(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】休止モードの測定最適化
(51)【国際特許分類】
H04W 52/02 20090101AFI20220714BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220714BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20220714BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20220714BHJP
H04W 72/10 20090101ALI20220714BHJP
H04W 72/08 20090101ALI20220714BHJP
H04B 17/318 20150101ALI20220714BHJP
H04B 17/336 20150101ALI20220714BHJP
【FI】
H04W52/02 110
H04W72/04 132
H04W24/10
H04W16/28
H04W72/10
H04W72/08
H04B17/318
H04B17/336
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021000219
(22)【出願日】2021-01-04
(62)【分割の表示】P 2018559860の分割
【原出願日】2017-05-12
【審査請求日】2021-01-21
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(72)【発明者】
【氏名】リンカーン, ボー
(72)【発明者】
【氏名】カリピディス, エレフテリオス
(72)【発明者】
【氏名】セーマン, イリアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヘスラー, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】バルデメア, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】パレニウス, トルグニー
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-247063(JP,A)
【文献】国際公開第2016/055102(WO,A1)
【文献】特開2005-311857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0229931(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-2
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信ネットワーク内で動作するための無線デバイスにおける方法であって、前記方法は、
休止モードで動作することであって、前記休止モードで動作することは、信号を監視および/または測定するために受信機回路を間欠的にアクティブ化することであって、前記信号は所定のリソースのセットに関連付けられ、前記所定のリソースのセットのうちのリソースは、ビーム、タイミング、および周波数のうちの一つ以上によってそれぞれ定義されることと、
前記休止モードでの動作期間中に、前記受信機回路が信号の監視および/または測定のためにアクティブ化されたときに少なくとも1回の反復を実行し、各反復には、
前記所定のリソースのセットのうちの各リソースについて測定を実行すること、または、前記所定のリソースのセットのうちの各リソースからの情報を復調および復号することと、
所定の基準に対して前記各リソースについての前記測定、または、前記復調済みかつ復号済み情報を評価することと、
前記各リソースについて前記所定の基準が満たされている場合に、前記少なくとも1回の反復の実行を中止し、アクティブ化された前記受信機回路を非アクティブ化することと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記所定のリソースのセットのうちの前記リソースはそれぞれビームとして定義される、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記所定の基準は、
一つまたは所定数のリソースについて、受信電力レベル、または測定した信号対干渉及び雑音比(SINR)、または信号対雑音比(SNR)が、所定の閾値を超えていることと、
セル情報を一つまたは所定数のリソースから正確に復号できることと、
一つまたは所定数のリソースからの復号済み情報が前記無線デバイスの動作の変更を指示することと
のうちの一以上を含む、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法であって、前記少なくとも1回の反復を実行することの前に、前記所定のリソースのセットについて、最高から最低までの優先順位を決定することであって、前記少なくとも1回の反復を実行することが、最高から最低へと前記優先順位に従うことをさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記所定のリソースのセットについて前記優先順位を決定することは、
一つ以上の前記リソースについての無線リソースタイミングと、
一つ以上の前記リソースの以前の測定値からの測定した信号品質または測定特性と
のうちの一以上に基づく、方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の方法であって、前記所定のリソースのセットについての前記優先順位を決定することは、一つ以上の前記リソースについての有用性の可能性に関する情報に基づき、前記情報
はセル近隣リストから受信される、方法。
【請求項7】
無線通信ネットワーク内で動作する無線デバイスであって、前記無線デバイスは受信機回路と前記受信機回路に有効に結合された処理回路とを含み、
休止モードで動作し、前記休止モードで動作することは、信号を監視および/または測定するために前記受信機回路を間欠的にアクティブ化することであって、前記信号は、所定のリソースのセットに関連付けられ、前記所定のリソースのセットのうちのリソースは、ビーム、タイミング、および周波数のうちの一つまたは複数によってそれぞれ定義され、
前記休止モードでの動作期間中に、前記受信機回路が信号の監視および/または測定のためにアクティブ化されたときに少なくとも1回の反復を実行し、各反復には、
前記所定のリソースのセットのうちの各リソースについて測定を実行し、または、前記所定のリソースのセットのうちの各リソースからの情報を復調および復号し、
所定の基準に対して前記各リソースについての測定、または、前記復調済みかつ復号済み情報を評価し、
前記各リソースについて前記所定の基準が満たされている場合に、前記少なくとも1回の反復の実行を中止し、アクティブ化された前記受信機回路を非アクティブ化する、
よう構成される無線デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の無線デバイスであって、前記所定のリソースのセットのうちの前記リソースはそれぞれビームとして定義される、無線デバイス。
【請求項9】
請求項8に記載の無線デバイスであって、前記所定の基準は、
一つまたは所定数のリソースについて、受信電力レベルまたは測定した信号対干渉及び雑音比(SINR)、または信号対雑音比(SNR)が、所定の閾値を超えていることと、
セル情報を一つまたは所定数のリソースから正確に復号できることと、
一つまたは所定数のリソースからの復号済み情報が前記無線デバイスの動作の変更を指示することと
のうちの一以上を含む、無線デバイス。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の無線デバイスであって、前記処理回路はさらに、前記少なくとも1回の反復の実行の前に、前記所定のリソースのセットについて、最高から最低までの優先順位を決定するよう構成され、前記処理回路は、前記少なくとも1回の反復の実行を、最高から最低へと前記優先順位に従って実行するよう構成される、無線デバイス。
【請求項11】
請求項10に記載の無線デバイスであって、前記処理回路が前記所定のリソースのセットについて前記優先順位を決定することは、
一つ以上の前記リソースについての無線リソースタイミングと、
測定した信号品質または一つ以上の前記リソースの以前の測定値からの測定特性と
のうちの一以上に基づく、無線デバイス。
【請求項12】
請求項10または11に記載の無線デバイスであって、前記処理回路は、一つ以上の前記リソースに対する有用性の可能性に関する情報に基づいて前記所定のリソースのセットの前記優先順位を決定するように構成され、前記情報
はセル近隣リストから受信される、無線デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に無線リソース管理のための測定の実行に関し、特に休止モードで測定を実行するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いかなるセルラシステムでも、電池式のモバイルノード(以下では「ユーザ機器」または「UE」と呼ぶ)が、それらの時間のほとんどを低活動状態で費やしてエネルギーを長持ちさせられることが非常に重要である。通常、セルラシステムは、一以上の定義された「アクティブ」モードを有しており、そこでは、UEがネットワークによって制御され、特定のセルに接続するように指示され、特定の測定を行うなどすることになる。システムは一般に一以上の「アイドル」または「休止」モードも有しており、そこでは、UEは通常ネットワークからの特定の信号のみをリッスンし、どのセルをリッスンするか、およびいつ状態の更新を報告するかに関して独自の決定をする。
【0003】
今日のほとんどのセルラシステムにおけるほとんどのUEは休止モードでそれらの時間の大部分を費やしており、そしてそれ故にUEが休止モードでできるだけ少ない電力を消費できることが最も重要である。
【0004】
現在第3世代パートナーシップ(3GPP)によって定義されており、しばしば「新無線(New Radio)」または「NR」と呼ばれる第5世代無線アクセスネットワーク(RAN)のようなセルラシステムでは、セル情報信号の送信のためにビームフォーミングを使用することができる。ここでの「ビームフォーミング」とは、(通常は)所与の信号または一セットの信号に対する信号エネルギーの非常に指向性の高い送信、たとえばダウンリンク送信用の、水平面内で90度より小さい(多くの場合実質的に小さい)3dBのビーム幅を指す。従来の送信は、例えば垂直方向に過剰なエネルギーを送信することを避けるため、および/または信号エネルギーの大部分を特定のセルセクタに向けるためにある程度シェーピングされているが、本明細書で論じるビームフォーミング済み送信は、意図的に、より大きな程度にシェーピングされ、その結果、たとえば、任意の所与のダウンリンクビームは、一般に送信ノードによってサービスされる領域のごく一部でのみ有用な信号強度を提供する。したがって、領域全体にサービスを提供するために、送信ノードは、時間多重化された、または周波数多重化された、またはその両方であり得る複数の、おそらく非常に多くのビームを利用することができる。
【0005】
セル情報信号またはブロードキャスト信号、たとえばいわゆるモビリティ参照シンボルを、セル全体にわたって送信するのではなく、ビームフォーミングすることは、いくつかの理由で行われ得る。一つの理由は、送信機の実効アンテナ利得を増大させること、例えば、高周波数帯域におけるより高い経路損失を補償すること、または従来の周波数で拡張されたカバレッジを可能にすることである。他の理由は、ビームの指向性に基づいて、UEの大まかな空間的位置決定を得ることである。
【0006】
通常は、ビームフォーミングされたセル情報信号はビーム間で時分割多重化されるので、各ビームのために高出力電力を使用することができる。
【発明の概要】
【0007】
ビームフォーミングされたセル情報信号では、休止モードにあるUEが探索し測定しなければならない信号の数に関して導入された増倍率がある。セル情報がビームフォーミングされない従来のシステムでは、通常は各「セル」に対して測定すべき一つの信号がある-セル情報がビームフォーミングされる同じ種類の「セル」に対して、モビリティ参照信号を搬送するビームのような、探索すべき数十の信号またはビームがあり得る。特に信号が時間多重化されているなら、このようなビームの探索はUE受信機が長時間にわたってオンであることを必要とするので、これは休止モードにおけるUEの電力消費を増大させる可能性がある。
【0008】
これらの問題に対処するために本明細書に開示される実施形態は、休止モードで動作しているUEまたは他の無線デバイスによって実行される方法を含み、それにおいては休止モードでの動作は、信号を監視および/または測定するために受信機回路を間欠的に起動することを含む。これらの方法は、無線デバイスがこの休止モードにある間、および受信機回路が起動されている間に、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれに対して測定を実行すること、または、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれから情報を復調および復号することを含み、ここで、所定のリソースセット内のリソースは、ビーム、タイミング、および周波数のうちの一つまたは複数によってそれぞれ定義される。いくつかの実施形態では、この所定のリソースのセット内のリソースはそれぞれビームとして定義される。方法はさらに、複数のリソースのそれぞれについての測定値または復調および復号化された情報を所定の基準に対して評価することと、その後、所定の基準が満たされていると判定したことに応じて、測定の実行および評価を中止すること、または復調および復号と情報の評価とを中止することを含み、その結果、所定のリソースのセット内の一つ以上のリソースは測定も復調および復号もされない。方法はさらに、所定の基準が満たされていると判定されたことに応じて、アクティブ化された受信機回路を非アクティブ化することをさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、所定の基準は次のうちの一つ以上を含む。一つのリソースについて又は所定数のリソースについて、受信電力レベル、または測定された信号対干渉雑音比(SINR)、または信号対雑音比(SNR)が所定の閾値を超えていること。セル情報が、一つのリソースから、または所定数のリソースについて正確に復号することができること。および、一つまたは所定数のリソースから復号された情報が、無線デバイスの動作の変更を指示すること。
【0010】
いくつかの実施形態では、中止は、所定の基準がリソースのうちの一つについて満たされていると判断したことに応じて実行される。いくつかの実施形態では、方法はさらに、前記実行または復調および復号の前、かつ、前記評価、中止、および非アクティブ化の前に、所定のリソースのセットについて、最高から最低までの優先順位を決定することであって、前記実行または復調および復号が、最高から最低へと優先順位に従うことを含む。所定のリソースのセットの優先順位を決定することは、例えば以下のうちの任意の一つまたは複数に基づいてもよい。一以上のリソースについての無線リソースタイミング。一以上のリソースの以前の測定値からの測定済み信号品質または測定特性。いくつかの実施形態では、所定のリソースのセットの優先順位を決定することは、一以上のリソースに対する有用性の可能性に関する情報に基づいており、その情報は他のソースまたはセル近隣リストから受信される。
【0011】
本明細書に開示される他の実施形態は、上に要約されたもののいずれかによる方法を実行するように適合された無線バイス、ならびに対応するコンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読媒体を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、NRとLTEの高レベル論理アーキテクチャを示す。
【
図2】
図2は、NRとLTEの論理アーキテクチャを示す。
【
図4】
図4は、フィルタ処理/ウィンドウ処理直交周波数分割多重(OFDM)処理のブロック図を含み、時間-周波数面へのサブキャリアのマッピングを示す。
【
図5】
図5は、OFDMシンボルのウィンドウ化を示す。
【
図7】
図7は、モビリティおよびアクセス参照信号(MRS)の例示的な構成を示す。
【
図9】
図9は、トラッキングRANエリア(TRA)更新手順を示す信号フロー図である。
【
図11】
図11は、アクティブモードのモビリティ手順を示すシグナリングフロー図である。
【
図12】
図12は、アップリンク測定に基づくビーム選択を説明するシグナリングフロー図を示す。
【
図13】
図13は、アップリンク測定に基づくノード内ビーム選択を説明するシグナリングフロー図である。
【
図14】
図14は、無線デバイスにおける方法例を説明する処理フロー図である。
【
図15】
図15は、無線デバイスにおける別の方法例を説明する処理フロー図である。
【
図16】
図16は、無線デバイスにおけるさらに別の方法例を説明する処理フロー図である。
【
図17】
図17は、無線デバイスの例を説明するブロック図である。
【
図18】
図18は、無線ネットワーク機器の例を説明するブロック図である。
【
図19】
図19は、無線デバイスの例を説明する別のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述したように、セル情報信号のビームフォーミングは、休止モードで動作している無線デバイス、すなわちUEについての電力消費に関して潜在的な問題を引き起こす。セル情報がビームフォーミングされない従来のシステムでは、通常は各セルに対して測定すべき一つの信号がある(ここで「セル」とはセルラネットワークのアクセスポイントによって送信された信号によりカバーされる地理的領域を指す)-セル情報がビームフォーミングされる同じ種類のセルに対して、モビリティ参照信号を搬送するビームのような、探索すべき数十の信号またはビームがあり得る。特に信号が時間多重化されているなら、このようなビームの探索はUE受信機が長時間にわたってオンであることを必要とするので、これは休止モードにおけるUEの電力消費を増大させる可能性がある。
【0014】
本明細書に記載の技術および装置は、ビームフォーミング済みセル情報信号を使用するセルラシステム、例えば3GPPのNRシステムのようなシステムにおいて、休止モードでの電力消費を低減または制限することによってこれらの問題に対処する。本明細書に記載の技術および装置は、既に測定されているビームフォーミング済みセル情報信号の信号品質に基づいて、UE内の測定およびセル探索シーケンスを制限することによってこれを行う。各測定インスタンスについて、UEは、その探索を以前に知られている強い信号に集中することができ、同時にそのキャリア上の新しいセルを探索することができる。以前に知られていた強い信号が十分に強いことが確認された場合、測定シーケンスを停止でき、その結果、UEは可能性のあるあらゆるセル情報信号を探索する必要がない。同様に、一つまたは所定数のセル情報信号が受信され、十分に強いと判断されたなら、測定シーケンスを停止することができ、そのためUEは、この場合もやはり探索対象の所定の信号セット内のすべてのセル情報信号を探索しない。
【0015】
本明細書に記載のいくつかの実施形態の利点は、一以上のセル情報信号に対して「十分に良好である」信号品質を有するとUEが迅速に判断できる状況において、休止モードのUEの測定期間を大幅に短縮できることであり、ここで「十分に良好である」とは、信号品質が一以上の所定の基準を満たすことを意味する。
【0016】
いくつかの特定の実施形態の詳細な説明を含む、これらの技術および装置の詳細を以下に提供する。しかし、最初に、第五世代ネットワーク(「5G」と呼ばれる)の要件およびユースケースに対処することを目的とした無線通信ネットワークのいくつかの態様について、システム/ネットワークアーキテクチャ、および詳細設計の説明を行い、以下の休止モードの動作の開示のための背景を提供する。しかし、当然のことながら、実際の5Gネットワークは、以下に記載される詳細な特徴のうちのどれも含まないか、又はいくつか或いはすべてを含んでもよい。さらに当然のことながら、本明細書に記載されている休止モードでの測定の実行のための技術および装置はいわゆる5Gに限定されず、他の無線ネットワークで利用され、および/または他の無線ネットワークに適合されてよい。
【0017】
以下の説明では、無線デバイス、無線アクセスネットワーク、およびコアネットワークを含む無線通信ネットワークを「NR」と呼ぶ。便宜上、用語「NR」は単にラベルとして本明細書で使用されることは理解されるべきである。本明細書に詳述される特徴のいくつかまたはすべてを含む無線デバイス、無線ネットワーク機器、ネットワークノード、およびネットワークの実装は、もちろん、任意の様々な名前で呼ばれることがある。例えば、5Gの仕様の将来の開発では、他の用語が使用される可能性があり、ここで説明されている機能の一部またはすべてが、これらの仕様に直接適用できる可能性があることは理解されるであろう。同様に、本明細書で説明されている様々な技術および機能は、「5G」無線通信ネットワークを対象としているが、本明細書で詳述される特徴のいくつかまたはすべてを含む無線デバイス、無線ネットワーク機器、ネットワークノード、およびネットワークの具体的な実装は、用語「5G」で参照されてもされなくてもよい。
【0018】
NRは新しいユースケース、例えばファクトリオートメーションやエクストリームモバイルブロードバンド(MBB)を対象としており、高度な柔軟性を要求する広範囲のスペクトル帯域で展開されてよい。ライセンススペクトルはNR無線アクセスの基礎であり続けているが、非ライセンススペクトル(スタンドアロンおよびライセンスアシスト式)およびさまざまな形式の共有スペクトル(たとえば、米国の3.5GHz帯域)がネイティブにサポートされている。1GHz未満からほぼ100GHzまで、幅広い周波数帯域がサポートされている。さまざまな周波数帯域、いくつかは6GHzより低い周波数帯域のカバレッジを対象とし、いくつかは、カバレッジのバランス、屋外から屋内への進出、最大30GHzの広帯域幅を提供し、そして最後にいくつかの帯域は、広帯域幅のユースケースを扱う30GHzを超える帯域幅に、NRを展開できるようにすることを保証することは主要な利益であるが、カバレッジと展開の複雑さにはおそらく不利になる。スケジューラが送信方向を動的に割り当てるFDDと動的TDDはどちらもNRの一部である。しかしながら、NRの最も実際的な展開は不対スペクトル(unpaired spectrum)である可能性があり、それはTDDの重要性を要求することが理解される。
