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特許7105322多電圧レベル直流グリッドシステムおよび制御保護方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】多電圧レベル直流グリッドシステムおよび制御保護方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20220714BHJP
   H02H 7/12 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
H02J1/00 309Q
H02H7/12 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020569913
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 CN2019080864
(87)【国際公開番号】W WO2019237794
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】201810606794.4
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515063024
【氏名又は名称】南京南瑞▲継▼保▲電気▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NR ELECTRIC CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No. 69 Suyuan Avenue, Jiangning Nanjing, Jiangsu, P.R. China
(73)【特許権者】
【識別番号】515063046
【氏名又は名称】南京南瑞▲継▼保工程技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NR ENGINEERING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.69 Suyuan Avenue, Jiangning,Nanjing, Jiangsu, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】謝▲いぇ▼源
(72)【発明者】
【氏名】李海英
(72)【発明者】
【氏名】王宇
(72)【発明者】
【氏名】張中鋒
(72)【発明者】
【氏名】曹冬明
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/042601(WO,A1)
【文献】特開平06-070457(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121983(WO,A1)
【文献】特開平04-368459(JP,A)
【文献】特開2011-135628(JP,A)
【文献】特開2017-118806(JP,A)
【文献】特開2009-095225(JP,A)
【文献】特開昭63-114501(JP,A)
【文献】特開2010-011602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H7/00
H02H7/10-7/20
H02H9/00-9/08
H02J1/00-7/36
H02M3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの直流母線と、
一端は第1直流母線に接続され、他端は第2直流母線に接続され、直流電圧変換が実現できる少なくとも1つの第1直流変圧器と、
一端は前記第2直流母線に接続され、他端は引出線に接続され、直流電圧変換が実現できる少なくとも1つの第2直流変圧器と、
一端は前記第2直流母線に接続され、他端は引出線に接続されている少なくとも1つの引出線電流制限器と、を含有する多電圧レベル直流グリッドシステムであって、
前記引出線電流制限器は第1電流制限ユニットを含み前記第1電流制限ユニットは、
前記第2直流母線と前記引出線との間に接続される一対の直流スイッチと、
前記一対の直流スイッチと前記引出線との間に接続され、並列に接続された第1バイパススイッチおよび第1電流制限抵抗ユニットと、を有し
前記第1直流変圧器または前記第2直流変圧器は、
直流電圧変換が実現できる直流変換ユニットと、
並列に接続された第2バイパススイッチと、第2電流制限抵抗ユニットとを含む第2電流制限ユニットと、
並列に接続された第3バイパススイッチと、第3電流制限抵抗ユニットとを含む第3電流制限ユニットとを含有し、前記第2電流制限ユニットおよび前記第3電流制限ユニットはそれぞれ前記直流変換ユニットの両端に直列に接続されている、
多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項2】
