(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-13
(45)【発行日】2022-07-22
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/43 20180101AFI20220714BHJP
F24F 11/48 20180101ALI20220714BHJP
F24F 11/61 20180101ALI20220714BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20220714BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20220714BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20220714BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20220714BHJP
F24F 140/20 20180101ALN20220714BHJP
【FI】
F24F11/43
F24F11/48
F24F11/61
F24F11/54
F24F1/0007 361C
F24F110:20
F24F110:10
F24F140:20
(21)【出願番号】P 2021518678
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2020009348
(87)【国際公開番号】W WO2021176640
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大畑 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】山田 享
(72)【発明者】
【氏名】新井 有騎
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特許第6514422(JP,B1)
【文献】特許第6595139(JP,B1)
【文献】特開2016-138666(JP,A)
【文献】特開2019-132530(JP,A)
【文献】特開2018-204898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/43
F24F 11/48
F24F 11/61
F24F 11/54
F24F 13/22
F24F 110/20
F24F 110/10
F24F 140/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機種又は室内熱交換器の容量が異なる複数の室内機と、室外機とを有する1系統の空気調和機において、
前記空気調和機は、前記複数の室内機が有する室内熱交換器の凍結工程の継続時間である凍結時間が異なる複数の室内機を有し、
前記空気調和機の制御装置は、前記凍結工程を行う際、前記凍結時間に応じて、前記複数の室内機の前記凍結工程を行う時間帯の少なくとも一部を重複するように運転を行う空気調和機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記凍結工程の所要時間が最も短い室内機に合わせて凍結運転を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御装置は、前記凍結工程の所要時間が最も長い室内機に合わせて凍結運転を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記空気調和機は、前記凍結工程の所要時間が異なる前記複数の室内機を有し、
前記制御装置は、前記室内熱交換器の凍結では、前記凍結工程の所要時間が長い室内機から順に実行し、前記凍結工程の所要時間が短い室内機は前記凍結工程の所要時間が長い室内機と前記凍結工程の終了が一致するよう、前記凍結工程を遅らせて開始する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記空気調和機は、前記凍結工程の所要時間が異なる前記複数の室内機を有し、
前記制御装置は、前記凍結工程の所要時間が異なる室内機を一斉に前記凍結工程を開始し、前記凍結工程の所要時間が短い室内機は前記室内熱交換器の凍結の終了後、前記凍結工程の所要時間が長い室内機が前記室内熱交換器の凍結が終了するまで、前記室内熱交換器の解凍工程に遷移せず待機する
ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御装置は、前記室内熱交換器の前記凍結工程で、前記複数の室内機の前記凍結工程の所要時間が長いものほど、室内ファンの回転速度を大きくする
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記空気調和機は、前記複数の室内機において冷房と暖房を混在させて実行できる冷凍サイクルにおいて、
前記制御装置は、前記室内熱交換器の凍結が前記凍結工程の所要時間に達した室内機から順に、暖房サイクルで前記室内熱交換器の解凍を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記室内熱交換器の凍結で、前記凍結工程の所要時間に達した室内機から順に室内ファンの送風による前記室内熱交換器の解凍を実行する
ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御装置は、前記凍結工程中に洗浄運転の中止指令があった場合、前記中止指令のあった室内機は、前記凍結工程を中止し、前記解凍工程の開始時まで待機する
ことを特徴とする請求項6に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記制御装置は、前記凍結工程中に洗浄運転の中止指令があった場合、前記中止指令のあった室内機は、前記凍結工程を中止し、前記解凍工程に移行する
ことを特徴とする請求項8に記載の空気調和機。
【請求項12】
前記制御装置は、前記凍結工程中に洗浄運転の中止指令があった場合、前記中止指令のあった室内機は、前記凍結工程を中止し、前記室内ファンの送風による前記室内熱交換器の解凍に移行する
ことを特徴とする請求項9に記載の空気調和機
【請求項13】
前記制御装置は、前記複数の室内機について一斉に前記室内熱交換器を解凍する解凍工程を開始する