【0019】
データと一緒に送信される参照信号を内蔵する送信である超スリム設計は、信号のブロードキャストを最小限に抑える。端末は、そうするようにスケジュールされていない限り、サブフレームの内容について何の仮定もしない。ユーザデータに直接関係しないシグナリングが最小限に抑えられるため、結果としてエネルギー効率が大幅に向上する。
【0020】
LTEとの密な相互作用と同様にスタンドアロン展開もサポートされる。このような相互作用は、より高い周波数範囲で、または限定的なカバレッジで初期のNRロールアウトで使用されるときに、NRを使用した一貫したユーザエクスペリエンスにとって望ましい。無線アクセスネットワーク(RAN)アーキテクチャは、NRのみ、LTEのみ、または二重標準の基地局の混在を扱える。eNB(「発展型ノードB」、基地局の3GPP用語)は、標準化されることが期待される新しいインタフェースを介して互いに接続されている。これらの新しいインタフェースは、ネットワークスライシング、信号のオンデマンドでのアクティブ化、コアネットワーク(CN)でのユーザプレーン/コントロールプレーンの分割、ここで説明しるような新しい接続休止状態のサポートなどの機能をサポートするための既存のS1およびX2インタフェースの進化であると考えられる。後述するように、LTE-NR基地局は、パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)および無線リソース制御(RRC)層などの少なくとも統合された上位無線インタフェースプロトコル層、ならびに発展型パケットコア(EPC)への共通のコネクションを共有することができる。
【0021】
NRは、専用のデータ送信をシステムアクセス機能から分離する。後者には、システム情報配信、接続確立機能、およびページングが含まれる。システム情報のブロードキャストは最小限に抑えられ、必ずしもユーザプレーンデータを処理するすべてのノードから送信されるわけではない。この分離は、ビームフォーミング、エネルギー効率、および新しい展開ソリューションのサポートに役立つ。特に、この設計原理は、シグナリング負荷を増大させることなく、高密度化がユーザプレーン容量を増大させることを可能にする。
【0022】
ダウンリンク方向およびアップリンク方向の両方におけるOFDMを用いた対称設計は、以下に詳述される。広範囲のキャリア周波数および展開を処理するために、スケーラブルなニュメロロジーを使用することができる。例えば、ローカルエリアの高周波数ノードは、ワイドエリアの低周波数ノードよりも大きなサブキャリア間隔およびより短い巡回プレフィックスを使用する。非常に低いレイテンシをサポートするために、レイテンシがそれほど重要ではないサービスのためのサブフレームアグリゲーションの可能性と共に、速いACK NACK(確認応答/否定応答)を有する短いサブフレームが提案される。また、競合ベースのアクセスは、UEが開始する高速アクセスを容易にするためにNRの一部である。合理的なチップ面積で高データレートの高速復号化を容易にするために、ターボ符号の代わりに、ポーラ符号または様々な形態の低密度パリティ検査(LDPC)符号などの新しい符号化方式を使用することができる。長い不連続受信(DRX)サイクルおよびUEのRANコンテキストが維持される新しいUE状態であるRRC休止は、低減された制御シグナリングでアクティブモードへの高速遷移を可能にする。
【0023】
マルチアンテナ技術のすべての可能性を引き出すことは、NR設計の基礎である。ハイブリッドビームフォーミングがサポートされ、デジタルビームフォーミングの利点が活用される。自己完結型送信によるユーザ固有のビームフォーミングは、特に高周波でのカバレッジに有利である。同じ理由で、UE送信(TX)ビームフォーミングは、少なくとも高周波数帯域に関して有利な構成要素として提案されている。アンテナ素子の数は、LTEのような展開における比較的少数のアンテナ素子(例えば2~8個)から、多数のアクティブな又は個別に可動なアンテナ素子が、ビームフォーミング、シングルユーザーMIMOおよび/または大規模MIMOのすべての可能性を引き出すためのマルチユーザーMIMOのために使用される数百個まで変化し得る。参照信号と媒体アクセス制御(MAC)機能は、相互依存ベースの方式を活用できるように設計されている。端末が2つ以上の送信ポイントに同時に接続されるマルチポイント接続は、複数のポイントから同じデータを送信することによってダイバーシティ/ロバスト性を提供するために使用できる。
【0024】
NRは、高利得ビームフォーミングを効率的にサポートするためのビームベースモビリティの概念を含む。この概念は、eNB間ビームハンドオーバおよびeNB内ビームハンドオーバの両方に対して透過的である。リンクビームが比較的狭い場合、モビリティビームは、良好なユーザエクスペリエンスを維持し、リンク障害を回避するために、UEを高い精度で追跡すべきである。モビリティの概念は、UEからのモビリティ測定が必要なときにオンデマンドで送信されるネットワーク設定可能なダウンリンクモビリティ参照信号のセットを定義することにより、超リーン設計原理に従う。アップリンク測定ベースのモビリティもまた、相互依存をサポートする適切な基地局とともに使用され得る。
【0025】
5Gモバイルブロードバンド(MBB)サービスには、さまざまな帯域幅が必要とされる。規模の下限では、比較的低い帯域幅を用いた大規模なマシン接続性のサポートは、ユーザ機器での総エネルギー消費によって後押しされる。対照的に、非常に広い帯域幅が、例えば4Kビデオおよび将来のメディアなど、大容量シナリオでは必要とされる可能性がある。NRエアインタフェースは、広帯域幅サービスに焦点を合わせており、そして大きくそして好ましくは連続的なスペクトル割り当ての利用可能性を中心に設計されている。
【0026】
本明細書で説明されるNRシステムによって対処される高レベルの要件は、以下のうちの一つまたは複数を含む:
1)より広いキャリア帯域幅とより高いピークレートでのより高い周波数帯のサポート。以下に詳述するように、この要件は新しいニュメロロジーを動機付けることに注意すべき
2)より短くより柔軟な送信時間間隔(TTI)、新しいチャネル構造などを必要とする、より短いレイテンシのサポート
3)たとえば、セル固有参照信号(CRS)、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)などに関する従来の制限を取り除くことで可能になった、非常に高密度の配置、エネルギー効率の高い配置、およびビームフォーミングの多用のサポート
4)いわゆる車両からあらゆる物への(vehicle-to-anything:V2X)シナリオ等を含むマシンタイプ通信(MTC)などの新しいユースケース、サービスおよび顧客のサポート。これには、より柔軟なスペクトル利用、非常に低いレイテンシのサポート、より高いピークレートなどが含まれてよい。
【0027】
以下はNRアーキテクチャの説明であり、それにNRのための無線インタフェースの説明が続く。それに続くのが、NRアーキテクチャおよび無線インタフェースによってサポートされる様々な技術および機能の説明である。当然のことながら、以下の詳細な説明は、説明した多くの特徴および技術を組み合わせることによって多数の利点が得られる無線通信システムの多くの態様の包括的な説明を提供するが、説明したすべての技術および特徴が、説明した技術及び特徴からシステムが利益をえるためにそのシステムに必ずしも含まれる必要はない。例えば、NRがどのようにLTEと密に統合され得るかの詳細が提供される一方で、NRのスタンドアロンバージョンもまた実用的である。より一般的には、所与の特徴が別の特徴に依存するものとして本明細書で具体的に説明されている場合を除き、本明細書で説明されている多くの技術および特徴の任意の組み合わせが有益であり得る。
【0028】
NRアーキテクチャは、スタンドアロン展開と、LTEまたは潜在的には他の任意の通信技術と統合することができる展開との両方をサポートする。以下の説明では、LTE統合ケースに多くの焦点が当てられている。しかしながら、NRのスタンドアロンのケースには、または他の技術との統合にも、同様のアーキテクチャの前提が適用されることに注意すべきである。
【0029】
図1は、NRとLTEの両方をサポートするシステム例のための高レベル論理アーキテクチャを示す。この論理アーキテクチャは、NR専用およびLTE専用の両方のeNB、ならびにNRおよびLTEの両方をサポートするeNBを含む。示されたシステムでは、eNBは、本明細書ではX2
*インタフェースと呼ばれる専用のeNB間インタフェースで互いに接続され、本明細書ではS1
*インタフェースと呼ばれる専用のeNBとCNインタフェースでコアネットワークに接続される。もちろん、これらのインタフェースの名称は異なっていてもよい。図に見られるように、進化型パケットサブシステム(EPS)の場合と同様に、コアネットワーク/無線アクセスネットワーク(CN/RAN)の分離は明らかである。
【0030】
S1*およびX2*インタフェースは、NRとLTEとの統合を容易にするために、既存のS1およびX2インタフェースの発展形であってよい。これらのインタフェースは、NRおよびLTEのデュアルコネクティビティ(DC)用のマルチ無線アクセス技術(RAT)機能、潜在的な新サービス(IoTまたは他の5Gサービス)、およびネットワークスライシング(ここでたとえば、別のスライスおよびCN機能は、別のCN設計を必要とする可能性がある)、モビリティ参照信号のオンデマンド起動、新しいマルチコネクティビティソリューション、CNにおける潜在的に新しいユーザプレーン/制御プレーン分割、新しい接続休止状態のサポートなどの機能をサポートするよう拡張することができる。
【0031】
図2は
図1と同じ論理アーキテクチャを示しているが、ここでは可能性のあるプロトコル分割やさまざまなサイトへのマッピングなど、内部eNBアーキテクチャの例も含まれている。
【0032】
以下は、本明細書で論じられるアーキテクチャの特徴である。
- LTEおよびNRは、少なくとも統合された上位無線インタフェースプロトコル層(PDCPおよびRRC)、ならびにパケットコアへの共通のS1*コネクション(EPC)を共有することができる。
○ 5G対応UEのためのLTEまたはNRの使用は、(必要に応じて)EPCに対して透過的であり得る。
- S1*上のRAN/CN機能分離は、S1上で使用されている現在の分離に基づいている。しかしながら、これは、例えばネットワークスライシングのような新しい機能をサポートするための、S1と比較したS1*に対する拡張を排除するものではないことに留意されたい。
- 5Gネットワークアーキテクチャは、ユーザ/フロー/ネットワークスライスごとにCN(EPC)機能の柔軟な配置(展開)をサポートする。
- PDCP/RRCの集中化がサポートされる。PDCP/RRCと下位層のエンティティとの間のインタフェースが標準化されている必要はないが(けれどもできてもよい)、独自仕様(ベンダ固有)であってもよい。
○ 無線インタフェースは、アーキテクチャの柔軟性をサポートするように設計されている(例えば、集中型/分散型など、複数の可能性のある機能展開を許す)。
○ このアーキテクチャはまた、(今日のLTEの場合のように)完全に分散されたPDCP/RRCもサポートする。
- 集中型PDCPおよびRRCとのNR/LTEデュアルコネクティビティをサポートするために、NRは、RRC/PDCP層と物理層との間のどこか、たとえばPDCP層での分割をサポートする。フロー制御はX2*上で実施されてよく、異なるノードにおけるPDCPと無線リンク制御(RLC)との分割をサポートする。
- PDCPは、無線ベアラのシグナリング(SRB)に使用されるPDCP-C部と、ユーザ無線ベアラ(URB)に使用されるPDCP-U部とに分割され、さまざまな場所に実装および展開できる。
- このアーキテクチャは、無線ユニット(RU)とベースバンドユニット(BBU)との間の共通公衆無線インタフェース(CPRI)ベースの分割だけでなく、(例えば非常に広い帯域幅、多くのアンテナをサポートする場合)必要なフロントホール帯域幅をBBUに向けて下げるために何らかの処理がRU/アンテナに移動する他の分割もサポートする。
【0033】
上記の説明にもかかわらず、本明細書に記載されている特徴および利点の多くを依然として維持しながら、代替のRAN/CN分割が可能であることに注意すべきである。
【0034】
このセクションでは、UEのスリープ状態すなわち「休止」状態に焦点を当てて、NRおよびLTEにおけるさまざまなUE状態について検討する。LTEでは、二つの異なるスリープ状態がサポートされている。
- ECM_IDLE/RRC_IDLE。コアネットワーク(CN)コンテキストのみがUEに格納される。この状態では、UEはRAN内にコンテキストを持たず、トラッキングエリア(またはトラッキングエリアリスト)レベルで認識される。(RANコンテキストは、RRC_CONNECTEDへの移行中に再び作成される。)モビリティは、ネットワークによって提供されるセル再選択パラメータに基づいて、UEによって制御される。
- UEが設定した不連続受信を伴うECM_CONNECTED/RRC_CONNECTED。この状態では、UEはセルレベルで認識されており、ネットワークはモビリティを制御する(ハンドオーバ)。
【0035】
これら二つの状態のうち、ECM_IDLE/RRC_IDLEは、非アクティブ端末のためのLTEにおける主要なUEのスリープ状態である。不連続受信を伴うRRC_CONNECTEDもまた使用されるが、UEは、通常、X秒の非アクティブの後にRRC_IDLEに解放される(Xは、事業者によって設定され、通常10~61秒の範囲である)。不連続受信を伴うRRC_CONNECTEDにUEを長く保つことが望ましくない理由は、eNBハードウェア能力またはソフトウェアライセンスにおける制限、あるいは、わずかに高いUEのバッテリ消費またはハンドオーバ失敗の数を抑えることを望むことなどの他の側面を含む。
【0036】
LTEでECM_IDLEからデータ送信を開始することは、「不連続受信を伴うRRC_CONNECTED」からのデータ送信と比較してかなり多くのシグナリングを含むことを考えると、「不連続受信を伴うRRC_CONNECTED」状態は、NRで拡張されて主要なスリープ状態になる。この機能強化には、ローカルエリア内でのUE制御のモビリティのサポートの追加が含まれるため、ネットワークがUEモビリティを積極的に監視する必要性を免れる。このアプローチは、NRおよびLTEに対して共通のRRC接続スリープ状態を生成するためにLTEのソリューションをさらに発展させることができる可能性を許していることに注意すべきである。
【0037】
以下は、このNRのUEスリープ状態の特徴であり、これは本明細書ではRRC_CONNECTED DORMANT(または略してRRC DORMANT)と呼ばれる。
- それは不連続受信(ミリ秒から数時間まで)をサポートする。
- それは、UE制御のモビリティをサポートし、例えば、UEは、ネットワークに通知することなく、トラッキングRANエリア(TRA)またはTRAリスト内をあちことへ移動することができる(LTEおよびNRにまたがるTRA(リスト)の範囲)。
- この状態への及びその状態からの遷移は、例えばUE内及びネットワーク内にRANコンテキスト(RRC)を記憶し再開することによって可能にされるように、(エネルギー節約か、又は高速アクセス性能か、いずれのために最適化されるかのシナリオに応じて)迅速かつ軽量である。
【0038】
このRRC DORMANT状態がどのようにサポートされているかの詳細なソリューションになると、さまざまなレベルのCNの関与に基づいてさまざまなオプションがある。一つの選択肢は以下のとおりである。
- CNは、UEがRRC_CONNECTED DORMANT状態にあるか、またはRRC_CONNECTED ACTIVE(後述)状態にあるかを認識していない。すなわち、副状態に関係なく、UEがRRC_CONNECTEDであるとき、S1*コネクションが常にアクティブであることを意味する。
- RRC DORMANT内のUEは、ネットワークに通知することなくTRAまたはTRAリスト内をあちこち移動できる。
○ ページングは、パケットがS1*を介して到着すると、eNBによってトリガされる。ページング領域のすべてのeNBへのX2*コネクティビティがない場合、MMEはページメッセージを転送することによってeNBを支援することができる。
○ UEが、UEコンテキストを持たないRANノードのRRC DORMANTからネットワークに接続した場合、そのRANノードはUEコンテキストを格納しているRANノードからコンテキストを取得することを試みる。これが成功すると、その手続きはCNにおけるLTE X2ハンドオーバのように見える。取得が失敗すると、UEコンテキストはCNから再構築される。
- ネットワークに通知することなくUEが移動することを許可されるエリアは、一セットのトラッキングRANエリアを含み、LTEとNR RATの両方をカバーするので、RRC DORMANTでRATを切り替えるときにシグナリングする必要性が回避される。
【0039】
RRC DORMANT状態(省電力に最適化されている)に加えて、実際のデータ送信に使用されるRRC_CONNECTED ACTIVE(RRC ACTIVE)状態がある。この状態はデータ送信に最適化されているが、しかしデータが送信されないものの非常に速いアクセスが要求されるシナリオでは、不連続受信設定のおかげでUEをマイクロスリープさせることができる。これは、RRC ACTIVE状態における監視設定と呼ばれることがある。この状態では、UEセルまたはビームレベルのモビリティがネットワークによって制御され、認識される。
【0040】
NRとLTEとの密な統合を考えると、NRにおいてRANに制御されたスリープ状態を有することを望むことは、NR/LTE対応のUEのためにLTEにおいてRANに制御されたスリープ状態もサポートするという要求を促進する。その理由は、密なNRとLTEの統合をサポートするために、LTEとNRについては共通のS1*コネクションが望ましいためである。RANに制御されたスリープ状態がNR側で導入されるならば、アクティブなS1*コネクションを有するLTE側でも同様のスリープ状態を有することは非常に有用であり、その結果、スリープ中のUEが、S1*コネクションの設定および解除をするためのシグナリングを実行せずにNRとLTEとの間で移動できる。LTEとNRとの間のこの種のRAT間再選択は、特にNRの初期の展開中に、非常に一般的であり得る。したがって、RRC_CONNECTED DORMANTと呼ばれる一般的なRANベースのスリープ状態をLTEに導入する必要がある。この状態におけるUEの挙動は、LTE RRC中断/再開について定義されたものと同様であるが、RRCが中断されたときにS1*コネクションは切断されないので、ページングはCNではなくRANによって行われる。
【0041】
同様に、NRとLTEの間の共通のRRC_CONNECTED ACTIVE状態が望ましい。この状態は、NR/LTE対応UEがNRまたはLTEのいずれかまたは両方においてアクティブであることを特徴とする。UEがNRまたはLTEまたはその両方のどれでアクティブであるかはRRC ACTIVE状態内での一構成態様であり、UEの挙動はどのRATがアクティブであるかに関わらず同様であるので、これらの条件は異なる副状態と見なされる必要はない。一例を挙げると、どのリンクかに関わらずリンクのうちの一つのみがアクティブである場合、UEは、デュアルコネクティビティおよびモビリティ目的のために、一方でデータを送信し、他方で測定を行うように構成される。
【0042】
図3は、LTEが上述した共通のRRC_CONNECTED ACTIVE状態およびRRC_CONNECTED DORMANT状態をサポートするLTE/NRシステムにおけるUE状態を示す。これらの状態は以下にさらに説明される。
【0043】
切断(非RRC設定)
-UEの電源がオフになっているか、またはまだシステムに接続されていないときの、進化型パケットサブシステム(EPS)で定義されたEMM_DETACHED(またはEMM_NULL)状態。
-この状態では、UEはいかなるインターネットプロトコル(IP)アドレスも持たず、ネットワークから到達できない。
- NRとLTEの両方のアクセスに同じEPS状態が有効である。
【0044】
ECM/RRC_IDLE
- これはLTにおける現在のECM_IDLE状態と同様である。
○ この状態はオプションである。
○ この状態が保たれる場合、ページングサイクルとトラッキングRANエリアとが、RRC DORMANTにおけるRANベースのページングとECM_IDLEにおけるCNベースのページングとの間で整列されことが望ましい。なぜなら、その後、UEはCNベースおよびRANベースの両方のページングをリッスンすることができ、RANベースのコンテキストが失われた場合にはUEを回復させられるからである。
【0045】
RRC_CONNECTED ACTIVE(RRC状態)
- UEはRRC設定され、例えば、一つのRRCコネクション、一つのS1*コネクション、および一つのRANコンテキスト(セキュリティコンテキストを含む)を有し、これらはデュアル無線UEの場合にはLTEおよびNRの両方に有効であり得る。
- この状態では、UEの能力次第で、NRまたはLTE、あるいはその両方との間でデータを送受信できる(RRC設定可能)。
- この状態では、UEは少なくともLTEサービングセルまたはNRサービングビームで設定され、必要に応じてNRとLTEの両方との間にデュアルコネクティビティを迅速に設定できる。UEは、少なくとも一つのRATのダウンリンクスケジューリングチャネルを監視し、例えばアップリンクで送信されたスケジューリング要求を介してシステムにアクセスすることができる。
