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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】生ごみ処理装置及び生ごみ処理方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/60 20220101AFI20220714BHJP
   C05F 9/04 20060101ALI20220714BHJP
   C05F 9/02 20060101ALI20220714BHJP
   B09B 101/70 20220101ALN20220714BHJP
   B02C 18/00 20060101ALN20220714BHJP
【FI】
B09B3/60 ZAB
C05F9/04
C05F9/02 A
B09B101:70
B02C18/00 104A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013132
(22)【出願日】2021-01-29
(62)【分割の表示】P 2017077001の分割
【原出願日】2017-04-07
(65)【公開番号】P2021065887
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-01-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 平成28年10月21日 公開場所 東京都狛江市西野川4-14-1
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(72)【発明者】
【氏名】山田 順之
(72)【発明者】
【氏名】曽根 佑太
(72)【発明者】
【氏名】青木 忠尚
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-081243(JP,U)
【文献】特開2003-334516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C05F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部と下部とを開口し仕切がない一空間として形成され生ごみを収容可能とし収容された生ごみを堆肥化して処理する処理空間で構成される本体と、
前記処理空間の前記上部の前記開口を覆うように設けられるとともに前記上部の前記開口を通じた前記処理空間への生ごみの投入位置を変更可能に構成された蓋部と、
前記処理空間の前記下部の前記開口に設置された網体と、
前記網体の下方に配置され前記網体を通じて前記処理空間から落下する堆肥を受ける容器と、
前記網体上に配置され、前記本体の対面する側壁に設けられた長孔を貫通して両端が前記本体外に延び出るように設けられ、前記長孔に案内されて前記網体上を移動可能な棒材と、を備える、生ごみ処理装置。
【請求項2】
前記蓋部は、前記処理空間に対し異なる位置に設けられ開閉可能な複数の蓋体を有している、請求項1に記載の生ごみ処理装置。
【請求項3】
前記蓋体の少なくとも1つには、前記投入位置を示すための着脱可能な目印が付されている、請求項2に記載の生ごみ処理装置。
【請求項4】
複数の利用者により共同して用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の生ごみ処理装置。
【請求項5】
生ごみを堆肥化して処理する生ごみ処理方法において、
請求項1~のいずれか一項に記載の生ごみ処理装置を用い、
前記生ごみ処理装置の前記処理空間への生ごみの前記投入位置を変更して生ごみの投入を行う、生ごみ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみを堆肥化させて処理する生ごみ処理装置及び生ごみ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ごみの処理に関し、例えば、特開2003-236513号公報に記載されるように、箱本体にミミズを入れておき、箱本体内に生ごみを投入し、ミミズによって生ごみを堆肥化させて生ごみ処理を行う装置及び方法が知られている。この装置及び方法は、箱本体内の通気性を良くして生ごみの腐敗しないようにしようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-236513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような生ごみ処理装置及び方法において、複数の世帯が共同して生ごみを処理する装置又は方法として用いることが考えられる。