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特許7105312ゲル組成物およびゲル組成物を含むタバコ産業製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】ゲル組成物およびゲル組成物を含むタバコ産業製品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20220714BHJP
   A24D 3/14 20060101ALI20220714BHJP
   A24D 3/04 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
A24D1/02
A24D3/14
A24D3/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020545140
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2019055050
(87)【国際公開番号】W WO2019166581
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】1803328.2
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ブラントン、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】サラサール アバロス、アルトゥーロ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルトン、マシュー
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/174137(WO,A1)
【文献】特開2011-245471(JP,A)
【文献】特許第5581446(JP,B1)
【文献】特開2017-121232(JP,A)
【文献】特開2015-107135(JP,A)
【文献】特開2016-073226(JP,A)
【文献】特表2017-536129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ゲル前駆体から形成されたゲルと、気体とを含むゲル組成物、
を含み、前記ゲル組成物で少なくとも部分的にコーティングされているチッピング紙をさらに含むタバコ産業製品。
【請求項2】
ゲル前駆体は溶媒を含むことを特徴とする請求項1記載のタバコ産業製品。
【請求項3】
溶媒はHOであることを特徴とする請求項2記載のタバコ産業製品。
【請求項4】
ゲル前駆体はゲル化剤を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載のタバコ産業製品。
【請求項5】
ゲル化剤は、アルギン酸塩、ゼラチン、寒天、ゴムまたはペクチンを含むことを特徴とする請求項4記載のタバコ産業製品。
【請求項6】
ゲル化剤はアルギン酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項5記載のタバコ産業製品。
【請求項7】
気体はゲル化前にゲル前駆体に加えられることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載のタバコ産業製品。
【請求項8】
気体は、空気、CO、OまたはNを含むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載のタバコ産業製品。
【請求項9】
気体はCOを含むことを特徴とする請求項8記載のタバコ産業製品。
【請求項10】
さらに添加剤を含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載のタバコ産業製品。
【請求項11】
添加剤は風味添加剤を含むことを特徴とする請求項10記載のタバコ産業製品。
【請求項12】
さらにフィルターを含み、該フィルターは前記ゲル組成物を含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載のタバコ産業製品。
【請求項13】
タバコ産業製品に配置し、個人の舌および/または唇に泡立ち感を供するための、気体を含むゲル組成物の使用であって、前記タバコ産業製品は、前記ゲル組成物で少なくとも部分的にコーティングされたチッピング紙を含むゲル組成物の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲルと気体とを含むゲル組成物およびゲル組成物を含むタバコ産業製品に関する。
【背景技術】
【0002】
