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特許7105307トランスアミナーゼ突然変異体及びその応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】トランスアミナーゼ突然変異体及びその応用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20220714BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 11/087 20200101ALI20220714BHJP
   C12N 11/10 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 11/089 20200101ALI20220714BHJP
   C12N 11/14 20060101ALI20220714BHJP
   C12P 17/12 20060101ALI20220714BHJP
   C12P 17/10 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 11/04 20060101ALN20220714BHJP
   C12N 11/06 20060101ALN20220714BHJP
   C07D 211/56 20060101ALN20220714BHJP
   C07D 207/14 20060101ALN20220714BHJP
【FI】
C12N15/54
C12N9/10 ZNA
C12N11/087
C12N11/10
C12N11/089
C12N11/14
C12P17/12
C12P17/10
C12N11/04
C12N11/06
C07D211/56
C07D207/14
【請求項の数】 36
(21)【出願番号】P 2020531690
(86)(22)【出願日】2018-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2018075272
(87)【国際公開番号】W WO2019148494
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】519153028
【氏名又は名称】アシムケム ライフ サイエンス (ティエンジン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ASYMCHEM LIFE SCIENCE (TIANJIN) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ,ゲイジ
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジャンピン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,シンフー
(72)【発明者】
【氏名】ツイ,ユーシア
(72)【発明者】
【氏名】ツァン,ナ
(72)【発明者】
【氏名】トン,シュエウー
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ウェンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ハオ,ミンミン
(72)【発明者】
【氏名】マー,ユーレイ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イービン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,ジアトン
【審査官】高山 敏充
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524245(JP,A)
【文献】国際公開第2016/106247(WO,A1)
【文献】FEBS Journal,2015年,Vol.282,p.2512-2526
【文献】Aaron Charles Westlake,Crystallisation and Structural Studies on Omega Transaminase Enzymes,Report to the University of Exeter for the degree of Masters,p.1-71,2012年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1で示される配列にアミノ酸突然変異が発生した配列を有し、前記アミノ酸突然変異が発生した部位が、T7C+S47C部位であるか、あるいは、T7C+S47Cと、M356L、F364L、C404L、M430L、R405E、R405A、K90G、K219T、K304D、K51R、A95P、E368P、Q346E、H333K、D371G、E246A、C328A、N412G、T402P、T107F、T107A、G110P、K69N、G201C、Q380L、K193I、I297L、R305H、F111Y、K190E、A286T、K51R+W187Y、R405E+A95P、R405E+A95P+K304D、R405E+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+D371G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E246A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T402P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107F、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+G110P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+A286T、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C又はR405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tのうちのいずれか1つとを含むことを特徴とするトランスアミナーゼ突然変異体。
【請求項2】
請求項1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体をコードすることを特徴とするDNA分子。
【請求項3】
請求項2に記載のDNA分子が結合されていることを特徴とする組換えプラスミド。
【請求項4】
請求項1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体を含むことを特徴とする固定化トランスアミナーゼ。
【請求項5】
前記トランスアミナーゼ突然変異体のトランスアミナーゼ架橋酵素凝集体であることを特徴とする請求項4に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項6】
前記トランスアミナーゼ突然変異体を沈殿させてトランスアミナーゼ凝集体が得られて、前記トランスアミナーゼ凝集体中の遊離しているアミノ基、フェノール基、イミダゾール基又はメルカプト基を、グルタルアルデヒド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ビスマレイミド及びデキストランから選択される任意の1種の架橋剤と架橋させて、前記トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体が得られることを特徴とする請求項5に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項7】
前記トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286T、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、T7C+S47C+K51R+W187Y、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A又はT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297Lのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の架橋酵素凝集体であることを特徴とする請求項5に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項8】
前記デキストランの分子量は、6KDa~200KDaであることを特徴とする請求項6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項9】
前記トランスアミナーゼ突然変異体をエタノールで沈殿させて前記トランスアミナーゼ凝集体が得られることを特徴とする請求項6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項10】
前記トランスアミナーゼ凝集体中の遊離アミノ基をグルタルアルデヒドと架橋させて前記トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体が得られることを特徴とする請求項6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項11】
トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素であることを特徴とする請求項4に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項12】
前記トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、又はT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297Lのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の包埋-架橋固定化酵素であることを特徴とする請求項11に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項13】
前記トランスアミナーゼ突然変異体中の遊離アミノ基とグルタルアルデヒドとでシッフ塩基を生成して架橋してトランスアミナーゼ架橋酵素が得られて、前記トランスアミナーゼ架橋酵素をポリアクリルアミドゲルマトリックスに包埋して前記トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素が得られることを特徴とする請求項11に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項14】
前記トランスアミナーゼ突然変異体を担体に共有結合させた共有結合固定化酵素であることを特徴とする請求項4に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項15】
前記共有結合固定化酵素は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+Q380L、T7C+S47C+R405E、T7C+S47C+K51R+W187Y、T7C+S47C+R405E+A95P+K304D、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A又はT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の共有結合固定化酵素であることを特徴とする請求項14に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項16】
前記担体は、キトサン担体、又は樹脂担体であることを特徴とする請求項14に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項17】
前記キトサン担体は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基により前記トランスアミナーゼ突然変異体と共有結合されて前記共有結合固定化酵素を形成することを特徴とする請求項16に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項18】