この場合、生ごみを収容する生ごみ処理装置の本体が大型なものとなる。このため、本体に対し生ごみが投入される位置に偏りがあると、本体内において生ごみの多い箇所と少ない箇所が生じ、生ごみの堆肥化が円滑に行えないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、本体に収容される生ごみの偏りを抑制し生ごみの円滑な堆肥化が行える生ごみ処理装置及び生ごみ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る生ごみ処理装置は、上部を開口し生ごみを収容可能とし、収容された生ごみを堆肥化して処理する本体と、前記本体の開口を覆うように設けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は前記本体への生ごみの投入位置を変更可能に構成されている。この発明によれば、蓋部が本体への生ごみの投入位置を変更可能に構成されていることにより、本体への生ごみの投入位置を変えることが可能となる。このため、本体への生ごみが偏って収容されることが抑制される。従って、本体において生ごみの処理が進まない領域を低減でき、生ごみ処理が円滑に行える。
【0007】
また、本発明に係る生ごみ処理装置において、前記蓋部は前記本体に対し異なる位置に設けられ開閉可能な複数の蓋体を有していてもよい。この場合、蓋部が開閉可能な複数の蓋体を有していることにより、生ごみを投入する際に開ける蓋体を順次替えることにより、生ごみの収容位置を変えることができる。このため、本体内に生ごみが偏って収容されることが抑制され、生ごみ処理が円滑に行える。
【0008】
また、本発明に係る生ごみ処理装置において、前記蓋部は、円形の板体として設けられ、生ごみの投入口が形成され、前記投入口から生ごみを投入されるごとに中央の回転軸線を中心に回転するように設けられていてもよい。この場合、投入口から生ごみが投入されるごとに蓋部が回転することにより、生ごみの投入口が移動する。このため、生ごみの本体内へ投入位置が順次変更され、本体内に生ごみが偏って収容されることが抑制される。従って、生ごみ処理が円滑に行える。
【0009】
また、本発明に係る生ごみ処理装置において、前記蓋部の前記投入口の位置に設けられ、生ごみを粉砕する粉砕部を備えていてもよい。この場合、投入口の位置に生ごみを粉砕する粉砕部が設けられることにより、投入口が広く開口することが抑えられる。このため、生ごみの投入時に害虫などが本体内へ侵入することが抑制される。また、生ごみは粉砕されて本体内へ投入されるため、生ごみの堆肥化を促進でき、円滑な生ごみ処理が行える。
【0010】
さらに、本発明に係る生ごみ処理装置は、複数の利用者により共同して用いられるものであってもよい。この場合、複数の利用者により共同して用いられることにより、大型な装置となっても、本体への生ごみが偏って収容されることが抑制され、生ごみ処理が円滑に行える。
【0011】
本発明に係る生ごみ処理方法は、生ごみを堆肥化して処理する生ごみ処理方法において、上部を開口し生ごみを収容可能とし収容された生ごみを堆肥化して処理する本体及び本体の開口を覆うように設けられる蓋部を備え、蓋部が本体への生ごみの投入位置を変更可能に構成されている生ごみ処理装置を用い、本体への生ごみの投入位置を変更して生ごみの投入を行うように構成される。この発明によれば、本体への生ごみの投入位置を変えて生ごみの投入が行われることにより、本体へ生ごみが偏って収容されることを抑制することができる。従って、本体において生ごみの処理が進まない領域を低減でき、生ごみ処理が円滑に行える。
【0012】
本発明の生ごみ処理装置は、上部を開口し生ごみを収容可能とし収容された生ごみを堆肥化して処理する処理空間を有する本体と、前記処理空間の前記開口を覆うように設けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記開口を通じた前記処理空間への生ごみの投入位置を変更可能に構成され、前記処理空間の底面が開口されて形成され前記処理空間の前記堆肥を排出可能な堆肥排出口を備える、生ごみ処理装置であってもよい。
【0013】
本発明の生ごみ処理装置は、前記堆肥排出口に設けられ前記生ごみの落下を防ぐ網体と、前記網体に沿って移動することで前記生ごみが堆肥化されてなる前記堆肥の底部を掻いて、前記堆肥を前記網体を通過して落下させる堆肥掻き落し部材と、を更に備えていてもよい。