タバコ産業製品のユーザーにタバコ産業製品の吸い口端に独特な感覚を与えるという要望がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様では液体ゲル前駆体から形成されたゲルと気体とを含むゲル組成物が提供される。
【0004】
一部の実施態様ではゲル前駆体は溶媒を含む。
【0005】
一部の実施態様では溶媒はHOである。
【0006】
一部の実施態様ではゲル前駆体はゲル化剤を含む。
【0007】
一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩、ゼラチン、寒天、ゴム、ペクチンまたはこれらを組み合わせたものを含む。
【0008】
一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸ナトリウムを含む。
【0009】
一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸ナトリウムとペクチン混合物との混合物を含む。
【0010】
一部の実施態様では気体はゲル化前にゲル前駆体に加えられる。
【0011】
一部の実施態様では気体は、空気、CO、OまたはNを含む。
【0012】
一部の実施態様ではゲルは添加剤をさらに含む。
【0013】
一部の実施態様では添加剤は風味添加剤を含む。
【0014】
本発明の第2の態様では本発明の第1の態様によるゲル組成物で少なくとも部分的にコーティングされたタバコ産業製品用チッピング紙が提供される。
【0015】
本発明の第3の態様では本発明の第1の態様によるゲル組成物を含むタバコ産業製品用のフィルターが提供される。
【0016】
本発明の第4の態様では本発明の第1の態様によるゲル組成物と、本発明の第2の態様によるチッピング紙と、および/または本発明の第3の態様によるフィルターとを含むタバコ産業製品が提供される。
【0017】
本発明の第5の態様ではゲル化剤を溶媒に溶かして液体ゲル前駆体を形成することと、気体を加えることと、ゲル前駆体をゲル化させることとを含む気体を含むゲル組成物を調製する方法が提供される。
【0018】
一部の実施態様では気体が高圧下でゲル前駆体に加えられる。
【0019】
一部の実施態様ではゲル前駆体に加えられる気体の量は、ゲル組成物の容量で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以下または99%以下である。
【0020】
本発明の第6の態様では個人の舌および/または唇に泡立ち感を供するためのゲル組成物の使用が提供される。
【0021】
本発明の第7の態様では本発明の第1の態様によるゲル組成物とタバコ産業製品とを含むタバコ産業製品を組み立てるためのキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
図1】本発明の実施態様によるゲル組成物をタバコ産業製品を示す。
図2】本発明の実施態様によるゲル組成物をタバコ産業製品を示す。
図3】本発明の実施態様によるゲル組成物をタバコ産業製品を示す。
図4】本発明の実施態様によるゲル組成物をタバコ産業製品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書中で言う「タバコ産業製品」なる用語は、典型的にはa)紙巻きタバコ、シガリロ、シガー、パイプまたは手巻きタバコ用のタバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品をベースにしているか、していないかに関係なく)などの喫煙品、即ち使用時に煙を発生させるために典型的にはタバコを燃やす物品、b)タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品を組み込んだ嗅ぎタバコ、スヌース、ハードタバコなどの非喫煙製品および非燃焼加熱(HnB)製品、タバコ加熱装置またはタバコ加熱製品およびc)吸入器、電子タバコなどのエアロゾル発生装置、トローチ剤、蒸気装置およびガムなどの他のニコチン送出システム、即ち燃やさずに加熱することによって基板材から化合物を放出させることによってエアロゾルまたは蒸気を放出する物品などのタバコ産業で製造されるまたは販売されるあらゆる品目を意味する。このリストは他を除外することを意図したものではなく、タバコ産業で製造および販売されている一連の製品を例示しているに過ぎない。
【0024】
本明細書で言う「ゲル組成物」なる用語は、変性ゲルを意味する。特にゲル組成物は、ゲルと気体とを含んでもよく、気体は、ゲル内に捕捉されたものとして説明することができる。
【0025】
タバコ産業製品がユーザーに種々の感覚を供するために添加剤を含むことはよく知られている。例えば、添加剤は主流煙の風味を変えるために喫煙材に含有させてもよい。風味料または風味剤は使用時の味を変えるためにタバコ産業製品によく添加される。風味料または風味剤の位置およびそれらの放出機構も変えることができる。例えば、一部のタバコ産業製品はフィルター内に配置された風味剤を含むカプセルを含む。このカプセルはユーザーが望む際に風味を放出するためにユーザーが潰すことができる。これとは別に一部のフィルターは、主流煙に一定に風味を放出する風味付けセクションを含む。