前記樹脂担体は、スチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリレート樹脂から選択される任意の1種であるマトリックスと、C2の短鎖アミノ基、C4の中鎖アミノ基、C6の長鎖アミノ基又はエポキシ基から選択される、前記マトリックスに結合される官能基とを含むことを特徴とする請求項16に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項19】
前記樹脂担体は、ECR8309、ECR8315、EC-HFA、LX-1000HA、LX-1000EA、ECR8409、ECR8415、EC-EP、EC EP403、EXE119、LX-1000EP、Immobead-150A、Immobead-150P、Immobead350A、ECR8206、ECR8209、ECR8215又はECR8285から選択されることを特徴とする請求項18に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項20】
前記トランスアミナーゼ突然変異体及び担体を金属イオンによりキレート化して形成されるキレート化固定化酵素であることを特徴とする請求項4に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項21】
前記キレート化固定化酵素は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C又はT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体のキレート化固定化酵素であることを特徴とする請求項20に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項22】
前記担体は、多孔質ガラス担体であることを特徴とする請求項20に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項23】
前記多孔質ガラス担体は、EziG-101、EziG-102又はEziG-103であることを特徴とする請求項22に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項24】
前記固定化トランスアミナーゼは、前記トランスアミナーゼ突然変異体及び担体を物理的吸着によって結合させた吸着固定化酵素であることを特徴とする請求項4に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項25】
前記吸着固定化酵素は、配列番号1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286T又はT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201Cのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の吸着固定化酵素であることを特徴とする請求項24に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項26】
前記担体は、樹脂担体であることを特徴とする請求項24に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項27】
前記樹脂担体は、スチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリレート樹脂から選択される任意の1種であるマトリックスと、オクタデシル基の前記マトリックスに結合される官能基とを含むことを特徴とする請求項26に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項28】
前記樹脂担体は、ECR8806、ECR1030、ECR1090、ECR1061、ECR1091、ECR8804、Immobead-EC1、Immobead-S60S、Immobead-S861、X17S0409、EXE120又はDiaion HP2MGから選択されることを特徴とする請求項27に記載の固定化トランスアミナーゼ。
【請求項29】
請求項1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体又は請求項4~28のいずれか1項に記載の固定化トランスアミナーゼを用いて、ケトン化合物及びアミノ基供与体に対してアミノ基転移反応を触媒するステップを含むことを特徴とするキラルアミンの製造方法。
【請求項30】
前記方法では、請求項1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体を用いて前記アミノ基転移反応を触媒し、前記方法は、バッチ反応であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記バッチ反応の反応系は、水相反応系であることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法では、請求項4~28のいずれか1項に記載の固定化トランスアミナーゼを用いて前記アミノ基転移反応を触媒し、前記方法は、連続的な反応であることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記連続的な反応の反応系は、有機相反応系であることを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ケトン化合物は、
【化1】
であり、ここで、R及びRはそれぞれ独立して、C1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、或いは、R及びRは、カルボニル基の炭素とともにC5~C10ヘテロ環基、C5~C10炭素環基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、前記C5~C10ヘテロ環基及びC5~C10ヘテロアリール基中のヘテロ原子はそれぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1つであり、前記C6~C10アリール基中のアリール基、C5~C10ヘテロアリール基中のヘテロアリール基、C5~C10炭素環基中の炭素環基又はC5~C10ヘテロ環基中のヘテロ環基はそれぞれが独立して、置換されていないか、又はハロゲン、アルコキシ基もしくはアルキル基のうちの少なくとも1つの基で置換されることを特徴とする請求項29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記ケトン化合物は
【化2】
であり、アミノ基転移反応生成物は
【化3】
であることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
アミノ基供与体は、イソプロピルアミンであることを特徴とする請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素工学の分野に関し、具体的には、トランスアミナーゼ突然変異体及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
ω-トランスアミナーゼ(ω-TA)は、トランスアミナーゼ類に属し、他のトランスアミナーゼ類と同様に、アミノ基とケト基との交換過程を触媒する。多くの場合には、ω-トランスアミナーゼは、一種の酵素を指し、ある酵素により触媒されるアミノ基転移反応において、反応の基質又は生成物にはα-アミノ酸が含まない限り、該酵素をω-トランスアミナーゼと呼ぶことができる。ω-トランスアミナーゼは、ケトン化合物を原料とし、立体特異的なアミノ転移作用により、キラルアミンを効率的に製造することができる。鏡像異性体キラルアミンは、広範な生物学的活性を有する多くの医薬品化合物の重要な中間体である(ChemBioChem.9,2008,363-365,Chem.Commun.46,2010,5569-5571,Biotechnol.Bioeng.108,2011,1479-1493)。その基質は、相対的に安価であり、生成物の純度が高いという特徴を有するため、研究者から益々注目されている(Green Chemistry,2017,19,2:333-360)。また、トランスアミナーゼは、キラルアミンの生産に応用する見込みが示されている(Organic Process Research&Development,2010,14,234-237)。
【0003】
トランスアミナーゼを使用してキラルアミンを生成する進行が大いに注目されているが、酵素学的方法は大規模生産の応用に多くの問題が存在する。例えば、酵素活性が低く酵素用量が大きいことにより発酵のコストが増加し、反応系における有機溶媒に容易に影響されて、変性失活などが引き起こされる。
【0004】
また、生成物であるアミンを分離するには、酵素は変性失活し沈殿物を形成して除去し廃棄するしかないので、再利用することができない。あるいは、製品は有機溶媒で水溶液から抽出し、酵素は水溶液に残る。しかし、この場合に、pH及び溶媒などの多くの過酷な条件の影響により、酵素は失活し、再利用することができない。
【0005】
従来技術に、固定化技術により酵素を固定化して酵素の回収再利用性を向上させるという課題が報告されている。しかしながら、現在、固定化技術について、リパーゼ、ペニシリンアシラーゼ、アミラーゼなどの分野における研究が多く、これらの酵素が他の酵素よりも高い安定性を有し、固定化後の酵素活性の損失が低いためである。大部分のトランスアミナーゼは、その安定性が低く、特に体系に有機相が存在する場合に、固定化操作過程において酵素活性の損失を引き起こしやすいため、トランスアミナーゼの固定化についての研究が少なく、連続的な反応に適する固定化のトランスアミナーゼについての研究がより少ない。
【0006】
以下の基質1及び基質2を触媒してアミノ基変換反応を行うことができるトランスアミナーゼに対しては、遊離しているトランスアミナーゼで該反応を触媒すると、遊離酵素が回収できず、1回しか使用することができない。また、反応系に酵素タンパク質が存在するので、後処理において乳化現象が極めて深刻であり、生成物の分離が困難である。
【化1】
【0007】
使用されるトランスアミナーゼを固定化すれば、論理的に酵素の回収利用を実現できるが、基質1又は基質2を触媒する従来のトランスアミナーゼは、固定化した後の酵素活性回収率が依然として低い。また、従来の基質であるケトン(アミノ基受容体)の多くは水溶性が低く、純粋な水相において連続的な反応を行うことができない。連続的な反応を実現するために、十分な有機共溶媒を添加して基質を溶解させる必要があるが、従来のトランスアミナーゼは温度、pH及び有機溶媒に対する耐性が低く、有機溶媒により失活しやすい。したがって、その固定化処理を実現しにくい。
【0008】
したがって、上記基質を触媒できる従来のトランスアミナーゼを改良して、その有機溶媒などの極限環境における安定性が低く応用が制限されるという問題を解決する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、トランスアミナーゼ突然変異体及びその応用を提供して、従来技術におけるトランスアミナーゼ活性の極限環境における耐性が低く応用が制限されるという問題を解決することを主な目的とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の1つの態様は、SEQ ID NO:1で示される配列にアミノ酸突然変異が発生した配列を有し、アミノ酸突然変異が発生した部位がT7C+S47C部位を含むトランスアミナーゼ突然変異体を提供する。
【0011】
さらに、アミノ酸突然変異が発生した部位は、M356L、F364L、C404L、M430L、R405E/(「/」は「又は」を表す)A、K90G、K219T、K304D、K51R、A95P、E368P、Q346E、H333K、D371G、E246A、C328A、N412G、T402P、T107F/A、G110P、K69N、G201C、Q380L、K193I、I297L、R305H、F111Y、K190E及びA286Tのうちの任意の1つ以上をさらに含む。
【0012】