前記電流制限抵抗ユニットは、複数の分岐回路を含有し、各前記分岐回路は直列に接続された選択スイッチと抵抗とを含み、前記電流制限抵抗ユニットの抵抗値は、前記選択スイッチの開閉を制御することにより調整することができる、請求項1に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項3】
前記バイパススイッチは、二つ逆直列に接続されている、逆並列ダイオード付きのパワー半導体スイッチングデバイスを含む請求項1に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項4】
前記バイパススイッチは高速機械式接触器を含む請求項1に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項5】
前記引出線電流制限器における前記第1電流制限抵抗ユニットは、本回路の引出線側で短絡故障が発生したときに投入され、本回路の故障電流を設定値の近くまでに低下させる、請求項1に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項6】
前記引出線電流制限器における前記第1電流制限抵抗ユニットは、他の回路の引出線側で短絡故障が発生したときに投入されない、請求項1に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項7】
記第2電流制限抵抗ユニットまたは第3電流制限抵抗ユニットは、接続された母線で短絡故障が発生したときに投入される、請求項に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項8】
記第2電流制限抵抗ユニット、前記第3電流制限抵抗ユニットは、回路の引出線側で短絡故障が発生したときに投入されない、請求項に記載の多電圧レベル直流グリッドシステム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法であって、直流グリッド中におけるいずれかの引出線に短絡故障が発生した場合、前記多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法は、
故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、故障引出線に対応する前記引出線電流制限器のバイパススイッチを開き、前記第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持するステップと、
前記引出線に対応する過電流保護動作をするステップと、
前記引出線電流制限器の直流スイッチを開き、故障点を除去するステップと、を含む、電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法。
【請求項10】
前記引出線に対応する過電流保護動作をする前に、前記多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法は、
前記故障引出線に接続された直流母線の電圧を検出するステップと、
前記電圧が正常範囲にある場合には、前記直流母線に接続された前記直流変圧器の制御ポリシーが変わらないように維持するステップと、
電圧が一定の範囲を超えた場合には、前記直流母線に接続された前記直流変圧器は直流電圧を閉ループ調整するステップと、
をさらに含む請求項に記載の多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法。
【請求項11】
請求項2に記載の多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法であって、直流グリッド中におけるいずれかの引出線に短絡故障が発生した場合、前記多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法は、
故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、故障引出線に対応する前記引出線電流制限器のバイパススイッチを開き、前記第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持するステップと、
前記引出線に対応する過電流保護動作をするステップと、
前記引出線電流制限器の直流スイッチを開き、故障点を除去するステップと、を含み、
前記第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持することは、故障前の電流値および過電流保護定値に基づいて、投入された前記第1電流制限抵抗ユニット等価抵抗値を総合的に計算し、前記第1電流制限抵抗ユニットの選択スイッチの開閉制御により、実際の投入抵抗値を前記等価抵抗値に近づくようにすることを特徴とする多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法。
【請求項12】
請求項1~のいずれか1項に記載の多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法であって、直流グリッド中におけるいずれかの母線が故障した場合、前記多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法は、