【0026】
フィルター部材に発泡材料を含むタバコ産業製品も過去に提案されている。好適な発泡材料は、例えば気体、そして適当な状況では泡を発生させてもよい。例えば、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどの酸と混合した際に気泡を発する無機炭酸塩をタバコ産業製品フィルターに組み込むことができる。反応物は別々に保持され、気体を発生させる所望の時にだけ混ぜられるようにする必要がある。
【0027】
ゲルは、食品業界、薬剤、写真および化粧品製造で広く使用されている。ゲルは、通常高分子を含み、これは液体媒体に浸されていて、絡み合いそして相互に連結された分子ネットワークを形成するために架橋されている。ゲルの形成は、三次元ネットワークがその隙間に溶媒を含むようにランダムに分散したポリマーセグメントの会合を伴う。従って、ゲルは、安定した状態では流れない実質的に希薄な架橋系を有する固体のゼリー状の材料として説明してもよい。ゲルは、通常、ほとんど水などの液体を含んでいても固体のように挙動する。ヒドロゲルおよびオルガノゲルなどの多くの異なる種類のゲルがある。ヒドロゲルは、その名前が示唆するように水を多く含み、親水性のポリマー材からなり、それが多量の水を保持することができるようにしている。オルガノゲルは、ヒドロゲルと類似しているが、水の代わりに液体有機相を含む。
【0028】
ゲルはゲル前駆体から形成してもよい。ゲル前駆体はゲルを形成する成分として説明してもよい。これとは別にゲル前駆体はゲル形成材として説明してもよい。例えば、ゲル化剤を使用してゲルを調製してもよい。ゲル化剤は、弱く凝集した内部構造を形成するコロイド混合物、即ちゲル前駆体として液体に溶解した固体材料であってもよい。コロイド混合物は顕微鏡的に見て一つの物質の分散した粒子が別の物質全体で懸濁されている混合物である。ゲル前駆体は次に硬化または固体化され、ゲルを形成する。
【0029】
通常、ゲル化剤は、多糖類、天然ゴム、デンプン、ペクチン、寒天およびゼラチンを含む。多糖類系ゲル化剤としてはアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウムおよびアルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸塩類が挙げられる。好ましくはゲル化剤はアルギン酸塩、ゼラチン、寒天、ゲランゴムまたはペクチンを含む。最も好ましくはゲル化剤は、アルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩を含む。
【0030】
アルギン酸塩は、褐藻類から通常抽出される天然に存在するアニオン性ポリマーである。架橋剤の種類および架橋方法によってアルギン酸塩ヒドロゲルは種々のバリアー性を有するように調整することができる。例えば、アルギン酸は、気体吸収、即ちより多くの気体を所定質量のアルギン酸塩で吸収することができる、気体捕捉/バリアー放出性、即ち気体がそれが拡散する前に長い間ゲル中に保持することができる、および/または気体放出性、即ち気体が必要時に例えば水分および/または温度などの外部刺激を使用して放出されるなどして最適化することができる。
【0031】
ゲル化剤は、水などの溶媒に加えて、ゲル化剤を含む溶液または分散液、即ちゲル前駆体を形成してもよい。ゲル前駆体は、硬化、固体化、硬質化させてゲルを形成する。一部の実施態様では溶媒は、ゲル化剤を加える前に加熱される必要がある。例えば、溶媒を加熱することによってゲル化剤を溶媒に溶けるようにしてもよい。これとは別にゲル化剤を含む溶媒は、ゲル化剤を活性化させるために熱を必要とし、その後溶媒を冷却してゲルを形成する。これとは別に溶液は、ゲルを形成するために他の化学成分の添加を必要とする場合がある。例えば、カルシウム塩を水のアルギン酸ナトリウム溶液に加えるとゲルが形成する。
【0032】
一部の実施態様では本発明に使用するために選択されたゲルは、所定の温度で溶融するものであってもよい。例えば、ゲルは比較的低温で溶融してもよい。例えば、ゲルは約20℃~約35℃の温度に熱せられた際に溶融してもよい。食品業界ではこのようなゲルは、「口内溶融」型ゲルとみなされている。これとは別にゲルは、水と接触させた際に溶解してもよい。
【0033】