ことを特徴とする請求項5に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内熱交換器を清潔な状態にする技術として、例えば、特許文献1には、「圧縮機、凝縮器、第1膨張弁、及び蒸発器を順次に介して、冷凍サイクルで冷媒が循環 する冷媒回路と、少なくとも圧縮機及び第1膨張弁を制御する制御部と、を備え、凝縮器及び蒸発器の一方は室外機に配置された室外熱交換器であり、他方は室内機に配置された室内熱交換器であり、室内機及び室外機が一台ずつ設けられる構成であり、室内熱交換器は、縦断面視で逆V字状を呈するように接続されている前面上部熱交換器及び背面熱交換器と、前面上部熱交換器の下側に配置された前面下部熱交換器と、を有し、第1膨張弁は、冷媒配管を介して前面下部熱交換器に接続され、且つ、前面下部熱交換器を介して前面上部熱交換器に接続され、制御部は、室内熱交換器を蒸発器として機能させ、室内熱交換器を凍結させ、室内熱交換器を凍結させた後、制御部は、室内熱交換器の解凍、室内熱交換器の乾燥の順に実行し、室内熱交換器の解凍では、圧縮機を停止状態とし、さらに、第1膨張弁の開度を大きくし、室内熱交換器の乾燥の少なくとも一部の工程では、圧縮機を駆動させ、室内熱交換器を凝縮器として機能させることを特徴とする空気調和機。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、基本的に、室内機及び室外機が一台ずつ設けられる構成であり、例えばビル用マルチ型空気調和機について記載はない。ビル用マルチ型空気調和機とは、1台の室外機で、容量の異なる複数の室内機を個別に運転できる空気調和機である。また、容量だけでなく機種の異なる室内機が1台又は複数台に接続されている。このような空気調和機において、複数の室内機が有する室内熱交換器をどのようにして清潔な状態に保つかについて検討がされていない。
【0005】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、機種又は容量が異なる複数の室内機と、室外機とを有する空気調和機において、適切に複数の室内機の室内熱交換器を清潔な状態に保つことができる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の空気調和機は、機種又は室内熱交換器の容量が異なる複数の室内機と、室外機とを有する1系統の空気調和機において、空気調和機の制御装置は、複数の室内機が有する室内熱交換器の凍結工程を行う際、複数の室内機の凍結工程を行う時間帯の少なくとも一部を重複するように運転を行うことが特徴である。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機種又は容量が異なる複数の室内機と、室外機とを有する空気調和機において、適切に複数の室内機の室内熱交換器を清潔な状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る空気調和機の全体構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る空気調和機の冷凍サイクル構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る空気調和機の制御システム構成を示す図である。
【
図5】凍結における主な室内機の特徴を示す図である。
【
図6】空気調和機の制御部が実行する洗浄処理のフローチャートである。
【
図7】室内熱交換器を凍結させるための処理を示すフローチャートである。
【
図8】室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
【
図9】室外温度と、圧縮機の回転速度と、の関係を示すマップである。
【
図10】室内熱交換器の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
【
図11】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC1である。
【
図12】室外機と室内機の主要機器の状態を示すタイムチャートである。
【
図13】室内熱交換器を凍結させるための他の処理を示すフローチャートである。
【
図14】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC2である。
【
図15】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC3である。
【
図16】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC4である。
【
図17】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC5である。
【
図18】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC6である。
【
図19】第2実施形態に係る空気調和機の冷凍サイクル構成を示す図である。
【
図20】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC7である。
【
図21】複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC8である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
≪第1実施形態≫
<空気調和機の構成>
図1は、第1実施形態に係る空気調和機100の全体構成を示す図である。空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。空気調和機100は、例えば、1台の室外機Uoと、4台の室内機U1,U2,U3,U4(総称する際は、室内機Uiという)と、が配管を介して所定に接続された1系統のマルチ型の空気調和機である。室内機Uiは、例えば、室内機U1が天井埋込型、室内機U2が4方向カセット型、室内機U3が壁掛型、室内機U4が床置型であり、機種又は容量が異なる複数の室内機が混在している。
図1では、異なる機種の室内機を接続しているが、同じ機種が複数含まれていてもよい。
【0010】
図2は、第1実施形態に係る空気調和機の冷凍サイクル構成を示す図である。なお、
図2では、冷媒回路Qにおいて、冷房サイクル(冷房運転時の冷凍サイクル)における冷媒の流れを実線矢印で示す一方、暖房サイクル(暖房運転時の冷凍サイクル)における冷媒の流れを破線矢印で示している。また、
図2では、室外熱交換器2や4つの室内熱交換器10の付近での空気の流れを白抜き矢印で示している。
【0011】
空気調和機100は、室外機Uoに設けられる機器として、圧縮機1と、室外熱交換器2と、室外ファン3と、室外膨張弁4と、四方弁5と、アキュムレータ6と、室外温度センサ7と、阻止弁8,9と、を備えている。
【0012】
圧縮機1は、低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒として吐出する機器であり、駆動源である圧縮機モータ1a(
図4参照)を備えている。このような圧縮機1として、例えば、スクロール式圧縮機やロータリ式圧縮機が用いられる。
【0013】
室外熱交換器2は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室外ファン3から送り込まれる外気と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。室外熱交換器2の一端g1は、四方弁5の切替えによって、圧縮機1の吸入側又は吐出側に接続され、他端g2は液側の配管J1に接続されている。