【0014】
本発明の生ごみ処理装置は、上部を開口し仕切がない一空間として形成され生ごみを収容可能とし収容された生ごみを堆肥化して処理する処理空間で構成される本体と、前記処理空間の前記開口を覆うように設けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記開口を通じた前記処理空間への生ごみの投入口の位置を変更可能に構成されている、生ごみ処理装置であってもよい。
【0015】
本発明の生ごみ処理装置は、上部を開口し仕切がない一空間として形成され生ごみと前記生ごみを堆肥化する生物とを一緒に収容可能とし収容された生ごみを前記生物で堆肥化して処理する処理空間を有する本体と、前記処理空間の前記開口を覆うように設けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記開口を通じた前記処理空間への生ごみの投入位置を変更可能に構成されている、生ごみ処理装置であってもよい。
【0016】
本発明の生ごみ処理装置は、上部を開口し生ごみを収容可能とし収容された生ごみを堆肥化して処理する処理空間を有する本体と、前記処理空間の前記開口を覆うように設けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、円形の板体として設けられ、前記生ごみを前記処理空間に投入するための投入口が形成され、前記投入口から生ごみが投入されるごとに中央の回転軸線を中心に回転して前記投入口の位置が前記処理空間に対し回転周方向に移動するように設けられる、生ごみ処理装置であってもよい。
【0017】
本発明の生ごみ処理装置は、上部を開口し生ごみを収容可能とし収容された生ごみを堆肥化して処理する処理空間を有する本体と、前記処理空間の前記開口を覆うように設けられる蓋部と、を備え、前記蓋部は、前記開口を通じた前記処理空間への生ごみの投入位置を変更可能に構成され、前記蓋部は、前記処理空間に対し異なる位置に設けられた開閉可能な複数の蓋体を有し、前記蓋体の少なくとも1つには、前記投入位置を示すための着脱可能な目印が付されている、生ごみ処理装置であってもよい。
【0018】
前記蓋部は、前記処理空間に対し異なる位置に設けられ開閉可能な複数の蓋体を有している、こととしてもよい。前記蓋部は、円形の板体として設けられ、投入口が形成され、前記投入口から生ごみが投入されるごとに中央の回転軸線を中心に回転して前記投入口の位置が前記処理空間に対し回転周方向に移動するように設けられる、こととしてもよい。本発明の生ごみ処理装置は、前記蓋部の前記投入口の位置に設けられ、生ごみを粉砕する粉砕部を備える、こととしてもよい。本発明の生ごみ処理装置は、複数の利用者により共同して用いられる、ものであってもよい。
【0019】
本発明の生ごみ処理方法は、生ごみを堆肥化して処理する生ごみ処理方法において、上記何れかの記載の生ごみ処理装置を用い、前記生ごみ処理装置の前記処理空間への生ごみの投入位置を変更して生ごみの投入を行う、生ごみ処理方法であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、本体に収容される生ごみの偏りを抑制でき、生ごみの堆肥化が円滑に行える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第一実施形態に係る生ごみ処理装置の斜視図である。
図2図2は、図1のII-IIにおける生ごみ処理装置の水平断面図である。
図3図3は、図1の生ごみ処理装置の使用方法及び本実施形態に係る生ごみ処理方法の説明図である。
図4図4は、第二実施形態に係る生ごみ処理装置の斜視図である。
図5図5は、図4のV-Vにおける生ごみ処理装置の鉛直断面図である。
図6図6は、図4のVI-VIにおける生ごみ処理装置の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
(第一実施形態)
図1は本発明の第一実施形態に係る生ごみ処理装置1の斜視図であり、図2図1のII-IIにおける生ごみ処理装置1の水平断面図である。
【0024】
本実施形態に係る生ごみ処理装置1は、ミミズを用いて生ごみを堆肥化させて処理する装置であって、複数の利用者により共同して用いられる装置である。
【0025】