一部の実施態様ではゲルは、1種類以上の添加剤を含んでもよい。例えば、ゲルは風味料または風味剤を含んでもよい。本明細書中で使用する際の「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味や香りを製品に加えるのに用いることができる材料を指す。このような材料としては、抽出物(例えば、ユーカリ、カンゾウ、アジサイ、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、クローブ、メントール、ニホンハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ピメント、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油など)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物息消臭剤などのその他の添加剤などが挙げられる。これら材料は模造品、合成または天然成分であってもよく、またはこれらのブレンドであってもよい。これら材料は、例えば油、液体、粉末などの任意の好適な形態であってもよい。これとは別にゲルはユーザーに所望の感覚を供する添加剤を含んでもよい。例えば、ゲルはソルビトールまたはメンソールなどの冷却剤を含んでもよい。またゲルは、ゲルを他のゲルを区別するために使用される着色料または着色剤を含んでもよい。
【0034】
本発明ではゲル組成物は気体を含む。気体は、空気、窒素、二酸化炭素および酸素のいずれか1つの好適な気体を含んでもよい。
【0035】
一部の実施態様では気体はゲル容量の大半を通して分布される。例えば、気体はゲル中に捕捉される。例えば、ゲルは気体を含浸させたと説明してもよい。ゲルを気体に含浸させると、気体はゲル内全体に染みこむ。一部の実施態様では ゲルは気体で飽和していると説明してもよい。これとは別に 気体はゲル内に浸出しているまたはゲル内に浸透していると言うことができる。これとは別に気体はゲルの塊の中に組み込まれていると説明することができる。気体はゲルのマトリックス全体に配分されていると説明してもよい。
【0036】
好ましい実施態様では使用される気体は二酸化炭素である。二酸化炭素は、ほどほどの臨界点を有し、可燃性でなく、低毒性であるので好ましい。一部の実施態様ではゲル化剤を含む溶液は圧縮された気体に晒されると冷たくなる。これは二酸化炭素などの一部の気体の溶解度は液体温度が低くなると大きくなるからである。さらに使用中、COはさらなる知覚効果として舌の酸受容器官と相互作用する。
【0037】
一部の実施態様では気体を含むゲルは、ゲル化剤を含む溶液または分散液、即ちゲル前駆体を気体に晒すことによって作製してもよい。一部の実施態様では気体は加圧された状態であってもよい。溶液が気体に晒される際、気体は溶液内に分配されるまたは溶液によって吸収される。ゲル前駆体は、次にゲル化させてゲルを形成し、気体をゲル内に閉じ込める。一部の実施態様ではゲル前駆体はゲルを形成させる際に高圧下に保持される。これとは別にゲル前駆体を加圧された気体に晒した後、前駆体を取り出し、ゲルが大気圧下で形成する。好ましくはゲル前駆体は気体が確実に溶液に吸収されたままになるようにゲル化される際、高圧下に保持される。加圧された気体にゲル前駆体を晒す工程によって気体の小さい高圧バブルがゲルの塊の内側に捕捉されるようになる。気体のこのバブルは、ゲル前駆体がゲル化される際にゲル全体に配分された状態に維持される。
【0038】
ゲル化時にゲルによって囲われないすべての気体は失われる。ゲルは捕捉された気体が出て行かないようにするバリアーとして作用する。
【0039】
一部の実施態様ではゲル組成物中の液体の量は、湿重量基準(WWB)で算出される液体の約25重量%超である。場合によっては液体の量は、WWBで算出される液体の約35重量%、45重量%、55重量%、65重量%または75重量%超である。
【0040】
一部の実施態様ではゲル前駆体に加えられる気体の量は、ゲル組成物の容量で50%以下、60%以下、70%以下、80%以下、90%以下または99%以下である。
【0041】
一部の実施態様ではゲルは、タバコ産業製品が従来から保存されている湿度である相対湿度60%で物理的および/または化学的に安定するように選択される。
【0042】
本発明ではゲルは、タバコ産業製品の使用中、即ちフィルターが喫煙者の唇の間で保持されている際に捕捉されている気体が放出されるように選択される。一部の実施態様ではゲルは、液体と接触させた際に溶解してもよい。一部の実施態様ではゲルは、個人の舌または唇のいずれかの唾液と接触させた際に溶解してもよい。ゲルが溶解すると、気体が放出され、個人の唇および/または舌に炭酸の泡立ちのような感覚が感じられる。これとは別に個人の唇および/または舌に感じられる感覚は、ヒリヒリまたはジリジリ感として説明してもよい。
【0043】