さらに、アミノ酸突然変異が発生した部位は、K51R+W187Y、R405E+A95P、R405E+A95P+K304D、R405E+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+D371G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E246A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T402P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107F、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+G110P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+A286T、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C及びR405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tという突然変異部位組み合わせのいずれかの1つをさらに含む。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第2の態様は、上記いすれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体をコードするDNA分子を提供する。
【0014】
本発明の第3の態様は、上記いすれか1種のDNA分子が結合されている組換えプラスミドを提供する。
【0015】
本発明の第4の態様は、上記いすれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体を含む固定化トランスアミナーゼを提供する。
【0016】
さらに、固定化トランスアミナーゼは、トランスアミナーゼ突然変異体のトランスアミナーゼ架橋酵素凝集体であり、好ましくは、トランスアミナーゼ突然変異体を沈殿させてトランスアミナーゼ凝集体が得られて、トランスアミナーゼ凝集体中の遊離しているアミノ基、フェノール基、イミダゾール基又はメルカプト基を、グルタルアルデヒド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ビスマレイミド及びデキストランから選択される任意の1種の架橋剤と架橋させて、トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体が得られ、好ましくは、トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286T、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、T7C+S47C+K51R+W187Y、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297Lというアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の架橋酵素凝集体であり、好ましくは、デキストランの分子量は、6KDa~200KDaであり、好ましくは、トランスアミナーゼ凝集体は、トランスアミナーゼ突然変異体をエタノール沈殿させて得られるものであり、好ましくは、トランスアミナーゼ凝集体中の遊離しているアミノ基をグルタルアルデヒドと架橋させてトランスアミナーゼ架橋酵素凝集体が得られる。
【0017】
さらに、固定化トランスアミナーゼは、トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素であり、好ましくは、トランスアミナーゼ包埋-架橋酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297Lというアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の包埋-架橋固定化酵素であり、好ましくは、トランスアミナーゼ突然変異体中の遊離アミノ基とグルタルアルデヒドとでシッフ塩基を生成して架橋してトランスアミナーゼ架橋酵素が得られて、トランスアミナーゼ架橋酵素をポリアクリルアミドゲル格子に包埋してトランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素が得られる。
【0018】
さらに、固定化トランスアミナーゼは、トランスアミナーゼ突然変異体を担体に共有結合させた共有結合固定化酵素であり、好ましくは、共有結合固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+Q380L、T7C+S47C+R405E、T7C+S47C+K51R+W187Y、T7C+S47C+R405E+A95P+K304D、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tというアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の共有結合固定化酵素であり、好ましくは、担体は、キトサン担体、樹脂担体であり、より好ましくは、キトサン担体は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基によりトランスアミナーゼ突然変異体と共有結合されて共有結合固定化酵素を形成し、より好ましくは、樹脂担体は、スチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリレート樹脂から選択される任意の1種であるマトリックスと、C2の短鎖アミノ基、C4の中鎖アミノ基、C6の長鎖アミノ基又はエポキシ基から選択される、マトリックスに結合される官能基とを含み、さらに好ましくは、樹脂担体は、ECR8309、ECR8315、EC-HFA、LX-1000HA、LX-1000EA、ECR8409、ECR8415、EC-EP、EC EP403、EXE119、LX-1000EP、Immobead-150A、Immobead-150P、Immobead350A、ECR8206、ECR8209、ECR8215又はECR8285から選択される。
【0019】
さらに、固定化トランスアミナーゼは、トランスアミナーゼ突然変異体及び担体を金属イオンによりキレート化して形成されるキレート化固定化酵素であり、好ましくは、キレート化固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tというアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体のキレート化固定化酵素であり、好ましくは、担体は、多孔質ガラス担体であり、さらに好ましくは、多孔質ガラス担体は、EziG-101、EziG-102又はEziG-103である。
【0020】
さらに、固定化トランスアミナーゼは、トランスアミナーゼ突然変異体及び担体を物理的吸着によって結合させた吸着固定化酵素であり、好ましくは、吸着固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286T及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201Cというアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の共有結合固定化酵素であり、好ましくは、担体は、樹脂担体であり、より好ましくは、樹脂担体は、スチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリレート樹脂から選択される任意の1種であるマトリックスと、オクタデシル基というマトリックスに結合される官能基とを含み、さらに好ましくは、樹脂担体は、ECR8806、ECR1030、ECR1090、ECR1061、ECR1091、ECR8804、Immobead-EC1、Immobead-S60S、Immobead-S861、X17S0409、EXE120又はDiaionから選択される。
【0021】
本発明の第5の態様は、上記いすれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体又は上記いすれか1種の固定化トランスアミナーゼを用いて、ケトン化合物及びアミノ基供与体に対してアミノ基転移反応を触媒するステップを含むキラルアミンの製造方法を提供する。
【0022】
さらに、トランスアミナーゼは、上記いずれか1種のトランスアミナーゼ突然変異体であり、上記方法は、バッチ反応であり、好ましくは、バッチ反応の反応系は、水相反応系である。
【0023】
さらに、トランスアミナーゼは、上記いずれか1種の固定化トランスアミナーゼであり、上記方法は、連続的な反応であり、好ましくは、連続的な反応の反応系は、有機相反応系である。
【0024】
さらに、ケトン化合物は、
【化2】
であり、ここで、R及びRはそれぞれ独立して、C1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、或いは、R及びRは、カルボニル基の炭素とともにC5~C10ヘテロ環基、C5~C10炭素環基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、C5~C10ヘテロ環基及びC5~C10ヘテロアリール基中のヘテロ原子はそれぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1つであり、C6~C10アリール基中のアリール基、C5~C10ヘテロアリール基中のヘテロアリール基、C5~C10炭素環基中の炭素環基又はC5~C10ヘテロ環基中のヘテロ環基はそれぞれが独立して、置換されていないか、又はハロゲン、アルコキシ基もしくはアルキル基のうちの少なくとも1つの基で置換され、好ましくは、ケトン化合物は
【化3】
であり、アミノ基転移反応生成物は
【化4】
であり、好ましくは、アミノ基供与体は、イソプロピルアミンである。
【0025】
本発明の技術手段を応用して、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列のトランスアミナーゼに対して指向性進化を行うことにより、スクリーニングしてその酵素活性及び/又は安定性が大幅に向上した一連のトランスアミナーゼ突然変異体が得られ、これらの突然変異体のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列が、T7C+S47Cを含む部位に突然変異が発生したアミノ酸配列である。上記突然変異部位を含むトランスアミナーゼ突然変異体は、相対的な極限環境において応用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
なお、本願の実施例及び実施例の特徴は、矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0027】
名称の解釈:
部位特異的な突然変異とは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの方法で標的DNA断片(ゲノムであってもよいし、プラスミドであってもよい)に、塩基の添加、削除、部位突然変異などを含む所望の変化(一般的には、有利な方向への変化を表徴する)を導入することを指す。部位特異的な突然変異は、DNAで発現された標的タンパク質の性状及び表徴を迅速で効率的に向上させることができ、遺伝子研究において非常に有用な方法である。
【0028】
全プラスミドPCRで部位特異的な突然変異を導入する手段は、簡単かつ効率的であり、現在多く使われている手段である。その原理は、突然変異部位を含む一対のプライマー(フォワード、リバース)と、テンプレートプラスミドとをアニーリングした後、ポリメラーゼで「サイクル伸長」することである。いわゆるサイクル伸長とは、ポリメラーゼでテンプレートに従ってプライマーが伸長し、1回り伸長させた後、ポリメラーゼがプライマーの5’端に戻って伸長が終止し、さらに、加熱、アニール、伸長というサイクルを繰り返すことを経ることを指す。この反応は、ローリングサークル増幅とは異なり、複数のタンデムコピーを形成することがない。フォワードのプライマーの伸長生成物とリバースのプライマーの伸長生成物とがアニーリングされた後に、切れ込みを有する開環状プラスミドとなるようにペアリングする。DpnIで伸長生成物を酵素消化し、元のテンプレートプラスミドが通常の大腸菌に由来し、damメチル化で修飾されているので、DpnIに高感受性で切断されやすく、一方、生体外で合成した突然変異配列を有するプラスミドは、メチル化されていないので、切られておらず、従って、それ以降の形質転換において形質転換に成功にし、突然変異プラスミドのクローンが得られ可能である。突然変異プラスミドを宿主細胞に移転し、目的タンパク質の発現を誘発する。
【0029】
エラープローンPCRとは、エラープローン条件下でのPCR、すなわち複製されたDNA配列にエラーが発生しやすいPCR技術と意味し、ミスマッチPCR又は傾向エラーPCRとも呼ばれる。具体的には、低忠実度のTaq DNAポリメラーゼを利用しPCR反応条件を変更し、DNA複製の忠実度を低減し、新たなDNA鎖合成の過程において塩基ミスマッチを増加させることにより、増幅産物に多くの点突然変異を発生させる、DNA配列の変異をインビトロで誘導する方法を指す。
【0030】