【0014】
室外ファン3は、室外熱交換器2に外気を送り込むファンである。室外ファン3は、駆動源である室外ファンモータ3aを備え、室外熱交換器2の付近に設置されている。
【0015】
室外膨張弁4は、室外熱交換器2に流れる冷媒の流量を調整したり、室外熱交換器2を蒸発器として機能させる際に冷媒を減圧したりする電子膨張弁であり、液側の配管J1に設けられている。
【0016】
四方弁5は、空調時の運転モードに応じて、冷媒の流路を所定に切り替える弁である。アキュムレータ6は、四方弁5を介して流れ込む冷媒を気液分離する殻状部材である。アキュムレータ6によって気液分離された後、ガス状の冷媒が、圧縮機1の吸入側に導かれるようになっている。
【0017】
室外温度センサ7は、室外温度を検出するセンサであり、室外機Uoの所定箇所(
図2の例では、室外熱交換器2の空気吸込側)に設置されている。なお、
図2では図示していないが、圧縮機の吐出圧力・吐出温度・吸入圧力・吸入温度のうち一つ又は複数を検出するための各センサが適宜に設けられていてもよい。
【0018】
阻止弁8,9は、空気調和機100の据付後に開弁されることで、室外機Uoに封入されていた冷媒を冷媒回路Qの全体に行き渡らせるための弁である。一方の阻止弁8はガス側の配管J10に接続され、他方の阻止弁9は液側の配管J1に接続されている。
【0019】
また、空気調和機100は、室内機U1に設けられる機器として、室内熱交換器10と、室内ファン11と、室内膨張弁12と、室内温度センサ13と、室内熱交換器温度センサ14と、を備えている。なお、室内機U1が湿度センサ(図示せず)を備えていてもよい。
【0020】
室内熱交換器10は、その伝熱管(図示せず)を通流する冷媒と、室内ファン11から送り込まれる室内空気(空調室の空気)と、の間で熱交換が行われる熱交換器である。室内熱交換器10の一端h1はガス側の配管J3に接続され、他端h2は液側の配管J2に接続されている。
【0021】
室内ファン11は、室内熱交換器10に室内空気を送り込むファンである。室内ファン11は、駆動源である室内ファンモータ11aを有し、室内熱交換器10の付近に設置されている。
【0022】
室内膨張弁12は、室内熱交換器10に流れる冷媒の流量を調整したり、室内熱交換器10を蒸発器として機能させる際に冷媒を減圧したりする電子膨張弁であり、液側の配管J2に設けられている。
【0023】
室内温度センサ13は、室内空気の温度を検出するセンサである。
図2の例では、室内熱交換器10の空気吸込側に室内温度センサ13が設置されている。
【0024】
室内熱交換器温度センサ14は、室内熱交換器10の温度を検出するセンサである。
図2の例では、液側の配管J2において室内熱交換器10の他端h2付近に室内熱交換器温度センサ14が設置されている。なお、室内熱交換器温度センサ14の位置は、
図2の例に限定されない。例えば、ガス側の配管J3において室内熱交換器10の一端h1付近に室内熱交換器温度センサ14が設置されていてもよい。また、室内熱交換器10に直接的に室内熱交換器温度センサ14が設置されていてもよい。
【0025】
なお、残り3台の室内機U2,U3,U4については、室内機U1と同様の構成であるから、説明を省略する。
【0026】
液側接続部K1,K2,K3は、冷房サイクル中には冷媒を分流させ、また、暖房サイクル中には冷媒を合流させるものである。例えば、冷房サイクル中には、液側の配管J1を通流する冷媒が、液側接続部K1,K2,K3を順次に介して、4つの室内熱交換器10に分配されるようになっている。
【0027】
ガス側接続部K4,K5,K6は、冷房サイクル中には冷媒を合流させ、また、暖房サイクル中には冷媒を分流させるものである。例えば、冷房サイクル中には、4つの室内熱交換器10からガス側接続部K4,K5,K6を順次に介して、冷媒が合流するようになっている。
【0028】
そして、空調時の運転モードに応じて、冷媒回路Qにおいて周知の冷凍サイクル(
図2に示す冷房サイクル又は暖房サイクル)で冷媒が循環するようになっている。例えば、冷房運転時には、圧縮機1、室外熱交換器2(凝縮器)、室外膨張弁4、室内膨張弁12、及び室内熱交換器10(蒸発器)を順次に介して冷媒が循環する。一方、暖房運転時には、圧縮機1、室内熱交換器10(凝縮器)、室内膨張弁12、室外膨張弁4、及び室外熱交換器2(蒸発器)を順次に介して冷媒が循環する。
【0029】
図3は、第1実施形態に係る空気調和機の制御システム構成を示す図である。
図3に示すように、空気調和機100は、前記した構成の他に、リモコン15と、集中管理機器16と、を備えている。また、室外機Uoは室外制御回路17を備える一方、室内機U1,U2,U3,U4は、それぞれ、室内制御回路18を備えている。
【0030】
室外制御回路17及び室内制御回路18は、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。
【0031】
図3に示すように、室外制御回路17は、配線m1を介して室外温度センサ7に接続されている。そして、室外温度センサ7を含む各センサの検出値に基づいて、室外制御回路17が各機器を制御する(制御指令値を演算する)ようになっている。
【0032】
また、室外制御回路17は、通信線m3を介して、室内制御回路18に接続されている。室内制御回路18は、配線m21を介して室内温度センサ13に接続され、また、配線m22を介して室内熱交換器温度センサ14に接続されている。これらの各検出値は、通信線m3を介して、室内制御回路18から室外制御回路17に伝達される。そして、室内制御回路18は、室外制御回路17によって算出された制御指令値に基づき、室内ファンモータ11a(
図2参照)や室内膨張弁12を制御する。
【0033】
図3に示す4つのリモコン15は、それぞれの室内機U1,U2,U3,U4と一対一で対応するように、配線m4を介して接続されている。例えば、室内機U1に配線m4を介して接続されているリモコン15は、ユーザの操作によって、室内機U1の室内制御回路18に所定の制御指令を与えるものである。前記した制御指令として、空気調和機100の運転/停止の他、運転モードの切替えや設定温度・風量・風向の変更の他、後記する凍結処理の開始が挙げられる。なお、他の室内機U2,U3,U4についても同様である。なお、室内機Uiとリモコン15とは配線を介して接続としたが、赤外線通信であってもよい。また、1つのリモコン15に複数台の室内機が接続されるようにしてもよい。
【0034】
集中管理機器16は、4つのリモコン15の表示等を制御する装置であり、通信線m5を介して、室外制御回路17に接続されている。なお、ユーザ(管理者)が集中管理機器16を所定に操作することで、4つのリモコン15における表示のさせ方等を変更することも可能である。
【0035】
図4は、空気調和機の機能ブロックを示す図である。なお、