ミミズとしては、例えばシマミミズが用いられる。なお、生ごみを堆肥化できれば、その他の種類のミミズを用いてもよいし、複数の種類のミミズを併用してもよい。また、生ごみを堆肥化する生物であれば、ミミズ以外の生物を用いてもよいし、ミミズと共に併用してもよい。複数の利用者により共同して用いられる場合としては、例えば、複数の世帯が共同して生ごみ処理装置1を用いる場合である。また、企業や学校などの施設において、複数の部署が共同して用いる場合であってもよいし、その他複数の活動体により共同して用いる場合であってもよい。
【0026】
図1に示すように、第一実施形態に係る生ごみ処理装置1は、本体2の上部に蓋部3を備えて構成されている。本体2は、上部を開口し生ごみを収容可能とした収容体であり、収容された生ごみを堆肥化して処理する。例えば、本体2としては、直方体を呈する箱型のものが用いられる。本体2は、ミミズを入れておくことで収容した生ごみを堆肥化させる。本体2の上部は開口しており、その開口を覆うように蓋部3が設けられている。本体2の下部も開口しており、その下部の開口位置には、網体21が設置されている。網体21は、水平方向に向けて設置されており、本体2へ収容される生ごみ等が下方へ落ちることを防いでいる。網体21は、例えば線材を格子状に編み合わせた金網が用いられる。また、網体21としてステンレス製のものを用いる場合、生ごみなどに直接触れる網体21の耐久性を高めることができる。網体21の網目の大きさは収容される生ごみの大きさ等を考慮して適宜選択すればよい。なお、網体21は本体2の下部開口の全面にわたって設置されているが、図1、2では説明の便宜上その一部のみを図示している。
【0027】
網体21上には棒材22が配置されている。棒材22は、堆肥化された生ごみ、すなわち堆肥を掻き落とすための部材である。棒材22は、本体2の側壁23、23を貫通して設けられ、両端部が本体2外へ延び出るように設けられている。例えば、対面する側壁23、23に水平方向へ延びる長孔23a、23aを形成し、棒材22が網体21を通り長孔23a、23aを貫通するように設けられる。これにより、本体2の外部から棒材22の端部を持って棒材22を左右に移動させることにより、堆肥の下部を削って本体2の下方へ容易に落とすことができる。
【0028】
また、長孔23aに二つの棒材22を貫通させて棒材22が設けられている。これにより、本体2の両側に一人ずつ人員を配置し、左右の手で棒材22を一つずつ握り、本体2の両側から棒材22、22の接近と離間を繰り返すことにより、容易に堆肥を本体2の下方へ掻き落とすことができる。すなわち、二つの棒材22、22において互いに反力をとって接近及び離間を行うことが可能となるため、堆肥の掻き落としが容易に行える。特に、複数の利用者により用いられる大型の生ごみ処理装置に有効である。また、長孔23aに一つの棒材22を貫通させその棒材22により堆肥の排出を行ってもよい。つまり、本体2の両側に一人ずつ人員を配置し、本体2の両側から棒材22を左右に移動させることにより、堆肥を本体2の下方へ掻き落としてもよい。さらに、棒材22の持ち手を長くすることにより、一人の人員によって堆肥の掻き落としを行ってもよい。
【0029】
本体2の網体21の下方には、容器4が配置されている。容器4は、網体21から下方へ落ちる堆肥を受ける容器であり、上部を開口した有底の容器が用いられる。図1では、二つの容器4、4が網体21の下方に配置されている。容器4内に堆肥が十分に溜まったら、容器4を本体2の下方位置から引き出して容器4から堆肥を排出することができる。
【0030】
蓋部3は、本体2の上蓋を構成しており、本体2への生ごみの投入位置を変更可能に構成されている。すなわち、蓋部3は、本体2に対し異なる位置に設けられ開閉可能な複数の蓋体31を有している。本実施形態では、特に、蓋体31は、本体2の水平断面を分割するように設けられている。つまり、蓋体31は、本体2を上から見たときに本体2を分割するように配置されている。このため、複数の蓋体31を順次一つずつ用いて生ごみを本体2へ投入することにより、本体2内へ偏りなく均一に生ごみを収容することが可能となる。ここで、「複数の蓋体31を分割して配置する」とは、各蓋体31を生ごみ投入に用いることにより、本体2内に生ごみを偏りなく収容できるように複数の蓋体31が配置されていることを意味する。なお、本実施形態のように、本体2の水平断面の一部において蓋体31以外の開閉できない枠部材25等があっても(図2参照)、本体2内に生ごみを偏りなく収容できれば、「複数の蓋体31を分割して配置する」ものである。このように蓋体31を分割して配置することにより、本体2内に生ごみを収容しづらく死角になる領域の発生を抑えることができる。
【0031】