エラープローンPCRは、現在、一番簡単かつ効果的な遺伝子インビトロランダム変異誘発技術であり、その原理は、塩基の異性化はミスマッチの可能性を提供し、DNAを構成する4種の塩基は、いずれも互変異性体を有し、そのうち、グアニン(G)、シトシン(C)及びチミン(T)の3種の酸素含有塩基は、ケトン形態及びエノール形態の2種の互変異性体を有する。アデニン(A)及びチミンの2種の窒素含有塩基は、アミン形態、イミド形態の2種の互変異性体を有する。G、C及びTは、主にケトン形態の構造を有し、エノール形態の構造の比率が非常に低く、A及びTの2種の窒素含有塩基上の窒素原子は、主に、アミノ基(NH)状態で存在して、イミノ基(NH)状態で存在する比率が非常に低い。異なる同分異性体では、水素原子の位置が異なり、同一の位置における電子雲の偏向が異なることにより、塩基のペアリング形態が変化し、このように、複製された子鎖にミスマッチが発生する可能性がある。例えば、チミンがケトン形態で存在する場合に、アデニンとペアリングするが、エノール形態で存在する場合、グアニンとペアリングし、このように、AがCとペアリングすることができ、TがGとペアリングすることができる不安定性の塩基対が出現し、ミスマッチになる。
【0031】
既知のいくつかの耐熱性DNAポリメラーゼのうち、Taq DNAポリメラーゼのミスマッチ率が最も高い。Taq DNAポリメラーゼは、発見された耐熱性DNAポリメラーゼのうちの活性が最も高い1種であり、5’-3’エキソヌクレアーゼ活性を有し、3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を有さないため、合成において、いくつかの単一のヌクレオチドミスマッチに対して校正機能を有さないため、3’-5’校正活性を有するDNAポリメラーゼよりもミスマッチ発生率が高い。DNAポリメラーゼの忠実度は、濃度が異なっている4種のdNTPの使用、Mn2+の添加、Mg2+濃度の増加などを含む多種の方法により低減することができる。各変異誘発方法は、増幅DNA鎖に塩基変異を引き起こすメカニズムが異なる。MnClは、DNAポリメラーゼの変異誘発因子であり、Mn2+の添加は、ポリメラーゼの鋳型に対する特異性を低減し、ミスマッチ率を向上させることができ;4種のdNTPsの濃度のアンバランスにより、塩基が誤りに取り込まれる確率を向上させ、ミスマッチを実現することができ;Mg2+は、Taq酵素を活性化する作用を有し、Mg2+の濃度を正常の用量を超えたように増加させることにより、非相補的な塩基対を安定させることができ;Taq DNAポリメラーゼの用量を向上させ、そして、各循環延長の時間を増加させることは、ミスマッチ終端の延長する確率を増加させることができ;開始鋳型の濃度を低減することにより、後のPCR循環の変異鋳型の比率が増加させることができる。
【0032】
固定化酵素とは、一定の空間内において、その触媒作用が繰り返し連続的に使用可能な酵素を指す。一般的に、酵素触媒作用は、いずれも水溶液において行われることに対して、固定化酵素は、水溶性酵素を水に溶解しないが、依然として酵素活性を有するように物理又は化学的方法で処理されたものである。酵素を固定化した後に、一般的に、安定性が増加し、反応系から分離しやすく、制御しやすく、複数回使用することができ、容易に輸送し貯蔵し、自動化生産に役立つが、活性が低下し、使用範囲が減少する。
【0033】
固定化酵素担体マトリックスとは、固定化酵素担体の骨格を形成する材料を指す。
【0034】
本発明に係る1wtとは、いずれも基質1gの転化にトランスアミナーゼ突然変異体の組換え湿細胞1gを必要とすることを意味する。
【0035】
本願において、かかる1Vは、反応系の体積/基質の質量に等しい。
【0036】
本願は、従来技術におけるトランスアミナーゼ活性の極限環境における耐性が低く応用が制限されるという問題を解決するためである、本願の1つの典型的な実施態様は、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)に由来する、R416T部位に突然変異が発生したトランスアミナーゼに対して指向性進化を行った結果、一種類のトランスアミナーゼ突然変異体を得た。該トランスアミナーゼ突然変異体は、SEQ ID NO:1で示される配列にT7C+S47C部位を含む部位にアミノ酸突然変異が発生した配列を有する。相対的な極限環境において、R416T+T7C+S47C部位に突然変異が発生したトランスアミナーゼ突然変異体のトランスアミナーゼ活性は、R416T突然変異体より顕著に向上している。
【0037】
以下、試験により上記技術手段及び技術的効果を説明する。
【0038】
一、極限環境に対する耐性が向上した突然変異体のスクリーニング
本願は、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)に由来するトランスアミナーゼを改善して、酵素活性が向上したR416T突然変異体であって、アミノ酸配列がSEQ ID NO:1に示されている如きR416T突然変異体を得る。該酵素は、活性が高いが、安定性は理想的ではない。該酵素の安定性を向上させるために、更にR416T突然変異体を鋳型として、Q78C+A330C、V137C+G313C、A217C+Y252C、T7C+S47C、L295C+328Cという5組の二重点突然変異が設計され、プライマー配列は、QuikChange Primer Designウェブページで設計されたものである。全プラスミドPCRの方式により、突然変異体R416Tに突然変異部位を導入して、pET-22b(+)を発現ベクターとし、新たな突然変異部位を有する突然変異プラスミドを得る。
【0039】
突然変異プラスミドを大腸菌細胞内に転換し、25℃、0.1mMのIPTGというトランスアミナーゼ誘発発現の最適な条件で、一晩越し誘発して、細胞を超音波処理によって破壊する方法で粗酵素を得る。突然変異菌株が発現した酵素液を、45~50℃、pH9.5、20%のDMSOの極限環境において1h処理して、基質1又は基質2を添加し、1wtの酵素量でこの条件で続いて16h反応させた後、転換率を検出する。この方式で安定性が向上した突然変異体がスクリーニングされ、そのうち、T7C+S47C部位の突然変異体(R416T+T7C+S47C)活性がR416T突然変異体より顕著に向上し、この条件で、R416T触媒の転換率が15%であり、突然変異体R416T+T7C+S47C触媒の転換率が72%であった。
【0040】
さらに、R416T+T7C+S47C突然変異体を雌親とし、33対の部位特異的突然変異誘発(具体的なプライマーはQuikChange Primer Designウェブページで設計される)(M356L、W360L、F364L、C404L、M430L、M438L、C445A、F449V、R405E、R405A、K90G、K190R、K219T、K304D、K51R、W187Y、K193E、K143R、N151M、S8P、A33P、A95P、E368P、Q346E、H333K、D371G、E246A、C328A、N412G、T402P、T107F、T107A、G110P)を設計し、QuikChange Primer Designウェブページでプライマー配列を設計し、部位特異的突然変異誘発手段を利用して、pET-22b(+)を発現ベクターとして、目的遺伝子を有する突然変異プラスミドを得る。突然変異プラスミドを大腸菌細胞内に転換し、25℃、0.1mMのIPTGというトランスアミナーゼ誘発発現の最適な条件で、一晩越し誘発する。細胞を超音波処理によって破壊する方法によって粗酵素を得る。
【0041】
突然変異菌株が発現した酵素液を、30~45℃、pH9.5~10、50%のDMSOという極限環境において1h処理して、基質1又は基質2を添加し、この条件で16h連続的に反応させて転換率を検出する。この方式で温度、pH及び有機溶媒の耐性が向上した突然変異体をスクリーニングする。スクリーニング結果は、突然変異部位がM356L、F364L、C404L、M430L、R405E、R405A、K90G、K219T、K304D、K51R、A95P、E368P、Q346E、H333K、D371G、E246A、C328A、N412G、T402P、T107F、T107A、G110Pにある突然変異体は、30℃、pH9.5、50%のDMSOという環境に対する耐性がR416T+T7C+S47C突然変異体より8%~40%向上したことである。いくつかの突然変異体は、45℃、pH9.5、50%のDMSOという環境に対する耐性がR416T+T7C+S47C突然変異体より1.7倍~2.1倍向上し、いくつかの突然変異体は、40℃、pH10、50%のDMSOという環境に対する耐性がR416T+T7C+S47C突然変異体より3.7倍~3.9倍向上した。
【0042】
R416T+T7C+S47C突然変異体を雌親とし、部位特異的突然変異誘発してスクリーニングされた、異なる極限環境における耐性が向上した具体的な突然変異体は、表1及び表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
より理想的な突然変異体を簡単かつ効果的にスクリーニングするために、本願は、エラープローンPCR技術を用いてR416T+T7C+S47C突然変異体に対してランダム突然変異を行う。
【0046】
本願は、エラープローンPCR方法によって、得られる目的遺伝子断片をpET-22bに結合し、目的遺伝子を有する突然変異プラスミドを得る。突然変異プラスミドを大腸菌細胞内に転換し、25℃、0.1mMのIPTGというトランスアミナーゼ誘発発現の最適な条件で、一晩越し誘発する。最後に、細胞を超音波処理によって破壊する方法によって粗酵素を得る。
【0047】
突然変異菌株が発現した酵素液を、30~45℃、pH9~10、有機溶媒の濃度として50%のDMSO又は35%のMeOHという極限環境において1h処理して、基質1又は基質2を添加し、この条件で16h連続的に反応させて転換率を検出する。この方式で温度、pH及び有機溶媒に対する耐性が向上した突然変異体をスクリーニングする。スクリーニング結果は、突然変異部位がK69N、G201C、Q380L、K193I、I297L、R305H、F111Y、K190E、A286Tにある突然変異体は、30℃、pH9.5、50%のDMSOという環境に対する耐性がR416T+T7C+S47C突然変異体より16%~45%向上し、いくつかの突然変異体は、40℃で、pHが10で、50%のDMSO環境に対する耐性がR416T+T7C+S47C突然変異体より117%~537%向上し、いくつかの突然変異体は、30℃で、pHが8で、35%のMeOH環境に対する耐性が雌親より233%~649%向上した。
【0048】
R416T+T7C+S47C突然変異体を雌親とし、エラープローンPCRによりスクリーニングされた、異なる極限環境における耐性が向上する具体的な突然変異体は、表3~表5に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
安定性及び耐性がより高いトランスアミナーゼをさらに進化させるために、本願は、これらのトランスアミナーゼの安定性及び耐性が向上する部位に対して複数点組み合わせ突然変異を行って、指向性スクリーニングの方法により安定性及び耐性をさらに向上させる複数点突然変異体を得る。
【0053】
組み合わせ突然変異を行う突然変異部位は、K51R、W187Y、R405E、K90G、A95P、K304D、Q380L、E368P、Q346E、H333K、D371G、E246A、C328A、N412G、T402P、T107F、T107A、G110P、I297L、K69N、G201C、A286Tに由来する。
【0054】
該組み合わせ突然変異は、これらの部位を任意に組み合わせる。具体的には、K51R+W187Y、R405E+A95P、R405E+A95P+K304D、R405E+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+D371G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E246A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T402P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107F、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+G110P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+A286T、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C及びR405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tの突然変異組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0055】