- ネットワーク制御ビーム/ノードモビリティ:UEは、隣接ビーム/ノード測定および測定報告を実行する。NRでは、モビリティは主にTSS/MRSなどのNR信号に基づいており、LTEでは、プライマリ同期シーケンス(PSS)/セカンダリ同期シーケンス(SSS)/CRSが使用される。NR/LTEは、UEの最良のビーム(または最良のビームセット)およびその最良のLTEセルを知っている。
- UEは、例えば、シグネチャシーケンスインデックス(SSI)および対応するアクセス情報テーブル(AIT)を介して、および/またはNR専用シグナリングを介してもしくはLTEシステム情報取得手順を介して、システム情報を取得することができる。
- マイクロスリープ(NRではしばしばビームトラッキングまたはモニタリングモードとも呼ばれる。)を可能にするために、UEはLTEとNRの両方で不連続受信設定され得る。不連続受信は、UEが両方のRAT内でアクティブなRAT間で調整される可能性が最も高い。
- モビリティの目的で、またはアクティブなRATのカバレッジが失われた場合の代替として使用するために、デュアルコネクティビティを設定するために使用できる非アクティブなRATで測定を実行するようにUEは設定できる。
【0046】
RRC_CONNECTED DORMANT(RRC状態)
-UEはRRC設定されており、例えば、UEは、アクセスに関係なく一つのRRCコネクションと一つのRANコンテキストを有する。
-カバレッジまたは設定次第で、UEはNR、LTE、またはその両方を監視できる。(RRC ACTIVEに入るための)RRCコネクションの再アクティブ化は、NRまたはLTEのいずれかを介することができる。
- UE制御のモビリティがサポートされる。これは、LTE専用カバレッジの場合にはセルの再選択、或いはNR専用カバレッジの場合にはNRトラッキングRANエリア選択であり得る。かわりに、これは、重複しているNR/LTEカバレッジのための合同最適化セル/エリア再選択であり得る。
- UE固有の不連続受信は、RANによって設定され得る。不連続受信は主としてこの状態で使用され、さまざまな電力節約サイクルを可能にする。このサイクルはRATごとに独立して設定できるが、良好なバッテリ寿命と高ページング成功率を確保するために、何らかの調整が必要になることがある。NR信号は設定可能な周期性を有するので、UEが変化を識別し、その不連続受信サイクルを適応させることを可能にする方法がある。
- UEは、NRのSSI/AITを介して、またはLTEを介して、システム情報を取得することができる。UEは、着信呼/データ、AIT/SSIの変化、地震津波警報システム(ETWS)通知、および商用モバイル警告システム(CMAS)通知を検出するために、NR共通チャネル(例えばNRページングチャネル)を監視する。UEは、以前に設定されたランダムアクセスチャネル(RACH)を介してシステム情報を要求することができる。
【0047】
例えばMRS、SSI、トラッキングRANエリア信号(TRAS)など、いくつかの異なるタイプの測定値および/または信号がNRで測定される。その結果、モビリティイベント及び手続きはNRに対処する必要がある。
【0048】
RRCコネクション再設定メッセージは、単一のRRCオプションのためのNR測定値と既存のLTE測定値の両方を設定することができるべきである。測定の設定は、(従来と同様に)例えばDCセットアップまたはRAT間ハンドオーバを開始するために、UEを、NR/LTEカバレッジについて測定するよう設定する可能性を含むべきである。
【0049】
NRのためには二つの異なる測定報告メカニズムがあり、非RRCベースの報告では、UEは、事前設定されたアップリンク同期信号(USS)シーケンスを通して候補ダウンリンクビームのセットのうち最良のものを示し、RRCベースの報告は、いくつかの点でイベントトリガ式LTE測定報告と類似している。これら二つの測定報告メカニズムは、好ましくは並列に展開され、例えばUEの移動性状態に応じて選択的に使用される。
【0050】
LTE規格の以前のリリースから知られているようなシステム情報は、アクセス情報、ノード固有情報、システム全体の情報、公衆警報システム(PWS)情報など、全く異なる種類の情報からなる。この広範囲の情報の配信はNRにおける同じ具現化を用いることはない。高利得ビームフォーミングを伴うシステムでは、ブロードキャスト方式で大量のデータを提供するコストは、高いリンク利得を有する専用ビームでの二地点間配信と比較して高価である可能性がある。
【0051】
NRのためのページングソリューションは、二つのチャネル、すなわちページング指示チャネル(PICH)およびページングメッセージチャネル(PMCH)のうちの一方または両方を利用する。ページング指示は、ページングフラグ、警告/警告フラグ、識別子(ID)リスト、およびリソース割り当てのうちの一つまたは複数を含んでよい。PMCHはオプションでPICHの後に送信されてもよい。PMCHメッセージが送信されるとき、それは以下の内容のうちの一つ以上を含み得る。IDリスト、および警告/警告メッセージ。警告メッセージおよびブロードキャストメッセージは、(AITの中ではなく)PMCHを介して送信されるのが望ましい。LTEとの密な統合を可能にするために、ページング設定(ひいては不連続受信設定)は、単一周波数ネットワーク(SFN)ベースであってよい。
【0052】
ページング機能をサポートするために、トラッキングRANエリアはUEにおいて設定される。トラッキングRANエリア(TRA)は、同じトラッキングRANエリア信号(TRAS)を送信する一セットのノードによって定義される。この信号は、トラッキングRANエリアコードとSFNを含む。
【0053】
各TRAは、特定のページングおよび、専用のシグナリングを介して、例えばTRA更新応答またはRRC再設定メッセージを介してUEに提供されるTRAS設定を有してよい。TRA更新応答は、さらに、ページングメッセージを含んでよい。
【0054】
チャネル推定およびモビリティのために、多数の異なる参照信号がNRにおいて提供される。参照信号および測定報告の存在の両方はスケジューラによって制御される。信号の存在は、動的にまたは半永続的にユーザの一人のユーザまたはユーザのグループにシグナリングされ得る。
【0055】
また、アクティブモードモビリティ(MRS)のための参照信号を動的にスケジュールすることができる。それから、UEは、モビリティ送信のための探索空間を割り当てられる。この探索空間は、一つ以上のUEによって潜在的に監視され、および/または一つ以上の送信ポイントから送信されることに留意されたい。
【0056】
(MRSなどの)スケジュール済み参照信号送信は、データメッセージ内に(少なくとも探索空間内では)局所的に一意の測定IDを含み、復調および測定の両方の目的で送信内のパイロットのいくつかまたは複数を再使用し、それは自己完結型メッセージであることを意味する。
【0057】
NRは、変調方式としてアップリンクとダウンリンクの両方でOFDMを使用し、場合により、エネルギー効率の良い低ピーク対平均電力比(PAPR)モード動作のために、低PAPRモード(例えば離散フーリエ変換拡散OFDMまたはDFTS-OFDM)も、ニュメロロジーの周波数領域混合のためにフィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMも含む。本明細書で使用される用語としての「ニュメロロジー」は、OFDMサブキャリア帯域幅、巡回プレフィックス長、およびサブフレーム長の特定の組み合わせを指すことに留意されたい。サブキャリア帯域幅という用語は、単一のサブキャリアによって占有される帯域幅を指し、サブキャリア間隔と直接関連し、ときにはサブキャリア間隔と交換可能に使用される。
【0058】
NRの変調方式は、アップリンクとダウンリンクの両方に対して巡回プレフィックスOFDMであり、これにより一層対称的なリンク設計が可能になる。NRの、1GHz以下から100GHzの広い動作範囲を考えると、異なる周波数領域に対して複数のニュメロロジーがサポートされてよい。OFDMは、NRのもう一つの重要な要素であるマルチアンテナ方式と非常に有利に組み合わされているため、NRに適している。OFDMでは、各シンボルブロックは時間的に非常にうまく局所化されており、これはOFDMを短い送信バーストに対しても非常に魅力的なものにし、様々なMTCアプリケーションにとって重要にしている。OFDMは、いくつかのフィルタバンクベースの方式ほどサブキャリア間の良好な分離を提供しないが、ウィンドウ処理またはサブバンドフィルタ処理は、必要に応じて、サブバンド間(例えば、個々のサブキャリアではなくサブキャリアの集まり)に十分な分離を提供する。
【0059】
いくつかのユースケースでは、異なるOFDMニュメロロジーの混合が有益である。OFDMニュメロロジーの混合は、時間領域または周波数領域のどちらかで行われ得る。同じキャリア上でMBBデータとレイテンシクリティカルなMTCデータとを混合するために、OFDMニュメロロジーの周波数領域混合が有益である。周波数領域混合は、フィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMを用いて実装できる。
図4(a)は、フィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMのブロック図を示す。この例では、上部ブランチは狭い(16.875kHz)サブキャリア400~1100を使用する。下部ブランチは、狭いサブキャリア1120~1640に対応する広い(67.5kHz)サブキャリア280~410を使用する。
図4(b)は、時間-周波数面への上部および下部ブランチのマッピングを示す。大規模な逆高速フーリエ変換(IFFT)(2048サンプル)の期間中に、四つの小規模なIFFT(512サンプル)が実行される。
【0060】
フィルタ処理OFDMでは、サブバンドは他のサブバンドへの干渉を減らすためにフィルタ処理される。ウィンドウ処理OFDMでは、OFDMシンボルの先頭と末尾に、滑らかな時間領域ウィンドウ(正規のOFDMは巡回プレフィックスを含むOFDMシンボルの長さにわたる矩形ウィンドウを使用する)を乗じて、シンボル遷移における不連続性を減らし、それによってスペクトルロールオフを改善する。これを
図5に示す。
図5は、OFDMシンボルの先頭と末尾に滑らかな時間領域ウィンドウを乗算する方法を示す。
【0061】
図4に示されるOFDMニュメロロジーの周波数領域混合の例では、下部ブランチは、上部ブランチの4倍の幅のサブキャリア(例えば、上部および下部ブランチについてそれぞれ16.875kHzおよび67.5kHz)のニュメロロジーを使用する。この例では、両方のブランチがIFFT処理後に同じクロックレートを使用し、直接加えることができる。しかしながら、実際の具現化では、これは当てはまらない可能性がある。特に、ニュメロロジーの一つが他のものよりもはるかに狭い帯域幅にわたる場合は、低いサンプリングレートで処理することが望ましい。
【0062】
フィルタ処理OFDMは可能であるが、そのより大きな柔軟性のためにウィンドウ処理OFDMが好ましい。
【0063】
異なるニュメロロジーのサブキャリアは互いに直交していないので、サブキャリア間干渉を抑制するために、サブバンドフィルタ処理またはウィンドウ処理(送信機と受信機の両方で)およびガードバンドが望ましい。サブバンドフィルタ処理またはウィンドウ処理に加えて、所望の帯域外放射要件を満たすために、送信帯域幅にわたるフィルタ処理もまた望ましい。12の狭帯域サブキャリアのガードバンドは全てのサブキャリアに対して20dB以上のSNRを可能にし、一方72の狭帯域サブキャリアのガードバンドは全てのサブキャリアに対して35dB以上のSNRを可能にする。不必要なガードバンド損失を回避するために、フィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMは、異なるニュメロロジーの二つの隣接ブロックに制限されてよい。フィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMがNR規格でサポートされている限り、すべてのNRデバイス(単一のニュメロロジーのみをサポートするデバイスでさえも)は、混合ニュメロロジーで動作するNRキャリア上で動作可能なので、送信及び受信のフィルタ処理/ウィンドウ処理をサポートすべきである(ウィンドウ処理の複雑性の低さを考えればすべてのUEがウィンドウ処理を実装できると仮定することは合理的である)。一方、ネットワークノードは、それがニュメロロジーの周波数領域混合を必要とするユースケースの混在をサポートするのであれば、フィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMをサポートするだけでよい。ウィンドウ処理またはサブバンドフィルタ処理の詳細な仕様は必要ではないが、選択された実装をテストするための性能要件は必要である。サブバンドフィルタ処理とウィンドウ処理は送信機と受信機で混在させることもできる。
【0064】
OFDMはまた、DFTS-OFDMのような低PAPRモードを含んでよい。OFDMは性能を最大にするために使用され、一方、低PAPRモードは、(例えば超高周波数において)波形のピーク対平均電力比(PAPR)が低いことがハードウェアの観点から重要であるノードの具現化(eNBとUEの両方)において使用できる。
【0065】
物理層では、最小送信単位はサブフレームである。より長い送信は、サブフレームアグリゲーションによって実現できる。この概念は可変TTIを可能にし、所与の送信に対して、TTIがサブフレームの長さ、またはサブフレームアグリゲーションの場合にはサブフレーム集合体の長さに対応する。
【0066】
1GHz未満から100GHzまでの動作範囲および広いユースケーススペースをカバーするために、三つのサブキャリア帯域幅が定義される。
【0067】
NRは、周波数分割複信(FDD)と動的時分割複信(TDD)の両方をサポートする。NRの最初のリリースには関係ないが、複信技術がより成熟するにつれて、この概念は、特に基地局において複信に拡張可能である。
【0068】
本明細書に記載のNR物理層は、フレームを有さず、サブフレームのみを有する。フレームの概念は後で導入される可能性がある。一つは上りリンク用、一つは下りリンク用の二つの基本サブフレームタイプが定義されている。これらのサブフレームタイプは、FDDとTDDの両方で同じである。
図6は基本的なサブフレームタイプを示しており、ここでT
sfはサブフレーム期間である。T
DLおよびT
ULは、それぞれダウンリンクおよびアップリンクにおけるアクティブな送信期間である。サブフレームはN
symb個のOFDMシンボルで構成されるが、サブフレーム内のすべてのシンボルがアクティブな送信で常に利用されるわけではない。ダウンリンクサブフレーム内の送信は、サブフレームの先頭から始まり、0から最大N
symb個のOFDMシンボルまで拡張することができる(リッスンビフォアトーク動作のためのダウンリンクサブフレーム内の送信のより遅い開始も可能)。アップリンクサブフレーム内の送信は、サブフレームの末尾で停止し、0から最大N
symb個のOFDMシンボルまで拡張することができる。ギャップは、存在するならば、以下に説明するように、サブフレーム内で逆方向に送信するためにTDDにおいて使用される。
【0069】
単一サブフレームの期間は非常に短い。ニュメロロジー次第で、その期間は、数百μ秒、または100μ秒未満、さらに極端な場合には10μ秒未満でさえあり得る。非常に短いサブフレームは、短いレイテンシを必要とするクリティカルなマシンタイプコミュニケーション(C-MTC)デバイスにとって重要であり、そのようなデバイスは通常、すべてのダウンリンクサブフレームの先頭で送信される制御シグナリングをチェックする。レイテンシが重要であるという性質を考えると、送信自体も、例えば単一のサブフレームなど、非常に短い可能性がある。
【0070】
MBBデバイスについては、極端に短いサブフレームは通常必要とされない。したがって、複数のサブフレームを集約し、単一の制御チャネルを使用してサブフレーム集合体をスケジュールすることが可能である。
【0071】
位相ノイズおよびドップラーシフトに対するOFDMシステムのロバストネスはサブキャリア帯域幅と共に増大することはよく知られている。しかしながら、より広いサブキャリアはより短いシンボル期間を意味し、それは、シンボル当たりの一定の巡回プレフィックス長と共に、より大きなオーバーヘッドをもたらす。巡回プレフィックスは遅延拡散と一致する必要があり、そのため、展開によって与えられる。必要な巡回プレフィックス(μ秒で)は、サブキャリア帯域幅から独立している。「理想的な」サブキャリア帯域幅は、巡回プレフィックスのオーバーヘッドを可能な限り低く保つが、ドップラー及び位相ノイズに対して十分なロバスト性を提供するために十分広い。ドップラーおよび位相ノイズの両方の効果はキャリア周波数と共に増大するので、OFDMシステムにおいて必要なサブキャリア帯域幅はキャリア周波数が高くなるにつれて増大する。
【0072】
1GHz未満から100GHzの広い動作範囲を考慮すると、全部の周波数範囲に対して同じサブキャリア帯域幅を使用し、妥当なオーバーヘッドを維持することは不可能である。代わりに、三つのサブキャリア帯域幅が1GHz未満から100GHzのキャリア周波数範囲にわたる。
【0073】
(LTE周波数に対して)LTEニュメロロジーを使用して数百μ秒のサブフレーム期間を可能にするためには、一つのサブフレームは数個のOFDMシンボルとして定義されなければならないだろう。しかしながら、LTEでは、巡回プレフィックスを含むOFDMシンボル期間は変化し(スロット内の最初のOFDMシンボルはわずかに大きい巡回プレフィックスを有する)、それは変化するサブフレーム期間をもたらすだろう。(変化するサブフレーム期間は、実際には重大な問題ではない可能性があり、処理することができる。LTEでは、変化する巡回プレフィックス長は、いくらか複雑な周波数誤差推定値をもたらす。)あるいは、サブフレームはLTEスロットとして定義でき、500μ秒のサブフレーム期間をもたらす。しかし、これは長すぎると考えられる。
【0074】
したがって、LTE周波数についても、新しいニュメロロジーが本明細書で説明される。ニュメロロジーは、LTEと同じ展開を可能にするためにLTEニュメロロジーに近いが、250μ秒のサブフレームを提供する。サブキャリア帯域幅は16.875kHzである。このサブキャリア帯域幅に基づいて、他のいくつかのニュメロロジーが導き出される。6から30/40GHz付近または(低周波数でも)高密度展開に対しては67.5kHz、非常に高い周波数に対しては540kHz。表1は、これらのニュメロロジーの最も重要なパラメータを列挙している。例えば、fs:クロック周波数、Nsymb:サブフレーム当たりのOFDMシンボル、Nsf:サブフレーム当たりのサンプル、Nofdm:高速フーリエ変換(FFT)のサイズ、Ncp:サンプル内の巡回プレフィックス長、Tsf:サブフレーム期間Tofdm::OFDMシンボル期間(巡回プレフィックスは除く)、およびTcp:巡回プレフィックス期間。表1は、広いキャリア帯域幅のカバーを可能にするために、4096のFFTサイズおよび34.56MHzのクロック周波数に基づいている。
【0075】
提案されたニュメロロジーは、LTEクロック周波数(30.72MHz)に基づいていないが、16.875/15・30.72MHz=9/8・30.72MHz=9・3.84MHz=34.56MHzに基づいている。この新しいクロックは、(分数)整数関係を介して、LTEおよび広帯域符号分割多元接続(WCDMA)のクロックの両方に関連し、したがってそれらから導出することができる。
【0076】
【0077】
実装のためのニュメロロジーは表1に記載されているものとは異なる可能性があることに留意されたい。特に、長い巡回プレフィックスを伴うニュメロロジーは調整される可能性がある。
【0078】
表1は、OFDMシンボル期間およびサブフレーム期間がサブキャリア帯域幅と共に減少し、より広いサブキャリアを有するニュメロロジーを低レイテンシ用途に適したものにできることを示している。巡回プレフィックス長もサブキャリア帯域幅とともに減縮し、より広いサブキャリア構成を高密度展開に限定している。これは、オーバーヘッドの増加という代償を払って、長い巡回プレフィックスにより補償することができる。
【0079】
換言すれば、より短いサブフレーム、したがってレイテンシは、大きなセルよりも小さなセルにおいてより効率的に利用可能である。しかしながら、実際には、広域に展開される(したがって1μ秒よりも大きい巡回プレフィックスを必要とする)多くのレイテンシ重視のアプリケーションは、250μ秒より小さいサブフレーム期間を必要としないことが予想される。広域展開がより短いサブフレーム期間を必要とするまれなケースでは、67.5kHzサブキャリア帯域幅-必要に応じて長い巡回プレフィックスを使用して-を使用できる。540kHzのニュメロロジーはさらに短いサブフレームを提供する。
【0080】
さまざまなニュメロロジーの最大チャネル帯域幅は、16.875kHz、67.5kHz、および540kHzのニュメロロジーについてそれぞれ約60MHz、240MHz、および2GHzである(4096のFFTサイズを仮定)。キャリアアグリゲーションを使用すると、より広い帯域幅を実現できる。
【0081】
フィルタ処理/ウィンドウ処理OFDMを使用して、同じキャリア上で異なるニュメロロジーを混在させることが可能である。動機の一つは、キャリアの一部でより小さいレイテンシを達成することである。TDDキャリア上のニュメロロジーの混在は、トランシーバの同時送受信能力は想定できないというTDDの半複信性に従う必要がある。したがって、TDDにおける複信切り替えの最高頻度は、同時に使用されるもの中で「最も遅い」ニュメロロジーによって制限される。一つの可能性は、必要に応じて「最速」ニュメロロジーサブフレームベースで複信切り替えを可能にし、逆方向リンクで現在進行中の送信を失うことを受け入れることである。
【0082】
後述するように、シグネチャシーケンス(SS)は、AIT内のエントリを示し、少なくともランダムアクセスプレアンブル送信のためのなんらかのレベルのサブフレーム同期を確立するために使用される。SSは、一次シグネチャシーケンスと二次シグネチャシーケンスとの連結によって、LTEにおける同期信号と同様の方法で構築される。
【0083】