故障母線に接続された直流変圧器が、故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、前記故障母線に接続された前記直流変圧器の第2バイパススイッチまたは/および第3バイパススイッチを開き、第2電流制限抵抗ユニットまたは/および第3電流制限抵抗ユニットを投入するステップと、
前記故障母線に接続された直流変圧器の制御ポリシーを電流制限モードに切り替え、即ち故障前の電流を維持するステップと、
故障が消失したことを検出したとき、直流母線電圧は正常範囲に戻り、前記故障母線に接続された直流変圧器を正常制御モードに切り替えるステップと、
しばらくの間故障まだ存在すると、永久故障と判定し、前記直流変圧器における直流変換ユニットのパワー半導体デバイスを遮断するステップと、を含む、多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力電子変流器領域に属し、特に多電圧レベル直流グリッドシステムおよび制御保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直流グリッド技術の応用範囲はますます広くなり、直流グリッドは大量の電力電子変流器を導入したので、その運行方式はもっと柔軟で、もっと複雑である。どのように効果的に直流グリッドの運行の信頼性を保証するかが直流グリッドの発展を制限するボトルネックになった。
【0003】
本出願の発明者たちは、直流システムの回路インピーダンスが小さいことから、一旦短絡故障が発生すると、短絡電流の上昇速度が非常に速くなる一方、電力電子変流器がパワー半導体で構成されているため、パワー半導体デバイスの過電流能力が限られているので、短絡電流により変流器の破損や閉鎖が引き起こされることを発見した。他方では、引出線短絡による短絡電流は直流母線電圧を低減し、直流母線電圧の低下は同じ母線にかかる全ての設備及び負荷に影響する。そのため、短絡電流を制限し、故障期間中に直流母線電圧を安定させ、故障の影響を最小限に抑える措置を取る必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記技術的欠点を克服し、電流制限抵抗ユニットの投入を追加することにより、電流変化率を低下させ、並びに抵抗の抵抗値の整合により、直流母線電圧を安定させ、故障を迅速に除去し、直流グリッドの信頼性を大幅に向上させる、多電圧レベル直流グリッドシステムおよび制御保護方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は多電圧レベル直流グリッドシステムであって、少なくとも2つの直流母線と、一端は第1直流母線に接続され、他端は第2直流母線または引出線に接続され、直流電圧変換が実現できる少なくとも1つの直流変圧器と、一端は前記第2直流母線に接続され、他端は引出線に接続されている少なくとも1つの引出線電流制限器とを含み、前記引出線電流制限器は、直流スイッチ群および並列に接続された第1バイパススイッチと、第1電流制限抵抗ユニットとを含む第1電流制限ユニットを含有する。
【0006】
さらに、前記直流変圧器は直流電圧変換が実現できる直流変換ユニットを含む。
【0007】
さらに、前記直流変圧器は、第2電流制限ユニットと第3電流制限抵抗ユニットを含有し、前記第2電流制限ユニットは、並列に接続された第2バイパススイッチと、第2電流制限抵抗ユニットとを含み、前記第3電流制限ユニットは、並列に接続された第3バイパススイッチと、第3電流制限抵抗ユニットとを含み、前記第2電流制限ユニットおよび前記第3電流制限ユニットはそれぞれ前記直流変換ユニットの両端に直列に接続されている。
【0008】
さらに、前記電流制限抵抗ユニットは、直列に接続された選択スイッチと抵抗とを含む複数の分岐回路を含有し、前記電流制限抵抗ユニットの抵抗値は、前記選択スイッチの開閉を制御することにより調整することができる。
【0009】
選択可能な態様として、前記バイパススイッチは、二つ逆直列に接続されている、逆並列ダイオード付きのパワー半導体スイッチングデバイスを含む。
【0010】
選択可能な態様として、前記バイパススイッチは高速機械式接触器を含む。
さらに、前記引出線電流制限器における前記第1電流制限抵抗ユニットは、本回路の引出線側で短絡故障が発生したときに投入され、本回路の故障電流を設定値の近くまでに低下させる。
【0011】
さらに、前記引出線電流制限器における前記第1電流制限抵抗ユニットは、他の回路の引出線側で短絡故障が発生したときには投入されない。
【0012】
さらに、前記直流変圧器における前記第2電流制限抵抗ユニットまたは第3電流制限抵抗ユニットは、接続された母線で短絡故障が発生したときに投入され、前記直流変圧器が過電流とならないようにする。
【0013】
さらに、前記直流変圧器における前記第2電流制限抵抗ユニットと、前記第3電流制限抵抗ユニットは、回路の引出線側で短絡故障が発生したときには投入されない。
【0014】