突然変異プラスミドを大腸菌細胞内に転換し、25℃、0.1mMのIPTGというトランスアミナーゼ誘発発現の最適な条件で、一晩越し誘発する。細胞を超音波処理によって破壊する方法によって粗酵素を得る。
【0056】
より極限な条件で、45℃、pH9.5~10、50%のDMSO又は35%のMeOHという環境において酵素液を1h処理して、基質1を添加し、この条件で16h連続的に反応させて転換率を検出する。いくつかの組み合わせ突然変異体は、40℃、pH10、50%のDMSOという環境に対する耐性が雌親より231%~610%向上し、いくつかの突然変異体は、30℃で、pHが8で、35%のMeOH環境に対する耐性が雌親より213%~990%向上し、いくつかの突然変異体は、45℃で、pHが8で、40%のMeOH環境に対する耐性が雌親より3000%あまり向上する。具体的な耐性が向上する組み合わせ突然変異体は表6~表8に示す。
【0057】
【表6】
【0058】
【表7】
【0059】
【表8】
【0060】
二、本願のトランスアミナーゼ突然変異体に対する固定化
2.1トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体(CLEAs)の製造
本願において、R416T+T7C+S47Cという雌親突然変異体、雌親突然変異体に基づいてクリーニングされた単一点突然変異体及び組み合わせ突然変異体のトランスアミナーゼに対して架橋法による固定化を行って、トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体を製造する。
【0061】
一般的には、架橋酵素凝集体の製造は、主に、(1)酵素タンパク質凝集沈殿体の形成、(2)沈殿体間の架橋という2つのステップで行われる。
【0062】
酵素タンパク質を、塩析法、等電点沈殿法、重金属塩沈殿法又は有機溶媒沈殿法などの方法により凝集沈殿させて、酵素タンパク質沈殿体(Aggregates)を得る。一般的には、このような酵素タンパク質は、可逆的沈殿物であり、水溶液において再度溶解することができる。
【0063】
タンパク質が沈殿した後、架橋剤を添加してタンパク質沈殿体間を共有結合によりさらに結合し、水不溶性沈殿-架橋酵素凝集体を形成する。使用される架橋剤は、二官能試薬又は多官能試薬であり、二官能試薬は、グルタルアルデヒド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド(MBA)、ビスマレイミドなどを有し、多官能試薬は、デキストラン(分子量が6KDa~200KDaである)を有する。酵素タンパク質の遊離しているアミノ基、フェノール基、イミダゾール基及びメルカプト基は、いずれも架橋反応に参加することができる。
【0064】
固定化酵素液を調製する緩衝液には、0.4~1mg/mLのPLPが含まれており、酵素液のpHが7.0~8.0である。酵素タンパク質沈殿体を製造する沈殿剤は、エタノール、イソプロパノール及び/又は硫酸アンモニウムであり、沈殿剤の最終濃度は90%である。酵素タンパク質の架橋凝集体を製造する架橋剤は、25%のグルタルアルデヒド溶液であり、グルタルアルデヒドの最終濃度は200mM~500mMである。
【0065】
製造された架橋酵素凝集体として、濾過された水含有架橋酵素をそのまま水相に利用して触媒反応させるか、又は凍結乾燥して乾燥粉末を得てから応用できる。凍結乾燥粉末は、有機溶媒相における反応に応用することもできる。架橋酵素凝集体は、一度使用された後に、遠心分離又は濾過などの方式により回収して再利用できる。第1回の使用に比べて活性の損失が<5%の範囲内において再利用回数を統計したら、架橋酵素凝集体の水相反応における応用は、遊離酵素に比べて、活性の回収>80%であり、雌親R416T+T7C+S47Cは3回再利用することができるが、雌親に基づく単一点突然変異体及び/又は組み合わせ突然変異体の再利用回数が雌親より顕著に増加し、最も良い突然変異体の再利用回数が13回であった。
【0066】
いくつかの突然変異体の架橋酵素は、35%のメタノール含有の体系の反応において少なくとも6回再利用することができる。突然変異体の遊離酵素活性の安定性が向上し、固定化後に酵素の活性回収及び再利用回数も増加する。
【0067】
架橋酵素を使用して触媒反応させ、反応後処理を行って水相から有機溶媒を使用して製品を抽出し、乳化現象が顕著に軽減する。架橋酵素の製造は、担体を必要とせず、コストが低く、架橋酵素を使用して触媒反応させると、再利用回数が多く、使用回数を統計したら、酵素用量が低下し、使用コストが遊離酵素より低い。架橋酵素凍結乾燥粉末は、100%の有機溶媒において反応し、雌親を2回目再利用する場合に、その活性が一回目より損失が>10%である。一方、いくつかの突然変異体の再利用が5回であり、活性が1回目より損失が<5%である。
【0068】
2.2トランスアミナーゼの包埋-架橋固定化方法
CLEAsは、担体の支持がなく、固定化酵素の粒子が小さく(<10μm)、機械的強度が低く、酵素を濾過し回収する過程において酵素が硬化しやすく、次回に使用する場合に、反応系においてうまく分散することができない。この問題を解決するために、架橋及び包埋の2種の技術を組み合わせてグルタルアルデヒドを架橋剤として用いて、酵素液、アクリルアミド及びメチレンビスアクリルアミドの混合液に、グルタルアルデヒドを滴下して自由酵素とでシッフ塩基を形成して架橋酵素凝集体が製造され、そして、開始剤である過硫酸アンモニウムを添加してポリアクリルアミドゲルを形成し、架橋酵素凝集体がポリアクリルアミドゲルマトリックス内に包埋されて、安定した固定化酵素を得る。
【0069】
本願において、R416T+T7C+S47Cという雌親突然変異体、雌親突然変異体に基づいてクリーニングされて得られた単一点突然変異体及び組み合わせ突然変異体のトランスアミナーゼに対して包埋-架橋固定化を行って、包埋-架橋酵素を製造する。
【0070】
製造された包埋-架橋酵素は、活性の回収が>80%であり、水相反応において1回使用した後に、濾過などの方式により非常に容易に回収して再利用でき、第1回の使用に比べて、活性の損失が<5%の範囲内において再利用回数を統計したら、雌親R416T+T7C+S47Cは8回再利用することができるが、雌親に基づく単一点突然変異体及び/又は組み合わせ突然変異体の再利用回数が雌親より顕著に増加し、最も良い突然変異体の再利用回数が18回であった。
【0071】
いくつかの突然変異体の包埋-架橋酵素は、35%のメタノール含有の体系の反応において少なくとも12回再利用することができる。後処理を行って水相から有機溶媒を使用して製品を抽出し、乳化現象が顕著に軽減する。
【0072】
2.3トランスアミナーゼの吸着固定化方法
酵素分子と水不溶性担体を静電作用、水素結合、疎水性作用及び他の方式により吸着し結合して吸着固定化酵素を製造することができる。該方法は、条件が温和であり、酵素の変性を引き起こしにくいが、水溶液において酵素が担体から容易に解離してしまい、回収して再利用できないため、吸着法により製造された固定化酵素は、主に、有機溶媒における反応に応用される。
【0073】
吸着固定化酵素に使用可能な担体は、無機担体及び高分子担体の2類に分けられる。無機担体は、活性炭、多孔質ガラス、酸性白土、漂白土、カオリナイト、アルミナ、シリカゲル、ベントナイト、ハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、金属酸化物などが挙げられ、高分子担体は、デンプン、グルテリン、マクロポーラス合成樹脂、セラミックなどが挙げられる。
【0074】
本願で使用される担体は、マクロポーラス合成樹脂担体であり、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、又はスチレン及びメタクリル酸エステルの共重合体を含むが、これらに限定されないマトリックスと、該マトリックスを選択的に修飾する官能基を含む。そのほか、各種の担体は、オクタデシル基により修飾することができる。以下の表9に列挙されたものは、本願におけるトランスアミナーゼの吸着固定化に適用される担体である。
【0075】
【表9】
【0076】
本願は、トランスアミナーゼをマクロポーラス樹脂担体と直接的に疎水性結合、水素結合などの物理的方式により結合する。
【0077】
R416T+T7C+S47Cという雌親突然変異体、雌親突然変異体に基づいてクリーニングされて得られた単一点突然変異体及び組み合わせ突然変異体のトランスアミナーゼに対して物理的吸着結合方法による固定化を行う。
【0078】
酵素溶液の調製に使用される緩衝液には、0.4-1mg/mLのPLPが含まれ、緩衝液のpHが7.0~8.0であり、緩衝塩がNaHPO-NaHPO、Tris-Cl又はホウ酸-水酸化ナトリウムである。
【0079】
製造される吸着固定化酵素は、窒素ガスによる通風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの方式により乾燥処理される。
【0080】
本願は、トランスアミナーゼを吸着の方式により上記担体に結合し、活性の回収が>80%であり、有機溶剤において反応し、固定化酵素を、濾過又は注射器により液体を吸い出す方式により回収し、再利用することができる。1回目の使用に比べて、活性の損失が<5%の範囲内において再利用回数を統計したら、いくつかの突然変異体の固定化酵素については、6回再利用でき、活性の損失が<5%であった。
【0081】
2.4トランスアミナーゼの共有結合固定化方法
酵素の共有結合固定化は、酵素タンパク質の非必須基と水不溶性担体を共有結合により不可逆な結合を形成することであり、温和な条件でカップリング可能なタンパク質基は、アミノ基、カルボキシル基、システインのメルカプト基、ヒスチジンのイミダゾール基、チロシンのフェノール基、セリンの水酸基及びスレオニンの水酸基を含む。担体と共有結合される基は、一般的に、酵素が活性を生かすことに必要な基であってはいけない。
【0082】
2.4.1共有結合固定化酵素担体
固定化酵素担体は、シリカ、ガラス、ミネラル及び珪藻土などのような無機材料であってもよく、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、アガロース、ペクチン、キトサンなどのような天然有機材料であってもよく、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、又はスチレン及びメタクリル酸エステルの共重合体などのような非天然有機合成ポリマーであってもよい。これらの担体は、タンパク質分子との結合に有利になるように、さらに官能基化し、例えば、担体にアミノ基、ヒドロキシル基、エポキシ基、オクタデシル基などの官能基を添加してもよい。そのうち、アミノ基及びヒドロキシル基が官能基化された担体は、酵素タンパク質分子と、イオン結合により結合でき、アミノ基型担体は、さらに酵素タンパク質分子と共有結合により結合でき、エポキシ基の官能基の担体は、主に、酵素タンパク質と、共有結合により結合され、オクタデシル基の官能基の担体は、酵素タンパク質と、疎水性作用により結合される。担体は、フィルム、チューブ、シート、ビーズ、粒子、チップ、光ファイバーなどのような任意の形状又は形態として用いることができる。
【0083】
本願に使用される担体は、キトサン、樹脂及び多孔質ガラスである。
【0084】
キトサンは、生体適合性が高く、形状可塑性が高く(ゲル、フィルム、繊維などの形状とすることができる)、毒性がなく、化学修飾されやすいなどの特性のため、酵素固定化の担体とすることができる(ProcessBiochem,2005;40:2833-40)。キトサン自身は、水に溶解でき、水不溶性の担体粒子として製造する必要があり、製造方法は、溶媒蒸発法、乳化法及び凝集法などがある(MacromolBiosci,2003;3:511-20)。乳化法により製造される担体は、粒子が小さく、均一であり、一般的に好ましいものである。キトサン分子は、活性的な水酸基及びアミノ基などを有し、酵素にイオン結合、水素結合及びファンデルワールス力などの作用により吸着結合できるが、吸着作用が低く、酵素が脱落しやすいので、一般的に架橋剤のホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなどによって活性化されてから酵素と共有結合により結合される。
【0085】
本願に使用される樹脂担体は、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ならびにスチレン及びメタクリル酸エステル共重合体を含むが、これらに限定されないマトリックスと、該マトリックスを修飾する官能基とを含む。このようなマトリックスの有する適切な官能基は、短鎖アミノ基、長鎖アミノ基及びエポキシ基を含むが、これらに限定されない。以下の表10に列挙されたものは、本願におけるトランスアミナーゼの固定化に適用される担体である。