具体的には、蓋部3は、六つの蓋体31を三つずつ二列に配列して設けられている。蓋体31は、矩形の板体であり、中央側の一辺の位置をヒンジなどにより軸支することにより開閉可能となっている。蓋体31の上面には取っ手31aが取り付けられ、この取っ手31aをつかんで蓋体31を容易に開くことができるようになっている。図1では、蓋体31の一つが開いた状態で示されている。蓋体31を開くことにより、生ごみの投入口24が開口し、本体2内へ生ごみを投入することが可能となる。このように、蓋部3において、本体2に対し異なる位置に複数の蓋体31を設けることにより、本体2内への生ごみの投入位置を変えることが可能となる。このため、生ごみの投入において用いられる蓋体31を順次替えることにより、本体2への生ごみが偏って収容されることを抑制できる。
【0032】
図2に示すように、本体2の上部開口を六つに分割するように投入口24が形成されている。蓋体31を選択的に開閉することにより、本体2内への生ごみの投入に用いられる投入口24を任意に設定することができる。なお、図2では、枠部材25によって本体2の上部開口が六つの投入口24に区画されているが、本体2の内部は一つの空間として連なっている。
【0033】
なお、蓋体31の開閉構造は、図1に示すものに限られるものでなく、複数の蓋体31を選択的に開閉可能であれば他の構造のものであってもよく、例えば水平方向へスライドして開閉する構造などであってもよい。この場合であっても、本実施形態に係る生ごみ処理装置1と同様な作用効果を得ることができる。また、蓋体31の個数は、複数であれば六つに限られず、それ以外の設置数であってもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係る生ごみ処理装置1の使用方法及び本実施形態に係る生ごみ処理方法について説明する。
【0035】
図3は生ごみ処理装置1の使用工程及び生ごみ処理方法の処理工程を示す図であり、図3の(A)は生ごみ収容前の状態を示し、図3の(B)~(D)は生ごみの投入の状況を示し、図3の(E)は堆肥の排出状況を示している。
【0036】
図3の(A)に示すように、本体2へ生ごみを投入する前において、予め本体2へ堆肥Cを基材として収容し、堆肥Cにミミズを混入しておく。このとき、堆肥Cに土を混入して微生物を補充してもよいし、新聞紙や石灰を混入させて堆肥CのpHを調整してもよい。また、堆肥Cに代えて、腐葉土などを用いることもできる。ミミズの混入量は、処理すべき生ごみを勘案して適宜調整すればよい。なお、生ごみ処理装置1は、高温となりにくい場所、例えば日陰となる場所に設置される。
【0037】
そして、図3の(B)~(D)に示すように、本体2内に生ごみGの投入が行われる。図3の(B)では、左側の一つの蓋体31が開けられ、投入口24を通じて生ごみGが本体2内に投入されている。生ごみGの投入により、本体2内において、左端の投入口24の下方位置に生ごみGが堆積していく。次に、図3の(C)に示すように、中央の蓋体31が開けられ、中央の投入口24を通じて生ごみGが本体2内に投入される。これにより、本体2内において、中央の投入口24の下方位置に生ごみGが堆積していくこととなる。そして、図3の(E)に示すように、右側の蓋体31が開けられ、右側の投入口24を通じて生ごみGが本体2内に投入される。これにより、本体2内において、右側の投入口24の下方位置に生ごみGが堆積していくこととなる。このように、生ごみGの投入に用いる蓋体31及び投入口24を順次替えることにより、本体2内に生ごみGが偏って収容されることを抑制することができる。
【0038】
また、生ごみGの投入に用いられる蓋体31に着脱可能な目印を付けてもよい。例えば、蓋体31に目印を付けて、生ごみGの投入に用いる蓋体31を示しておくことにより、生ごみGの投入位置が分かりやすくなる。そして、生ごみGの投入後に投入済みの蓋体31から別の蓋体31へ目印を移動させることにより、生ごみGの投入位置を変更することができ、本体2内に偏りなく生ごみGを収容することができる。
【0039】
なお、図3の(B)~(D)では、説明の便宜上、三つの蓋体31を順次用いて生ごみGを投入する場合について説明しているが、実際には六つの蓋体31を順次用いて生ごみGが投入される。
【0040】