図4では、室内機Uiを示す。すなわち、4台の室内機U1,U2,U3,U4のうち1台を例として図示し、残り3台は図示を省略している。
【0036】
図4に示すように、室外制御回路17は、記憶部17aと、室外制御部17bと、を備えている。記憶部17aには、所定のプログラムの他、各センサの検出値等が記憶される。室外制御部17bは、記憶部17aに記憶されているデータに基づいて、圧縮機モータ1a、四方弁5、室外膨張弁4、室外ファンモータ3a等を制御する。
【0037】
一方、室内制御回路18は、記憶部18aと、室内制御部18bと、を備えている。記憶部18aには、所定のプログラムや各センサの検出値の他、リモコン15を介して入力されたデータ等が記憶される。室内制御部18bは、記憶部18aに記憶されているデータに基づいて、室内膨張弁12や室内ファンモータ11aの他、風向板用モータ19を所定に制御する。なお、風向板用モータ19は、風向板(図示せず)の角度を調整することで、室内(空調室)に吹き出される空気の風向きを調整するモータである。
以下では、室内制御回路18及び室外制御回路17を総称して「制御部20」(制御装置)という。
【0038】
次に、室内熱交換器10(
図2参照)を洗浄するための一連の処理について説明する。
室内熱交換器10の空気吸込側には、塵や埃を捕集するためのフィルタ(図示せず)が設けられていることが多い。しかしながら、細かい塵や埃がフィルタを通り抜けて、室内熱交換器10に付着する可能性がある。したがって、室内熱交換器10を定期的に洗浄することが望ましい。そこで、第1実施形態では、室内熱交換器10を凍結(着霜)させた後、室内熱交換器10の氷や霜を溶かすことで、室内熱交換器10を洗浄するようにしている。このような一連の処理を、室内熱交換器10の「洗浄処理」という。
【0039】
図5は、凍結における主な室内機の特徴を示す図である。
本実施形態の空気調和機は、1台以上の室外機Uoと1台以上の室内機Uiと1台以上のリモコン15で構成される空気調和機である。室内機Uiは異なる形態のもの、例えば、天井埋込型、4方向カセット型、壁掛型、床置型などが接続される。それぞれの室内機は構造の違いから室内熱交換器10の水分付着しやすさが異なり、室内熱交換器10に水分付着しやすい機種は凍結工程の所要時間が短く設定されている。また、室内空気の相対湿度が高いほど室内熱交換器10に水分が付着しやすいことから室内空気の相対湿度が高いほど凍結時間は短く設定される。
図5には、主な室内機の構造による凍結のしやすさを示している。
【0040】
(a)壁掛型:吸込口が上側、吹出口が下側であり冷気による自然対流の方向と同一であることから自然対流が発生しやすく凍結しやすい。
(b)天井埋込型:熱交換器の1次側から2次側に流れる自然対流は発生しにくい構造ため凍結しにくい。
【0041】
図6は、空気調和機100の制御部20が実行する洗浄処理のフローチャートである(適宜、
図2、
図3、
図4を参照)。なお、
図6「START」時までは、所定の空調運転(冷房運転、暖房運転等)が行われていたものとする。
【0042】
また、室内熱交換器10の洗浄処理の開始条件が「START」時に成立したものとする。この「洗浄処理の開始条件」とは、例えば、前回の洗浄処理の終了時から空調運転の実行時間を積算した値が所定値に達したという条件である。なお、ユーザによるリモコン15の操作によって、洗浄処理を行う時間帯を設定できるようにしてもよい。
【0043】
ステップS11(洗浄処理の準備中)において制御部20は、空調運転を所定時間(例えば、数分間)停止させる。前記した所定時間は、冷凍サイクルを安定させるための時間であり、予め設定されている。
【0044】
例えば、「START」時まで行われていた暖房運転を中断して、室内熱交換器10を凍結させる際(ステップS12)、制御部20は、暖房運転時とは逆向きに冷媒が流れるように四方弁5を制御する。そこで、本実施形態では、室内熱交換器10の凍結工程(ステップS12)に先立って所定時間、空調運転を停止させるようにしている(ステップS11)。この場合において制御部20が、空調運転の停止時から所定時間が経過した後、室内熱交換器10の凍結を行うようにしてもよい。
【0045】
なお、冷房運転を中断して室内熱交換器10を凍結させる場合には、ステップS11の処理を省略してもよい。冷房運転中(START時)に冷媒が流れる向きと、室内熱交換器10の凍結中(ステップS12)に冷媒が流れる向きと、は同じだからである。
【0046】
次に、ステップS12(凍結工程)において制御部20は、室内熱交換器10を凍結させる。すなわち、制御部20は、室内熱交換器10を蒸発器として機能させ、室内機Uiに取り込まれた空気に含まれる水分を室内熱交換器10の表面に着霜させて凍結させる。
【0047】
ステップS13(解凍工程)において制御部20は、室内熱交換器10を解凍する。例えば、制御部20は、室内熱交換器10を凝縮器として機能させることによって、室内熱交換器10の表面の氷を溶かして解凍する。これによって、室内熱交換器10に付着していた塵や埃が洗い流される。
【0048】
ステップS14(乾燥工程)において制御部20は、室内熱交換器10を乾燥させる。例えば、制御部20は、室内ファン11の駆動によって、室内熱交換器10の表面の水を乾燥させる。これによって、室内熱交換器10を清潔な状態にすることができる。なお、室内ファン11を停止状態とし、空気の自然対流で室内熱交換器10を乾燥させてもよい。これによって、空調室に冷気が流れこむことを抑制できる。ステップS104の処理を行った後、制御部20は、一連の処理を終了する(END)。
【0049】
図7は、室内熱交換器10を凍結させるための処理(
図6のステップS12)を示すフローチャートである(適宜、
図2、
図3、
図4を参照)。
ステップS101において制御部20は、四方弁5を制御する。すなわち、制御部20は、室外熱交換器2を凝縮器として機能させ、室内熱交換器10を蒸発器として機能させるように四方弁5を制御する。なお、「洗浄処理」(
図6に示す一連の処理)を行う直前に冷房運転を行っていた場合、制御装置は、ステップS101において四方弁5の状態を維持する。
【0050】
ステップS102において制御部20は、各室内機Uiの凍結時間を設定する。各室内機Uiは
図5で説明したように、室内機Uiの機種及び容量等で凍結時間が異なる。よって、あらかじめ設定された機種及び容量に基づいて、各室内機の凍結時間を設定する。また、凍結時間は、室内空気の相対湿度等でも異なる。具体的に説明すると、制御部20は、室内空気(空調室)の空気の相対湿度に基づいて、凍結時間を設定する。なお、「凍結時間」とは、室内熱交換器10を凍結させるための所定の制御(ステップS106~S111)が継続される時間である。
【0051】
図8は、室内空気の相対湿度と、凍結時間と、の関係を示すマップである。
図8の横軸は、室内空気の相対湿度であり、湿度センサ(図示せず)によって検出される。
図8の縦軸は、室内空気の相対湿度に対応して設定される凍結時間である。