時間および周波数同期信号(TSS)とビーム参照信号(BRS)との組み合わせは、初期同期の後に時間/周波数/ビーム同期を得るため、およびSSと物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)によりアクセスするために使用される。この組み合わされた信号はMRS(モビリティ参照信号)とも呼ばれ、(ノード間およびビーム間の)ハンドオーバ、休止状態からアクティブ状態への遷移(例えば、上述のようにRRC_CONNECTED DORMANTからRRC_CONNECTED ACTIVEへ)、モビリティ、ビーム追跡およびビーム改良などのために使用される。MRSは、TSSとBRSとを連結することによって構成され、MRSは単一のDFTプリコーディング済みOFDMシンボル内で送信される。
【0084】
チャネル状態情報参照信号(CSI-RS)はダウンリンクで送信され、主にチャネル状態情報(CSI)を取得するためにUEによって使用されることが意図されている。CSI-RSは、UE測定値の、可能性のある報告ランクに従ってサブグループに分類される。CSI-RSの各サブグループは、一セットの直交参照信号を表す。
【0085】
測位参照信号(PRS)は位置決めを補助する。既存の参照信号はPRS目的のために再利用されるべきである。それに加えて、必要であれば、位置決め性能を改善するために修正および追加を行うことができる。
【0086】
【0087】
NRにおけるダウンリンク参照信号及び同期信号。
【0088】
シグネチャシーケンス(SS)の基本機能は、以下の一つ以上である。
- AITの関連エントリを識別するために使用されるSSIを取得すること。
- 以下の初期ランダムアクセスおよび相対AIT割り当てに対して粗周波数同期および時間同期を提供すること。
- 初期の層選択のための参照信号を提供すること(SSが経験した経路損失に基づいて、UEがどのSS送信ポイントに接続するかを選択すること)。
- 初期PRACH送信の開ループ電力制御のための参照信号を提供すること。
- 周波数間測定およびまた可能性のあるビーム発見手順においてUEを補助するために使用される粗タイミング基準を提供すること。現在の仮定は、他に明示的に示されていない限り、SS送信は±5m秒の不確定ウィンドウ内で同期されるということである。SSの期間はほぼ100m秒程度であると想定されているが、シナリオ次第で変動してよい。
【0089】
候補シーケンスの数は、AIT内の任意のエントリを示すのに十分に大きい必要があることに留意されたい。端末検出の複雑さを考慮に入れると、SSシーケンスの数は212であり、シーケンスの一つを再使用するための12ビット、または必要とされるシーケンス再使用がそれほど積極的でない場合はより少ないビットに対応している。搬送されるビット数は要件次第であることに留意されたい。ビット数がシーケンス変調によって搬送できるものを超えて増加するならば、SSフォーマットの変形が望ましい。この場合、シーケンスが搬送できるものを超えて余分なビットを含む一つの符号語を追加することができる。SS送信に続くこのブロックは、SSブロック(SSB)と呼ばれる。このブロックの内容は柔軟で、他の関連情報ビットを含み、これはほぼ100m秒程度の周期性が必要とする。例えば、それらは「AITポインタ」とすることができ、それは、端末がAIT、さらには全ブラインド検出を回避するためのAITの送信フォーマットさえ見つけることができる時間および帯域を示す。
【0090】
SSのためのシーケンス設計はTSS/BRSシーケンス設計に従うことができる、なぜならそれらは最初のランダムアクセスの前の粗同期機能を提供するからである。
【0091】
大量のアナログビームフォーミングをサポートするために、固定の絶対時間期間、例えば1ミリ秒が複数のアナログビームをスイープするために予約されている。
【0092】
システムアクセス情報を取得する(システム情報を取得し、適切なSSIを検出する)プロセスでは、UEは、SSを使用して一つまたはいくつかのノードのために時間および周波数を同期させる。後者は、SFN(単一周波数ネットワーク)方式でいくつかのノードからシステムアクセス情報が同時に送信される場合に達成される。
【0093】
UEがアクティブモードに入ると、それは、より正確な同期およびおそらくビームフォーミングを必要とする可能性がある、高データレート接続で受信または送信することを目標とする。ここで、モビリティおよびアクセス参照信号(MRS)が使用される。UEはまた、それが接続されているノードを、例えばビームフォーミングが可能な別のノードにシステムアクセス情報を送信するために使用されるノードから変更する必要があるかもしれない。さらに、UEはまた、アクティブモードにおいて或る動作モードに移行するときに、キャリア周波数またはニュメロロジーをより高いサブキャリア間隔およびより短い巡回プレフィックスに変更することができる。
【0094】
MRSは、時間および周波数オフセット推定ならびに「アクティブモードのアクセスポイント」に向けた最良のダウンリンク送信機ビームおよび受信機ビームの推定を行うために構築される。MRSによって提供される周波数精度およびタイミングは、高次の変調の受信にはおそらく十分ではなく、より正確な推定は、物理データチャネル(PDCH)および/またはCSI?RSに埋め込まれた復調参照信号(DMRS)に基づいてもよい。
【0095】
MRSは、
図7に示すように、時間および周波数同期信号(TSS)とビーム参照信号(BRS)とを、一つのOFDMシンボルへと時間的に連結することによって構築できる。この構成は、巡回プレフィックスを有するDFTプレコーディング済みOFDMシンボルとして行うことができる。同じOFDMシンボル内のTSSとBRSの両方を用いて、送信機は各OFDMシンボル間のそのビームフォーミングを変更することができる。TSSとBRSに別々のOFDMシンボルを持つことと比較すると、一組のビーム方向をスキャンするのに必要な時間は半分になる。したがって、TSSとBRSの両方とも、それらの各々についての別々のOFDMシンボルと比較してより短い時間期間を有する。これらのより短いTSSおよびBRSのコストは、信号当たりのエネルギーが低減し、したがってカバレッジが縮小することであり、それら、帯域幅割り当てを増加すること、信号を繰り返すこと、またはより狭いビームによりビームフォーミング利得を増加することによって補償できる。混合ニュメロロジーがサポートされている場合、MRSに使用されるニュメロロジーは、MRSがスケジュールされているUEにより使用されるものと同じである。同じビーム内の複数のUEが別々のニュメロロジーを使用する場合には、MRSは共有できず、MRSは、ニュメロロジーごとに別々に送信されるべきである。
【0096】
MRSを異なるOFDMシンボルで、例えば
図7に示す三つのシンボルのそれぞれで送信するために、異なるビームフォーミング設定を使用することができる。アナログ受信機のビームフォーミングをサポートするために、同じMRSが同じビーム内で数回繰り返されることもある。LTEにおけるPSSと同様に、TSSシーケンスは一つまたは少数しかない。UEは、OFDMシンボルタイミング推定を得るためにTSSシーケンスを用いて整合フィルタリングを実行する。したがって、TSSは良好な非周期的自己相関特性を有するべきである。このシーケンスは、異なるAP(アクセスポイント)が異なるTSSシーケンスを使用することができるようにシステム情報によってシグナリングされ得る。
【0097】
MRS(TSS+BRSによって構築された)信号パッケージは、すべてのアクティブモードのモビリティ関連動作(初回ビーム検出、データ送信および監視モードでのトリガビームのモビリティ更新、および連続モビリティビームトラッキング)に使用できる。それはSS設計にも使用できる。
【0098】
TSSシーケンスは、基地局から送信されるすべてのOFDMシンボルおよびビーム方向において同一であり、一方、BRSは、異なるOFDMシンボルおよびビーム方向において異なるシーケンスを使用する。全てのシンボルにおいて同一のTSSを有する理由は、かなり計算が複雑なOFDMシンボル同期においてUEが探索しなければならないTSSの数を減らすためである。タイミングがTSSから見つかると、UEは、サブフレーム内のOFDMシンボルならびに最良のダウンリンクビームを識別するために、一組のBRS候補内を探索し続けることができる。その後、最良のダウンリンクビームはUSSによって報告され得る。
【0099】
そのようなシーケンスのための一つの選択はLTEリリース8におけるPSSのために使用されるZadoff-Chuシーケンスである。しかしながら、これらのシーケンスは、タイミングおよび周波数オフセットの組み合わせに対して大きな偽の相関ピークを有することが知られている。別の選択は、周波数誤差に対して非常に頑強であり、そして小さな偽の相関ピークを有する、差分符号化ゴレイシーケンスである。
【0100】
ビーム基準信号(BRS)は、異なる送信ビームおよびOFDMシンボルで送信される異なるシーケンスによって特徴付けられる。このようにして、アクセスノードに報告するために、UEにおいてビームIDを推定することができる。
【0101】
SS送信とアクティブモード送信との間のタイミング差が大きいならば、サブフレーム内のOFDMシンボルの識別が望ましい。これは、短いOFDMシンボルを有するニュメロロジー、または、システムアクセス情報を送信するノードと、UEがユーザデータを送信することになっているノードとの間の距離が(これらのノードが異なる場合)大きいニュメロロジー、または非同期ネットワークに対して起こり得る。この識別は、異なるOFDMシンボルに対して異なるBRSシーケンスが使用されるならば行うことができる。しかしながら、計算の複雑さを低減するために、検索するBRSシーケンスの数は少なくあるべきである。OFDMシンボルインデックスの不確定性に応じて、異なる数のBRSシーケンスを、UEのブラインド検出において考慮できる。
【0102】
BRSは、一つのUEへの専用送信であり得るか、または同じBRSがUEの1グループに対して設定され得る。TSSからのチャネル推定値は、BRSのコヒーレント検出に使用することができる。
【0103】
CSI-RSはダウンリンクで送信され、主にUEによってチャネル状態情報(CSI)を取得するために使用されることを意図しているが、他の目的にも役立てることができる。CSI-RSは、(少なくとも)以下の目的のうちの一以上のために使用され得る。
- UEにおける効果的なチャネル推定:ダウンリンクビーム内でのUEにおける周波数選択的なCSI取得、例えば、プレコーダマトリクスインジケータ(PMI)およびランク報告に使用される。
- ディスカバリ信号:一セットのCSI-RS参照信号についての参照信号受信電力(RSRP)タイプの測定。関連(ダウンリンク)チャネルの大規模なコヒーレンス時間に従った時間密度で送信される。
- ビーム絞り込みおよび追跡:ビーム絞り込みおよび追跡をサポートするためのダウンリンクチャネル及びPMI報告についての統計値を取得する。PMIは周波数選択的である必要はない。関連(ダウンリンク)チャネルの大規模なコヒーレンス時間に従った時間密度で送信される。
- 相互依存を仮定したアップリンクにおけるUE送信ビームフォーミング。
- ダウンリンクにおけるアナログ受信ビームフォーミングのためのUEビームスキャニング(ユースケースに応じて1)または3)と同様の要件)。
- 復調のための微細な周波数/時間同期を補助すること。
【0104】
場合によっては、上記の推定目的のすべてをCSI-RSによって処理する必要があるわけではない。例えば、周波数オフセット推定は、たまにはダウンリンクDMRSによって処理されることができ、ビーム発見はたまにはBRSによって処理される。各CSI-RS送信はスケジュールされ、PDCHダウンリンク送信と同じ周波数リソースにあるか、またはPDCHダウンリンクデータ送信とは無関係の周波数リソースにあってよい。一般に、別々の送信におけるCSI-RS間の相互依存は想定できず、したがって、UEは時間的なフィルタ処理を行うべきではない。しかしながら、UEは、例えばCSI-RS測定値の時間フィルタ処理(例えば、上記2における)をサポートするためにCSI-RS間の相互依存性を、およびPDCCHおよびPDCHを含む他の送信への相互依存性をも仮定するように明示的または暗黙的に構成できる。一般に、時間、周波数、およびダイバーシティブランチでのCSIのフィルタ処理を含め、すべてのUEフィルタ処理はネットワークによって制御されるべきである。いくつかの送信フォーマットでは、CSI-RSは、基地局送信機(TX)およびUE受信機(RX)の両方に対してより良好にアナログビームフォーミングをサポートするために、別々のOFDMシンボルに配置される。例えば、UEのアナログビーム走査(上記の項目5)をサポートするために、UEは、複数のアナログビーム候補を走査するために、測定するための複数のCSI-RS送信を必要とする。
【0105】
LTEにおいては、UEは「セル」内にキャンプする。キャンプする前に、UEは、測定値に基づくセル選択を実行する。キャンプすることは、UEがセル制御チャネルに同調し、すべてのサービスが具体的なセルから提供され、UEが特定のセルの制御チャネルを監視することを意味する。
【0106】
NRにおいては、別々のノードは別々の情報を送信することができる。例えば、いくつかのノードはSSI/AITテーブルを送信することができ、一方で他のノードはSSIおよび/またはAITを送信しなくともよい。同様に、いくつかのノードはトラッキング情報を送信することができ、一方他のノードはページングメッセージを送信することができる。セルの概念はこのコンテキストではぼやけてくるので、したがってセルキャンプの概念はNRにおいてはもはや適切ではない。
【0107】
休止状態またはモード(例えば、上記のRRC_CONNECTED DORMANT状態)の間にUEが監視してよい関連信号は以下のうちの一つ以上である。
- SSI
- トラッキングRANエリア信号-TRAS
- ページング指示チャネル/ページングメッセージチャネル。
【0108】
NRキャンピングはそのため一セットの信号の受信に関連する。UEは「最良」のSSI、TRASおよびPICH/PMCHにキャンプオンする必要がある。これら信号のためのNRキャンピング(再)選択規則は、LTEに存在するセル(再)選択規則と同様に使用されるしかしながら、柔軟性の程度がより高いため、これらの規則は少々複雑になる可能性がある。
【0109】
位置情報は、ネットワークがUEの位置決定することを補助するために望ましい。SSI/AITを使用して位置情報を提供するためのソリューションは可能であるが、特定の制約を導入するという犠牲を払っている。別の解決策はSSIブロックを使用することである。SSIブロックは、トラッキングRANエリア信号インデックス(TRASI)に記載されているコンテンツまたはコンテンツの一部を搬送することができる。SSIブロックはSSIから独立している。したがって、それは位置情報を提供するためのオプションと見なすことができる。さらに、より程度の高い柔軟性を提供する別のソリューションは、そのような情報を搬送するための新しい信号を導入することである。この信号は、この文脈ではトラッキングRANエリア信号、TRASと呼ばれる。この信号が送信されるエリアはトラッキングRANエリア、TRAと呼ばれる。
図8に示すように、TRAは一つ以上のRANノードを含むことができる。TRASは、TRA内のすべてのノードまたは限られたセットのノードによって送信され得る。これはまた、この信号およびその構成が、UEの手順を容易にし、そのエネルギー消費を減らすのを補助するために、好ましくは、例えば(少なくとも)おおよそ同期した送信に関して、所与のTRA内でTRASを送信するすべてのノードに共通であるべきであることを意味する。
【0110】
トラッキングRANエリア信号(TRAS)は、トラッキングRANエリア信号同期(TRASS)とトラッキングRANエリア信号インデックス(TRASI)の2つの構成要素を含む。
【0111】
休止モードでは、TRA情報を読み取る各インスタンスの前には、UEは通常、低電力不連続受信状態にあり、少なからぬタイミングと周波数の不確定性を示す。したがって、TRA信号はまた、UEが後続のペイロード受信のためのタイミングおよび周波数同期を取得することを可能にする同期フィールドと関連付けられるべきである。さらに別の信号における同期サポートのオーバーヘッドを繰り返すことを避けるために、TRASI受信は、SSIおよびTRASが同じノードから送信され、適切な期間で設定されている配置における同期の目的で、SSIを使用することができる。TRASIを読み取る前にSSIを同期に使用できない他の配置では、その目的のために別の同期信号(TRASS)が導入される。
【0112】
SSI設計は、UE同期を提供するように最適化されている。TRA検出のための同期要件以来、特にUEのリンク品質動作点およびダウンリンクペイロード情報を読み取るための必要な能力は同様であり、SS物理チャネル設計を再利用し、TRA同期信号として使用される一つまたは少数のPSS+SSSシーケンスの組み合わせを予約する。UEにおけるSS検出手順は、TRA同期のために再利用され得る。TRASSは単一の所定のシーケンス、または少数のそれらを構成するので、UEの探索の複雑さは減少する。
【0113】
TRASSがネットワークによって設定されているかどうかに関する情報は、UEにシグナリングされてもよく、またはUEがそれを手探りで検出してもよい。
【0114】
トラッキングエリアインデックスはブロードキャストされる。トラッキングRANエリア信号インデックス(TRASI)ペイロードに含まれる少なくとも2つの構成要素が識別されている。
- トラッキングRANエリア符号。LTEにおいてトラッキングエリア符号は16ビットを持つ。NRのために同じ空間範囲が使用されてよい。
- タイミング情報一例として、16ビットのシステムフレーム番号(SFN)長が使用でき、それにより、10m秒の無線フレーム長を仮定すると10分の不連続受信が可能になるであろう。
【0115】
その結果ペイロードは20-40ビットと推定される。このビット数は個々のシグネチャシーケンスに符号化するのに実用的ではないので、TRA情報は、位相基準として使用される関連参照シンボル(TRASS)と共に符号化情報ペイロード(TRASI)として送信される。
【0116】
TRASIペイロードはダウンリンク物理チャネル構造を用いて送信される。
- 代替例1(好ましい):PDCCH(持続的スケジューリング)を使用する。UEは、監視するために一つ以上のPDCCHリソースのセットで構成される。
- 代替例2:PDCH(持続的スケジューリング)を使用する。UEは、監視するために一つ以上のPDCHリソースのセットで構成される。
- 代替例3:PDCCH+PDCH(標準共有チャネルアクセス)を使用する。UEは、監視する一以上のセットのページング制御チャネル(PCCH)リソースで構成され、これは、順々に、TRA情報を有するPDCHへのポインタを含む。
【0117】
PDCCHとPDCHとの間の選択は、一方のチャネルまたは他方のチャネルのいずれでリソースを予約することが他の信号に対するスケジューリング制限をより小さくするかに基づくべきである。(命名の目的のために、使用されたPDCCH/PDCHリソースは、TRASI物理チャネルまたは論理チャンネルとしてリネームされてもよい。
【0118】
TRASI符号化は、UEにおいて正確な復号を確実に検出するために巡回冗長検査(CRC)を含む。
【0119】
UEは、その標準SSI検索/同期手順を使用してTRASI受信のための同期を取得する。以下のシーケンスは、UEのエネルギー消費を最小にするために使用され得る。
- 最初にTRASSを探索する。
- TRASSが見つからないなら、最新のSSIを探索する。
- 同じSSIが見つからないなら、全SSI探索を続行する。
【0120】
いくつかのUEの実装では、受信機の起動時間、すなわち受信機回路の全てまたは大部分が起動する期間は、支配的なエネルギー消費要因であり、その場合、全探索は常に実行されてよい。
【0121】
TRASSが存在しないがいくつかのSSIが聞き取れる場合、UEは全ての発見されたSSIおよび/またはTRASSタイミングでTRASI受信を試み、そのうちの一つは成功する。すべてのSSIが検出され、対応するTRASI検出が同じ起動期間中に試行されるため、受信機のオーバーヘッドは発生しない。
【0122】
TRA内で既知の許容誤差を伴う比較的ゆるい同期が提供されるなら、UEは、現在のタイミングと関連する近傍において、加えて不連続受信中の最悪の場合のタイミングドリフトにおいて、TRAS関連の時間同期を探索する。したがって、UEの受信起動時間は、タイミング許容度の増加に比例して増加する。
【0123】
TRA設定はTRA内で同一でなければならない。これは、TRASを送信するすべてのノードが同じ設定を使用する必要があることを意味する。この背後にある理由は不連続受信設定に起因している。上述のRRC_CONNECTED DORMANT状態のような休止モードにあるUEは、一定期間にわたって起動する。その期間中、UEは、ネットワークによって設定されたように(または規格によって義務付けられているように)監視および測定を実行することが予定される。
【0124】
TRA設定は専用のシグナリングを介して伝達される。AITはこの情報を伝達するのに最適な選択肢ではない。TRA設定は、ネットワークが、たとえばRRC_CONNECTED ACTIVE状態からRRC_CONNECTED DORMANT状態などの休止モードへなど、アクティブモードから移動するようにUEに命令するとき、またはネットワークがUEにTRA更新応答を送信するときに、UEに送信され得る。TRA更新応答は-ページング情報も運ぶことができる(
図9参照)。これは、ネットワークが、UEが既に退出しているTRA内でそのUEを探し出そうとしている状況においてページング遅延を最小限に抑えるのに特に有用であり得る。このタイプの機能のサポートを可能とするために、UEは、新しいTRAまたはノードがUEコンテキスト、ページングメッセージ、あるいはユーザデータを含むかもしれない以前のTRAまたはノードを識別することを補助するための何らかのタイプのID又は他の情報をTRA更新に付加する必要があるかもしれない。
【0125】
TRA更新手順を示す
図9において、UEはTRA_Aから、そのTRAリストに設定されていないTRA_Bに移動する。UEがTRA_Aを退出したが、まだTRA_Bに登録されていない場合、ネットワークは、TRA_A内の特定のノードまたはノードのセットを介してページング指示を送信し始める。UEは、TRA_Aを退出したために応答せず、もはやTRAS_Aを監視しなくてもよい。UEがTRA更新を実行すると、ネットワークは新しいTRAリストと設定を提供し、さらにUEが見逃している可能性のあるページング指示を含んでよい。