そして、本体2内の全体に生ごみGが収容されミミズにより堆肥化されたら、図3の(E)に示すように、堆肥化された生ごみG、すなわち堆肥Cは、網体21を通じて下方へ削り落とされ本体2から排出される。排出された堆肥Cは、容器4に収容される。堆肥Cの掻き落としは、棒材22(図1参照)を網体21上で左右に移動させることにより行えばよい。そして、堆肥Cを本体2から排出したら、図3の(A)、(B)に戻り、ある程度の堆肥Cを残して、生ごみGの投入が行われる。なお、堆肥Cの本体2からの排出は、本体2にある程度に堆肥Cが収容された時点に行ってもよい。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る生ごみ処理装置1及び生ごみ処理方法によれば、蓋部3が本体2への生ごみの投入位置を変更可能に構成されていることにより、本体2への生ごみGの投入位置を変えることが可能となる。このため、本体2への生ごみが偏って収容されることが抑制される。従って、本体2において生ごみの処理が進まない領域を低減でき、生ごみ処理が円滑に行える。
【0042】
また、本実施形態に係る生ごみ処理装置1は、蓋部3が本体2に対し異なる位置に設けられ開閉可能な複数の蓋体31を有している。このため、生ごみGを投入する際に開ける蓋体31を順次替えることにより、本体2内に生ごみGが偏って収容されることが抑制される。このため、生ごみ処理が円滑に行える。また、蓋部3において、蓋体31が一つでなく、複数の蓋体31を分割して設けられているため、生ごみGを投入する際に投入口24の開口面積を小さくすることができる。従って、生ごみGの投入の際に害虫などが本体2内へ侵入することを抑制することができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る生ごみ処理装置1は、複数の利用者により共同して用いられる装置して用いることが有効である。すなわち、生ごみ処理装置1が大型な装置となった場合でも、本体2へ生ごみが偏って収容されることが抑制される。このため、生ごみ処理が円滑に行える。また、生ごみ処理装置1が大型な装置となった場合、蓋体が一つであると、蓋体の開閉が困難となる。例えば、利用者が子供や高齢者の方である場合、蓋体の開閉が難しく利用しにくいものとなる。これに対し、蓋体を複数に分割することによって蓋体31を小さく構成することができ、蓋体31の開閉が容易となり、利用しやすいものとなる。
【0044】
なお、本実施形態に係る生ごみ処理装置1では、本体2に長孔23aを形成して棒材22を配置し、本体2下部に網体21を配置しているが、これらの長孔23a、棒材22、網体21の設置を省略してもよい。すなわち、本体2として有底の箱型形状のものを用いてもよい。この場合、容器4の設置も省略できる。このような生ごみ処理装置であっても、本発明に係る生ごみ処理装置に含まれ、本実施形態に係る生ごみ処理装置1と同様な作用効果が得られる。つまり、蓋部3が本体2への生ごみの投入位置を変更可能に構成されていることにより、本体2への生ごみが偏って収容されることを抑制でき、生ごみ処理が円滑に行える。また、蓋部3が本体2に対し異なる位置に設けられ開閉可能な複数の蓋体31を有していることにより、本体2内に生ごみGが偏って収容されることを抑制できる。さらに、複数の利用者により共同して用いられる装置して用いる場合に、蓋体31の開閉が容易となり利用しやすいものとなる。
【0045】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態に係る生ごみ処理装置101について説明する。
【0046】
図4は本発明の第二実施形態に係る生ごみ処理装置101の斜視図であり、図5図4のV-Vにおける生ごみ処理装置101の垂直断面図であり、図6図4のVI-VIにおける生ごみ処理装置101の水平断面図である。
【0047】
本実施形態に係る生ごみ処理装置101は、ミミズを用いて生ごみを堆肥化させて処理する装置であって、複数の利用者により共同して用いられる装置である。
【0048】
ミミズとしては、例えばシマミミズが用いられる。なお、生ごみを堆肥化できれば、その他の種類のミミズを用いてもよいし、複数の種類のミミズを併用してもよい。また、生ごみを堆肥化する生物であれば、ミミズ以外の生物を用いてもよいし、ミミズと共に併用してもよい。複数の利用者により共同して用いられる場合としては、例えば、複数の世帯が共同して生ごみ処理装置1を用いる場合である。また、企業や学校などの施設において、複数の部署が共同して用いる場合であってもよいし、その他複数の活動体により共同して用いる場合であってもよい。
【0049】
図4に示すように、本実施形態に係る生ごみ処理装置101は、本体102の上部に蓋部103を備えて構成されている。本体102は、上部を開口した有底の収容体であり、例えば高さ寸法より幅寸法の大きい円柱状のものが用いられる。蓋部3は、本体102の上部の開口を覆うように設けられている。蓋部103は、円形の板体であり、本体102と同径又はほぼ同径に形成されている。