図8に示すように、制御部20は、室内空気の相対湿度が高いほど、室内熱交換器10の凍結を行う凍結時間を短くする。室内空気の相対湿度が高いほど、所定体積の室内空気に含まれる水分の量が多く、室内熱交換器10に水分が付着しやすいからである。このように凍結時間を設定することで、室内熱交換器10の洗浄に要する適量の水分を、室内熱交換器10に付着させ、さらに凍結させることができる。
【0052】
なお、
図8に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。また、制御部20が、室内空気の相対湿度に代えて、室内空気の絶対湿度に基づき、凍結時間を設定するようにしてもよい。すなわち、制御部20は、室内空気の絶対湿度が高いほど、凍結時間を短くするようにしてもよい。
【0053】
次に、
図7のステップS103において制御部20は、各室内機Uiの凍結開始時刻を設定する。室内熱交換器10の凍結では、制御部20は、凍結工程の所要時間(凍結時間)が長い室内機から順に実行し、凍結工程の所要時間が短い室内機は凍結工程の長い室内機と凍結工程の終了が一致するよう、凍結工程を遅らせて開始する。
【0054】
次に、
図7のステップS104において制御部20は、圧縮機1の回転速度を設定する。初期回転速度は、室内機の容量に応じて設定するとよい。機種によっては、外気温度に応じて回転速度の設定する場合もある。
【0055】
図9は、室外温度と、圧縮機1の回転速度と、の関係を示すマップである。室内熱交換器10を凍結させる際、制御部20は、
図9に示すように、室外温度が高いほど、圧縮機モータ1aの回転速度を大きくする。室内熱交換器10において室内空気から熱を奪うには、それに対応して、室外熱交換器2での放熱が充分に行われることを要するからである。
【0056】
例えば、室外温度が比較的高い場合、制御部20は、圧縮機モータ1aの回転速度を大きくすることで、圧縮機1から吐出される冷媒の温度・圧力を高くする。これによって、室外熱交換器2での熱交換が適切に行われ、ひいては、室内熱交換器10の凍結も適切に行われる。なお、
図9に示すマップ(データテーブル)に代えて、所定の数式を用いるようにしてもよい。
【0057】
次に、制御部20は、各室内機Uiに対し、
図7のステップS105~ステップS111を実行する。
図7のステップS106において制御部20は、凍結開始時刻か否かを判定し、凍結開始時刻の場合(ステップS106,Yes)、室内膨張弁12をわずかに開く(ステップS107)。一方、制御部20は、凍結開始時刻か否かを判定し、凍結開始時刻でない場合(ステップS106,No)、ステップS106に戻る。
【0058】
図7のステップS108において制御部20は、室内膨張弁12の開度を調整する。なお、ステップS108では、室内膨張弁12の開度をわずかに開ける。これによって、通常の冷房運転時よりも低温低圧の冷媒が、室内膨張弁12を介して室内熱交換器10に流入する。したがって、室内熱交換器10に付着した水が凍結しやすくなり、また、室内熱交換器10の凍結に要する消費電力量を低減できる。そして、制御部20は、ステップS109とステップS110とに進み、並列処理をする。
【0059】
ステップS109において制御部20は、室内熱交換器10の温度が所定範囲内であるか否かを判定する。前記した「所定範囲」とは、室内機Uiに取り込まれた空気に含まれる水分が室内熱交換器10で凍結し得る範囲であり、予め設定されている。
【0060】
ステップS109において室内熱交換器10の温度が所定範囲外である場合(ステップS109,No)、圧縮機1の回転速度を調整後(ステップS109A)、制御部20の処理はステップS108の出力点(ステップS109とステップS110の分岐点前)に戻る。例えば、室内熱交換器10の温度が所定範囲よりも高い場合、制御部20は、圧縮機1の回転速度を大きくする。このように、制御部20は、室内熱交換器10を凍結させているとき、室内熱交換器10の温度が所定範囲内に収まるように、圧縮機1の回転速度を調整する。ステップS109において室内熱交換器10の温度が所定範囲内である場合(ステップS109,Yes)、制御部20の処理はステップS108の出力点に戻る。
【0061】
なお、
図7では省略しているが、室内熱交換器10を凍結させているとき(つまり、所定の凍結時間が経過するまでの間)、制御部20は、室内ファン11を停止状態にしてもよいし、また、室内ファン11を所定の回転速度で駆動してもよい。いずれの場合でも、室内熱交換器10の凍結が進むからである。
【0062】
図10は、室内熱交換器10の温度の時間的な変化の一例を示す説明図である。
図10の横軸は、
図7で室内熱交換器10の凍結を開始(ステップS106,Yes)させてからの経過時間である。
図10の縦軸は、室内熱交換器10の温度(室内熱交換器温度センサ14の検出値:
図4参照)である。なお、温度が0℃未満の所定範囲Fは、ステップS109(
図7参照)の判定基準となる温度範囲であり、前記したように、予め設定されている。
【0063】
図10に示すように、室内熱交換器10を凍結させるための所定の制御が開始されてからの「経過時間」が長くなるにつれて、室内熱交換器10の温度が徐々に低くなっている。そして、経過時間t
Aを過ぎると、室内熱交換器10の温度が所定範囲F内に収まっている。これによって、室内機Uiの信頼性を確保しつつ(室内熱交換器10の温度が過度に低くなることを抑制しつつ)、室内熱交換器10を凍結させることができる。
【0064】
なお、経過時間tAを過ぎると、室内熱交換器10の凍結が進むため、時間の経過とともに、室内熱交換器10の氷の厚さが厚くなっていく。これによって、室内熱交換器10の洗浄に要する充分な量の水を、室内熱交換器10で凍らせることができる。
【0065】
図7のステップS110において制御部20は、ステップS102で設定した凍結時間が経過したか否かを判定する。室内熱交換器10の凍結の開始時から所定の凍結時間が経過していない場合(ステップS110,No)、制御部20の処理はステップS108の出力点に戻る。
【0066】
一方、室内熱交換器10の凍結の開始時から所定の凍結時間が経過した場合(ステップS109,Yes)、制御部20は、室内膨張弁12を全閉して(ステップS111)、室内熱交換器10を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。
【0067】
<タイムチャートC1>
図11は、複数の室内機の洗浄処理を示すタイムチャートC1である。適宜
図6、
図7を参照する。
図11においては、室内機5台の例を示す。室内機U1は天井埋込型、室内機U2-1,U2-2が4方向カセット型、室内機U3が壁掛型、室内機U4が床置型である。制御部20は、凍結工程の終了に合わせて、各室内機の凍結開始時刻を設定している。室内熱交換器10の凍結工程では、凍結工程の所要時間が長い室内機(例えば、室内機U1、室内機U4)から順に実行し、凍結工程の所要時間が短い室内機(例えば、室内機U2-1,U2-2,U3)は凍結工程の長い室内機と凍結工程の終了が一致するよう、凍結工程を遅らせて開始する。なお、室内機U2-1,U2-2の凍結工程の所用時間が異なるのは、室内熱交換器10の容量の相違か室内空気の相対湿度の相違による。