【0126】
ネットワークの同期の程度が低いほど、UEのバッテリへの影響は大きくなる。そのため、TRA間で緊密な同期を維持することは重要であるが、貧弱なバックホールを持つ展開では特に困難である。
【0127】
いくつかのオプションを以下に示す。
- すべてのTRAがゆるやかに同期されている。
- TRAS間での同期はない。
- 隣接ノード間の同期をスライドさせる
- TRA内ではゆるく同期されており、かつ、TRAS間では同期されていない。
【0128】
図10は、NRにおけるフィードバックベースのソリューションに対するビーム形状のオプションを示す。
【0129】
ビームで送信することは、方向性があり、おそらく狭い、伝播するエネルギーの流れがあることを意味する。したがって、ビームの概念は、送信の空間特性と密接に関係している。説明を簡単にするために、ビームの概念を最初に説明する。特に、高ランクビームの概念について説明する。
【0130】
ここで、ビームは一セットのビーム重みベクトルとして定義され、各ビーム重みベクトルは別々のアンテナポートを有し、全てのアンテナポートは類似した平均空間特性を有する。したがって、ビームのすべてのアンテナポートは同じ地理的領域をカバーする。ただし、異なるアンテナポートの高速フェージング特性は異なっている可能性があることに留意されたい。次いで、場合により動的マッピングを使用して、一つのアンテナポートを一以上のアンテナ素子にマッピングする。あるビームのアンテナポート数が、そのビームのランクである。
【0131】
ビームの定義を説明するために、ランク2のビームの最も一般的な例を取り上げる。このようなビームは、交差偏波素子を有するアンテナを使用して実現され、一つの偏波を伴う全てのアンテナ素子は一つのビーム重みベクトルを用いて結合され、他の偏波を伴う全てのアンテナ素子は同じビーム重みベクトルを用いて結合される。各ビーム重みベクトルは一つのアンテナポートを有し、同じビーム重みベクトルが二つのアンテナポートに使用されるので、二つのビーム重みベクトルは一緒になって一つのランク2ビームを構成する。そして、これはより高いランクのビームに拡張できる。
【0132】
高ランクのビームはUEについては機能しない可能性があることに留意されたい。不規則なアンテナ素子のレイアウト、UEにおけるたくさんのスキャッタリング、およびUEのアンテナ素子が異なる特性を有する可能性があるという事実により、類似した空間特性を有するいくつものビーム重みベクトルを構成することは非常に困難である。これはアップリンクにおける空間多重化を排除するものではないことに留意されたい。これはいくつものランク1ビームを使用して達成することができる。
【0133】
ビーム形状は非常に柔軟であり得ることに留意することは非常に重要である。したがって、多くの場合、ビームの固定グリッドを使用することが適切な実装である可能性はあるが、「ビームベースの送信」は「固定ビーム送信」と同じではない。実用的な仮定は、各ビームは1から8の間のポートを持ち、各ビームは1から8の範囲のランクのCSI-RSに関連付けられる、ということである。
【0134】
UEの観点からは、CSI-RS設定以外には、素子ベースのフィードバックとの大きな違いは予測されない。すなわち、ビームベースの送信については、CSI-RS割り当てはより柔軟である必要がある。構成が柔軟であるとしても、これはUEがフィルタ処理および補間を行うことを排除するものではないが、これは厳密なネットワーク制御下にある。
【0135】
ビームベースの送信では、通信はビームを介して行われ、ビームの数はアンテナ素子の数よりはるかに少なくてもよい。ビームはまだ調整可能なので、アンテナシステムは全体としてその自由度をすべて保持する。しかしながら、単一のUEは、即座のフィードバックを用いてこれらの自由の全てをサポートすることができない。これは、UEがアンテナのすべての自由度を見て、この知識に基づいて報告することができる素子ベースの送信とは対照的であることに留意されたい。
【0136】
ネットワークの観点からは、アナログビームフォーミングまたはデジタルドメイン処理のどちらかを使用して、複数の同時ビームを生成できる。形成されたビームがチャネルの角拡散と同程度の幅である限り、UEビームの関連付けを維持するためのオーバーヘッドは妥当であると考えられる。そして、どの単一UEについても最良のビームは高速フェージングによって変化しない。ビームがチャネルの角拡散よりも狭い場合、どの単一のUEについても最良のビームは時間とともに変化し、その結果、最良のビーム関連付けは頻繁に更新される必要があることになる。場合によっては、アンテナパターンは固定されている(
図10のオプション2を参照)。場合によっては、ビームはUEのチャネル特性に合わせられる(
図10のオプション3を参照)。ここでは、リッチなチャネルを使用しているユーザ2は、広い高ランクのビームを介して、見通しのユーザ1は狭いランク2のビームを介してデータを受信する。
【0137】
ビームベースの送信は、FDDとTDDの両方において、任意の周波数帯域およびアンテナサイズに対して適用可能である。
【0138】
ビームベースのアップリンク受信は、ベースバンドがすべてのアンテナ素子に個別にアクセスできるわけではないことを意味する。この場合、ある種の空間的前処理または予備的ビームフォーミングが適用されてもよい。この前処理は、アナログ領域、デジタル領域、または両者の混成領域で実行することができる。一般に、空間的前処理はかなり柔軟であり得る。ユーザのいる場所にアンテナのカバレッジエリアを適応させるためには時間変動的である必要がある。位相と振幅の両方のテーパリングが考えられる。
【0139】
ダウンリンクでは、個々のアンテナ素子がUEに公開されることは決してない。UEは、別々のアンテナ素子から送信された信号の複数の線形結合を見るだけである。公開される線形結合の数は、送信のランクによって決定される。データは、そのような線形結合(ビーム)を介してUEで受信され、ダウンリンク品質はビームごとに測定され報告される。
【0140】
一つのあり得るシナリオは、UEが複数のアレイを備え、各アレイが複数の(少数の)素子からなることである。異なるアレイは異なる空間方向をカバーする。アレイは、異なる角度範囲(指向方向およびビーム幅)を有するように構成することができる。
【0141】
UEは、逐次にまたは同時に、複数のビームを通して参照信号(RS)を送信する。逐次送信はアナログTXビームフォーミングと共にでも使用でき、eNBでの検出はより簡単である。一方、RSがいくつかのビームを介して並列に送信されるならば、より多くのビームをより短時間で探査することができる。異なるRSは異なるビームを介して送信されねばならないので、RSはおそらく相互参照信号(RRS)であり、その結果eNBが各送信を識別することができる。各ビームの形状はUEによって決定されるが、ビームの数はUEとeNBとの間である。eNBは、各受信RSの品質を測定し、そして最も適切なUE送信ビームを決定する。次いで、その決定は、チャネル品質情報(CQI)値およびスケジューリング許可とともに、dPDCHを介してUEに送信される。
【0142】
上述のように、UEにおいて高ランクのビームを形成することは可能ではないかもしれない。アップリンクの多入力多出力(MIMO)を可能にするために、いくつかのランク1ビームを使用することができる。
【0143】
eNBでは、ビームベースの送信は、通常、ベースバンドから見た素子の数がビームを形成するのに使用される素子の数よりはるかに少ないことを意味する。これは、同時の個々のビームの(角度の)カバレッジが素子によるものより少ないことを意味する。
【0144】
UEでは、フィードバックのためのビームベースの送信は、RSのためのリンクバジェットを改善するために、しかしおそらくは角度カバレッジを縮小させないために使用されてよく、ビームの数が依然として素子の数に等しくてよい。
【0145】
進行中の送信については、eNB側で行われるように、角度カバレッジを縮小する可能性があるが、これは、しばらくした後、チャネルが完全には利用されないことを意味する可能性がある。これを防ぐためには、広い角度カバレッジ、場合によっては完全な角度カバレッジでのサウンディングが必要である。
【0146】
NRについては、長期発展(LTE)における従来のセルモビリティとは対照的に、上述のアクティブなモビリティ管理ソリューションはビーム間のモビリティを管理するように構成される。ビーム指向送信とモビリティは、LTEのセルモビリティとは異なる多数の機能を導入する。アクセスノードで大きな平面アンテナアレイを使用し、数百の素子数があれば、ノード当たり数百の候補ビームを有するかなり規則的なビームのグリッドのカバレッジパターンを作成することができる。仰角および方位角における個々のビームのビーム幅は、アレイ内の素子の行と列の数によって決定される。
【0147】
シミュレーション研究に示されるように、大きな平面アレイからの個々のビームのカバレッジの範囲は、幅がほぼ数十メートルまで小さくなる可能性がある。現在のサービングビームエリア外でのチャネル品質の劣化は急速であり、それにより小さいオーバーヘッドでアンテナアレイの潜在能力を最大限に引き出すために頻繁なビーム切り替えが必要とされる可能性がある。全てのビームにおける静的モビリティ信号は実現可能ではないので、MRSは関連するビームにおいて且つ必要なときにだけオンにされる必要がある。関連するビームは、自己組織化ネットワーク(SON)データベースに基づいて、UEの位置および異なる候補ビームに対する以前のビームカバレッジ統計に基づいて選択される。SONデータはまた、連続的な隣接ビーム品質比較を必要とすることなく、サービングビーム品質が低下したときにモビリティ測定セッションをトリガするために使用されてよい。
【0148】
評価はまた、例えば道の曲がり角を曲がるときに、シャドーフェージングのために突然のビーム損失が起こり得ることを示す。アクティブモードモビリティ(AMM)ソリューションには、リンク品質の急激な低下や同期外れ状態の回避またはそこからの迅速な回復を補助する機能が含まれている。
【0149】
AMMソリューションには、下位層の手順(モビリティトリガ、測定、ビーム選択、RS設計、および堅牢性)とRRCのトピック(ビームID管理、ノード間ハンドオーバ、およびその他の上位層の側面)の両方が含まる。AMMソリューションは、主にMRSでの測定を使用して、一つのノード内の、および異なるノード間の両方のビーム切り替えをサポートする。このセクションで説明されている手順は、CSI-RSの測定値を使用して一つのノード内のビームを変更するために使用することができることに留意されたい。すなわちより正確には、CSI-RSを使用するビーム切り替えは、データプレーンを再ルーティングする必要がなく、再同期を実行する必要がない場合に使用することができる。これらの場合については、CSI-RSベースの手順ははるかにスリムであり、またUEに対して完全に透過的である。
【0150】
さらに、AMMソリューションはリンクビームとモビリティビームとを区別する。リンクビームはデータ送信に使用されるビームであり、モビリティビームはモビリティ目的に使用される。
【0151】
NRシステムは、移動しているユーザにシームレスなサービス体験を提供する必要があり、最小限のリソース使用でシームレスなモビリティをサポートするように設計されている。上述したように、NRには、休止モード(上記ではRRC_CONNECTED DORMANT状態と呼ばれる)と、アクティブモード(上記ではRRC_CONNECTED ACTIVE状態と呼ばれる)があり、これはモビリティが休止モードモビリティとアクティブモードモビリティを含むことを意味する。休止モード(位置更新およびページング)におけるモビリティは、以下に詳細に説明される。このセクションでは、NR内アクティブモードのモビリティのみを扱う。モビリティ手順のために使用される参照信号の説明は上記に提示されている。
【0152】
モビリティソリューションが望ましくは満たすべき特定のニーズがいくつかあり、それは以下の一つまたは複数を含む。
- モビリティソリューションは、パケットを損失することなくビーム間の移動をサポートしなければならない。(LTEでは、パケット転送が使用される-一時的な余分な遅延は許容できるが、パケット損失はそうではない。)
- モビリティソリューションは、複数の接続性をサポートしなければならず、そこにおいては、優れたバックホール(例えば専用ファイバ)を介して、ならびに緩いバックホール(例えば10m秒以上のレイテンシ、有線、無線)を介して、その両方で接続されたノードに使用可能な調整機能をサポートする。
- モビリティソリューションは、アナログビームフォーミングとデジタルビームフォーミングの両方に有効である。
- モビリティとUEの測定値は、同期アクセスノードと非同期アクセスノードの両方で機能しなければならない。
- モビリティソリューションは、UEによる無線リンク障害の検出および回復動作をサポートしなければならない。モビリティソリューションは、短いRAT間ハンドオーバ中断時間を伴うNRとLTE間のより緊密な統合で、NRと既存のすべてのRAT間の移動をサポートしなければならない。
【0153】
アクティブモードモビリティに対する望ましい設計原理は、以下のうちの一つまたは複数を含む。
- 設定可能な機能で構築されたモビリティフレームワークが使用されなければならない。
- モビリティソリューションは、ダウンリンクとアップリンクのモビリティを互いに独立して起動でき、かつ実行できるという柔軟性を持たねばならない。
- アクティブモードについては、モビリティソリューションは原則としてネットワーク制御されるものとし、大きな利得があることが証明されている範囲でネットワークが設定したUE制御を使用することができる。
- モビリティ関連のシグナリングは、ウルトラリーンの原則に従う。好ましくは、測定信号の送信を最小限に抑えるために、要求に応じて行われるものとする。モビリティに関連するシグナリングのオーバーヘッドと測定のオーバーヘッドを最小限に抑える必要がある。
- モビリティソリューションは、端末とネットワークとの間に常に十分なリンクを維持する必要がある(これは、「常に最善である」とは異なる)。
- モビリティソリューションは、「送信モード」とは無関係に機能しなければならない。
【0154】
マルチアンテナ送信は、現世代のモバイル通信にとって重要な役割をすでに果たしており、高データレートのカバレッジを提供するためにNRにおいてさらに重要になっている。NRのアクティブモードモビリティが直面する課題は、高利得ビームフォーミングのサポートに関連している。リンクビームが比較的狭い場合、モビリティビームは、良好なユーザ体験を維持し、リンク障害を回避するために、UEを高い精度で追跡すべきである。
【0155】
NRのダウンリンクモビリティの概念はビームベースである。大きなアンテナアレイおよび多くの可能性のある候補ビーム構成を用いる配置では、すべてのビームが参照信号および測定信号を常時接続の静的な方法で送信することができない。代わりに、接続されたアクセスノードは、必要なときに送信するために関連するモビリティビームのセットを選択する。各モビリティビームは、固有のモビリティ参照信号(MRS)を搬送する。その後、UEは、各MRSを測定してシステムに報告するように指示される。UEの観点からは、この手順は、いくつのアクセスノードが関与しているかとは無関係である。結果として、UEは、どのアクセスノードがどのビームを送信しているかについて気にする必要がない。これは、UEがノード不可知型であり、モビリティがUE中心型であると呼ばれることがある。モビリティを効率的に機能させるために、関係するアクセスノードは、ビーム近隣リストを維持し、ビーム情報を交換し、MRSの使用を調整しなければならない。
【0156】
移動するUEを追跡することは、UEが関連する候補ビームの品質を測定し報告することによって達成され、それによってシステムは、測定値および独自の基準に基づいてデータ送信のためのビームを選択することができる。この文脈では、用語「ビーム切り替え」は、アクセスノードがパラメータ、例えば送信ポイントおよびビームの方向を更新するときのイベントを記述するために使用される。したがって、アクセスノード内およびアクセスノード間のビームハンドオーバは両方ともビーム切り替えと見なすことができる。結果として、NRにおけるハンドオーバは、従来のセルラシステムにおけるようにセルではなくビーム間で実行される。
【0157】
このセクションで説明するビームタイプは、主にモビリティビームであり、それは、移動の間に更新するエンティティである。モビリティビームのほかに、配置によってはノード間モビリティを容易にするために導入される「ジオフェンス」ビームもある。
【0158】
以下のセクションでは、ダウンリンクモビリティ(ダウンリンク送信に使用するビーム/ノードを選択すること)について説明する。一つのセクションではダウンリンク測定ベースのモビリティについて説明し、一つのセクションではアップリンク測定ベースのモビリティについて説明する。これまでは、同じビーム/ノードがアップリンク通信に使用されると仮定している。しかしながら、場合によっては、ダウンリンク通信とアップリンク通信とに異なるビーム/ノードを使用することが有利なことがある。これはアップリンク/ダウンリンク分離と呼ばれる。その場合、最良のアップリンクビーム/ノードを選択するために別個の手順が使用されてもよい。アップリンク測定値はアップリンクビーム/ノードを選択するために使用され、そして上述の手順は最小の変更で使用される。
【0159】
モビリティソリューションのオプションのいくつかの詳細な研究が行われ、これらの定式化はすべて、一般的なアクティブモードモビリティ(ダウンリンク測定ベース)の手順を示す
図11のように高レベルで要約できる共通のモビリティフレームワークに従う。ビーム切り替えをトリガすることが決定された後、一セットの候補ビームが、アクティブ化および測定のために選択される。これらのビームは、サービングアクセスノードと潜在的なターゲットアクセスノードの両方で発生する可能性がある。測定は、モビリティビームでのモビリティ参照シグナル(MRS)送信に基づいている。ネットワークは、UEが測定結果をネットワークに報告した後にターゲットビームを決定し、オプションで選択されたターゲットビームをUEに知らせる。(あるいは、UEは、最良の測定結果を有する候補ビームを自律的に選択し、続いて測定報告をターゲットビームに送信するように積極的に構成されていてもよい。)手順には、次のうちの一つ以上を含む。
【0160】
UE側:
- 測定設定。UEは、測定するMRS、測定時期、測定方法、および報告方法に関してネットワークからモビリティ設定を受信する(またはUEは設定されたリストなしでフルブラインド探索を実行することもできる)。測定設定はより早く実行することができる(そして継続的に更新される)。
- 測定。UEは、測定設定の中のエントリのうちのいくつかまたはすべてに対して測定を開始するように指示された測定起動をUEが受信した後に、モビリティ測定を実行する。
- 測定報告。UEはモビリティ測定報告をネットワークに送信する。
- モビリティの実行。
○ UEは、タイミングアドバンス(TA)測定のためアップリンクでUSSを送信する要求を受信し、USSを送信することができる。USSを送信するという要件は、測定設定の一部であってよい。
○ UEは、新しいビームIDおよびTA調整コマンドを含むことのある、ビーム切り替えを実行するためのコマンド(再設定)を受信し得る。また切り替えコマンドが最初に通知され、TAはターゲットノードにおいて測定され調整されてよい。
○ あるいは、ダウンリンク同期およびアップリンクTAが有効のままであり、追加の設定(新しいDMRS、セキュリティなど)が必要とされないか、またはターゲットノードを介して通知され得るならば、UEは切り替えコマンドを受信しなくともよい。
【0161】
ネットワーク側:
- 測定設定。ネットワークはモビリティ測定設定をUEに送信する。
- モビリティトリガ。ネットワークは、ビーム切り替え手順を起動するか決定する。
- 移動度測定。ネットワークは以下を含むモビリティ測定手順を実行することを決定する。
○ 近隣選択:ネットワークは候補ビームを選択する。
○ 測定設定。ステップ1で設定されていないならば、ネットワークは測定設定をUEに送信する
〇 測定の起動。ネットワークは関連ビームでMRSを起動し、測定起動コマンドをUEに送信する。
〇 測定報告。ネットワークはUEから測定報告を受信する。
- モビリティの実行。
〇 ネットワークは、TA測定のためのUSSを送信するためにUSS要求コマンド(再設定)をUEに送信してよい。
〇 ターゲットノードは、TA値を測定し、その値をUEと通信している、TA設定をUEに送信するノードに送信することができる。
〇 ネットワークは、UEにビーム切り替え(再設定)コマンドを送信することができる。
【0162】
ネットワークは、ビーム切り替え手順を開始する前(ステップ1)またはその後(ステップ3の間)のいずれかで、測定設定をUEに送信することができる。
【0163】
概説されたシーケンスは、すべてのアクティブモードのモビリティ関連動作(初回ビーム検出、データ送信および監視モードでのトリガビームのモビリティ更新、および連続モビリティビームトラッキング)に共通のフレームワークとして役立つように適切な設定で設定可能である。
【0164】
図11に示されるように、UEがサービングアクセスノード1(SAN1)からSAN2に移動する一般的なダウンリンクアクティブモードモビリティ手順の構成は、以下のセクションで説明される。
【0165】
ネットワークはモビリティ測定設定をUEに送信してよい。この設定はRRCメッセージで送信され、測定イベントに関する情報(「何を」(例えば、どのMRSインデックス)を測定するか、「いつ」および「どのように」測定するか(例えば、開始時間または基準およびフィルタリング期間)、あるいは、「いつ」かつ「どのように」測定報告を送信するか(例えば、時間スロットを報告する、最良のビームIDを報告する、またはそれらの電力など))を含んでよい。リストは、少数のMRSのみがオンになっており、それについて測定が可能な場合に役立つ。しかし、リストを送信することは、ネットワーク(NW)にとってオプションであってよく、UEは、例えばすべての可聴MRS信号を検出するなど、手探りで測定を実行してよい。設定可能性の他の例は、ピンポン効果を回避するためにより長いフィルタ処理が必要とされるかもしれないノード間測定であってよい。ノード内ビーム測定では、短いフィルタが使用される。