【0086】
【表10】
【0087】
本願は、トランスアミナーゼを、エポキシ基官能基を有する樹脂と共有結合により結合させたり、グルタルアルデヒドにより活性化されたアミノ基官能基を有する樹脂と共有結合により結合させたりする。
【0088】
2.4.2共有結合固定化の方法
本願は、R416T+T7C+S47Cという雌親突然変異体、雌親突然変異体に基づいてクリーニングされて得られた単一点突然変異体及び組み合わせ突然変異体のトランスアミナーゼに対してそれぞれ共有結合方法による固定化を行う。
【0089】
酵素溶液の調製に使用される緩衝液には、0.4-1mg/mLのPLPが含まれ、緩衝液のpHが7.0~8.0であり、緩衝塩がNaHPO-NaHPO、Tris-Cl又はホウ酸-水酸化ナトリウムである。本願に使用されるキトサン分子は、300~500KDaを含むが、これらに限定されず、乳化法によって担体を製造し、担体をグルタルアルデヒドで活性化した後、酵素液を添加して20℃で6時間インキュベートした後に、濾過又は遠心分離により沈殿物を収集し、緩衝液で洗浄する。
【0090】
アミノ基担体に共有結合固定化する場合に、まず担体をグルタルアルデヒドで活性化して、酵素液を添加して20℃で一晩越しインキュベートし、濾過し沈殿物を収集し、沈殿物を緩衝液で洗浄する。エポキシ基担体に共有結合固定化する場合に、まず酵素液及び担体を混合し、20℃で一晩越しインキュベートし、20h静置し、濾過し沈殿物を収集し、沈殿物を緩衝液で洗浄する。
【0091】
製造される固定化酵素は、窒素ガスによる通風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの方式により乾燥処理される。
【0092】
本願は、トランスアミナーゼを共有結合の方式により上記担体に固定化するが、キトサン担体に固定化した場合に、活性の回収が50%~60%であり、短鎖アミノ基担体に固定化した場合に、活性の回収が50%~70%であり、長鎖アミノ基担体に固定化した場合に、活性の回収が70%~80%であり、エポキシ基担体に固定化した場合に、活性の回収が40%~60%である。突然変異体の固定化酵素活性は、雌親固定化酵素より顕著に向上する。固定化酵素を、濾過又は注射器により液体を吸い出す方式により回収し、再利用することができる。1回目の使用に比べて、活性の損失が<5%の範囲内において再利用回数を統計したら、キトサン担体に固定化したいくつかの酵素については、3回再利用でき、活性の損失が<5%であり、短鎖アミノ基担体に固定化したいくつかの酵素については、5回再利用することができ、長鎖アミノ基担体に固定化したいくつかの突然変異体の酵素については、再利用回数が11回となり、エポキシ基担体に固定化したいくつかの酵素については、6回再利用することができ、突然変異体の固定化酵素の再利用可能な回数は、雌親固定化酵素より顕著に向上する。共有結合固定化後のいくつかのトランスアミナーゼは、100%有機溶媒において触媒作用が発揮でき、いくつかの突然変異体を固定化した後に、有機溶媒において反応させ、3回再利用し、活性の損失が<5%である。35%のメタノール溶液において触媒作用を発揮し、いくつかの突然変異体を固定化した後に、5回再利用し、活性の損失が<5%である。
【0093】
2.5金属イオンキレート化固定化法
多孔質ガラスは、材料が不活性であり、透水性が高いなどの特徴のため、酵素固定化のマトリックスに非常に適用される。ガラス及びそのチャネルの表面のシラノール基は、結合部位として酵素と結合され、固定化を実現するが、従来のガラスの表面のシラノール基の密度が限られ、不均一に分布し、酵素が結合することに対する立体障害が大きく、タンパク質担持量が低く(Science,2010,329,305-309、JChromatogr,1976,125,115-127)、また、酵素が失活になりやすい。多孔質ガラスの内外表面に一層の有機ポリマーフィルムを被覆し、酵素固定化により役立つ環境を形成することができる(Langmuir,2004,20,10639-10647)。ポリマーフィルムは、必要に応じて、さらに修飾し、表面に固定化に適する各種の官能基を添加してもよい。
【0094】
ヒスチジンタグを有するタンパク質は、固相金属アフィニティークロマトグラフィにより精製され、タンパク質におけるヒスチジン残基は、水不溶性マトリックス上にキレートされた金属イオン(Ni2+、Co2+、Fe3+)と、キレート化作用により結合されて、そして、イミダゾール含有の緩衝液を使用して目的タンパク質を溶離することができる(Nature,1975,258,598-599)。この技術に基づいて、ヒスチジンタグを有する酵素と末端に金属イオンがキレート化された担体とを特異的にキレート化し、固定化の目的を達成するとともに、このような方法による固定化の特異性が高いので、夾雑タンパク質はほとんど固定されない。
【0095】
本願に使用されるガラス担体は、ポリマーフィルムにより多孔質ガラスの内外表面に塗布したものであり、ポリマーフィルムは、親水性のもの、例えばアクリル酸ポリマー、半親水性のスチレン及びアクリロニトリルポリマー、及び疎水性のもの、例えばクロロメチルスチレンポリマーであってよい。フィルムの表面がアミノ基により修飾され、更に2,4-ジヒドロキシアセトフェノンでアシル化され、更に2,4-ジヒドロキシアセトフェノンのヒドロキシル基によって金属イオンとキレート化し、従って、2,4-ジヒドロキシアセトフェノンのアーム作用により、一端が担体と結合され、他端が金属イオンとキレート化される。よって、ガラス担体の末端に金属イオンが持たれて、ヒスチジンタグを有するタンパク質と親和性的に結合でき、特異性固定化を実現することができる(ChemicalCommunications,2014,50(65):9134-7)。キレート化された金属イオンは、Ni2+、Co2+、Fe3+を含むが、これらに限定されない。以下の表11に列挙されたものは、本願におけるトランスアミナーゼの固定化に適用される担体である。
【0096】
【表11】
【0097】
本願は、R416T+T7C+S47Cという雌親突然変異体、雌親突然変異体に基づいてクリーニングされて得られた単一点突然変異体及び組み合わせ突然変異体のトランスアミナーゼに対してそれぞれ共有結合方法による固定化を行う。
【0098】
酵素溶液の調製に使用される緩衝液には、0.4-1mg/mLのPLPが含まれ、緩衝液のpHが7.0~8.0であり、緩衝塩がNaHPO-NaHPO、Tris-Cl又はホウ酸-水酸化ナトリウムである。
【0099】
多孔質ガラス担体に共有結合固定化するに対して、酵素液及び担体を直接的に混合し、20℃で40~60minインキュベートし、濾過し沈殿物を収集し、沈殿物を緩衝液で洗浄する。
【0100】
製造される固定化酵素は、窒素ガスによる通風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥などの方式により乾燥処理される。
【0101】
本願は、トランスアミナーゼをキレート化の方式により上記担体に結合し、活性の回収が約70%~80%であり、固定化酵素を、濾過又は注射器により液体を吸い出す方式により回収し、再利用することができる。水相溶媒において反応し、1回目の使用に比べて、活性の損失が<5%の範囲内において再利用回数を統計したら、いくつかの突然変異体の固定化酵素については、12回再利用でき、活性の損失が<5%であり、有機溶媒において反応し、1回目の使用に比べて、活性の損失が<5%の範囲内において再利用回数を統計したら、いくつかの突然変異体の固定化酵素については、8回再利用できる。
【0102】
三、固定化トランスアミナーゼの使用方法
本願の固定化トランスアミナーゼは、基質1及び基質2で示されるアミノ基受容体を対応する第一級アミンに転換することができ、使用されるアミノ基供与体がイソプロピルアミンである。
【0103】
本願の固定化トランスアミナーゼは、100%水溶液、20%~50%のDMSOを含有する溶媒、35%のメタノールを含有する溶媒又は100%の水飽和有機溶媒(例えば、100%の水飽和メチルtert-ブチルエーテル又は100%水飽和酢酸イソプロピル)という溶媒において応用することができる。
【0104】
本願の固定化酵素は、撹拌形態のバッチ反応において応用されてもよく、管状反応器に充填される連続フロー反応に適用されてもよい。
【0105】
バッチ撹拌反応の操作方式は、原料、即ち、アミノ受容体、アミノ供与体、固定化酵素、補酵素PLP及び溶媒を一度に反応容器に添加し、機械的撹拌により16h以上反応させることである。反応が終了した後に、濾過により固定化酵素を回収し、次回の反応に応用する。
【0106】
連続的反応の操作方式は、固定化酵素を管状反応器に充填し、原料、即ち、アミノ受容体、アミノ供与体及び補酵素PLPを適切な溶媒で完全に溶解して反応液に調製し、プランジャポンプで反応液を、固定化酵素が充填された管状反応器に適切な流速で注入し、出口で溶媒で製品溶液を受け取ることである。
【0107】
連続的反応の操作時に、溶媒は、35%のメタノール溶液又は100%の水飽和メチルtert-ブチルエーテルであってもよい。
【0108】
以下、具体的な実施例により、本願の有益な効果をさらに説明する。
【0109】
(実施例1)
30℃、pH9.5、50%DMSOに対する突然変異体の耐性の検出
粗酵素を30℃、pH9.5、DMSO濃度50%の環境で1h処理して、10mLの反応フラスコに、0.1gの基質を添加し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩及び0.6~1mgのPLP(ピリドキサール5'-リン酸)を添加して、上記処理された酵素を5mg添加し、30℃、pH9.5、DMSO濃度50%の環境で16h一定温度で撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、突然変異体の反応データを表12で示す。
【0110】
【表12】
【0111】
(実施例2)
45℃、pH10、50%のDMSOに対する突然変異体の耐性の検出
粗酵素を45℃、pH10、DMSO濃度50%の環境で1h処理して、10mLの反応フラスコに、0.1gの基質1を添加し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩及び0.6~1mgのPLP(ピリドキサール5'-リン酸)を添加して、上記処理された酵素を5mg添加し、45℃、pH10、DMSO濃度50%の環境で、16h一定温度で撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、突然変異体の反応データを表13で示す。
【0112】
【表13】
【0113】
(実施例3)
30℃、pH8、35%のメタノールに対する突然変異体の耐性の検出
粗酵素を30℃、pH8、MeOH濃度35%の環境で1h処理して、10mLの反応フラスコに、0.1gの基質1を添加し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩及び0.6-1mgのPLP(ピリドキサール5'-リン酸)を添加して、上記処理された酵素を5mg添加し、30℃、pH8、MeOH濃度35%の環境で、16h一定温度で連続的に撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、突然変異体の反応データを表14で示す。
【0114】
【表14】
【0115】
(実施例4)
45℃、pH8、40%のメタノールに対する突然変異体の耐性の検出
粗酵素を45℃、pH8、MeOH濃度40%の環境で1h処理して、10mLの反応フラスコに、0.1gの基質1を添加し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩及び0.6-1mgのPLP(ピリドキサール5'-リン酸)を添加して、上記処理された酵素を5mg添加し、45℃、pH8、MeOH濃度40%の環境で、16h一定温度で連続的に撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、突然変異体の反応データを表15で示す。
【0116】
【表15】
【0117】
(実施例5)
架橋固定化