【0068】
図11に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一括で洗浄処理することができる。したがって、各室内機Uiの洗浄処理に要する消費電力量を削減できる。
【0069】
制御部20は、凍結工程の所要時間が一律になるように室内熱交換器10に室内空気を送り込む室内ファン11の回転速度を変化させてもよい。予め設定された凍結工程の所要時間が長いほど室内ファン11の回転速度を増やす。これにより、制御部20は、室内熱交換器10の凍結工程で、室内熱交換器10ごとに室内ファン11の回転速度を変化させ、複数の室内機Uiの凍結工程の所要時間の差異を緩和することができる。
【0070】
図12は、室外機Uoと室内機Uiの主要機器の状態を示すタイムチャートである。適宜
図2、
図4を参照する。なお、
図12では、洗浄処理が行われる室内機U1,U2-1,U2-2,U3,U4のうち、室内機U1,U3の各機器の状態を図示し、残りの室内機U2-1,U2-2,U4については図示を省略している。
【0071】
また、
図12の例では、時刻t0において空調運転は停止しており、四方弁5の弁体(図示せず)が暖房サイクルの位置になっている。室内熱交換器10を凍結させる前準備として、制御部20は、時刻t1~t3において室内機U1の室内ファン11を所定の回転速度Nfi1で駆動させ、また、時刻t2に室外ファン3を所定の回転速度Nfo1で駆動させる。これによって、室内温度・室外温度が検出される。そして、時刻t3~t4において制御部20は、室外ファン3を駆動させつつ、圧縮機1を比較的低速の回転速度Nc2で駆動させる。
【0072】
このような処理を行った後、時刻t4~t5において制御部20は、室内機U1の室内熱交換器10を凍結させる処理を行う。すなわち、制御部20は、時刻t4において四方弁5を暖房サイクルから冷房サイクルに切り替え、室内機U1の室内膨張弁12を所定開度Ei1に絞る一方、室内機U3の室内膨張弁12を閉弁状態とし、圧縮機1を所定の回転速度Nc1で駆動させる。
【0073】
なお、制御部20が、前記した所定開度Ei1に絞ることで、室内機Uiの室内熱交換器10が蒸発器として機能する。その結果、この室内熱交換器10に低温低圧の冷媒が通流して、室内熱交換器10が凍結する。制御部20は、例えば、室内熱交換器温度センサ14(
図4参照)の検出値が氷点下である状態を所定時間、継続させる。一方、凍結工程の所要時間が短い室内機U3は凍結工程の長い室内機U1と凍結工程の終了が一致するよう、凍結工程を遅らせて、時刻t43において、室内機U3の室内膨張弁12を所定開度Ei1にする。なお、時刻t4の時点で凍結処理が行われない室内機U3では、前記したように、時刻t4~t43までの間は室内膨張弁12が閉弁状態であるため、室内熱交換器10には冷媒がほとんど流れ込まない。
【0074】
また、室内機U1の室内熱交換器10の凍結中(時刻t4~t5)、制御部20は、室外ファン3を所定の回転速度Nfo1で駆動する一方、室内機U1,U3のそれぞれの室内ファン11を停止状態とする。その結果、凝縮器として機能する室外熱交換器2には外気が送り込まれる。一方、室内機U1の室内熱交換器10の付近では、自然対流で空気が流れる。これによって、空調室が冷やされることを抑制できる。なお、室内機U1,U3において、室内熱交換器10の凍結中、制御部20が室内ファン11を低速で駆動させてもよい。また、凍結中(時刻t4~t5)、制御部20は、室外膨張弁4を開いた状態(
図4の例では全開)にする。
【0075】
室内機U1,U3の室内熱交換器10を凍結させた後、時刻t5~t6において制御部20は、室内熱交換器10の解凍の前準備として、圧縮機1を比較的低速の回転速度Nc2で駆動させる。これによって、四方弁5の高圧側・低圧側の差圧が適宜に調整される。ちなみに、四方弁5の高圧側・低圧側の差圧が比較的大きい場合には、
図12に示すように、解凍の前準備として制御部20が圧縮機1を減速させるが、前記した差圧が小さすぎる場合には、制御部20が圧縮機1を増速させる。また、室内機U1,U3の室内膨張弁12の開度を凍結時の所定開度Ei1で維持する。
【0076】
そして、室内機U1,U3の室内熱交換器10の解凍を行う際、制御部20は、四方弁5を冷房サイクルから暖房サイクルに切り替える。前記したように、四方弁5の高圧側・低圧側の差圧が適宜に調整されるため、圧縮機1の駆動を継続しつつ、四方弁5を切り替えることができる。
【0077】
室内機U1,U3の室内熱交換器10の解凍中(時刻t6~t7)、制御部20は、室外膨張弁4を所定開度Eo1に絞る一方、室内機U1,U3のそれぞれの室内膨張弁12を開く(
図12の例では全開にする)。
【0078】
また、前記した解凍中、制御部20は、室外ファン3を所定の回転速度Nfo2で駆動させる一方、室内機U1,U3の室内ファン11のそれぞれを停止状態で維持する。これによって、室内熱交換器10の解凍に伴う冷気が室内機U1から空調室に流れ込むことを抑制できる。なお、室内機U1,U3の室内熱交換器10の解凍中、制御部20が、室内ファン11を低速で駆動させてもよい。
【0079】
そして、室内機U1,U3の室内熱交換器10の解凍後、時刻t7から所定時間、制御部20は、室内熱交換器10の乾燥を行う。
図12の例では、制御部20は、室内機U1,U3の室内ファン11を含む各機器の駆動を停止させている。このような処理において、制御部20が、室内熱交換器の解凍の終了時(時刻t7)から所定時間、リモコン15の操作に基づく空調運転を禁止させてもよい。これによって、室内機U1,U3から空調室に冷気が流れ込むことを防止でき、また、室内熱交換器10を自然対流で乾燥させることができる。
【0080】
図13は、室内熱交換器10を凍結させるための他の処理を示すフローチャートである。
図7の処理との相違点は、ステップS103を除き、ステップS106をステップS106Aに変更したことである。他のステップについては説明を省略する。
【0081】
図13に示す処理は、各室内機の凍結処理を一斉に開始し、各室内機Uiの凍結時間が経過すると凍結処理を終了する。すなわち、制御部20は、各室内機Uiに対し、
図13のステップS105~ステップS111を実行する。
図11のステップS106Aにおいて制御部20は、各室内機Uiの凍結処理を開始し、ステップS107に進む。
【0082】
ステップS107~ステップS110後、制御部20は、凍結時間が経過した場合(ステップS110,Yes)、室内膨張弁12を全閉して(ステップS111)、室内熱交換器10を凍結させるための一連の処理を終了する(END)。
【0083】
<タイムチャートC2>
図14は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示すタイムチャートC2である。適宜
図6、