【0050】
蓋部103は、本体102への生ごみの投入位置を変更可能に構成されている。例えば、蓋部103は、本体102に対し回転可能に設けられ、その回転により生ごみの投入口131が本体102に対し異なる位置に移動するように構成される。このため、蓋部103は、その回転により本体102への生ごみの投入位置を変更可能となっている。投入口131は、生ごみを本体102内へ投入するため開口であり、例えば、蓋部103の中心位置から外れた位置に形成されている。蓋部103は、中央の回転軸線Aを中心に回転するように設けられている。回転軸線Aは、蓋部103の中央位置で鉛直方向に延びる軸線である。例えば、蓋部103は、本体102の床部の中央位置に立設される支柱125に軸着され、支柱125を中心に回転可能に取り付けられる。
【0051】
蓋部103には、粉砕部105及び回転機構106が取り付けられている。粉砕部105は、蓋部103の投入口131の位置に設けられている。粉砕部105は、本体102へ投入すべき生ごみを粉砕する機構であり、例えば、周面に多数の突起及び孔を形成したドラムを回転させるタイプのものが用いられる。粉砕部105の周面に供給された生ごみは、突起によって粉砕され、粉砕部105の下方へ移動し、投入口131を通じて本体102内へ落下していく。なお、粉砕部105としては、生ごみを細かくできるものであれば、複数の刃を回転させるカッター式などその他のタイプのものを用いてもよい。
【0052】
図5に示すように、回転機構106は、粉砕部105を回転させると共に、蓋部103を回転させる機構である。回転機構106は、水平方向に向けた水平回転軸161と鉛直方向に向けた鉛直回転軸162を備えている。水平回転軸161は、回転機構106及び粉砕部105のケーシング107に軸受けされて回転可能に取り付けられている。ケーシング107は、粉砕部105及び回転機構106を収容する収容体であって、蓋部103の上部に取り付けられ、蓋部103の回転と共に回転して移動する。ケーシング107には、粉砕部105へ生ごみGを供給するための供給口171が形成されている。供給口171は粉砕部105の上方で開口しており、供給口171へ入れられた生ごみGは粉砕部105上へ供給される。なお、供給口171を開閉する蓋体を設けてもよい。この場合、本体102内へ害虫の侵入を防止効果を高めることができる。
【0053】
水平回転軸161には、粉砕部105が取り付けられている。このため、水平回転軸161が回転すると、水平回転軸161の回転と共に粉砕部105が回転し、生ごみGの粉砕が行われる。水平回転軸161には、ハンドル161aが取り付けられている。ハンドル161aは、水平回転軸161を回転させるための部位であり、たとえばクランクハンドルが用いられる。手動によりハンドル161aを回転させることにより、水平回転軸161及び粉砕部105が回転する。
【0054】
水平回転軸161には、傘歯車161bが取り付けられている。傘歯車161bは、水平回転軸161と共に回転し、回転力を鉛直回転軸162へ伝達する。つまり、傘歯車161bは鉛直回転軸162に取り付けられる傘歯車162aと噛み合っており、水平回転軸161が回転すると、傘歯車161b及び傘歯車162aを通じて鉛直回転軸162に回転力が伝達される。
【0055】
鉛直回転軸162にはピニオンギヤ162bが取り付けられている。ピニオンギヤ162bは、鉛直回転軸162の回転に伴って蓋部103を回転させるための歯車である。ピニオンギヤ162bは、本体102の内面に取り付けられているリングギヤ121と噛み合っている。リングギヤ121は、本体102の内面に周方向に沿って延びるギヤであり、本体102の内面の全周に連続してリング状に形成されている。このため、ピニオンギヤ162bが回転すると、鉛直回転軸162を通じて蓋部103に回転力が与えられ、蓋部103が回転軸線A(図4参照)を中心に回転する。
【0056】
次に、本実施形態に係る生ごみ処理装置101の使用方法について説明する。
【0057】
図4において、本体102へ生ごみを投入する前において、予め本体102へ堆肥を基材として収容し、堆肥にミミズを混入しておく。このとき、堆肥に土を混入して微生物を補充してもよいし、新聞紙や石灰を混入させて堆肥CのpHを調整してもよい。また、堆肥に代えて、腐葉土などを用いることもできる。ミミズの混入量は、処理すべき生ごみを勘案して適宜調整すればよい。なお、生ごみ処理装置101は、高温となりにくい場所、例えば日陰となる場所に設置される。