【0166】
測定設定はいつでもネットワークによって送信することができる。通常、UEは、一旦設定を受信すると、測定を実行し始める。しかしながら、この手順は、ダウンリンク制御情報(DCI)フィールドで起動コマンドを送信することによってさらに拡張され得る。したがって、RRCメッセージは測定を設定するだけであり、そのような測定の実行を開始するように必ずしもUEをイニシエートしなくてもよい。
【0167】
UEは、ネットワークにより提供された設定に基づいて測定報告を送信する。測定報告は、通常、ネットワークに送信されるRRCメッセージである。しかし、場合によっては、何らかの種類の報告はMACを介して送信されることもある。レイヤ3ベースの報告では、異なる数のビームを同時に報告でき、短時間で優先ビームを見つけることができるが、それにより多くのシグナリングオーバーヘッドが必要であり、かつ、ビームスイッチングをスケジューラと統合することは容易ではない。レイヤ2ベースの報告については、オーバーヘッドが少なく、かつスケジューラと統合するのは容易だが、固定された最大数のビーム測定値が同時に報告され得る。
【0168】
MRS送信および測定は、データ送信が進行中のときには観測されたリンクビーム/ノード品質、データがないときにはモビリティビーム品質、またはUEによって送信された報告に基づいてトリガされる。ロードバランシングなどの他のトリガもモビリティ測定の実行をトリガすることがある。
【0169】
さまざまなトリガ測定基準とさまざまな条件がある。ビーム品質を反映する測定基準はRSRPまたはSINRである。条件は以下のうちの一つ以上である。
- a1)一つの絶対値との比較
- a2)位置に応じた参照テーブルに対する複数の異なる相対値との比較
- a3)他のビームの値との比較
- a4)リンクビーム品質の劣化率。現在の品質測定基準の変化に反応する実用的なトリガ機構も実証済みである。
【0170】
観察されるビームは以下のうちの一つ以上である。
- b1)現在のサービングリンクビーム(DMRSまたはCSI-RS)
- b2)現在のサービングリンクビームとその「セクタ」ビーム
- b3)現在のサービングモビリティビーム(MRS)。
【0171】
異なる種類のスイッチング(例えば、ノード内またはノード間)は、異なる閾値を有してよい。たとえば、リンク品質が閾値1より悪い場合、ノード内ビーム切り替えがトリガされる。リンク品質が閾値2より悪い場合、ノード間ビーム評価および切り替えがトリガされる。優れたバックホール(例えば専用ファイバ)が存在し、ピンポン効果に問題がないなら、ノード内とノード間の両方で同じパラメータを使用することができる。
【0172】
ネットワークが、サービングビーム/ノードIDが変更/更新/修正される必要があると決定したとき、ネットワークはモビリティ手順を準備する。これは、ネットワーク内の他のノードとの何らかの通信を意味する可能性がある。
【0173】
MRS測定結果をネットワークに報告するためのいくつかのオプションがある。
- c1)UEがすべての測定値をサービングノードに報告するなら、サービングノードは、切り替えるノードを決定し、UEにシグナリングする。このアプローチは、モビリティ手順中のすべてのシグナリングについて既存のサービングリンクに依存する。新しいサービングビームへのTAは、切り替えコマンドと併せて推定される。
- c2)UEが、異なるMRSが発生した個々のノードに測定値の報告を返すなら、報告自体が以前のUSS送信およびTA推定を必要とする-そしてそれは測定手順の一部として見られる。ネットワークが新しいサービングノードを決定してUEにシグナリングすると、UEは新しいサービングノードに対してすでに利用可能なTAを使用する。このアプローチはより多くのアップリンクシグナリングを必要とするが、いったん測定コマンドが発行されると、古いサービングリンクへのクリティカルな依存性を取り除く。
- c3)c2)と同様であるが、UEは、すべての測定値の報告を、サービングビームを介して、かつ最良の測定済みの新しいビームを介して返す。そして、唯一つのTA推定手順が実行されるべきである。
【0174】
結局、ネットワークは、UEに新しい設定を適用するように要求することができる。例えばノード内ビーム切り替えにおいて、再設定がUEにとって透過的であるかもしれない状況があり得る。その後、再設定はネットワーク側で行われ、サービングビーム/ノードが変更されてもよいが、UEは既存の設定を維持する。再設定が必要ならば、切り替えの前または後に設定できる。
【0175】
一般的には、要求に基づいて送信されるだけである。ネットワークは、どの候補ビームまたは隣接ビームをアクティブにすべきかを決定する。候補ビーム選択は、例えばビーム関連検索テーブルに基づいてよい。この近隣検索テーブルは、UEの位置または無線指紋のいずれかによってインデックス付けされる。位置は、正確な位置(例えば全地球測位システム(GPS)情報)またはおおよその位置(現在のサービングビーム情報)であってよい。近隣検索テーブルの作成と維持は、ネットワーク内のSON機能によって処理される自動近隣関係(ANR)管理プロセスの一般化である。そのテーブルは、所与のUEに向けて測定セッションを開始するためのトリガ基準を提供するためと、測定のための関連する候補ビームおよび可能性のあるビーム切り替えを決定するための両方に使用することができる。この検索テーブル内のビームは、通常のモビリティビームまたは「セクタ」ビームのいずれかである。候補ビームが広くビーム数が少ないなら、メモリ消費量とシグナリング消費量の両方の観点から、隣接ビーム関係テーブルのサイズを縮小することができる。例えばLTE周波数帯域または高負荷で頻繁なハンドオーバ領域にNRを展開するなど、いくつかのネットワーク展開では、同じモビリティビームによってカバーされる潜在的に多くのUEが隣接ビームの品質を継続的に追跡できるように、MRSを常時オンに設定することが好ましい。
【0176】
サービングノード以外のノードにMRS測定値を報告し、新しいサービングノードへのアップリンクデータ送信を再開するために、UEは正しいタイミングアドバンスを適用する必要があり、それは通常現在のサービングノードのためのTAとは異なる。非同期ネットワークでは、TA推定は常に実行される必要があります。それから、USS送信が、MRS測定コマンドで測定ごとに、またはRRCによって静的に設定される。ISD(サイト間距離)がCPの長さを超えているか、それと同等である同期したマクロNWについても同様である。
【0177】
一方、短いISD(サイト間距離)を有する緊密に同期したネットワークでは、古いサービングノードに対するTAも新しいサービングノードに対してうまく機能する可能性がある。UEは、古いダウンリンクタイミング同期が新しいノードに対して機能するかどうかから、該当するケースかどうかを推測することができる。本当に必要でない限り、新しいTA推定をしないのが効率的であろう。ネットワーク制御アプローチは、ネットワークが、MRS測定コマンドにおいて、測定ごとにUSSを送信する(または送信しない)ようにUEを設定することである。古いノードと新しいノードが同じTA値を共有できるとネットワークが推定するならTAは推定されず、そうでなければUEはUSSを送信するよう要求される。あるいは、UE制御アプローチでは、新しいノードのMRSを測定するために再同期が必要ではなかったとUEが判定したなら、UEはアップリンクでのUSSの送信を省略することができる。ここでも、ノードは依然としてUSS受信用のリソースを用意しておく必要がある。
【0178】
TAが変更される場合、これは、dPDCHまたはPCCHを使用して、古いサービングビームを介して、または新しいノードから伝達される(UEがMRSに同期しているので、ダウンリンクは既に「使用可能」である)。
【0179】
上記のMRS報告ソリューションc1では、USSはアップリンクで送信され、ダウンリンクでのTA更新はビーム切り替えコマンドおよびハンドシェイクの一部として送信されてよい。
【0180】
上記のMRS報告ソリューションc2およびc3では、UEは、MRS送信ノードに向けて測定報告手順の一部としてUSSを送信し、別のメッセージとしてTA更新を受信する。
【0181】
UEの位置が高精度で決定され得るいくつかの展開では、古いサービングビームから新しいものに切り替えるときに必要とされるTA補正は、以前に収集されたデータベースから検索され得る。そのデータベースは、SONの原則に従って管理される、以前のTA測定値に基づいて作成される。
【0182】
モビリティ測定シーケンスは本質的にLTEと同じである。モビリティ監視およびトリガシーケンスは、LTEにおけるものと同様であるが、いくつかの詳細、例えば、起動の基準およびモビリティ測定に利用可能なUE固有の信号が異なる。参照信号(MRS)がUE固有候補ビームセットの中で動的にアクティブ化されるMRSアクティブ化シーケンスは、NRにおける新しい手順である。要求に応じて、かつUE固有の方法でMRSをアクティブ化および非アクティブ化することは、リーン設計にとって重要である。NRにおける主な新しい課題はネットワークがどの候補MRSがいつアクティブ化されるかを決定することである。後者の側面はシャドーフェージングのために高周波数において特にクリティカルな可能性がある。候補ビームがいくつかの異なるノードでアクティブ化されるときには、いくつかの準備およびシグナリングがネットワークで必要になることがある。それにもかかわらず、この手順はUEには透過的である。UEは測定設定について通知されるだけであり、UEはそれに応じて、ビームを特定のノードに関連付けることなく報告する。TA更新シーケンスはまた、切り替えコマンドが最初に通知された後に、ターゲットノードにおいて測定され調整され得る。また、おそらく追加の再設定が必要となる。
【0183】
ビーム切り替えトリガ手順は、MRSがどのように設計され送信されるか次第で異なる。より具体的には、三つの典型的なケースがある。
- ビームMRSは、サービングビーム品質の劣化が検出されたときにのみアクティブ化される。ビームが同じノードからのものか、隣接ノードからのものであるかに関係なく、検索テーブル内のすべての関連候補ビームのMRSがアクティブになる。テーブルの作成は、SON機能の一部であってよい。UEはすべてのMRSを測定し、測定報告を送信する。
- 検索テーブル内のすべてのセクタMRSまたはアクティブなUEのためのサービングビームを含むセクタMRSのいずれかが定期的に設定され送信される。UEはまた、送信されたセクタMRSの品質を追跡し続け、定期的にまたはイベントベースの方法で品質を報告することができる。
- サービングモビリティビームは、最大ビーム利得を維持するために、UEを継続的に追跡するように適合され、これはCSI-RS手順と同様である。UEは、サービングビームの近傍の追加のビームを使用して、現在のサービングビーム方向と推定された最良のビーム方向との間のエラー信号を報告する。
【0184】
ケース1は、厳密なQoS要件のないサービスにより適しており、ケース2は、追加的なオーバーヘッドを伴う時間クリティカルなサービスにより適している。(例えば、追加的なオーバーヘッドを伴う、所与のUEについての検索テーブル内のすべてのMRSをアクティブ化することなどの複合的なオプションもある。)ケース3では、UE固有の参照シンボルを用いて、一つのノード内のビーム形状のいかなる修正もUEに対して透過的であり得る-受信アナログビームフォーミングがUE側で適用されない限り、シグナリングは必要とされない。
【0185】
ダウンリンクビームを選択するためにアップリンク測定値を使用することもできる。大まかに言えば、そのような測定は、ビーム切り替えが必要であると考えられるときに要求に応じて実行されるとみなすことができる。したがって、モビリティイベントの概念は依然として適用され、イベントを開始するためのある種のトリガが使用される。
【0186】
ダウンリンクビームが更新されているので、前のセクションで説明した測定値のいずれかを使用してダウンリンク性能をさらに監視することは当然である。例えば、CSI-RSまたはMRSで測定されたCQIを監視してよい。
【0187】
アップリンク測定値を使用してダウンリンク送信に使用されるアクセスノードを選択することは、異なるアクセスノードが同じ送信電力を使用し、かつ同じアンテナ能力を有するという条件で、通常はうまく機能する。それ以外の場合は、これを補償する必要がある。
【0188】
一つのノード内でアップリンク測定値を使用してダウンリンクビームを選択するためには、アップリンクとダウンリンクとの間の相互依存が望ましい。受動アンテナ部品と伝搬媒体は送信と受信とについて物理的に相互依存するが、受信パスおよび送信パスの能動部品と高周波(RF)フィルタは通常非対称性と位相変動を示し、すべての場合で自動の相互依存が生じるわけではない。しかしながら、追加のハードウェア設計制約および較正手順を導入することによって、任意の望ましい程度の相互依存が提供され得る。
【0189】
アップリンク測定値を取得するために、ネットワークは、アップリンク参照信号をネットワークに送信するようUEに要求する。モビリティ測定のための一つの可能性のある参照信号はUSSである。USSは、サービングノードだけでなく、隣接ノードによっても検出され得る。隣接ノードは、それらがサービスしているUEの送信を保持し、USSが生じるであろう送信リソースをクリアすべきである。
【0190】
カバレッジ状況が困難なら、UEはUSSを送信するために送信ビームフォーミングを使用する必要がある。この場合、UEはすべての候補方向にUSSを送信する必要があり、ネットワークが最良のUE送信ビームIDをフィードバックできるように、異なるUSS IDをUE側の異なるアップリンク送信ビームに割り当ててよい。UEが同時に二つ以上の方向に送信することができないなら、ビーム送信は時分割多重化されてもよい。USSは、定期的にUEから送信されてもよいし、(リンクビームの品質が低下したときには)イベントでトリガされてもよい。そのようなビームスイープ設定は、不規則なUEアンテナアレイレイアウトのために、ダウンリンクよりもアップリンクにおいてより複雑である。適切なスイープパターンは、事前の較正またはUEによる作動中学習を使用していくつかの方法で決定され得る。
【0191】
ネットワークでは、候補アクセスノードは異なるビームでUSSを検出しようとし、最良のビームを選択する。アナログビームフォーミングがネットワークによって使用されるなら、ノードは一つのUSS期間内に多数のビームの測定を実行することができない。アクセスノードは異なる受信ビームを使用してUSSを逐次走査することができる。UE送信ビームスイープパターンとアクセスノード受信ビームスイープパターンの調整は複雑である。この組み合わせを使用することは、実際にカバレッジ要件によって義務付けられている場合にのみ考慮する必要がある。
【0192】
例えば、UEにおいて使用されるUSSの数およびネットワーク走査のための繰り返し期間を含む、UEとネットワークとの間のシグナリングに関するいくつかの要件がある。MRS設定と同じ手順が採用されることが想定できる:RRCを使用してUSS送信パラメータを設定し、MACを使用して送信をアクティブにする。
【0193】
アップリンク測定に基づいてダウンリンクビーム切り替えを実行するためのいくつかの代替案がある。
- 狭い(リンク)ビームは、アップリンク測定に基づいて直接選択することができる。
- アップリンク測定に基づくビーム選択はモビリティビームを決定し、狭い(リンク)ビームは後で補足されるダウンリンク測定値に基づいて選択され得る。
- モビリティビームは、より広い受信ビームを用いたアップリンク測定によって最初に決定される。その後、狭い(リンク)ビームは、狭い受信ビームを用いたアップリンク測定によってさらに決定され得る。狭いビームを決定するとき、他のRSが、最初の部分で選択された受信ビーム内またはその近傍に位置する狭いビームにおいて測定されてもよい。
【0194】
直前にリストした三つのビーム切り替えの選択肢において、ビーム選択手順(第一の選択肢におけるビーム選択;第二および第三の選択肢における広いビーム選択)は類似している。ビーム選択手順の一例を
図12に示す。アップリンク測定に基づくビーム選択の手順は、簡単には以下のように表すことができる。
- トリガビーム切り替え
- 関連ビーム内の隣接ノード間のUSS受信をアクティブにする
- UEでUSS送信を有効にする
- ネットワークでUSS測定を実行
- 測定報告に基づいて最良のビームを決定する
- 必要に応じてビーム切り替えを準備する
- 必要に応じてビーム切り替えコマンドを発行する。
【0195】
前述のように、USSは、UEから定期的に、またはイベントトリガ方式で送信することができる。USSが初期の設定に従って周期的に送信されるなら、ステップ1から3は無視することができる。タイミングアドバンスの更新が必要な場合、TA値はUSS測定値から取得することができ、新しいTA値はビーム切り替えコマンド中にUEに通知することができる。
【0196】
上記にリストされた第三のダウンリンクビーム切替えの代替案におけるモビリティビーム選択に続く狭い(リンク)ビーム選択については、隣接ノードからのビームが関与しない、わずかな違いが一つだけある。これは一種のノード内ビーム選択であり、
図13に示される。ここで、「USS」はRRSのような他の種類の参照である可能性もあります。上記の第二の代替案における補完ダウンリンク測定は、ダウンリンク測定ベースの方法のケース2におけるノード内ビーム切り替えと同様である。
【0197】
このセクションで説明することは、上述の技術を補足するいくつかの追加的技術である。様々な実施形態において、これらの追加的技術のうちの任意の一つまたは複数を、上記の技術の任意の組合せとともに実施できる。
【0198】
NRでは、CSIの量は一般にアンテナ/ビームの数と共に増加し、これは、UEによって実行されるビーム/仮説の評価の数がそれに応じて増加する可能性があることを意味する。これは、今度はUEの電力消費の増大につながる。
【0199】
これに対処し、その結果UEの電力消費を低減するための一つのアプローチは、CSIに対して少なくとも二つの報告モードを有することである。一つのモードは、UEまたは他の無線デバイスが「最良の」送信設定を探すモードである。これは「デフォルト」または「レガシー」モードと見なしてよい。もう一つのモードは「低電力モード」と呼ぶことができ、報告されたCSI(例えば、PMI)の品質に関する閾値の使用に基づいている。このモードでは、UEは品質閾値の要件を満たす最初のCSI/PMIを(無線ネットワークに)報告する。したがって、絶対的な最良の可能性のある送信設定を見つけるのではなく、UEは代わりに品質閾値要件を満たすのに十分なものを見つけ、それを報告し、絶対的な最良の可能性のある送信設定を探す必要がないことによってUEの電力消費を減らす。特定の実施形態では、UEは、事前にプログラムされた品質閾値または他の選択基準に基づいて、報告されたCSIの品質に関する閾値をそれ自体が選択できる。代替の実施形態では、UEは、報告されたCSIの品質についての閾値に関してネットワークからの指示を受信し、そして指示された閾値を選択することができる。
【0200】
いくつかの実施形態では、この低電力モードは、例えば、UEがPMIのサブセットのみを走査することを含み得る。この低電力モードはまた、UEが一以上の受信機/送信機チェーンをオフにすること、または、より一般的には、低電力モードで動作中に一以上の受信機および/または送信機回路を低電力状態に切り替えることを含み得、この低電力状態では、回路は、デフォルトモードでのその消費電力に比べてより少ない消費電力を消費する。この低電力モードでは、十分に良好なビームが見つかるとビームの評価を中止し、消費電力を節約できる。このアプローチの利点は、小さなパケットのほとんどのシグナリングに対して、かなりの量のエネルギーを節約するCSI報告モードをUEが使用できることである。
【0201】
NRでは、休止モード(例えば、RRC_CONNECTED DORMANT状態)で動作しているUEは、上のセクションで詳細に説明したように、同期信号および他のシステム情報を探索する。ビームフォーミングが使用されているシステムでは、UEはこれらの同期信号および他のシステム情報を可能性のあるリソースの間隔にわたって探索し、その間隔は、時間、周波数、および空間ビームのさまざまな組み合わせをカバーする。リソースに関するこの自由はLTEには存在しないことに留意されたい。
【0202】
これに関する潜在的な問題は、休止状態のUEがこの探索を実行するために、LTEで動作しているときと比較してはるかに長い期間にわたって起動したままでいる必要があり得ることである。これは、UEによる電力消費に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0203】
この問題には、いくつかの実施形態では、十分に良好なシステム情報および/または同期を受信するとすぐにUEをスリープ状態にさせる(戻す)ことによって対処することができる。ここで「十分に良好」は、所定の閾値(単数または複数)を満たしたことで判定され、必ずしも所定の探索間隔全体を探索する必要はない。このアプローチにより、特に良好な信号がある環境において、UEは電力節約を実現することができる。
【0204】
図14は、このアプローチによる方法例を説明する処理フロー図である。ブロック1410に示されるように、この方法は、同期化および/またはシステム情報のために、測定および/または復調/復号を所定のリソースのセットのうちの一つについて実行することで始まり、リソースはビーム、タイミング及び周波数のうちの一つまたは複数により定義される。ブロック1420に示すように、方法は、現在のリソースについての測定および/または復調/復号の結果として、十分な同期および/またはシステム情報が得られたかどうかを判定することをさらに含む。そうである場合、方法は、ブロック1430に示すように、そのような動作が必要とされる範囲内であればその測定値に基づいて一以上の動作を実行し、それから「スリープ」に戻ることをさらに含み、ここで「スリープ」は測定が能動的に実行される動作モードと比較してUEの回路のための動作の低電力モードを指す。一方、十分な同期および/または情報が得られていないと判定された場合、ブロック1440に示すように、所定のリソースのセットから次のリソースが割り当てられ、ブロック1410に示す測定および/または復調/復号ステップが繰り返される。