図13を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、凍結工程の所要時間が異なる室内機Uiを一斉に凍結工程を開始し、凍結工程の所要時間が短い室内機(例えば、室内機U2-1,U2-2,U3)は室内熱交換器10の凍結が終了後、凍結工程の所要時間が長い室内機(例えば、室内機U1,U4)が室内熱交換器10の凍結が終了するまで、室内熱交換器10の解凍工程に遷移せず待機する。なお、室内機U2-1,U2-2の凍結工程の所用時間が異なるのは、室内熱交換器10の容量の相違か室内空気の相対湿度の相違による。
【0084】
図14に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一括で洗浄処理することができる。
【0085】
<タイムチャートC3>
図15は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示すタイムチャートC3である。
図15は、
図14のタイムチャートC2の変形例である。適宜
図6、
図7を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、室内熱交換器10の凍結で、凍結工程の所要時間に達した室内機から順に室内ファン11の送風による室内熱交換器10の解凍を実行し、その他の室内機は室内熱交換器10の凍結を続ける。全ての凍結工程が終了した後、制御部20は、暖房サイクルまたは室外膨張弁4及び室内膨張弁12を開弁状態にして解凍工程を実施する。
【0086】
図15に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一括で洗浄処理することができる。また、凍結工程の所要時間に達した室内機は、室内ファン11による室内熱交換器10の解凍が実行されるので、解凍処理をより早く進めることができる。
【0087】
<タイムチャートC4>
図16は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示すタイムチャートC4である。
図16は、
図14のタイムチャートC2の変形例である。適宜
図6、
図7を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、凍結工程中に洗浄運転の中止指令があった場合、中止指令のあった室内機(例えば、室内機U4)は、凍結工程を中止し、解凍工程まで待機する。
【0088】
図16に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一度に洗浄処理することができる。また、ユーザから中止指令があった場合(例えば、リモコン15や集中管理機器16からの中止指令)、該当する室内機についての凍結工程を中止することができ、ユーザの希望を優先した処理が実現できる。
【0089】
<タイムチャートC5>
図17は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示すタイムチャートC5である。
図17は、
図14のタイムチャートC2の変形例である。適宜
図6、
図7を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、凍結工程中に洗浄運転の中止指令があった場合、中止指令のあった室内機(例えば、室内機U4)は、凍結工程を中止し、室内ファン11の送風による室内熱交換器10の解凍に移行する。なお、凍結工程を終了している室内機(例えば、室内機U2-1,U2-2,U3)も、室内ファン11の送風による室内熱交換器10の解凍に移行する。
【0090】
図17に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一度に洗浄処理することができる。また、ユーザから中止指令があった場合(例えば、リモコン15や集中管理装置16からの中止指令)、該当する室内機についての凍結工程を中止するとともに、室内ファン11による解凍を促進することができる。
【0091】
<タイムチャートC6>
図18は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示す他のタイムチャートC6である。
図18は、
図11のタイムチャートC1の変形例である。適宜
図6、
図7を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、室内機U2-1や室内機U3の凍結が比較的早く終了しても、複数の室内機Uiについて一斉に室内熱交換器を解凍する解凍工程を開始する。
【0092】
図18に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一度に洗浄処理することができる。また、何等かの原因で各室内機の凍結終了時刻に差が生じた場合においても、1系統にある室内機Uiについて全てを一度に解凍処理に入ることができる。
【0093】
本実施形態によれば、機種又は容量が異なる複数の室内機と、室外機とを有する空気調和機において、適切に複数の室内機の室内熱交換器を清潔な状態に保つことができる。
【0094】
≪第2実施形態≫
図19は、第2実施形態に係る空気調和機100Aの冷凍サイクル構成を示す図である。空気調和機100Aは、冷房と暖房を同時に実行できる冷凍サイクルにおいて、制御部20は、室内熱交換器10の凍結が凍結工程の所要時間に達した室内機から順に、前記室内熱交換器10の解凍を実行する。
【0095】
図19において、
図2の冷凍サイクル構成との相違点を説明する。同一構成要素には同一符号を付している。室外機Uoには、阻止弁8に代わって、阻止弁8a、8bが設けられている。阻止弁8aの一方は低圧のガス側の配管J10に接続され、他方はアキュムレータ6の吸入側に接続されている。阻止弁8bの一方は高圧のガス側の第2配管J30に接続され、他方は四方弁5に接続されている。
【0096】
ガス側の第2配管J30の経路には、ガス側接続部K7,K8,K9、及び切替ユニット30が設けられている。切替ユニット30は、室内熱交換器10を蒸発器として機能させる弁31と、凝縮器として機能させる弁32とを有している。
【0097】
<空気調和機の動作>
以下では、空気調和機100Aの空調運転に関する3つのモードについて説明する。ここでは、室内機U1,U2を例に説明する。室内機U3,U4についても同様である。
(第1モード)
第1モードは、
図19に示す室内機U1,U2の一方(他方は停止)又は両方で冷房運転を行うモードである。以下では、室内機U1,U2の両方で冷房運転を行う場合について説明する。第1モードにおいて制御部20は、室外熱交換器2を凝縮器として機能させるように四方弁5を切り替える(
図19に示す四方弁5中の実線)。また、制御部20は、室内機U1,U2の室内熱交換器10で蒸発した冷媒を圧縮機1の吸込側に導くように弁31を開弁し、弁32を閉弁する。ガス側の第2配管J30からの冷媒は、弁32で止まっている。
【0098】
(第2モード)
第2モードは、