0.1gの酵素粉末を2mLのリン酸緩衝液(0.1MのPB、pH7.0~8.0、0.4~1mg/mLのPLP(ピリドキサール5'-リン酸)を含有する。)で溶解し、氷水浴で撹拌し18mLのエタノール又は18mLのイソプロパノール又は硫酸アンモニウム(最終飽和度が90%)を沈殿剤としてゆっくりと添加し、10min撹拌した後に、1.1-2.7mLの25%グルタルアルデヒド溶液(最終濃度200~500mM)を添加し、氷水浴で30~40min撹拌して、遠心分離又は濾過し、沈殿物をリン酸緩衝液で3回洗浄して、4℃で貯蔵し、水相反応において直接的に応用することができる。又は架橋酵素凝集体を凍結乾燥させ、凍結乾燥後に得られた架橋酵素凝集体の凍結乾燥粉末は、水相及び有機相反応において応用することができる。
【0118】
(実施例6)
架橋酵素凝集体の水相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに0.3mLのDMSOを添加し、0.1gの基質1を溶解し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩と1.0mgのPLP(ピリドキサール5’-リン酸)を添加し、反応溶液の最終容量が1mLになるまでに0.1MのPB7.0を追加して、5mgの酵素又は5mgの酵素で製造される架橋酵素凝集体の湿潤酵素又は架橋酵素凝集体の凍結乾燥粉末を添加し、45℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表16で示す。
【0119】
【表16】
【0120】
(実施例7)
架橋酵素の有機相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに1mLの水飽和メチルtert-ブチルエーテルを添加して、10mgの基質1及び4eqのイソプロピルアミンを添加して、10mgの酵素粉末で製造される架橋酵素凝集体の凍結乾燥粉末を添加し、30℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表17で示す。
【0121】
【表17】
【0122】
(実施例8)
トランスアミナーゼの包埋-架橋固定化酵素の水相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに0.4mLのDMSO(DMSO最終濃度が40%である)を添加し、0.1gの基質1を溶解し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩と1.0mgのPLP(ピリドキサール5’-リン酸)を添加し、反応溶液の最終容量が1mLになるまでに0.1MのPB7.0を追加して、5mgの酵素又は5mgの酵素で製造される包埋-架橋固定化酵素を添加し、45℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表18で示す。
【0123】
【表18】
【0124】
(実施例9)
トランスアミナーゼの包埋-架橋固定化酵素の35%MeOHの水溶液における反応の活性検出
10mLの反応フラスコに0.35mLのメタノール(メタノール最終濃度が40%である)を添加し、0.1gの基質1を溶解し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩と1.0mgのPLP(ピリドキサール5’-リン酸)を添加し、反応溶液の最終容量が1mLになるまでに0.1MのPB7.0を追加して、10mgの酵素又は10mgの酵素で製造される包埋-架橋固定化酵素を添加し、30℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表19で示す。
【0125】
【表19】
【0126】
(実施例10)
トランスアミナーゼの吸着固定化方法
担体において4mLの0.4mg/mLのPLP含有のPB緩衝液(100mM、pH7.0)を添加するとともに、0.1gの酵素を添加し、20℃で80rpmの低速度で一晩越し撹拌する。上清液を除去し、沈殿物を緩衝液で3~4回洗浄し、更に上清液を除去し、沈殿物を窒素ガスで通風乾燥させるか、又は凍結乾燥法で乾燥させ、4℃で貯蔵する。
【0127】
(実施例11)
トランスアミナーゼの吸着固定化酵素の有機相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに1mLの水飽和メチルtert-ブチルエーテルを添加して、10mgの基質1及び4eqのイソプロピルアミンを添加して、20mgの酵素で製造される固定化トランスアミナーゼを添加し、30℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表20で示す。
【0128】
【表20】
【0129】
(実施例12)
キトサンが担体である固定化トランスアミナーゼ
キトサン担体の製造:5gのキトサン(分子量が300KDa~500KDaである)を250mLの1%酢酸溶液に添加し、電子レンジで加熱溶解して水相を調製する。300mLのトルエンを2.2gのスパン80及び1.2mLのn-ヘキサノールと均一に混合し、室温で2h撹拌して油相を調製する。水相を撹拌しながら油相にゆっくりと滴下して乳剤を調製して、乳剤を1.5Lの12%のNaOH溶液に注ぎ、3h撹拌し、1Lのエタノールを添加し、濾過し、濾過ケークを純水で十分に洗浄して約40gの湿潤担体を得て、湿潤担体を140mLの純水に浸して4℃で貯蔵する。
【0130】
活性化担体:1ミリリットル当たりの湿潤担体に、1.1mLの25%グルタルアルデヒド(グルタルアルデヒド最終濃度が2.5%である)を添加する。
【0131】
固定化:0.2gの酵素を活性化された担体に添加し、20~25℃で6h撹拌し、担体を洗浄し、遠心分離し、上清液を除去し、沈殿を固定化酵素として得て、4℃で貯蔵する。
【0132】
(実施例13)
C6型アミノ基担体の固定化トランスアミナーゼ
活性化担体:1gの担体ECR8409を20mMの低イオン強度の緩衝液で1~2回洗浄し、上清液を除去し、4mLの2%グルタルアルデヒド(20mMの低イオン強度の緩衝液で試薬グレードの25%グルタルアルデヒドを希釈して調製される)を添加し、20℃で、80rpmで1h活性化し、20mMの緩衝液で1~2回洗浄し、上清液を除去する。
【0133】
固定化:活性化された担体において4mLの0.4mg/mLのPLP含有のPB緩衝液(20mM、pH7.0)を添加するとともに、0.1~0.2gの酵素を添加し、20℃で80rpmの低速度で一晩越し撹拌する。上清液を除去し、沈殿物を緩衝液で3~4回洗浄し、更に上清液を除去し、沈殿物を窒素ガスで通風乾燥させるか、又は凍結乾燥法で乾燥させ、4℃で貯蔵する。
【0134】
(実施例14)
エポキシ基担体の固定化トランスアミナーゼ
1gの担体ECR8285を100mMのPB緩衝液で1~2回洗浄し、上清液を除去し、4mLのBuffer(100mMのPB、pH7.0、1MのNaClを含有する。)を添加するとともに、0.1g~0.2gの酵素を添加し、20℃で80rpmの低速度で一晩越し撹拌して(18~20h)、4℃で20h静置する。上清液を除去し、沈殿物をBufferで3~4回洗浄し、窒素ガスで通風乾燥させ、4℃で貯蔵する。
【0135】
(実施例15)
共有結合固定化トランスアミナーゼの水相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに0.4mLのDMSO(DMSO最終濃度が40%である)を添加し、0.1gの基質1を溶解し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩と1.0mgのPLP(ピリドキサール5’-リン酸)を添加し、反応溶液の最終容量が1mLになるまでに0.1MのPB7.0を追加して、5mgの酵素又は5mgの酵素で製造される固定化トランスアミナーゼを添加し、45℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表21で示す。
【0136】
【表21】
【0137】
(実施例16)
共有結合固定化トランスアミナーゼの35%MeOHの水溶液における反応の活性検出
10mLの反応フラスコに0.35mLのメタノール(メタノール最終濃度が40%である)を添加し、0.1gの基質1を溶解し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩と1.0mgのPLP(ピリドキサール5’-リン酸)を添加し、反応溶液の最終容量が1mLになるまでに0.1MのPB7.0を追加して、10mgの酵素又は10mgの酵素で製造される固定化トランスアミナーゼを添加し、30℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表22で示す。
【0138】
【表22】
【0139】
(実施例17)
共有結合固定化トランスアミナーゼの有機相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに1mLの水飽和酢酸イソプロピルを添加して、10mgの基質1及び4eqのイソプロピルアミンを添加して、20mgの酵素又は20mgの酵素で製造される固定化トランスアミナーゼを添加し、30℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表23で示す。
【0140】
【表23】
【0141】
(実施例18)
共有結合固定化トランスアミナーゼの充填層での連続的な反応(メタノールを基質の溶解補助剤とする)
75gの突然変異体R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297LをECR8409担体に固定化する固定化酵素を反応器に充填し、カラム容量(CV)が150mLで、プランジャーポンプを使用して2CVの緩衝液(0.1MのPB7.0、5mg/mLのPLP、2Mのイソプロピルアミン塩酸塩を含有する)を充填層に注入する。調製される反応液(0.5Mの基質1、2Mのイソプロピルアミン塩酸塩、5mg/mLのPLP、35%のMeOH)をプランジャーポンプで充填層に注入し、40℃の水浴で、流速が0.25mL/minで、保持時間が約600minで、転換率が>98%で、240h連続的に操作し、転換率が低下しない。
【0142】
(実施例19)
ガラス担体のキレート化トランスアミナーゼ
1gのEziG-101、EziG-10又はEziG-103多孔質ガラス担体を緩衝液(20mMのTris-Cl 8.5)で1~2回洗浄し、上清液を除去し、担体に20mLのBufferを追加するとともに、酵素粉末又は酵素液を添加し、20℃で、80rpmの低速で1h撹拌し、上清液を除去し、沈殿物をBufferで3~4回洗浄し、濾過し、真空乾燥させ、4℃で貯蔵する。
【0143】
(実施例20)
EziG-101多孔質ガラス担体にキレートされた固定化トランスアミナーゼの水相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに0.2mLのDMSOを添加し、0.1gの基質1を溶解し、4eqのイソプロピルアミン塩酸塩と0.5mgのPLP(ピリドキサール5’-リン酸)を添加し、反応溶液の最終容量が1mLになるまでに0.1MのPB7.0を追加して、0.1gの酵素粉末又は0.1gの酵素粉末からEziG-101担体キレート法で製造される固定化酵素を添加し、45℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表24で示す。
【0144】
【表24】
【0145】
(実施例21)
多孔質ガラス担体にキレートされた固定化トランスアミナーゼの有機相反応の活性検出
10mLの反応フラスコに1mLの水飽和メチルtert-ブチルエーテルを添加して、10mgの基質1及び4eqのイソプロピルアミンを添加して、20mgの酵素又は20mgの酵素で製造される固定化トランスアミナーゼを添加し、30℃で16h撹拌する。体系について、HPLCにより転換率を検出し、反応データを表25で示す。
【0146】
【表25】
【0147】
以上の実施例から分かるように、本願に係る指向性進化によってクリーニングされた、活性、安定性、及び温度、pH及び有機溶媒に対するする耐性が向上した突然変異体は、生産応用における酵素使用量を低減するだけでなく、各種の固定化酵素を製造する可能性を大幅に向上させる。また、本願は、上記指向性進化後のトランスアミナーゼを固定化することにより(自身架橋又は担体共有結合)、固定化トランスアミナーゼの水相反応及び有機相反応における応用を実現することにより、酵素を反応系から分離しやすく、かつ反応後処理過程において酵素タンパク質が残ることによる乳化現象を低減するとともに、固定化トランスアミナーゼ突然変異体が各種の極限環境に耐えることができ、活性の損質が低く、再利用回数が高く、従って、基質1及び基質2の連続的なアミノ基転移反応を実現する。
【0148】
以上は、本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者であれば、本願に様々な変更及び変化を行うことができる。本願の精神及び原則内に行われるいかなる修正、同等置換、改善等は、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。