本発明の実施形態は前記多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法であって、直流グリッド中におけるいずれかの引出線に短絡故障が発生した場合、前記方法は、故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、故障引出線に対応する前記引出線電流制限器のバイパススイッチを開き、前記第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持するステップと、前記引出線に対応する過電流保護動作をするステップと、前記引出線電流制限器の直流スイッチを開き、故障点を除去するステップと、を含む。
【0015】
選択可能な態様として、前記引出線に対応する過電流保護動作をする前に、前記方法は、前記故障引出線に接続された直流母線の電圧を検出するステップと、前記電圧が正常範囲にある場合には、前記直流母線に接続された前記直流変圧器の制御ポリシーを変らないように維持するステップと、電圧が一定の範囲を超えた場合には、前記直流母線に接続された前記直流変圧器は直流電圧を閉ループ調整するステップと、をさらに含む。
【0016】
さらに、前記第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持することは、故障前の電流値および設定された過電流保護定値に基づいて、前記第1電流制限抵抗ユニットに投入した等価抵抗値を総合的に計算し、前記第1電流制限抵抗ユニットの選択スイッチの開閉制御により、実際の投入抵抗値を前記等価抵抗値に近づくようにする。
【0017】
また、本発明は前記多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法であって、直流グリッド中におけるいずれかの母線が故障した場合、前記方法は、故障母線に接続された直流変圧器は故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、前記故障母線に接続された前記直流変圧器の第2バイパススイッチまたは/および第3バイパススイッチを開き、第2電流制限抵抗ユニットまたは/および第3電流制限抵抗ユニットを投入するステップと、前記直流変圧器の制御ポリシーを電流制限モードに切り替え、即ち故障前の電流を維持するステップと、故障が消失したことを検出したとき、直流母線電圧は正常範囲に戻り、前記直流変圧器を正常制御モードに切り替えるステップと、しばらくの間故障はまだ存在すると、永久故障と判定し、前記直流変圧器における直流変換ユニットのパワー半導体デバイスを閉鎖し、故障をアップロードするステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本出願の実施形態に係る発明は、電流制限抵抗ユニットの投入を追加することにより、故障電流変化率を低減し、直流グリッド中の設備を保護することに有利であり、故障期間中には、直流変圧器を閉鎖しなくてもよく、故障をクリアした後、システムの迅速な回復に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の実施形態に係る発明をより明確に説明するために、以下では、実施形態の説明において必要とされる図面を簡単に紹介するが、以下の説明における図面は本発明の一部の実施形態にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働をしない前提で、これらの図面から他の図面を得ることもできることは明らかである。
図1】本発明の一実施形態に係る多電圧レベル直流グリッドシステムの構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る直流変圧器の構成図である。
図3】本発明の一実施形態に係る引出線電流制限器の構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電流制限抵抗ユニットの構成図である。
図5】本発明の一実施形態に係る直流変換ユニットの構成図である。
図6】本発明の一実施形態に係るバイパススイッチの構成図である。
図7】本発明の一実施形態に係る直流グリッドにおける故障点の分布状況を示す概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係る直流引出線が故障した場合の等価回路図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る直流母線が故障した場合の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願の実施形態の目的、発明及び利点をより明確にするために、以下、図面と実施形態を結び付けながら、本発明の具体的な実施形態についてより詳しくかつ明確に説明する。しかしながら、以下に説明する具体的な実施形態および実施例は、説明の目的だけであって、本明細書に対する限定ではない。これは、本発明の一部の実施形態を含むだけであって、全ての実施形態ではなく、当業者が本発明の様々な変化について得た他の実施形態は、本発明の保護範囲に属する。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る多電圧レベル直流グリッドシステムの構成図であり、2つの直流変圧器と、2つの直流母線と、2つの引出線電流制限器と、3つの引出線とを含む。