別の実施態様では 加熱された際、例えば約20℃~約35℃の温度に加熱された際に溶融するゲルを使用してもよい。例えば、約25℃~約30℃の温度に加熱された際に溶融するゲルを使用してもよい。約35℃未満の温度で溶融するゲルは、個人の唇および/または舌と接触させると溶融可能になる。ゲルが溶融すると、捕捉されていた気体が放出され、個人の唇に泡立ち、ヒリヒリまたはジリジリ感を感じさせる。
【0044】
本発明の一つの態様ではタバコ産業製品は、その吸い口端に位置するゲル組成物を含む。タバコ産業製品の吸い口端にゲル組成物を配置することはゲル組成物が使用中にユーザーの唇および/または舌と接触させられることを意味する。
【0045】
一部の実施態様ではゲル組成物は、タバコ産業製品のフィルターエレメントに位置してもよい。例えば、図1はフィルターエレメント12とタバコロッド14とを含むタバコ産業製品10を示している。環帯形状のゲル組成物16がフィルターエレメント12の端部でフィルターの円形の端部の外周に配置される。従って、使用時、ゲル組成物は喫煙者の口の中に入れられ、喫煙者の舌と接触する。図1に示すようにゲル組成物は、フィルターエレメント12の末端に配置され、実質的にフィルターエレメント12の円周面上に延びていない。
【0046】
別の実施態様を図2に示し、ここではゲル組成物26がタバコ産業製品10のフィルターエレメント12の端部でフィルターエレメント12の円形の端部に配置される円形部分として設けられている。ゲル組成物26はフィルターエレメント12の端部面の中央に配置されている。使用中、ゲル組成物26は、喫煙者の口に入れられ、喫煙者の舌と接触する。
【0047】
図3はフィルターエレメント12と、タバコロッド14と、ゲル組成物36とを含むタバコ産業製品10を示している。図3に示すようにゲル組成物36は、フィルターエレメントの円周面に取り付けられ、フィルターエレメントを囲み、フィルターエレメント12の長さに沿ってタバコロッド14の方へ部分的に延びている。この構成ではゲル組成物は、使用中、喫煙者の唇および/または舌と接触することができる。
【0048】
図4に示すようにゲル組成物46は、フィルターエレメント12の円周面に配置された個々の部分として設けられている。ゲル組成物46のそれらの部分は、フィルターエレメント12の周囲に配置され、フィルターエレメント12の吸い口端からタバコロッド端の方へ延びている。この構成ではゲル組成物46は、使用中、喫煙者の唇および/または舌と接触することができる。
【0049】
一部の実施態様ではタバコ産業製品のチッピング紙が本発明によるゲル組成物を含む。
【0050】
一部の実施態様ではゲル組成物は、タバコ産業製品に付着する前に調製される。例えば、ゲル組成物は製造中にチッピング紙および/またはフィルターの吸い口端にコーティングしてもよい。一部の実施態様ではゲル組成物は、タバコ産業製品をゲル組成物中に浸すことによってタバコ産業製品に付着、貼り付け、固定してもよい。一部の実施態様ではこれは喫煙直前に行ってもよい。
【0051】
一部の実施態様ではゲル組成物は、あらゆる従来の構造のタバコ産業製品フィルターエレメントの外側の面に配置してもよい。例えば、フィルターは、「ダルメシアン」型フィルターであってもよい。これとは別にフィルターは、「キャビティー」型フィルターであってもよく、および/または複数のセクションを含んでもよい。タバコ産業製品フィルターは、活性炭、イオン交換樹脂、ゼオライト、シリカまたはアルミナなどの吸着材を含んでもよい。
【0052】
一部の実施態様ではゲル組成物はタバコ産業製品のプラグラッパーおよび/またはトウに設けられてもよい。タバコ産業製品のトウは、ろ過材、例えばセルロースアセテート、ポリ乳酸および/または他の好適なポリマーを含んでもよく、または穴の空いたプラスチックなどの硬い材料を含んでもよい。
【0053】
一部の実施態様では本発明によるタバコ産業製品は、タバコ産業製品の水分量を制御し、所望の範囲内にそれを保持するパッケージに入れて提供されてもよい。例えば、タバコ産業製品は、約60%の相対湿度で保たれてもよい。例えば、タバコ産業製品のパッケージにはタバコ産業製品の周囲の水分量を制御するラッパーが設けられてもよい。これとは別にラッパーは、個々のタバコ産業製品それぞれを囲んでもよく、タバコ産業製品の周囲の水分量を制御するために使用してもよい。
【0054】
ゲル組成物は、あらゆる従来のタバコ産業製品に適用してもよい。一部の実施態様ではタバコ産業製品には既にプラグラッパーおよび/またはトウに付着させたゲル組成物を設けてもよい。他の実施態様ではゲル組成物はタバコ産業製品とは別個に提供されてもよい。
【0055】
一部の実施態様では ユーザーは、ゲル組成物を含有させるように従来のタバコ産業製品を変性することができ、使用時にユーザーに「シュっと泡立つ」感覚を与えることができる。一部の実施態様ではゲル組成物は、ユーザーによって取り外され、タバコ産業製品上に設置されるバック層に付着される個別の部分またはストリップとして提供されてもよい。薄いゲルフィルムは接着剤を使用せずにタバコ産業製品に付着させるのに適している。しかしながら、一部の実施態様では 接着剤がゲルをタバコ産業製品に付着させるためにゲルの表面に存在してもよい。別の実施態様ではゲル組成物は、使用前にユーザーによってタバコ産業製品の吸い口端に適用するためにタバコ産業製品に巻かれるラッパーの一部に存在してもよい。