図19に示す室内機U1,U2の一方(他方は停止)又は両方で暖房運転を行うモードである。つまり、第2モードは、室外熱交換器2を蒸発器として機能させるモードである。例えば、室内機U1,U2の両方で暖房運転を行う場合について説明すると、制御部20は、室外熱交換器2を蒸発器として機能させるように四方弁5を切り替える(
図19に示す四方弁5中の破線)。また、制御部20は、圧縮機1から吐出される高圧のガス冷媒を室内機U1,U2の室内熱交換器10に導くように弁32を開弁し、弁31を閉弁する。
【0099】
(第3モード)
第3モードは、冷房運転と暖房運転とを同時に運転を行うモードである。つまり、第3モードは、冷房運転・暖房運転の室内機が混在し、かつ、室外熱交換器2を凝縮器として機能させるモードである。例えば、一方の室内機U1で冷房運転を行い、室内機U2で暖房運転を行う。
【0100】
第3モードにおいて制御部20は、室外熱交換器2を凝縮器として機能させるように四方弁5を切り替える(
図19に示す四方弁5中の実線)。また、制御部20は、室内機U1の室内熱交換器10で蒸発した冷媒を圧縮機1の吸込側に導くように弁31を開弁し、弁32を閉弁する。一方、制御部20は、圧縮機1から吐出される高圧のガス冷媒を室内機U2の室内熱交換器10に導くように弁32を開弁し、弁31を閉弁する。
【0101】
圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、ガス側の第2配管J30を介して室内機U2に導かれる。そして、このガス冷媒は室内機U2の室内熱交換器10において室内空気と熱交換して凝縮し、凝縮した冷媒は液側接続部K2を介して液側接続部K1に向かう。
【0102】
また、四方弁5を介して室外熱交換器2に導かれる高温高圧の冷媒は、室外熱交換器2で室外空気に放熱して凝縮し、凝縮した冷媒は室外膨張弁4で減圧されて気液二相冷媒になる。
【0103】
そして、液側の配管J1を介して液側接続部K1に向かう液冷媒と、液側の配管J11を介して液側接続部K1に向かう液冷媒とは、液側接続部K1において合流し、合流した液冷媒は液側の配管J2を介して室内膨張弁12に向かう。このような冷媒の流れは、第3モードに特有のことである。室内膨張弁12において減圧された冷媒は、室内熱交換器10で室内空気から吸熱して蒸発し、蒸発した冷媒はガス側の配管J10を介して圧縮機1の吸込側に向かう。
以上説明した、第3モードを利用して、凍結工程後、暖房運転による解凍工程を行う。
【0104】
<タイムチャートC7>
図20は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示すタイムチャートC7である。適宜
図6、
図7を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、室内熱交換器10の凍結で、凍結工程の所要時間に達した室内機から順に暖房運転による室内熱交換器10の解凍を実行し、その他の室内機は室内熱交換器10の凍結を続ける(前記した第3モード)。解凍工程が終了した室内機から順に乾燥工程を実行する。
【0105】
図20に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一斉に洗浄処理することができる。また、凍結工程の所要時間に達した室内機は、暖房運転による室内熱交換器10の解凍が実行されるので、解凍処理がより早く進めることができる。
【0106】
<タイムチャートC8>
図21は、複数の室内機Uiの洗浄処理を示すタイムチャートC8である。
図21は、
図20のタイムチャートC7の変形例である。適宜
図6、
図7を参照する。室内機Uiの構成は、
図11と同様である。制御部20は、凍結工程中に洗浄運転の中止指令があった場合、中止指令のあった室内機(例えば、室内機U4)は、凍結工程を中止し、暖房運転による室内熱交換器10の解凍に移行する。なお、凍結工程を終了している室内機(例えば、室内機U2-1,U2-2,U3)も、暖房運転による室内熱交換器10の解凍に移行する。
【0107】
図21に示す実施例によれば、機種及び容量、又は室内環境に応じて、各室内機Uiは適切に凍結工程を実施することができ、1系統にある室内機Uiについて全てを一斉に洗浄処理することができる。また、ユーザから中止指令があった場合(例えば、リモコン15や集中管理機器16からの中止指令)、該当する室内機についての凍結工程を中止するとともに、暖房運転による解凍を促進することができる。
【0108】
本実施形態の空気調和機100は、機種又は室内熱交換器10の容量が異なる複数の室内機Uiと、室外機Uoとを有する1系統の空気調和機において、空気調和機100の制御装置(例えば、制御部20)は、複数の室内機が有する室内熱交換器10の凍結工程を行う際、複数の室内機Uiの凍結工程を行う時間帯の少なくとも一部を重複するように運転を行うことができる。
【0109】
また、空気調和機100は、室内熱交換器10の凍結工程の継続時間である凍結時間が異なる複数の室内機を有し、制御装置は、凍結時間に応じて、凍結工程を行う時間帯の少なくとも一部を重複してもよい。
【0110】
本実施形態の空気調和機100によれば、凍結量を一定にするため所定条件に応じて凍結時間を変化させている。しかしながら、複数台の室内機Uiがつながる冷凍サイクルでは、室内空気温度条件、湿度条件、室内機Uiの構造の相違により、室内機ごとに凍結時間が異なる。本実施形態ではこの凍結時間に応じて凍結工程を実施している。一方、凍結時間を合わせる制御も考えられるので、(1)凍結時間が短い室内機は凍結時間が長い室内機に合わせて凍結工程を延長する、もしくは(2)凍結時間が長い室内機は凍結時間が短い室内機に合わせて凍結工程を短縮するようにしてもよい。前者(1)の場合、凍結時間が短い室内機は、機器表面への結露の懸念があり、後者(2)の場合凍結時間が長い室内機は、凍結量不足による洗浄効果低下の懸念がある。しかし、結露や凍結量不足の懸念を最少限にすると、最長時間や最短時間に合わせた凍結時間でも対応可能である。すなわち、制御装置は、凍結時間が最も短い室内機に合わせて凍結運転を行うか、凍結時間が長い室内機に合わせて凍結運転を行ってもよい。これにより、各室内機Uiは、一斉に凍結処理を開始し、終了できる。
【0111】
各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0112】
1 圧縮機
2 室外熱交換器(凝縮器/蒸発器)
3 室外ファン
4 室外膨張弁
5 四方弁
10 室内熱交換器(蒸発器/凝縮器)
11 室内ファン
12 室内膨張弁
13 室内温度センサ
14 室内熱交換器温度センサ
15 リモコン
16 集中管理機器
17 室外制御回路
18 室内制御回路
20 制御部(制御装置)
30 切替ユニット
31,32 弁
100,100A 空気調和機
J1 配管(液側の配管)
J10 配管(ガス側の配管)
J30 第2配管(ガス側の第2配管)
K1,K2,K3 液側接続部
K4,K5,K6 ガス側接続部
K7,K8,K9 ガス側接続部
Q,QA 冷媒回路
Ui 室内機
Uo 室外機