【0022】
直流変圧器1の一端は直流母線1に接続され、他端は直流母線2に接続され、直流電圧変換が実現できる。直流変圧器2の一端は直流母線2に接続され、他端は引出線3に接続され、直流電圧変換が実現できる。引出線電流制限器1の一端は直流母線2に接続され、他端は引出線1に接続されている。引出線電流制限器2の一端は直流母線2に接続され、他端は引出線2に接続されている。
【0023】
図2は本発明の一実施形態に係る直流変圧器の構成図であり、図2に示すように、直流変圧器は直流変換ユニットと、第2電流制限ユニットと、第3電流制限ユニットとを含む。
【0024】
図5は本発明の一実施形態に係る直流変換ユニットの構成図であり、図5に示すように、直流変換ユニットは、電力電子変換ユニットにより直流電圧変換が実現できる。直流変換ユニットは2つのHブリッジ構成を含み、DC-AC、AC-DCにより直流変換機能を実現する。
【0025】
第2電流制限ユニットは並列に接続された第2バイパススイッチと、第2電流制限抵抗ユニットとを含有する。第3電流制限ユニットは並列に接続された第3バイパススイッチと、第3電流制限抵抗ユニットとを含む。第2電流制限ユニットおよび第3電流制限ユニットはそれぞれ直流変換ユニットの両端に直列に接続されている。
【0026】
第2電流制限抵抗ユニットおよび第3電流制限抵抗ユニットは、直列に接続された選択スイッチと抵抗とを含む複数の分岐回路を含有し、電流制限抵抗ユニットの抵抗値は選択スイッチの開閉を制御することにより調整することができる。
【0027】
ここで、直流変圧器における第2電流制限抵抗ユニットと、第3電流制限抵抗ユニットは、接続された母線に短絡故障が発生したときに投入され、投入後の直流変圧器に過電流が発生しないようになる。直流変圧器における第2電流制限抵抗ユニットと、第3電流制限抵抗ユニットは、回路の引出線側で短絡故障が発生したときには投入されない。
【0028】
図3は本発明の一実施形態に係る引出線電流制限器の構成図である。図3に示すように、引出線電流制限器は第1電流制限ユニットを含み、第1電流制限ユニットは直流スイッチ群および並列に接続された第1バイパススイッチと、第1電流制限抵抗ユニットとを含む。第1電流制限抵抗ユニットは、直列に接続された選択スイッチと抵抗とを含む複数の分岐回路を含有し、第1電流制限抵抗ユニットの抵抗値は前記選択スイッチの開閉を制御することにより調整することができる。
【0029】
ここで、直流スイッチは直流電流を遮断することができる。各電流制限抵抗ユニットの等価抵抗値は同じであっても良いし、異なってもよい。
【0030】
引出線電流制限器における第1電流制限抵抗ユニットは本回路の引出線側で短絡故障が発生したときに投入され、投入後の本回路の故障電流は設定値の近くまでに低下する。引出線電流制限器における第1電流制限抵抗ユニットは他の回路の引出線側で短絡故障が発生したときには投入されない。
【0031】
図4は本発明の一実施形態に係る電流制限抵抗ユニットの構成図であり、図4に示すように、本実施形態では、電流制限抵抗ユニットはいずれも選択スイッチと抵抗とを含む3つの分岐回路を含有し、各抵抗の抵抗値は60Ωであり、K1、K2、K3が閉じている時には、等価抵抗値は20Ωであり、K1、K2、K3の2つのスイッチが閉じている時には、等価抵抗値は30Ωであり、1つのスイッチだけが閉じている時には、等価抵抗値は60Ωである。
【0032】
図6は本発明の一実施形態に係るバイパススイッチの構成図であり、図6に示すように、バイパススイッチは二つ逆直列に接続されている、逆並列ダイオード付きのパワー半導体スイッチングデバイスを含む。
【0033】
ここで、各バイパススイッチは高速機械式接触器で構成されてもよいので、これに対しては限定しない。
【0034】
また、本発明の実施形態は多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法も提供する。直流グリッド中におけるいずれかの引出線に短絡故障が発生した場合、制御保護方法は以下のステップを含む。
【0035】
ステップ110で、故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、故障引出線に対応する前記引出線電流制限器のバイパススイッチを開き、第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持する。
【0036】
ステップ120で、引出線に対応する過電流保護動作をする。
【0037】
ステップ130で、対応する引出線電流制限器の直流スイッチを開き、故障点を除去する。
【0038】
ここで、ステップ110においては、故障前の電流値および設定された過電流保護定値に基づいて、第1電流制限抵抗ユニットに投入した等価抵抗値を総合的に計算し、第1電流制限抵抗ユニットの選択スイッチの開閉制御により、実際の投入抵抗値を前記等価抵抗値に近づくようにする。