【0056】
本発明の態様では気体が捕捉されたゲル組成物の調製方法が提供される。ゲル前駆体はゲル化剤と溶媒を混ぜることによって形成される。気体がゲル前駆体に導入される。一部の実施態様ではこの気体は、溶媒がゲル化剤に添加される前に溶媒中に存在してもよい。これとは別にまたは加えて気体をゲル前駆体に添加してもよい。一部の実施態様では気体は高圧下でゲル前駆体に導入される。例えば、気体は3~5バールの圧力下で導入してもよい。次にゲル前駆体のゲル化を引き起こさせて、中に気体が捕捉されたゲル組成物を形成する。一部の実施態様ではゲル化は加圧下で生じる。
【0057】
一部の実施態様ではゲル前駆体は、ゲル前駆体から形成されたゲル組成物がタバコ産業製品への適用に好適な形体で提供される。他の実施態様ではゲル組成物は、ゲル化後に所望の形状に切断される。一部の実施態様ではゲル前駆体は、ゲル化時に捕捉された気体を含むゲル組成物を例えば、コーティングとして含むチッピング紙が提供されるようにチッピング紙上に設けられてもよい。他の実施態様ではゲル前駆体は、ゲル化時に捕捉された気体を含むゲル組成物が支持シート上に設けられるように支持シート上に設けられてもよい。
【0058】
一部の実施態様では接着剤を気体が含浸したゲルの表面に塗布して、タバコ産業製品またはその一部に付着させる。一部の実施態様では接着剤は粘着剤または低粘着性接着剤である。
【0059】
実施例1
アルギン酸ナトリウムを炭酸水に溶かし、溶液を形成した。この溶液をゲル化させ、ゲルを形成した。得られたゲルは、それを試験者の舌に乗せて試験し、弱い泡立ち感が試験者の舌で感じられた。この実施例は、気体がアルギン酸ゲルに吸収され、ゲルのバリアー層を溶解させ、ゲル内に捕捉されていた気体を放出させる個人の舌と接触した際に放出されることを立証している。
【0060】
実施例2
アルギン酸ナトリウムを実施例1と同じように炭酸水に溶かした。この溶液を高圧下でゲル化させた。味を試験した際にやや強めの泡立ち感が感じられた。ゲルを高圧下で硬化または固めることで実施例1と比較した場合、ゲル内により多くの量の気体を組み込むことができるようである。従って、この気体を放出する際、より強い泡立ち感が感じられる。
【0061】
実施例3
固体のゼラチンを炭酸飲料を製造する際に使用される機械であるSodaStreamに繋いだ。この機械は約3~5バールの圧力でCOを供給する。SodaStreamは、圧力放出バルブを含み、これは圧力が高くならないようにするためのものである。圧力が解放され、ゲルの味の試験をしたが、泡立ち感は感じられなかった。固体ゼラチンを高圧下でCOに晒すと気体がゼラチンの塊の中に入っていけない。従って、泡立ち感を供するために放出される気体が存在しない。
【0062】
実施例4
ゼラチンを水で溶かし、SodaStreamからのCOで加圧し、高圧下でゲル化させた。得られたゲルは、味の試験をしたところ強い泡立ち感を供した。この実施例はCOがゼラチンの溶液に上手く組み込まれたことを実証している。次に気体がゼラチンがゲル化する際に保持され、個人の舌および/または唇と接触した際に放出される。
【0063】
実施例5
ゼラチンを温水で溶かし、SodaStream機からのCOに晒し、大気圧でゲル化させた。弱い泡立ち感が味の試験をしたところ感じられた。ゼラチンの温かい溶液を高圧下でCOに晒さないと限られた量の気体しか吸収されないようである。その結果、弱い泡立ち感が供される。
【0064】
実施例6
アルギン酸塩を炭酸水に溶かし、大気圧下でゲル化させた。得られたゲルは、味の試験をしたところ弱い泡立ち感を供した。気体はモデリングアルギン酸塩に組み込むことができ、個人の舌および/または唇と接触した際に放出される。
【0065】
実施例7
アルギン酸塩を水に溶かし、SodaStreamからの約3~5バールの圧力のCOに晒した。得られたゲルは、味の試験をしたところ適度の泡立ち感を供した。COをモデリングアルギン酸塩に捕捉することができ、個人の舌および/または唇と接触した際に放出させることができる。
【0066】
種々の問題の対処と技術の発展のため、本開示全体は種々の実施形態を例示的に示しており、これらの実施形態では特許請求された発明が実践される。本開示の利点および特徴は実施形態の単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。これらは特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4