【0058】
そして、図5に示すように、処理すべき生ごみGが供給口171に入れられる。生ごみGは、供給口171を通り、粉砕部105上に載せられる。そして、ハンドル161aを手動で回すことにより、水平回転軸161と共に粉砕部105が回転する。回転する粉砕部105により、生ごみGは粉砕され、細かい生ごみG1となって本体102内へ投入される。ハンドル161aの回転により、水平回転軸161、傘歯車161b、傘歯車162a及び鉛直回転軸162を通じて、ピニオンギヤ162bが回転する。
【0059】
図6に示すように、ピニオンギヤ162bの回転により、ピニオンギヤ162bがリングギヤ121に沿って移動する。これにより、蓋部103が回転軸線Aを中心に回転し、投入口131が本体102の周方向へ移動する。つまり、投入口131から生ごみG1が投入されるごとに蓋部103が回転軸線Aを中心に回転し、生ごみG1の本体102内への投入位置が順次変更される。つまり、本体102内を上から見て生ごみG1の投入位置が順次変更されていくこととなる。従って、本体102内に生ごみG1が偏って収容されることが抑制される。
【0060】
そして、本体102へ投入された生ごみG1は、ミミズによって堆肥化される。本体102の堆肥の排出は、図示しない排出口から堆肥を掻き出して行ってもよいし、蓋部103を本体102から取り外して本体102の上部開口から取り出してもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る生ごみ処理装置101によれば、蓋部103が本体102に対し回転することにより本体102への生ごみG1の投入位置を変えることができる。このため、本体102への生ごみG1が偏って収容されることが抑制される。従って、本体102において生ごみG1が堆積して処理が進まない領域が生ずることが低減でき、生ごみ処理を円滑に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態に係る生ごみ処理装置101においては、生ごみG1の投入するごとに蓋部103が回転して生ごみG1の投入位置を変えることができる。このため、生ごみG1の投入位置を自動的に変えることができ、本体102内へ均一に生ごみG1を収容させることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る生ごみ処理装置101によれば、投入口131の形成位置に生ごみGを粉砕する粉砕部105が設けられている。このため、投入口131が広く開口することを抑えられる。このため、生ごみGの投入時に害虫などが本体102内へ侵入することが抑制される。また、生ごみGは粉砕されて本体102内へ投入されるため、堆肥化を促進でき、円滑な生ごみ処理が行える。
【0064】
また、本実施形態に係る生ごみ処理装置101において、複数の利用者により共同して使われる生ごみ処理装置として用いると有用である。すなわち、複数の利用者により共同して使われる場合、大型な生ごみ処理装置となる。この場合、本体への生ごみの投入口が一つであって固定の位置にあると、生ごみが本体内で偏って収容されるおそれがある。これに対し、本実施形態に係る生ごみ処理装置101では、生ごみが偏って収容されることが抑制される。このため、生ごみ処理が円滑に行えるのである。
【0065】
なお、本実施形態では、手動でハンドル161aを回すことにより、粉砕部105及び蓋部103の回転を行っているが、電動機などによって自動で粉砕部105及び蓋部103の回転を行ってもよい。例えば、利用者が供給口171に生ごみGを入れた後に、投入ボタンを押すことにより、電動機などが作動し、粉砕部105及び蓋部103が回転し、生ごみGを粉砕しつつ、生ごみGの投入位置を移動させてもよい。
【0066】
以上、本発明を上述の各実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の記載の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…生ごみ処理装置、2…本体、3…蓋部、4…容器、21…網体、22…棒材、23…側壁、23a…長孔、24…投入口、25…枠部材、31…蓋体、31a…取っ手、101…生ごみ処理装置、102…本体、103…蓋部、105…粉砕部、106…回転機構、107…ケーシング、131…投入口、171…供給口、A…回転軸線、C…堆肥、G、G1…生ごみ。

図1
図2
図3
図4
図5
図6