【0039】
また、本発明の実施形態は別の多電圧レベル直流グリッドシステムの制御保護方法も提供する。直流グリッド中におけるいずれかの引出線に短絡故障が発生した場合、制御保護方法は以下のステップを含む。
【0040】
ステップ110で、故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、対応する前記引出線電流制限器のバイパススイッチを開き、第1電流制限抵抗ユニットを投入し、故障電流を制限して設定値に保持する。
【0041】
ステップ111で、故障引出線に接続された直流母線の電圧を検出する。
【0042】
ステップ112で、電圧が正常範囲にある場合に、直流母線に接続された直流変圧器の制御ポリシーが変らないように維持する。
【0043】
ステップ113で、電圧が一定の範囲を超えた場合、直流母線に接続された直流変圧器は直流電圧を閉ループ調整する。
【0044】
ステップ120で、引出線に対応する過電流保護動作をする。
【0045】
ステップ130で、対応する引出線電流制限器の直流スイッチを開き、故障点を除去する。
【0046】
ここで、ステップ110において、故障前の電流値および設定された過電流保護定値に基づいて、第1電流制限抵抗ユニットに投入した等価抵抗値を総合的に計算し、第1電流制限抵抗ユニットの選択スイッチの開閉制御により、実際の投入抵抗値を前記等価抵抗値に近づくようにする。
【0047】
例えば、図7に示すように、故障点がD1の場合、すなわち引出線故障であり、本実施形態の電源電圧は10.5KVであり、システムインピーダンスは0.5Ωであり、第1電流制限抵抗ユニットは図4に示す。
【0048】
もし故障の時に、電流制限抵抗が投入されていない場合は、故障点の近端にある第2直流母線の直流電圧が0に近づくとき、母線全体に電圧が下がり、フォルトライドスルーが実現できなくなる。
【0049】
電流制限抵抗が投入されている場合は、図8に示すように、抵抗を投入した後、近端の第2直流母線の電圧は10.5×R/(R+0.5)であり、投入抵抗値が30Ωである場合、直流電圧は10.3KVであり、正常な電圧に比べると、偏差は2%未満で、故障状況の下で直流母線電圧を安定させることを実現する。
【0050】
最終的には、引出線1の過電流保護動作をし、対応する引出線電流制限器の直流スイッチを開き、故障点を除去する。
【0051】
直流グリッド中におけるいずれかの母線が故障した場合、制御保護方法は以下のステップを含む。
【0052】
ステップ310で、故障母線に接続された直流変圧器は故障電流値が電流制限動作閾値を超えたことを検出したとき、バイパススイッチを開き、故障母線に接続された第2電流制限抵抗ユニットまたは第3電流制限抵抗ユニットを投入する。
【0053】
ステップ320で、直流変圧器の制御ポリシーを電流制限モードに切り替え、即ち故障前の電流を維持する。
【0054】
ステップ330で、故障が消失したことを検出したとき、直流母線電圧は正常範囲に戻り、直流変圧器を正常制御モードに切り替える。
【0055】
ステップ340で、しばらくの間故障はまだ存在すると、永久故障と判定し、前記直流変圧器における直流変換ユニットのパワー半導体デバイスを閉鎖し、故障をアップロードする。
【0056】
例えば、図7に示すように、故障点がD2である場合、即ち直流母線2に短絡故障が発生した時には、直流変圧器1と直流変圧器2はいずれも過電流が検出され、直流母線電圧2は0に近づくまで低下する。
【0057】
直流変圧器に電流制限抵抗ユニットがない場合、過電流は直流変圧器の過電流閉鎖トリップや破損を引き起こす。本実施形態では、直流変圧器1は第3バイパススイッチを迅速に開き、第3電流制限抵抗ユニットを投入し、直流変圧器2は第2バイパススイッチを迅速に開き、第2電流制限抵抗ユニットを投入し、この時、電流制限抵抗と直流変圧器の制御ポリシーの調整を結合することにより、直流変圧器の出力電流を故障前と一致するように確保することができる。
【0058】
図9に示すように、母線電圧が0の場合、投入抵抗値は20Ωであり、出力電圧が10KVの場合、電流を500Aに制限することができる。
【0059】
故障のために閉鎖トリップしなく、D2の故障が瞬時故障の場合、故障が消えたら、システムは速やかに正常運行に戻り、フォルトライドスルーを実現する。
【0060】
なお、以上のように、図面を参照しながら説明した各実施形態は、本発明を説明するだけであって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明について修正または均等置換を行うものとして、本発明の範囲内に含まれるべきであることを、当業者は理解すべきである。また、文脈以外にも単数で表現する用語は複数の形を含み、逆も同様である。さらに、特に説明しない限り、任意の実施形態の全部または一部は、他の実施形態の全部または一部と組み合わせて使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9