本発明は、例えば以下の実施形態を包含する:
[実施形態1]SEQ ID NO:1で示される配列にアミノ酸突然変異が発生した配列を有し、前記アミノ酸突然変異が発生した部位がT7C+S47C部位を含むことを特徴とするトランスアミナーゼ突然変異体。
[実施形態2]前記アミノ酸突然変異が発生した部位は、M356L、F364L、C404L、M430L、R405E/A、K90G、K219T、K304D、K51R、A95P、E368P、Q346E、H333K、D371G、E246A、C328A、N412G、T402P、T107F/A(「/」は「又は」を表す)、G110P、K69N、G201C、Q380L、K193I、I297L、R305H、F111Y、K190E及びA286Tのうちの任意の1つ以上をさらに含むことを特徴とする実施形態1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体。
[実施形態3]前記アミノ酸突然変異が発生した部位は、K51R+W187Y、R405E+A95P、R405E+A95P+K304D、R405E+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+D371G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E246A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T402P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107F、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+G110P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+A286T、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C及びR405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tの突然変異部位組み合わせのいずれか1つをさらに含むことを特徴とする実施形態1に記載のトランスアミナーゼ突然変異体。
[実施形態4]実施形態1~3のいずれかに記載のトランスアミナーゼ突然変異体をコードすることを特徴とするDNA分子。
[実施形態5]実施形態4に記載のDNA分子が結合されていることを特徴とする組換えプラスミド。
[実施形態6]実施形態1~3のいずれかに記載のトランスアミナーゼ突然変異体を含むことを特徴とする固定化トランスアミナーゼ。
[実施形態7]前記トランスアミナーゼ突然変異体のトランスアミナーゼ架橋酵素凝集体であり、
好ましくは、前記トランスアミナーゼ突然変異体を沈殿させてトランスアミナーゼ凝集体が得られて、前記トランスアミナーゼ凝集体中の遊離しているアミノ基、フェノール基、イミダゾール基又はメルカプト基を、グルタルアルデヒド、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ビスマレイミド及びデキストランから選択される任意の1種の架橋剤と架橋させて、前記トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体が得られ、
好ましくは、前記トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286T、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+K69N、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、T7C+S47C+K51R+W187Y、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+C328A及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297Lのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の架橋酵素凝集体であり、
好ましくは、前記デキストランの分子量は、6KDa~200KDaであり、
好ましくは、前記トランスアミナーゼ突然変異体をエタノールで沈殿させて前記トランスアミナーゼ凝集体が得られ、
好ましくは、前記トランスアミナーゼ凝集体中の遊離アミノ基をグルタルアルデヒドと架橋させて前記トランスアミナーゼ架橋酵素凝集体が得られることを特徴とする実施形態6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
[実施形態8]トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素であり、
好ましくは、前記トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297Lのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の包埋-架橋固定化酵素であり、
好ましくは、前記トランスアミナーゼ突然変異体中の遊離アミノ基とグルタルアルデヒドとでシッフ塩基を生成して架橋してトランスアミナーゼ架橋酵素が得られて、前記トランスアミナーゼ架橋酵素をポリアクリルアミドゲルマトリックスに包埋して前記トランスアミナーゼ包埋-架橋固定化酵素が得られることを特徴とする実施形態6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
[実施形態9]前記トランスアミナーゼ突然変異体を担体に共有結合させた共有結合固定化酵素であり、
好ましくは、前記共有結合固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+Q380L、T7C+S47C+R405E、T7C+S47C+K51R+W187Y、T7C+S47C+R405E+A95P+K304D、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+E368P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の共有結合固定化酵素であり、
好ましくは、前記担体は、キトサン担体、又は樹脂担体であり、
より好ましくは、前記キトサン担体は、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基により前記トランスアミナーゼ突然変異体と共有結合されて前記共有結合固定化酵素を形成し、
より好ましくは、前記樹脂担体は、スチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリレート樹脂から選択される任意の1種であるマトリックスと、C2の短鎖アミノ基、C4の中鎖アミノ基、C6の長鎖アミノ基又はエポキシ基から選択される、前記マトリックスに結合される官能基とを含み、さらに好ましくは、前記樹脂担体は、ECR8309、ECR8315、EC-HFA、LX-1000HA、LX-1000EA、ECR8409、ECR8415、EC-EP、EC EP403、EXE119、LX-1000EP、Immobead-150A、Immobead-150P、Immobead350A、ECR8206、ECR8209、ECR8215又はECR8285から選択されることを特徴とする実施形態6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
[実施形態10]前記トランスアミナーゼ突然変異体及び担体を金属イオンによりキレート化して形成されるキレート化固定化酵素であり、
好ましくは、前記キレート化固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201C及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286Tのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体のキレート化固定化酵素であり、
好ましくは、前記担体は、多孔質ガラス担体であり、
さらに好ましくは、前記多孔質ガラス担体は、EziG-101、EziG-102又はEziG-103であることを特徴とする実施形態6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
[実施形態11]前記固定化トランスアミナーゼは、前記トランスアミナーゼ突然変異体及び担体を物理的吸着によって結合させた吸着固定化酵素であり、
好ましくは、前記吸着固定化酵素は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列を基に、T7C+S47C、T7C+S47C+A95P、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+H333K、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+Q346E、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+N412G、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A、T7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+A286T及びT7C+S47C+R405E+K90G+A95P+K304D+Q380L+I297L+E368P+T107A+G201Cのアミノ酸突然変異部位を有するトランスアミナーゼ突然変異体の吸着固定化酵素であり、
好ましくは、前記担体は、樹脂担体であり、
より好ましくは、前記樹脂担体は、スチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリレート樹脂から選択される任意の1種であるマトリックスと、オクタデシル基の前記マトリックスに結合される官能基とを含み、さらに好ましくは、前記樹脂担体は、ECR8806、ECR1030、ECR1090、ECR1061、ECR1091、ECR8804、Immobead-EC1、Immobead-S60S、Immobead-S861、X17S0409、EXE120又はDiaion HP2MGから選択されることを特徴とする実施形態6に記載の固定化トランスアミナーゼ。
[実施形態12]実施形態1~3のいずれかに記載のトランスアミナーゼ突然変異体又は実施形態6~11のいずれかに記載の固定化トランスアミナーゼを用いて、ケトン化合物及びアミノ基供与体に対してアミノ基転移反応を触媒するステップを含むことを特徴とするキラルアミンの製造方法。
[実施形態13]前記トランスアミナーゼは、実施形態1~3のいずれかに記載のトランスアミナーゼ突然変異体であり、前記方法は、バッチ反応であり、好ましくは、前記バッチ反応の反応系は、水相反応系であることを特徴とする実施形態12に記載の方法。
[実施形態14]前記トランスアミナーゼは、実施形態6~11のいずれかに記載の固定化トランスアミナーゼであり、前記方法は、連続的な反応であり、好ましくは、前記連続的な反応の反応系は、有機相反応系であることを特徴とする実施形態12に記載の方法。
[実施形態15]前記ケトン化合物は、
【化5】
であり、ここで、R 及びR はそれぞれ独立して、C1~C8アルキル基、C5~C10シクロアルキル基、C6~C10アリール基又はC5~C10ヘテロアリール基であり、或いは、R 及びR は、カルボニル基の炭素とともにC5~C10ヘテロ環基、C5~C10炭素環基又はC5~C10ヘテロアリール基を形成し、前記C5~C10ヘテロ環基及びC5~C10ヘテロアリール基中のヘテロ原子はそれぞれ独立して、窒素、酸素及び硫黄から選択される少なくとも1つであり、前記C6~C10アリール基中のアリール基、C5~C10ヘテロアリール基中のヘテロアリール基、C5~C10炭素環基中の炭素環基又はC5~C10ヘテロ環基中のヘテロ環基はそれぞれが独立して、置換されていないか、又はハロゲン、アルコキシ基もしくはアルキル基のうちの少なくとも1つの基で置換され、好ましくは、前記ケトン化合物は
【化6】
であり、アミノ基転移反応生成物は
【化7】
であり、好ましくは、アミノ基供与体は、イソプロピルアミンであることを特徴とする実施形態12~14のいずれかに記載の方法。
【配列表】
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