状態で、当該照明光EL2に含まれるB光の比率をV光の比率よりも小さくするとともに、当該照明光EL2に含まれるR光の比率をA光の比率よりも小さくするような光量比ERHの設定内容を示す照明光設定情報ESHを出力するようにしてもよい。また、照明光設定部44bは、例えば、胃粘膜の萎縮度が高度である場合に、V光、B光、G光、A光及びR光を照明光EL2として選択した状態で、前述の照明光設定情報ESGと同じ設定内容を有する照明光設定情報ESIを出力するようにしてもよい。なお、前述の照明光設定情報ESG、ESH及びESIが照明光設定部44bから出力される場合には、例えば、照明光EL2の照射時に画像処理部42から出力される画像データを用いて観察画像を生成させるような制御信号が制御信号生成部44cから出力されるようにすればよい。
図8及び
図9は、第3の実施形態の変形例に係る内視鏡システムの光源装置から発せられる照明光の一例を示す図である。
【0151】
すなわち、以上に述べた構成によれば、照明光設定部44bが、照明光の設定を行う際に、発光部31の各LEDを選択的に発光または消光させるような設定を行うものに限らず、例えば、発光部31の各LEDを発光させつつ発光光量の比率を選択的に変化させるような設定を行う。また、以上に述べた構成によれば、照明光設定部44bが、照明光EL1に含まれる各色の光の光量比を光量比ERMに設定するとともに、照明光EL2に含まれる各色の光の光量比を、画像データID5に含まれる粘膜の萎縮度に係る評価結果に応じて異なる光量比である光量比ERMまたはERNのいずれかに設定する。
【0152】
また、本実施形態の各部の構成を適宜変形することにより、例えば、大腸の内部に存在する被写体を撮像及び観察する場合に適用させるようにしてもよい。また、このような場合においては、例えば、
図7のフローチャートの処理を適宜変更することにより、画像データID5に含まれる腸粘膜の状態をMatts分類等の内視鏡所見分類に応じて評価した評価結果が得られるようにすればよい。
【0153】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更や応用が可能であることは勿論である。
【0154】
本出願は、2018年4月24日に日本国に出願された特願2018-083282号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲に引用されるものとする。