【0205】
この技術の利点は、ある場合には、従来のLTE動作で達成されるよりも低いレベルまで、休止モードでのUEの電力消費を低減できることである。本明細書で使用される「休止モード」は、一般に、無線デバイスが、信号を監視および/または測定するために間欠的に受信機回路をアクティブ化し、これらの監視/測定間隔の間に受信機回路の少なくとも一部を非アクティブ化するモードを指す。回路のいくつかが非アクティブ化されるこれらの期間は、「スリープ」期間と呼ばれることがある。上記の説明では、NRは、RRC_CONNECTED DORMANT状態と呼ばれる休止モードを持つものとして説明されている。しかし当然のことながら、任意の所与のネットワークによってサポートされる、名前が異なる一つまたはいくつかの休止モードがあり得る。
【0206】
図15は、ビームフォーミング済みセル情報信号が受信され、それに従って処理されるUE休止モード測定手順を含む別の例示的なプロセスを示す。以下、図中の各ステップについて詳しく説明する。
【0207】
ブロック1510に示されるように、休止モードにあるUEは、様々なトリガのうちのいずれかに基づいて測定機会をトリガする。通常のセルラシステムについては、これは1秒程度の周期で周期的であってよい。
【0208】
ブロック1520に示されるように、UEはセル情報信号および対応する無線リソースのリストを形成し、このリストは、それがすでに知っているかまたは存在し得ることを知っているそれらの信号およびリソースを表す。無線リソースは、セル情報信号が存在し得るビーム、時間間隔、および他の無線リソースグループ(たとえば、OFDMリソース要素など)であってよい。
【0209】
ブロック1530に示されるように、UEは、例えば、以下に基づく順序(しかし、それに限定されない)でリソースおよび信号リストをソートする。
- 無線リソースタイミング(最初の信号が最初など)
- 以前の測定機会からの既知の信号品質または測定特性
- 他の情報源、セルの隣接リスト、他の測定値などからの有用性の可能性に関する情報。
【0210】
ソート順は、最も優先順位の高いセル情報信号(またはリソース)がリストの先頭になるようになっている。
【0211】
ブロック1540に示されるように、UEはそのリスト内の最初の項目のための無線リソースを受信するためにその無線受信機を使用する。これを受信している間、以前に収集されたリソースの測定信号処理が依然として進行中であり得る。
【0212】
ブロック1550に示されるように、UEは収集された無線リソースから所望の信号特性を測定する。これらには、次のうちの任意の一つ以上が含まれる(ただしこれらに限定されない)。
- 受信信号電力
- 受信信号のSINRまたはSNR
- セル情報の復号可能性
- セルラネットワークからのページング情報などの復号された情報。
【0213】
ブロック1560に示されるように、UEは、1550からの測定された信号特性のうちの一つまたは複数に基づいて、これまでに収集された測定値が、測定およびセルサーチ活動を停止するのに「十分に良好」かどうかを判定する。そうでないなら、ブロック1540に示されるように、測定は継続する。「十分に良好」とは、一般に、一以上の所定の基準を満たすことを指し、それは一以上の以下のものを含み得る。
- 受信電力、SINRまたはSNRが特定の閾値を超えている
- そのセル情報は正しく復号できる
- セル情報内の何かが、モードの変更が必要であることを示している(例えば、ページング指示)。
【0214】
「十分に良好」とは、さらに、所与の数、例えば、3つの測定済みセルが「良好なセル」であると検出されることであってよい。
【0215】
ブロック1570に示されるように、測定された信号が「十分に良好」であると判定することは、測定機会の終わりをもたらす。次いでUEは、測定値を報告すること、一以上の受信機回路を非アクティブ化することなどを含む可能性のあるその通常の手順に戻る。
【0216】
図15に示されるソリューションの重要な側面は、ビームフォーミング済みセル情報を有するセルラシステム内の休止モードのUEは、収集された情報が「十分に良好」な点までしか各測定機会に測定値を収集しないことである。これによりUEは、すべての可能性のあるセル情報信号について徹底的な探索を行う前にスリープ状態に戻ることによって電力を節約することが可能である。
【0217】
図16は、無線通信ネットワークにおいて動作するための、UEまたは他の無線デバイスによって実施される別の例示的な方法を示す。この方法は、少なくともいくつかの点で、先に例示した方法と類似している -当然のことながら、この方法の特徴は、上で説明した方法の特徴と適宜組み合わせ、適合させることができる。
【0218】
図16に示される方法
1600は、UEが休止モードで動作している間に実行され、休止モードでの動作は、信号を監視および/または測定するために受信機回路を間欠的にアクティブ化することを含む。この休止モードは、例えば、前述のRRC_CONNECTED DORMANT状態であってよい。UEは、この休止モードにある間、かつ受信機回路がアクティブ化されている間に、図
16に示されるステップを実行する。
【0219】
ブロック1610に示すように、UEは、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれに対して測定を実行し、または、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれから情報を復調および復号し、ここで、所定のリソースセット内のリソースは、ビーム、タイミング、および周波数のうちの一以上によってそれぞれ定義される。いくつかの実施形態では、この所定のリソースのセット内のリソースはそれぞれビームとして定義される。これらの各々は、(UEがアンテナの特定の組み合わせを用いて、および重みを組み合わせて、異なる方向に「リッスン」している)受信機ビーム、またはアクセスノードによって形成される特定の送信機ビーム、またはその両方の組み合わせを表す。
【0220】
ブロック1620に示されるように、方法は、所定の基準に対して複数のリソースのそれぞれについての測定値または復調および復号された情報を評価することをさらに含む。ブロック1630に示すように、UEは、その後、所定の基準が満たされていると判定したことに応じて、測定の実行および評価を中止し、または情報の復調および復号と評価とを中止し、その結果、所定のリソースのセット内の一つ以上のリソースは測定も復調および復号もされない。最後に、ブロック1640に示すように、方法はさらに、所定の基準が満たされていると判定されたことに応じて、アクティブ化された受信機回路を非アクティブ化することをさらに含む。図中のステップは、いくつかの実施形態では、例えば休止モードタイマの周期的満了時に、受信機回路を再アクティブ化するトリガイベントの次の発生において繰り返されてもよい。
【0221】
いくつかの実施形態では、所定の基準は次のうちの一つ以上を含む。一つのリソースについて又は所定数のリソースについて、受信電力レベル、または測定された信号対干渉雑音比(SINR)、または信号対雑音比(SNR)が所定の閾値を超えていること。セル情報が、一つのリソースから、または所定数のリソースについて正確に復号することができること。および、一つまたは所定数のリソースから復号された情報が、無線デバイスの動作の変更を指示すること。
【0222】
いくつかの実施形態では、中止は、所定の基準がリソースのうちの一つについて満たされていると判断したことに応じて実行される。いくつかの実施形態では、方法はさらに、前記実行または復調および復号の前、かつ、前記評価、中止、および非アクティブ化の前に、所定のリソースのセットについて、最高から最低までの優先順位を決定することであって、前記実行または復調および復号が、最高から最低へと優先順位に従うことを含む。所定のリソースのセットの優先順位を決定することは、例えば、以下のうちの任意の一つまたは複数に基づいてもよい。一以上のリソースについての無線リソースタイミング。一以上のリソースの以前の測定値からの測定済み信号品質または測定特性。いくつかの実施形態では、所定のリソースのセットの優先順位を決定することは、一以上のリソースに対する有用性の可能性に関する情報に基づいており、その情報は他のソースまたはセル近隣リストから受信される。
【0223】
このセクションでは、上述した多くの詳細な技術および手順のいくつかを一般化し、特定の方法、ネットワークノード、および無線デバイスに適用する。これらの方法、無線ネットワーク機器、および無線デバイスのそれぞれ、ならびに上記のより詳細な説明で説明されているそれらの多数の変形は、本発明の実施形態と見なすことができる。以下に記載されるこれらの特徴の特定のグループ分けは例であることを理解すべきである-前述の詳細な説明から明らかなように、他のグループ分けおよび組み合わせも可能である。
【0224】
以下の説明および添付の特許請求の範囲において、「第一」、「第二」、「第三」などのラベルの使用は、単に一つの項目を他のものから区別することを意味し、文脈上明らかに表示していない限り、特定の順序または優先順位を示すと理解されるべきではない。
【0225】
本明細書で使用されるとき、「無線デバイス」は、ネットワーク機器および/または別の無線デバイスと無線で通信する能力があり、そのように構成され、配置され、かつ/または動作可能なデバイスを指す。この文脈では、無線で通信することは、電磁信号を使用して無線信号を送信および/または受信することを含む。特定の実施形態では、無線デバイスは、直接的な人間との相互作用なしに情報を送信および/または受信するように構成されてよい。例えば、無線デバイスは、内部または外部のイベントによってトリガされたとき、またはネットワークからの要求に応答して、所定のスケジュールでネットワークに情報を送信するように設計されてもよい。一般に、無線デバイスは、無線通信が可能であり、無線通信のために構成され、配置され、および/または動作可能な任意のデバイス、例えば無線通信デバイスを表してよい。無線デバイスの例は、スマートフォンなどのユーザ機器(UE)を含むがこれに限定されない。さらなる例は、無線カメラ、無線対応タブレットコンピュータ、ラップトップ内蔵機器(LEE)、ラップトップ搭載機器(LME)、USBドングル、および/または無線顧客宅内機器(CPE)を含む。
【0226】
一つの特定の例として、無線デバイスは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)のGSM、UMTS、LTE、および/または5G規格などの、3GPPによって公布された一以上の通信規格に従って通信するように構成されるUEを表してよい。本明細書で使用されるとき、「ユーザ機器」または「UE」は、関連する装置を所有および/または操作する人間のユーザという意味での「ユーザ」を必ずしも有するとは限らない。代わりに、UEは、人間のユーザへの販売または人間のユーザによる操作を意図しているが、最初は特定の人間のユーザに関連付けられていないことがあるデバイスを表していてよい。また当然のことながら、詳細な説明では、用語「UE」は、本質的にUEが「ユーザ」に関連付けられているかどうかにかかわらず、便宜上、さらに一般的には、NRネットワークの文脈で、NRネットワークにアクセスする、および/またはNRネットワークによりサービスされる任意のタイプの無線デバイスを含むように使用される。したがって、上記の詳細な説明で使用されている用語「UE」は、例えば、マシンタイプコミュニケーション(MTC)デバイス(マシン間デバイス、またはM2Mデバイスと呼ばれることもある)、ならびに、「ユーザ」と関連付けられ得るハンドセットまたは無線デバイスを含む。
【0227】
いくつかの無線デバイスは、例えばサイドリンク通信用の3GPP規格を実装することによってデバイス間(D2D)通信をサポートすることができ、この場合はD2D通信デバイスと呼ばれることがある。
【0228】
さらに別の具体例として、インターネットオブシングス(IOT)シナリオでは、無線デバイスは、監視および/または測定を実行し、そのような監視および/または測定の結果を別の無線デバイスおよび/またはネットワーク機器に送信する機械または他のデバイスを表すことができる。この場合、無線デバイスは、マシン間(M2M)デバイスであってよく、これは、3GPPの文脈では、マシンタイプ通信(MTC)デバイスと呼ばれることがある。一つの特定の例として、無線デバイスは、3GPP狭帯域インターネットオブシングス(NB-loT)規格を実装するUEであり得る。そのようなマシンまたはデバイスの具体例は、センサ、電力計のような計量デバイス、産業機器、または、家庭用もしくは個人用の電化製品(例えば冷蔵庫、テレビ、腕時計などの個人用装身品)である。他のシナリオでは、無線デバイスは、その動作状態またはその動作に関連する他の機能について監視および/または報告することができる車両または他の機器を表すことができる。
【0229】
上述のような無線デバイスは無線コネクションのエンドポイントを表すことができ、その場合、デバイスは無線端末と呼ばれることがある。さらに、上述したような無線デバイスは移動可能であってもよく、その場合それはまた移動デバイスまたは移動端末と呼ばれることもある。
【0230】
当然のことながら、本明細書で論じられる無線デバイスの特定の実施形態は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の様々な適切な組み合わせを含むが、本明細書で説明される、および/または本明細書で説明した様々な技術に従う無線通信ネットワーク内で動作するよう構成された無線デバイスは、具体的な実施形態では、
図17に示されている例示的な無線デバイス1000によって表すことができる。
【0231】
図17に示すように、無線デバイス1000の例は、アンテナ1005、無線フロントエンド回路1010、および処理回路1020を含み、それらは、図示の例では、コンピュータ可読記憶媒体1025、例えば、一以上のメモリデバイスを含む。アンテナ1005は、一以上のアンテナまたはアンテナアレイを含んでよく、無線信号を送信および/または受信するように構成され、無線フロントエンド回路1010に接続されている。特定の代替実施形態では、無線デバイス1000はアンテナ1005を含まなくてもよく、代わりにアンテナ1005は無線デバイス1000とは別個であり、インタフェースまたはポートを介して無線デバイス1000に接続可能であってもよい。
【0232】
例えば、様々なフィルタおよび増幅器を含み得る無線フロントエンド回路1010は、アンテナ1005および処理回路1020に接続され、アンテナ1005と処理回路1020との間で通信される信号を調整するように構成される。特定の代替の実施形態では、無線デバイス1000は無線フロントエンド回路1010を含まなくてもよく、代わりに処理回路1020は無線フロントエンド回路1010なしでアンテナ1005に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、無線周波数回路1010は、いくつかの場合には同時に複数の周波数帯域の信号を処理するように構成される。
【0233】
処理回路1020は、無線周波数(RF)トランシーバ回路1021、ベースバンド処理回路1022、およびアプリケーション処理回路1023のうちの一つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、RFトランシーバ回路1021、ベースバンド処理回路1022、およびアプリケーション処理回路1023は別々のチップセット上にあってもよい。代替実施形態では、ベースバンド処理回路1022およびアプリケーション処理回路1023の一部または全部を一つのチップセットに組み合わせることができ、RFトランシーバ回路1021を別のチップセット上に置くことができる。更なる代替実施形態では、RFトランシーバ回路1021およびベースバンド処理回路1022の一部または全部を一つのチップセットに組み合わせることができ、アプリケーション処理回路1023を別のチップセット上に置くことができる。更なる別の実施形態では、RFトランシーバ回路1021、ベースバンド処理回路1022、およびアプリケーション処理回路1023の一部または全部は同じチップセット内に組み合わせもよい。処理回路1020は、例えば、一以上の中央処理装置(CPU)、一以上のマイクロプロセッサ、一以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または一以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含み得る。
【0234】
具体的な実施形態では、ユーザ機器、MTCデバイス、または他の無線デバイスに関連するとして本明細書で説明されている機能の一部または全部は、無線デバイスで具現化され得るか、又はそれに代えて、
図17に示されるように、コンピュータ可読記憶媒体1025に格納した命令を実行する処理回路1020によって具現化され得る。代替実施形態では、機能的なもののうちのいくつかまたはすべては、ハードワイヤード方式などでコンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することなく、処理回路1020によって提供され得る。これらの特定の実施形態のいずれにおいても、コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令を実行するか否かにかかわらず、処理回路1020は、説明された機能を実行するように構成されていると言える。そのような機能によって提供される利点は、無線デバイスの処理回路1020単独、または他の構成要素に限定されず、無線デバイス全体として、および/または一般的にエンドユーザおよび無線ネットワークによって享受される。
【0235】
処理回路1020は、本明細書で説明されている任意の判定動作を実行するように構成され得る。処理回路1020によって実行されるとして判定することは、例えば、取得された情報を他の情報に変換すること、取得された情報または変換された情報を無線デバイスに格納された情報と比較すること、および/または取得された情報または変換された情報に基づいて一または複数の動作を実行することにより、処理回路1020で取得した情報を処理し、そして前記処理の結果として判定を行うことを含んでよい。
【0236】
アンテナ1005、無線フロントエンド回路1010、および/または処理回路1020は、本明細書で説明される任意の送信動作を実行するように構成され得る。任意の情報、データおよび/または信号がネットワーク機器および/または他の無線デバイスに送信され得る。同様に、アンテナ1005、無線フロントエンド回路1010、および/または処理回路1020は、無線デバイスで実行されているとして本明細書で説明される任意の受信動作を実行するように構成され得る。任意の情報、データおよび/または信号がネットワーク機器および/または他の無線デバイスから受信され得る。
【0237】
コンピュータ可読記憶媒体1025は、一般に、コンピュータプログラム、ソフトウェア、一以上の論理規則、コード、表などを含むアプリケーション、および/またはプロセッサによって実行され得る他の命令などの命令を記憶するように動作可能である。コンピュータ可読記憶媒体1025の例は、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または読み出し専用メモリ(ROM))、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、取り外し可能記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)またはデジタルビデオディスク(DVD)、および/または、情報、データおよび/または処理回路1020によって使用できる命令を格納する揮発性または不揮発性、非一時的コンピュータ可読および/または他の任意のコンピュータ実行可能メモリデバイスを含む。いくつかの実施形態では、処理回路1020およびコンピュータ可読記憶媒体1025は統合されていると見なすことができる。
【0238】
無線デバイス1000の代替の実施形態は、本明細書に記載の機能のいずれか、および/または上述のソリューションをサポートするのに必要な機能のいずれかを含む無線デバイスの機能の特定の態様を提供する役割を果たす、
図17に示すもの以外の追加の構成要素を含んでよい。一例として、無線デバイス1000は、入力インタフェース、デバイスおよび回路、および、出力インタフェース、デバイスおよび回路を含み得る。入力インタフェース、デバイスおよび回路は、無線デバイス1000への情報の入力を可能にするように構成され、処理回路1020が入力情報を処理することを可能にするように処理回路1020に接続される。例えば、入力インタフェース、デバイスおよび回路は、マイクロフォン、近接センサまたは他のセンサ、キー/ボタン、タッチディスプレイ、一つ以上のカメラ、USBポート、または他の入力要素を含み得る。出力インタフェース、デバイスおよび回路は、無線デバイス1000からの情報の出力を可能にするように構成され、処理回路1020が情報を無線デバイス1000から出力することを可能にするように処理回路1020に接続される。例えば、出力インタフェース、デバイスおよび回路は、スピーカ、振動回路、USBポート、ヘッドフォンまたは他の出力要素を含み得る。一以上の入出力インタフェース、デバイスおよび回路を使用して、無線デバイス1000は、エンドユーザおよび/または無線ネットワークと通信し、それらが本明細書に記載の機能から利益を得ることを可能にし得る。
【0239】
別の例として、無線デバイス1000は電源回路1030を含み得る。電源回路1030は電力管理回路を含み得る。電源回路は、電源回路1030に含まれるか、またはその外部にあってよい電源から電力を受け取ることができる。例えば、無線デバイス1000は、電源回路1030に接続されているかまたはそれに統合されている電池または電池パックの形態の電源を備えていてもよい。光起電力デバイスなどの他の種類の電源も使用することができる。さらなる例として、無線デバイス1000は、電力ケーブルなどの入力回路またはインタフェースを介して外部電源(コンセントなど)に接続可能であり得、それによって外部電源は電力を電源回路1030に供給する。
【0240】
電源回路1030は、無線フロントエンド回路1010、処理回路1020、および/またはコンピュータ可読記憶媒体1025に接続され、本明細書で説明した機能を実行するための電力を、処理回路1020を含む無線デバイス1000に供給するように構成され得る。
【0241】
無線デバイス1000はまた、例えばGSM、WCDMA、LTE、NR、WiFi、またはBluetooth無線技術のような、無線デバイス1000に統合された異なる無線技術のための複数組の処理回路1020、コンピュータ可読記憶媒体1025、無線回路1010、および/またはアンテナ1005を含み得る。これらの技術は、無線デバイス1000内の同じまたは異なるチップセットおよび他の構成要素に統合することができる。
【0242】
無線デバイス1000は、様々な実施形態において、本明細書に記載された特徴および技術の様々な組み合わせのうちのいずれかを実行するように適合されている。いくつかの実施形態では、例えば処理回路1020は、休止モードで動作している間、および受信機回路がアクティブ化されている間に、アンテナ1005および無線フロントエンド回路1010を使用して、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれについて測定を実行するように、または所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれからの情報を復調及び復号するように構成され、所定のリソースのセットのうちのリソースは、ビーム、タイミングまたは周波数のうちの一つまたは複数によりそれぞれ定義される。処理回路1020はさらに、複数のリソースのそれぞれについての測定値または復調および復号化された情報を所定の基準に対して評価し、その後、所定の基準が満たされていると判定したことに応じて、測定の実行および評価を中止し、または復調および復号と情報の評価とを中止するように構成され、その結果、所定のリソースのセット内の一つ以上のリソースは測定も復調および復号もされない。処理回路1020はさらに、所定の基準が満たされていると判定されたことに応じて、アクティブ化された受信機回路を非アクティブ化するよう構成される。
【0243】
また、上述のいくつかの技術のうちのいずれかに従って休止モードで動作するように構成された無線デバイスは、本明細書に記載された幾つかの他の技術のうちの一つまたは複数を実行するようにさらに構成され得る。その結果、例えば、所定のリソースのセットのうちのリソースは、ビームとしてそれぞれ定義されてよく、いくつかの実施形態および様々な実施形態では、所定の基準は次のうちの一つ以上を含んでよい。一つのリソースについて又は所定数のリソースについて、受信電力レベル、または測定された信号対干渉雑音比(SINR)、または信号対雑音比(SNR)が所定の閾値を超えていること。セル情報が、一つのリソースから、または所定数のリソースについて正確に復号することができること。一つまたは所定数のリソースから復号された情報が、無線デバイスの動作の変更を指示すること。
【0244】
いくつかの実施形態では、無線デバイスは、所定の基準がリソースのうちの一つについて満たされていると判断したことに応じて前記中止を実行するように構成される。これらの及び他のいくつかの実施形態では、無線デバイスはさらに、前記実行または復調および復号の前、かつ、前記評価、中止、および非アクティブ化の前に、所定のリソースのセットについて、最高から最低までの優先順位を決定するよう構成され、無線デバイスは、前記実行または復調および復号を、最高から最低へと優先順位に従って実行するよう構成される。これらの後の実施形態のうちのいくつかにおいて、無線デバイスは、一以上のリソースについての無線リソースタイミング、および一以上のリソースの以前の測定値からの測定信号の品質または測定特性、の一つまたは複数に基づいて所定のリソースのセットのための優先順位を決定するように構成される。
【0245】
これらいくつかの又は他のいくつかの実施形態では、無線デバイスは、一以上のリソースに対する有用性の可能性に関する情報に基づいて所定のリソースのセットの優先順位を決定するように構成され、前記情報は他のソースまたはセル近隣リストから受信される。
【0246】
本明細書で使用されるとき、用語「ネットワーク機器」は、無線デバイスおよび/または、無線デバイスへの無線アクセスを可能にする、及び/又は提供する無線通信ネットワーク内の他の機器と直接的にまたは間接的に、通信することができる、および/または通信するよう構成された、および/または通信するよう配置された、および/または通信動作可能な機器を指す。ネットワーク機器の例としては、アクセスポイント(AP)、特に無線アクセスポイントが含まれるが、これらに限定されない。ネットワーク機器は、無線基地局などの基地局(BS)を表すことができる。無線基地局の具体的な例は、ノードB、および発展型ノードB(eNB)を含む。基地局は、それらが提供するカバレッジの量(すなわち、換言すれば、それらの送信電力レベル)に基づいて分類することができ、その結果、フェムト基地局、ピコ基地局、マイクロ基地局、またはマクロ基地局とも呼ばれることがある。「ネットワーク機器」はまた、集中型デジタルユニットおよび/または遠隔無線ヘッド(RRH)と呼ばれることがある遠隔無線ユニット(RRU)などの分散型無線基地局の一以上の部分(または全部)も含む。そのような遠隔無線ユニットは、アンテナ一体型無線機としてアンテナと一体化されていても、或いはされていなくてもよい。分散型無線基地局の一部は、分散型アンテナシステム(DAS)内のノードとも呼ばれる。
【0247】
特定の非限定的な例として、基地局は、中継を制御する中継ノードまたは中継ドナーノードであり得る。
【0248】
ネットワーク機器のなおさらなる例には、マルチスタンダード無線(MSR)BSなどのMSR無線機器、無線ネットワークコントローラ(RNC)または基地局コントローラ(BSC)などのネットワークコントローラ、基地トランシーバ局(BTS)、送信ポイント、送信ノード、マルチセル/マルチキャスト調整エンティティ(MCE)、コアネットワークノード(例えばモビリティスイッチングセンターすなわちMSC、モビリティ管理エンティティすなわちMME)、運用および保守(O&M)ノード、運用およびサポートシステム(OSS)ノード、SONノード、測位ノード(例えば、E-SMLC)、および/またはMDTが含まれる。しかしながら、より一般的には、ネットワーク機器は、無線通信ネットワークへの無線デバイスのアクセスを可能にする及び/又は提供すること、または、無線通信ネットワークにアクセスした無線デバイスに何らかのサービスを提供すること、が可能な、および/またはそのように構成された、および/またはそのように配置された、および/またはそのような動作可能な、どのような適切なデバイス(またはデバイスのグループ)を表してもよい。
【0249】
本明細書で使用されるとき、用語「無線ネットワーク機器」は、無線機能を含むネットワーク機器を指すために使用される。したがって、無線ネットワークノードの例は、上述した無線基地局および無線アクセスポイントである。当然のことながら、いくつかの無線ネットワーク機器は、上述した(RRHおよび/またはRRUを有する)分散型無線基地局など、分散された機器を含み得る。当然のことながら、本明細書におけるeNB、eノードB、ノードBなどへの様々な言及は、無線ネットワーク機器の例を言及している。また、本明細書で使用される用語「無線ネットワーク機器」は、単一の基地局または単一の無線ノード、あるいは場合によっては、例えば異なる場所にある複数の基地局またはノードを指すことがあることも理解されるべきである。場合によっては、この文書は、無線ネットワーク機器の「インスタンス」に言及して、無線機器の複数の異なる実施形態または実装が含まれる特定のシナリオをより明確に説明することがある。しかしながら、無線ネットワーク機器の考察に関連した「インスタンス」への言及の欠如は、単一のインスタンスのみが言及されていることを意味すると理解されるべきではない。無線ネットワーク機器の所与のインスタンスは、代わりに「無線ネットワークノード」と呼ばれることがあり、「ノード」という用語の使用は、言及された機器がネットワーク内の論理ノードとして動作することを意味するが、すべての構成要素が必ず同じ場所に配置されることを意味するものではない。
【0250】
無線ネットワーク機器は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意の適切な組み合わせを含み得るが、無線ネットワーク機器1100のインスタンスの例は、
図18によってより詳細に示される。
図18に示すように、無線ネットワーク機器1100の例は、アンテナ1105、無線フロントエンド回路1110、および処理回路1120を含み、それらは、図示の例では、コンピュータ可読記憶媒体1025、例えば、一以上のメモリデバイスを含む。アンテナ1105は、一以上のアンテナまたはアンテナアレイを含んでよく、無線信号を送信および/または受信するように構成され、無線フロントエンド回路1110に接続されている。特定の代替実施形態では、無線ネットワーク機器1100はアンテナ1005を含まなくてもよく、代わりにアンテナ1005は無線ネットワーク機器1100とは別個であり、インタフェースまたはポートを介して無線ネットワーク機器1100に接続可能であってもよい。いくつかの実施形態では、無線フロントエンド回路1110の全部または一部は、処理回路1120から分離した一つまたはいくつかの場所、例えばRRHまたはRRU内に配置されてもよい。同様に、処理回路1120の一部は互いに物理的に分離されていてもよい。無線ネットワーク機器1100はまた、他のネットワークノードと、例えば他の無線ネットワーク機器と、およびコアネットワーク内のノードと通信するための通信インタフェース回路1140を含んでよい。
【0251】
例えば、様々なフィルタおよび増幅器を含み得る無線フロントエンド回路1110は、アンテナ1105および処理回路1120に接続され、アンテナ1105と処理回路1120との間で通信される信号を調整するように構成される。特定の代替の実施形態では、無線ネットワーク機器1100は無線フロントエンド回路1110を含まなくてもよく、代わりに処理回路1120は無線フロントエンド回路1110なしでアンテナ1105に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、無線周波数回路1110は、いくつかの場合には同時に複数の周波数帯域の信号を処理するように構成される。
【0252】
処理回路1120は、RFトランシーバ回路1121、ベースバンド処理回路1122、およびアプリケーション処理回路1123のうちの一つまたは複数を含み得る。いくつかの実施形態では、RFトランシーバ回路1121、ベースバンド処理回路1122、およびアプリケーション処理回路1123は別々のチップセット上にあってもよい。代替実施形態では、ベースバンド処理回路1122およびアプリケーション処理回路1123の一部または全部を一つのチップセットに組み合わせることができ、RFトランシーバ回路1121を別のチップセット上に置くことができる。更なる代替実施形態では、RFトランシーバ回路1121およびベースバンド処理回路1122の一部または全部を一つのチップセットに組み合わせることができ、アプリケーション処理回路1123を別のチップセット上に置くことができる。更なる別の実施形態では、RFトランシーバ回路1121、ベースバンド処理回路1122、およびアプリケーション処理回路1123の一部または全部は同じチップセット内に組み合わせもよい。処理回路1120は、例えば、一以上のCPU、一以上のマイクロプロセッサ、一以上のASIC、および/または一以上のFPGAを含み得る。
【0253】
具体的な実施形態では、無線ネットワーク機器、無線基地局、またはeNB等に関連しているとして本明細書で説明されている機能の一部または全部は、無線ネットワーク機器で具現化され得るか、又はそれに代えて、
図18に示されるように、コンピュータ可読記憶媒体1125に格納した命令を実行する処理回路1120によって具現化され得る。代替実施形態では、機能的なもののうちのいくつかまたはすべては、ハードワイヤード方式などでコンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行することなく、処理回路1120によって提供され得る。これらの特定の実施形態のいずれにおいても、コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令を実行するか否かにかかわらず、処理回路は、説明された機能を実行するように構成されていると言える。そのような機能によって提供される利点は、無線ネットワーク機器の処理回路1120単独、または他の構成要素に限定されず、無線ネットワーク機器1100全体として、および/または一般的にエンドユーザおよび無線ネットワークによって享受される。
【0254】
処理回路1120は、本明細書で説明されている任意の判定動作を実行するように構成され得る。処理回路1120によって実行されるとして判定することは、例えば、取得された情報を他の情報に変換すること、取得された情報または変換された情報を無線ネットワーク機器に格納された情報と比較すること、および/または取得された情報または変換された情報に基づいて一または複数の動作を実行することにより、処理回路1120で取得した情報を処理し、そして前記処理の結果として判定を行うことを含んでよい。
【0255】
アンテナ1105、無線フロントエンド回路1110、および/または処理回路1120は、本明細書で説明される任意の送信動作を実行するように構成され得る。任意の情報、データおよび/または信号が任意のネットワーク機器および/または無線デバイスに送信され得る。同様に、アンテナ1105、無線フロントエンド回路1110、および/または処理回路1120は、無線ネットワーク機器で実行されているとして本明細書で説明される任意の受信動作を実行するように構成され得る。任意の情報、データおよび/または信号が任意のネットワーク機器および/または無線デバイスから受信され得る。
【0256】
コンピュータ可読記憶媒体1125は、一般に、コンピュータプログラム、ソフトウェア、一以上の論理規則、コード、表などを含むアプリケーション、および/またはプロセッサによって実行され得る他の命令などの命令を記憶するように動作可能である。コンピュータ可読記憶媒体1125の例は、コンピュータメモリ(例えば、RAMまたはROM)、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、取り外し可能記憶媒体(例えばCDまたはDVD、および/または、情報、データおよび/または処理回路1120によって使用できる命令を格納する揮発性または不揮発性、非一時的コンピュータ可読および/または他の任意のコンピュータ実行可能メモリデバイスを含む。いくつかの実施形態では、処理回路1120およびコンピュータ可読記憶媒体1125は統合されていると見なすことができる。
【0257】
無線ネットワーク機器1100の代替の実施形態は、本明細書に記載の機能のいずれか、および/または上述のソリューションをサポートするのに必要な機能のいずれかを含む無線ネットワーク機器の機能の特定の態様を提供する役割を果たす、
図18に示すもの以外の追加の構成要素を含んでよい。一例として、無線ネットワーク機器1100は、入力インタフェース、デバイスおよび回路、および、出力インタフェース、デバイスおよび回路を含み得る。入力インタフェース、デバイスおよび回路は、無線ネットワーク機器1100への情報の入力を可能にするように構成され、処理回路1120が入力情報を処理することを可能にするように処理回路1120に接続される。例えば、入力インタフェース、デバイスおよび回路は、マイクロフォン、近接センサまたは他のセンサ、キー/ボタン、タッチディスプレイ、一つ以上のカメラ、USBポート、または他の入力要素を含み得る。出力インタフェース、デバイスおよび回路は、無線ネットワーク機器1100からの情報の出力を可能にするように構成され、処理回路1120が情報を無線ネットワーク機器1100から出力することを可能にするように処理回路1120に接続される。例えば、出力インタフェース、デバイスおよび回路は、スピーカ、USBポート、ヘッドフォンまたは他の出力要素を含み得る。一以上の入出力インタフェース、デバイスおよび回路を使用して、無線ネットワーク機器1100は、エンドユーザおよび/または無線ネットワークと通信し、それらが本明細書に記載の機能から利益を得ることを可能にし得る。
【0258】
別の例として、無線ネットワーク機器1100は電源回路1130を含み得る。電源回路1130は電力管理回路を含み得る。電源回路1130は、電源回路1130に含まれるか、またはその外部にあってよい電源から電力を受け取ることができる。例えば、無線ネットワーク機器1100は、電源回路1130に接続されているかまたはそれに統合されている電池または電池パックの形態の電源を備えていてもよい。光起電力デバイスなどの他の種類の電源も使用することができる。さらなる例として、無線ネットワーク機器1100は、電力ケーブルなどの入力回路またはインタフェースを介して外部電源(コンセントなど)に接続可能であり得、それによって外部電源は電力を電源回路1130に供給する。
【0259】
電源回路1130は、無線フロントエンド回路1110、処理回路1120、および/またはコンピュータ可読記憶媒体1125に接続され、本明細書で説明した機能を実行するための電力を、処理回路1120を含む無線ネットワーク機器1100に供給するように構成され得る。
【0260】
無線ネットワーク機器1100はまた、例えばGSM、WCDMA、LTE、NR、WiFi、またはBluetooth無線技術のような、無線ネットワーク機器1100に統合された異なる無線技術のための複数組の処理回路1120、コンピュータ可読記憶媒体1125、無線回路1110、アンテナ1105、および/または通信インタフェース回路1140を含み得る。これらの技術は、無線ネットワーク機器1100内の同じまたは異なるチップセットおよび他の構成要素に統合することができる。
【0261】
無線ネットワーク機器1100の一つ以上のインスタンスは、様々な組み合わせのうちの任意の組み合わせで、本明細書に記載された技術のいくつかまたはすべてを実行するように構成されてよい。当然のことながら、所与のネットワークの実装では、無線ネットワーク機器1100の複数のインスタンスが使用されることになる。場合によっては、一度にいくつかの無線ネットワーク機器1100のインスタンスが、所与の無線デバイスまたは無線デバイスのグループと通信し、または信号を送信してよい。したがって、本明細書で説明される技術の多くは無線ネットワーク機器1100の単一のインスタンスによって実行され得るが、これらの技術は、無線ネットワーク機器1100の一以上のインスタンスによって、場合により協調的な方法で実行されるとして理解できることが理解されるべきである。したがって、
図18に示す無線ネットワーク機器1100は、このシステムの最も簡単な例である。
【0262】
図19は、例えば処理回路1020に基づいて無線デバイス1000に実装され得る機能モジュールの例または回路アーキテクチャを示す。図示の例は、少なくとも機能的に、休止モードの無線デバイス1000を制御するための休止モードモジュール1910を含み、休止モードでの動作は、信号を監視および/または測定するために受信機回路を間欠的にアクティブ化することを含む。この実施形態はさらに、無線デバイス1000が休止モードにある間、および受信機回路が起動されている間に動作するいくつかの他のモジュールを含み、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれに対して測定を実行するための、または、所定のリソースのセットのうちの複数のリソースのそれぞれから情報を復調および復号するための測定モジュール1920(ここで、所定のリソースセット内のリソースは、ビーム、タイミング、および周波数のうちの一つまたは複数によってそれぞれ定義される。)と、所定の基準に対する複数のリソースのそれぞれに対する測定値または復調済みまたは復号済み情報の評価を行うための評価モジュール1930とを含む。図示の実施形態はさらに、所定の基準が満たされていると判定されたことに応じて、測定の実行および評価を中止するか、情報の復調および復号と評価とを中止する中止モジュール1940を含み、その結果、所定のリソースのセット内の一以上のリソースが測定も復調および復号もされず、さらに所定の基準が満たされていると判定したことに応じて、アクティブ化された受信機回路を非アクティブ化するための非アクティブ化モジュール1950を含む。
【0263】
図19に示された無線デバイス1000いくつかの実施形態では、所定のリソースのセット内のリソースはそれぞれビームとして定義される。いくつかの実施形態では、所定の基準は次のうちの一つ以上を含む。一つのリソースについて又は所定数のリソースについて、受信電力レベル、または測定された信号対干渉雑音比(SINR)、または信号対雑音比(SNR)が所定の閾値を超えていること。セル情報が、一つのリソースから、または所定数のリソースについて正確に復号することができること。一つまたは所定数のリソースから復号された情報が、無線デバイスの動作の変更を指示すること。
【0264】
いくつかの実施形態では、中止モジュール1940は、所定の基準がリソースのうちの一つについて満たされていると判断したことに応じてその中止を実行するように構成される。
【0265】
いくつかの実施形態では、無線デバイス1000は、測定モジュール1920、評価モジュール1930、中止モジュール1940、および非アクティブ化モジュール1950によって実行される動作の前に、最高から最低までの所定のリソースのセットのための優先順位を決定する決定モジュール(図示せず)をさらに有する。これらの実施形態では、測定モジュールによって実行される動作は、最高から最低までの優先順位に従って実行される。これらの実施形態のうちのいくつかにおいて、所定のリソースのセットのための優先順位を決定することは、一以上のリソースについての無線リソースタイミング、および一以上のリソースの以前の測定値からの測定信号の品質または測定特性、の一つまたは複数に基づく。これらいくつかの又は他のいくつかの実施形態では、所定のリソースのセットのための優先順位を決定することは、一以上のリソースに対する有用性の可能性に関する情報に基づき、この情報は他のソースまたはセル近隣リストから受信される。